○
田中(角)
委員 先ほどからのむし返しのようでございまするが、私の質問もはつきりしなかつたようでございまして、非常に重要な問題だと考えておりますので、重ねて御質問したいのでございます。先ほどから
宇都宮委員よりお話があり、同じようなことを
田中委員から御
発言もございました。しかも
法律的な立場から
荊木委員からの御
説明もございまして、それは十分わか
つておるのでございまするが、質問の
結論は、本
調査委員会で
決定した
事件に対しての
処理に関する件は、こうしようというように決議されたようでありまするが、私が先ほどから
一つの線を引いておきたいというのは、本
調査委員会と隠退藏
物資処置委員会とは、ちよつと
性質を異にしておるということを、原則的にわれわれは考えなくてはならぬ。それはこの
調査委員会は、
政界の淨化、
官界の淨化ということが
目的で、もちろんそれと同等以上の
効果をもつ
物資の
摘発しかも正常なルートに乘せるというような結果も生れてまいりますが、本
調査委員会の本質的な使命は、
昭和二十年八月十四日以後における不当
財産の
取引を究明して、
政界並びに
官界、財界の淨化をするというのでございまして、私たちはその
処理の
方法を考えるよりも、一番むつかしいのは
調査資料を求むることではな
いかということを、先ほどから考えておるのであります。しかも、その
調査資料を求むることが、
調査委員会の
委員であるからというような考えから、
自分である
事件がありそうだというのでそこへ單独で参る、これはもちろん
委員会調置の
構成から見まして、
委員会において取上げられたもの、つまり
決定されたものに対しては、もちろん
調査資料を要求することができますが、
現実的に考えまして、われわれ
委員が相当大きな、しかも複雜な
方面から
事件を取上げてくる。しかも確信のない、
事件がありそうだというような雜ぱくな
資料に基いて
委員会が
運営されていつたならば、これは泰山鳴動して鼠一匹というようなことになる。時間的にもそういう莫大な
調査は不可能だ。われわれが
委員会にもちこむ、いわゆる
委員会の議題に供し得る議題に対しては、少くともわれわれ
委員自身が相当確固とした自信をもつものでなければならぬと考えるのであります。そうすると、われわれ
委員が
委員会にもちこむ前に、
調査資料を集めるための
権能はどうであるか、それはもちろん
法律的に考えますと、われわれはそういう
個人的な祕密に関するものなどに立ち入る
権能は全然ないのでありまして、こういうところに錯覚を起すと、いわゆる世耕指令という常常にいい例もありまして、こういう前例から見ますと、
調査委員会の
委員として
資料蒐集に対して特異の
権能をもつものでないという前提はわかるのでありますが、そうであると、この
委員会というものは、なかなか
資料を見つけられないのではな
いか。そこに特に
委員が、
個人の利益や
個人の自由や、
個人の権利を侵さない範囲であるならば、
資料を蒐集できるというような
権能を與えられないものか、こういうふうに考えておるのであります。例を申し上げますと、軍需
物資で、航空本部
関係とか東部軍
関係とかいうもので
一つの
資料があ
つて、拂下先その他も大体の
書類はあるのでございますが、それが不当に
処理されておるかということは、その会社につき第二段の
書類を
調査したいというようなことがあるのでございます。この場
委員会の議題に供しておらないものの
資料を集める場合は、
委員会の決議を経てやるということもできないと思いますが、
調査委員会の本質的な使命であるところの
調査資料を求める、しかもそれは議題に上らない、われわれが
調査委員会に
提議する前に
資料を集めるために、特に
権能を與えられな
いか。これは非常に微妙な問題でございま4が、非常に重大な問題でございます。運用すると世耕指令と同じような状態になります。しかも一般
法律の考えから推しまして、われわれが
個人の自由にタツチすることもできないということになると、新聞のうわさとか、すでに
事件が表面に出たものしか、この
委員会の議題にならないというのであつたならば、この
委員会の本質的な使命は果されない。こういう重大な問題でありますから、
一つ大いに御協議願いたいし、また
委員長のお考えも御被瀝願いたいと思います。