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川村委員 加工
水産物の統制品目中より昆布並にいか製品の統制を
撤廃していただきたいと存じますが、
政府当局の御所見をお伺いいたします。加工
水産物の統制は、戰爭中また終戰直後、当時の食糧事情が最も急迫し、將來の見透しも不十分であ
つた場合の食糧の代替品として統制いたしたのであります。しかれどもその当時より現在に至りましてもはたして
政府のお考えの
通り主食の代替品とな
つたでありませうか。その最もよい標本は昆布並にいか製品でありますので、この際両
水産加工品を十品目中の統制わく内より除外せられたいのであります。申すまでもなく昆布は、統制した当初は主食糧として配給取扱いをしたのでありますが、あの最も食糧の不足な当時ですら、主食糧と混入しても食べなか
つたので、これを他に轉賣あるいは物交して米を購
つたのであります。最もはなはだしいのは、配給昆布が不良品なので食糧にもならず、また他に轉賣するにも買い受ける者もなく、食糧に困
つたばかりでなく、生活上、経済上に及ぼした影響はまことに大きか
つたこともあ
つたのであります。從
つて昆布の統制は害はあ
つたが成功したとは言い得ないのであります。しかるに
政府は
昭和二十二年九月中工
水産物を再統制強化して、昆布をその一品目として加えられたのでありますが、当時の状況からいたしまして一應止むを得ざる処置であ
つたと存ずるのでありますが、過去より現在に至る統制の跡をみますると、必ずしも成功したとは考えられないのでありまして、むしろ失敗したとは言はざるを得ないのであります。
その第一点は、主食糧の代替品として配給しても、絶対に主食糧の代替として食せざること。
第二点は、名柄別昆布の品質に應じて相当の價格差なきため、生産者も消費者も集荷機関も荷受機関も喜ばざる價格なること。即ち左記に示す
通り
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第三点、右事情により優良昆布の部は嗜好品として消費されたくも品質の劣る昆布は消費者に排除され、集荷荷受両機関等は取扱はざるため、生産地に帶荷し、あるいは加工したる昆布も消費地において腐敗しなければならない状態にあること。
第四点は、統制があるため他の用途に振向けようとしても割当のわくがなく、それゆえに生産者も取扱ふ機関もいかんともいたし方なく、帶帶の止むなき事情にあること。
第五点は、第三点、第四点の事情のため、生産者は再生産の資金にも生活資金にも困
つていること。
以上の
理由から見て害は多くして利は不足でありますので、統制を
撤廃するのが至当であると存ずるのであります。
次にいか製品でありますが、これまた昆布同樣のお考えのもとに統制したものと思うのであります。けれどもこれらも現在は昆布同樣粗惡品は生産地にも消費地にも多量に滯荷して、公價を割らなければ販賣でき得ない状態にあるのであります。すなわちするめ、塩辛、塩藏いか等これであります。いか製品は戰爭中より終戰直後までは、いかつり
漁業者が不足のためその製品もまた不足であ
つたのでありますが、現在では同
漁民の大部分が復員しましたのと、またいかつり
漁業は燃油さえ何とか補給でき得れば
資材はきわめて少量でよし、また
漁船は小型でも多数の
漁民が乘込んで繰業でき得るのと、また素人でも子供でも繰業でき得るというのでありますから、引揚者、戰災者で相当数の人がこのいかつり
漁業に轉向したのであります。從
つていかつり
漁業の生産が増産となるとともに、いか製品の生産も相当に増産されることは疑いない事実であります。昨年の数字は時間の
関係上省略いたしますが、農林当局も最初の
計画の数倍に上
つたことはその最も意義を示したものでありまして、現に北海道の南部すなわちいかの生産地にありましては、未だ盛漁期にならざる今日、いかの豊漁のため鮮魚としての出荷は貨車
輸送や
船舶輸送の行詰りにより、冷凍あるいは加工製品としているという報に接しておるのであります。また今後各
漁業とも
資材の入手が資金さえ充実いたしますれば容易となりますので、生産が増強されることは明らかとな
つてきまして、また鮮魚の供給も相当よくなると思うのであります。かくいたしますれば、いか製品は殊にいか塩辛塩藏いかの如きものの配給を喜んで受ける者はないと思うのであります。從
つてこの場合昆布同樣いか製品の統制の
撤廃を要望する次第であります。
以上御
質問申し上げましたが
政府当局の懇篤なる御
答弁を相願う次第であります。若し昆布等について
統制撤廃の御意思が未だなしとしたならば、價格の面で相当御考慮を要する点もあると思うのでありますから、併せてお伺いしたいのであります。