○綱島
委員 ただいまの
肥料は一例でございますが、実は昭和電工の問題その他いろいろの問題がございますことは、多分御
承知と思いますが、それらはことごとく農村の状態に対して非常に背馳した線で行われておるのであります。実は特殊なる技能があるゆえに、もしくは世界的競爭をしておるがゆえにということで、いろいろなロスが起
つておるのではなくて、農村と遊離したる点で、復金の特別なる融資を受けたりして、ついこの間までは火藥製造会社であ
つたものが、ただ一部分を変えて
肥料会社にな
つて、そうして便乘して、今度はまた某省と結托していろいろ
なつまらぬことをするということから起
つておるので、私
どもはこういう線が解決いたしたならば、
肥料などはもつとずつと安くできると思う。実際を申しますと、戰爭前の設備よりもかえ
つて戰後の方が設備が進んでおるにもかかわらず、
生産は三分の一に及ばない。從業員などを調べてみますれば、おそらく戰時中に必敵する從業員がいる。
生産は三分の一にも及ばない。マツカーサーは、國家の要請で
肥料原料輸入をしなければならぬものなら、
肥料原料二百万トンくらい輸入してもよいという意向を漏らされておると聞いておりますが、そういうことがあるにかかわらず、今日のごとく
肥料原料品の輸入にも及ばないほどの
生産しかないのでありまして、こういう点はま
つたく農村と
肥料生産とが遊離してお
つて、しかも
農業生産復興の美名だけをかち得たということにな
つておると思うのであります。こういう点については、ただ單に
通り一遍の自由競爭が大切だとか、特殊の技術が要るということよりも、もつと大切な基本的な線を
考えていただきたいのであります。
それから第三点は
農民生活確保の点であります。これについては、この
法案をお出しになるについては、この
法案の中にどうしても織りこんでいただかなければならぬ、これは
委員の皆さんにどうしても御了承を願わなければならぬことは、もしこの
法案を通すとするならば、この
法案の中に保有米優先確保の
規定をどうしても織りこまなければならない。実際から申しますと、農村においては、政令を見れば保有米を割いて出す
理由はない、
從つて還元米ということはあるわけではないのでありますけれ
ども、実際は農村ではみな出しておる。たまたまどうかした者がやみをや
つたり、保有米をも
つてお
つたりして、進駐軍が來て、たれかが縛られてい
つたというようなことがあれば、もう村中がおびえてしま
つて、なくてもよそから借りて出すというようなことで、私
どもが保有米というものは優先的なものだと言
つても信じない。ぼくらがそういう演説をして帰ると、
あとから警察の者が來て、綱島代議士が
供出阻害の演説をや
つたそうじやないかと、あつちこつち聞いて歩く。そうすると綱島に禍いがかか
つてはいなぬというので、綱島は決してそういうことは言
つていないと言
つて、みな借りて出してしまう。こういう実情でありますので、どうしてもこれは積極的にわかるように明文化してしまわなければ、
農民はそれを確保するだけの実際の知識をもたないのであります。昔、本郷の元富士小学校に遊動円木があ
つて、それが二、三箇所腐
つてお
つたために「乘
つてはいけません」というはり氏を片かなで出しておいた。それに一年生の兒童が二人乘
つて死んだことがあります。そこで損害賠償で訴えた。一審も二審も、管理者が適当な管理をしたから損害賠償にはならないということでありましたが、大審院はそういう子供の場合にははり氏ぐらいではやめない。それをはり氏だけしておいたのでは管理者の義務違反であるということで、東京市が負けて二万円の損害賠償をしたという事件を、私
どもが担当したことがあります。そういうように、百姓は子供のようなものである。政令を見ればわかるのですが、決して百姓は見ないのですから、それは利益にはならない。もしこれをやるとするならば、優先確保の
規定を、二重になろうが三重になろうがかまわぬ、第
一條でも何でもかまわぬから、はつきり前書きにでも挿入しなければ、この
法案を通すことは絶対まかりならぬ。もしそうでなか
つたならば、これは百姓の実情を知らぬものであります。この点
当局はどういう御
意見ですか。