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1948-06-21 第2回国会 衆議院 農林委員会 第22号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十一日(月曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員   委員長 井上 良次君    理事 岩本 定正君 理事 森 幸太郎君    理事 佐竹 新市君 理事 永井勝次郎君    理事 鈴木 強平君 理事 荻原 壽雄君    理事 北  二郎君       小川原政信君   小野瀬忠兵衞君       佐々木秀世君    重富  卓君       田口助太郎君    野原 正勝君       松野 頼三君    八木 一郎君       山村新治郎君    渡邊 良夫君       河合 義一君    清澤 俊英君       黒田 寿男君    成瀬喜五郎君       野上 健次君    溝淵松太郎君       守田 道輔君   青木清左ヱ門君       神山 榮一君    関根 久藏君       中垣 國男君    坪井 亀藏君      的場金右衞門君    平工 喜市君       松澤  一君    森山 武彦君       大瀧亀代司君  出席政府委員         農林政務次官  大島 義晴君         農林事務官   山添 利作君         農林事務官   遠藤 三郎君  委員外出席者         農 林 技 官 齋藤 弘義君         專門調査員   片山 徳次君         專門調査員   岩隈  博君     ――――――――――――― 六月十九日  綜合開拓計画樹立に関する請願黒田寿男君廉  二名紹介)(第一四九号)  米價並びに農産物價格改訂に関する請願(黒  田壽男君外二名紹介)(第一五〇八号)  米單作地帶に対し補給金交付に関する請願(清  澤俊英紹介)(第一五〇八号)  農業協同組合運営強化に関する請願黒田壽  男君外二名紹介)(第一五一〇号)  茨城縣下の麦の病害に関する請願石野久男君  紹介)(第一五一三号)  茨城縣下雹害救済に関する請願石野久男君  紹介)(第一五一四号)  同(原彪君外一名紹介)(第一五一五号)  廣島市の農業水利事業費國庫補助請願佐竹  新市紹介)(第一五一六号)  小貝川水源地荒川地内山林開拓中止請願(  小平久雄紹介)(第一五四七号)  農業協同組合会連合分立反対に関する請願(  堀江實藏君外一名紹介)(第一五六号)  農業協同組合連合会分立反対並びにそれ取扱  物資制限反対請願黒田寿男君外二名紹介)  (第一五六四号)  薪の大口消費團体荷受機関指定請願(長谷  川俊一紹介)(第一五六六号)  灌漑排水用電力料金國庫補助等請願本間俊  一君紹介)(第一五八〇号)  印旗沼手賀沼沿岸における山林濫伐禁止の請  願(竹尾弌君外二名紹介)(第一五八一号) の審査を本委員会に付託された。 六月十九日  農業災害補償法に関する陳情書  (第七三五号)  薪炭配給機構改革に関する陳情書  (第七四六号)  治山事業拡充強化に関する陳情書  (第七五五号)  木炭事務所廃止反対陳情書  (第七六四号)  森林行政の確立に関する陳情書  (第七六九号)  米價改訂等に関する陳情書(  第七七〇号)  米價改訂等に関する陳情書外十八件  (第七七八  号)  薪炭生産確保に関する陳情書外一件  (第七八二号)  供出制改革に関する陳情書  (第七八四号)  米價改訂等に関する陳情書  (第七九一号)  豊前海干拓事業施行促進陳情書  (第七  九三号)  町村農業調整委員会長の選任に関する陳情書  (第八〇二号)  蔬菜等統制撤廃に関する陳情書  (第八一〇号)  主食配給の改善に関する陳情書  (第八二一号)  雹害復旧援助に関する陳情書  (第八六四号)  旧川西航空機会社土地農地指定反対陳情書  (第八六六号)  甘藷の供出割当減免に関する陳情書  (第八八二号) を本委員に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  獸医師会及び装蹄師会解散に関する法律(内  閣提出)(第一四二号)  家畜傳染病予防法の一部を改正する法律案(内  閣提出)(第一四八号)
  2. 佐竹委員長代理(佐竹新市)

    佐竹委員長代理 これより会議を開きます。  獸医師会及び装蹄師会解散に関する法律案及び家畜傳染病予防法の一部を改正する法律案を議題とし、その質疑にはいります。坪井君。
  3. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 ただいま質問いたしました答弁の中に、三人の評價人をつくつて、その病氣にかかる前の價格を算定し、それによつて三分の一とかあるいはまた二分の一とかいう、補助額決定する。なおまたそのときには、経費もないから家畜主にその一部を負担させるということが当然であり、なおまた前からそういう例によつておるということを言われましたが、これは過去は過去でありまして、ここに家畜傳染病法の一部を改正するということにおいては、当然これは被害があつた場合においては——農業災害におきましては被害の割合の程度において、自然の力においてかかつた者ですら九割までの補償がされるのであります。天然的に、あるいはその他一切人為的でないところのいわゆる自然の力によつてさえ、その補償が九割までされておるにもかかわらず、これが傳染病法として、しかも國家がこれを取締り、これを処理する。しかも命令をもつて家畜を殺さしたときには、当然これは全額國家補償すべきである。決してその何分の一とか、あるいはまたこれは畜主にその責任があるから、その何分の一負担させるとか、予算がないとかいうことは、これはまつたく過去の封建的な考え方であつて、これは今後どうしても是正してもらわなければならぬと考える。この点をひとつ大島農林次官にお伺いいたしたい、どこまでも私は、この法をもつて屠殺した場合においては、國庫が当然全額負担をやるべきだ。しかし評價については嚴正を要するということを申し上げておきます。この点について御意見を伺いたい。
  4. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 ただいま傳染病にかかつた家畜を屠殺する場合には、その補償全額國庫負担にしたはどうかというような御意見であります。まことにごもつともでありますが、さて今坪井さんからも御指摘のありました農業災害補償法におきましても、損害全額補償しておるわけではないのであります。かかる災害に対する國家補償方法として、できるだけのことをいたしたいという考えでいたしております。しかも傳染病におきましてはあるいは相当の注意、努力が行われれば、うる程度まで免れる点もあろうかと考えておりますので、將來日本の財政の均衡でもとれます場合には、お説の通り方法考えられるでありましようが、今のところにおきましては、財政的な関係と各般の事情から、この程度補償活大体御了解を願いたいと考えております。
  5. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 ただいま大島政府委員から、ほかの災害でも、その比率によつて全額ではないというお話でありますが、もちろん九割までではまだ一割足りませんが、こうした家畜傳染病をそのまま見飛して、これが次々と傳染を受けて家畜が斃死するということが起つてきた場合に、費用がないから何分の一しか補償ができない、またそのときに評價人が立会つてやると言うが、その評價人も、死んでから行つて評價したところでこれはわからぬわけであります。その價格たるや前提は時價ということに想像されますが、時價という言葉さつき聽かなかつたけれども、かからなかつた前の当時の時價といいますか、一般の相場がある程度はつきりすれば納得できますけれども先ほども申し上げまたしが、その價格算定基礎をどこに置くか、それが不明瞭になつておりますから、これをひとつはつきり願いたい。評價人が、経費がないからと安く評價すれば畜主は泣き寝入りということになる。そうばかなことはない。結局一定の生年月とか、あるいは用途によつて非常に上下があろうと思う。豚でも肉用にするとか、あるいは種豚用にするとか、あるいは生後何箇月はどうとか、体重によつてどうとか、そこにおのずから基礎がなければならぬ。基礎なしの漠然と評價人寄つて、これがかからぬ前はこの價格つたろう、だからこれでよろしい。一部は畜主負担だ。それで結局時價の数分の一にしかならなかつたというような、強制的に大損をさせられることがなきにしもあらずで、その点を私は憂慮いたしますので、この点をはつきりお伺いしたいと思う。
  6. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 ただいまの屠殺に関する評價についてのお尋ねでありますが、評價に関しましては、地方長官はあらかじめ三人の評價人を選定しておきまして、これによつて評價をいたすのであります。評價基準につきましては、おそらくこれは社会通念基礎といたしまして、そのときの家畜價格をこれらの人々が判断して、これを決定することになつておりますが、しかしその三人の人々評價がきわめて不当であるという場合には、さらに他の三人に評價さしてこれを決定することにいたしておりますのと、もう一つは、この際附け加えて申し上げておきますと、いずれにしても流行病にかかつた家畜を屠殺した場合に、被害者相当家畜を屠殺した場合に被害者相当の御損害が起るであろうということは考えられるのでありまして、損害全額がこれによつて補償されるとは考えておらぬわけであります。この点あらかじめ御諒承を願いたいと思います。
  7. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 家畜保險にはいつた場合に、もし強制的に屠殺した場合には、その家畜保險失済金は受けられるかどうか、これを伺います。
  8. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 強制的な加入による災害保償による場合には、もちろんその災害補償のきめられておる範囲内において、また別途の補償があると思うのでありますが、もし二つの場合の想像すれば、これらを合計したその補償社会通念基礎とする價格を超えた分について、これは支拂われないものではないかと考えております。
  9. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 結局評價額までは一方において補償されて、そのあとの足らぬ分だけは家畜保險の方でこの金額に対する分は受けられる、こういう意味考えていいわけですか、その点をお伺いいたします。
  10. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 家畜保險にはいつておられる場合には、その保險金額がまず計算の対象になります。そしてその保險金で不足である場合に、また別な方法での本法による補償が行われる。しかしながら両者を合せて得る補償社会通念基礎とする時價を超えるほどに至らない、かように御了承願いたい。
  11. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 獸医師会及び装蹄師会が今まで強制的のもので、独占禁止法に反するので、今度これを社團法人にして民主的にすると言われますが、社團法人にすればどうして民主的になるか、この点について御説明願いたい。
  12. 遠藤(三)政府委員(遠藤三郎)

    遠藤(三)政府委員 從來團体はきわめて強制力が強くて、設立強制であるし、加入強制であります。それを民法社團法人でやつてまいりますれば、設立も自由でありますし、加入ももちろん自由でありまし、しかも社團法人一般原則從つて、それぞれ社員の総合等の形できわめて民主的な運営ができる。こういう意味民法社團法人で、自由意思によつて設立させるという方向にもつていきたい。こういうお考えでいるわけであります。
  13. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 自由意思ということは非常に結構でありますけれども、結局看板塗りかえに終りはしないか。過去にこうした強制力をもつたいわゆる封建的な組織があつて、今度は加入脱退は自由で、みんな自由意思に基くもので、表面はそうであるけれども、実際的にこれにはいらなければ、結局営業していく上において困る点が相当多くはないかということになつてくると、表面はいいけれども、実際の面において看板塗りかえになりはせぬか。私はこうした社團法人というような法人格でなくて、もつと任意的のものにしたらどうか。もちろん事業團体というわけにはいかぬだろうと思ますけれども、しかし会員相互連絡をとる上においては、こうした一つ法的根拠をもつた社團法人よりも、任意組合でゆく方がむしろ民主的にゆきはせぬか、すべての点を束縛されないのではないか、かように考えますが、この点の見解をお伺いいたしたい。
  14. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 ただいまの獸医師会装蹄師会解散するというのは、御承知の通のこの会は組織がすでに強制的でありまして、加入もまた強制的でありますので、民主主義國家建設の上に、あくまでも政府強制によつて加入脱退せしめることは、新憲法下の精神に反するものであります。從つてこれを解散し、そうして新しく社團法人で、自由な立場において加入できるという建前をとるにすぎませんので、むしろ私は、こういう関係に置かれることこそが團体をつくる基本的な考え方でなければならぬと考えておりす。
  15. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 私は過去のものがそうした強制的のものであり、またそうした束縛をしておつた、そして今度つくるものが獸医師のまた装蹄師意思によつて、いわゆる社團法人にしようと何にしようと、それはその人の意思に任せたらどうか、こちらから社團法人を指示するというのは、私はすでにある程度強制をするというふうなことに考えられますが、この点をどう思うか、一つはつきり御指示を願いたい。
  16. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 実は政府では新しい社團法人強制しているわけではない。むしろそういう事業に携わる人々が、社團法人にして業界発展と、それらのもつ役目を十分に発揮したいという陳情あるいは意見等の開陳がありましたので、こういうふうにいたしておるわけでありまして、もちろんあなたの指摘せられる通り過渡期においてはいろいろな現象が起るだろうと存じますけれじも、それは一時的な過渡期現象であつて、少しく時間をもつていたしまするならば、あなたのお考えになられるような、理想的な團体ができ上るものと固く信じて、本法案を提出した次第であります。
  17. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 装蹄師法の第一條に、主務大臣免許を受けた装蹄師名簿登録を受けなければいけない、そうして装蹄師免許を受ける者には左の各号の一に該当する資格を有することに要するとして、一からずつと五まであります。その次に、第一項の登録及び前項第一号の装蹄師試驗に関する事項は命令をもつてこれを定むる、こうなつておりまするが、この命令をもつてこれを定むるという範囲はどの程度であるか。結局過去にやつている者がどのくらい含まれるとか、あるいは優先的に全部無試驗でいくのか、こういう細部の点でありますけれども、規則から見ると、相当これは天降つているように思われますが、この点について御説明願いたい。
  18. 齋藤説明員(齋藤弘義)

    齋藤説明員 この装蹄師法装蹄師会設立に関する規定と、装蹄師会に関する規定を今度の法律で削除するようにして、從來通りのままでしばらくまいります。もちろんこの委託の中に陸軍部隊とかいろいろございまして、現在ちよつとぐあいの惡いところがございますので、これも將來改正しなければならないと思いますが、從來のものが資格がなくなるとか、そういうようなことは今のところございません。
  19. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 その点についても、私はちよつと矛盾を來すのですが、過去のこうしたすべてのものを強制的につくらせた、なおまた今回はこれを民主的にして、すべてを改訂いたしたい、こういうときにおいて、結局新たに今後加入するとか、あるいは装蹄師になろうという者についてのみ改正を加えらればよいと私は思いますが、結局現在のものは現行通り簡單考えればよいと思う。結局この内容については、改廃したところが私どもにはちよつと納得ができませんので、今質問いたしておるのでありますが、結局この條項は全部過去の法律においてはあつたものですが。
  20. 齋藤説明員(齋藤弘義)

    齋藤説明員 この法律関係の中で削除しますものは、装蹄師会規定だけであります。從來装蹄師免許基準とか、あるいは、試驗だとか、そういうものは從來通りであります。從來装蹄師免許をとりまして装蹄師になりましたならば、装蹄師会というものに絶対に入会しなければいけないことになつておりました。それを止めまして、その装蹄師会というものをなくすのでありますから、今度装蹄師自分が会にはいろうと、はいるまいと、あるいはまた会をつくりたければ、全然この法律によらない会をつくろうと自由なのであります。但し装蹄師の業を行うのには免許をとらなければならぬ、これは從來法律がそのまま生きております。
  21. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 ちよつとお伺いします。獸医師会さつき言つたよう社團法人にする、また希望がそうだからというお話がありますが、この装蹄師の方はどういう関係におかれておりますか、これをお伺いいたします。
  22. 遠藤(三)政府委員(遠藤三郎)

    遠藤(三)政府委員 装蹄師会についても、装蹄師関係の方々は社團法人をつくつていきたい、こういう希望をもつております。私どもの方としましては、何をつくれるとか、かにをつくれというようなことを指示しないで、先ほどから御指摘がありましたように、今までの装蹄師会獸医師会看板塗替えに終らないように、まつたく自由につくつていただけるという考え方で進んでおります。從つて装蹄師会においても、今の情勢では社團法人をつくつていくという希望で進んでいるようであります。
  23. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 お伺いいたしますが、立場は自由だ、しかし希望があるなら、こうした社團法人によつてつくつていくことが望ましいという御意向でありますが、今まで政府としては、過去には強制的に過去の法律においてその両團体をつくらした、これに対する助成金と言いますか、補助金と言いますか、強制的につくらしたならば、政府はこれにどういう恩惠を與えていたか。將來はまたこういう社團法人が二つできて、これを指導育成、あるいはまたどうしてこれを盛上げていくか、こうした一つ経費というようなものがどんなぐあいになつてつたか、その点をお伺いし、將來はこうしていきたい。何かそこにそうした恩惠、特典があるからこうしたものをやつていきたい。こういうことがあるのではないかと私は思いますが、その内容をひとつ御説明願いたいと思います。
  24. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 獸医師法でも、あるいは装蹄師関係におきましても、從來とても別段に補助政策はとつておりません。ただ講習会であるとか、特にそういう方面技術向上に関する計画等のある場合には、その都度補助金を出すとか、適当な方法を講じて助成してまいつているようなわけでありますが、今後としても、やはりそれと同じ方針で、技術向上に関する特殊な講習会とか、あるいはそれに近いような御計画がある場合には、できるだけの便宜を與えて、それらの業界のもつ技術向上協力いたしたい、かように考えております。
  25. 坪井委員(坪井亀藏)

    坪井委員 畜産振興の見地からみまして、私は將來とも、ややともすると獸医師とかあるいは装蹄師とかいうようなものが、地方的におりまして、畜産家に対して親切が一般的に欠けていると言いますか、自己の方に專念して、ややともすると畜産の増産というような方面に、比較的協力が少かつたように思える。この際にはひとつ思い切つて政府——こうした一つ機関ができたならば、あと指導費とか將励金とか、あるいはまた再教育と言いますか、言葉は惡いけれども燒直しとも言われますが、ここに思い切つて技術を十二分に再確認してもらつて、そうしてなるほど畜産の増殖に獸医はなくてはならぬものだというような、唯一無二機関としてもらいたいと思う。これが過去においてはあまり重宝がられなかつたというような欠点が、私は相当あろうと思う。どうかこれはこの際において、こうした一つ改正をするときにあたつては、眞に民主化して、まつた家畜者にはなくてはならぬ都合のよいものだということと、いま一つは、医者はあつてもよい藥がない。藥があつても非常に高い。そうして診断料その他が相当高價になるというようなことであります。むしろ最近においては、人の病氣よりも家畜病氣の方が、畜主になつてみると、むしろ價格が高いために大事がられるというような弊がある。そのときにおいて獸医師の方は、自分の牛や家畜じやないから、これで何とかなるだろう、これでもやつてみようというようなことで、しかも夜ではいかぬとか、あるいはあれでは、これではと言つているようなことが、全國的ではないか思う。一般医者もそういう弊があり、夜出れば追はぎに遭うというようなことが相当ありまして憂慮されましようが、そう忙がしくたはたまらぬからというようなことで、車をもつてくるというようなこともありましようが、どうも弛緩している傾向があろうと思う。この機会において大島農林政府次官は、どういう考えをもつてこれに対処するか。法規の改正と同時に、畜産振興の線に沿う獸医師なり装蹄師というものを、今度どう指導し再教育されていくつもりか。ただ從來通講習あるいは講話等をやるのみでなく、もう少し意義のある実質的な方法はないものか。かように考えておりますが、これについての大島政務次官の御意見をお伺いいたします。
  26. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 獸医師地方におつて非常に高い藥價をとるとか、あるいは夜間呼ばれた場合に出ないとか、いろいろ御指摘があつたようですが、私は地方にまいりました講演いたしておる中でも、いつも言つておるのでありますが、將來日本農村有畜農業でなければならない。有畜農業をすることなくして、農村経済恐慌対策というものはまず考えられない。これほど私も主張いたしておりまするし、特に畜力を高度に利用することが農村の刻下の急務だと存じておりますので、これらの面には相当努力をいたす考えでおります。なおまた装蹄師会獸医師会だけがその面を担当するのではないのでありまして、装蹄会獸医師会とは、その役割一つを果しているにすぎませんので、すべてのものをここに集中するということにはならぬのであります。從つて有畜農業を奨励する建前からも、これら両者のもつ役割が非常に大きい、從つてできるだけこういうものを発展助長せしめて、御指摘通り役牛病氣にかかつた場合には、あるいはその他の家畜病氣にかかつたような場合に、できるだけ速やかに往診するように、私どもといたましても通牒も出して督励いたしておりますが、いかんせん道義の頽廃せる今日におきましては、なかなか中央の指令通りにもまいつおらぬ傾向があるのは、はなはだもつて遺憾千万のことと存ずるのであります。しかしながら、ただちにやらねばならぬ有畜農業のその一環をなすこれらの仕事といたしまして、相当どもも重視いたしまして、これらの発展助長には十分の御協力を申し上げるということを申し上げて、御了解を得たいと思うのです。
  27. 佐竹委員長代理(佐竹新市)

    佐竹委員長代理 この際お諮りいたします。清澤委員より米價問題について緊急質問の通告がありますが、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 佐竹委員長代理(佐竹新市)

    佐竹委員長代理 御異議なしと認めましてこれを許します。清澤君、簡單にやつてください。
  29. 清澤委員(清澤俊英)

    清澤委員 新聞などで見ますると、最近米價がきまるような報道を受けておるのでありますが、かつて会議において、米價のきまる前には、一應委員会にその内容を知らせるというお約束政府当局とできておるのでありまするが、そのお約束とはなはだ間違つた方向にいつておるのではないかと思いますので、もしそういう情勢があるなら、決定前に、必ず本委員会に一應お諮りを願いたいと思いますので、それらの状況について大島政務次官から責任ある御答弁をしていただきたいと思います。
  30. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 米價決定の問題につきましては、先般來大臣からも、特に祕密会までお願いいたしまして、詳細に御報告申し上げたのでありますが、いろいろな行き違いから今日のような状態になつておりますことは御承知通りであります。新しい米價決定も近く想像はされるのでありますが、ただいまパリテイ計算指数等に関する調査中でありまして、未だ的確な数字を出す順序にはなつておりません。米價決定にあたつて、本委員会に具体的に御相談申し上げるということは、必要なことと思うのでありまして、この旨は各方面とも連絡をとりまして、御希望に副いようにいたしたいと考うております。
  31. 清澤委員(清澤俊英)

    清澤委員 間違いなくひとつ、至急やつていただきたいと思います。
  32. 北委員(北二郎)

    北委員 関連質問——米價の問題でありますが、先ほで清澤委員から指摘されましたように、何だかしらぬが物價廳や農林省が勝手にやつておるように見えますが、パリテイ計算にいたしましても、これはやはりこの委員会相当檢討せんければならぬと思うのでありますが、私らの考えによりますと、生産者も消費者も入れた正しいパリテイ計算でいかなければならぬと思うが、一体政府はこの点どうお考えておるか、次官の御所信をお伺いする次第であります。
  33. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 米價決定に関しては、ただいま清澤委員からお尋ねがありましたので、これにお答え申し上げた通りでありまして、パリテイ計算指数等の準備の系数の基礎を調べておりますので、これができ上り次第御相談する機会をもちたいと思つておるようなわけであります。さように御了承願います。
  34. 北委員(北二郎)

    北委員 そのパリテイ計算基礎が一番大事なんで、このパリテイ計算基礎を、やはりこの委員会で檢討しなければならぬと思うのでありますが、次官はどう感ずるか、この点。  それからまた生産者、消費者ともにこれは檢討せんければならぬ。また一番大事なことは、今年の米價決定について、生産省に権威ある発信権をもたすかどうか、この点の御所信を伺いたいと思います。
  35. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 パリテイ計算の指数が基礎になることは御指摘通りでありますが、しかしその基礎になるべき基礎の調査がなくしてはできないのでありまして、それをただいま取調べておるということを申し上げたのでありまして、決定したということではないのであります。御相談申し上ぐべき基礎を今調べておるということを御了解願います。
  36. 佐竹委員長代理(佐竹新市)

    佐竹委員長代理 質疑を継続いたします。森幸太郎君。
  37. 森(幸)委員(森幸太郎)

    ○森(幸)委員 二、三まとめてお尋ねいたします。家畜傳染病に対しましては、われわれはあくまでも予防でなければならぬと思うのであります。できてから騒ぎ出しましてもすでに遅いのであります。日本の医術はすべて治療が主であつて、予防がおろそかになつておるのであります。家畜につきましては、非常に價格が上つてきておる場合でありますから、どうかして病氣にかからぬように指導していただきたいと思うのであります。それにつきましては、指導員が非常に不足しておるのであります。殊に有畜農業の奬励につきまして、家畜の頭数が非常に殖えてまいりましたが、この家畜の増加に伴つて指導者が少い。殊に戰爭のために獸医等が失われましたためもありましようが、非常に獸医が地方に少いのであります。この技術員の充実ということについては、政府はどういう処置をおとりにつておられるか。この点を私は非常に不安に思うのでありますが、政府計画をひとつお聽きいたしたいのであります。先般地方の種畜場を参観いたしたのでありますが、設備については戰爭で何らの被害もなかつたので、りつぱに残つておりますが、内容の充実が非常に惡い。せつかくの種畜場でありながら、ようやく露命を繋ぐような経費の割当でありまして、何ら積極的なる試驗研究の経費がない。あれはむしろ試驗場という名前よりも種畜場と言うた方が適当と思います。せつかくあれだけの規模があり、あれだけの設備があるにかかわらず、試驗研究ということに対して、政府は何ら経費を與えておらないということを、非常に遺憾に思つたわけであります。現在の家畜傳染病ということをやかましく考えるときにおいては、技術員の充実ということが大事である。その技術員の充実につきましては、試驗場を活動いたしまして、そうして全國的な指導の場所とすることが、私は適当であろうと思うのであります。畜産技術員の充実に対して、政府はどういう処置をとられるのであるが、そうして初めて家畜傳染病というものが予防し得られるものと考えるのであります。どうかひとつこの点について、政府のほんとうの計画の腹を聽かしていただきたい。予算が足らぬからできないという普通の答弁でなしに、どういうように政府考えておるか。積極的にやつてもらわなければならぬと私は思うのでありますが、この点について政府意見を聽きたいのであります。  もう一つ、これはかつて会議においても決議案が二、三回通つたと思うのでありますが、肉牛の檢査であります。これは厚生省と農林省とが対立しておりますが、これはぜひとも農林省の所管といたしまして、肉牛にいたしましても、乳牛にいたしても、どういう乳を出すか、どういう性質の肉ができるかということは、家畜を養います上によほど技術を要するわけであつて、その結果によつてまた飼育の技術も合わせて研究していかなければならぬのでありまして、この家畜の屠殺、あるいは畜産関係を離れてはいけないという主張をわれわれは強くもつておるわけであります。これは昔の内務省関係から厚生省に今移つておると思いますが、これはぜひ統一する必要があろうと思うのであります。政府はどういう方針をもつてこの問題を解決せんとされておるか、この二点について政府の御方針を承りたい。
  38. 遠藤(三)政府委員(遠藤三郎)

    遠藤(三)政府委員 ただいまお尋ねの第一点の問題でありますが、畜産の指導員、特に家畜衞生の方の、傳染病の予防を主とする施設に関する指導員の充実の問題につきましては、お説のように傳染病の予防の見地から言いましても、畜産の積極的な見地から言いましても、この指導員を充実することは最も大切なことであります。私どもといたしましても、この指導員網の拡充、整備のために、あらゆる努力を拂つてまいつておるわけでございます。今回の予算におきましても相当経費をお願いすることにいたしまして、できる限りこれを整理してまいりたいということを考えております。ただ何分にも現在の財政の状況でありまして、人件費が非常にかさむような状況でありますので、思うような経費をとることができませんけれども、そういう心持でやつておりますことは御了承願いたいと思います。  お尋ねの第二点でありますが、試驗場の施設がきわめて不備であるという点につきましては、まつたく同感であります。私どもも今後の畜産振興のためには、試驗研究を整備拡充することが最も根本であるというふうに考えております。畜産試驗場の予算は、本年度約四千二、三百万円を計上してございますけれども、何にいたしましても家畜の飼料費が非常にかかつてまいります。それと同時に人件費に非常にかかつてまいりまして、その程度では試驗研究の方へあまり力を入れる余裕がないのであります。何とかして試驗研究の根本的な問題を掘り下げてまいりたいと思つておりますけれども、なかなかそこに届かない実情であります。しかしどういたしましたも、この畜産振興のためには試驗研究を拡充し、根本的な問題を掘り下げてまいりませんならば、畜産の恒久恒な大きな発展は期し得られないと思いますので、今後もお話のように、試驗研究の拡充について一層の努力を拂つてまいりたいと存じます。  なおお尋ねの第三点でありますが、乳奥衞生の所管問題につきましては、再三議会でも請願その他の形で御意見が出ております。私どもといたしましては、畜産の奬励の立場から言いますと、乳奥衛生は畜産の奬励をする機構と合体をして、一体になつてその仕事を進むべきであるというように考えております。できればそういうことにありたいと思いまして、厚生省ともよりより相談をいたしておるのでありますけれども、一方厚生省の立場といたしましては、人体衛生に非常に大きな影響がありますので、その人体衞生とのにらみ合せを考えて、どこまで線を引くかという問題についての意向が、農林省との間にあまりはつきりきまつてまいらないような次第であります。從いまして私どもといたしましては、この問題については、あくまで乳肉衞生を一貫した行政機構を掌るという方向へもつていきたいということで、関係方面と折衝を続けてまいりたい、こういうふうな考えでおりますので、御了承を願います。
  39. 森(幸)委員(森幸太郎)

    ○森(幸)委員 乳肉衞生につては、なるほど厚生省が人体に及ぼす影響がというようなことも一應は言います。言いますけれども、屠殺場の実際とか、あるいは乳の檢査とか、実際面を見ますと、ほとんど形式的でありまして、地方の巡査が立ち会うくらいなことがよほどいいのでありまして、檢査だの衞生だのというようなことは、事実上ほとんど行われておらない。今日獸医になつておる人は、人体に関する生理関係のことも相当技術が進んでおるのだから、こういう昔の内務省関係のことを、未だにこれを固守して、そうして厚生省が動かないといことは、実に私はよろしくないことだと思いますから、政府は内部のことでありますが、せつかくこの趣旨に対してやつていただきたいと思うのであります。  またもう一つはこの技術員の養成でありますが、六・三・三制の改正によりまして、從來地方には農学校であるとか、あるいは畜産を主にした中等学校が相当つたのでありますが、それが今回高等学校に編成になつて、めちやめちやになつてしまつて、何が何だか昔の農学校であるとか、畜産学校であるとかいうことを言うことがいけないことになりまして、すべて高等学校に変つてきたのであります。せつかく地方的に必要を認めて、畜産学校であるとか、農学校というようなものがあつたのが、今ではまつたく高等学校に編成替えになりまして、昔のような特殊な、そういう方面技術を教授することができない実情になつております。從つてこういう方面技術員養成に対しては、過去においては相当の貢敵をしておつた教育制度がなくなつたのでありますから、この畜産技術員養成に対しましては、中央政府試驗を拡張するとか、あるいはその他特殊なそういう学校、教養所を設けるというような方法によりましてでも、速やかに畜産技術員の充実をはからなければ、一面において有畜農業を奬励しながらも、家畜に対する無知なために、有畜農業の進展が非常に阻害されておる事実に鑑みて、政府は速やかに適当な処置を講ぜられんことを切望して、私の質疑を打切ることにいたします。     〔佐吉(新)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 小川原君。
  41. 小川原委員(小川原政信)

    ○小川原委員 私は大臣に御質問いたしたいと思つたのでありますが、遺憾ながら大臣が來ておられませんので、大島次官から御答弁を願いたいと思います。なお私の質問は本案に対して少し縁遠いこともあるかと思いますが、その点は委員長において、しかるべく御容赦を願いたいと思います。  まず第一に、近いものから申しますと、衛生の部面であります。大体今までの御答弁でわかりましたが、私の政府に問わんとする点は、ほかの衛生陣もそうでありますが、とりわけ今國家が一番悩みとされておるのは馬の傳染性貧血病であろうと思います。当局の数字をあてにして申し上げるとすれば、その馬の一刻病に該当しておる。こういうことになりますとか、かりに百万頭と見て十万頭がその病氣にかかつておるということになるのであります。そうすると、これはどうしても殺処分しなければならぬという法律建前からいきますと、この家畜の殺処分をすることにおいて、その代金は少くとも六十億円以上に達するものと思う。こういう大きな病氣と、さらにこの財産を消滅さしてしまうということは、これは日本農業において、食糧生産上において一大脅威を感じておるのであります。こういう点に対してどうお考えになるか。政府は單に米、麦さえとれればいいというような考え方であられるようでありますが、政府は根本を一つもきめていない。日本農業の耕耘というものは実に進歩しておる。こういう点を政府はどういうふうに見積られて、この損害をどういうふうにして、そうしてこの主食糧を増そうというお考えであるかということを、私は聽かねばならぬと思います。そうでなければ、ただ主食糧を増せ、一割増産だと言いましたところで、日本農業の根本をなすところに、こういう大きな弊害をもつておるという恐ろしさは一つも口にしない。農林省みずから進んでこういう対策を講じようとしておられるのであるか、この点であります。ただ農家が米や麦をつくりさえすればいいものだと考えてもらつてはいけない。こういう点はひつと考えてもらわなければいけない。この点についてお話を承りたいと思います。  第二におきましては家畜振興についてであります。この点はほんとうは農林大臣にお尋ねしたいのでありますが、政府次官でよろしゆうございます。五箇年計画を立ててお進めになつていくということだけは御発表になつておる。それは私どもも同感にたえないのであります。第一にこれに対するところの飼料であります。飼料という問題がわれわれの主食糧と飼料とが食い合いをいたしているというところに大きな悩みがある。われわれは食わなければならぬから、牛や馬の食べ物をとつているのだということになると、ただいま申しましたように、日本の増産はできない。そこでそんなら畜産の製品が外國に行つていないかというと、この生産があがらないときでさえも、当局が御承知通りに、畜産製品が莫大な貿易をなしているという事実がある。そういう畜産からあがつた金です。その金をもつていけと言うのではありませんが、この生産をあげているところの大きな畜産に、なぜ飼料をどんどん思いきつて輸入しないかということであります。それはなるほど自由にはできない点があるといいうことはお察し申し上げましが、この点はその筋によく了解を願つて、飼料の輸入ということをいたして、そうしてこの畜産振興をはかるということが、当面の重大問題だと私は考える。そういたさなければ、日本人の体位も衣料も一つも保証することができない。こういうことになるのでありまして、敗戰の國民であるから、まずい物を食うというこ徳はもとよりでありますけれども、ぜひまずい物ばかり食つて生きておらなければならぬということはないと思います。われわれは今牛や馬にまずい物を食わして、それから得たカロリーの高い物をとるということが、やがて関係筋に対する最も大きな協力であると私は認識しているのでありますから、この点におきまして、先般大臣にぜひ今年は一割増産をなさるということならば、農家に対して飼料畑のお認めを願いたい。一反歩でも二反歩でもよろしいから、適切な割当を願いたいということを申しておきましたが、そのあとに沓として御返事がないのであります。一反歩、二反歩の飼料畑をつぶすということになつて主食糧が減る、こういう考えでありますけれども日本の農業は立体農業をいたさなければならぬので、その飼料畑で費したものは、動物の力によつてそれだけのものは生産をし得られるという見透しが、数百年、数千年來から傳わつた農業の実績において証明しているのでありまして、いまさら私が申し上げるまでもないのでありますが、なぜそれを断行しないのであるか、ただ一つ断行であるということだけでありますが、この点をひつと承つておきたいのであります。この二点をお尋ねしました後に、さらに私はお尋ねしたい点があるのでありますが、まずこの二点だけをお聽きしたいと思います。
  42. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 馬の傳染性貧血病が実に恐るべき病氣であることは、御指摘通りであります。そこで昨年度の予算にはこれに要する費用が三百万円であつたのでありますが、本年度におきましては、七百万円程度の予算も大体得られました。しかしこれとても、決してわれわれはこれで滿足しているものではないので、さらにできるだけ他の方途を講じて、これが撲滅に努力いたしたい。先ほど委員からも御指摘のありました通り家畜傳染病等に対しましては、まつたく予防衛生でなければ相ならぬことは申すまでもないのであります。この面に十分努力をいたしたいと考えている次第であります。  次に家畜の飼料の問題でありますが、実は最近中華民國方面から、ふすま等の輸入がぽつぽつ始まつてまいりましたので、非常に前途に対しましては、相当の期待が持てると思うのであります。御承知通りり現下の日本の状態におきましては、当方の希望する数字がただちに実現しないということにおいては、はなはだ遺憾の点があるのでございますが、近くこれらは改善されることと思うのであります。  その次に飼料畑を認めたらどうかというようなお説でありましたが、実は飼料畑は認めているのであります。供出計算の際には飼料畑を認める、あるいは家畜一頭に対して保有なんぼというふうに計算いたしておりますが、実際部落の割当にまいりますと、村の寄合で、家畜を飼つているものは非常にようものをとつているから、それだけ引いてもこれだけの割当が背負えるということでした、実は農業会等の割当の会議へしばしば出まして、そういうことを聽いておつたのでありますが、政府で認めても部落でこれを承認されないという傾向が多いのであります。こういう点はできるだけ御希望に副えるように努力いたしたいと考えております。
  43. 小川原委員(小川原政信)

    ○小川原委員 お話はよくわかりました。傳染病の問題につきましては、政府の御心配になつてま凍ことには感謝いたしますが、三百万円や四百万円ではもう実にお話にならぬのであります。この御努力に対しては感謝をいたします。けれども実際問題に即しておらないのであります。現在でありますならば六万円の馬と仮定いたしますが、それを内輪に見まして三万円でもよろしゆうございます。三万円の馬と仮定して、ただ殺処分をされまして、三千円や四千円をもらつておるというのでは、あとの代馬が買えないのであります。この点は政府も数の多いことでありますら、非常なお骨折のことと私は察します。けれどもどうしても主食糧を増していかなければならぬと思います。あるいは運搬をさせるということになりますならば、何といたしましても、代馬を購入する代金の少くとも半額ぐらいの金は、政府もお支拂にならなければ、農業は経営できぬことになるのでありますので、この点ぜひお願いをいたさなければならぬのです。われわれも予防衛生ということには同感でありますし、またつとめて自分らもその考えをもつているのでありますけれども、予防をいたしましても、傳染性貧血病というものは人間の肺病と同じことでありまして、まことに傳染がはばしく、これをどうして予防するかというと、どうしても殺処分をしなければならぬという結論にいくのでありまして、殺処分をいたしました後で、七百万円や一千万円ありましたところで消毒藥も賄えない、こういう手ぬるいことを政府がずつとやつてまいりましたから、がんがここにいよいよ現われてまいつたのであります。軍馬時代々々々々と言つた時代でも、ただ腰に光をもたせだばかりで何もこういう救済策につていは力を入れておりませんでしたから、敗戰と同時にこの病氣の蔓延が非常に恐るべき状態になつたのであります。この点をひとつ思いきつてつてもらわなければならぬ。少くともこの予防策をおやりになるというならば、政府はどういうお考えをもつていしらつしやるか知りませんけれども、殺さなければならぬ馬の價格が六百億━━驚くなかれ六百億かかります。その少くとも三百億くらいの金は捻出さして、農家も助力せよ、われわれも助力するということで、政府が一大決心をもたなければいけないと思います。しからば日本全体の家畜の肉体財産といものは、少くとも二千億以上のものを保有しているのであります。そういうことになつておりまして、これは短見な私の計算でありますが、政府がもつと緻密な御計算をなさいましたならば、これは三千億以上になるだろうと思います。こういうことになりまして、よほどしつかりしたお考えがなければ、日間の家畜というものは將來悲しむべき時代がくるのではないか、かように考えるのでありまして、何とぞ賢明な、私の最も崇拜をいたしております大島次官におかれましては、ひとつか力副えを願いまして、政府もうんと金を出してもらわなればならぬ。私はこのくらいに考えておるのであります。大島次官の御答弁を得るならば幸いと考えるのであります。  それから家畜の飼料の輸入につきましては、同感であり、まことに結構なことでありますが、もつともこれはお働きを願つて、殖やしていただかなければならぬ。この飼料畑につては、おつしやり通りに、部落にはかれこれもありましようけれども、これは政府が町村に対していろいろと御指示があつたならば、かような皮肉なことが現われなくとも済むと思うのであります。こういう点もひつと御一般のお力添えを願わなければならぬ、かように考えております。  次に申し上げたことは、近ごろ朝鮮牛の輸入ということが問題になつておるのであります。御承知通り昭和十四年には、われわれの肉食いたしましたものが四十六万六千頭であります。そのほかに豚を百万頭もつぶして食い、それから鶏も千五百万羽も食べて、卵も六千箇も食つておるのでありますが、今日は一つもそれがあたらない、こういうことになりまして、朝鮮牛が今度はいつてくるということになると、その價格というものは莫大なものを朝鮮に支拂わなければならぬということに相なると存じます。そういうことになるならば、農家の状態は非常に莫大なる金を隣國に支拂うということになりまして、経営面が非常に困難になる。その点に対える対策をどういうふうに考えられておるか、この点もお聽きいたしたい考えるのであります。  もう一つは、時間の関係簡單に御答弁願いますが、牛、馬、やぎあるいは羊、豚、鶏、こういう家畜は、戰後どういうふうに振興いたしておりますか。その振興に対する状況と、政府がこれらの農家に対してどういう奬励方法を進めていかれるかということをお尋ねいたしたいと思います。
  44. 大島政府委員(大島義晴)

    大島政府委員 馬の傳染情貧血による屠殺の費用が実に莫大な損害であるから、これを政府は速やかにできるだけ補償せようというようなお話でありましたが、まことにごもつてもであります。この点は、ただいまの七百万円程度の予算ではとうてい補償ができないのでありますが、しかし先ほど來しばしば申し上げたように、この面においてはできるだけわれわけも今後御協力申し上げて、その損害を少くしたいと存じますが、その方法といたしましては、先ほで来たびたび御指摘のように、主として予防方面に力を注いで、屠殺するような悲しむべき現象に至らないように十分努力いたしたい。かように考えておりますので、その点御了解願いたいと思うのであります。  なお家畜の飼料畑の点につきましては、御ほど卒直に申し上げましたように、政府としましては、一應の標準をきめて、乳牛に対してはいくら、役牛に対してはいくら、役馬に対してはいくらということを通知いたしておるのであります。たまたま部落等でそれが問題になつた否認される傾向がありますので、念のため再び通牒を発して、これらの飼料を確保するようにいたしたいと考えております。
  45. 遠藤(三)政府委員(遠藤三郎)

    遠藤(三)政府委員 だたいまお尋ねの第四点なり、第五点にあたります朝鮮牛輸入の問題と、それから牛馬羊豚等の家畜振興状況と、戰後の農林省の施策の模樣についてお尋ねでありましたので、その点についてお答えいたします。  朝鮮牛の輸入の問題につきましては、戰前より相当の数量朝鮮牛がはいつておりまして、私どもとしましては、なるべく朝鮮牛の輸入はこれを避けたいと思いますけれども、やはり農村地帶におきましては、どうしても朝鮮牛が必要の地帶もありますし、なお國内で補給することが非常に困難でありますので、できれば國内で補給することが最もよろしいのでありますけれども、その日本の農業の生産力を早く上げていく一つ方法であると考えまして、相当の数量朝鮮牛の輸入を計画しておつたのであります。大体今年度におきましては、一万頭程度の朝鮮牛の輸入をはかりたいということを考えておつたのであります。しかし何分にも朝鮮牛について、朝鮮の方面に輸出力がないといことでありまして、現在実際問題として輸入を見ておらないような事情であります。しかし御承知のように朝鮮と日本との輸出入の関係は、朝鮮にいろいろな物資を送りまして、輸出入の結果はむしろ貸越勘定になつておるやに聞いております。從いまして朝鮮牛を朝鮮の方から北て余力がありさえすれば、この計画は達成されるものと考えまして、その朝鮮牛を輸出する朝鮮の事情についていろいろ研究もし、朝査もておるような次第でございます。その点御了承を願いたいと思います。  次に畜産について戰後の振興の方策のお尋ねでありますが、この点につきましては、先般來御承知のように、畜産振興五箇計画を建てまして、その計画の第一年度を迎えて、目下その計画を着々進めておる次第であります。第一年度の二十一年に対する最近一箇年間の増殖の実績がたまたま出てまいりましたので、これを簡單に御報告いたしますと、乳牛につきましては、関東、東海あるいは中國、四國及び九州というふうに、四つの地区にわけて見ておるのでありますが、これは各地区でブロツク会議をやりまして、そのブロツク会議の際に各縣の関係者が持ち寄つた数字でありますが、乳牛について申し上げますと、関東地区では二十一年の一一二%になつております。それから東海、中部、近畿地区では一一〇%、中國、四國地区では一〇九%、九州地区では一〇七%、つまりおしなべて言いますと、約七分ないし一割の増殖を見ておるのであります。役肉用牛につきまして、その増殖の率がずつと下つておりまして、関東地区におきましては一〇一%となつており、それから東海、中部、近畿地区では一〇七%、中國、四國地区では一〇四%、九州地区では一〇九%というようなことになつております。それから馬の増殖の点もあまり進んでおりませんが、関東地区では一一一%であり、東海、中部、近畿地区では一〇六%、中國、四國地区では一〇四%、九州地区では一〇一%というような数字が出ております。ただ最も顯著に殖えておりますのは豚でありまして、豚は関東地区は二六八%になつております。それから東海、中部、近畿地区では二一七%中國、四國地区では二二六%、九州が最も殖えておりまして、九州地区では五一九%になつております。九州地区の殖え方は非常に急激な殖え方であります。それからやぎにつきましては、これも相当殖えてまいりまして、関東地区では一五〇%になつております。それからの東海、中部、近畿地区では一四七%、中國、四國地区では一七六%、九州ではこれまた最も殖えておりまして、一八九%という数字が出ております。めんようもこの際申し上げますと、関東地区では一三九%となつております。東海、中部、近畿地区が割合増殖されていないようでありまして、一〇六%となつております。ところが中國、四國地区ではこれまためんようが非常に進みまして、一五六%になつております。それから九州はこれまた最も進んでおりまして、一六六%という数字が出ております。そのほかのいろいろの家畜についての数字もございますが、大体の情勢を申し上げますと、中小の家畜が急激に殖えておる。ただ大家畜は飼料の関係の影響がありまして、なかなか急激に殖えないという事情であります。農林省としましては、今後もこの畜産の増殖五箇年計画をまつしぐらに実現すべく努力してまいりたいと存じます。  先ほど來御指摘のように飼料問題でありますが、飼料問題の窮迫ということが増殖計画を最もはばむ問題でありますけれども、この問題についてはもともと今回の増殖計画は、各農家にそれぞれ自給飼料を生産していただいて、農家の農業経営の内部にぴつたりあてはまるような経営方式において、家畜を増殖していただくということを強調しており、なるべく配給飼料に依存しないということを原則に考えてまいつておるのであります。しかしそう言いましても、種畜を供給いたします場合、あるいはその他の集團的な飼育の場合におきましては、配給飼料は絶対に必要であります。從いまして、配給飼料の輸入についても、今年度は関係方面に三十万トン程度の輸入せ懇請しておる次第であります。ただこの輸入の見透しについて、この際簡單に申し上げておきたいのでありますが、関係方面においても飼料の輸入を特別に考えていただきまして、数字をはつきり申し上げるまでの段階に至つておりませんが、相当の数量の輸入を考えていただくことになつております。ただいま支那方面あるいは香港の方面から、ふすまその他の飼料がはいつてくるような情勢になりつつあります。この飼料問題は食料問題と並行して解決すべきものでありまして、單独になかなか解決は困難でありますけども、漸次飼料の輸入問題も解決していくものと思いまして、料料の將來に対しては、若干明るい希望をもつておるような次第でございます。
  46. 小川原委員(小川原政信)

    ○小川原委員 大体趨勢がわかりました。なおここで申し上げておかなければならぬのは、今政務次官から傳染性貧血病のお話があつたが、政務次官はまだ傳染性貧血病のことをしつくりとおわかりにならぬようで、御答弁がどうもしつくりません。事務当局の方は、殺傷処分をした場合、今日馬一頭についていくらお出しになるつもりであるか。予防ということに力を入りておることは私どもわかつておりますが、傳染性貧血病にかかつた馬は予防の方法がないのであります。このかかつた馬をどうなさいすか。これは今日からすぐに考えなければならぬ問題です。この点を十分にしておかないと、馬を飼う人が恐しがつて飼わない。一頭十万円もする馬を買つて貧血病にとりつかれたら困るというので飼わないということになると困るのです。さいわいなここに農政局長が來ておられるので、聽いておきたいと思うのでありますが、私が何で馬のことをやかましく言うかといえば、東北、北海道で地温を高めるのには、馬の糞でなければいけないのです。私個人の研究によりますと、一度から一度八分です。この間那須の試驗場へ行つて見ましたが、畑において一度三分違う。これで私は自信を得ました。私ばかりではない。ほかでもやつている。私どもは一度ないし一・八分の水温上昇をやる。やるからして主食の米がとれる。農林省は馬を飼うということは、まるで馬喰でもやるような積りでおられるか。そうではない。われわれは米や麦をとる積りでやかましく言うのですから、この点を農政局長は十分お考えおき願いたい。そこで私の申し上げたいことは、これだけ今増産しましたのに、なぜ畜産局を廃止しなければならぬかという問題が起つている。競馬をやめてしまうといつても、博打をやるから競馬が続く。われわれはそんな簡單なことを考えていない。ここには專門家ばかりおられるから、今さら競馬のことは申し上げませんが、われわれは食糧をとろうという考えからきているのです。そこで競馬というものはやめさせてしまわなければならぬという形でいくてか、あるいはこれを國営にするなどといつても、一体國営にして馬がどんどん盛んにいくなら、何もかも國営にしてもらいます。そんなけちな考えを私どもはもつておりません。こんなものを國営にしたら三日と続きません。國家が損ばかりしている。こういう点をよくお考えおき願わなければならぬのであります。縮少するために現在種牡馬が足らないというのに、その種牡馬を今度は六月、七百頭も民間に拂い下げるという説が起つているのでありますが、もそこれを拂い下げられてしまつた後に、この重大な馬が増えていくかどうか。予算がないから縮少するというなら、これは予算を殖やせばいい。振興していかなければならぬという目の先に見えているものを、そうしていかなければならぬということは、農林当局にもつらい点があることはお察ししているのですが、もつとほかに方法があるだろうと私ども考えておるのであります。この際農林当局はすつかりわれわれにお話し下されて、われわれが協力してこの生産を増されなれば、やがて主食種というものは減つてしまう、こういう考え方をもつておりますので、この三点についてぜひここで御説明を願いたい。
  47. 遠藤(三)政府委員(遠藤三郎)

    遠藤(三)政府委員 最初の傳染性貧血の問題でありますが、傳染性貧血病の病源の研究問題、それから予防に対するいろいろな措置、この問題は日本畜産の問題としては最も大きな問題であります。かりに百万頭に対して一割の馬が傳染病にかかるといたしますと約十万頭、しかもそれはきわめて強い傳播力を持つておりまして、ぼんやりしておりますと、日本の馬産というものがまつたく全滅に瀕してしまう。しかも傳染性貧血の研究はまだ進んでおりませんので、病源もありまりはつきりしておらないというような、非常に困つた状態でありまして、これに対して政府が大きな力を入れるかどうかということが、まつた畜産に対して強い熱意をもつておるかどうかというわかれ目になるようにさえも、われわれは思つておるのであります。この傳染性貧血の病源の徹底的な研究をすると同時に、その予防あるいはこれが対策等についての、相当大規模な施設をしていくということは、私どもは絶対に必要であると思うのであります。この趣旨で、各方面にいろいろ折衝もし、いろいろ予算の要求もしておるのでありますが、遺憾ながら日本の財政の現状からいたしまして、思うようにまいらないのが現状でございます。しかし先ほど政務次官からの説明にもありましたように、昨年の経費約三百万円程度から、今度度は六、七百万円程度まで予算を上げていただくことができたのであります。しかしこの程度ではもちろん足りないのであます。特に畜産を担当しております私たちとしましては、全力をあげてこの馬の傳染性貧血の病源の研究並びにこれが予防、あるいはその他の対策に力を注いでまいりたいと存じておる次第であります。  それからただいまのあとの部分の、種牡馬の頭数の削減の問題でありますが、種牡馬の頭数などの程度維持するかということは、馬産の増殖計画基礎になつております。この種牡馬の頭数を減少してまいりますと、必営馬の生産に大きな影響がありますことは、火を見るよりも明らかであります。從いまして、この頭数を維持することについては、われわれとしては最後の線のごてくに考えまして、この頭数の維持に最善を盡してまいつたつものであります。でき得れば、私ども考え方といたしましては、政府が直接もつてつた方がよい。日本の馬産の現状からいたしますれば、業者がもつこはとは非常に負担が多くて、もしこの負担を軽減させる必要があるならば、軽減させるためには種付料を非常に高くするとかいうようなことをしてまいりませんと、ペイしなくなりますので、もしそういうことになりますれば、種付に非常な支障を來してくるというようなことを考えまして、できれば國がもつておることが最もいいと考えて進んでまいつたのでありますけれども、遺憾ながら財政の現状からいいまして、それがななか困難になつてまいります。それと同時に、一つ考え方としまして、まつたく民主化された現在の新らしい憲法下における日本の今後のいき方としましても、何もかも國がもつという考え方よりも、むしろ進んで民間の方にもつていただいて、そうしてしかもその種牡馬を維持するに必要な経費はそれぞれ自分でもつて種付料その他の收入によつてこれを補充し、そうして自分でもつていくことができるような態勢にかえていかなければならぬ。こういう大きな一つの要請があり、そういう情勢がありまして、そういう方向へ向つても、ある程度努力をするという考え方を加味いたしまして、今回種牡馬の頭数をある程度整理することにしたのであります。その整理の方針といたしましては、種牡馬の頭数を減少するのでなくて、政府がもつておりましたのを、民間の團体に委讓し、團体等にもつていただくという考え方から、むしろ從來よりはもつと多くもつていただきまして、この種牡馬の不足を生ずることのないようにしていきたい。こういう考えであります。
  48. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 午前の会議はこれで休憩いたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後二時十五分開議
  49. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。速記の都合がありまして、特に北君は速記を要求されておりますから、よその委員会の速記を借りてまいりましたので、よその委員会を十分休憩させておりますから、北君そのつもりをお願いいたします。
  50. 北委員(北二郎)

    北委員 今ちよつとクローバーの話が出ましたのですが、これはただいまの御意見大いに賛成ですが、ホワイト・クローバー、ラジノ・クロバーは非常に虫に強いし、よいのですが、その種の用意があるかどうか、これはあとでゆつくり御返事を承りたいと思います。  さて本題にはいるのでありますが、畜産は非常にわが國の農業の振興上大切なものでありますが、最近聞くところによりますれば、畜産局も廃止するというようなことが聞かれますが、一体いかなる理由で廃止されるか、この点を明確に御答弁をしていただきたい。  それから本法案の第一六條でありますが、「本法ニ於ニ外國種牛、雜種牛、内國種牛、乳用牛又ハ雜種種牡牛ト称スル畜牛ノ範囲」とありますが、雜種種牛の属するはどの程度これを認めておるのか。  それから速記の関係上一まとめに申し上げますが、次は牛のトリコモナスでありますが、これは非常に危險な病氣でありまして、生産者が非常に困つております。これは政府では今改正法に載せられておりますが、どういうわけでこれを改正したのか。それから次は馬の傳貧に対して先ほども質問がありましたが、これと同時に馬の骨軟が非常に発生しておるのでありまして、特に今度は農地改革におきまして牧野が狹められたために、これが非常に発生しております。これは食べ物の関係上ますますひどくなるわけでありますが政府においてはこれの対策いかん。また傳貧と今の馬の感冒であります。いわゆるナイラというか、これは同じ病状なんですが、この点の研究ができておるかどうか。それからもう一つは乳牛のだにであります。これも非常に困つておるのであります。ぼくらの経驗からいきますと、D・D・Tを二、三回やると牛乳が二割ないしい三割増すねでありますが、この点政府はD・D・Tの用意があるかどうか。それから今度農地改革によつて非常に牛屋の土地が狹められるのでありますが、今後の牛の改革政府は一体どんな構想をもつておるか。それから装蹄師会解散の問題でありますが、政府は実は業期ばかりのことを考えて、かんじんの鉄を打つ生産者のことを考えていないようであります。これらを解散した後に、協同組合と強力に結びつけいく考えがあるかどうか。それからちよつと飛びますが、最近話によりますと、馬の大量輸出をするだと聞きますが、一体これらのことはほんとうかどうか。それからもう一つはホルスタインと赤牛との交配によつて一代雜種をつくりまして、乳を搾るということが非常に理想のように思いますが、政府はこの研究ができておるかどうか。それからもう一つは、北海道の畜産試驗場でありますが、御承知通りあすこへ進駐軍がはいりまして、その後これを設置するのに非常に苦労しておりますが、今度の予算でこれはどうなつておるのか。もう一つは、北海道のことでありますが、今の酪農協同株式会社、これが集中排除に関して何か運動しておるようでありますが、農林当局はどう指導していくつもりか、この点ちよつと御答を願いたいと思うの次第であります。
  51. 遠藤(三)政府委員(遠藤三郎)

    遠藤(三)政府委員 ただいの御質問の中の第一点でありますが、畜産局の問題につきましては、実は数箇月前からこの問題が出ておりまして、その出ております理由は、今後日本畜産を非常に大きく振興しなければならないが、しかしこの畜産振興させめためには、日本從來のような畜産の形体でなくして、農業と畜産とを一体にした農畜一体の経営でなければならぬ。畜産畜産で進み、農業は農業で進むという体制では、將來畜産は大きくなり得ないというような建前から、畜産局と農産の関係の局とを合体しまして、いわば農産局、つまり農産といいますけれども、農畜産を含んだ意味畜産でありますから、農業生産局というもにのに統合したらどうかという意見が強く出てまいつたのであります。これに対して私どもとしては、アメリカのように非常に進んだ畜産國におきましては、農畜産と一体にするという方向が是認されるかもしないが、日本のように畜産が非常に遅れておる、まだ微々たる國においては、畜産振興のために特別の努力を拂わなければならぬ、從つて特別の局を設けて、特別の推進をするために、一つの独立した局が必要であるということを主張してまいたのであります。しかしこの問題はまだ確定はいたおりませんけれども、そういう二つの確論がありまして、盛んに議論をしておるような次第であります。私どもは、やはり畜産一体という抽象論でなくして、畜産をどんどん推進さして、ある程度まで伸びてから総合するという考え方が正しいということを考えまして、その主張を曲げないで主張しておるようわけであります。それから雜種牛の範囲の問題、牛のトリコモス、馬の骨軟症の対策の問題、だたの問題等、これはむしろこに專門家がおりますから、説明員から説明することをお許し願いたいと思います。  なおお尋ねの重要な問題のうち、農地改革によつて放收草地が縮少されたのちにおける、日本畜産業のどうするかという御質問であります。これは日本畜産將來のためにはきわめて重要な問題であります。この放收採草地が日本畜産業の基礎であるのであります。この放牧採草地を急に縮少いたしますことは、非常に大きな打撃を畜産家に與えることを憂慮いたしまして、放牧採草地の開放の問題につきましてはきわめて愼重な態度をもつてまいつたのであります。しかしながら御承知のように、日本の現在の態勢としましては、國土をきわめて集約的に利用し、でさ得る限り人口の包容力を拡大していくという見地から、集約の形式としては、集的形をもつてこれに代えて、人口の包容力を大きくするという至上的の命令が一方にありますので、その点をも考慮しまして、畜産用地もできる得る限り開放いたしまして、おのずからそれには限界があると思いますけれども、その限界の範囲においては、断固として保持すべきものは保持し、その保持されたものについては、ますます集約的な経営をいたしまして、畜産が衰退しないように、否むしろ畜産がますます拡大さるような、そういう見地に立ちまして、放收採草地の方針を進めておるような次第であります。ただしかしこの際問題になりますのは、急激にそれを開放だけいたしまして、集約化の方が進まないことになりますると、日本畜産界に非常な大きな打撃を與えます。集約化にもおのずから限度がありまして、日本の経済状況、あるはい日本技術水準、そういうものに照らしておのずからテンポもあり、水準もあると思いますので、それにマツチするような程度の面積を保有し、漸次集約化の方向を進めていくというような考え方で、御承知のような放牧採草地の方針をきめてまいつたのであります。われわれとしましては、今後残された放牧採草地の集約化に向つて最善の努力をし、そうして日本畜産業を衰退させることのないように、むしろますます積極的な増産ができるように、五箇年計画におきましてもこのことを考えますので、さらに大きな増殖計画を進めていこうという考えをもつておる次第であります。  それから装蹄師会解散に伴いまして、このあとにできる装蹄師関係團体と協同組合の関係についてのお尋ねがございました。この点につきましては、装蹄師会に代る團体は、先ほども御説明申し上げましたように、民法の法人ができていくような趨勢になつております。この民法の法人と畜産関係の協同組合とは、密接不可分に動くようにありたいということを念願いたしております。法人は法人で、別個の動きをし、畜産の生産業者は生産業者として別個の動きをしてまいりますると、装蹄師畜産業における意義というものはまつたく沒却されてまいりますので、両者が密接不可分に動くように指導してまいりたい。かように考えております。  それから馬の輸出の問的でありますが、これは現に朝鮮から馬の需要がございまして、その要求の三分の一程度の百頭を出しております。支那の方面からも数万頭の馬の輸出について話がありましたが、日本の内地の現状から輸出余力がございますせんので、國内の家畜にもこと欠いておるような事情でありますので、その話はあまり順調にまいりません。それからホルスタインと赤牛の交配により乳牛の造成の問題でありますが、この問題につきましては、乳牛の緊急増殖という見地からいたしまして、ホルスタインを單独に増殖してまいりますことは非常に困難があります。それと同時に一方役牛として使役をする必要もありますので、手取早く乳牛の増殖をはかるという意味を加味しまして、ホルスタインの種を役牛にかけていくという施策を講じております。大体一年間に一万頭程度の新乳牛を造成していくという計画で進めておる次第であります。それから酪農協同株式会社の問題でありますが、これは食品局の関係になつておりますので、食品局長からのち程答弁していただくことにいたします。それから北海道の種畜牧場の問題については、よく調べまして後ほどお答えしたいと思います。  なお技術的な問題については説明員から説明することに御了承願います。
  52. 齋藤説明員(齋藤弘義)

    齋藤説明員 それでは私からただいまのお尋ねにお答えいたします。雜種の種牡牛の範囲でございます。結核檢査をいたしますものは、乳用牛と、雜種種牡牛と、外國種牛とに分けております。外國種牛と申しますのは、アメリカ種及びヨーロツパ種のものであります。そのほかに外國種でないもの、要するに日本産のものを和種と申しておりますが、その中間のものであります。外國種の血つ混つたものを、雜種の種牡牛と申しております。雜種の種牡牛はなぜそれの対象とするかと申しますと、日本におきましては乳牛の改良という面におきまして、この種の種牡牛が相当重要な役目をいたしておりますので、これを特に加えておるわけであります。  それからトリコモナスの問題でありますが、これは削除したわけではなく、そういうように傳染病に入れないというふうにしておりましたのを、今度はほんとうに学問的にわけまして、原生虫病というので入れております。先ほどお話通り、トリコモナスは牛の生産地帶に非常に大きな害をいたしておりますしてかつては生産地帶の生産率が三十プロとか四十プロとか非常に低いことがあつたのでありますが、私承知をいたします限り、トリコモナスに原因があるということがわかりまして、それの施設を徹底的にやりましたところにおきましては、その後八十プロから九十プロに上りまして、非常に大きな成績を残したのであります。その後戰爭で技術員も不足になり、あるいはいろいろな支障がありまして、また昔の状態にもどつておりますがここ一両年各地方におきましてその点に着目されまして、人員を整備するとか、あるいは技術の強化を行うとか、それぞれ改善されておるように見受けております。  それから骨軟症の問題でありますが、これは御承知通り飼料中のカルシウムの問題、隣の問題それから蛋白の問題がからんでおりまして、現在のような飼料状況のもとにおきましては、非常にこういうものが起き易いのであります。ただこの骨軟症と申しますのは、馬だけではございませんで、乳牛でありますとか、豚でありますとか、鶏でありますとか、やぎでありますとか、あらゆるものに実は出ております。とにかく今まで骨軟症と申しますと馬だけを考えておりますけれども、むしろ多いのは乳牛でありますとか、豚でありますとか、そつちの方面に多いことが漸次はつきりしてまいつております。そういたします関係上、農林省におきましては、地方廳にその指導員を置きまして、せつかくそつちの方の指導を行きますように今努力しております。もちろんそれは急にできる病氣でございまをなけれども、夏收草をとつて冬の草のない時分に、その牧草の食わすということによりまして、ある程度出るものでございますから、そういう点に重点をおきまして予防に努力をしております。  それから傳貧と腺疫の問題でございますが、これは現在までに学問としてわかつておりますことは完全に別なものであります。腺疫と申しますのは腺疫菌という黴菌によつて起りますし、傳貧と申しますのは、濾過性病と申しまして、目に見えない細菌のようなもので起ることは確実でございます。但し傳貧で馬の体力が弱まりますとこの病氣にかかり易くなります。腺疫等に侵されますと、傳貧が起き易いということは事実でございます。そういう意味におきまして腺疫の予防ということから、予防液とか血清液とか、あるいは予防措置を講ずるように地方廳に連絡いたしまして、強力に努力いたしております。  それから乳牛のダニのD・D・Tの要求を取りまとめまして、私どもの方から厚生省にかけ合いまして、D・D・Tをいただきまして、今不自由ないように、各地方廳に送つておるはずでございます。  それからダニは御承知通り、北海道でありますとか、あるいは熊本でありますとか、そういう方面にピロプラズマ、いわゆるダニでありますが、これが相当おりますので、これは現地でも相当重要視いたしまして、去年から相当D・D・Tをいただいております。
  53. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 北君、速記の時間も過ぎまさたから、特にあなたにお諮りいたしますが、清澤君から特に速記のある時間内に願いたいというので、所得税法の一部を改正する法律案について、この委員会の決議というところまではいつておりませんが、一應何をしておきたいという話がありますから……
  54. 北委員(北二郎)

    北委員 それでは私二、三ありますけれども、明日ひとつやらしていただくようにお願いいたします。
  55. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 速記がなかつたら明日できませんよ。
  56. 北委員(北二郎)

    北委員 質問を保留しておきます。
  57. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 速記がなければできませんよ。あなたがどうしても速記が欲しいなら、あしたの朝九時に開きます。
  58. 北委員(北二郎)

    北委員 結構です。
  59. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 それでは九時に開きますから……
  60. 清澤委員(清澤俊英)

    清澤委員 所得税法の一部を改正いたしまして、そうして例の問題になつております米麦甘藷等の報償金並びに奬励金が説の対象から除かれるように左の通り改正するということを、本委員会決定しまして、それを委員長の手から財政金融委員会へまわして、ぜひ今申しましたように訂正してもらうよう努力をお願いしたいという提案であります。読みます。  所得税法の一部を改正する等の法律案中第一條の「左に掲げる所得については、所得税を課さない」の第三項の次に、左の項を加える。 それが第四項になりますが、  四、食糧管理法によつて供出された米、麦類、甘藷、馬鈴藷、雜穀に対して政府が支拂う奬励金または報償金、 こう入れてもらう。これを財政金融委員会の方にまわしまして、この通り訂正してもらうことを要望するのです。
  61. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 農林委員会から勧告するのですね。
  62. 清澤委員(清澤俊英)

    清澤委員 勧告ではい、要望するのです。
  63. 小川原委員(小川原政信)

    ○小川原委員 趣旨は結構ですが、ここで決議して、向うでそれを入れなかつたら変です。あなたは御一任しておきますから、向うの委員長と御相談の上ということにしていただきたい。軽率に決定するわけにいかないと思う。
  64. 清澤委員(清澤俊英)

    清澤委員 向うの委員長が入れる、入れないということは、私は第二だと思う。われわれ委員会意思意思として決定して、それを要望することには、何ら差支えない。財政金融委員会で諸般の事情からこれを否決されることはまたやむを得ないと思うのであります。一應私は強力な決議をもつてこれを要望することは差支えないと考えますから、ぜひ決議をして委員長の方からもつてつてもらいたい。
  65. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 委員長から申し上げますが、今あなたが提案されましたものは、別にこの委員会としてそれを取上げて論議する場合は、議長に対して取政調査に関する調査の許可をとつててなければできません。從つてそういうことをここで決議いたしすますと、いろいろまた手続上煩雜な問題が起つてきますし、また皆さんの中においても━━この案には反対するものではありませんが、ただ別に財政金融委員会としての常任委員会員ございますから、その方に対して、私からでも、またあなた方からでも、積極的にかくのごとく訂正を願うようにという趣旨を十分説明をして、なおそれで向うがそういうことができぬということになれば、また正規の手続を踏んでもやつたらいいと思いますから、そういうふうにお願いします。
  66. 清澤委員(清澤俊英)

    清澤委員 手続上の問題は委員長にお任せいたします。
  67. 井上委員長(井上良次)

    ○井上委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後二智四十分散会