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1948-06-30 第2回国会 衆議院 通信委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月三十日(水曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 土井 直作君    理事 白井 佐吉君 理事 重井 鹿治君       多田  勇君    林  讓治君       宮幡  靖君    森  直次君       伊瀬幸太郎君    海野 三朗君       松原喜之次君    野上 健次君       村尾 薩男君    押川 定秋君      生悦住貞太郎君    小島 徹三君       田島 房邦君    坂口 主税君       園田  直君    松澤  一君       水野 實郎君    中野 寅吉君       林  百郎君  出席國務大臣         逓 信 大 臣 冨吉 榮二君  出席政府委員         逓信政務次官  五坪 茂雄君         逓信事務官   大野 勝三君         逓信事務官   中山 次郎君  委員外出席者         專門調査員   吉田 弘苗君         專門調査員   稻田  穰君 六月二十九日委員園田直辞任につき、その補欠 として長野長廣君が議長指名委員に選任され た。 同月三十日委員長野長廣君、長谷川政友君、片島 港君及び田島房邦辞任につき、その補欠として 園田直君、小島徹三君、松原喜之次君及び坂口主 税君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  電信電話料金法案内閣提提出)(第八四号)  郵便法等の一部を改正する法律案内閣提出)  (第八五号)     —————————————
  2. 土井直作

    土井委員長 ただいまから会議を開きます。  電信電話料金法案郵便法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたし、質疑を続けます。
  3. 重井鹿治

    重井委員 これを実施する時期はいつごろですか。
  4. 五坪茂雄

    ○五坪政府委員 六月の十五日に実施したいという考えでありましたが、御承知のような情勢でありますから、七月の十日に実施したいと思います。
  5. 土井直作

    土井委員長 質疑を打切ることに対して御異議ありせんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 土井直作

    土井委員長 御異議ないようでありますから、質疑を打切ります。  引続いて討論にはいります。討論はこれを許します。民主自由党白井佐吉君。
  7. 白井佐吉

    白井委員 民主自由党を代表したしまして、原案に対する修正意見を申の述べたいと思うものであります。  本年二月三日総司令部民生局代表からの、当時片山内閣によつて計画されておりましたところの運賃値上げ問題とこれに対する國会のあり方に関しまして、内閣予算バランスをとるという方針をとつておるが、いかにバランスをとるかは國会の最善と思う方法によつて実行すべきだが、それは國民の声を反映しなければならないという示唆に鑑みまして、現政府が今回計画いたしましたる通信料金四倍の値上げは、現段階においてはこれを行うべからずとして、國民とともに絶対に反対するものであります。一面におきまして独占官業性格使命とに鑑みまして、國民の納得を得られる方法におい合理的にその收支をはかり、かつ機構改革をなし得る方策をとり、この企業性を極度に発揮せしめて、もつて産業復興國民生活の実態に寄与すべきことがきわめて必要な事柄であると考える次第であります。申すまでもなく通信力は、経済産業の発展とともに、國民所得の原動力と、簡素便益化との要素であり、從つて鉄道及び通信の両官業は、國民経済活動化能率化簡素便益化をはかるべき特性と使命を有するものであります。殊に独占事業であり、特に競爭者がないという特殊の立場にある以上、他の物價との比較を云々すべきでないと思うであります。常に他の物價の下位に嚴として存在せしめ、一般物價を抑制すべき立場にあると信ずるものであります。近年官業における赤字対策は常に料金値上げ、あるいは給与改善、借入金、予算財源の捻出の循環を繰返しております。いわゆる急場しのぎに終始してきたのでありますが、今回の計画そのものは最大無謀なものであると考えるものであります。通信鉄道財政收支を最も安易な料金値上げに求めることは、たいへんな間違いであり、これでは鉄道通信財源どころか、遂に崩壊に至るであろうことを憂えるものであります。現に郵便利用者のごときにおきましても、昭和九年を一〇〇%として同二十一年には五八%と減じております。從業員昭和九年に二十八万名が同二十二年に四十一万名と増加し、事業量は二十一年には一一八%、さらに昭和二十三年には一三〇%と見込んでおる実情であります。これでは独占官業がもつ性格使命は、日一日と失われつつあることをここに感ずるものであります。よつてどもはこの官業信用の保持と人心の安定、また以上申し上げたような論拠に基きまして、ここに料金の改正はある程度やむを得ぬと認めるところでありますが、今回政府原案として提出せられましたるところの四倍そのものに対しましては、遺憾ながら賛意を表しがたいものでございます。從つてここにまず普通郵便の場合におきましては原則として二倍半、しかもはがきは一円、封書は三円という額において修正をいたしたいものであります。その他一般料金に対してはこれを二倍半という限度に止めて、もつてこの收支の均衡を計画いたしたいと思うもであります。これによりますれば当然電信電話料金等も含まれてまいるのでありまして、相当の減收は免れないのであります。この減收を私どもはまず八十億円と見込んでおります。但しこれに対しまして諸経費の節約という面におきまして六十億円をここに見込むものであります。從つて不足額の二十億円は、これは一般会計よりの支出としてここに考えておるわけであります。今申し上げました点が修正いたしたいと思います要点でございます。從つてこの案そのものに対しまして、私どもは單にこれを形式的なものと考えるのでありませんので、必ずこの案によりまして財政收支バランスはとり得るものであるというふうに確信いたしておる次第であります。何とぞ同僚委員各位におかれましても、また政府当局におかれましても、この案に対しまして、絶大なる賛意を表示していただきたいと思うものであります。  最後に一言附け加えて申し上げておきたいと思いますことは、最近におけるサービスの問題であります。これは今までにおきまして、各委員から機会あるごとに発言されておることによりまして、当局といたしましては、すでに十分御了知のことであろうと存ずるのでありますが、とにかく最近における電報の遅達、あるいは郵便の遅配、その他すべて取扱上の不正というようなものは枚挙にいとまありません。今國民の最も信頼をつないでおりますこの官業実情におきまして、かくのごとき状態を持続いたしていくといたしましたならば、官業の前途は一体那辺に赴くでありましようか。將來を考えましたとき、一刻も早くこの遺憾なる状態を脱却いたしまして、官業のもつ性格使命を十二分に発揮してもらわなれけばならぬということを私は痛切に感ずる次第であります。これに対しましてるる言を費しますことは、この場合においてもはやその必要を認めておりません。すでに御承知のことであろうと存じますから、その良心と信念に基きまして、何とぞこの公開の席上におきまして発言いたしましたる私の意中をおくみとりくださいまして、國家の名誉と信用のために、あるいは一面においては経済産業復興國民利福に寄与するために、猛省一番していただきたいということを附け加えて申上げておく次第であります。
  8. 土井直作

  9. 村尾薩男

    村尾委員 原案賛成意見を表したいと思います。もともと通信料金値上げということは、國民大衆に与える影響が非常に強いのでありまして、決して好ましいことではないのであります。しかしながら戰爭によりましていろいろ施設も痛んでおります。その他の諸般の事情からこの値上げはある程度やむを得ないということを認め、かつまた今日日本が当面しております現状からしまして、今日予算を通さなければ、予算が成立しないということになります。そうなりますと、非常な影響國民生活に及ぼすわけであります。殊にそれが勤労大衆にもさまざまな形において、直接間接に生活その他に影響を与えるわけでございます。さような意味におきまして、予算全体との関連におきましてこれは欠くことのできない一環であるという建前から、全体の破局的なことを避けるために、われわれは原案を承認したい、かように考える次第であります。ただこの案を請成しますにつきましては、重要な希望がございます。それは通信その他のサービスを徹底的に改善していただきたいということ。電報あるいは電信電話その他郵便につきましても、いろいろ事故が多かつたりするのでございまして、これらの点につきまして、もつともつと民主化され、そうして國民のためのほんとうのサービス的な役割を徹底さしていただきたいと思うのであります。もう一つ逓信從業員立場でありますが、逓信從業員というものは、鉄道その他と比較しまして、割合実質生活が低いのであります。宿舎の関係からいいましても、あるいはその他の統制物資の補給というような面からいいましても、非常に実質賃金といいますか、実質生活が低いのであります。そういう面につきましても、他の重点的な産業に劣らない程度におきまして確保していただくことが、通信事業サービスを改善するという意味にも必ず役立つと信じますので、これらの点にも十分に留意し、努力していただきたいということを強力に希望いたしまして、この原案賛成する次第であります。
  10. 土井直作

  11. 田島房邦

    田島委員 私は民主党を代表いたしまして申し上げます。本案に対しましてその料金等については原案そのままで結構だと思うのであります。ただ附則の施行期日につきましては、もうすでにかねて予定されておりました六月十五日も経過しておりますことでありますので、準備等もございましようから、それらの日数を見込みまして、施行期日昭和二十三年七月十日からこれを施行するということに修正されんことを希望いたしまして、私の賛成意見といたします。
  12. 土井直作

    土井委員長 次に日本共産党の林百郎君。
  13. 林百郎

    ○林(百)委員 私は四つ理由によつて郵便料金電信電話料金値上げに反対するものであります。  第一はこの郵便料金電話料金四倍値上げが非常にインフレに対する刺戟になるということであります。なるほど政府提出によります、たとえば通信料金関係参考資料の中における國民所得中における通信料金の占める割合、これがわずか一・五六%、また郵便利用状況國民一人当り年間利用普通郵便わずか十一通、特殊通常至つては一通に至らない。小包に至つては〇・一八箇という理由で、インフレ刺戟にならないという論拠が示されておるのであります。ところが実際の面におきましては、單にこうした算数的な表ばかりでなく、これがいろいろの物價、あるいは経済状態影響してくることがはなはだしいのであります。大体すでに諸物價市價ですら、もう二倍値上りというようなことを示しておるのであります。大体政府方針でいきますと、二千七百円ベースを維持するためには物價は七割しかこの会計年度は上げない。やみ物價は三・六%しか上げないということによつて勤労大衆の三千七百円ベース根拠にしておるのであります。また通信復興五箇年計画計画表を見ましても、この五箇年間に物價は七割しか上らない。物價は七割しかしらず、やみ値は三・六%しか上らないという前提のもとに五箇年計画が組まれておるのであります。しかしこうした物價が五箇年に七割しか、やみが三・六%しか上らないという場合に、郵便料金を四倍に上げ、鉄道運賃を三・五倍に上げて維持し得るはずはないと思うのであります。私はこの國民に及ぼす経済的な諸事情、心理的な諸事亮によつて、これがインフレーションを非常に刺戟するという点が第一。  それから第二は、これがために必ず追加予算上程せざるを得なくなつてくる。政府は本年度予算の健全財政なることを主張して、追加予算は決して出さないということを主張しておるのでありますが、この郵便料金鉄道運賃願上げによつて諸物價が高騰し、諸物價が上れば、また賃金を上げなければならない。賃金物價とのいたちごつこを切ることができないのであります。そういう意味で私はこの郵便料金鉄道運賃値上げは必ず追加予算上程を促すことになり、これが物價賃金のいたちごつこをまた促進させるという点が第二の点であります。  そこで政府側通信料金値上げの大きな理由としては、実は独立採算制の問題がててくるのであります。しかし独立採算制というのは通常状態におければ別として、今郵便事業電信電話事業がなぜ赤字かというと、これは実は戰爭による大きな破壊があつたからであります。それをどう復旧するか。御存じの通りに昭和十四、五年ごろまでは郵便料金鉄道運賃特別会計によつて一般会計に繰入れをしておつたのであります。それがなぜ赤字なつたかというと、これはまつたく一部の無謀な独占資本家の、横暴な帝國主義戰爭によつて起きたその負担を、どうしてわれわれ一般國民に転稼させるのかということが問題になつてくるのであります。從つて通信事業があくまで公共性をもつておる事業である限り、これは企業採算ということを主眼にすべきではなくして、あくまで公共性を貫くことによつて一般会計から財源をもたらすべきものだと思うのであります。一般会計からどういう財源があるかということは、これは予算の根本的な問題になりますが、たとえば終戰処理費削減、あるいは價格調整津削減、こういうことによつて、わが党としては十分鉄道事業あるいは郵便事業一般会計から補助して、公共性を維持することができるという前提に立つておるのであります。従つて段階においては、この独立採算制によつて戰爭によるあらゆる負担國民に全部負担させるということについては、第三点として反対するものであります。すなわち一般会計からこれを補充し、あくまで通信事業公共性を維持すべきものであるということを主張したいと思います。  さらに通信事業特別会計の中でも、十分檢討する事によつて費用削減し得るものがあると思います。この点については、私が以前からいろいろの資料を要求しておつたのでありますが、大体通信特別会計の中でも、さらに將來心をいたせば、削減し得て経費を相当生み出し得るものというふうに考えられる点を少し出してみますと、第一大藏省預金部特別会計事務、すなわち振替貯金関係、この経費十分大藏省からとらなければならない。局舎の賃料あるいは人員に対する経費というものを十分とらなければならない。これが非常に不明確でいい加減になつておる。たとえば局舎をいくら大藏省特別会計預金部事業に貸しておるかという調査すら、從來はあまり行われておらない。ましてや、そういうために建物を坪いくら賃貸関係を結ぶかということも、まだ調査されておらなかつたのであります。こういう点を十分調査をし檢査してみなければならないという点が一つ。  第二としましては、逓信事業工事費委託下請購入等の問題であります。これについても本日初めて資料が私の手もとへ届いたのでありますが、これを見ましても大会社の二十数会社の名前がここに出されております。大安株式会社日本土木工業株式会社日本電話設備株式会社等の諸会社に対する下請工事請負委託購入等関係について、將來十分檢討しなければならないと思うのであります。殊に昭和二十二年法律第百七十一号によるマル公支拂が嚴重に行われておるかどうかという点を十分檢討しなければならないと思うのであります。第三としては物件の購入でありますが、この購入品名、数量、單價金額等を十分檢討することによつて、はたしてマル公購入しておるかどうかという点を檢討してみる必要があると思うのであります。第四としましては、終戰以來本年三月に至る間、いわゆる不用品名目によつて拂い下げておる拂下品であります、これについても現に山梨あたりでは問題が起つておるのでありまして、不要品でないものを不用品名目マル公を割つてまで拂い下げておるというような問題があるのであります。こういう点についても十分檢討しなければならないと思うのであります。第五としては進駐軍関係経費でありますが、これも本年度まだ十億円の未決済分が残つておるという資料が私のところに來ておるのであります。進駐軍関係の要員、補修、施設改善等に要する費用、これがまだ決済がついていないのであります。こういう点も直接一般会計のいわゆる終戰処理費からとる必要があると思うのであります。さらに電話公債利子逓信公債利子支拂の延期または停止というようなことによつてこれも六億ほどの金が殖えてくるのであります。  以上かりに独立採算制わくの中を見ましても、十分人和逓信事業として大いに心をいたして節減すべき部分がたくさんあるのであります。ましてや、それによつてなお不足の分は終戰処理費、あるいは價格調整費等資本家的に使用される経費削減することによつて、公共的な色彩をもつて通信事業に補助させることができると思うのであります。こういう意味におきまして私は國民生活をますます窮乏に追いこみ、インフレーシヨン刺戟し、必ず追加予算上程原因させ、賃金物價をいたちごつこさせるような原因になるところの郵便料金の四倍値上げは絶対反対をするものであります。  以上第一にインフレーシヨンを非常に刺戟する。第二としては必ず追加予算上程の大きな根本原因になつてくる。それから独立採算性ということも、結局一部資本家によつて行われた帝國主義戰爭負担を、全部一般勤労大衆負担させることになるから、一般会計から通信会計不足分は補うべきもので、この際は独立採算制をとるべきでないという点、第四としてはかりに独立採算制わくをとつても、その中に十分節減すべき費用があるという、この四つ根拠から、私は郵便料金四倍の値上げに反対するものであります。
  14. 土井直作

    土井委員長 これをもつまして討論は終局いたしました。暫時休憩いたします。     午前十時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時二十五分開議
  15. 土井直作

    土井委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  先ほど白井委員より提出されました修正案に対する討論は、これを省畧いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 土井直作

    土井委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。  引続き電信電話料金法案及び郵便法等の一部を改正する法律案を一括して採決を行います。  まず修正案より採決いたします。白井君より提出されました修正案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  17. 土井直作

    土井委員長 起立少数。よつて修正案は否決されました。  次に、民主党田島君より提出されまして起行期日修正案に関し、賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  18. 土井直作

    土井委員長 起立多数。よつて修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いた政府原案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  19. 土井直作

    土井委員長 起立多数。よつて法案修正議決いたしました。  この際お諮りいたします。衆議院規則第八十八條による報告書の作成は、委員長に一任していただきたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 土井直作

    土井委員長 御異議なしと認めさよう決定します。  本日はこの程度で散会いたします。     午後二時二十七分散会