○忠
大藏事務官 まず
災害に関しまする所得税の減免の問題でございますが、御
承知のように恒久的な減免に関する法律が出ておりまして、一定の事実が発生いたしますれば自動的に減免の規定が発動されるということに相な
つております。その
災害の場合における租税の減免、徴収猶予等に関する法律によりますれば、
農業所得について申し上げますと、まず二通りの考慮が拂われております。その非常に大きな点といたしましては、
農業関係に必要といたします固定資産が
災害のために減失または毀損いたしました場合には、その資産の損失を必要経費として所得の計算上認めてまいる、こういう方針でございます。御
承知のように資産の減失、または毀損によります損失は、通常は必要経費とは見ておらないわけでございますが、
災害の場合に限りましてこの損失を必要経費と見てまいる、さような特別の
措置を講じてございます。もう一つの問題は、所得
金額が零細でありますもの、大体本年は十五万円と記憶いたしておりますが、その以下のものにつきましては、住宅家財等が
災害によりまして減失または毀損する、これを行政的に申し上げますと、住宅家財の二分の一以上に
被害があつた場合ということに取扱
つておりますが、二分の一以上
災害がありました場合は、所得
金額に應じまして段階を三つにわけまして、二割ないし五割の税を軽減するように相な
つております。まず所得の計算上必要経費に資産の損失を見ることによりまして軽減が行われる。さらに一定の所得
金額以下のものにつきましては、
災害の程度が非常に多い場合におきましては、所得の発生に
関係のない住宅、家財の
被害の面を二割ないし五割減税することによりまして、この際二割ないし五割軽減する。こういう
措置をとることに相な
つておるので次第でございます。なお
被害の
状況によりましては、納期にな
つております税の納税につきましても、納税者の申請によりまして徴收を一定期間猶予する。こういう
措置も講じ得ることにな
つております。この規定は自動的に発動されることにな
つておりますが、所得の計算上の点、それから減免の点、徴收猶予の点、いずれも申告ないしは申請というような納税者意思表示を前提としておる。かような結果に相なります。大体のところは現在の
措置によりまして賄われ得るものと
考えておる次第でございますが、実際といたしましてはこの十月が第二期の申告時期でございますので、現在までにすでに判明いたしました
災害につきましては、その
災害の
状況をある程度実際に実情を把握いたしまして、第二期の申告の際にある程度の適正なる税額がはじき出されるようなぐわいに仕事をも
つてまいりたい。そういうような予定でただいま進行しておりまして、
あとで
災害のためにあまりいろいろな問題を起さないようにという趣旨を
地方の税務署に指示をいたしておる次第でございます。
災害の減免の
関係はさようでございます。
昭和二十三年分の
農業所得の課税につきましては、
昭和二十二年分の
農業所得の課税につきまして幾多の問題が起
つておりますことに鑑みまして、本年はできるだけ実情に合う課税をいたしまして、昨年起りましたような問題を繰返さないというような方針で仕事を進めてまいりたいと
考えておる次第でございます。申し上げるまでもなく所得税は申告納税でございまして、納税者の申告が基礎に相なりまして、これが適正に行われますれば、税務署は一向これに干與する必要はない次第でございますが、その申告につきましても、現在の納税者の実情から申しますと、いろいろ税務署の方から、智慧を貸して差上げると申しますか、ある程度いろいろ御援助申し上げた方がいいという実情がうかがわれますので、農家の申告につきましては、ある程度の目安をお示しする。このような
意味におきまして大体收穫の
状況、あるいは收穫物の價格のきまり方等に應じまして、いろいろ
お話を進めておる次第でございまして、大体申告によりまして課税がすむ、こういう所得税法本來の建前を押し進めてまいることを期待いたしておりますがなおその申告によりまして不適当と認められます場合は、大体は本年十一月ないし來年の一月にかけまして更正決定の処置をとりまして、所得税額を農家から納めていただくかような方針でただいま仕事を進めております。この申告をいたします際、それから更正決定をいたします際にどのよらな基準によりまして課税の目安を定めるか、これが根本の問題であろうと
考えております。この点につきましては農家の收支の実態が戸別ごとについてわかりますればこれが最も適当でございますが、実情は
個々の農家の所得を
調査することが困難でありますのである目安にある、こういうような從來の
方法を一應は踏襲できるつもりでございます。ただしこの目安が非常に機械的でありまして、しかも
融通性がない、この点におきましていろいろ各
地方におきまして問題が起
つております実情に鑑みまして、できるだけ目安の立て方をこまかくいたしまして、しかも精密にするような方針を立てまして、ただいまその方向に從
つて努力を続けておるような次第でございます。なおその目安を立てる際におきましては市町村、
農業團体の方の
意見を拜聽いたしまして、その御支援なりいろいろな御援助によりまして、できるだけ適正と認められるような目安を立てたい。かような方向で進んでいる次第でございます。大体のところは本月の二十日前後の全國的な目安が定められるようにしたいと思いまして、
せつかく努力をいたしておる次第でありますが、できるだけ農事
関係の事情に精通いたしました官公署
方面、それから実際農事に
関係しておられる方々の御
意見を入れまして、できるだけ適当な目安を立てる、かような方向によりまして一方仕事を進めます同時に、一方は各農家の
個々の
農業経営の実態を、かような
農業関係の方々からお集めを願いまして、それによ
つてできるだけ機械的な、あるいは
融通性のないような結果に陷らないように注意する、かような方針をと
つておる次第でございます。
なお問題といたしましては、一部の税務
関係を離れましたところ委員会のようなものを設けまして、その委員会の
調査なり査定によりまして、
農業所得の目安を定めるという方向につきまして、いろいろ各
方面から御
意見がある次第でございますが、この点につきましては
農業所得税といいましても、やはり所得税の一環でございますので、
農業所得者、つまり
農業者が自主的に所得税法に定められました納税義務を果してまいるというのが建前でございますので、民主的な税制というようなことを
考えます際に、多数の人がある話合を進めまして課税してまいるということを民主的と
考えるのではございませんので、納税者が自己の責任において自己の納税を果してまいる、これが民主的な税制というように
考えておりますので、納税者が一日も早く一本立ちにな
つて、適正な申告あるいは納税ができる、かような点から申しまして、委員会にかけてこれを定めるというような方向は実現することが困難であろうと
考えておる次第でございます。その委員会なら委員会の議に付するという代りに、
農業関係の非常に御熱心な方、農地
関係に非常に精通なさいました方にいろいろ御援助いただきまして、その個別的な方々の御援助によりますところの資料を総合的に利用いたすことによりまして、大体委員会
制度として
考えられておるような点を結果において実現してまいりたい、かような方向でただいま
考えておる次第でございます。大要以上の通りでございます。