運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1948-06-28 第2回国会 衆議院 政党法及び選挙法に関する特別委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年六月二十八日(月曜日) 午後四時十八分
開議
出席委員
委員長
吉川
兼光君
理事
岩本 信行君
理事
栗山長次郎
君
理事
佐藤
通吉
君
理事
笹口 晃君
理事
細川
隆元
君
理事
中村 又一君
理事
長野重
右ヱ門
君 石田 博英君 石原 登君
小澤佐重喜
君 角田 幸吉君 工藤 鐵男君 周東 英雄君 綱島 正興君 花村 四郎君 平井 義一君
淵上房太郎
君 石神 啓吾君 稻村 順三君
勝間田清一
君
竹谷源太郎
君 森 三樹二君
淺沼稻次郎
君 大森 玉木君 久保 猛夫君 坂口 主税君
志賀健次郎
君 米田 吉盛君 黒岩 重治君 酒井 俊雄君 佐竹
晴記
君
成重
光眞
君 織田 正信君 北 二郎君
本田
英作
君 林 百郎君
出席政府委員
全
國選挙管理委
員会事務局長
郡 祐一君
委員外
の
出席者
法 制 部 長
三浦
義男君 五月二十五日
委員北浦圭太郎
君
辞任
につき、その 補欠として
本田英作
君が議長の指名で
委員
に
選任
された。 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
選挙運動等
の
臨時特例
及び
衆議院議員選挙法
の 一部を
改正
する
法律案起草
に関する件 —————————————
吉川兼光
1
○
吉川委員長
これより
会議
を開きます。 本日の
議題
は
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律案並び
に
衆議院議員選挙法
の一部を
改正
する
法律案
であります。この両案はいずれも
小委員会
において審議を続けていたものでございまするが、その
経過
並びに結果に関する
報告
を小
委員長
に求めます。
竹谷源太郎
君。 —————————————
竹谷源太郎
2
○竹谷
委員
ただいま議題となりました
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律案
及び
衆議院議員選挙法
の一部を
改正
する
法律案
について
小委員会
における起草の経過並びに結果に関し御報告申し上げます。
小委員会
は四月十三日、本
委員会
において選定せられ、五月六日第一回の
小委員会
を開き、小
委員長
及び理事の互選を行いました結果、私が小
委員長
に
当選
し、爾後十八回にわたり両法案の起草に当
つて
まいり、六月二十六日
小委員会
の成案を得た次第であります。その起草の途中におきましては、本院において連日
選挙法改正
に関する
自由討論
を行い、また一般の御意見を聽く必要もありましたので、六月十五日廣く学界より意見を聽取し、起草の参考に供した次第であります。 まず
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律案
の要旨について述べますと、本案は現下の
経済事情
に鑑みまして、
選挙公営
を強化し、
選挙
の公正適正を期し、も
つて選挙
の腐敗を防止することを目的としたものであります。新たに
公営
でいたしまするもののおもなるものを申しますと、
立会演説会
、
個人演説会
、
放送
、
氏名等掲示
の拡充、新
聞廣告
、
候補者氏名
一覽表、
交通機関
の利用、
ガソリン等
の配給であり、一定のわく内で
個人
の自由にできるものは、
街頭演説
、
自動車
、
拡声機
、船舶の使用、立札、ちようちん、看板、
はがき等
であります。禁止したものは、
飲食物
の提供、名刺その他一切の文書、図画、單に
投票
を依頼するための
候補者等
の
氏名連呼
、
選挙期日
の当日の
選挙運動等
であります。
選挙運動
は
演説会
を中心として、
放送
、
選挙公報
、新
聞廣告
、
候補者
の
氏名掲示等
をその補いとするものであり、
演説会
は
立会演説会
を中心として、
個人演説会
、
街頭演説
を從とするものであります。 第一に、今
会演説会
は、これはすべて
公営
といたし、市及び人口おおむね五千以上の町村で、道都府縣の
選挙管理委員会
の指定するもの及びその他の町村で人口、
交通等
を参酌して、都道府縣の
選挙管理委員会
の指定した所において行うものであり、なお市は、人口およそ五万ごとに一箇所
立会演説会
を行うことといたしたのであります。
立会演説会
は
候補者本人
が行うことを原則といたし、公務、病氣その他やむを得ない場合を考慮して、
立会演説会
の総回数の五分の一の回数を限り、代理人をして
演説会
をなさしめることができることといたした次第であります。都道府縣の
選挙管理委員会
は、あらかじめ
立会演説会
を開催すべき予定の日時及び会場並びに
演説
時間等を、都道府縣の区域内におもなる
事務所
を有する政党またはその支部で、最近行われた総
選挙
において所属の
衆議院議員
を有し、または有したものの
代表者
の参集を求めまして、その意見を聽いた後に決定をして、
選挙期日
の公示または告示の日から三日以内にこれを告示しなければならないことといたしまして、
候補者
の
選挙運動
の
予定計画
の立つようにいたした次第であります。都道府縣の
選挙管理委員会
は、
立会演説会
に参加すべき
候補者
、
立会演説会
の時間、
順序等
を定め、しかして必要があると認めたときは、
候補者
を班にわけて実施することもできる次第であります。都道府縣の
選挙管理委員会
は、
演説
の順序、所属の班、
演説
の日時、会場を決定したときは、
当該候補者
及び
市町村
の
選挙管理委員会
にこれを通知いたしまして、その通知を受けた
市町村
の
選挙管理委員会
は、
立会演説会
を開催すべき期日前二回前までに、公衆の見やすい場所に
立会演説会
を開催する旨の諸般の事項を、一町村あるいは一單位において二十箇所以上掲示をしなければならないこととし、かつ
演説会場
の施設、
立会演説
の実施に関する事務は、一切
市町村
の
選挙管理委員会
が行うこととし、
候補者
の
宣傳等
は一切なしで、まつたく
公営
とした次第であります。 第二に、
個人演説会
は、回数は
選挙期日
中三十回といたしまして、
候補者
以外の者も
演説
のできることといたしたのであります。
演説会場
は、單に
学校等公共営造物
ばかりでなく、その他の建物をも含めまして、
市町村
の
選挙管理委員会
の指定する施設を利用して行うものとし、
個人演説会
を開催しようとする
議員候補者
は、
市町村
の
選挙管理委員会
に届け出ますると、その
選挙管理委員会
は、
個人演説会
を開く二日前までに、
選挙民
に
周知方法
を講じなければならない。すなわち一
市町村
について十箇所、
演説会
のある旨を掲示することといたしまして、
候補者個人
としては
周知方法
を行わない。全部
市町村選挙管理委員会
がや
つて
くれる、こういうことにいたした次第であります。しかしてこの
個人演説会
の施設の
費用
も、すべて國庫の負担であります。 第三に、
街頭演説
は、これは
候補者
がまつたく自由に行うことができるものであり、
候補者
以外の者の
演説
も認めるのでありまするが、
候補者自身
が現在する間のみ行い得るものであり、その
演説会開会
中のみ
立看板
及びちようちんを掲示することできるのでありまして、
演説会
を
終つた
ならば、ただちにこれを撤去しなければならない、こういうことにいたしたのであります。 第四に、
演説会
その他の
選挙運動
を行いますために、
候補者
は
自動車
、
拡声機
及び船舶を使用することができるのでありまするが、その使用は同時に一台あるいは一隻といたしまして、その濫用によ
つて費用
がたくさんかさむことを防ぎました。なお
自動車
は乘用車、トラツク、
ダツトサン等
、種類を問いません、すべて一台であります。その使用の際には、都道府
縣選挙管理委員会
の発行する
証明書
を常に携行いたしまして、そうしてまた
選挙管理委員会
の定めますところの表示をしなければならない、こういうことにいたしたのであります。
選挙運動
に從事する者が、
選挙期間
中
関係区域
内において、
國有鉄道
、
國営自動車
、
地方鉄道
、軌道、一
般乘合旅客自動車
、そうした
交通機関
を利用するために、各
議員候補者
は、
運輸大臣
の定めるところによりまして、通じて十五枚だけ
特殊乘車券
の無料の交付を受けることができるのであります。それから
自動車
のために使用します
ガソリン
その他
自動車用燃料
に関しては、それぞれ
配給斡旋
をいたす、こういうことにいたした次第であります。それからなお
自動車
の使用に要しました
費用
は、これは
選挙費用
に加算をしないということにいたしました。 第五に、その他の
選挙運動
としましては、
放送
と新
聞廣告
、氏名の
掲示等
がありますが、
放送
は
選挙運動期間
中三回以内において、
議員候補者
はその政見を
放送
できることとし、なお各政党は從來通り
放送
することができるのであります。その他
日本放送協会
は、
議員候補者
の氏名、年齢、
党派別
、主要な
経歴等
を
関係区域
の
選挙人
に周知させるために、
選挙
の期日前から
選挙
の期日の前日までの間において、各
議員候補者
についておおむね十回
放送
することといたしたのであります。新
聞廣告
は、
議員候補者
及び各政党は、都道府縣の
選挙管理委員会
が
議員候補者
一人について定めます同一寸法で、一つの日刋新聞に
議員候補者
一人につき各一回だけ國の負担をもちまして、
選挙
に関して廣告することができるのであります。なお
從來一投票
区一箇所程度でありましたところの
公営
の
氏名掲示
の内容を改善し、かつ一
投票
区
あたり
三ないし五箇所といたしまして、
ポスター配置
を行うことといたした次第であります。 第六に、
選挙運動
に関する制限といたしましては、
飲食物
を提供したり、または提供を受けてはならないこと。また
演説
の場所で
候補者
のいた場合のほか、特定の
候補者
の氏名または政党の名称を連呼してはならないこと。なお
選挙
に関しまして
自動車
を連ね、もしくは隊伍を組んで往來する等、氣勢を張ること。また
選挙
当日の
選挙運動
、そうしたものを禁止いたしました。なお
選挙事務連絡
のために使用しまする
郵便はがき
及び無
封書状
一千枚だけは、これは國費をも
つて
負担しまするが、その他の
郵便はがき
、筆書した書状、名刺その他の文書、図画は、これを頒布することができないものとし、また主として
議員候補者
を推薦し、支持し、もしくは反対する者の名を表示する
文書等
を頒布し、または掲示することができないことといたしたのであります。 第七に、
公営
に要する
分担金
として、
推薦届出
をしようとする者は、
議員候杯者
一人について二万円またはこれに相当する額面の
國債証書
を國庫に納付することとしたのであります。 また罰則について、
政治資金規正法
に準じまして
規定
しており、また本案は次の総
選挙
から、
衆議院議員選挙
にのみこれを適用することといたした次第であります。 以上が
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律案
の要旨であります。 次に、
衆議院議員選挙法
の一部を
改正
する
法律案
の要旨を述べますると、第一に
投票立会人
に関する
規定
でありまして、
投票立会人
の選任は、
從來候補者
の届出によ
つて
おりましたものを、その手続の煩を省くため、
市町村
の
選挙管理委員会
が選任することとし、なお
地方自治法
における
改正
に準じ、
選挙
の公正を期するため、同一の政党その他の
関係團体
に属する者は、
一つ統票
区において三人以上の
投票立会人
を派遣することができないことといたしたのであります。 第二は、
開票立会人
に関する
規定
でありまして、
開票立会人
の選任に関する
規定
は、
從來投票立会人
の選任の
規定
を準用しておりましたものを、今回
投票立会人
の
規定
を改元いたしましたため、從來の
投票立会人
に関する
規定
をここに
規定
し、なお二、三の点を
改正
した次第であります。 第三は
当選
の手続に関する
規定
でありまして、その一つは
当選
の告知及び引示は、從來は「
選挙長
がこれを行う」とあるのを、その事務の
重要性
に鑑みまして都道府縣の
選挙管理委員会
が
選挙長
の報告に基いてこれを行うことといたしたのであります。その二は、
当選人
は
從来当選
の諾否を必要とし、かつ
当選
の告示を受けた日から十日以内に承諾の届けがないときは
当選
を辞したものとみなされるのを、
当選
を辞せんとするときにその旨を届け出ることにして、十日以内にその旨を届け出なければ
当選
を承諾したものとみなすことといたし、なお十日を経ない場合においても積極的に
当選承諾
の旨を届け出た場合には、
当選証書
をただちに附與することといたした次第であります。 第四は、
立候補
に関する
規定
でありまして、その一つは
立候補者
たらんとする者の届出の
締切期日
は、
選挙期日
前七日であつたものを、このたびは十日前ということにいたしました。なお
補充立候補
も
從來二日
前とあつたのを三日前と
改正
いたしましたが、これは
選挙管理委員会
が
選挙公報
の発行なり、あるいは
立会演説会
その他いろいろな
公営
を強化しなければならぬ事務的な必要からであります。 その二は、いわゆる
兼職禁止
に関する
規定
でありまして、
衆議院議員
と相兼ねることを得ない國または
地方公共團体
の
公務員
は、
公務員
をやめたあとでなければ
立候補
の届出ができないことといたしたのでありますが、
公務員
を辞する旨の届出をしてその辞任が容れられない場合を慮
つて
、その申出をして十日以内に
公務員
を辞することを得ないときには、その申出をして十日過ぎたならば
公務員
を辞したものとみなすことにいたしまして、一切
兼職禁止
というようなものは、その職を辞した後でなければ
衆議院議員
に
立候補
できないということに改めた次第であります。 第五は、
選挙期日
後における
挨拶行為
に関する
規定
でありまして、
從來衆議院議員選挙運動等取締規則
中に
規定
してありましたものを法定いたしました。なおその中に從來は
議員候補者
一人について百枚の張札をも
つて
当選御礼
をすることといたしてありましたが、それは禁止する。なお
当選御礼
のために
当選人
もしくは政党の名を連呼して歩くということはいけないことといたしました。その他
地方自治法
の
改正
に準じまして
代理投票
、
不在投票
の範囲を拡大したこと、それから
供託金
を五千円から三万円に
引上げ
、その沒收率を現行の十分の一というのを五分の一に
引上げ
ること、及び
政治資金規正法
の制度と関連して罰則の程度にまで及ぶ條文の整理をいたした次第であります。 以上
衆議院議員選挙法
の一部を
改正
する
法律案
及び
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律案
の要領を御説明申し上げましたが、この両
法案起草
の過程において、問題となりました重要なる数点について申し添えておきたいと思います。 第一に、
選挙法改正
の
主眼点
について申し上げます。本
委員会
は、さきに
政治資金規正法
を立案し、政党の
政治活動
及び
選挙運動
に関する資金を規正して
政治活動
の公明をはかり、
選挙運動
の公正を確保島、も
つて
議会政治
の信頼を保持し、ひいと
民主政治
の健全なる発達に寄與することに努力してまいつたのでありますが、しかしながら
規正法案
は主として
政治資金
及び
選挙費
の届出及び公開の方法によりまして政治を廓清しようとするものであ
つて
、直接に
選挙制度そのもの
を改善しようとするものではありません。
從つて自然選挙法自体
を
改正
して
選挙
の公正を期し、かつ政治の腐敗は
選挙
の金のかかるところから起る点から考えまして、莫大なる
選挙資金
を要しない
選挙法
をつくる必要がある次第でございます。この趣旨によりまして、今回の
選挙法改正
はなるべく金のかからない
選挙
の実現を主たる目的とし、兼ねて
選挙手続
の
合理化
と
民主化
の見地から
改正
の必要なる事項及び他の法令の関係上
改正
を要する点に止めまして、全面的の
改正
は後日の機会に
讓つた
次第であります。
從つて選挙
区についてこれが拡大または縮小の意見はありましたが、大勢は
現行法通り
とすることにおちつき、なお
投票方法
については
記号式投票
の採用は時期尚早とせられ、なお
投票
の單記が連記かの問題は
意見対立
を見ましたが、單記説が多数でありまして、結局
現行法通り
と相なつた次第であります。 次に
不在者投票
の拡充をはかりましたが、海員などは
選挙人名簿登載
を脱漏せられる場合が多く、
不在者投票
の制度が実際上活用せられないという点については、船舶の主たる
事務所
の
所在地等
を船員の主たる生活の本拠と見ることを妥当といたしますので、全
國選挙管理委員会
が
下級委員会
を適当に指導して
名簿登載
の脱漏を防ぐこととし、今回は
法的措置
をとらなかつた次第であります。 第三に、
選挙運動
の自由に関する問題であります。
選挙運動
の
公営
の
拡充強化
は、
候補者
の
選挙運動
の
費用
を極力軽減することによ
つて
、金のあるなしにかかわらず、
立候補者
に
選挙運動
の機会を均等に保障せんとするものであります。この案に対しまして、本来自由であるべき
選挙運動
を抑制し、
言論集会
の自由を奪い、新人の進出を阻害するものであるとの批判があるのであります。しかしながらわれわれ
選挙運動
の
体驗者
から見まして、さきに述べました
演説
、
放送
及び文書による
選挙運動
は、すべての
候補者
にと
つて力
の許す
最大限度
でありまして、しかもこれらの
選挙運動
の機会は、政党の領袖たると、はたまた白面の
新人たる
とを問わず、すべての
候補者
に対して奈全に均等に解放せられ保障せられておるのでありまして、殊に
街頭演説
のごときはまつたく自由に一任せられております関係から、これを目して新人の進出を阻むものとみなすことはまつたく当を失するものと私は解釈するものであります。また集会及び言論の自由を保障する憲法の精神に反するものではないかとの議論も聞くのでありますが、不必要に対数の第三者または労務者を使用し、あるいは多数の
自動車等
を濫用し、あるいは文書、
図画等
を利用して自己の
政策等
の表明以外の、すなわち自限の印象を
選挙人
に鮮明ならしめるための各種の方法を禁じたにすぎないのでありまして、今回の
改正法案
におきましても
候補者
がみずから思想、信條、主義、政策を
選挙民
に訴え、その批判を請う機会は、十分保障せられておるのであります。かくて
選挙資金
を有しない者、対等に自己の
抱負経綸
を理解せしむることのできない優秀な人材にと
つて
は、
選挙公営
によ
つて眞
の意味の
選挙
の自由が保障せられるのであ
つて
、形式的な
選挙
の自由よりも実質的自由を尊重することこそ、憲法の精神に副うものであると信ずる次第であります。 第四に、
選挙公営
ということになりますと、
泡沫候補者
の賣名濫立によりまして
選挙界
が撹乱せられ、
公営
に支障を來することも予想せられますから、
立候補
の自由を保障しつつ、
濫立候補者
に対して
防遏的処置
を三、三採用したのであります。 第五に、
個人
の
選挙運動費用
の制限について申し上げます。大部分の
選挙運動
は
公営
に移されましたが、
街頭演説会
を初め、
個人
としての
運動
の範囲も相当ありますので、
選挙運動
の
費用制限
は、
現行法通り
実施する必要を認めるものであります。しかしその
費用
の
制限額
につきましては、
現行政令
は單價六十銭とな
つて
おり、一
候補者あたり
五万円前後の計算と相なるのであります。來るべき総
選挙
の時期については不明でありますが、しかし少くとも
物價指数
は昨年
選挙
の四倍もしくはそれ以上となると思うのであります。かりに四倍といたしますれば二十万円ということに相なるのでありますが、
公営拡充
の結果、
個人
の
選挙費
は現行の五万円もしくはその二、三割増というところで制限することができ、またその辺が妥当ではないかと認められますが、これは政令に讓ることといたした次第であります。 第六に、
公営
に関する経費は、概算いたしまして一
候補者当り
十五、六万円を要すると計算せられるのであります。その結果從來の実施してまいつた
公営
の経費を差引きますと、すなわち新しい
公営拡大
による新経費は一人当り十一万円見当であります。國費として新しい
公営
の拡充の結果、新規に要する経費が一
候補者当り
約十一万円見当と計算をせられるのでありますが、そのうち五分の一弱の二万円を各
候補者
に分担させるということは相なる次第なのであります。 第七に、
選挙法規
は守りやすく守らせやすいという方向で
規定
いたしましたが、なお國民の監視によ
つて選挙
の公正を確保するという方針のもとに、
選挙管理委員会
は、
選挙人
に対して
選挙
に関する
重要事項
の
周知徹底
の方法を講じ、國民が自発的に
選挙違反
の防止に協力する態勢を整えることとし、さらに進んで
管理委員会
は
棄権防止措置
に万全を期する義務のある旨を決定いたしますとともに、なお
取締官憲
は
選挙法規
の励行のために努力すべき旨を特に條項を設けた次第であります。 以上をも
つて
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律案
及び
衆議院議員選挙法
の一部を
改正
する
法律案
の起草の経過並びに結果の御報告といたします。
吉川兼光
3
○
吉川委員長
ただいまの小
委員長
の
報告
に関して
質疑
に入るのでありますが、
質疑
に入りまする前に、お手もとに配付してありまする両議案の中で、新たに記入したところがあるのでありますので、その点を一度
確め
るために読み上げます。
三浦義男
4
○
三浦法制部長
印刷物を取急ぎましたので、
誤植等
があるところがあるようでありますが、それらの点につきましては、
法制部
におきまして
あと
で十分に
整理
をいたしたいと思
つて
おりますから、お許しを願いたいと思います。なお実質の
関係
のございます点で、
あと
で
ペン書
で入れました点につきまして、多少間違
つて
おる点もあるようでありますから、念のために申し上げたいと思います。
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律案
の第三條であります。第三條第一項は「
立会演説会
において
演説
をする者は、
議員候補者
でなければならない。」かように訂正いたします。それから次は第九條でありまするが、第九條の第一項におきまして、「
個人演説会
を」の下に「三十回以内」ということを入れていただきます。「
個人演説会
を三十回以内開催することができる。」第二項に新しく挿入をいたしました文字がありますが、それは「
前項
の
施設
については、
政令
の定めるところにより、その
管理者
において、必要な設備をしなければならない。」次に
從來
の第二項を第三項といたしまして、「
前項
」とございますのを「第一項」と改めます。次にやはり九條の第三項でありますが、これが四項になるわけであります。それから十條でありますが、第十條の第一項は削除いたしまして、十條の二項を一項とし、三項を二項といたします。そういたしまして第十條の新しく第一項となりました中に「
前項
の
規定
による
回数
に算入するものとする。」とありまする「
前項
」を、「前條第一項」と改めます。次に十四條でありまするが、「
議員候補者
のためにする
街頭
における
演説会
」の「
議員候補者
」を
選挙運動
」と直していただきたいと思います。次に第
十九條
であります。
十九條
の一項の
但書
でありますが、
但書
のところに「
郵便葉書
」とございますが「
郵便葉書
」の下に「及び無
封書状
」と「
郵便葉書
及び無
封書状
」というふうに入れていただきます。それから同條の第二項にやはり「
郵便葉書
」とございまするが、「
前項但書
の
郵便葉書
」の下に「及び無
封書状
」と入れていただきます。第二十二條でありますが、二十二條の一項の「専用」とございます「專」を削
つて
「
使用
」と直していただきます。「主として
選挙運動
のために專用される
自動車
」を「
選挙運動
のために
使用
される
自動車
」といたします。次に二十三條でありまするが、第二十三條の
飲食物
を
提供
し」とございます下に「又は
飲食物
の
提供
を受け」と、こういう
字荷
を入れていただきます。
但書
のところに「
湯茶
を
提供
する」とありますがその下に「
提供
する」の「する」を削
つて
「
湯茶
を
提供
し又は
湯茶
の
提供
を受けることは」とこうしていただきます。次に第二十四條の第一号であります。汽車、
電車等
のことが書いてありますが、これを削除いたしまして、二号を一号といたします。次に三号を二号といたしまして、「
選挙
に関し、多数集合し又は」というのを「多数集合し又は」までを削
つて
いただきます。その下に「若しくは」とありますのを「又は」と直していただきます。それから同條の
從來
の四号を三号にしていただきます。それから第二十五條の「
國有鉄道
」とあります下に、「
國営自動車
、」と入れていただきます。次に同條のやはりその下の方に「一
般乘合旅客自動車
」とあります下に、「
運送事業
」と入れていただきます。次に第二十六條でありますが、二十六條の第一項の後段に
ペン書
でかように附け加えております。「國又は
地方公共團体
において、これをあつせんするものとする。」その下に「この場合においては、全
國選挙管理委員会
又は
都道
府縣の
選挙管理委員会
は、
配給
の
計画
その他
実施
上必要な
措置
を講じなければならない。」かように入れていただきます。次は第二十八條の第五号でありますが、第五号の所に「第
十九條
第二項に
規定
する
郵便葉書
」かありますが、その下に「及び無
封書状
」とこう入れていただきます。次は第三十二條でありますが、三十二條の罰金の所に「三千円以上十万円」とな
つて
おりますが、「十万円」を「五万円」に直していただきます。それから同條の第二号に「第十條の
規定
に違反して」とございましたのを、「第九條第一項又は第十條第二項の
規定
に違反して」とこう入れていただきます。次に同條の七号の次に新しく八号を加えまして、三十三條にありましたものをこちらにも
つて
きまして、新しく加えたのでありますが、字句は「第二十三條の
規定
に違反して
飲食物
を
提供
し又は
飲食物
の
提供
を受けた者」かように直していただきます。次には第三十三條の罰金「五万円」とありますのを「三万円」と直していただきます。そして、第三十三條の第三号を削除していただいて、第四号を第三号とし、第五号を第四号としていただきます。最後に第三十六條でありますが、三十六條に「第三十四條及び第三十五條」とありますのを「第三十四條」を「第三十二條」とし、「第三十五條」を「第三十三條」としていただきます。以上でございます。
衆議院議員選挙法
につきましては、字句の誤植がございますので、それを
整理
すればいいようでありますので、実質には変りはないようでございます。
竹谷源太郎
5
○竹谷
委員
ただいま
三浦法制部長
から訂正がありましたが、その中で
十九條
の第二項の「
前項但書
の
郵便葉書
及び無
封書状
は、
議員候補者
一人について通じて千枚とし、その「通じて」というのが落ちていたようであります。
吉川兼光
6
○
吉川委員長
この際
三浦法制部長
に質問いたしますが、無
封書状
というのは普通俗にいう開封のことですか。全然封をしないのですか。
三浦義男
7
○
三浦法制部長
開
封書状
と同樣でありますが、一方の端の方だけを切
つて
ありましてもそれを無
封書状
ということになるのでありまして、この点は逓信省にも打合わせましてこの用語でいいようであります。
吉川兼光
8
○
吉川委員長
それではただいまから小
委員長
の
報告
に関し、
質疑
のある方は発言を許します。
工藤鐵男
9
○工藤
委員
二十四條の汽車、電車、乘合
自動車
、
船舶
その他の公共の乘物の中において、
選挙運動
のために
演説
をすることというのを削
つて
あるように思いますが、これを必要ないのですか。
竹谷源太郎
10
○竹谷
委員
お答えいたします。第二十四條の第一号は削つたのであります。たとえば鉄道
関係
の法令において、鉄道の中の汽車、電車、あるいは待合構内そういう所はその法令で禁止してあるものもありますし、また他の警察法令等で禁止せられておるものもありまして、もしこれを削ると、できるところもあるかもしれませんが、そこまで
制限
をする必要はなかろうかというので削つた次第であります。
工藤鐵男
11
○工藤
委員
それでは
船舶
警察、汽車警察などは、これは違反にならぬわけですか。
竹谷源太郎
12
○竹谷
委員
その点はそれぞれの法令に讓
つて
、
選挙法
としては干渉しないということになるわけであります。
北二郎
13
○北
委員
この予納金の二万円というのは、非常に金持の人は出られるが、貧乏な人は全然出られぬという結果になると思うが、この点ひとつどういうわけで二万円というのをとられたか。それをお伺いしたい。 それからもう
一つ
は、
演説会
を三十回以内に
制限
するということは、たとえばわれわれ北海道におきましては非常に
区域
が廣いので、どうしても一日三回ないし四回、五回や
つて
歩かなければならぬ。それを三十回に
制限
されると、自分の
意見
がほとんど徹底しなくなる。どういうわけで三十回に
制限
されたか、その点をひとつ御説明願いたいと思います。
竹谷源太郎
14
○竹谷
委員
北
委員
は
選挙法
小
委員
でもあり、十分御出席でいろいろ論議を御承知のこととは思いますが、
從來
現行法通り
のたとえば
選挙費用
の
制限
五万円と仮定いたしますと、物價が約四倍となると、これからの
選挙
では二十万円の
選挙費用
になるわけです。それを
選挙公営
の結果五万円ないし六、七万円で
個人
の
費用
はあがる。その他は全部
公営
ということになりますと、十数万円を
公営
で
負担
することになりますので、そのうち二万円ぐらいもつことは
候補者
としては大なる
負担
ではない。非常に
負担
は軽減される、こういう次第であります。 それから三十回に
演説会
を
制限
したのは、
制限
と申しますと、いかにも抑えたようでありますが、現実の問題としては
立会演説会
は三十回近く行われることになると思うのであります。
選挙
区によ
つて
多少違いますが、そのほかに
個人演説会
が三十回ある。そうすると六十回近いものになる。そのほかに
街頭演説
は
候補者
の身が許す限り無
制限
にできるのであります。ゆえに
候補者
が自分の主義政見を有権者に訴える
機会
が
從來
よりも少くなることはないと思います。
北二郎
15
○北
委員
実はわれわれ農村をまわるのですが、
立会演説会
には農村の人はなかなか出られないのです。町の人の票はとれないので農村ばかりをまわるという結果になりますが、そうすると三十回ではとても徹底しないと思います。そうすると農村をまわる人は非常に不利になると思いますが、どうお考えになりますか。
竹谷源太郎
16
○竹谷
委員
その点につきましては、
小委員会
において数日にわた
つて
ずいぶん檢討を加えたのでありますが、そうした農村等でばらばらに人家のあるところでは、なおさら
演説会
という
一つ
の
施設
の中では人が集まりにくい。それよりは
街頭演説会
が無
制限
に認められておるので、その方で補いがつく。かえ
つて
その方が効果的ではないかということを考えまして、三十回ということは実際問題としては
制限
にはならないのではないか。
街頭演説会
を十分に利用できる北さんのような若い健康な人は、どんどん歩きまわ
つて
何百回でも
街頭演説会
できるのではないかと思います。
北二郎
17
○北
委員
実は北海道の農村は非常に大きいのでありまして、一村に学校が二つ、三つ、四つ、五つというように多くある場合があります。そういう部落にいきますと、
街頭演説
ではやはりうまくない。夜、学校に集ま
つて
もらうのでなければ、なかなかできないのですが、この三十回を九十回くらいにしていただけないものですか。
竹谷源太郎
18
○竹谷
委員
農村において晝間は忙しくて夜しか集まらぬとすれば、一日一回しか
演説会
がやれない。そして
選挙運動
の期間は最大三十日でありますから、毎晩や
つて
も三十回しかできないことになります。しかし私北海道におつたことがありまして事情も承知しておりますが、大体北海道の
町村
は非常に大きゆうございますから、内地の
町村
と違いまして、各
町村
で一回くらい全部
立会演説会
ができるようになりますので、その点も
立会演説会
等で補いがつくのではないか、かように考える次第であります。
佐竹晴記
19
○佐竹(晴)
委員
私この際明らかに願
つて
おきたいのは、二十三條に関する点であります。「
飲食物
を
提供
し又は
飲食物
の
提供
を受けてはならない。」とありますが、この中で親戚や友人の宅で宿泊をして、そこで御飯やお惣菜のようなものの
提供
を受けた場合、これは
提供
を受けてはならないという禁止
條項
に該当するか、まずこの点を承
つて
おきたいと思います。
竹谷源太郎
20
○竹谷
委員
飲食物
の
提供
禁止並びに受けることの禁止につきましては、佐竹さんのおつしやられるような社交的なものについては差支えない。單にこれは特定の
候補者
の
投票
を得る
目的
の行動という意味の「
選挙運動
に関し」という限定がございますから、そういう場合にはこの
規定
に該当しない、かように考えている次第であります。
佐竹晴記
21
○佐竹(晴)
委員
旅館などに宿泊をいたしまして、相当の代金を支拂
つて
提供
を受けた場合においては、ただいまのお言葉によると結局
選挙運動
に関したものとみられないからというのでありますが、しかしこの面から観察いたしますと、多大の疑問が起
つて
まいります。つまり宿泊をいたしましたその宿泊料のごときは
選挙運動
用中に
計算
されますことは、
選挙運動
に関する
選挙法
に明記しておるところであ
つて
爭いのないところであります。そこでこちらも
選挙運動
のために
演説会
に行
つて
いる。旅館の主人公もこれは
選挙
のために來た人であるということを知
つて
いる。こういつた場合に
選挙運動
のために交通をしている人であり、宿泊をした人であるということを知
つて
おり、自分たちももちろんその考えで宿泊をいたしまして、そこで
飲食物
の
提供
をその旅館において受けた場合、そのときにこれは
選挙運動
に関しないということが言えるでありましようか。
竹谷源太郎
22
○竹谷
委員
御質問の趣旨がよくわからないのでありますが、旅館の主人が宿泊者に
飲食物
を
提供
した場合のことをおつしやられるわけですか。
佐竹晴記
23
○佐竹(晴)
委員
旅館業としてで結構なんであります。こちらが代金を支拂
つて
その
提供
を受けた場合……。
竹谷源太郎
24
○竹谷
委員
その場合はむろん商賣ですから、ここに該当しないと思います。
佐竹晴記
25
○佐竹(晴)
委員
そうすると商賣だつたら構わぬ、代金を支拂
つて
ならば構わぬということになりますと、これはたいへんな結果になりはしないかと私はおそれるのであります。過日これは
小委員会
においても何とかひとつうまいぐあいに表現できないものかと申し上げたのでありますが、適当な文字がないというのでこのままに
なつ
たようでありますので、この際解釈をお定め願いたい。私の質問によ
つて
小委員会
において決定されました御趣旨をここに明らかにしておいていただきたい、こういう趣旨なのであります。 いま
一つ
、たとえばここに弁士を連れて旅館へ泊る、そうしてその弁士は、たとえば外食券を持
つて
おつたといたします。外食券をも
つて
飲食物
の
提供
を受けた、それを
候補者
であるわれわれが支拂
つて
やつたときは、われわれがその弁士に対して
飲食物
を
提供
したということになりはしないか、これはどうなるでありましようか。この際解釈を明らかにしておいていただきたいと思います。
竹谷源太郎
26
○竹谷
委員
一緒に泊
つて
演説
をして歩きます場合に、さようなことは始終起
つて
くるし、今までも問題にならなかつた点であろうと思います。普通の旅館に宿泊して、体力を維持するに必要な定食
程度
をともに食
つて
それを拂うということは、一種の実費弁償であると思いますから、該当しないと思います。ただその
程度
を越えて饗應するということになりますと、むろんこれに該当する。また
從來
の百十二條ですか、あれにも該当して
選挙違反
になると思いますが、おつしやる
程度
の一緒に泊
つて
宿泊費を実費弁償で拂うべきところを、便宜
候補者
において立替支拂うということになりましても、これには該当しないと考えるのであります。
細川隆元
27
○細川(隆)
委員
私は非常にこまかい点を
法制部
長にお尋ねしたいのですが、第十四條の「
議員候補者
のためにする」という文句を「
選挙運動
のためにする」ということにかえられた。そうすると新しい字句の訂正から出てくることは、
議員候補者
以外も
演説
することができるということが当然出てくるわけです。たとえば
個人演説会
も
立会演説会
も、
議員候補者
以外の
演説
者のことを明記してあります。ところが
街頭演説
だけは今字句が変りましたから、
議員候補者
以外の
演説
者に対しては、何ら触れておらないが、むろんこれは同じように解釈をしていくわけですか。
三浦義男
28
○
三浦法制部長
ただいまの点は御説の通りに考えております。ただ「
議員候補者
のためにする」というのを「
選挙運動
のためにする」ということにいたしましたのは、実質的には同じ意味に解しておるわけでありまして、ほかの方で
選挙運動
と言いましたのでそれに合わせる方が適当であろうというので、かように訂正いたしたのでありまして、
議員候補者
がみずから主催した
街頭演説会
はもちろんのこと、第三者が
議員候補者
のために
街頭演説会
を開催した場合におきましても、同様
選挙運動
のためにする
街頭演説会
には入る、こういうように解しておるわけであります。そうして御説のそれ以外の人につきましては禁止をいたしておりませんので、それは自由に放任される、かようなことにな
つて
おるわけであります。
林百郎
29
○林(百)
委員
十五條の
演説会
の禁止の問題ですが、これは
選挙運動
のためにする
演説会
はできないのでありますが、たとえば学術研究会とか、あるいは学術の研究座談会とかいうようなものがあ
つて
、
当該候補者
が学者として非常におん蓄を極めた人あるいはその鋼の権威者であ
つて
、
選挙運動
とは別個にそういう研究会というようなものへ出ることはいいかどうかということをお聽きしたいと思います。
竹谷源太郎
30
○竹谷
委員
さような場合に、いわゆる
選挙運動
のためにする
演説会
ではないのでありまして、差支えないわけであります。ただそういう名義を用いて、特定の
議員候補者
のために
投票
を獲得する
目的
が含まれておれば、むろんこれに該当すると思います。
林百郎
31
○林(百)
委員
それから婦人会とか青会年、あるいは商工人議所、労働組合などもあると思いますが、そういうような諸團体が、各党の
候補者
というか、各党の
代表者
を呼んで時局
批判
演説会
をするというような場合、これは
選挙
とは別で、各党の主張を聽きたいという場合はどうなんですか、各党の代表を呼んで特定の人でないというような場合は……。
竹谷源太郎
32
○竹谷
委員
その問題は非常にデリケートな問題でありまして、
選挙期間
中にさような行為をなすことは結局
選挙
演説
と非常に紛らわしくな
つて
、これは大部分
選挙運動
のためにするものという疑いを受けますので、そうしたことは大体においてこの十五條に該当することに相なると思うのであります。
林百郎
33
○林(百)
委員
時局
批判
演説会
とか、あるいは物價の問題、あるいは賃金の問題、税制の問題などについての各党の
意見
を聽きたいということで
演説会
をしたときはどうですか。
選挙
と全然別個にそういう生活に切実な問題について各党の聽きたいということで、各党の
代表者
の立会の
演説会
を聞くような場合はどうですか。
竹谷源太郎
34
○竹谷
委員
その場合においては、それぞれの地方の
候補者
が各党の代表として出て、いろいろな
演説
をすることに相なろうと思うのでありまして、結局において
選挙運動
のためにするものと解せられますので、大体においてこの十五條の禁止
規定
に該当する、かく解釈いたします。
林百郎
35
○林(百)
委員
先ほど佐竹
委員
からも質問があつたのですが、
飲食物
を
提供
さしてはいけないというのですが、われわれ大会などがあ
つて
、宿屋がなくて同志の所ほ泊
つて
、食事など出してもらう場合は、これにかかるか。
竹谷源太郎
36
○竹谷
委員
社会常識上普通の社交
程度
に、
候補者
が來たときに宿泊させることは、いわゆる第二十三條に該当いたさないと思います。先ほど佐竹
委員
からもお話がございましたが、この
條文
は非常に
規定
しがたいので、佐竹
委員
のおつしやるような
規定
も、なかなか文章の上には表わしにくかつたのでありますが、結局これは社会通念で解決せらるべき問題であ
つて
、ただいま林
委員
からお話のあつたような点は、社会通念上該当しないように考えておる次第であります。
栗山長次郎
37
○栗山
委員
第二條の第三項について明らかにしておきたいと存じます。
起草
委員会
においてもしばしば論ぜられたところでありますが、第二條の第三項の適用に際しては、その幅を十分廣くとるという
起草
委員会
の趣旨であつたと存じますが、廣くとると申しましても、限界のあることでありますが、およそ一
選挙
区について三十回
程度
までは
立会演説会
を開催し得るように、
選挙管理委員会
が取計らい、
規定
をするようにということであつたと存じます。この点を本
委員会
において明らかにいたしておきたいと存じます。
竹谷源太郎
38
○竹谷
委員
ただいま栗山君よりお話のありました点については、第二條の第一項につきましても、特殊の
選挙
区にありましては、五千以上の
町村
が七十五箇
町村
もある所もありまして、これは実際上
立会演説会
を七十五回開催することは困難であろうと思いますので、こうした点については、おおむね五千以上でありましても、あるいは六千と限定をしなければならぬような場合も起
つて
來るかと思うのであります。と同時に、第三項のようなことで、たとえば神奈川縣のある
選挙
区等は六
市町村
しかない所があります。さような所におきましては、
立会演説会
の度数が減るのであります。もつとも市は
人口
五万ならば六回でなく、十回なり十二、三回になると思いますが、あまり
立会演説会
の度数が少いというような場合におきましては、第三項なりあるいに第二項の
人口
五万というのを四万くらいにするとか、いろいろ調節が必要であろうと思います。 なおまた今栗山
委員
からお話の
人口
五千以上の
町村
が少くて、
人口
五千以下の
町村
が非常に多い。そういう所におきましては、おおむね五千とあるのを切り下げ、これは
人口
交通等
の斟酌というものを大きくいたしまして、できるだけ三十回近い
回数
にいたすということを
小委員会
においても話合いまして、大体
意見
の一致を見ている点でございます。
細川隆元
39
○細川(隆)
委員
小
委員長
または
法制部
長にお伺いしますが、
選挙
が始ま
つて
、東京に
選挙
区をもたない各党の
代表者
を
放送
局が呼んで、
放送
討論会みたいな形式で
放送
することは差支ないのかどうか。
竹谷源太郎
40
○竹谷
委員
その問題につきましては、
政党
の
選挙運動
といたしまして、
政党
代表者
の
選挙
放送
を法定しようかという議論もございましたが、
政党
というものの定義がなかなかはつきりしておりませんし、また全國に何百かの
政党
がありまして、そのうちどれをやるか、全部やることはとうてい不可能でありますから、どの
政党
にやるかという問題で、
実施
上全部の
政党
が
選挙
放送
をするということは、非常に困難性が伴
つて
まいります。そこで
從來
も
放送
局の主催をもちまして、
政党
代表に
選挙
の際に
演説
を
放送
させておりましたから、
從來
の例に從
つて
放送
局をして自発的に行わしめるということで、この法文に特に
規定
はいたさなかつたのでありますが、
從來
通り、やはり
政党
代表が
選挙
の際にその
政党
の主義
政策等
を
選挙民
に訴える、こういう
機会
は
從來
もしくは
從來
以上に
放送
局において取計らうということによりまして、法定をいたさなかつた次第であります。
細川隆元
41
○細川(隆)
委員
そういう場合に
放送
目的
で各党代表を呼んでやらせる。たとえば日比谷の公会堂
あたり
である
放送
を全部許すと、実質は
演説会
と同様の形になる。しかし
目的
は
放送
の形でそれをやるわけだが、実際は
演説会
という場合にはどうなるか。そこは林君が聽いた
政党
の演設会を認めるか認めぬか。これは認めない。今度の
目的
は送放だが、実際は人を一ぱい入れて日比谷公会堂などでやる場合、こういう
演説会
は
放送
のためとして認められるのか。これはおそらく現実に出てくると思うので、一應お伺いしたい。
三浦義男
42
○
三浦法制部長
一應その問題に関しましては、十五條の問題として考えておるわけでありまして、いかなる名義をも
つて
するを問わず、そういう場合は
選挙運動
のためにする
演説会
ということに該当する、かように一應この
法案
では考えておるわけであります。
放送
と
演説会
が違います点は、
演説会
におきましては、直接行動をも
つて
特定多数の人に自分の政見を発表するということになれば、
演説会
形式になるのでありますが、
放送
の場合におきましては、それが間接であ
つて
、今のような
放送
ということも兼ね合わせまして、日比谷公会堂等にやりました場合において、実質的には十五條の
演説会
に該当するというように、私どもとしては一應考えておるのであります。
林百郎
43
○林(百)
委員
今の点ですが、これは十五條を見ますと、
選挙
演説
のためにする
演説会
なのですから、特定の
候補者
を
当選
させる
目的
がない場合、各党がどういう
政策
をも
つて
おるかということをお互いに聽こうというような場合まで、これを禁止する、一切のそうした
演説会
を禁止するということになれば、これは明らかに
憲法
二十一條の
集会
の自由の保障に対する違反になるではないかと思うのであります。十五條は
選挙運動
のための
演説会
なんですから、そうした團体が各
政党
の
政策
なり
意見
なりを聽きたい、特定
候補者
のための
選挙
演説
ではなくして、自分が適正な
選挙
をするための予備知識として、各
政党
の
政策
を聽きたいという場合は、私はいいと思うが、その点について伺いたい。特にこれは労働組合などの皆さんは晝間の
立会演説
なでにはどうしても出られないから、職場の休憩時間などに各
政党
の人を呼んで來て
政策
に聽きたい。これはだれの
選挙運動
ということでなく、
候補者
からそれぞれ党の
政策
を聽きたいということはあり得ると思うが、そういうものまで十五條で
制限
するのかどうか。これは大きな問題と思いますから、
意見
を聽きたいと思います。
竹谷源太郎
44
○竹谷
委員
一つ
の案ですが、そういう場合には、東京におけるその
選挙
区の
立会演説会
を公会堂で催してもら
つて
、代理者が五分の一以内で認められますから、Aという
候補者
がそこに出ているが、社会党なら淺沼書記長が代理人として出てやるという便法もあるのですが、
立会演説会
の形式で開いて、そうしてそれを装送するという手はあると思います。
林百郎
45
○林(百)
委員
そうすると
立会演説
をやる
場所
というのは、大体
選挙
局理
委員会
の指定した
施設
になると思いますが、たとえば大きな、産別なら産別、総同盟なら総同盟というような労働組合が、ある職場なり、ある
場所
でそういう会合をもちたいという場合に、そういうものを
立会演説会
の
場所
に
選挙管理委員会
は指定するのかということを聽きたいのであります。
細川隆元
46
○細川(隆)
委員
私はこういうふうに解釈上
規定
したらどうかと思う。
議員候補者
が自分の
選挙
区でやる場合には、いかなる名称をも
つて
するとを問わず、
政党
主催であろうが、何であろうが、これを
選挙運動
のためにする
演説会
と解釈する。しかし、私は九州に
選挙
区があるが、東京において各党代表の
演説会
があつたとして、私がこれに出ても、
選挙運動
のためにする
演説会
ではないというふうに……。
林百郎
47
○林(百)
委員
選挙運動
のためにする
演説会
ですから、ある
候補者
の
選挙運動
のためでないならば、ある
程度
許さないと、
憲法
二十一條にも抵触してきますから、そういう意図がない限りはよいと思いますが、これをひとつ解釈していただきたいと思います。
竹谷源太郎
48
○竹谷
委員
そういう場合には、やはり
選挙運動
のためになるのでありまして、十五條の趣旨から言
つて
、そうは解釈できないと私は思うのでありますが……。
三浦義男
49
○
三浦法制部長
ただいまのお話のような
政党
の行います
演説会
につきましては、
小委員会
においてもいろいろ論議せられたのでありますが、結論といたしましては、
政党
の
演説会
というものは、
政党
の
選挙運動
に類するものであ
つて
、これを方々で認めることになると、その間の限界が明瞭でないというような
意見
がいろいろ出ておつたのでありまして、從いましてさような場合におきましては、
政党
の行う
選挙運動
と、十五條に
規定
してあります
選挙運動
のためにする
演説会
ということに該当する、こういうことが大体
委員会
の結論であつたように私は承知いたしております。特に特定の
候補者
をあげてやる場合には、
選挙運動
の最も明瞭な場合でありますが、かりに不特定な人をあげましても、ある党の
候補者
は
選挙期間
中にはきま
つて
おりますから、そういう人たちをここにあげなくても、そういう人たちのためにぜひ何々ということが
演説会
において行われますれば、やはりそれは
選挙運動
のためにする
演説会
というのに該当するだろと考えております。
林百郎
50
○林(百)
委員
私の言うことを誤解しております。私は
政党
がやるのではなくて、たとえば青年団とか、あるいは商工
会議
所、あるいは労働組合等が、勤務時間やいろいろの都合で
立会演説
へ出ることができないので、そういう場合には晝の休みに各党の
代表者
を呼んで、各党の
政策
、主義、主張というものを聽きたいと思う。ある
候補者
のためではなくて、自分の一票の行使を適正にするたに、各党の
政策
、主義主張を聽きたい。そういう意味で、そうした
政党
でなくて労働組合あるいは中小商工業者の團体、青年團、婦人会こういうようなものが、各党の
代表者
を呼んで、時局
批判
とか、各党の
政策
を聽くの会というものをやる場合も、一体はいるのかどうですか。
栗山長次郎
51
○栗山
委員
十五條についてでありますが、
政党
の
演説会
を除外いたしました
小委員会
おけるおもなる理由の
一つ
は、
政党
が
演説会
を催しましても、周知宣傳の
方法
を
政党
自体がビラ張りによ
つて
なすにあらざれば、一般に
演説会
があることを知
つて
もらえない。ビラを張るということが、
候補者
の周知宣傳は
公営
でやるという建前と抵触し混乱するというのがおもなる理由で、
政党
の
演説会
というものを除外したのであると私は記憶いたしております。そこで有権者は
自己
の一票を行使するために予備知識を一分に茂ておきたいというような観点、もしくは
集会
の自由というような観点、この
集会
の自由というものはおのずから
制限
されてくると思いますが、されてもまたいたし方ないと思いますけれども、そういうような点を考慮いたしまして、次に述べますような解釈をと
つて
おいたらどうかと思います。解釈だけでそれが不十分であるというのなら、それを記入したらどうか。実は
小委員会
のときにそこまで氣づけばよかつたのでありますが、今の実情を申し上げてみますと、
選挙民
主体に知らせるという観点からいきますと、報道機関がその任務をまず負うておるものと見得ると思います。従
つて
報道機関が各
政党
の政綱、
政策
を一般の知らせんがために開く
演説会
もしくは
放送
というものは差支えない。それをして差支えないというのは、当初の発言にもどりますが、別に周知宣傳のビラ張りを必要とせずして、しかもこれは労働組合とか一商工
会議
所とかいうものでなくて、
國民
全般を相手にするものであるという理由を含まれてくるわけであります。その場合細川君が言いましたように、ただ
一つ
の
制限
として、同一
選挙
区内において
立候補
している者はこれに携わらぬ。
放送
なら九州まで聽えるじやないかということが、あるにいたしましても、これは一般のためということの方に重点を置かれておりますから、取扱いがあるように私は存じます。
工藤鐵男
52
○工藤
委員
林君の考えていることも私は正当だと思いますけれども、
從來
の
選挙界
の状態を見ると、あるいは在郷軍人会、青年團、労組などという名においていろいろな
集会
を開いて、その実は必ずある
候補者
を目標としてやつたということは、過去の歴史が証明している。だからこれを今回
法律案
にする場合には、なるべくはそういう弊害の起らざるんがために、このような
規定
は必要だろうと思う。一体そういうことはあえてわれわれが干渉せぬでもよさそうなものであるけれども、なかなか狡猾な
候補者
はそれをよく利用する。であるからその手を防ぐためにも、現在のように廣く
範囲
をと
つて
おいて、その弊害に陷らないようにするのがよかろうと思う。
憲法
上の欠点があるかどうかとか、あるいはいろいろなことがたくさんあるだろうけれども、そんなことは別として、これはこう考えたらよくはないかと思うという御答弁があつたから、私はそれに対して肯定する一人であります。
吉川兼光
53
○
吉川委員長
この際お諮りいたしますが、今日はあまり時間がありませんで、
あと
で討論の時間もございますし、特にこの
法案
は御存じのように各党から小
委員
を挙げまして、十二分に討議をして、
質疑
應答もそこで繰返されておることでありまするから、その
小委員会
で行いまして
質疑
應答をここで繰返すということは、時間の経済のためにも、また会期の費
つて
おりまする今議会を通過させるという建前からも、考慮の余地があろうかと思います。それで
質疑
はお許ししますが、
あと
全部で十分くらいで
質疑
を打切るということをお認め願いたいと思います。
林百郎
54
○林(百)
委員
私は
小委員会
で解釈したことと違うので伺うわけですが、工藤氏の言われるような場合は、
選挙運動
のためにする演演会で、そういうのは明らかにいけないけれども、ある
候補者
のためでなくて、各團体主催の、
政策
を聽くの会というような、
選挙運動
のためという條件がないならば、
演説会
は許されると思う。そうでないと
選挙運動
のためということを冠した理由がないと思う。その点を
確め
たい。
選挙運動
のためにするという條件は、何のために要るか、これさえなかつたならば、私は
演説会
はよい。それを
法制部
長に伺いたい。
工藤鐵男
55
○工藤
委員
あらずという反対の言葉がある。それは林君のはもつともな話だが、しからば
選挙運動
のためにあらずということの明らかな証拠を示すことができますか。包含することもできるけれども、積極的にこれを表わすことができる途があれば、私はこれでよかろうと思う。ただ人の心を憶測する
程度
においてはやはりいけないのだから、何か林君に名案があるならば——これは
選挙運動
のためでありません。一般の寄附を公表するためであるというようなことが。——
從來
在郷軍人なんかずいぶんわれわれの
選挙
に干渉したものだ。 〔「進行々々」と呼ぶ者あり〕
吉川兼光
56
○
吉川委員長
それでは林君の今の
質疑
の問題は、これから花村君の
質疑
を伺
つて
いる間に解釈をきめたいと思いますから、花村君に
質疑
を許します。
花村四郎
57
○花村
委員
市町村
のことはきめてあるのでありますが、東京のごとく
市町村
と異
なつ
た区制が布かれておるところは、どういうぐあいに解釈しておられましようか。
三浦義男
58
○
三浦法制部長
その
関係
につきましては、第二
十九條
に
規定
を置いてございまして、区等につきましては、市と見做しまして
演説会
等の單位を考える、かように考えております。
竹谷源太郎
59
○竹谷
委員
第十五條の
選挙運動
のためにする
演説会
というものの解釈についていろいろ
質疑
が交わされておりますが、
小委員会
としては、この
選挙運動
のためにする
演説会
は、これは絶対にいけない。その
選挙運動
のためにするということについて、いろいろ学術研究のためとか、あるいはその他の
目的
のためにというようなことで
候補者
その他が出ていく、結局そういうようなものは
選挙運動
のためにすることに相なるので、こうしたものはこの十五條違反になる。こう
小委員会
においても大体解釈して、この
條文
をつくつた次第であります。
吉川兼光
60
○
吉川委員長
お諮りしますが、ただいま小
委員長
の御
報告
になりましたように、この十五條の解釈に対する
小委員会
の解釈を本
委員会
で確認いたしますか、いかがですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
林百郎
61
○林(百)
委員
異議あり。採決してください。
吉川兼光
62
○
吉川委員長
それでは採決いたします。ただいまの十五條の解釈に対する小
委員長
の
報告
に、御賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
吉川兼光
63
○
吉川委員長
起立多数。確定いたしました。 それでは御
質疑
も大体終了いたしたようでありますから、これから討論に入ります。討論に入るに先立ちまして、林百郎君と北二郎君から修正案が出ておりますから、これをお諮りいたします。修正案は第九條の中の「三十回」を削除すること、それから第二十七條、すなわち
分担金
でありまするが、この條章を削除すること、これはもはや説明の要はないと思いますから、ただちに採決に入ります。この修正案に賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
吉川兼光
64
○
吉川委員長
少数。否決。 それでは原案の討論に入ります。通告順によりまして発言を許します。民主自由党工藤鐵男君。 〔「簡單」と呼ぶ者あり〕
工藤鐵男
65
○工藤
委員
実は簡單に申し上げたいと思いましたが、わが党では、
選挙法
について最も精通しておるという齋藤君の
意見
もあつたために、私はやむを得ずここに立つものでありますから、どうか簡單以外に多少の御猶予あらんことをお願いいたします。 立法の
精神
は大体もう明瞭であります。つまり
政治
の競爭ですから、公正の原則に基いて
機会
均等の法則を使
つて
できた法律でありますから、大体賛成です。賛成ですけれども、ただわれわれの考えておるのは、林君も言われました通り、多少
憲法
上の疑義ありと叫ぶ人は、單に林君ばかりではない、私の方の齋藤君なども、その
意見
をも
つて
おる一人である。從
つて
、いやしくもわれわれ
憲法
のもとに國家の政務を扱
つて
おる者は、これを聽き流しにしておくということはいかがかと考えますから、この点について私及び齋藤君の
意見
を加えて、ここにこの案に対する態度を表明いたします。要するにわれわれから見ると、公正の原則に基いてできた
法律案
であるけれども、この公正のもとには、どうしても
機会
均等がなければならぬ。
機会
均等の線を守らんとすれば、選業界は紊乱する、あるいは自由競爭にすると撹乱せられる、もしくはいわゆる
候補者
の濫立にもなる。のみならず近代の風潮からいくと、この
選挙
に対して熱中のあまり、法を考えずに、むちやくちやに
選挙界
に出てきて金を使う者があることは、否定のできない事実である。もし金力によ
つて
この
選挙界
が支配されるということであつたならば、ここに立憲
政治
は滅びるのである。ゆえにわれわれの最も心配いたしましたのは、金権
政治
にあらざる限りは、どうしてもこの
費用
をかけないくふうをしよう。そういうものをして跳梁跋扈せしめないということに原則を置いて、この法律ができたようなわけであります。齋藤君などの
意見
は、要するに立憲
政治
の根本は
選挙
であ
つて
、同時に
國民
の
政治
意識を大いに発揚することであるから、これを拘束することは立憲
政治
に反対するものであ
つて
、この法律の建前からいくと、
憲法
違反の疑いありと主張するのであります。從
つて
そのうちのいかなるものがそういうところにあるかというと、齋藤君はまずこういう点をあげておる。私もそのあげた点については大体肯定しておりますから、
委員
の一人としてその
意見
をここに陳述するものである。 その
一つ
は
立会演説
である。この
立会演説
については、われわれの同志の一員である齋藤君も、どうしても加わらなければならぬということは、全國にたくさんの
選挙
区があるけれども、
政党
の
事務所
は必ずしもその近くにあわけではない。あるいは
候補者
の
事務所
があるわけでもない。これをどうして公告後三日間の間に連絡をとるか。連絡のとれなかつた結果というものは、
立会演説
に加わることができないことになるのではないか。これを一体どう考えておるかということが
一つ
。かりに
事務所
の支部などがあ
つて
も、
所属
代議士をもたない、あるいは議員をもたない、そして今回初めて
立候補
をした場合において、どうすればこの連絡をうまくしていくかということも考えていかなければならぬではないか。第三には、そういう
関係
から、無
所属
候補者
の
意見
を述ぶる
機会
を得られないようなぐあいになるのであるから、これはどうするか。第四番目には
選挙
の
告示
後において、三日間で、はたして各
候補者
が
立会演説会
へ出るだけの準備ができるかどうか。そうすると
候補者
が出られなければ、
代表者
を出すということも
制限
されておるというのであるから、この点をどうするか。第五番目には、
選挙
管理人の
事務所
は、
都道
府縣廳の所在地にあるけれども、遠隔の
選挙
区においてはないのであるから、この連絡も、とうていとることはできないであろう。第六には、
候補者
の
届出
にはおのずから緩急がある。それだから
届出
の遅速によ
つて
それが
立会演説
に出席することができないようなときは、後においてこれを回復する途はあるだろうけれども、一回々々で済むのであるから、これも非常に迷惑することになりはしないか。第七には、
立会演説会
に
候補者
差支えあるときには、代理を出すことはできないことになる。して見ると、
立会演説
は
候補者
故障ある場合には、三十回のものが十回か九回で終るということになり、このハンデキヤツプは補えないことになるではないか。これをどうするか。第八には、時間の
制限
の問題、たとえばわれわれが三十分やるとしても、十人の
候補者
があればどうしても五時間になる。そういうような場合においては、おのずから時間の
制限
もはなはだしくしなければならぬ。これは一体どうするのか。殊にそういう場合においては、同じ地域において
演説会
を開くことを差止められるということであれば、この点においても
言論
の
制限
は著しいわけではないか。第九には、
立会演説会
に
候補者
も代人も出席せざるときは、同一の
区域
において、
候補者
は
個人
で
演説会
を開くことを禁止するのはどういうわけか。こういうようなことで、われわれはやはりこの点に対する疑問をも
つて
おります。しかしいろいろ
意見
がありますけれども、煩を省くためにこれは速記者にお願いをして速記の上に止めてもらいます。大体私賛成でありますけれども、ただいま申し上げたような疑問がたくさんありますから、これはとうてい今回は間に合わないから、他日
改正
するときにまつこととします。しかしまだ修正案が出るとするならば、それを出すときに
意見
を述べるかもしれないけれども、大体これは後日の参考のために私はこれだけ申し上げます。なお齋藤君も同じ
意見
でここに私あての書面もありますから、これも速記者にお任せいたします。私は大体
本案
については原案に賛成いたします。
吉川兼光
66
○
吉川委員長
細川
隆元
君。
細川隆元
67
○細川(隆)
委員
日本社会党はこの両
法案
に原案通り賛成の意向を表明いたします。その理由は第一條に書いてあります現下の
経済事情
に鑑み、
選挙
の
公営
を強化し、
選挙
をもつと公平かつ適正に行い、も
つて選挙
の
腐敗
を
防止
することを
目的
として提出された
法案
であるからであります。
民主政治
の基礎は
選挙
であり、
選挙
の基礎は
國民
の意思が自由に反映するという点であります。
選挙
は自由でなければなりません。しかるにこの自由ということが形式に流れて、実質的に不自由であり、不平等であり、不公正であつたならば、この
選挙
の
目的
並びに
民主政治
の確立は期し得られないのであります。最近のわが國の
経済事情
に鑑みますると、
公営
をやることによ
つて
初めて自由の
選挙
が達成される。そうしてその
選挙
は公平かつ適正に行われる、かつ
選挙
の
腐敗
が
防止
し得ると私どもは参えるのであります。
小委員会
並びに本
委員会
の審議の
経過
において、最も論点が集中されたことは、この
公営
と
選挙
の自由の原則との関連であります。私どもは、この
法案
は以上の趣旨によ
つて
つくられたものであ
つて
、これによ
つて
初めて眞の自由なる公平なる
選挙
が行われ得るという観点に立ちまして、この
公営
案は、決して
選挙
の自由を束縛するものにあらずという見解をと
つて
おるのであります。いわゆる金持が、あるいは権力の力、あるいは不当なる実力によ
つて
、
從來
の
選挙界
が、形は自由であるが、実質的には不自由であり、不公正であつたことは、各
委員
からるる指摘せられた通りであります。從
つて
私どもはこの
公営
を
中心
としてところの両
法案
に、原案通り賛成するものであります。 なお申し落しましたが、日本社会党としましては連記制を主張しております。本
委員会
においても、一應連記に対する修正案を用意はしておりましたが、会期切迫の今日、私どもはこの実情に顧みまして、修正案をこの
委員会
に提出することを差控えます。但し私どもの連記に対する主張は、これを放棄したものではないのでありまして、私どものこの主張は今後もこれを貫徹するために努力するということを附け加え、この修正案の提議を留保いたしまして、以上原案に賛成するものであります。
吉川兼光
68
○
吉川委員長
長野重
右ヱ門
君。
長野重右ヱ門
69
○長野(重)
委員
私は民主党を代表いたしまして、小
委員長
が
報告
いたされました原案に賛意を表するものであります。私どもは本
委員会
が設けられましてより、
衆議院議員選挙法
並びにこれに関連いたしまする幾多の法令全般にわた
つて
審議研究を続けてまいつたのであります。特に
選挙
の
腐敗
を
防止
し、その公正を期するために
選挙運動
の
公営
の
拡充強化
をはかりまするとともに、一面極力
費用
の軽減をなすことに
主眼点
を置いたのでありまして、ここにこの成案を得ましたことは、その努力を特筆大書すべきものであると確信いたすものであります。 ただ一言この際申し上げておきたいことは、社会党の細川
委員
よりもお述べになりましたが、本法が成立いたされまして
実施
に移されます場合、全國及び
都道
府縣、並びに
市町村選挙管理委員会
の責任、技術、能率はきわめて重大であります。私は
小委員会
におきましても、これらの点に対しまして
関係
者の
意見
を質したのでありますが、十二分の用意のもとに進めるとの確信を承
つて
、意を強くいたした次第であります。私は本法が所期の
目的
を達するよう、われわれはもちろん、
國民
の協力を得て、わが國主
政治
確立のために、努力を拂わなければならないと考えておるのであります。 以上をもちまして、簡單ではありまするが、原案に対する賛成
意見
といたします。
吉川兼光
70
○
吉川委員長
栗山長次郎
君。
栗山長次郎
71
○栗山
委員
民主自由党の内部には、この案に対して強い有力な意向がありますので、一点についてまずそれを申し述べます。 第一点は
立会演説会
における代理弁士の問題であります。これは五分の一に限
つて
代理を出してもよろしいというのが原案でありますけれども、少くとも総
回数
の半数くらいは代理者によ
つて
なさしめることができるように、できれば、してもらいたいものだということが
一つ
であります。いま
一つ
は
個人
の
演説会
、これが
選挙
区の大小によりまして事情は違いますけれども、
町村
の多いところではなかなか全
町村
にまわりきれないから、これに定めてある
個人演説会
以外に、自由になされるべき
演説会
を考慮に入れて、勘案してみないかという二つの強い意向があるのであります。もし満場の御賛成が得られるならば修正案ともいたしたい点でありますが、
選挙法改正
の性質上、私どもとしては満場の御賛成が得られないようなことをむりに押そうということはいかがかと存じますので、でき得れば修正してもらいたいというほどの強い
意見
としてお聽き取りおき願いとう存じます。將來事情の変化によりまして、再びこの問題が審議せられ、修正せられます場合は、さような
事項
をお取入れ願いたいということを申し添えるものであります。 党といたしましては、その他に一、二の希望を述べまして原案に賛成するものでありますが、一、二の希望と申しますのは、積極的には全
國選挙管理委員会
のもとに統卒せられる
都道
府縣、
市町村
、地方の
選挙管理委員会
及び実際の
事務
を担当すべき
町村
の当事者たちが興味をもち、関心をも
つて
自分たちのなさねばならぬ行事として、積極的に奮
つて
、各
町村
競うと担当した立合
演説会
なり、その他の
事項
が行われますようにそういう氣風の浸透なり、作興を、この機構の衝に当る者に望みたいことと、積極的には今までの
選挙法
の法文を見ると、一通りできておるけれども、実際はずいぶん違反が多かつたのでありますが、今回はこの
條項
の肝要なところを拔粹して、
國民
全般に
周知徹底
せしむるような取計らわれて、いわば
國民
大衆管理のもとに、公正なる
選挙
が行われるように、
実施
上留意御努力を願いたいという点であります。 以上の強い希望的
意見
と、それからまた後段申し述べました二つの希望を添えて
本案
に賛成をいたします。
吉川兼光
72
○
吉川委員長
酒井俊雄君。
酒井俊雄
73
○酒井
委員
國民
協同党を代表しまして、二つの点について希望
意見
を附して、本原案に賛成の意を表します。
一つ
は、社会党の御希望
意見
と同じ点でありますが、單記制でなく
制限
連記制を採用したい、特に各
選挙
区とも二名連記を採用したいという希望であります。いま
一つ
は二万円の
選挙公営
上の予納金の点でありますが、
選挙公営
ということを徹底する以上、この二万円の予納金は削除すべきだ。この二つの強い希望
意見
をも
つて
おります。 なお、ただいまの希望
意見
は法律の内容そのものについての希望
意見
でありますが、いま
一つ
法律の運用につきまして希望をもつものであります。それは過去における
選挙運動
の有樣を見まするのに、法律の形式だけを守
つて
、形式の範疇に入らないと考えられることは、大胆に実質上この
選挙法
の
規定
から逃れようというきわどい
選挙運動
をする者がたくさんあつたことは、
選挙運動
歴史の示す通りであります。結局
選挙
に関する法律規則は、單に形式を定めるものでなく、眞にその
精神
を活かさなければならぬものだと思います。こういう点におきまして、先ほど共産党の方からも、名前は文化講演あるいは経済講演その他
選挙運動
を標榜しない名前で
選挙期間
中にある
候補者
が、
候補者
としてでなく、党の代表という資格で
演説
をするのは構わぬじやないかというような
意見
もありましたが、かかる行為が
選挙
禁止
規定
にあてはまるかどうかという解釈は、形式から見るものでなくて、法の質神、実質から見なければならぬと思います。今述べましたのは一例でありますが、どうかこの法律の運営に
あたり
ましては、法の根本
精神
を原則として、その運営に誤りなからんことを深く希望して、原案に賛成するものであります。
吉川兼光
74
○
吉川委員長
佐竹
晴記
君。
佐竹晴記
75
○佐竹(晴)
委員
社会革新党を代表いたしまして、両案に賛成をいたします。ただ一点
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律案
中、第二十三條の
飲食物
の
提供
禁止に関する点については、先ほど私の質問いたしました
事項
に関しましては、禁止
事項
に入らない、すなわち差支えない
事項
であるという小
委員長
の言明を信頼いたしまして、賛成するものであります。從いまして、この点は実際の運営の面に
あたり
まして、旅館等へ投宿いたしましたとき、何人といえども
飲食物
を
提供
してはならないといつたような
規定
を振りまわされて、
選挙運動
に行つたときに、飯も食わしてくれない、あるいはおかずもくれないといつたようなことが、ついできては困る、あるいはまた弁士等をつれて行
つて
、これに普通の食糧を
提供
すると、旅館における食事の
提供
、その後においてその代金を支拂
つて
やると、それが
飲食物
の
提供
としてただちに違反に問われるなどというようなことができますと、たいへんな結果を生ずるおそれがありますので、先ほど小
委員長
の言明された通り、こういつたようなことは禁止
規定
には入らない、や
つて
差支えのない
事項
であるということを、各
関係
者に十分
周知徹底
せしめることのできますよう、本
法律案
が成立いたしました後には、
関係
当局に対してこの趣旨を十分徹底せしめられますよう希望いたしまして、賛成いたします。
吉川兼光
76
○
吉川委員長
北二郎君。
北二郎
77
○北
委員
私は日本農民党を代表いたしまして、
本案
に反対するものであります。第一に、この案には單記とな
つて
おりますが、
民主政治
の建前から言いましても、
政党
政治
は
民主政治
であると私は考える。その場合、
選挙民
がこの
政党
を支持したいという場合に、二名書けるということは民主的なことだと私は思うのであります。それゆえにこの單記制ということは、どうしても承服しがたいと思います。 次は、
供託金
三万円と予納金二万円であります。この
供託金
三万円、予納金二万円ということは、われわれ農村から言いますれば、金のない者は非常に出られなくなる。かわゆるなんぼりつぱな人がありましても、一時に納める金が五万円も六万円もありましては、これは議員になれない。こういう意味におきまして私はこの点も承服しがたいと思うのであります。 次に
個人演説会
の
制限
でありますが、この
法案
によりますと三十回以内と
制限
されております。これはわれわれの考えから言いますれば、何か
憲法
に反するようなことになるという建前で承服しがたいのであります。 以上三点承服しがたいものがありますので、残念ながらこの
法案
にわが党としては反対するものであります。
吉川兼光
78
○
吉川委員長
和田
英作
君。
本田英作
79
○
本田
委員
私は日本自由党を代表いたしまして、現下のわが
國民
の実情に照らして最も適切なる案と思いまして、
本案
に対し満幅の賛意を表するものであります。
吉川兼光
80
○
吉川委員長
林百郎君。
林百郎
81
○林(百)
委員
私は日本共産党を代表しまして、本
法案
について三つの根拠からこれに反対するものであります。 まず第一は
選挙法
の
改正
の最も根本的なものは、
選挙
区をどうするか、
投票
樣式をどうするかということにあると思うのであります。これは
選挙
が
政党
を
中心
として行われる活動である限り、
政党
を活かし、かつ各人の一票が生きるような方式をとることが必要だと思うのであります。そういう意味で私は
選挙
区を大
選挙
区、それから
投票
樣式を
制限
連記にするという主張を
小委員会
でもしておつたのでありますが、
選挙法
の根本的な
改正
が顧みられなかつたという点において第一に反対の論処があります。 その次に第二の点としましては、本
法案
によ
つて
金銭的な
負担
を少くするということでありますが、本
法案
によりますとかえ
つて
この金銭的な
負担
は多くなるのでありまして、予納金が二万円、
供託金
が三万円、合わせて五万円、これに法定
選挙費用
が大体十万、十五万
程度
になるのであります。
費用
が少くなるということでなくて、
從來
の
選挙費用
を超えてやみ
選挙
をや
つて
おつたものが、そのやみの部分をしないようにということであります。そのための法律を設けるということのために、まじめに法定
選挙費用
内で行
つて
おつた者はかえ
つて
迷惑をこうむることになるのであります。予納金二万円、
供託金
三万円、五万円なければ
立候補
もできないということは、非常に
立候補
の自由を大きく
制限
しておると思うのであります。勤労大衆の
立候補
を基盤としておるわが党にと
つて
は、非常に大きな
立候補
の
制限
になる。こういう意味において、この金銭的な
負担
がかえ
つて
増額するという点において反対するのであります。 その次は第三点として、この
政党
の組織的な活動の自由がまつたく
制限
されておる。固定的な
候補者
の
選挙運動
を
制限
するのならわかりますけれども、
政党
の活動それ自体まで
制限
しようとしておるのであります。これは明らかに
憲法
の二十一條による
集会
、結社、
言論
、出版その他一切の表現の自由はこれを保障するという
規定
に違反すると思うのであります。 すなわち第十五條においては、先ほども問題になりましたが、
政党
の
演説会
すらこれを
制限
する。また二十一條におきましては、
政党
の名前のはいつたビラは一切張らせない。それから
選挙運動
に
関係
がなくても、著述、演藝等の廣告もできないということにな
つて
おるのでありまして、これは非常に
文書
の表現の自由を保障されておる
憲法
の二十一條に違反することだと思うのであります。そういう意味で十五條、二十一條、さらに二十四條におきましては、
政党
の名前を呼ぶことすらいかない。それから
衆議院議員選挙法
の一部を
改正
する
法律案
の百條の二の六号でございますが、
当選
後
政党
の名称を連呼することができないということであります。かくしてまつたく本
改正
案は、
政党
の活動そのものまでも犠牲に供して
從來
の地盤をそのまま温存し、
從來
の顏をそのまま温存しようとする、何ら
改正
ではなくして、かえ
つて
退歩であるとわれわれは言いたいのでございます。そういう意味で私はこの
臨時特例
並びに
選挙法
の一部
改正
案については反対するものであります。
吉川兼光
82
○
吉川委員長
それにて討論は終局いたしました。ただちに採決に入ります。
選挙運動等
の
臨時特例
に関する
法律案
及び衆議欠議員
選挙法
の一部を
改正
する
法律案
について、
小委員会
の成案について賛成の方の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
吉川兼光
83
○
吉川委員長
多数。よ
つて
本案
は小
委員長
の
報告
の通りに決しました。(拍手) その際お諮りいたします。この両
法案
の提出者についてでありますが、これは本
委員会
の提出といたしますか、それとも反対でありました農民党、共産党を除いた各派共同提案といたしますか、いずれにいたしたらよろしゆうございますか。——これは当
委員会
提出議案とすることの取扱いに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川兼光
84
○
吉川委員長
ではそのように決します。 それから本
会議
における両案の提出理由の説明が要るのでありますが、この説明者につきましては
委員長
に御一任願えますか。
佐竹晴記
85
○佐竹(晴)
委員
これは
委員長
においてや
つて
もらいたい。
吉川兼光
86
○
吉川委員長
他の
委員会
の例を見ますと、
委員長
に事故があ
つて
できないこともありますので、そういう含みもありますので、
委員長
一任ということに願います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
吉川兼光
87
○
吉川委員長
ではそのようにいたします。
林百郎
88
○林(百)
委員
その
意見
は國会法五十四條の少数
意見
として留保していただきたい。
吉川兼光
89
○
吉川委員長
わかりました。それでは本日はこれにて散会いたします。 午後六時十分散会