○林(百)
委員 先ほどから
郵便料金の
値上げの問題が、各
委員から非常に熱心に討議されております。実はこの問題につきまして、私もこの休会中方々を歩き、一般の
公衆や、それから逓信
從業員の声もずつと聽いてきたのでありますが、大体この逓信
從業員の側の意見としては、
郵便料金を上げるということは、逓信
從業員の待遇
改善とからみついて
考えられてくるために、逓信
從業員の待遇を
改善すれば
郵便料金が上
つてくる。そうして自分の方へ迷惑がかか
つてくるのだという民衆のいろいろの批判を受けることになる。一般の民衆と逓信
從業員との間の感情の疎隔を來すことが大きいということで、実は
從業員側の方からも
反対があるのであります。それから一般の民衆の側から言いますと、先ほど
天野委員からも熱心な御意見がありました
通りに、今まで
通信料金だけは、鉄道運賃が上
つたにもかかわらず、こらえて上げずに、よくここまでとにかくがんば
つてきたのでありますが、これを上げる。さらに交通の運賃も上げるということになりますと、それが
原因にな
つて、必ず大きな
物價の騰貴がまた來ます。
物價騰貴が來ますと、
インフレーシヨンが高進して
生活が苦しくなるから、また
生活費を上げなければならないという循環になりますので、これがきつかけとな
つて物價騰貴の口火になるというようなことからして、非常に大きな
反対が実はあるのであります。そこで逓信
当局として一番
考えられることは、しからば
財源はどうかという問題にな
つてくると思うのであります。先ほど
三木逓信大臣からのお話もありました
通り、実は独立採算制の問題もあり、この際
逓信事業では六十四億の
赤字があるから、これを何とか補填しなければならぬという苦衷は、
当局の側としてはあると思います。そこで実はこの問題についていろいろ私の方の党として
考えてみたのでありますが、この際逓信
從業員の意見も、また
一般公衆の声も、卒直に聽くと、何としても逓信
料金の
値上げをやらないことに逓信
当局としてもがんば
つていただかなければならぬ。それでは
財源としてどういうものがあるかということでありますが、これについては私の方としては、二つほど大きな方法が
考えられております。これは前から私が
考えておることでありますが、逓信特別会計を大藏省の預金部へ入れてしま
つて、この運用を全然大藏省に任して、その利子が四分何厘しかにまわ
つてこない。ここはどうしても逓信
当局の方で腰を強くして、あの
戰爭前と同じようにして、逓信部門から上る收益の運営は、どうしても逓信部門がこれを握ることをぜひ実現していただきたいと思います。市中銀行なんかは最近は金融を非常に短期にして高率に運営しまして、たとえば銀行では日歩五銭くらいで扱
つておる。日歩五銭とすると、年にして七、八分にもなるのであります。
郵便貯金の方の三分八厘と四分いくらの利ざやしか
逓信省に來ないが、もし銀行で扱
つておるだけのことを逓信部門にやらせれば、それほど高利にならないにしても、今の銀行から來る日歩くらいの利子にまわすよりは、も
つて高率でまわし得ると言えると思うのであります。しかも
一般公衆の利益になるような部門にこれを運営したということならば、逓信
当局は一般民衆からの支持はもとより、いろいろ好意をも
つて迎えられることになると思います。
三木逓信大臣は、この際の危機を乘り切る独立採算制の
解決の問題に、
郵便料金の
値上げ——今後起るいろいろな社会最な問題を無視して、どうもそこに一番安直に行くような危險がありますので、閣内の事情もいろいろあると思いますが、それをまずことしは何とか腰をすえて、逓信特別会計を再び逓信
当局が運営するという方向に
努力してもらいたいと思います。
それからもう一つ、これは
社会党の方からも
言つておるのでありますが、貿易廳が押えておる物資があります。これはマル公でずつと以前に押えたものですが、こういう物がありますので、これを処分することによ
つて——
社会党の方の研究ですと四十億、わが党の方では十七億くらいではないかと思いますが、この貿易廳で押えておる物資の價格差益金が十七、八億円を算えられます。それから價格差益金ですが、これはこの前の二・八補給金の場合に、私の方の党で
栗栖大藏大臣に伺
つたときに、
政府は百億はとれると思うというようなことを
言つておりましたけれども、この價格差益金を徴收する方法はどうか。さらに今問題にな
つております
公債の利拂停止という問題がありますが、もしこれの停止ということが各党の間で非常に困難なときには、
公債の利拂の
値上げ、低利にしてもら
つても、そこから金を浮かせるというような途があると思います。大きくわけますと、夫言
つた逓信特別会計から收益されるものを、逓信
当局自体で運営するような方法によ
つて財源をつくるということが一つ。これこそが眞の独立採算制で、一定のあてがいぶちで渡しておきながら、そのあてがいぶちでやれ、そうして通信特別会計からあがるものは全部大藏
当局が運営する。それで独立採算制、狭立採算制ということは、筋が通
つてこない。この
解決に逓信
当局が腰をすえて乘り出してもらいたいことが一つ。それから二としては、その他の
財源、たとえば價格差益金の問題、あるいは貿易廳の物資の問題、
公債利拂の
値上げの問題、こういう問題を考慮されて、ぜひ
通信料金の
値上げによる
逓信省の
赤字の償却ということは
考えないようにされたということを希望するのであります。この点について
逓信大臣の意見を聽きたいのでありますが、新聞で見ますと、大体
郵便料金の
値上げによ
つて浮ぶものは二十七億、これの正確な数字を
大臣の方から聽きたいのであります。二十七億
程度ならば、こんな大きな
影響を及ぼすような
通信料金の
値上げをしなくてもできるのではないかということが
考えられるのであります。この点についてひとつ
大臣の御答弁を伺いたいと思います。
それからもう一つの問題は、今逓信
從業員で問題にな
つておりますのは、先ほど
天野委員からも少し質問がありましたが、二・八箇月の
生活補給金の問題であります。これは逓信
從業員としては二・八箇月では実は非常な不満があ
つたのであります。
組合側の計算によりますと、
昭和二十二
年度の
赤字は一万五千円になるが、とにかく中労委の裁定により、二・八箇月分で五千四、五百円だと思いますが、これで納得したのであります。しかし実際に與えられた場合は、税をすつかり引かれてしまいまして、二・八箇月分が実際は一・八箇月分に減少されておるのでございますが、この点について、最初は税を引かない、少くとも米窪労相は、二十二
年度内の年末調整金からは税を差引かないということを言明されていたのでありますが、その後どんどん税を差引かれまして二・八が実は一・八にな
つておるのであります。この点について
当局としてはどうする
意思か。やはり二・八箇月分の実質的な
生活補給金を出さなければ、逓信
從業員に対して食言をしたことになるのではないかというふうに思われますので、この点についての
政府の見解を聽きたいのであります。
第三として、逓信
從業員で今一番問題になるのは、実はやはり首の問題でありまして、官吏として
行政整理がある、首を切られるということは、非常に大きな問題だと思います。昨年私が
三木逓相に聽いた際には、実は
予算面の人員と実働の人員では、実働の人員の方が大体二割くらい減
つておるから、自然退職を
見込んでいけば、現実に働いておる人を積極的に整理しなくても、大体
政府の
考えている二割くらいの人員の減少ということは、もう現に行われているのだから、積極的に首を切る
意思はないということを、昨年の暮たしか言明されたと思いますが、その後何か情勢の變化があ
つて、積極的に今働いている人を將來首切るようになるのかどうか。あるいは昨年
三木逓相の言明されたように、逓信部門としては大体
予算面の人員と実働人員との間には二割ほどの差があるのだから、積極的に働いておる人を首切る必要はないという意見を支持されておるか。この三つの点を聽きたいと思います。