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1948-02-04 第2回国会 衆議院 不当財産取引調査特別委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年二月四日(水曜日) 午後一時五十六分
開議
出席委員
委員長
加藤勘
十君
理事
梶川 靜雄君
理事
武藤運十郎
君
理事
鍛冶
良作
君
理事
辻 寛一君
理事
荊木 一久君
理事
小松
勇次君
理事
田中
角榮
君 足立 梅市君 池谷 信一君 河井 榮藏君 佐竹 新市君
山中日露史
君
高橋
榮吉君
明禮輝三郎
君 村上 勇君 伊藤 恭一君
宇都宮則綱
君 大森 玉木君 橋本 金一君 野本
品吉
君 平澤 長吉君
田中
健吉君
中村元治郎
君
徳田
球一君
委員外
の
出席者
兵器処理委員会
に関する件について証言のた め出頭した
証人
青木秀夫
君(元
内務調査部長
)
小松隆
君(元
兵器処理委員会委員長
) —
——
——
——
——
——
——
本日の
会議
に付した
事件
証人出頭要求
に関する件
兵器処理委員会
に関する問題 —
——
——
——
——
——
——
加藤勘十
1
○
加藤委員長
これより
会議
を開きます。 本
委員会
の設置によりまして廃止された
隱退藏物資等
に関する
特別委員会
において、
さき
に
委員
を派遣して
現地調査
をしたのでありますが、
委員会
の廃止された
関係
から、
報告
はなくな
つたの
であります。しかし、
調査
に当られた
鍛冶委員
が本
委員会
の
委員
であります
関係
から、その
調査
の結果に関連して、新しい
提議
をなさろうとする発言を求めておられます。これを許します。
鍛冶良作
君。
鍛冶良作
2
○
鍛冶委員
ただいま
委員長
から御指示のありました
事件
について、まず
報告
をいたします。 お手もとへ
報告書
の
プリント
が出ておるはずでありますが、この
プリント
には
大分誤字
がありますので、
説明
のうちで、その
誤字
を指摘いたしますから、そのおつもりで
報告書
をごらん願いとうございます。 ただいま
報告
いたしまする
事件
は、昨年十二月
東北
における
隱退藏物資
の
摘発状況
を
調査
するために、私と
委員中村元治郎
君とが
仙台地方経済安定局
に派遣されたものの
一つ
であります。われわれは
昭和
二十二年十二月の十二日、
東京
を出発いたしまして、十三日午前九時半に
仙台地方経済安定局
に参りまして、
安定局
の
首脳部
と面会して、まず第一番に
宮城縣白石
町の
農業倉庫
に、
福島縣
からひそかに運搬せられた
羊毛
が多量に隱匿されておるということで、
調査
に來た旨を告げたのであります。そしてこれについて何か知るところあるかと尋ねましたところ、
稻葉監査部長
は、その件は前から聞いておる。一度新聞にも出た
事件
で、
警察部
からの
内報
によると、
終戰直後
、
東北興業
の下
会社
である
東北振興纖維工業株式会社
が、軍から
拂下げ
を受けたもので、その後
正規
の
手続
を経て各
工場
に支給されておるということである。なおそのほか不審の点があるので、軍から
拂下げ
を受けたもの全部をその
行方
を
調査
するために、
会社
に対して全体の
報告
を求めておるとのことでありました。 そこでわれわれの第一に感じたのは、
終戰直後
、軍から直接
拂下げ
を受けたものだとすればこれは標本的の
隱匿物資
である。たとえ、いかなる
手続
を履もうとも、正当な
物資
にもどるわけがない。正邪のほどは、
調査
の上でないとこれを認定することはできぬが、一
應そのもの
の横流しを防止するために、
処分禁止
をしておいてはどうかと言いましたところ、同局の者もこれに同意したので、ただちに
経済査察官高橋義夫
ほか二名の者を同道して
白石
町へ
行つたの
であります。まず
白石
へ行きまして、
白石警察署
に
行つて——署長
に前も
つて
電話をかけておいたのでありますが、面会を求めますと、
署長
は
病氣
のゆえをも
つて
出てまいりませんでした。そして
経済主任
である
加藤警部補
が應待しまして、この件について同
警察署
において
調査
した顛末を聽きましたところ、昨年の七、八月ごろに、
福島縣
から多量の
羊毛
が当
町農業倉庫
に運ばれて隱匿されておるとのうわさに基き、
取調べ
たことがある。九月二十七日にこれを
取調べ
たところ、二十貫ないし五十貫の包裝した
羊毛
四百五十個くらいあ
つて
、まずこれを差押えて
関係者
を
取調べ
たが、
ちようど
そのときに
進駐軍
からも第九
軍ヘンリー今岡中尉
という者が出張して
取調べ
られた。その結果本
物資
は
正規
の
手続
を経て入手したものであることが明瞭になり、その
中尉
の命によ
つて差押え
を解除した。その後おいおい当地からこの品物が持ち出されて、現在は貨車五
車分
、全量の約半ぐらい残
つて
おるということでありました。そこで正当を認めた
根拠
はどこにあるのかということを尋ねますと、第一は、本
物資
は元
陸軍製絨廠猪苗代倉庫
にあ
つた
もので、
終戰後進駐軍
に引渡されさらに
日本政府
に返還されたので、今度は
東北振興
が
福島縣
からこれを正当に
拂下げ
を受けたものであ
つた
。これに関する
りつぱな書類
も備わ
つて
おる。なお次には、
右証拠書類
の
閲覽
を求めましたるところ、
進駐車
から
日本政府
に返還された
書類
の写し、それは
昭和
二十一年三月一日附のものであります。第二は、
東北興業会社
から
福島縣
へ
拂下申請書
を出しておるそれでありますが、それは
昭和
二十一年二月十六日附であります。第三は、
猪苗代警察署
より
猪苗代倉庫
に百三十二トン百キロ
保管
されていたものであるという、
猪苗代警察署長
の
調査報告書
があ
つたの
であります。なお詳細は縣の
防犯課
と
地方商工局
へ
報告
をし、さらに
檢察廳
へも
報告
してあると申し述べたのであります。 しかし、
仙台安定局
から聞いた事実と相違しております。そこでまずその
報告書
の
閲覽
を求めたのでありますが、その
警察補
は、私が直接調べたのではなくて、
巡査部長
がこれを調べたからと、その
巡査部長
を呼んで來ました。そこでその
巡査部長
に
関係書類
の
閲覽
を求めたのでありますが、あべこべに、あなた方はどうしてさようなことを
取調べ
られるのかという反問を受けて、
書類
を出しませんでした。しかし
前記羊毛
に関する
調査
の結果を知りたいのだと言いますと、その
部長
は
東北振興纖維工業株式会社
が
昭和
二十年八月十七日、すなわち
終戰直後
、
陸軍製絨廠々長向井金次郎
中將から、
猪苗代
、その他四、五箇所にあ
つた
羊毛
並びにこれに附属の
物件合計
五十万貫を一千百十万円
——
この数字は一千百十一万二百五十万円です。
トン当り
二百五十円と
言つたの
ですが、これは計算が合うかどうか、そう記憶しておるから書いたのです。それで買い取
つた
もので、
猪苗代
においては
浅井甚一郎
という者に
保管
させたまま讓り受けたが、その後
朝鮮人等
から
そのもの
を分與せよと迫られて、しようがないのでここへトラツクで運び、その後
商工省
の
指令
に基いて適当の地へ搬出するつもりのものであ
つた
。これに関しては
りつぱな証拠書類
も備わ
つて
おるので、不正にあるざることを確認したというのであります。なお適当と認めた
根拠
はどこにあるか、一口でいいから言えと言いましたら、
右拂下げ
によ
つて昭和
二十年八月十七日に千何百万円という金を出しておる、この事実によ
つて所有権
が
りつぱに東北振興
にあることを認めたからだという
返答
をしておるのであります。そこでなお物について適当な
方法
をとろうと
思つたの
ですが、もう暗くな
つて
しましたおりますので、やむを得ず
仙台
へ帰りましたら、すでにもう十一時になりました。 そこで翌十四日、日曜でありましたが、
仙台安定局
の
稻葉監査部長
、
小岩在庫品課長
、それから昨日一緒に参りました
査察官
並びに縣の
防犯課
の
主任
である
警部庄子駒藏等
の会合を求めて
調査
にかか
つたの
でありますが、そこで第一番に、昨日
白石警察
においての
警察主任
と係りの
巡査部長
の両名の
説明
に相違があるが、
昭和
二十年八月十七日
拂下げ
を受けたから正当と認めたのか、それとも
警部補
が
言つたよう
に、その後縣から
拂下げ
を受けたのを正当というのか、第二は、その他
本件
に関し他に不正のものが在存しなか
つた
かどうか、こういう
質問
をいたしましたところ、
右庄子警部
からは、第一に、
昭和
二十年八月十七日
拂下げ
を受けたが、その後は
拂下げ
は取消されて
日本政府
の
保管
に移
つた
。そうして
福島縣警察部
の命によ
つて猪苗代警察署長
が
保管責任者
とな
つて
いたものである。その後、
昭和
二十一年二月十六日、
東北振興
が
福島縣知事あて
に
拂下申請
をして
拂下げ
とな
つたの
で、
昭和
二十一年二月十九日に
猪苗代警察署長立会
の上、
縣特殊物件課長
から正式に
引渡し
を受けたものである。そして
昭和
二十一年三月一日にこの物が
進駐軍
から正式に
日本政府
へ返還された。そこで
あと
にな
つて
ではあるが、同年五月、
商工省
から
東北商工局
へあてて、この
物資
は
東北振興纖維工業
へ
拂下げた
ものであるという通知が來てお
つた
。以上の
手続
によ
つて
、
正規
に
所有権
を得られたものであると認められたという
答え
であ
つたの
であります。 しかしわれわれはそれは單に形を整えただけのもので、事実は
昭和
二十年八月十七日のどさくさの際に
拂下げ
を受けたものを正当化するために、いろいろな
書類
がつくられたにすぎない。但し不正なるものは、いつまでも不正なものであ
つて
、正当化する
道理
はない。またこれこそ、いわゆる
世耕
氏のいう官僚と結託して
摘発
を妨げておるという標本ではないか。殊に
日本政府
に返還されたのが三月一日、これはもう
書類
に明白に出ておるのであります。なおこの
リスト
がありますが、これははたしてこのものにはまるかどうかしらぬが、とにかく三月一日の
リスト
とありました。それで三月一日であるし、その前に
福島縣知事
に
拂下げ
の
権限
はないわけであります。
特殊物件課長
が
引渡し
得るわけもない。すべてその前にや
つた
ことは無効なものではないか。これは二月十六日に
拂下げ
を受けて十九日に
引渡し
た。まだ
進駐軍
から返されぬ先だから、それでこういう
質問
をいたしたのであります。するとこの
返答
は、内務省から前の
收得
が不正であ
つて
も、
あと
にな
つて正規
の
手続
さえ済んでおるならば、これを正当なものと認めてよいという
内報
があ
つた
。その次は、
本件
に関し
福島縣
のC・I・Cに尋ねたところが、こちらでよろしいとい
つて
引渡し
たものを、さらにお前の所で調べるとは何事だ、こうい
つて
あべこべにおしかりを受けましたと、こういう
答え
であ
つたの
であります。 なおそのほかに不正の事実はなか
つた
かとの問いに対しましては、
隠匿物資等緊急措置令
に基く
申告
の点を調べたのであるが、右は
昭和
二十一年二月十七日、現在の
所有者
ました
占有者
が
申告
すべきものであるが、
東北振興
が同年二月十九日に
引渡し
を受けたものだから、
申告義務者
に該当しておらぬ。これはまことにうまくできておるのであります。十七日に
申告
しなければならぬ、それを十六日に
拂下げ
の
書類
を出して、十七日にはまだ
福島縣
がも
つて
お
つたの
で、それで二日経
つて
十九日に
移つたの
だから、これは要らぬ、こういう
答え
なのです。その次は
指定生産資材調整法
に基く
申告
は、本年二
月白石警察署
に対して提出されておるとのことであ
つて
、これも不正がないと認めた、こういう
答え
であります。しかして
右警部
としてはこれ以上
取調べ
の
方法
がないので、一件
書類
を
高等檢察廳
に送
つて
、今後不正ありとすれば、同
檢察廳
の
指揮
に基くものとしたということでありました。 以上の事実に基きまして、われわれは次のような
措置
を命じてきたのであります。 第一に、
縣警察部
に対しては、
終戰後東北振興
に拂い上げられたものが、
拂下げ
を取消されて
進駐軍
に引渡され、さらに
日本政府
へとりもどされたというが、そういう事実がはたしてあ
つた
かどうか。あるとするならば何年何月何日、どういう
手続
でなされたか。これに関する
書類
はあればつけて
説明
してもらいたい。 第二は、
倉庫
の
保管料
はだれが拂
つて
おるか。おそらく
昭和
二十年八月以降は、
東北振興
が拂
つて
おるものであ
つて
、
縣警察部
は拂
つて
おるまいと思うが、この事実は
確め
てもらいたい。したしてそうだとすれば、
昭和
二十一年二月十七日現在における
所有者
も
占有者
も、すべて
東北振興纖維工業会社
であ
つて
、
申告
の
義務
のあることは当然ではないか。それをなさないで今日まで隠匿しておるとすれば、間違いなく不正なものだと思うがどうか。 その次は未だ
進駐軍
から返還されぬ前に、
福島縣知事
が
拂下げ
をしたり、
引渡し
の
手続
をして、正当に
東北振興
へ
所有権
が移る
道理
はないと思うが、それが正当な
所有者
なりと言うならば、その
根拠
を明らかにしてもらいたい。 それらのことについてさらに
取調べ
るよう命じまして、同
警部
は、今後一切
高等檢察廳
の
指揮
にまつほかないと言うから、右の趣を
檢事
に傳えるからと言い、なお
稻葉監査部長
からもこの旨を
檢事
に傳えてしかるべく
手続
をや
つて
もらおうという
返答
でありました。 なお
仙台安定局
に対しましては、
終戰
のどさくさに際して
東北振興
が
收得
したという五十万貫の
物資
の
行方
を徹底的に調べると、次いで
取調べ
の済むまで、退藏されており
物資
、主として
羊毛
は一時
移動禁止処分
をしておいてもらいたい。これは
工場
に
行つて
お
つて
、
工場
を動かす材料であるならば不穏当であるかしらぬが、退藏されておるものであるならば、全
責任
をわれわれが負うかこれを禁止処分せよと言
つて
まいりました。もしこの
物資
が
正規
に得られたものだと認定するならば、その認実の
根拠
を法律的に明確にせよ、こう言
つて
きたのであります。 さらに
本件
の
処理いかん
は、單に
東北振興
の
物資
だけの問題ではなくて、全國的に波及する大問題であるから、念には念を入れてや
つて
もらいたい。われわれも單に議会内の隠
肥藏物資委員会
のみに止らず、C・I・
C等
の
手続
を経ておるというのならば、これは私
ら個人
の
意見
でありますが、G・H・Qへもこの旨を
報告
して、これに関するG・H・Qの
意見
をも
確め
て、將來の
処理
に資したいと思うということを傳えてきたのであります。 以上は事実の
報告
でありまするが、本
委員会
におかれましては、これは前の
隠退藏物資等特別委員会
でや
つたの
でありますが、このままをひとつお引継ぎを願いまして、これを
英文
にして
——
これは私の
意見
でありますが、G・H・Qに出して、G・H・Qの
意見
を求め、さらにこの
委員会
の名において、
宮城縣警察部
並びに
経済安定局
へ、その後の
処置
はどうな
つて
おるか、詳細に
報告
せよということを命じていたださたい、かように考えるのであります。
加藤勘十
3
○
加藤委員長
ただいま
鍛冶
君から、前
隠退藏物資特別委員会
における
現地調査
の
委員
として出張された
報告
が述べられて、この結論としてこの
委員会
に御
提議
になりましたことは、この
報告書
がこの
委員会
で承認されますれば、
英文
に飜訳して
司令部
に出して、
司令部
の
意見
を求め、さらに
宮城縣警察部
、
仙台
の
東北地方安定本部
に対しましてその後の状到がどうな
つて
おるかということを、本
委員会
の名において正式に問合せの
通牒
を発してほしい、こういう御
提議
であります。いかが取計らいましようか。
高橋榮吉
4
○
高橋
(榮)
委員
私は全面的に賛成するものでありますが、今の御
報告
を聽きますと、
福島縣
から
東北振興
へ拂い
下げ
たというようなことにな
つて
お
つて
、これが一見合法的なように信じられておるようでありますけれども、
國家
が所有しておるものは、結局
國家
の
財産
であ
つて
、いわゆる
國家財産
の
処理方法
は、
國有財産処理規程
に基いてやらなければならない。すなわち
大藏省
の管轄に基いて、不動産なんかむろんのことでありますが、こういう
重要物件
も、結局
國有財産
に関するそれぞれの
手続
を経なければならないものであ
つて
、各
地方廳
において
國有財産
を処分するところの
権限
はない。かりに実際において、
福島縣
ですか、
宮城縣
ですか、その縣の方で拂い
下げ
をしておりましても、その拂い
下げ自体
が
権限
のない
拂下げ
だと思うのであります。その点についても、
法的根拠
なんかについて、よく
委員会
として
調査
せられた上に、それぞれの
鍛冶
君が言われた交渉の際に、
福島縣
に
権限
があるのか、
大藏省
において
拂下げ
の
権限
があるのかという
権限
の
明確化
を、ひとつ御研究願いたいと思います。
加藤勘十
5
○
加藤委員長
ただいま
高橋
君から御
意見
が述べられましたが、
権限
が
地方廳
にあるのか、
大藏省
にあるのかという
疑義
もある、こういう御
意見
でありますが、この点は現に
中央官廳
において所有しておる
軍引渡し
の
軍需物資
が
部外財産
として
國有財産
に記帳されていない。
地方廳
に移管された
特殊物件
が、やはり
予算外措置
として今日まで取扱われてきておる。こういうところに幾多の
疑義
を生み出したのでありまして、これらの点は、いずれ別に当然
調査
の
対象
となることであると思いますが、ただいまの
鍛冶
君の御
提議
は、これをまず切離して、これを英訳して
司令部
に出して
司令部
の
意見
を聽くということ、
宮城縣経済部
に対して、また
仙台
の
地方安定局
に対して、その後の経過を聽取するという公式の
通牒
を、
委員会
の名において発するということを、まず御決定願いたいのであります。それから
高橋
君の今御
意見
が出ましたことは、本
委員会
として重大なる問題でありまして、これは当然いずれ全資料が整いました上で、
調査
の
対象
になる点でありますから、どうぞお
含みおき
を願いたいと思います。
徳田球一
6
○
徳田委員
これはこういう
不当取引
の
特殊物件
に関する典型的のものでありまして、これはもう
不当取引
であることは明らかであります。それゆえにこれをさらにG・H・Qの
意見
を聽くということは必要ないと思います。そこでこれが不当であるということは明確であるのだから、この後の
処置
につきまして
報告
を得るということは必要でありますけれども、G・H・Qの
意見
を聽くということはどうでしようか、それは私は反対であります。第一にこの
内容
につきまして、今御
報告
なされたところによりますれば、これ以上ここで調べてみたところで、問題にならないのでありますから、向うからの
報告書
をと
つて
、これが不当の
取引
であるかどうかという判定だけを、この
委員会
でしたらどうかと思います。そうしないと、もうなかなか長く延びまして、この問題の
処置
が長く延びれば、これはまたぞろ
隠退藏
そのままにずつと長く引続いてそういう状態におかれるのでありますから、早く
処置
をして、こういうものを
生産増強
に
使つた方
がよいと思いますので、なるべく早くするようにしたいと思います。これだけでも
内容
は明らかであります。
加藤勘十
7
○
加藤委員長
徳田
君の御
意見
ごもつともでありますが、
鍛冶
君の御
意見
は、
現地調査
の過程において、C・I・Cから
現地
にその人が來ておる、はたしてそれがC・I・Cの
司令部
の方針として來たのであるかどうか、こういうことの一應の
調査
を、やはりしなければならぬという
意味
での
意見
であります。これがために少しもこちらが遅れるというのではないのです。
徳田球一
8
○
徳田委員
その点を調べるのは、ただ参考という
意味
ではいいでしよう。しかし、この
内容
は、すでに
不当取引
でありますから、その点は
委員会
が判定した方がいいと思います。
加藤勘十
9
○
加藤委員長
それでは
鍛冶
君の御
提議
はこれを承認するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
加藤勘十
10
○
加藤委員長
御
異議
なければそのように早速取計らいます。 —
——
——
——
——
——
——
小松勇次
11
○
小松
委員
過般の本
委員会
におきまして、
さき
に
隠退藏物資
の
摘発委員会
において問題に相成
つて
おりまする
世耕指令
に基くところの未
処理
の問題を、本
委員会
において結果をつくべしという御決定を見たのであります。よ
つて
私は
この世耕情報
に関連いたしておりまする
事件
につきまして、未だ本
委員会
の話題にも、上らなか
つた
問題が、私の知る
範囲
において起
つて
おるのであります。ゆえにその問題を本
委員会
において取上げられまして、
世耕情報
の結末をつける上において、ぜひともこの問題をその中に包含をしてお取扱いを願いたいと思うのであります。 その
事件
の
概件
につきましては、私は
裁判所
の
記録
を概要見てまい
つたの
でありますが、その
記録
に基いて申し上げたいのであります。私がこの
委員会
においてさような
要求
をいたしますことは、
裁判所
の
記録
によりますと、この問題の中には
政界
の人も
経済界
の人も
関係
いたしておるのであります。
從つて
本
委員会
が設立せられました趣旨から申しましても、
政界
、官界、財界の粛正のために、ぜひともこの問題を本
委員会
の
調査
の
対象
にしていただかなければならぬと存ずるのであります。
事件
の
内容
を申し上げますと、これは
靜岡縣伊東
町の
農業会
の專務
勝又理三郎
が、
詐欺罪
として告訴せられましたことに端を発しての問題であります。
勝又
が
詐欺罪
として告訴せられましたことは、
世耕指令
を盾に
軍服拂下げ
に暗躍いたしました
日本産業株式会社
の
社長某
、同友人の
中山浩
、
東亞興業株式会社
の
竹中
、これらの
人々
がブローカーの紹介によりまして、今申し上げました
伊東農業会專務理事
の
勝又理三郎
と相知りまして、これらの
人々
が
勝又
に対して、
軍服
一万五千着の
拂下げ
ができる旨を告げたのであります。
勝又
は、当時
公文書等
を見せられたのでありますがゆえに、これを固く信じて、そうして自己の知合いである
明治興業株式会社東京支店
にこの旨を告げて、そうしてこの
明治興業株式会社
からその代金の一部として二百八十万円を領收いたし、これを
都川
、
中山
、
竹中等
に渡したのであります。しかるにその後
軍服拂下げ
は実現せずいたしまして、ここに
勝又
が
詐欺罪
として
明治興業株式会社
から訴えられたのであります。この
事件
には、
都川
、
中山
、
竹中等
だけでなく、
世耕情報
において問題にな
つて
おりまする
辻嘉六
さんの
名前
も出ておる。かつまた現
代議士
の
名前
も出ておるのであります。これは各
関係者
の陳述によ
つて
明らかにな
つて
おるのであります。私はその
眞偽
を知らないのでありますけれども、
調書
によりますと、さような
人たち
が登場いたしておるのでありますがゆえに、ぜひともこの
記録
を、本
委員会
が適当なる
方法
をも
つて
沼津裁判所
よりお取寄せになり、この
記録
をもととして、本
委員会
がこれに対して
愼重審議
をしていただきたいと思うのであります。 なお
辻嘉六
さんの
調書
の一部をも私は見たのでありますが、それによりますと容易ならざることがあるのであります。現
代議士
にな
つて
おります
某氏
が、
在庫量
の三分の一を全
國農業会
に
拂下げ
を斡旋してもらいたいという依頼を受けたということや、これが実現すれば五百万円内外のお礼がもらえるはずだとい
つた
ようなこと、また四月の中旬二回にわた
つて
某氏
の使の者が、辻さんに五十万円と三十万円の金を届けたというようなこと、かようなことが
記録
されているのであります。かつまた当時
農林大臣
でありました木村さんの
公文書印鑑
を偽造したというようなことも
記録
されておるのであります。これは私は容易ならざる問題であると思うがゆえに、
委員長
におきましては、私の
要求
をお計らい願いまして、速やかにこの問題の解決をお取計らい願いたいと思うのであります。
加藤勘十
12
○
加藤委員長
ただいま
小松
君から御
提議
になりました
世耕事件
に関連するもので、今まで問題として
疑惑
の渦中にあ
つた
事件
、
地方
における出來事で、やはり先般來の
疑惑
にかかわる問題と密接な関連のある
事件
が、
沼津裁判所
において現に起訴されて公判に移されておる。こういう実情にあるがゆえに、この
記録
を取寄せて、先般の
世耕事件
と
一つ
にして
調査
を進めてほしい、こういう御
提議
であります。これはすでに先般の
委員会
におきまして、
記録
を取寄せることを決定いたしております。ついては、ただいま
小松
君の
提議
されましたことも併せて早急に
記録
を取寄せるということに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
加藤勘十
13
○
加藤委員長
御
異議
なければ早急にその
手続
を運ぶことにいたします。
鍛冶良作
14
○
鍛冶委員
私も新
事件
の事実を、私の知
つて
おる
範囲
で、当
委員会
に
報告
いたしまして、
委員会
においてしかるべく御
処置
を
願つた方
がいいかと思いますので、一應
報告
いたしたいと思います。これもやはり
隠退藏物資摘発
にからむ明瞭なる
詐欺事件
であります。しかもこれは
内閣総理大臣官邸
において行われた疑いのある
事件
でございますので、一應簡單に事実を
報告
いたします。 これは私に金の取戻しを依頼してきておるのでありますが、私がこの
委員
をしております以上、知
つて
おる限りは本
委員会
に
報告
せなければいかぬものだと思
つて
報告
するのでありまして、
あと
は皆樣方の御判断に任せたいと思います。 生れは
東北
だと思いますが、現在
東京
におります石川浩志という者が、岩手並びに山形に相当の
隠退藏物資
があるというので、この
摘発
を
申告
すべく考えておりますと、ある人の紹介によ
つて
内閣総理大臣の祕書と称する上杉達夫という者が、そのことによほど勢力をも
つて
おるから、同人に依頼せいということであ
つたの
で、同人に依頼したのだそうであります。そうすると、ただちにこれを引受けて、お前の目的を達してやる。ついては自動車賃その他の金が要るから、まず一万円を提供せいというので、一万円を提供させられた。その後話しますと、いよいよ
摘発
に行くことにな
つたの
で、その費用その他に資金が要るから十五万円出せとい
つて
、右
隠退藏物資
に関して衆議院
隠退藏物資
委員会
において
摘発
することを証明するという内閣総理大臣祕書官の官邸をおした証明書を出して十五万円を
要求
された。十五万円を用意するとい
つた
ら、きよう片山総理私邸においてこれらの
委員
諸君の会合があるから、そこへも
つて
いかなければならぬというので、片山総理私邸へ二人で自動車に乘
つて
行つて
、私邸へ着いて、玄関にはいると同時に、金をこつちへよこせとい
つて
十五万円をと
つて
、それきり金が出てこぬという状態なのであります。その後いろいろ請求いたしますと、それではというので九万五千円と七万円の小切手を書いて、これで間違いなく
昭和
二十二年十一月八日に支拂いするという小切手を出しましたが、その小切手も銀行に
行つて
調べてみると、その人の契約もないということを聽かきれて驚いたということであります。しかもその証明書には片山総理大臣官邸におられる祕書か祕書官か知りませんが、上原蕃という人も署名連名しております。なおこれについては清水祕書官も
関係
しておられるということでありまして、これは大した
事件
ではないけれども、いわゆる
隠退藏物資
にからむ不正
事件
として、われわれ
委員会
としては放
つて
おけない問題でないかと思いますので、私としてはこれを御
報告
して、
委員会
にしかるべく御
処置
をお願いしたいと考えます。
加藤勘十
15
○
加藤委員長
ただいま
鍛冶
君から御
提議
になりました
隠退藏物資摘発
にからむ
詐欺事件
と思われる事柄について、單なる市井における詐欺というのではなくて総理大臣祕書官が祕書かしらぬが、そういう者の署名があり、総理大臣祕書官の官邸が押されておる。
事件
の起
つた
場所が総理大臣の私邸の玄関である。こういうところに一抹の
疑惑
を残すので、これをこの
委員会
がいかに扱うかということを御
提議
にな
つたの
であります。 つきましては、この問題については、前の
委員会
において決定した
証人
が出頭されておりますので、
証人
に尋ねるべきことをお尋ねした後に、この問題をいかに
処理
するかについて御
意見
を述べていただきたいと思いますが、そういう順序に扱うことにしてはいかがでしようか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
加藤勘十
16
○
加藤委員長
それでは
証人
の方も御多忙のようでありますから、先に
証人
に対する尋問を行うことにいたします。 —
——
——
——
——
——
——
加藤勘十
17
○
加藤委員長
前回の
委員会
において
兵器処理委員会
に関する問題について証言を求めるために、元内務省
調査
部長
青木秀夫
君並びに元
兵器処理委員会
の
委員長
小松隆
君を
証人
として出頭を
要求
することに決議いたし、議長を経由して出頭を求めまして、本日両君ともに出頭されております。 証言を求める前に、
証人
の両君に一言申し上げます。昨年十二月二十三日公布になりました議院における
証人
の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、
証人
に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相な
つて
おります。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が
証人
の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項を関するとき、及び医師歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公
証人
、宗教または祷祀の職に在る者、またはこれらの職に在
つた
者が、その職務上知
つた
事実で、默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拓むことはできないことにな
つて
おります。そして
証人
が正当の理由なくして、宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、また宣誓した
証人
が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることにな
つて
おるのであります。この法律はお手もとに差上げてありますが、一應そのことを御了承相なりまして、この法律の定めるところによ
つて
、
証人
として直誓を求めます。お手もとに差上げてあります宣誓書を朗読の上署名捺印をお願いたします。
青木秀夫
君。 〔
証人
青木秀夫
君宣誓〕
加藤勘十
18
○
加藤委員長
小松隆
君。 〔
証人
小松隆
君宣誓〕
加藤勘十
19
○
加藤委員長
それでは青木さんに対する尋問から始めたいと思いますので、
小松
さんは別室で御休息を願いたいと思います。 なお
委員
諸君に一言申し上げます。
証人
に対する尋問事項につきましては、大体
理事
会で打合せいたしまして、数箇の條項をこめたのであります。もとより、
委員
諸君から証言をお求めになることは、自由であります。しかし、できるだけ重複にわたらないように、
証人
の陳述を靜かにお聽取りくださいまして、言葉などはきわめて愼重物靜にお運び願いたいと存じます。 なおこの尋問について、陳述の中に
疑義
がございますれば、
委員
諸君から補充尋問をしていただくこと、もとより御自由であります。一々
委員長
に発言の承諾を求めて御発言願いたいと思います。 それでは青木さんに対する証言を求めますが、青木さんの現在の地位は、どういう地位においでですか。
青木秀夫
20
○青木
証人
財團法人日本社会事業協会
理事
長をいたしております。
加藤勘十
21
○
加藤委員長
続いて、
終戰
当時のあなたの御地位並びに
軍需物資
について
関係
をされた点やその他について、知れるだけのことを一通りお述べ願いたい。
青木秀夫
22
○青木
証人
終戰
当時は
東北
地方
総監府の参事官をいたしておりました。それから
昭和
二十年十月の初めに内務省に
調査
部ができたのでありますが、内務省
調査
官といたしまして、その
調査
部の
東京
支局長を拜命いたしたのでございます。これを
調査
部のもとに、
東京
と大阪に支局が設けられたのでございまして、私はその
東京
の方の支局長を拜命したわけであります。それから連合軍より
日本政府
に返還されました
軍需物資
受領の事務、あるいは処分の事務というようなことに関して
関係
したわけでありましたが、
昭和
二十一年一月に
調査
部長
となり、それから
昭和
二十一年七月九日までその職にあ
つた
わけでありまして、それから新潟縣の方に轉任を命ぜられたわけであります。
加藤勘十
23
○
加藤委員長
軍需物資
を取扱われるについて御承知にな
つて
いる点は、いかがですか。
——
それでは、続いて次のことをお尋ねいたします。連合軍から引渡された
軍需物資
の
処理
というものは、一体連合國の指示に基いて
処理
したものであるか、あるいは
日本政府
の見解で
処理
したものであるか、その点をお
答え
願いたいと思います。
青木秀夫
24
○青木
証人
返還
物資
の
処理
につきましては、すでに御承知と思いまするが、連合軍の総
司令部
から
指令
と申しますかデイレクテイヴが出まして、これに基きまして、事の重要なものにつきましては、閣議決定に基き、あるいは次官
会議
なり、あるいは
特殊物件
処理
委員会
というような
委員会
において、審議をいたして
処理
することになり、また事の軽微なものは、
地方廳
に任せるというようなことにしてお
つたの
でありまするが、その方針を立て、大綱をきめるにつきましても、これは総
司令部
なり、あるいは、その当時第八軍、あるいは第六軍があ
つた
わけでありますが、そういう所の承認を求め、あるいはその指示に基く。また
地方
におきましても、
進駐軍
の指示命令に基くことにな
つて
お
つた
わけでございます。
加藤勘十
25
○
加藤委員長
その次に、
小松隆
氏との間に契約が結ばれたのでありますが、その契約の目的、内客、それから契約に基いてなされた実際の状況、殊にあなたの
調査
部長
という地位が、こうした契約をする
権限
をも
つた
地位であ
つた
かどうか。もし
権限
があ
つた
とすれば、どういうところにその
根拠
があ
つた
か、こういうことをお
答え
願いたいと思います。
青木秀夫
26
○青木
証人
小松
氏との契約と申しますのは、兵器
処理
に関する事項でございますが、これは連合軍より、兵器
処理
につきまして指示を受けましたので、それに基きまして、これを実行するために、
兵器処理委員会
を設けました。それはその実際の事務を
処理
するにつきまして、なるべく迅速的確に
処理
したいという目的のためにや
つたの
でございまして、その事柄を契約としてはつきりさせたわけでございます。その内客は、連合軍から引渡されました兵器の解体、あるいは輸送なり
保管
なり、あるいは処分なんかを、
兵器処理委員会
にさせるということでございました。これに基きまして兵器の
処理
が行われたのでございます。そしてこの
権限
は何に基くかということでございますが、これは、連合軍から引渡されるものは
特殊物件
と申しておりますが、この
特殊物件
の受入機関といたしまして、内務省が指定されたわけでございます。その内務省に
調査
部長
というものを設けて、その者が内務大臣の補佐機関としてそのことに当
つた
わけでございます。またその兵器
処理
につきましては、内閣に設けられました
特殊物件
処理
委員会
に付議されまして、そこでそうすることがよいということになりまして、
兵器処理委員会
を設け、それに基いた事項を確実にするにめに、契約としてこれを結んだわけでございます。
加藤勘十
27
○
加藤委員長
そうしますると、あなたの見透しでは、この
兵器処理委員会
の作業は、迅速的確に行われたものであるとごらんになりますかいかがでしようか。
青木秀夫
28
○青木
証人
その当時、私もこの
委員会
をつくることについて、連合軍との間に折衝を行
つた
わけでございますが、その当時の混乱しておりました情勢下におきまして、連合軍の方から、速やかにこれを受取り、これを保全し、その使用目的を的確にさせることについて、その使命を果してお
つた
というふうに考えております。
加藤勘十
29
○
加藤委員長
多少の疑問が残りますが、それは
あと
にしまして、ただいま連合軍から
日本政府
に
軍需物資
が返還されたときにしデイレクテイヴが発せられておるということをお述べになりましたが、その
所有権
並びにその決済事項については、どういう
関係
にありましたか。
青木秀夫
30
○青木
証人
質問
の
意味
がちよつとはつきりいたさないのでありますが、どういうことでございますか。
加藤勘十
31
○
加藤委員長
つまり先ほど連合軍から
軍需物資
が返還されたときに、デイレクテイヴが発せられたとおつしやいましたが、それならば、
所有権
の移轉、それから決済事項については、両者はどういう
関係
にあ
つた
か、ということであります。
青木秀夫
32
○青木
証人
まだはつきりしないが点ありますが、考えておりますことをちよつと申し上げます。その当時陸海軍が持
つて
おりましたものは、全部連合軍を接收をされたわけでございます。それでございますから、この
処理
につきましては、これは一に連合軍の意思によ
つて
きまることにな
つて
お
つた
と思うのでございあす。それをあるいは戰利品として本國に持ち帰るとか、あるいは危險なるものとして廃棄するとか、あるいは海中に投棄するような
処理
も行われてお
つたの
であります。しかしその中で特に民生安定に役立つものとして、好意をも
つて
日本國に返還をしてやるということにな
つた
わけでございますから、これは日本國に返還された上は、日本國の所有にな
つた
もの、こういうふうに考えるのでございます。しかしてその
所有権
の問題は、日本國と思いますが、これを管理と申しますか、引受ける機関として、窓口として内務省が指定されたわけでございます。しかしながら、これを処分して得た收入は、やはり政府の收入となるべきものであるというふうに考へられるわけでございます。しかし、それにつきましては條件がありまして、困
つて
おる者の救済とか、そういうような使用につきましても、そのデイレクテイヴの中にはつきりと書いてあるわけでございます。それでございますから、政府の予算の中にも、
特殊物件
收入という科目を設けまして、その收入を明らかにすることにな
つた
わけでございます。
加藤勘十
33
○
加藤委員長
そうすると、主要なるものは政府直接、それから些末なものは
地方
官廳に、こういうことをさつきお述べになりまして、ここにいわゆる
特殊物件
というものが起
つて
きたわけですが、
特殊物件
を
処理
した收入も政府の收入になるのですか。われわれの聞くところによりますと、
予算外措置
として、
地方廳
において自由に扱
つて
おるということでありますが、そうではないのですか。
青木秀夫
34
○青木
証人
御
質問
の
意味
がはつきりいたしませんが、
特殊物件
として連合軍から正式に
日本政府
に返還になりましたものにつきましては、あるものは無償で配付してもよろしいという科目がございます。これは民生安定のものでございまして、たとえば、乾パン、カン詰、あるいは被服類というようなものにつきましては、これは無償で配給をすることにな
つて
おりまして、その他のものにつきましては、有償をも
つて
、
拂下げ
るということにいたしたわけでございます。これにつきましても、承認を得てや
つた
わけでございます。しかしこれについては、その当時の國民の飢餓の状態、あるいは窮迫せる状況に鑑みまして、民生安定のために使えという條件がつけられておるのでございまして、それは今日でも予算の中にあろうかと思いますが、
特殊物件
收入なる項目が予算の中にございます。ただそれ以外の收入につきまして、たとえば、よくこの
特殊物件
と間違えられるものに、いわゆる放出
物資
——
終戰
の当時内務大臣を通せないで、また連合軍に返還しないで、ある期間の後に放出された
物資
がございます。それはいわゆる
特殊物件
ではないのでございまして、これにつきましては、私どもの方の手には來ない。その点がよく誤解されるのでございますが、その点を附け加えて申し上げます。それと同時にその放出それた
物資
でも、
あと
で追究をいたしまして、府縣廳においてその
地方
の占領軍の承認を得て、正式に
リスト
をつく
つて
、府縣廳の方で收入をして、國の收入にしたものもあるわけでございます。
加藤勘十
35
○
加藤委員長
その点どうもまだ私どもも十分得心がいきませんが、今日は
兵器処理委員会
に関する、あなたの当時の地位において関與それた
範囲
だけ、つまり一通りアウト・ラインを聽く
意味
でありますから、あまり
内容
に立ち入りたくありませんが、今の言葉は多少われわれの調べたところとは違
つて
おる。あなたの方も何か思い違いがあるのではないかと思います。現に中央政府、運輸省なり、逓信省なりで所有しておる軍から移管された、資で、もちろん連合軍から返還された
物資
の中で、いわゆる
部外財産
と称して、
國有財産
に登録されておらぬ
物資
が相当あるということは、現実の事実ですね。そうすると、今のあなたのお言葉とは食い違
つて
くると思います。その点も、もし明らかになるならば、あなたの知られる限りで明らかにしてもらえればいいと思います。
青木秀夫
36
○青木
証人
その点で、あるいはどういう問題かはつきりいたしませんが、知
つて
いることを申し上げておきたいと思います。特別会計に属する國の
——
その当時で言いますと、現業官廳でございますが、そこに
引渡し
た
物資
につきましても、これは全然無償というわけでないものもあり。無償のものもございます。國または公共團体で使用するものについては、無償でやるという取扱いもいたしておるのでございますが、しかしながら、その物の
拂下げ
をしたり、あるいは賣却をしたりして出たものは、特別会計の收入はいたしておりますが、その使用はやはり帳簿の方ではつきりさせらるべきものとな
つて
おるのでございます。鉄道なりあるいは逓信の
関係
で、それだけ経費が安くなるならば、それだけ経費を予算の上で軽減するという
措置
を、政府としてはと
つて
お
つたの
であります。それが現状はどうな
つて
おるかは存じませんが、方針としてはそういうふうにいたしたわけでございます。
加藤勘十
37
○
加藤委員長
それではよろしうございます。それはあなたの今日私の方においでを願
つて
範囲
に属することでありますが、
兵器処理委員会
の問題につきましては、今あなたのお言葉によりますと、
兵器処理委員会
をつく
つて
云々というお
答え
でございましたが、
兵器処理委員会
というものが
——
いずれ後に明らかになると思いますけれども、契約をされるよりも前にそれができたのですね。そうすると、
兵器処理委員会
をつく
つて
契約が結ばれた、その間に相当の時間的な隔りがあるわけであります。本來ならば、契約ができて、その契約に基いてその
委員会
ができて、それが
処理
の主体になる。こうあるべきものが、逆に前にそういうものができて、後に契約が結ばれておる。その間に何らかの複雜な
関係
がありはしないか。こういうことが想像されるわけですが、その点について御承知ならばお
答え
を願いたいと思います。
青木秀夫
38
○青木
証人
この
兵器処理委員会
をつくりますことは、先ほども申し上げましたように、非常に迅速に兵器の
引渡し
をいたしたいということで、つく
つた
わけでございますが、これをつく
つて
現実に動き出して仕事をするということにな
つたの
が、実際は相当違れたのでございます。しかしながら、この
関係
をはつきりさせておかなければならぬと考えて、契約を結んだわけでございます。その間別に複雜な
関係
もございません。経理上の
関係
もはつきりつけたいというので、正式に契約を結んだのでございます。ただ問題は、その当時の実情として、引取りあるいは
保管
に要する経費を、どういうふうにして出すかということが、非常に問題であ
つた
わけでございます。國の費用をも
つて
兵器を全部
処理
するということができず、それをいかにして捻出するかを考えてお
つたの
ですが、なかなかそれがうまくいきませんので、こういう形にな
つて
、契約を結んでやることにな
つた
わけでございます。
加藤勘十
39
○
加藤委員長
委員
諸君の方から何かございませんか。
梶川靜雄
40
○梶川
委員
ちよつと補足的にお尋ねいたしたい。契約の時期並びに契約の署名者は、どなたにな
つて
おりますでしようか。
青木秀夫
41
○青木
証人
契約の時期は、何月であ
つた
か、はつきりは覚えておりませんが、二十一年の四月か五月、六月でございましたろうか、多分そのころになると思います。それから署名者というか、担当者ということにな
つて
おりますのが、内務省の方の
調査
部長
の私の
名前
にな
つて
おります。それから相手は、
兵器処理委員会
の
委員長
の
小松隆
氏にな
つて
おると思います。
梶川靜雄
42
○梶川
委員
あなたの先ほどの御証言では、
調査
責任
者は内務大臣であ
つて
、
調査
部長
は補佐役ということにな
つて
おりますが、補佐役が
責任
をも
つて
それに署名するということ考えられないのであ
つて
、そのときに内務大臣が署名するのが当然だと思います。あなたが署名なされたということは、内務大臣の了承を得てなされたことでおりますか。
青木秀夫
43
○青木
証人
これは官廳の機構として、補佐官がそういう担当をいたすことがあるのでございまして、これは私一存でやるわけではございませんので、官廳の中では各係りの課なり、あるいはそういう所に
会議
をして、決裁を得て契約が結ばれることになるわけでございます。
梶川靜雄
44
○梶川
委員
それならば、あなたは
会議
を経てやるのだというふうに仰せられておるのでありますが、当時の内務大臣あるいは次官というのは一体どなたで
——
そういう重大な問題について契約を結ばれる場合には、必ず正式の決済を経ておられると思いますが、公文書によ
つて
決済を経られたのであるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
青木秀夫
45
○青木
証人
公文書によ
つて
決済を経ております。これは係の者が
書類
をつく
つて
、檢討すべきところは檢討してや
つて
おるわけであります。それから当時の内務大臣は大村さんであ
つた
と思います。次官は飯沼さんであ
つた
と思います。
梶川靜雄
46
○梶川
委員
もうひとつお伺いしたいと思いますが、あなたの先ほどの御証言で、迅速的確に兵器を
処理
するために、すなわち連合軍より
日本政府
に引渡されたところの
物資
を
処理
するために、
兵器処理委員会
を設置しということを仰せられたのでありますが、内務省の管掌によ
つて
兵器処理委員会
なるものができたのでありますか、その点は独自に民間に
兵器処理委員会
なるものが存在して、たまたまそれと契約されたのであるか。あるいは内務省の方で管掌して
兵器処理委員会
を、まあ外郭團体というような形でつくられたのであるか、内務省と
兵器処理委員会
との
関係
をお尋ねしたい。あなたの先ほどの御証言では迅速的確に
処理
するために設置しということを言
つて
おられたのですか。
青木秀夫
47
○青木
証人
この
委員会
をつくるにつきましては、実は兵器を日本の方に返したいということで、その当時八軍の経済課長という役目であ
つた
と思いますが、バラード大佐という人がお
つた
わけであります。この人がお呼び出しになりまして、兵器の
処理
についていろいろ考えてお
つたの
でありますが、その当時
——
先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、あるいは海中に投廃をしたり、あるいは飛行機のごときはガソリンをかけて燃やすというようなことをいたしてお
つたの
であります。またあるものは熔解をするというようなことをしてお
つた
が、なかなか迅速にいかないので、これを早く
処理
して、いわゆる武裝解除の実をあげるために、また他の一面において日本の重要な鉄鋼資材あるいは軽金属の資材というものを確保する
意味
においても、早く危險なものでないようにする必要があ
つた
。それについては民間の経驗のある
会社
を使
つて
、やることが最も適切だと思うがというお話があ
つたの
でございます。それでバラード大佐から、民間の有力な
会社
、経驗があり、すぐ仕事にかかれるような
会社
にこの仕事を担当させることはどうだらうかというお話がありましたので、私どもその
意見
を聽きまして檢討をいたしました結果、それがいいのではないかというふうに考えまして、
委員会
をつくることにな
つた
わけでありますが、その
委員会
組織というものも、実は私ども初め考えておりませんでした。これはバラード大佐が、こういう場合には
委員会
組織にして、お互いの人がよく協力し、またお互いによく協議し合
つて
仕事をすることがよいと思う。いわゆる
委員会
制度というものを、日本においてもや
つて
みたらどうかというお勧めがあ
つた
わけでございます。それに基いてや
つた
わけでございます。
梶川靜雄
48
○梶川
委員
それならば、その
委員会
はあなた方の力添えによ
つて
できたということになるわけでありますが、その
委員会
をつくるにあた
つて
、
委員会
の構成メンバーをきめられるのは、あなた方できめられたわけでありますか。
青木秀夫
49
○青木
証人
構成メンバーにつきましては、その当時の製銑業者、あるいは金属工業に関する有力なる
会社
の名簿を出せというバラード大佐からの命令があ
つた
わけであります。それを持参して提出したわけでございます。これにつきましてバラード大佐の方から、こういう
会社
はどうだということで、五つの
会社
の御相談があ
つた
わけでございます。それから
委員会
を構成するということにな
つた
わけでございます。
梶川靜雄
50
○梶川
委員
先ほどこの決済の問題について
委員長
よりお尋ねがあ
つたの
でありますが、あなたの知
つて
おられる
範囲
において、それの
処理
によ
つて
、一体今までにどれくらい政府側に收入があが
つて
おりますか。
青木秀夫
51
○青木
証人
現在收入はどのくらいはい
つて
おるか、実は見当がつきません。その当時はまだ收入として政府にはい
つて
くるほどのものは、私の在任中にはなか
つた
と思います。実はこの経理については非常にむずかしい問題があるのでありまして、スクラツプにいたしたものの値段はどの程度のものかということは、私ども当時素人でございましたからよく存じませんが、鉄鋼類につきましては、その運搬等について相当の経費も要りますし、その熔解というようなことについても、これはこちらで思う通りに
処理
するのではないのでありまして、
進駐軍
の
要求
するような解体の
方法
をとらなければならぬわけでございます。それでございますから、その收支の計算については、その当時見当がつかなか
つた
わけでございます。大体の見当といたしまして、鉄鋼兵器については、そうもうけはないのではないか。軽金属につきましては、
処理
も簡單にいくだろうし、そう損失というほどまではいかずに済むだろう。それであるから両方プールしてや
つた
らいいだろうということで、あるいはこれを請負うについては損失補償という問題も出るし、非常に心配をしたわけでございますが、その收益がどの程度になるかということは、実は見当がつかずにお
つた
わけでございます。
梶川靜雄
52
○梶川
委員
ほかの人が
質問
されると思いますので、私の
質問
は一應これで打切りますが、この際書期として、当時の契約書の写し並びに
調査
部長
が決済を経られたと言われる公文書の決済の写し及び現在までの政府に対する
兵器処理委員会
からの收入の問題、これをすぐ
調査
して
書類
の
報告
を求めたいと思います。
加藤勘十
53
○
加藤委員長
その点は私から申し上げますが、大体
兵器処理委員会
というのは、二十二年の九月一日で一應終りということにな
つて
おりまして、ここに
兵器処理委員会
から提出されております
処理
状況の
報告
は、二十二年十月三十一日現在と、二十二年三月三十一日現在と、こう二通り出ておりまするよ
つて
先般の
委員会
においても、その後の
処理
状況をという
意味
で資料を請求したわけであります。それから契約書の写しは同時にこちらに來ております。これは
あと
からごらんくださればよくわかると思います。ただ当時内務省において
調査
部長
を契約当時者とするという省議といいますか、そういう決済をした公文書があるかないかということについては、こちらに來ておりませんから、これはひとつ政府に向
つて
請求します。どうぞお
含みおき
を願います。
徳田球一
54
○
徳田委員
今の証言では、この
兵器処理委員会
の性格というものが、ちつともわか
つて
おりませんが、
証人
にお尋ねしたいと思います。
兵器処理委員会
はいかなる性格を有し、いかなる法律上の
根拠
に基いてこれができたのか。その
権限
はどういうものであるかを、ひとつ
説明
していただきたいと思います。
加藤勘十
55
○
加藤委員長
徳田
君、
あと
から
小松
氏に対してそういうことを大体聽くことにな
つて
お
つて
、一体
兵器処理委員会
というものは、契約するより半年も七箇月も前にできてしま
つて
おる。そのできたことについて、一体
小松
氏がどういうことで
委員長
とな
つた
かということも、多少の
疑義
がありますので、今の青木さんの証言だけでは、われわれは納得ができないのですが、いずれ
あと
から、
小松
さんの方が直接の当事者ですから、そのときにお聽きくだす
つた
らどうでしよう。官廳
関係
の方でお尋ねになることがあれば、青木さんにお尋ね願いたい。
徳田球一
56
○
徳田委員
しかしながら、これは
小松
さんの言うことと官廳の言うこととが、符合しなければならないのであります。両方の
証人
に聽かなければいかぬと思うのであります。政府はこれをどういう性格で、どういう
権限
をも
つて
、どういう法律上の
根拠
でこれを認めたかということを、はつきりしておきませんと、
小松
さんがまた何と言うかわかりませんから、この点をひとつはつきりしておきたいと思うのであります。
青木秀夫
57
○青木
証人
実はこの
委員会
というものは、日本におきましては、あまりはつきりいたしておりませんので、私どもも、その当時
委員会
でこういう仕事をやるということについて、私ども古い頭だ
つた
ものですから、どうかということを心配いたしたわけでございます。しかしながら、その当時急速に兵器を
処理
するには、とにかく大きな五つの
会社
の力を動員いたすことが、最も早く武装解除の実をあげるにもいいということで、この
人たち
に集ま
つて
もら
つて
協力してもらうことは、結構なことだと考えたわけで、五つの
会社
が実際の実動部隊と申しますか、実行機関として働くということを考えたわけでございます。そして法律上の性格と申しますと、この
委員会
は組合というような形になるわけであります。私どもも、大体そういうように考えたわけでございます。
徳田球一
58
○
徳田委員
委員会
の
権限
は……。
青木秀夫
59
○青木
証人
この
権限
は内務省の代行機関という形にしたわけでございます。もちろん内務省というのは、兵器
処理
と申しますか、
特殊物件
処理
についての一般的のことを取扱うものでございますから、その
内容
、実際の実務をやるにつきましては、内務省だけではございませんで、主として
商工省
なり、あるいはその他の官廳のもの、鉄道でも、逓信でも、農林でも、そういう官廳のものもこれに関與するわけでありますが、主たるものといたしまして、内務省と
商工省
が監督をいたしたわけでございますが、政府の代行機関という形で仕事をしてもらうことにな
つた
わけでございます。
徳田球一
60
○
徳田委員
そうしますと、この組合は單に私人ではなく、半官的な
一つ
の機関になるわけでありますな。どうですか。
青木秀夫
61
○青木
証人
これは政府の監督のもとに仕事をするわけでございますから、半官というか、代行機関として、性格は私的のものでございますが、その使命はやはり公の使命をも
つた
ものになると思います。
徳田球一
62
○
徳田委員
そういたしますると、この
処理
する兵器の
所有権
は、やはり國庫にあるものと認めざるを得ませんが、これは代行機関であり、ただ実行機関でありますから、もともと政府のものを
処理
するというだけの機関であると認めなければならぬ。そうするところの
物資
の
所有権
は、すべて政府の
所有権
に属すべきものであり、同時にこの経費も、これは代行機関が一時代行してやるのであ
つて
、本來から言えば政府の経費であると認めらるべきものであると思いますが、この点はどう思われますか。
青木秀夫
63
○青木
証人
これは、契約は
兵器処理委員会
に
拂下げ
をしたという形にな
つて
おります。それで経費もこの
委員会
の方が支出をしてやるということにな
つて
、最後に政府において收支決算の跡始末をすることにな
つて
おるのでございまして、
所有権
が政府のものであるとまでは、言えないのではないかと思います。
徳田球一
64
○
徳田委員
そういたしますると、これは
拂下げ
ならば、相手方が代行機関ではないはずでありまして、実行機関でもないはずである。拂い
下げ
られる相手はこつちとは対立しておるものでなければならぬ。すなわちこれは私設の單なる個人の
会社
でなければならぬ、組合でなければならないと思うのであります。しかもこの組合は、法律上は何らの
根拠
のない組合、單なる私設の組合であ
つた
と思うのです。これまでのいろいろな
書類
の出て來ておりますものを見ますれば、これらは法律方、何ら財團法人とか、あるいは公益法人とか、何とかかとかいうものではない、單に私人、私的の
会社
が集ま
つて
おるということだけである。そうすると、これは私的に、私人に單に無償で拂い
下げ
ておることになりますね。そうして無償で拂い
下げ
たその経費をも指定された。解体の経費もすべてこれは私人がもつ。その
あと
で決算をして、契約によ
つて
余
つた
ものを國庫がとるというだけになりますから、あなたの言われる実行機関もしくは代行機関とは違
つて
、これは個人的なもの、私的なものであるといわなければならないと思いますが、その点はどう政府は考えてお
つた
か、その点を明らかにしてもらいたい。
青木秀夫
65
○青木
証人
これは
進駐軍
の指示に基く機関でございますので、單なる私人というふうに、私どもその当時考えていなか
つたの
でございます。当然政府においても相当の監督をいたすことになり、またその配分等につきましても、政府の指示に基いて配分をするというふうにな
つた
わけでございますので、今日の法律の解釈でどうなるか、はつきりしたことを今ここで申し上げるわけにもいかぬと思うのでありますが、ただ單なる個人にくれてや
つて
しま
つて
、経費もお前たち勝手に出しておいていいというほどにも考えていなか
つた
わけであります。
徳田球一
66
○
徳田委員
はなはだ不明瞭で、理屈に合わない答弁であると思いますが、これは
あと
にいたしまして、別の
質問
をいたしたいと思います。あなたの今言われておる
兵器処理委員会
の
物資
でありますが、この
物資
は全然政府の予算及び政府の
財産
という立場からや
つて
おるのではなく、それとは別のもので、いわゆる予算外でもあるし、また
財産
外でもある。いわゆる普通の
財産
処分とは全然違
つた
方向でやられておるように聞きましたが、そういうふうに理解していいのでありますか。すなわち予算とは全然
関係
のないもの、國庫の
財産
というものは國庫の
財産
の
措置
法というものが別にあるのでありますから、法律上そういうものとは全然
関係
のないものにな
つて
いるかどうか、その点にお聽きしたいのであります。
青木秀夫
67
○青木
証人
これはただいまお話のように、予算には直接出てこないのでございます。ただいまは、最後に至
つて
予算的の
措置
を講ずるということにいたしてお
つたの
でございます。それから
國有財産
の処分につきましての法律方の
関係
でございますが、私どもその当時
——
これは私の考えでございますが、連合軍に引渡されたものを、こちらに指示されて返還をされたわけでございますから、その意向に
從つて
処分することは、その当時としてはそれで差支えないものと考えてお
つた
わけでございます。
徳田球一
68
○
徳田委員
そういたしますと、これは國庫としては單に連合軍の指示を取次ぐというだけであ
つて
、連合軍対
委員会
というふうになりますか。その点で、一体政府の
責任
はどこにありますか。
青木秀夫
69
○青木
証人
ただ單に取次ぐというわけではございません。連合軍は政府に返還をしたわけでございます。その返還したものを処分するにつきまして、連合軍の承認を得るなり、あるいは指示を受けるなりするわけでございますから、
責任
は内務省が連合軍に対してもも
つて
おりますし、内務省としては政府に対しても
責任
をも
つて
おるということになるわけでございます。
徳田球一
70
○
徳田委員
そういたしますと、はなはだこれは不明瞭でありまして、返還されているというならば國庫の
財産
でなければならない、
國有財産
でなければならないと思いますが、そういう
國有財産
の取扱いを
一つ
もしておらぬ。内務省がいかに省議でも
つて
きまろうとも、また閣議でも
つて
きまろうとも、すべて
國有財産
は國の法律によ
つて
、
國有財産
の
措置
法があるのでありますから、それを離れて何ゆえにかくのごときことをしたかということに対して、われわれは非常に疑問をもつのであります。その点の法律上及び行政上その他の
根拠
はどういうところにあるのですか。
青木秀夫
71
○青木
証人
法律上も私は差支えないというふうに考えておるのでございますが、行政上といたしましても差支えないと考えておるのでございます。そういうふうに処分することを、條件と申しますか、そういうことを指示されて返還された物件でございますから、もちろんこれは國の
財産
になるわけでございますが、それを実行するわけでございますから差支えない、こういうふうに考えておるわけでございます。
徳田球一
72
○
徳田委員
そういたしますと、これは実際上どうしても理屈に合わぬ。
國有財産
であるものを
國有財産
でないように扱う。そういう
指令
があ
つたの
ですか。そういうふうな
國有財産
としての扱い方をせぬでもよろしい、これは特別なこういう條件で扱え、そういう指示があ
つた
かどうか。そういう命令のもとで、どうしても
國有財産
の取扱い以外の取扱いをしなければならなか
つたの
であるかどうか。その
根拠
をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのであります。
青木秀夫
73
○青木
証人
國有財産
として扱えとか何とか、そういう具体的な指示まではいたしておりません。これはこういうふうに処分したらどうかというだけの話でありまして、
國有財産
として処分しろ、あるいは
國有財産
としてでなく処分しろというような、法律上の点まで指示をしておるわけではないのでございます。
徳田球一
74
○
徳田委員
それではそこははつきりいたしました。これはもう明らかに不当の
措置
であるということ、時の内閣が
責任
を負わなければならぬことは明らかであります。しかしもうそれは青木さんに聽いてみたところで始まらぬ話でありますから、それはそのままにしておきます。 しからば、この
委員会
は、今
委員長
のお話によりますと、もう半年以上も前にできてお
つた
ということでありますが、あなたのお話によると、バラード大臣からの指示があ
つて
、あなたの方から名簿を持
つて
い
つて
、その名簿に
從つて
バラード大佐がこしらえたということにな
つて
おりますが、それをこしらえておるのに、そのときに契約をせずに、半年も以後にな
つて
この契約をしたというのは、いかなる理由に基くのであるか。契約をしなければ
委員会
は仕事ができないはずである。だれの命令であろうと彼の命令であろうと、
委員会
はその性格を見ますと、代行機関であり、または実行機関であるといいながら、実は私人的な存在にな
つて
おる。私人的な存在にな
つて
おれば、政府と契約なしに仕事が始められるわけのものではない。にもかかわらず、あなたの方からその構成メンバーにつきましても、ちやんと
書類
を出してできたとすれば、これは内務省がこしらえさせたものに違いない。これを半年前にこしらえさせて、何ゆえに半年後においてこの契約ができたか。そうするとその半年前の数字は、一体何によ
つた
か、この点を聽かせてもらいたいと思うのであります。
青木秀夫
75
○青木
証人
これは非常に急いで仕事を始めなければならぬということで、実は内閣の
特殊物件
処理
委員会
にかけまして、すぐに仕事にかか
つた
わけでございます。しかしながら、これは急速に引取りを始めなければなりませんので、各府縣に
通牒
を出しまして、連合軍からどんどん武器の
引渡し
——
ここへ出頭して受取れという指示が來ますので、その仕事が非常に忙しか
つた
わけでございます。と同時に、先ほどもいろいろ御
質問
にあ
つた
通り、損失補償の問題やら、あるいは経費の問題というのがありまして、政府としても、これは非常に苦心をしたわけでございます。実際におきましては、契約と申しますか、話ができてお
つた
わけでございますが、ただそれを書面にするのが遅れたというだけでございます。書面にしてこれを明確にしたというのが遅れておるのでございます。もつとも、私はこの
委員会
ができました当時は、先ほど申し上げましたように、
東京
の支局長というので、内務省の直属の
——
内務省に
調査
部というのがありまして、その下にお
つた
わけであります。私は
東京
関係
の仕事をや
つて
お
つて
、バラード大佐との折衝に当
つたの
が主たる事務でございました。この予算的
措置
を講ずるというのは、内務省の方の
調査
部でやるというのが、その当時の任務でございました。その後私が
調査
部長
になりましてからが、私が直接の契約を担当する
責任
者ということになるわけでございます。しかしそれは別問題といたしましても、実際上におきましては、何と申しますか、法律上で言うならば口頭による契約と申しますか、そういうものはできてお
つた
わけでありまして、これを書面にして入れさせるのが遅れたというわけなのでございます。
徳田球一
76
○
徳田委員
はなはだも
つて
奇怪至極なことと思いますが、それもそれぐらいにしておきましよう、いずれまた明らかになると思いますから……。 それでは兵器
処理
の解体、輸送、処分、これらのものは、すべて一々連合軍の指示によ
つて
、政府を通して、
委員会
がこの指示に
從つて
や
つたの
でありましようか。あなたの先ほどの証言では、そういうふうに聞えますが、そうではなしに、單に物をどんどん持
つて
い
つて
——
いくら持
つて
い
つた
かどうかをはつきりする手段も何もとらずに、どんどんも
つて
い
つて
、そうして向うが勝手氣ままにこれを
処理
し、輸送し、そうしてこれを処分したのであるか、いずれであるかということを、ひとつはつきりしてもらいたいと思うのであります。
青木秀夫
77
○青木
証人
特殊物件
の処分につきましては、これも閣議で決定いたしました
特殊物件
処分方針と申しますか、これによ
つて
その使用目的等もはつきりいたしておるのであります。この指示に基いて処分をすることにな
つて
おるわけでございます。兵器におきましても、これに基きまして兵器
処理
の大綱をきめたのでございます。これについて処分をするというのであります、たとえば、戰車をどこどこのだけにやれというところまで、連合軍が指示するというわけではございません。たとえば、戰車はこれをブルトーザにするのがよろしい、あるいはトラクターにするのがよろしいという、いわゆる包括的の指示と申しますか、承認と申しますか、そういうことを示されておるのでございまして、一々個々のものにまでこれをどうしろというわけではございません。
徳田球一
78
○
徳田委員
そうしますと、何をどう解体するとか、何に使うとか、あるいはどこからどこへ輸送するとか、あるいは物を一々処分するのにどうするとかこうするとかいうことは、すべて政府の
責任
において
委員会
に
指令
しておるわでございますね。そういう
書類
はみなありますね。
青木秀夫
79
○青木
証人
この処分なり何なりにつきましては、政府におきまして方針をきめまして、
委員会
に示しておるわけでございます。それに基いて
委員会
がやることにな
つて
おるわけでございます。
徳田球一
80
○
徳田委員
一々のものに対しましては、どれだけの数量をどういうふうに
処置
して、どうしてこうしてということは、ひとつも示しておらぬですね。
青木秀夫
81
○青木
証人
大綱を示しまして、具体的の物件をどういうふうに
処理
するかということにつきましては、その中にまた特別
処理
の
委員会
というようなものをつくりまして、そこで相談をしてきめるものもございます。これは品物別に、たとえば戰車なら戰車についてどうするとか、鉄についてはどうするとか、品目別にいろいろな
委員会
ができまして、そこでや
つたの
でございます。また
地方
におきまして、非常に軽微なものにつきましては、知事が
責任
をも
つて
お
つた
わけでございますが、これを
委員会
の方に渡す。そうするとこの支部におきまして、これを
処理
するわけでございますが、これにつきましては、たとえば
地方
の、今日でいうと商工局と申しますか、この商工局長の承認を得るというようなやり方もしてお
つたの
でございまして、それによ
つて
処分いたしておるわけであります。どういう方面にどういう配分をしたかということについては、一々
記録
をつくらせて、
報告
を徴しておるのでございます。どれだけ
引渡し
を受けて、どれだけスクラツプにしたかということにつきましての
記録
をはつきりさせ、これを内務省に
報告
させ、
商工省
にも
報告
をさせて整理をすることにな
つて
お
つた
わけでございます。
徳田球一
82
○
徳田委員
その品種別の
委員会
というものは、これは政府の下にありますか。それともどういう性格をも
つた
委員会
でありますか。これをひとつ……。
青木秀夫
83
○青木
証人
これは
兵器処理委員会
の中につくられた
委員会
でございます。それでこれには官廳の者も関與いたしております。これは主として配分に関するものでございますので、
商工省
とか、あるいはいわゆる
物資
の割当、配給統制というような仕事をするのに、これが
関係
をいたしますので、各
関係
ある官廳の
委員
の人が出てきているわけでございます。
徳田球一
84
○
徳田委員
そうすると、これは
兵器処理委員会
の性格が、個人的性格に実際な
つて
いるように、この品目別
委員会
というのも、すべてこれは個人的な性格ですね。官廳の
委員会
ではないですね。
青木秀夫
85
○青木
証人
これは政府の監督下にある
委員会
、こういう性格になると思います。
徳田球一
86
○
徳田委員
監督下にありましても、それは官廳のものではないですね。私的なものと理解していいですか。
青木秀夫
87
○青木
証人
官廳
そのもの
ではございません。しかしいわゆる私的にいう言葉の中に含まれる感じと申しますか、そういうものとも多少違うような氣もいたすのでございます。
徳田球一
88
○
徳田委員
これもはなはだ不明瞭でありまして、わけがわかりませんが、そうすると、この
委員会
及び知事の許可したもの、これが指示したものは、すべてこうしろああしろと
委員会
が指示しておりますね。戰車が何台、これはどういうふうに使え、何台はこうしろ、どういうものはどうしろということをすべて
委員会
で決定しておりますね。そういう決定された
記録
も全部あるわけですか。
青木秀夫
89
○青木
証人
あるわけでございます。
徳田球一
90
○
徳田委員
それでは、これはそれだけにいたしておきます。次の点についてお尋ねしたいと思います。
足立梅市
91
○足立
委員
この
取調べ
につきましては各人が各樣の
意見
をも
つて
聽いているのでありますが、一應
委員長
において筋をと
つて
聽いていただいて、
あと
から各
委員
で補充
質問
というか、そういう形でや
つて
いただかなければ、うまくいかないかと思います。
加藤勘十
92
○
加藤委員長
大体そういう順序にな
つて
おります。
足立梅市
93
○足立
委員
委員長
の
質問
はお済みにな
つたの
ですか。
加藤勘十
94
○
加藤委員長
そうです。私のはあらすじだけで、それから幾多の
疑義
が起る、それを補充尋問の形で
委員
が自由に
質問
してもらう。これは相当重要な性質のもので、今
徳田
君の聽いているところは特に重要な、私どもも特に聽かなければならない点だと思
つて
おります。とにかく一應
疑義
は
疑義
として、明確にしておくことが必要だと思います。
徳田球一
95
○
徳田委員
これは基本点を明らかにしておきたいと思
つて
聽いているのであります。 そこでその
処理
につきましては、
所有権
は大体
國家
にあるということを、あなたは先ほど言われたのでありますが、こういう
所有権
が、実質上はないようなあるような、わけのわからぬものにな
つて
いるのであります。特に條件をつけて無償で配付することもできる。そういう場合には特に困
つた
者を救済するという條件がついていると言
つて
いるのでありますが、こういう條件のもとに拂い
下げ
たものは、これらはすべてちやんと
書類
にな
つて
あるわけでありますね。
青木秀夫
96
○青木
証人
特殊物件
の、たとえば乾パンとカン詰、これは全部
記録
がございます。これは非常に嚴重に言われておりますので、救済用の物質につきましては、特に嚴重にや
つて
お
つた
わけでございます。
徳田球一
97
○
徳田委員
もうこれで最後にしたいと思いますが、この放出
物資
というのは、多分
終戰
後におきまする鈴木内閣の命令によ
つて
、各軍部がどんどん出したものだと思いますが、この放出
物資
が返りましたときに、これは取消されまして、ああいう放出をしてはいかぬという命令でこれが返環されましたが、この返還されたときに、いかなる
手続
でこれを
特殊物件
の中に入れたかということをお尋ねしておきたい。
青木秀夫
98
○青木
証人
これは実は私の方の直接の仕事というわけではないのでございますが、
地方
長官におきましてその目録をつくりまして、收支をはつきりさせることにな
つて
おるのでございます。これはその当時の復員局といいますか、そちらの系統の仕事として実施されたわけでありまして、放出
物資
でそれがはつきりととりもどされた。それをさらに府縣廳に渡して、その追認と申しますか、処分を正しいものとするというような
措置
にな
つた
ものと思いますし、あるいは代金を追徴したものもある。
特殊物件
として、その中で正式に内務省の系統である府縣に來たものは、これを國庫の收入にするというふうにしたわけであります。
徳田球一
99
○
徳田委員
最後にもう
一つ
だけ、これもきわめて不明瞭であるので、ひとつ政府に対して新しい
要求
をしていただきたいと思います。これは今
ちようど
尋ねたついででありますから、私
要求
をしておきたいと思います。第一は、この
兵器処理委員会
をつくるという決定に対する閣議並びに
特殊物件
処理
委員会
の決定事項の
記録
があるはずでありますから、これを取寄せていただきたい。それから品目別の
委員会
、これも
特殊物件
処理
委員会
で決定されておらねばならないと思うのであります。今のところではそういうふうに聽えましたから、これを決定した閣議または
特殊物件
処理
委員会
の決議事項、これを求めたいと存じます。それから軽微のものは知事がやるということにな
つて
おりますが、この軽微のものはどれくらいのものが軽微であるか、知事はどういう
権限
をも
つて
いたかということに対しまして、ちやんと閣議の決定があるはずでありますから、これもひとつと
つて
いただきたい。それから無償で
拂下げた
ものに対しては、それぞれ
記録
があると申しますから。これはなるほど各縣からもここに出てはおりますが、その
記録
が不十分なものがあると思います。そこで
商工省
、農林省その他
中央官廳
から出したものもたくさんあると思うのでありますから、この無償で拂い
下げ
たものの
記録
、これは特に無償でありまするから、特別必要があると考えるのであります。それから放出
物資
から
特殊物件
へ返還されてきたもの、これはちやんと目録をつけて
地方廳
に渡してあるという、今の
証人
のお話でありますから、この目録をひとつ
要求
していただきたいと存じます。これだけです。
加藤勘十
100
○
加藤委員長
そうすると田田君、ただいまの資料の御
要求
は、第一が
兵器処理委員会
を設けるという決定をした閣議並びに省議の
記録
、第二に、
兵器処理委員会
の中に品種別
委員会
を設けたというが、それを決定した閣議なり省議の
記録
、それから第三には、軽微な
特殊物件
は知事の
権限
で決定するということを決定した閣議の
記録
、第四が、無償
拂下げ
の件数
内容
を示した
記録
、第五が、放出
物資
を
特殊物件
として組み入れた
内容
、それだけですね。
徳田球一
101
○
徳田委員
そうです。
青木秀夫
102
○青木
証人
ただいまお話になりました資料のうちで、私の今覚えておることを補足いたしておきますが、
兵器処理委員会
を設けるための閣議ではございません、内閣に設けてありました
特殊物件
処理
委員会
で決定をいたしたのでございますので、これは閣議ではなか
つた
と思いますから、その点ひとつ御了承おきを願いたいということでございます。 それからもう
一つ
、各種別の
委員会
と申しますか、品種につきましては、
兵器処理委員会
の中に設けたいろいろな兵器の処分についての問題でございます。これも閣議ではございませんので、規実と申しますか処分要綱というようなものができてはおりますが、これは閣議にはかか
つて
いないと思
つて
おります。これは閣議として資料を御
要求
になりましても、ちよつとむずかしいと思いますので、そのつく
つた
書面はあると思いますが、閣議とか省議ではないのでございますから、その点もひとつお
含みおき
を願いたいと思います。 それから軽微な物件についての処分、これは知事の処分権と申しますのは、一般の
特殊物件
ならば、それで結構でございますが、兵器
処理
につきましては、
兵器処理委員会
の系統でずつといきまして、その
地方商工局
の許可を得るとか何とかいうことにな
つて
おりまして、これは知事直接のものではなくな
つて
おりますので、その点もお
含みおき
を願いたいと思うのでございます。
加藤勘十
103
○
加藤委員長
そうすると青木さんの御訂正は、
兵器処理委員会
を設けるという決定をしたということは、閣議や省議で決定したのではなくして、内閣に説けられた
特殊物件
処理
委員会
でそれをきめたと、こういうわけですね。
青木秀夫
104
○青木
証人
そうです。
加藤勘十
105
○
加藤委員長
そうすると私から重ねて伺いますが、一体この
特殊物件
処理
委員会
を政府の中に設けたというのは、当時勅令か何か出ておりますか。
青木秀夫
106
○青木
証人
これは勅令ではなくて
——
私その当時支局長でございましたからはつきりは覚えておりませんが、処分方針というものをきめるときに、閣議でおきめになるのではないかと思
つて
おりますが、その点は今記憶でははつきりいたしておりません。
加藤勘十
107
○
加藤委員長
そうすると、これは結局閣議できま
つた
特殊物件
処理
委員会
というものを設けて、そこできめたというわけですね。
青木秀夫
108
○青木
証人
そうです。
加藤勘十
109
○
加藤委員長
從つて
法律並びに規則上の
権限
はないということですね。
青木秀夫
110
○青木
証人
勅令とかあるいは法律に基いた
委員会
ではないわけでございます。
加藤勘十
111
○
加藤委員長
いま
一つ
お尋ねしておきますが、先ほど
徳田
君のお尋ねに対して、
兵器処理委員会
の中に設けられた品種別
委員会
の中には、官廳からも
関係者
を出しておる、こういうことでありますが、
兵器処理委員会
そのもの
が、かりにいわゆる公的な性質をも
つて
お
つて
も、法律的に見れば純然たる私の團体にすぎない。そこへ官吏はどういう資格で参加しておりますか。
青木秀夫
112
○青木
証人
これは処分をするにつきまして、政府が監督なり指示をする
権限
と申しますか、そういうものをも
つて
おりますので、そこがいわゆる私どもその
委員会
というものがま
つた
くの諮問的と申しましても、公の性質をも
つて
おるものと考えられてお
つた
ところでございます。そういう資格と申しますか、処分の適正を期する
意味
において参加して、こういうふうに考えておるのであります。
加藤勘十
113
○
加藤委員長
將來非常に重大な問題になると思いますが、とにかく今日は、あなたの証言は、このことに対してはこういう話がふ
つた
ということを
記録
にと
つて
おきます。
明禮輝三郎
114
○明禮
委員
証人
にひとつお尋ねしたいのですが、食糧なんかの
特殊物件
と申しますか、陸海軍のも
つて
お
つた
食糧は、ただでや
つて
もよいということですが、そのただでや
つて
もよいというのは、どこから來ておるのですか、ちよつとその
根拠
がわからぬのであります。
青木秀夫
115
○青木
証人
それは
司令部
の方からお話があ
つた
わけであります。
明禮輝三郎
116
○明禮
委員
それについて私の方では、内務省から來ております。一九四五年九月二十四日附の最高司令官の名をも
つて
、日本帝國政府に対する陸海軍の資材設備の
処理
に対するいろいろな命令が來ておる。これを見ますと、すべての補給品とか資材、裝備品は内務省に
引渡し
、最後の消費者まで明細に明記せよさいうことは書いてありますが、これらの使用の目的は、國民救済のために、日本民間経済建て直しのために使用するということが書いてあ
つて
、ただでや
つて
もよいということは一向書いてない。どういう
意味
ですか、その
根拠
がわからない。それがあ
つた
ら明示していただきたい。
青木秀夫
117
○青木
証人
これはただいまお話がありました九月何日かの命令に基きまして、
日本政府
といたしまして
特殊物件
の処分の方針につき、
司令部
の承認を得るために許可申請書を出したのでございます。その中に、あるいは有償交付にするものもあるも、また戰災者とか引揚者というようなものについては、事情によ
つて
無償交付することもできることといたしたいという一項を入れまして、承認を得ておるのであります。それに基くものであります。
明禮輝三郎
118
○明禮
委員
そういうことは、実は今まで出ておりませんので、非常に疑問をも
つて
おるのでありますが、今
徳田委員
からお尋ねがあ
つた
が、無償で出されたものは、わか
つて
おるはずであります。今のお話でありますと、戰災者とか引揚同胞と申しますが、どういう方面へやられたのであるか。これは実はうわさによると、役人の
人たち
が適当にわけてそしてそれをただでや
つた
というような、こういうところの処分にうまくしてあるらしいということを、大分言
つて
おるのでありますが、この点について
証人
はどう思われるのですか。一体ただでやるというのは、どういうことでや
つたの
か、そういうときには、よほど監督を嚴重にやらなければならぬはずですが、どういうことをや
つて
ただでやる処分をしたのですか。
青木秀夫
119
○青木
証人
これはお話の通り非常に心配いたしたのでありまして。無償で交付するものの
範囲
は、はつきりと
地方廳
にも示しておるのであります。
範囲
をはつきりときめたものもございます。これは内務省にも、その当時の
記録
はございます。
明禮輝三郎
120
○明禮
委員
今のお話でありますが、縣廳あたりに任して大分処分したものがあると思います。そういう場合に、最後の消費者まで明細に明記せよとな
つて
おりますが、そういうことをやらしておるのでしようね。どうでしよう。
青木秀夫
121
○青木
証人
これは
司令部
からも非常にやかましく言われましたので、最後の消費者に至るまで、はつきりとさせることにいたしておるのでございます。ただ食糧品などにつきましては、その当時お米とかそういうものは、食糧営團を通じて配給いたしたものでございますから、個人の
名前
まで全部書くのが困難だからという話もございまして、どこの配給所に何石行
つた
という
記録
ははつきりとさせることにしておいたわけでございます。
明禮輝三郎
122
○明禮
委員
あなた方
責任
者として、そういう取扱いをなさるときに、その具体的な
指令
といいますか、縣その他すべての方面へ、書面か何かでそういうことは指示してあるのですか。その点を伺いたい。
青木秀夫
123
○青木
証人
最後の消費者までの
記録
を整備するということは、これは
通牒
を出してあるのでございます。
明禮輝三郎
124
○明禮
委員
そうすると、伺いを立てて、そうして連合軍の方からただでや
つて
もいいという許可があ
つた
ということですから、その資料と、それから縣その他に、最後の消費者まで明記せよという
指令
が出してあるということでありますから、その
指令
が出してある資料と、この二つをお取寄せを願いたい。どういうふうにしてあるものか、実は疑問なのであります。 それから先ほど
証人
も言葉に、これは別問題ですが、鉄鋼については收入の見込みがない、軽金属については收入の見込みがあるということを言われましたが、鉄鋼についてはどういうわけで收入がないのか、その点を私どもはちよつと理解ができませんが、御
説明
を願います。
青木秀夫
125
○青木
証人
結局鉄鋼兵器の解体等につきましては、その当時のスクラツプの値段では、收益というものをはつきり見込むことは困難ではないかと考えたということを申し上げたのでございまして、その当時の事情から考えたのでございます。ただ、それが無償値のものであるというふうに考えたわけではございません。收益があるかどうかというようなことについて、大体においてそういうふうに漠然と考えたというのであります。
明禮輝三郎
126
○明禮
委員
これはまた問題にな
つて
おるのであります。鉄鋼兵器といいますか、そういうものを、スクラツプに取扱わなければならぬものも相当ありましようが、何でもスクラツプの中に入れて適当に処分されておるのではないかという疑問があるのですが、この点については、
証人
はお知りになりませんですか。
青木秀夫
127
○青木
証人
これは私ども鉄鋼兵器その他の兵器は、なるべく武裝を解除した
あと
、有効に民生に役立つように使えるようにしたいということを考えたのでございます。それが全部無價値の鉄くずだというふうにされることは、困りますので、もしそういうことがあればいかぬというので、嚴重に注意をすることにしてお
つた
わけであります。全部何でも皆鉄くずだということでなしに、現物によ
つて
、すぐに役立つものも相当ありますし、多少の手を加えれば役立つものもありわけでありますから、なるべくそれによ
つて
民生にも役立つ、國庫の收入もあるようにいたしたいと考えてお
つたの
であります。
明禮輝三郎
128
○明禮
委員
陸海軍に持
つて
お
つた
ものが、内務省に返還された。そういう場合に、あなたは御記憶があるかどうか。タンク貨車とい
つて
石油を運ぶ貨車、石油タンクが乘
つて
いる貨車があ
つた
はずですが、そういうものがあ
つた
かどうかは、御記憶になりませんでしようか、それだけ伺います。
青木秀夫
129
○青木
証人
今のところどうも記憶はございません。
明禮輝三郎
130
○明禮
委員
終りました。
辻寛一
131
○辻
委員
兵器処理委員会
を構成いたしておりますのは、承りました五社でありますが、その代行機関が、これまた同じく五社であります。この
委員会
と代行機関との
関係
がどうもはつきりいたさぬのであります。何だか一人二役をや
つて
いるような感じがするのでありますが、この
処理
機構に関する件という二十年十月三十一日に出ておるのによりますと、「
委員会
ハ主トシテ計画及統制ニ当リ実行ハ代行機関ヲシテ行ハシムル」とこうな
つて
おりますが、この
委員会
の構成メンバーも、代行機関の構成メンバーも同じなのでありまして、何だかその間お手盛りをや
つて
いるような感じがするのでありますが、この間のぐあいは一体どうな
つて
おりますか。この点をはつきり伺
つて
おきたいと思います。
青木秀夫
132
○青木
証人
委員会
をつく
つて
、この
委員会
が政府の代行機関だというふうに考えたのでございます。それから経費の出し方とか、あるいは実際の仕事をや
つて
いくのに、この五つの
会社
が最もよくやれるだろうというので、この五つの
会社
が
委員会
をつく
つて
、それが実際の実行機関になるというふうに考えたのでございます。別にその間何もほかのものをどうするということは、考えていなか
つたの
であります。もちろんほかの
会社
も使えるものは使うということで、多分
あと
の方にそのことも書いてあ
つた
と思うのでございます。
辻寛一
133
○辻
委員
そういたしますと、
委員会
即代行機関というふうに解釈してよいのでございますか。そうなりますと、ここにわざわざこういう機構に関する件というのが出ておりますが、これには「運用ニ当リテハ
委員会
ハ主トシテ計画及統制ニ当リ実行ハ代行機関ヲシテ行ハシムル」。やはり二つに分けてあります。その次にも「
委員会
ノ代行機関タル」としてあります。
委員会
と代行機関というのは、別々に扱
つて
おられるように思うのでありますが、その実お話を承
つて
みますと、この
委員会
はそつくる代行機関であるようである。そこに何だかどうもわれわれの解しがたいところがある。それとともに、さらに
一つ
承
つて
おきたいのは、構成分子の五つの
会社
、これはバラード大佐の御指示によ
つて
、こういうふうに決定したというお話でありますが、こちらから名簿を出されて向うさんが御選択にな
つた
わけですが、その場合にあなたの方といたしましては向うさまの御選定通り、この上殖やしたいとか、減らしたいとか、そういうお考えはなか
つた
か。なるほど向うさまが御指務にな
つた
通り、それが最も的確な機関である、数も一番これが適当である、こういうふうにお考えにな
つた
かどうか。これは向うさまの
関係
があるからどうかと思いますが、承れたらこの点も承
つて
おきたいと思います。
青木秀夫
134
○青木
証人
五社とその
委員会
との
関係
でありすが、これは
委員会
というのは、別個のものであるというふうに考えたわけであります。もちろん五つの
会社
が全部同じものではございませんので、これらのものが集ま
つて
仕事をするわけでございますが、五社共同してやらけなればならぬものもありますし、同じような歩調でやらなければならぬようなものもありますので、その総合的な計画と申しますか、計画を立てるというようなことは
委員会
の仕事でございます。しかしこれを実際の場合、たとえば地区を分けて
処理
をするようなときは、これは実行機関という形になるわけでございますので、その代行機関ということに考えたわけであります。 それから五社以外のものを考えたことはないかということでございますが、これは適当なものがあれば、実際の仕事を担当してもらうのは差支えないというふうに私ども考えてお
つたの
であります。それから軍の作業廳なども、その当時あ
つたの
でございますが、これらの機関も、その仕事に協力してもらわなければやれませんので、そういうものも協力してもらいたいというふうに、もちろんその当時の状況といたしまして、できる限りの力を協せて兵器の解体にあた
つて
もらいたいと考えてお
つた
次第でございます。
辻寛一
135
○辻
委員
そういたしますと、この
委員会
の首悩部と代行機関の首悩部とは、やはり同じなんでございますか。どうもその辺が何だか
一つ
委員会
において使いわけをなさるような感じがいたすのであります。 それから今の五社以外に、適当なものがあ
つた
らはい
つて
もらうつもりだと言われましたが、適当なものは実はなか
つた
というわけで、五社が一番適格者、それ以外にはちよつと見当らなか
つた
、こういうふうに承
つて
おいてよろしゆうございますね。 それから解体兵器の拂下價格は、
委員会
においておきめになるのか、それとも内務省の方でおきめになるのか、これもちよつと承りたい。
青木秀夫
136
○青木
証人
実際の價格をきめるのは、後できめるということにな
つて
おります。これは内務省ではとてもわからぬのでございます。それで
商工省
なり、そういう専門の方々のお智惠を借りて價格を決定しなければならぬというふうに考えてお
つた
わけでございます。
辻寛一
137
○辻
委員
その價格は、一体どこできめるのでありますか。そういう衆智を集めておきめになるのは結構でありますが、きめる機関は何でありますか。 それから先ほど
委員長
からもお尋ねがありまして、私も承
つて
お
つて
はつきりしませんでしたが、この
兵器処理委員会
の中にできました兵器
処理
特別委員会
、つまり配分決定機関、これは解体済み資材の配分については、需要者より成る
特別委員会
、こういうふうに一方には出ておりますが、その需要者の解釈をどういうふうになさるか別ですが、片方におきましては、
関係
各省
関係
官及び
委員会
委員
を構成員とする
特別委員会
、そうしますと、関少各省の
関係
官などというものは、やはり需要者ということに御解釈にな
つて
いるのか。なるほど運輸省とか、
商工省
とか、それぞれ欲しい所もありますから、そういう
意味
で需要者と御解釈にな
つて
いるのか、その点も承
つて
おきたい。
青木秀夫
138
○青木
証人
價格決定の機関は、その当時
商工省
にそういう方面の経驗者がおられると
思つたの
でありますが、
委員会
へ拂い
下げ
る價格は、これは後できめるということにな
つて
お
つた
わけであります。代行機関と申しますか、
兵器処理委員会
に拂い
下げ
る値段は、これは一應の無償ということにな
つて
おりますが、後で請算をするということになるわけでございます。その
兵器処理委員会
から必要者に拂い
下げ
る價格は、
兵器処理委員会
できめるということにな
つて
いるわけでございます。 それから配分
委員会
と申しますか、その特別
処理
委員会
でございますが、需要者と申しますのは、ただいまお話のように、農林省とか、そういう方面の
関係
の方がみな出ておるわけでございますので、それは
関係
各省がおのおの自分たちの
関係
の業務についての利害をも
つて
おるわけでございますから、そういう方面での決定をするために、
関係
各省の人が出てきておるわけでございます。
辻寛一
139
○辻
委員
それを需要者と解釈されるのですね。
青木秀夫
140
○青木
証人
さようでございます。
辻寛一
141
○辻
委員
どうも私は
委員会
と代行機関というものの観念がわかりませんが、今青木さん御自身もお間違えにな
つた
ように、うつかりしておるとどつちがどつちであ
つた
か間違います。
一つ
の機関を使いわけてお手盛りでや
つた
いう感じが、少くとも今お話を承
つたの
では、私には抜けませんけれども、いずれほかの
委員
からもお尋ねになると思いますから、私はまず不可解のままにしておきたいと思います。 そこで
委員長
にお願いいたしておきたいと思いますが、重要
物資
の処分先、数量などは、産業別にはいただいておりますけれども、
拂下げ
を受けた氏名を明らかにすることは困難であるとありますが、全部をお務しいただかなくとも結構でありますから、せめて
商工省
の方で扱われるもの、
地方商工局
のは、金額は少しものでありまして、相当数が多いのでありますけれども、その中の大口の
拂下げ
を受けた氏名を、せめて十箇所くらいは、何とかお調べいただけはわかることと思いますから、至急
拂下げ
を受けました大口者の氏名の資料を
委員長
から御請求なさ
つて
いただきたいと思います。
加藤勘十
142
○
加藤委員長
辻君の御請求の資材は、内務省
調査
局から提出した
さき
の
調査
資料のうち、第二項にある重要
物資
の処先及び処分数量を各産業部門別に表務すれば第三の表の通りであるという表がありますが、そのうちの氏名を明らかにすることができぬというもの、これを明らかにしてくれというのですね。
辻寛一
143
○辻
委員
大口の氏名だけでよろしゆうございますから……。
鍛冶良作
144
○
鍛冶委員
今の辻さんの
質問
に関連して明確にしておきたいと思いますが、拂下代金というのは、先ほどわけてやられたからわかりますが、まず第一に聽くのは、内務省から
処理
委員会
へ拂い
下げ
るというそのことです。一應は無償でいく、こうおつしやいましたが、
あと
でさらに
調査
の上で價格を決定するということはあるのですか。また事実ありましたか、それをまず承
つて
おきたい。
青木秀夫
145
○青木
証人
これは政府の方で
保管
に任じ、あるいは輸送をする、あるいは解体をするというような費用を出すことができれば、問題は一番簡單だ
つた
わけでございますが、そういうわけではなか
つた
ものですから、一應その仕事をずつとや
つて
もら
つて
、経理もしておいてもら
つて
、最後にその價格を決定する、こういうつものでいたわけでございます。
鍛冶良作
146
○
鍛冶委員
その点
あと
で計算せられたことはあるのですか。
青木秀夫
147
○青木
証人
これはまだ仕事の途中だと思いますが、私の在任中にはございませんでした。ただいまはどうな
つて
おりますか、はつきりは存じません。
加藤勘十
148
○
加藤委員長
それはこの
報告書
に出ておるところによりば、九月に一應
兵器処理委員会
の任務を終
つて
、残余の仕事を政府に引継ぐというところに、
処理
價格がいくら、経費がいくらという数字が出ておりまして、そこにいろいろな問題が起
つた
わけですが、いずれその後の資料が提出されれば、なお明白になると思います。
鍛冶良作
149
○
鍛冶委員
先ほどのお話を聽きますと、実際において値段がわからぬから
処理
委員会
において一應無償で需要者に拂い
下げ
た。そうして後においてこの拂い
下げ
はいくらいくらであるべきものだということで、そこに差額があ
つた
らどうするつもりでしたか。要するにトン百円で拂い
下げ
てお
つた
。ところが
あと
で調べると、それは三百円のものだ
つた
ということに決定すれば、
処理
委員会
は二百円を損することになりますが、そういう場合に、どうするつもりでおられたか。それともみな拂い
下げ
の値段になら
つて
いくつもりでしたか、それをお聽きしたい。
青木秀夫
150
○青木
証人
これはその当時も、損をしたらその損失を補償してくれるかという問題があ
つた
われです。また得をすれば國庫に入れればいいじやないかという話もあ
つた
わけですが、それは仕事が済んだ
あと
で、予算的の
措置
をしようということで、一應仕事を進めたわけでございます。ですから、現実にや
つて
みてその
処理
の仕事が普通の常識をも
つて
は考えられないような
処理
をしておれば、その経費は査定を加えていかなければならぬと思います。しかしながら、普通のやり方をや
つて
お
つて
損をしたということになれば損失補償という議も起きてくるだろうと思います。また普通の
処理
をしてお
つて
剩余が出れば、その手数料をどの程度認めるかということが起ります。剩余があれば、相当の利益と申しますか、そういうものを認めた以外のものは、國庫にはいるというふうに考えてお
つた
わけでございます。
鍛冶良作
151
○
鍛冶委員
そうすれば結局拂い
下げ
の値段をきめぬというのは、需要者へ
あと
で拂い
下げ
値段を合うようにすることだと考えてよいのですね。
青木秀夫
152
○青木
証人
その値段は、その当時の相当な値段ということにな
つて
おります。需要者に拂い
下げ
た値段が妥当であ
つた
かどうか。これは理論でございますが、やはり一應見なければならぬと思うのでございます。特別の
関係
で無償でやらなければならぬものもあ
つた
とか、あるいは非常に安いことをや
つた
ものが不当であ
つた
ということになれば、それはやはり考慮される問題だろうと思うのでございますが、その当時拂い
下げ
た値段をそのままうのみにしなければならぬということはないと思うのでございます。
鍛冶良作
153
○
鍛冶委員
その次は需要者へ拂い
下げ
る値段ですが、これは
委員会
できめると、こういうのですね。 〔青木
証人
うなずく〕
鍛冶良作
154
○
鍛冶委員
その次に承りたいのは、拂い
下げ
先をだれがどういうことで決定するか。
青木秀夫
155
○青木
証人
先ほどお話のありました特別なんとか
委員会
でございますが、そこで大口と申しますか、重要なものについてはきめることになる。それから小口と申しますか、小さいものについては、
地方
できめるようなものもあるわけでございます。また非常に徴量なものについては、
会社
においてやるということもあ
つた
と思います。
鍛冶良作
156
○
鍛冶委員
その点をきめるについて、それは政府なり、その他から指示があ
つたの
ですか。それとも何か
処理
委員会
においてそういう規約でもあ
つたの
ですか。それともまた
委員会
が勝手にきめたのですか。
青木秀夫
157
○青木
証人
当時のことは、今記憶にありませんですが、いずれにいたしましても、そういうことをやるについては、政府と密接な
関係
をも
つて
、その方針をきめたのであります。文書にしたものか、どういう形でつく
つたの
かは、今はつきりは記憶いたしておりませんが、政府、殊に内務省なり、
商工省
なりとよく相談をしてきめられた方針だと思
つて
おります。
辻寛一
158
○辻
委員
関連して
——
。今の解体資材の配分については、
特別委員会
できめる。これには政府監督のもとにとありますが、政府監督をお忘れにな
つて
いるはずはないと思います。政府監督というと、あなたの方の監督になるのです。つまり内務省
調査
部、この点はお忘れになるはずはないと思います。
青木秀夫
159
○青木
証人
それは総括的に内務省でございまして、
物資
別に今度は各省にあるわけでございます。たとえば鉄度とか、纖維品とか
——
纖維品は大体兵器の中にあ
つた
かどうか存じませんが、鉄とかアルミニユームとかになりますれば、これは
商工省
が配分に
なつ
いて、その当時統制なり管理してお
つた
わけでありますが、そちらの監督においてなされるわけでございます。
鍛冶良作
160
○
鍛冶委員
そうすると、今のそういうことをきめるのは、何に基いておるのですか、そのよりどころは何でありますか。そういう処分をするとか、政府の監督でや
つた
とかいう何かよりどころがあると思います。
青木秀夫
161
○青木
証人
先ほども申し上げたと思いますが、
特殊物件
処理
方針というものが閣議できまりまして、それに基きまして、
兵器処理委員会
をつくることにつきましては、内閣に設けました
特殊物件
処理
委員会
に付議してきめたわけであります。
鍛冶良作
162
○
鍛冶委員
それはまだ資材を調べておりませんが、そういうものは出ておりませんか。
加藤勘十
163
○
加藤委員長
そういうものは出ておらない。
鍛冶良作
164
○
鍛冶委員
そうすると、閣議できま
つて
、それから
処理
委員会
できま
つた
というが、
処理
委員会
というものは、どこに属してお
つた
か。
加藤勘十
165
○
加藤委員長
それは今
証人
の述べられたように、内閣の中に
特殊物件
処理
委員会
というものができた。それは勅令によ
つたの
でなくして、閣議できめてつく
つた
。そういうわけです。
鍛冶良作
166
○
鍛冶委員
そうすると、
処理
委員会
の決議権というか……。
加藤勘十
167
○
加藤委員長
法律上の
権限
は何もないのです。
鍛冶良作
168
○
鍛冶委員
ありましたら、それを出していただきます。
加藤勘十
169
○
加藤委員長
それは先ほど請求してあります。
足立梅市
170
○足立
委員
兵器は全部連合軍に接收されたというのですが、採收の形は、どういう形でされたのですか。手渡しされたのか、それとも、これだけのものがあるとい
つて
連合軍に接收されたのですか。簡單で結構ですが……。
青木秀夫
171
○青木
証人
これはその当時、陸海軍から連合軍へ引渡すことにな
つて
お
つた
わけでありますので、直接内務省としては、それに
関係
はなか
つた
わけであります。
足立梅市
172
○足立
委員
その引渡された物件の中から、デイレクテイヴが出たのでしようが、
処理
委員会
が受領したそのデイレクテイヴの
内容
は、どこどこにどんなものがこれだけあるからという、具体的な
内容
によ
つて
デイレクテイヴが出たのですか。それとも概括的な大づかみであ
つたの
ですか。
青木秀夫
173
○青木
証人
そのデイレクテイヴは、政府に示されたものは概括的なものでございまして、連合軍に引渡される
物資
の集積所というものが設せられたわけであります。そこで管理は
進駐軍
部隊がこれをなしてお
つた
わけであります。これの
引渡し
をするにつきましては、
地方廳
に引渡すということになるわけであります。それでいつ、どこで引渡すからということは、その
地方
の進駐部隊の通達によ
つて
行われることになるわけであります。
足立梅市
174
○足立
委員
そうすると、概括的な政府に來るデイレクテイヴと、それからまた各場所に存在している
地方
からの詳細なデイレクテイヴと申しますか、その二本建で連合軍の方から來たわけですね。 〔青木
証人
うなずく〕
足立梅市
175
○足立
委員
そうすると、そのデイレクテイヴと各部隊から出たデイレクテヴの写しをお取寄せ願いたいと願います。
加藤勘十
176
○
加藤委員長
よろしゆうございます。それは返還兵器の
処理
に関するデイレクテイヴの写しですね。
足立梅市
177
○足立
委員
写しと、それから各
地方
の
保管
しておるものです。
青木秀夫
178
○青木
証人
ただいまの資料の御
要求
につきまして、ちよつと氣のついた点を御参考に申し上げておきたいと思います。兵器だけについて、特別に政府に対してのデイレクテイヴを出すということはありません。陸海軍が保有してお
つた
ものについて、さつきどなたかお話のありました九月二十四日のデイレクテイヴというものが來ているわけであります。今度はそれに基いて、
あと
は現実の行為として
引渡し
て行為が行われるのでありまして、各
地方廳
にどこどこへ出頭しろという命令は文書のみではごいません。電話でもいいし、人が來てもいいし
——
その当時渉外廳というものができてお
つた
と思いますが、そこに電話なり、あるいは渉外課長を呼び出しまして、ここへ來いということになるのでありまして、全部書面で出頭命令が來たというわけでもないと思いますので、ただいまの御
要求
になる資料は、あるいは書面で來た所でもあれば、あろうかと思いますが、ただちに取寄せることは困難ではないかと考えられますので、御参考に申し上げます。
足立梅市
179
○足立
委員
そうしますと
兵器処理委員会
で
処理
する物品というものは、概括的なものであ
つて
、数量その他品種については、ほとんどわからないわけですね。抽象的なものですね。
青木秀夫
180
○青木
証人
兵器処理委員会
として取扱う物件の
範囲
を限定してございます。これはただいま申し上げました
特殊物件
処理
委員会
にかけた方針の中にあ
つた
か、あるいはそれに基いて、さらに
兵器処理委員会
において取扱う物件というものの
範囲
を限定いたしたものがきめてあるはずでございます。
足立梅市
181
○足立
委員
しからば、その限定というのは、どういう
範囲
においてきめたのですか。兵器とは何ぞやという定義がひとつほしいのです。
青木秀夫
182
○青木
証人
これは実は非常に困難な問題でございましたので、その当時陸海軍の係の人に集ま
つて
もら
つて
、兵器というものはどういうものかという、その抽象的の定義というよりは、
委員会
に取扱わせる兵器でございますね。これをどういうふうな
範囲
に限定するかということで、相談をしてきめたものがあるはずでごごいます。抽象的にどれをどれということは、はつきりわからない。たとえば戰車とか大砲とかいうものはわか
つて
おりますが、あいまいなるものが、われわれ素人から見るとわからないというように考えられるものがあ
つた
わけでございますから、でき得るだけはつきりさせておく必要があるというので、その
範囲
をきめたものがあるはずでございます。
足立梅市
183
○足立
委員
その
範囲
をきめたのはどこにあるのですか。
青木秀夫
184
○青木
証人
それはここに
書類
はあるのです。
足立梅市
185
○足立
委員
それからもう
一つ
最初にお尋ねしたいのは、こういう
処理
委員会
で、あなたが
部長
に在任当時、國民に満足のいく
処理
ができると思いましたか。それともこれは國民の満足のいく
処理
ができないと思いましたか。イエスかノーかどちらか、ごく簡單でよいのですから……。
青木秀夫
186
○青木
証人
これは十分五社の協力を得、あるいはその他の人の協力を得て、國民の満足の満足する
処理
をさせるようにしたいという考えでや
つて
お
つた
わけであります。
足立梅市
187
○足立
委員
いや、したいじやない、これができたかできなか
つた
か、その結果を聽いておるのです。
青木秀夫
188
○青木
証人
その当時まだその結果がわか
つて
おりませんでしたが、できるだろうというふうに考えたのであります。
足立梅市
189
○足立
委員
現在どう思
つて
おりますか。
青木秀夫
190
○青木
証人
現在は私直接
関係
しておりませんし、はつきりした現状は詳らかにしておらないのでありますが、大体順調に
行つて
おるのではないかと考えております。
足立梅市
191
○足立
委員
國民に満足のいく
処理
ができたと自分は思
つて
おる、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
青木秀夫
192
○青木
証人
その当時、私の関與しておりました限りにおいては、満足されるように行くだろうと考えてお
つたの
であります。
足立梅市
193
○足立
委員
行くだろうじやない。
青木秀夫
194
○青木
証人
私は、現状がどういうふうにな
つて
おるかということは、あまり詳しく存じませんので、その実情を申し上げるわけにはいかぬのでごいざますが、ただいま申し上げましたように、大体順調に進捗したのではないかというふうに考えております。
足立梅市
195
○足立
委員
國民の大体満足のいく
処理
ができたものと自分は思う、こういうぐあいに解釈してよろしゆうございますね。
加藤勘十
196
○
加藤委員長
この点はちよつと青木さんに言うておきますが、せつかくあなたがそういうぐあいに思われ、行くだろうという御想定のもとにこの
兵器処理委員会
と契約をお結びになりましたが、現実の状況は、満足に進行していない、至るところの兵器廳において、すでにいくつかの刑事
事件
を起しておる。こういう事実から徴して、おそらく最初あなた方が思われたとは違
つた
方向に
行つて
いるだろうということを、これは現実の姿として御承認にならなければならぬと思うのですが、これはあなたの現在の立場が違いますけれども、御参考までに申し上げておきます。 それから私ちよつと関連して申し上げておきたいのでありますが、バラード大佐というのは、第八軍の経済課長であ
つたの
でありますか。
青木秀夫
197
○青木
証人
経済課長、あるいはそのセクシヨンの
名前
をはつきりおぼえておりませんが、第八軍にお
つた
方でありまして、セクシヨンの
名前
はあるいは違
つて
お
つた
かもしれません。
加藤勘十
198
○
加藤委員長
そうして
司令部
との
関係
はどういう
関係
だ
つたの
ですか。
青木秀夫
199
○青木
証人
司令部
は、御承知のように、
東京
にあるのでございますが第八軍の
司令部
は横浜にその当時ございました。それからその当時私どもが
調査
部に参りましたときは、軍が二つにあ
つた
。第八軍と第六軍というのがあ
つた
わけでございます。
加藤勘十
200
○
加藤委員長
それで第八軍と第六軍と、さらに英國軍と、各軍があ
つて
、それを総括をするものが最高
司令部
だ
つたの
ですね。
從つて
全國的な大規模にわたるこういう兵器
処理
の問題などは、当然
司令部
関係
が最後の決定権をもたなければならぬと思う。それを第八軍のどういうセクシヨンであられたか知らぬが、一大佐の指示というのですが、これは正式の命令ですか。
青木秀夫
201
○青木
証人
私どもの方で言えば正式の命令を受けたというふうに解釈しておるわけでございます。
加藤勘十
202
○
加藤委員長
このバラード大佐というのは、現在第八軍におられますか。
青木秀夫
203
○青木
証人
バラード大佐はすでに帰國いたしております。
加藤勘十
204
○
加藤委員長
いつごろ帰國いたしておりますか。
青木秀夫
205
○青木
証人
いつごろでございますか、私が在任いたしておりまするしまいごろでございますから、日にちははつきり覚えておりませんが、
昭和
二十一年の何月ごろになりますか……。
加藤勘十
206
○
加藤委員長
よろしゆうございます。わかりました。そうするとバラード大佐は第八軍の、セクシヨンはわからないが、課長であ
つて
、あなたとしては正式の命令として、バラード大佐の命令をお受けにな
つた
。それからバラード大佐は二十一年の八月ごろにもう帰國された、こういうことになるのですね。
青木秀夫
207
○青木
証人
七月、八月よりもつと前だと思いますが……。
加藤勘十
208
○
加藤委員長
あなたが、七月まで在任されたというから、五、六月ごろ、大体そのころですね。
青木秀夫
209
○青木
証人
そうだろうと思います。
加藤勘十
210
○
加藤委員長
ところが、五月としますと、この契約が締結されたのは、五月十六日附にな
つて
おる。その契約書が締結される前だ
つたの
ですが、
あと
だ
つたの
ですか。
青木秀夫
211
○青木
証人
あと
だ
つた
ろうかと思います。どうもはつきりは覚えておりませんが……。
鍛冶良作
212
○
鍛冶委員
日本軍がも
つて
お
つた
兵器を
進駐軍
に接收されて、それからさらに
日本政府
へ返還された。こうなりますが、その接收された、返還されたという
手続
は、どういうことでや
つて
おりましたか、その点を……。
青木秀夫
213
○青木
証人
連合軍が接收をされたのは、陸海軍から接收したわけでございます。これを
日本政府
に返したというのは、その所在の部隊から府縣廳に渡したということになります。府縣廳あるいは、
地方
事務所というものがありますが、そこの係官を呼び出して、これこれのものをお前たちに返したということで、多分そのときは目録をつくりまして、署名をして、これはお前たちの方に渡したんだぞということにしておるわけでございます。
鍛冶良作
214
○
鍛冶委員
それはもうわか
つて
おる。私のは実際をお聽きしたいのですが、接收するときに、今目録と言われたが、接收目録とい
つて
も、軍から、これだけのものがどこそこにあるという、こういう目録か、
リスト
か、それを持
つて
い
つて
、これだけをお渡しします、どこそこにあります、こうい
つて
目録を渡すだけですか。それとも一々品物を現場において算えてみる、こういうような現実の
引渡し
があ
つた
か。單なる目録上の
引渡し
があ
つた
か、両方あるのですが、この点をお聽きしたい。
青木秀夫
215
○青木
証人
それは
引渡し
を受けるときは、実際にはいわゆる檢收と申しますか、一々の物品に当
つて
、その所在を確認して引受けをしなければならぬのでございますが、非常に厖大な数量にわたるものもありますし、また一々巨細の檢討することのできないものもありますし、一山とかいうようなものもございますので、それらについて、いわゆる会計檢査をしたような、微細の点までについて実際に当
つて
引受けをすることのできなか
つた
ものも相当あると思います。しかし理想としては一々当
つて
引受けるべきであ
つた
と思いますが、それができない実情にあ
つた
ということも事実であります。
鍛冶良作
216
○
鍛冶委員
私はその理屈を聽いておるのではない、実際を聽いておるのです。これはおそらく
リスト
のやりとりじやなか
つた
かと思うのです。そこでさらに聽きたいのは、あなたの方で
処理
委員会
へ拂い
下げ
されるときも、あなた方はこの
倉庫
に何々がどれだけある、ここにいくらあると、こういうふうに数量を見てやられたか、それとも
リスト
をそのまま拂い
下げ
られたか、これを聽きたいのであります。理屈じやありません、実際を聽いておるのです。
青木秀夫
217
○青木
証人
これは府縣廳の者と
処理
委員会
の者と立ち会
つて
、
引渡し
をするということにしたわけでございます。
鍛冶良作
218
○
鍛冶委員
あなた自身はどうなさ
つたの
でしようか、契約をするときに……。
青木秀夫
219
○青木
証人
私は一々現物をその
委員会
に引渡すということには携
つて
いなか
つたの
です。現物の
引渡し
は、府縣廳においてその
地方
の
委員会
の機関に
引渡し
をしてもらうということで、これこれの兵器というものの数量を明示して
引渡し
たわけではございません。これはその当時わか
つて
いなか
つたの
でございます。現実にどれだけのものが連合軍の方から返されて、それを
処理
委員会
の方に引渡すことができるかということは、將來の事実にかかる事項でございまして、契約をする当時、あるいは
処理
委員会
に話をするときには、ここに何万トンの兵器がいるから、これをお前さんの方で
処理
してくれということを確定したものではないのでございます。今後も連合軍の方から返還される兵器があるということを見越してや
つた
わけでございまして、現実にあるものを、これをや
つて
くれというわけではなか
つたの
でございます。その当時はそういうことをや
つて
いたのではなくて、これから連合軍から
引渡し
をする、それで引渡すのはその
地方
部隊において、あるいは要らなくな
つた
もの、あるいは引渡すことができる状態にな
つた
ものを引渡すようにするのだから、そのときにならなければわからないのでございます。現実の
取引
と申しますか、
引渡し
は
地方
において行うということにな
つて
お
つた
わけでございます。
鍛冶良作
220
○
鍛冶委員
そうすると確実にいくらいくら渡した、いくらいくら拂い
下げ
したということを決定するのは、いつどこでやるのですか。
青木秀夫
221
○青木
証人
これは
地方廳
で現実に
引渡し
をして、その結果の
書類
は全部
地方廳
にあるわけでございますから、それに基いて結了をしたときに決済がされるわけでございます。全部一度に渡したというわけではないのでございまして、実際そういうことはできなか
つた
わけであります。それですから現実に武器の
引渡し
が全部できたかどうか、これはわかりません。私の在任中はまだ全部は済んでいなか
つたの
だろうと思
つて
おります。
鍛冶良作
222
○
鍛冶委員
大体わかりましたが、そうするとあなたの方で拂い
下げ
をしたものの数字はいくらで、何月何日に渡したかわからないのですね。ただ
行つて
おるのだろうという推定ですね。
青木秀夫
223
○青木
証人
内務省の出先といたしまして、府縣廳というものがございます。府縣廳に
引渡し
た数量ははつきりとわか
つて
おるわけでございますから、その
意味
においては、わか
つて
おると申し上げてもよろしいのでありますが、その後連合軍からこれだけのものを引渡すということを言われれば、またそのときに引受けなければなりませんので、その
意味
においては、まだはつきりしたものではなか
つた
、こういうふうになるわけでございます。この武器の
引渡し
というのは、
日本政府
から連合軍に
引渡し
た武器を全部
日本政府
に返すというのじやないのでございます。その武器のうち、あるものは戰利品として持ち帰
つた
ものもございます。あるいは紀念品として持
つて
い
つた
ものもございます。またあるものは海中に投棄したものもございます。あるものは燒いてしま
つた
ものもございまして、いわゆる連合軍の方でも要らくな
つた
ものを返してやるというのと、それから連合軍の方で武裝解除をする仕事を、
日本政府
にやらせるというような
意味
において、
日本政府
にやらせてもこれを武器として再び使うことがないような見透しのついたときに
引渡し
てくれるものなのでございますので、お前の所にこれだけのものをやるからとい
つて
、総
司令部
の方ではつきりとして渡してくれるものはないのでございます。その引渡すべきかどうかの認定は、
地方
の
進駐軍
の部隊に任されてお
つたの
だろうと思いますが、そこにおいて現実に
引渡し
をされるものでございますから、今日における商
取引
のように数量なり價格なりをはつきりとしてやることができなか
つた
わけであります。
鍛冶良作
224
○
鍛冶委員
大体わかりました。そうすると実際は返されたものの数量も、あなたの方ではほんとうのことはわか
つて
いないわけですね。またどれだけ燒かれたかどうかということも……。
青木秀夫
225
○青木
証人
燒かれたものとか、海中に投棄されたものとか、本國に持ち帰
つた
武器というものは、これは私どもの方ではわかりませんでしたし、またそれを聽くこともできないと思います。現実に府縣廳に返されたものが
特殊物件
ということになるわけでございまして、この点ははつきりとしておかないといけないと思いますが現実に
引渡し
をされたものだけが
特殊物件
でございます。それ以外のものは
特殊物件
ということにはならないのであります。その引渡された物件は、はつきりしないということはないわけでございまして、これはちやんといくら引受けたということが、府縣廳では
記録
がと
つて
ありますから、はつきりしているわけでございます。
鍛冶良作
226
○
鍛冶委員
これは
委員長
が聽かれなか
つた
と思いますが、その契約の相手方を
小松
氏に選んだ理由ですが、
小松
氏は初め兵器
処理
委員
で、
あと
では
委員長
であ
つた
と思いますが、もし
委員長
であ
つた
とすれば、どうして
小松
氏が
委員長
にな
つたの
か、その点を
委員長
よりお尋ねしていただきたいと思います。
加藤勘十
227
○
加藤委員長
今お聽きの通り、契約の相手方として
小松隆
氏をお選びにな
つた
ということ、そのことについては兵器
処理
委員長
が
小松隆
氏であ
つた
から、
小松
氏を選んだということになると思いますが、あなたのごらんになるところでは
小松隆
という人がどうして
兵器処理委員会
の
委員長
にな
つたの
だろうか、こういうことについての当時のあなたのお考えを伺いたいと思います。
青木秀夫
228
○青木
証人
これは
委員会
で互選することにな
つて
お
つた
と思います。それで
委員長
になられたと思
つて
おりますが、しかし実際の問題として、その当時
小松
さんは産業團体連合会と申しますか、その渉外
部長
をされておりました。それで経済問題につきまして連合軍との折衝に当
つて
おられたのでございます。そういうようなことも考えられまして互選をされたのではないかと、これは想像でそういうことを申し上げてよいのかどうか存じませんが、そういうふうに考えるわけでございます。
梶川靜雄
229
○梶川
委員
ちよつとそれに関連して
——
この
処理
委員会
をつくるときに、五社をお選びにな
つた
というお話でありまして、その人的構成等については、あなたの方では何ら関與されなか
つたの
ですか。
青木秀夫
230
○青木
証人
別に関與するようなことはございませんでした。
加藤勘十
231
○
加藤委員長
ちよつとお伺いしますが、いろいろ今各
委員
の方からお尋ねになりました中に、きわめてお
答え
が不明瞭な点がたくさんあ
つた
と思いますが、最初政府が
兵器処理委員会
に
処理
を任せるという鉄鋼並びに非鉄金属を合しておよそ百二十八万トンという回收見込数量を出しておられますが、一体百二十八万トンの回收見込量というものは、何を基準としてお出しにな
つて
おるのか、私の聞くところによると、
関係
方面ではおよそ七百万トンのスクラツプがあるという見込みを立てられてお
つた
ということであります。そういう数量については、今お話になるように、向うから返還された、返還されるに
從つて
順次それを
兵器処理委員会
の方に
処理
を任していく、そういう
方法
をと
つた
とおつしやるが、最初の百二十八万トンという数量、その中で鉄鋼スクラツプはわずかに百何万トンに過ぎません。そういう数量はどこから想定されたものであるかということについて、当時あなたはどういう見込みをしておられたか。
青木秀夫
232
○青木
証人
私はその当時この数量については全然見透しがつきませんでした。百二十八万トンということも、私はその当時見込みをつけておりませんでした。ただその当時新聞に出た記事が百万トンくらいあるだろうと出たことを記憶いたしておるのでありまして、内務省として何トンあるだろうということを推定してきめることも、実は困難だ
つたの
でございます。あるいは
商工省
なり何なりでは、大体の目算をつけてお
つた
かもしりませんが、私の所では見当がついておらなか
つたの
であります。
加藤勘十
233
○
加藤委員長
ここに
兵器処理委員会
事務局から、前の私どもの
隱退藏物資
特別委員会
に提出された
昭和
二十一年十月三十一日現在という日附で、業務状況
調査
総括表というものが出されておるが、それによると五社の回收及び回收見込高総括表という表がある、それによりますと、非鉄金属を混えて百二十八万何千トンというものが出てお
つて
、そのうち鉄鋼ストラツプが百何万トンとな
つて
いる。そうすると大体百二十八万トンばかりが見込数量であ
つたの
ですね。そういうことは何も御存じなか
つた
ですか。御存じなければ、ないで結構です。
青木秀夫
234
○青木
証人
私としてはその当時見込みをつけられませんで、わかりませんでした。
足立梅市
235
○足立
委員
もう青木さんに対する大体の
質問
も終
つて
おるように思うのでありますが、一言ここで提言したいと思います。この
処理
につきましては國民の満足のいく
処理方法
ができたのである、こういうような青木さんのお言葉であ
つた
ように聽きましたが、われわれは、この言葉をどうしても信ずるわけにいかないのであります。諸般の情勢から考えてみて、各人の常識で考え、かつまた実際衝に当られた青木さんとしては、そういうようなことは考え得られないものであると思うのであります。われわれの
委員会
を進行する上におきましては、この
証人
の証言というものを第一義にとらなくては、この眞相がわからないのであります。ここにおきまして、われわれはこういう進行の過程において
——
まだ熱さないかしりませんが、こういうような点につきましては、偽証罪で
檢察廳
の方へ適当な
措置
を願うというくらいにや
つて
いかないと、
証人
は順々に自分の心にないことを言
つて
しまして、信頼ができないものだと思います。この点十分お考えを願いたいと思います。
加藤勘十
236
○
加藤委員長
今、足立
委員
の御提義は、きわめて重大でありまして、ただ青木
証人
のお述べにな
つた
ことは、見込みについての自分の御
意見
でありまして、事実の陳述についての相違、虚偽の陳述ということには、すぐには判断はとれないと思います。今後についてはもちろん宣誓が行われておりまするし、新しい法律による罰則規定も設けられておりますから、
証人
の証言は非常に重要性をも
つて
おります。
從つて
私ども愼重に
証人
の証言は聽かなければならぬし、それが意識的に違
つた
——
記憶違いということもないとは言えませんが、事実と違
つた
陳述をされたときには、
証人
は当然その
責任
を負われなければならぬ性質のものであります。今後ともこの
委員会
の運営については、その点十分に注意して、運営に当
つて
いきたいと思いますから、お
含みおき
願います。 ほかに御質疑の方はございませんか
——
それでは青木
証人
は御退席を願うことにします。どうも御苦労さまでございまして。 それからちよつとこの際お諮りいたしますが、いま一人
小松隆
氏が
証人
として出席されておりましたが、もう五時でありまして、青木
証人
に対する証言を求めた経驗から申しましても、おそらく
小松
氏に対して証言を求める時間は、相当よけいとるものと見なければなりませんので、本日はせつかく來ていただいたけれども、お帰りを願
つて
、明日午後一時半からこの
委員会
を開きまして、そこで
小松
氏に再び出頭願
つて
証言をお聽きする、こういうことにいたしたいと思います。それを御承認願いたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
加藤勘十
237
○
加藤委員長
ではそのように計らいます。 —
——
——
——
——
——
——
加藤勘十
238
○
加藤委員長
それから先ほど
鍛冶
君の御
提議
になりました総理大臣祕書と称する者の総理大臣官邸並びに片山総理の私邸を舞台として
詐欺事件
に関して、これをいかに取扱うかという問題があるわけでありますが、これをいかように扱いますか。
梶川靜雄
239
○梶川
委員
これは
理事
会のときにも申しましたが、非常に大きな社会的な影響も及ぼしますし、しかも事の眞相はただ
詐欺事件
という問題でありますので、また実際にも本人はすでに解雇せられていないというような状態でありまして、これは
檢察廳
の方の
取調べ
に一任して、この際本
委員会
としてこの問題を穿鑿するということは、それほど重要性のないものと考えるわけであります。
從つて
委員会
においてこのように
兵器処理委員会
その他の大きな問題が取上げられておるときに、いたずらに横道にそれた問題になると思いますので、これは
檢察廳
の方に
要求
せられ、眞相を調べるということが穏当と思いますので、
委員会
としては取上げない方がいいと考える次第であります。
田中角榮
240
○
田中
(角)
委員
この問題に対しましては、少くとも官印を使用し、首相官邸並びに私邸において起りました
事件
でありまして、しかも現職の人として、在職中の者が
本件
を起しておるのであります。第三者的に見まするときには、当然片山首相にかかる
事件
であると思うのであります。とはいえ、官印の
内容
については、
眞偽
のいかんによりましては、官房長官も当然官記紊乱の
責任
を追究さるべき重大なる問題であると思うのであります。しかも本
調査
委員会
の設置の目的は、
政界
、官界、実業界全般の粛正淨化が根本趣旨であることを考えまするとき、いやしくも政府の最高
責任
者に
疑義
のかかる本
事件
は、当然本
委員会
に上程されまして、至急これが実相の究明に当ることが、当然だと思うのであります。しかもこの問題は、片山総理といたしましても、われわれが常識的に考えまするときには、ただ單に官印の盗用であり、
詐欺事件
であるということが考えられるのでありまするが、一般的世間の
疑惑
というものは、少くとも國会が指名せる首相であり、しかも政府最高
責任
者である首相といたしましても、これを公開し審議をすることによりまして、しかも結末を明白につけることによりまして、
政界
の明朗化ははかられる。私はこの
意味
において、明日の
委員会
にも首相の御出席を求めて、この
事件
を本
委員会
で議決することが最も妥当である、こう思うのであります。しかも、先日原侑君の問題もありまして、非常に
政界
に対して
疑惑
の目をもたれ、特に官記の粛正に対しましては、この問題を手初めといたしまして、最もいい出発じやないか。こういう考えをも
つて
おりますために、ぜひ至急取上げられまして、明日にでもはつきりとした結末をつけられますことが、首相のためにも、またわれわれ議員のためにも非常にいいことではないかと考えますので、私の本問題に対する
意見
を申し述べた次第であります。
河井榮藏
241
○河井
委員
ただいま
田中
委員
は、上杉某が総理大臣の秘書だという前提のもとにお話になりましたが、上杉は全然秘書でも何でもないのです。そしてまた
鍛冶委員
から、片山首相の私邸の玄関で金を渡したというようなお話もありましたが、私、事実聽いたのですが、玄関までも行かないで、單に門前で金を渡したというようなことで、ほんとうにこれはよく市井にありますかご抜け
事件
でありまして、何ら本
委員会
において論議すべきほどの事案でもないし、またそういう人物でもないのであります。かかる問題につきまして、この
委員会
が論議するということは、あまりに小さい問題でありまして、たまたま片山氏の名が出たということにひつかけて、これを問題にしようということは、はなはだ不穏当と考えるのであります。かかる考えから、本
委員会
において審議されることは、全然必要はないと考えます。
鍛冶良作
242
○
鍛冶委員
私は不穏当だということを聽いては、默
つて
おられません。私はこういう問題を大きくしようとも何とも思
つて
おりません。ただ本
委員会
の性質上、この
隠退藏物資
に絡んで
疑惑
があるというならば、どこまでも明白にせよ。また檢察当局にも
つて
いくことを考えることも十分知
つて
おりますけれども、ある筋からいうならば、檢察当局へやる前に、むしろお前らの方で明白にせよと言われておるから、私はこれこそはこの
委員会
で明白にしなければならぬ
事件
だと思
つて
提議
しただけで、不穏当だと言われたのでは、どこまでも爭います。私はこれを問題にして片山氏を傷つけようとも何とも思
つて
おりません。かかる問題をここで伏せてやるということは、かえ
つて
片山氏のためにとらぬ。私はかえ
つて
ここで明白にすることが、いいと思
つて
おる。何もそんな政治上の考えをも
つて
おるのではありません。しかるに何をも
つて
不穏当と言われるか、その点を聽かせてもらわなければならぬ。
佐竹新市
243
○佐竹(新)
委員
私はこの問題は、党という立場でものを考えてはいけないと思います。第一に官印を使
つたの
は、実際に現職の秘書官であ
つた
かどうか。か
つて
秘書官であ
つた
かどうか、こういう点を一應調べる必要がある。いま
一つ
の問題は、官印は実際に盗用したものであるか、あるいは偽造したものであるか、こういうことも一應調べてみなければいけないと思う。これはさつき片山首相をここに呼び出せというお話がありましたが、むしろ官房
関係
に関することであると思いますので、呼ぶならば西尾官房長官を呼ぶ。これを不問に附すというようなことは、われわれは考えないのであります。
高橋榮吉
244
○
高橋
(榮)
委員
これは市井の一
詐欺事件
、かご抜け
事件
であるかどうかということが大体問題で、そうであるかどうかということをここを調べるのが、
鍛冶
君の
提議
の目的だろうと思うのであります。
鍛冶
君のも
つて
おります
書類
を見ますると、官印がはつきり押してあります。それから総理大臣官邸上原蕃、総理大臣官邸上杉達夫という文字は、これは書いた文字ではないのです、判です。印肉ではないのでしようけれども、はつきりとしている。これは木版であるか、もしくはゴム印であるかわかりませんけれども、そういうものをちやんとこしらえてある。それから
関係書類
の電報を見ますると、衆議院内の局から、いくつも打
つて
おるのであります。舞台はすべて衆議院とか首相官邸というふうなことにな
つて
おりまするし、殊にこの
書類
の証明書というものには、「
隠退藏物資
に関しては衆議院
隠退藏物資
委員会
に於て
摘発
処理
する事」などというふうに、衆議院
関係
の文字もはつきり明記してあるのであります。そういうふうな
関係
で、私が解説しますまでもなく、総理大臣官邸の印章が押してあるということは、これはよほど重大な問題にもな
つて
くるのでありまして、今いろいろな人から言われますように、これが市井の一
詐欺事件
、かご抜き
事件
であ
つた
というて、たとえそれであ
つた
にしても、この官印なんかがこんなに濫用せられるとあうことの、官紀粛正の問題もありまするし、いろいろな問題が含まれておると思います。そういうことがはつきりしますれば、かえ
つて
これは官紀粛正のためにもなると思うのであります。それと名刺なんかも、秘書上杉達夫という名刺がはつきりあるのでありまして、この点については、もしこれが当
委員会
に出ていないものでありましたならばともかくでありますが、一旦出た以上は、これを今言われたように、單にかご抜け
事件
にすぎないという一方的な判断によ
つて
審議しないということになりますならば、いろいろな
疑惑
の目が現在不当
委員会
にかけられている。すなわちうやむやにやにすますのではないか、党派
関係
からどろ試合を回避して問題をうやむやにすますのではないかという疑いすらかけられて、新聞紙上にもそれが散見できるような今日でありますから、一旦当
委員会
の問題にな
つた
以上は、どこまでもこれを明らかにした方が、すべての
関係
において得策ではないか。その
意味
で
鍛冶
君の
提議
に賛成いたします。
池谷信一
245
○池谷
委員
私はあえてこの事実を本
委員会
において究明することに反対するものではないのでありますけれども、私の想像するところによれば、これは河井
委員
も申しておりましたように、單なる市井のかご抜け
事件
にすぎないと思うのでありまして、かような
事件
で一々総理大臣であるとか官房長官を本
委員会
に出すということは、あまりに事を重大視するものではないかと思うのでありまして、これはむしろ直接
事件
に
関係
しております上原蕃及び上杉達夫、この両君こそ、最初に本
委員会
に唆問して
取調べ
ることが先決問題であり、それによ
つて
官房長官なり、あるいは秘書に出てもらう必要があれば、そのときに初めて出てもらえばいいのでありまして、私はまず初めに上原と上杉を唆問することを
提議
申し上げます。
加藤勘十
246
○
加藤委員長
いろいろ御
意見
が出ましたように、すでにこの問題が本
委員会
に
提議
されております以上は、これを取上げないというわけにはいきません。この点は取上げるということに先ほども御決定にな
つたの
でありますから、
処理方法
をどうするかということが、今議論として残されている問題であります。
処理方法
としては二つの御
意見
、あるいは強いて言えば三つの御
意見
が出ておると思います。
一つ
は純粹の
詐欺事件
として、そこに氏名を書いておる上杉並びに上原、この両名を喚問して証言せしめるということと、官邸における
事件
で、官印が押されておるという点から、官紀弛緩の問題も起
つて
くるので官房長官に出席してもら
つて
証言を求める。これは議員でありますから、
証人
ではありません、議員としての発言を求めるわけであります。 またいま
一つ
は、事は総理大臣官邸において総理大臣祕書の名によ
つて
行われておるがゆえに、そしてまた片山氏私邸において
——
私邸の入口が玄関かしらぬが、とにかくそういう所で行われておるがゆえに、片山総理大臣もこの際出席して、事態を明瞭にすることこそ、むしろ片山氏個人の信用を確保するゆえんであり、本
委員会
の権威を保つゆえんである。こういう三つの御
意見
が出ておると思います。これを單にかご拔けであるという理由でけで、上杉並びに上原二人だけの喚問では、世間は常識的に納得しないと思います。やはり西尾君なり、片山総理なりの議員としての出席を求めて、この問題に関する発言を求めて、事態を明瞭にする。これを一遍先に調べて、次にというと二度にわたらなければならない。一度でこれは優に済む問題であります。
從つて
明日さいわいに本
委員会
が開かれる段取りにな
つて
おりますから、明日ただちに上杉、上原両名を
証人
として喚問する。それから西尾君なり、片山総理なりは議員として出席して、議員としての必要があれば発言を求める、こういうことにいたしたいと思います。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
鍛冶良作
247
○
鍛冶委員
これは清水祕書官の方がかえ
つて
わかるんじやないかと思います。
加藤勘十
248
○
加藤委員長
それでは被害者と思われる本人、それから詐欺の中心と思われる上杉並びに連名で署名しておる上原、この三名と清水君を
証人
として呼ぶことにいたします。西尾、片山両君は議員として適宜出席して、必要があれば発言をする、こういうことに決定いたします。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
加藤勘十
249
○
加藤委員長
御
異議
なしと認めます。 それでは今日はこれをも
つて
散会いたします。 午後五時二十四分散会