○
愛知証人 お答えいたします。最近の
大藏省と
地方銀行との、特に
融資を中心にいたしました
大藏省の地位と申しますか、
関係を御説明いたしたいと思います。
第一に一般的な問題でありますが、
昭和二十二年の三月一日に、
金融緊急措置令施行規則第十三條第二項に基いて、
大藏省告示第三十七号というものが出ております。これが世間にいわゆる
融資準則といわれておるものでありまして、この
融資準則によ
つて金融機関の
融資の規制が行われておるわけでございます。この
融資準則は、
地方銀行のみならば、あらゆる
金融機関に対しまして原則的に適用されておるものであります。その内容をごくかいつまんで申し上げますと、その準則の第一の総則の一の
銀行その他でありますが、
銀行その他の
金融機関は資金の融通をなすにあた
つては、この準則の定めるところにより自主的にこれが規制を行せなければならない、ということが、
融資準則の第一総則の一に掲げられておるわけであります。これが法令の基礎に基く
銀行その他の
金融機関としての
融資の根本の
方針として與えられておるものであります。これに対しまして
大藏省の
関係でありますが、その点は同準則の第六の一項に、
大藏省は本準則の実施
状況を監査するほか、日本
銀行をして常時監査せしめるということに
なつております。それからまた、必要と認めますときは資金の融通を禁止し、または回收もしくは担保権の実行を命ずることができる。こういうことに
なつておるわけであります。從いまして、ごく簡單に申しますると、
融資の規制については大きな準則がきめられてある。準則に基きまして相当細部の規定もございまするが、その規定の範囲内で各
金融機関で自主的に行
つてもらうということを建前にしておるわけでございます。
大藏省としては事後の監督ということに責任の重点がある、こういうようなかつこうに
なつておりますし、また日本
銀行がその間にありまして、やはり監督について相当の分け前をも
つておる。こういうような状態に
なつておるわけでございます。なおこの際附加えて申し上げておきたいと思いますのは、
融資準則の中で産業資金貸出順位表というものがございます。その産業資金貸出順位表と申しまするものは、
昭和二十二年の六月に改正されまして、現在これが行われておるのでありますが、この中で設備資金と運轉資金とにわけまして、甲一、甲二、乙、丙という区別が四段階にあるわけであります。これも規則につきまして具体的に申し上げますと非常に長くなりますので、重点だけを申し上げますならば、甲一、甲二というものは絶対に日本再建のために必要と思われるものを原則的に分類いたしております。それから乙につきましては、その順位が甲一、甲二に次ぐものでありまして、ややその必要度合の低いものであり、甲は原則的にこの際必要でないというようなかつこうでわかれておるわけであります。甲一、甲二の区別は今ではほとんど実益がございません。なぜかと申しますと、從來封鎖
制度が行われておりましたときは、甲一等については全額新円で貸出してよろしい。甲二についてはある
程度制限が置かれるというような差別があ
つたのでありますが、今日ではそういう差別がなくなりましたから、一口に申しますれば、甲は必要なもの、乙は普通のもの、丙は不必要なもの、こういう順位で、およそ想像し得るあらゆる業種につきまして設備資金、運轉資金の両方にわかれて規定されておるわけであります。甲につきましては、原則的にこれはま
つたく
金融機関の自由に貸出をし得るものであります。乙につきましては、事業育成をこの際としても必要とする、あるいは收入の
状況が相当良好である、あるいはまた、事業育成の必要は非較的低いけれ
ども、この際としては運轉資金の供給を
事情によ
つて必要とするというような場合には、運轉資金はこれを
金融機関だけの
考えで出してよろしい。こういうことに
なつておるわけであります。丙につきましてはいろいろの場合がございますが、一口に申せば、原則的に事前に日本
銀行の承認が必要となりますし、またその中の重いものにつきましては
大藏省の承認が事前に必要である。こういうことに
なつておるわけであります。大体概要は以上申し上げた
通りであります。