○平工委員 ちよつと農地部長にお伺いいたしますが、今度農林
委員会からの視察で東海地方に参りましたときに、新聞をでかでかと賑わしてお
つた三重縣の農地改革は不都合ではないかと思われる事件が新聞に載
つておりましたがために、抜打ちに私は視察をや
つてきました結果の概略を簡単に申し上げて、これに対して農地部長の御
意見を伺
つておきたい。三重縣の志摩半島の一町先で、きわめて不便な所でございますが、ここは
農村でありまして、耕作反別はみな平均して一反歩くらしいかも
つておらない。しかもその七、八百戸というのは農業、漁業の兼業でありまして、一戸平均が一反歩くらいの所であります。そこでも
つて七反一畝歩という土地が町はずれの所に固ま
つております。そこに今度は町役場、警察署、公民館等をつくるという名目によ
つて、農地改革を阻害するためにそういう問題を利用しておるのであります。農地
委員会の会長及び農地委員が地方
事務所が地方
事務所の農地課長に聴いてみましても、縣の農地部の書記長に聴いてみましても、志摩郡の農地
委員会長及び農地委員たちは、最も正しく農地
委員会を運営して、正常の
仕事をして何ら落度がないにかかわらず、当局の方から一挙に町民大会を開き、それからリコール大会を開いてリコールをや
つてしま
つた。リコールをや
つたまではよいけれ
ども、それをよく調べてみると、知事や農地部長が、こういうリコールをや
つてよいか悪いかということを相談を受けたので、実は知事や農地部長の了解済で、打合せの上でリコールをや
つた、
農民組合から選挙された者だけは全部一人残らずリコールされてしま
つた、農地改革妨害のためにリコールをや
つたと断定せざるを得ぬ次第であります。私は時間がなか
つたからつぶさには調べませんが、何がためにそういうことをや
つたかというと、一石二鳥であります。賀川豊彦先生、杉山さん、河合義一さん等が手塩にかけた三重縣の
農民組合の発祥地とも言われるその支部をつぶしてしまう
方針で、そういうことが行われたのであります。それからもう
一つは一反数百円で小作人に買われてしまう土地を自作人から取上げたり、今度の農地改革から除外したりすることによ
つて、一反十数万円の格價をこしらえ上げて、地主の利益を確保することと、
農民組合をつぶすことと、一石二鳥のために波切町の農地
委員会がリコール制をやられた。それについては私はいろいろな角度からこれに疑いをも
つておるのであります。少くとも日本の民主改革、農地改革を真正面から妨害しようという行為だという認識をも
つて帰
つたのであります。かようなことを捨てておいては今後ゆゆしき問題であります。日本中どこでもでありますが、日本は観光土地だ、だから観光施設をというので、いろいろ競馬会をつく
つたり、一箇所でよいところに二箇所も三箇所もつく
つたり、遊覧施設をこしらえたりするということのために——、いたずらに市の発展、町の発展ということによ
つて農地改革を蹂躙してしまうということが、全面的に
一つの兆しを現わしておるときに、こういうことをしてはいけませんから、農地
委員会としても深い覚悟をも
つて私
どもにも協力させてもらいたい。もう一遍徹底的な査察をや
つて、こういう問題について認識をし、何人か農地改革のための罪人を摘発する必要があると思う。それをやらなか
つたら始末に負えぬと思う。もう三重縣地方にはかような幾多の農地改革の不法、違法等があると思うのであります。私
ども三重縣の農地
委員会のやり方が信用ができないと思うのは、かような大事な問題を十票対十票で議長が一票を加えて、一票の差で今回農地から離してしま
つて、直接それを地主の土地にしてしま
つたということはゆゆしき問題でありますために、この問題については、徹底的に調べれば何ものかきずがある、農地改革の妨害のためのきずでなければならぬと思いますがために、これについて農地部長は、徹底的にこれをあばくというような目的で視察をしていただきたい。それからもう
一つ、それについてどういうお
考えをも
つていらつしやるかを尋ねるのであります。
それからもう
一つは、日本全土の農地
委員会の職員さんたちが非常に脅えております。いろいろ個人的に話せば部長の腹の中もよくわかりまして、これを知れば安心すると思いますが、何とか急速に、今の農地
委員会の職員さんたちが安んじて
事務に精進がなし得るように、近いうちに安心せしめるように、現在農地部長として
考えておられることを、速やかに達示をしていただきたいと思いますが、こういうことについてどのような
措置をとられるかを身近に伺いたいと思います。以上お尋ねいたします。