○重富
委員 今のお答えで御意思のほどはわかりました。次にもう
一つ質問いたします。それは三月二十二日付答弁第三号によりますと、
政府は
農家の保有優先とか、還元配給には法的根拠はない。明らかにそうした面におきましては、
農業者の食生活を保障する法的根拠はないのであります。
政府はやはりその御答弁の中から見ますと、行政上の手心でやる。すなわちお情米
制度であるということが明らかにな
つております。そのためにみずから他人の消費するものまでつく
つた生産農家が、他人の消費する分までつく
つたがゆえに、自分の食う
食糧は一粒もなくなる状態が出現しておるのが今日の状態であり、そのことは本
会議でも私の
質問に対して、
大臣ははつきりと確認をしておられるのであります。こうした裸
供出の事実を確認をしておられながらも、なお
法律上この
保有米還元に関する保護を加えようとする御意思がないのは、はなはだ遺憾に思うのでありますが、この点はぜひ何とか
考えなければならぬと思うのであります。鈴大國務
大臣は、裸
供出は憲法第二十五條違反ではないということを私に申されたのであります。それは
割当の不公平問題であるからと言
つてお
つたのであります。かような人がおられますから、なおさら
農民の食生活、明瞭に法文をも
つて保護してもらわなければならぬと思うのであります。それをあなた方の方から申されますと、
事前割当をするから今度はないとか、また
追加供出をしないから今度はないとか申されますが、去年の三千五十二万石でさえ五百万石の還元要求があり、百六十万石の還元をしたのであります。今度は三千二百万石にな
つております。一割
増産ということは、現在のところでは私はかけ声のみに終るのではないかと
考える点があるのであります。そういたしますと、最大限度にまで
割当てておいて、そうして
追加供出をさせない。当然なことであります。また
事前割当をするから、そこで努力すれば自分の
保有米はあるということであります。けれども、なるほど努力すればあるかもしれませんが、今までも言
つておられましたように、公平なる
割当が
できないからこういう問題が起るというのであります。ところがその公平なる
割当が
できるかということになりますと、あなた方の
お話によりましても、それはとうてい
できない。現在のデーターでも
つては
できないということをはつきり言
つておられます。またサンプリング・システムによる昨年の実收高に関することは詳しく聽いたのでありますが、このサンプリング・システムによる実收調査、あるいは
作付調査、こういうことに対しましても、統計局はまだ実用に供するだけの自信がないということをはつきり言
つております。そういたしますと公平なる
割当は
できない。
できないということになれば、やはり裸
供出をする
農家が相当に出てくるということは、はつきりいたしております。過去におきましてもそうでありますが、たといこの
法案が通過いたしたといたしましても、依然として裸
供出はあり得るのであります。公平な
割当が
できればいざ知らず、
できない。あなた方もそれを言
つておられます。またサンプリング・システムの調査は、当局も自信がないと言
つておるのであります。そういうふうなことになりますと、生活を保持するための
保有米を
確保することにつきましては、どうしても法的保護が必要だと思うのであります。一人の
犠牲者でもこの点においては出してはならないのであります。ところが、とかくかように申しますと、それは異例である、特例であると言われます。常に量的な問題として
考えられる。しかしこれは生命を保持する問題でありますから、質的な問題であります。量ではなくて質の問題であります。一人でもこのために生命を脅かされる者があ
つてはならないのであります。そういう意味におきまして、どうしても
保有米を
確保させるという法的根拠をこれに与えようとされないのか。この点をお尋ねいたします。