○
内田説明員 ただいまの御
質問にちよつと御
説明申上げたいと思います。
ただいまの御
質問は
漁港船溜等の
施設に対して、
昭和二十三年度はどういう
程度の
予算であるか。大体のかつこう、方針はいかようにな
つておるか、そういう御
質問であります。二十三年度の
予算について申し上げますと、これは皆
樣御想像の通り、
施設全体として
漁港船溜のみならず、あるいは
公共事業費の
予算のみならず、國の全体の
予算が、大体どの
程度のかつこうになるかということがまだ固ま
つてきてはおらぬ
状態であろうと思います。從いまして全体の
予算が固ま
つてまいらないと、
漁港船溜に具体的にどのくらいの
金額を振り向けるかということも
決定はいたしかねておるわけで、二十三年度の
事業もこの四月からは始まるわけでありますから、われわれ
経済安定本部の
建設局の者といたしましては、なるべく早くこれは
政府及び
議会において、全体
予算のかつこうをつけていただいて、その中で
公共事業費をどれくらい
予算に盛りこむか、また
公共事業費の
予算の中で
漁港船溜にどのくらいも
つていけるかということを、ぜひ早く見極めをつけなければ
仕事にならないわけでありまして、焦
つております。たださようなわけで全体の
予算がきまらないと、
漁港船溜の
予算もきまりませんが、私
どもの方では、全体の
予算が
いくらにきまるかにかかわらず、要るだけのものは要る。ぜひ
漁港船溜の
修築方面も必要なだけはやりたいのでありますから、一
應安定本部の
建設局だけの
心構えをかりに御参考までに申し上げてみたいと思います。
その前に特に御
説明申し上げておきたいことは
漁徳船溜等の
水産設備のみならず、國がみずから行い、あるいは國が
補助として出すところの、國内の一切の
建設開発復興事業に関する
予算は、
公共事業費として一本にな
つて議会できめられるのであります。
從つて公共事業費の中には、今申します
建設復興開発の
事業として、非常にたくさんなものが一緒にな
つてはい
つております。例をあげて申しますと、たとえば
農業関係におきましては、
開懇干拓、
土地改良、
農業水利とい
つたような、
農業土木に関する
事業費というようなものが非常に大きなものを占めており、またそれと対象的なものといたしましては、全國の戰災都市の
区画整理、
都市計画、かようなものに対する経費もあり、さらにまた特殊なものといたしましていつも問題になりますものは、
学制改革に伴う六・三制の
校舍の
建設費に対する
補助金、あるいはまた現在住宅の非常な拂底の
状況に対処いたしまして、
政府が
補助金を出すところの
庶民住宅の
建設、これらの
金額は非常に大きなものであります。そればかりではなしに一般に
建設事業あるいは
土木事業とせられておりますところの、河川であるとか道路、あるいは
砂防事業、
漁港、
船溜のみならず一般の
貿易港湾、いわゆる
港湾関係、それから造林あるいは林産物を搬出するところの林道というようなもの、およそ種目といたしまして十数目になるのでありますが、これらの
建設復興開発関係が一本にな
つて公共事業費予算としてきまるのであります。
從つて漁港、
船溜の
予算を
いくらにするかということをきめます前に、一体國は
國家の
建設復興開発事業のために、全体として
いくら予算を盛るのだということが
建設問題にあるのでありまして、
昭和二十一年度あるいは二十二年度あたりの例によりますと、私
ども建設関係の者といたしましては、はなはだ嘆かわしいことでありますが、これらの
建設復興開発の
事業、すなわち
公共事業費というものは、國全体の
予算に対しまして、一割にもな
つておらぬ。せいぜい國全体の
予算の七分か八分かの金にしかな
つておらぬ。具体的に申しますれば、ただいまの
昭和二十二年度におきましは、
漁港、
船溜等を含みます
公共事業費の
予算というものは、わずかに九十五億円にな
つております。そのときの國全体の
予算というものは、これは皆樣御存じの千百四十五億円で、千百四十五億円の
國家予算の中において、九十五億円の
事業予算しかない。しかるに昨年の十一月におきまして、國といたしましても、全体の
追加予算が千億近く計上せられ、その際
公共事業の
方面におきましては、六・三制の問題が現実に
具体化をいたし、さらにまた関東、
東北等の水害がありましたために、それの
復旧費といたしまして、何十億円かが
追加予算として
議会の協賛を得ましたために、昨
首昭和二十二年度の共
公事業費の
予算というものは当初
予算と
追加予算とを合わせまして百四十七億という
金額になりました。これは大きいとも言えましようし、また國全体の
予算から見ると、必ずしも大きくない
予算でありまして、
追加予算を加えました國の
予算というものは、御承知のように
昭和二十二年度において二千億を超える
予算にな
つておる、その中におきまして、
先ほど申しましたような各般の
建設復興開発の
事業を含めました
予算の総額が、
追加予算を合わせで百四十七億という
状態であります。そのうちから六・三制の交舍の
建築補助金も支弁しなければならぬというようなことで、たとえて申しますと、小さい
たらいの中にあつらゆる船をぶち込んだようなかつこうどありまして、昨年の大災害が起りまして、これの
復旧費の何十億がはどうしても出さなければならぬ。そうしないと
食糧増産の來年の
まきつけにも間に合わない、また荒川はますまま荒れる一方で、天下の交通は止まる。こういう
状態であるから捨ておけない。いかに船が大きかろうと、小さい
たらいの中にこの船を入れなければならぬという辛い
状態でありますところへもつとまいりまして、六・三制の
校舍、これがまた六・三制を実施いたしましても、学校の建物がない、
地方は
地方で勝手にやれ、こう申しましても、
地方自身が困
つてお
つてそれの負担はもちろん、起債でさえもなかなかできない。非常な無理な
寄附金がかか
つてくるというような
状態におきましては、
政府はやはり
約束通り、この
校舍の
建設資金の二分の一の
補助というものを、どうしてもやらなければならぬというような
情勢にある。かようなわけで、小さい
たらいの中にいろいろな大きな船がはい
つてまいりますために、
漁港船溜というようなものはきわめて大切な
施設でありまして、これをやれば明らかに
水産の増産もできる。また陸揚げ、集荷、発送というようなものもうまいぐあいにできるのでありまして、金の小さい割合に
経済効果は上る
事業だとわれわれは心得ておりまして、ぜひわれわれはこの
方面も十分尊重いたしたい。ただいま
委員から御発言がありましたように、今日の國内の食糧の
情勢、あるいは
戰爭中補修を怠
つてお
つた漁港の
状態、あるいは漁業の変還、漁場の推移というような問題を顧みますと、
漁港船溜の設備というものは、放
つておけないということは
万般承知でありますけれ
ども、右に申しましたような
事情で、
地方の各
漁業地、あるいはまた漁業を直接主管されておりますところの
農林省水産局の御希望にも、昨年度においては應じられなか
つた。こういうような遺憾な
状態にございます。
なおついででありますから、
公共事業費全体の中において、
昭和二十二年度において、
水産施設に対しまして
政府がどのくらいの
予算でも
つてや
つてまい
つたかという数字を申し上げますと、二十二年度は
公共事業費は、
追加予算を加えまして百四十七億であります。その百四十七億の中で
水産施設全体といたしましては、わずかに一億三千万円
程度しか
予算を盛
つていなか
つた。言いかえると、百四十七億に対して一億三千万円ですから一%にもならぬ。せいぜい〇・八%か
そこらの金しか盛
つていない。かような哀れな
状態にな
つております。そこで
飜つて昭和二十三年度におきましては、ぜひその懸案の
漁港船溜の
施設というものを十分にや
つてまいりたい。かように思うことはだんだん申し上げた通りでありますが、これは
暴露説明のようになりましていかがかと思いますが、
農林省水産局を初め、あるいは文部省の学校であるとか、あるいは
先ほど申しました
都市計画、開墾、開拓あるいは
道路河川、あるいは昨年度の
災害復旧対策の残りというようなものに対しましても、各
事業官廳が、
経済安定本部に対してぜひこれだけはやりたいという
予算を、私
どもの方で試みに集計いたしましたところが、その
金額は合計いたしまして約一千五十億円、これだけなければ
先ほどから申し上げましたような
漁港船溜のみならず、
災害復旧、六・三制などの
事業がやれぬ。ぜひ一千五十億だけの
予算はよこせ、こういう要求にな
つてまい
つておるのでございます。ところがここで
昭和二十三年度の
予算の
状況として、われわれ
大藏省から傳え開くところによりますと、税金もなかなか集まらぬ。これは未納とか滯納とかいうことを別問題にいたしましても、
國民負担はやはり限度まできているおる。それから
專賣益金もそうむやみにとれない。
來年度の
普通歳入ではせいぜい二千五百億ぐらいから二千七百億ぐらいの間の
予算しか組めない。こういう形勢をわれわれは聽かされておるのでありますが、その場合に、今申すような一千五十億に上る
事業費というものがはたして組めるかどうか。
先ほど申し上げましたようのに、
昭和二十二年度において、國全体
予算が二千億を超える場合にさへ、
追加予算を合わせて百四十七億というようなことで、一割にもな
つていない際に、來年の二千五百億から二千七百億の際に、千億を超える
公共事業費予算はまず組めつこない。まず普通の今までの例によりますと、これははなはだよくないだろうと思いまして、ぜひこれは
皆さんのお力で、
予算のどこに力をおくべきかということをしつかり御檢討願いたいのでありますが、かりに昨年の例をとりますと、二千七百億しか國の
予算が組めない場合には、
公共事業費に対しましては、よくい
つて二百億から二百五十億、まあ一割
そこらしか
予算が組めない。こういうかつこうになりますと、一千何十億の
予算は五分の一にたたかなければならない、こういうかつこうにな
つてまいるのでありまして、從いましてほかの六・三制、
災害復旧を止めにする、あるいは開墾、開拓、治山、治水、植林を止めにすればともかく、それらはなかなかいろいろな
状況にありまして止めがたいとすれば、いきおい非常な不満がありましても、
漁港、
船溜、その他の
水産施設に盛らるべき
予算というものも、
農林省水産局等の希望なり、計画なりに対しましても、非常な小さいものにならざるを得ない。かようなことを、三般論法的に押してまいりますと、遺憾ながら申し上げなければならぬと思います。これに対しましては、私
ども過去一年ばかり
安定本部の
建設局におりまして、
建設行政あるいは
公共事業費というものの
扱い方につきまして、いろいろな貴重な体驗を得てまい
つておるのでありますが、第一に私
どもの希望いたしますことは、大体今日の
事情において、國の
建設、
開発、
復興予算というようなものが、
予算全体の一割とか八分とかいうようなことで抑えられてしかるべきやいなや、今日國を見渡しましても、國土の再建あるいは経済の
復興ということで、とにかく力をその
方面に國も
地方も主力を注がなければならぬといたしますならば、お互いいろいろな都合はありましようが、
建設、
復興、
開発の
方面には、もつと大胆に
予算を盛るべきじやないかということが第一に希望されるのでありまして、國の
財政の
規模におきまして、はなはだ小さい
たらいをわれわれ
建設局は預けられまして、この中で
やりくりをしましてもとうていできない。
やりくりが苦しいばかりでなしに、かような
予算の仕組、
規模で、はたして國の再建、
復興ができるかということをはなはだ疑
つておるのであります。
第二点には、
公共事業費に属するものの
予算が、全体
予算に対して、かりに多かれ少かれ
一つのわくを與えられたといたしました場合には、今の
予算のきめ方では、このわく、すなわち
公共事業費という金は何に使うかということは
予算上明らかにな
つておりません。これは
國会に出されます
予算書におきましては、
予算の形式と申しますか、
部款項と、こういう三つの分類にな
つておるのでありますが、部も
公共事業費、款も
公共事業費、項も
公共事業費、こういうずんべらぼうな
予算にな
つておるのでありまして、だれが見ましても
公共事業費は何に使うか、どういうものが
いくらはい
つておるかということがわからない仕組にな
つておる。これは僭越でありますが、私自身が考えてまいりましても、
政府としてもかならずしもやりいいことではない。
國会としてもはなはだ檢討に御不便である。
國民に対しても
内容のわからぬ
予算であ
つて、非民主的なことではなかろうか、かように思うのでありまして、
國家の
財政とかあるいは
資材というもので縛られなければならない現状におきまして、
船溜とか
漁港というようなものが、國全体の
財政の
規模、
資材の
関係でこれだけしかできないということが
はつきりわか
つて、それを
議会で御協賛くだされ、また
國民もそれで承知されるならば、現在の國力においてはこれ以上はしばらく望めないということが
はつきりわか
つていただけると思うのですが、ただいま申すように、
予算が一たばにな
つておる、一本の
公共事業費とな
つて、その中で
水産関係の
予算が
いくらあるのか、
國会議員もわからなければ、
國民もわからないというような妙な
予算では、私が
先ほどから申しましたような、だんだんの
説明を常にいたさなければ、この間の
事情が明らかにならないという非常に遺憾な点があるのではなかろうか。一年ばかりや
つていまりまして常々思うのでありまして、その証拠には、こうや
つてこの
委員会におかれましたも
漁港、
船溜、
水産関係の
予算あるいはその
資材等を問題にされると同じように、また他の
方面におきましては、六・三制の
学校施設を非常に重視して問題にされる、あるいは
災害復旧費はぜひやらなければいかぬということで問題にされ、決議されましても、それがいざ落ちつくところは、一たばに
なつた
公共事業費ということに落ちつきますので、
予算の
やりくりでせつかくの眞劍な論議も、
決定もどうにもならなぬということにな
つてしまうのであります。われわれ妙な言い方をいたしますと、
経済安定本部の
建設局の
予算の
つけ方一つでどうにでもなるようなかつこうにもなります。また実際の
状況におきましては、いろいろな論議をされ、
決定をいたしましても、この
予算をわけ、
資材をわけるわれわれ当局の者といたしましては、どんな苦心をしてもどうにもならぬ、こういうことに落ちてきておるのでありますから、むしろこの
予算の制度の上におきまして、初めから
水産事業には大体
いくらの
予算を盛る、
災害復旧費には
いくらの
予算を盛る、六・三制の交舍の
建設補助金には
いくらの
予算を盛るということを、
十分議論を
鬪わして
はつきりとおきめを
願つた方が、われわれとしてもそこに
仕事がやりよいと申しますか、何としても納得がいくのではなかろうか、かように思うのでありまして、この制度の
やり方自身について、
皆さんの方でも大いに御檢討願いまして、この間の
事情を明らかにいたすようなごくふうを願いたい、こうむしろ私
どもの方から考えておるのであります。
それから
予算の数字のことは、さような
程度の
状況あるいは考え方しか御
説明申し上げられないのを遺憾といたしますが、これを
漁港、
船溜の数について申し上げますと、
昭和二十二年度におきましては、
漁港改修に対しまして
予算をつけました港の数は六十三港でございます。そのうち二十二年度内に竣功いたしますものが五港あるのであります。從いまして五十八港というものがなお二十三年度においてこれに
予算、
資材をつけなければその
漁港は仕上らない、かような
継続事業と申しますか、
既着手事業の未完成の分が二十三年度に引継がれております。元
來漁港等は他の
一般港湾と違いまして、そう大きいものはないのでありますから、ぜいたくを言うならば、今年度一年くらいで仕上げる、少くとも二年か三年くらいの間にはでかしてしまわなければ
経済効果が上らないし、
仕事の食い散らしみたいになるのでありまして、早くでかさなければ効果も薄いと思うのでありますが、
先ほど來申しますように、常にこれに振り当てる
予算なり、
資材なりが少いために、六十三港手をつけたうちで、わずか五港しかでき上らない、しかも五十八港は二十三年度にもち越すという
状態にな
つておりますので、二十三年度におきましては、
金額のいかんを問わず、とにもかくにも残りの五十八港というものには優先的に
資材、資金を割り当てまして、これの完成を急ぐ、かような方針をとりたいと思います。
從つて新規に
漁港の改修に手をつけるというものは、全國の各地から非常にたくさんの御希望はございますけれ
ども、おそらくはその大
部分に対して、二十三年度におきましては
予算の割当は困難でありまして、新しいものに手をつけ得られるものについても、わずかに数港の範囲を出ないのではなからうかと思います。もしそれ
來年度の
予算におきまして、二千億か二千五百億の
予算しかできない、それにも
つてまいりまして
終戰処理費、
進駐軍関係の
予算が二十三年度と同じように非常に多額を占めるという場合におきましては、最も惡い場合には、五十八港の継続だけに主力を注いでや
つてまい
つた、新規は一切手をつけられないというような
状態さえも優慮されるのでありますが、
既着手の工事を完成するということが経済的には一番いいと思いますけれ
ども、全國で非常に多い
漁港を、新しいものには一港も手をつけないということは、おそらく政治的にもできまいと思いますので、
いくらかはいるのではなかろうかと思います。それから
船溜の方は、二十二年度に手がけておりましたのが五十九港ございましたが、これはおおむね單年度の
事業でありますから、そのうちの大
部分は二十二度中に竣功をいたす。五十九港のうち二十三年度に完成しないでもち越すものが十二、三港
程度でありますから、
船溜の方は未完成のものを完成いたしますと同時に、少くとも昨年
程度には新しい
船溜にも手がつくものと考えられております。いずれにいたしましても、長長と申し述べましたように、今までの
情勢が引続く限り、二十三年度におきましても比較的に
船溜施設のみに排他的に特別の重点をおいてまいるというようなことはできそうもない。はなはだ遺憾ながら相当の不満足をも
つて、二十三年度
予算なり
資材なりに対処しなければならない形勢にありそうだということをこの際申し上げまして、むしろこれに対しましては、
予算の全体、あるいはその全体において占めますところの
公共事業費の割合というような点から、皆樣方の方の御奮起と申しますか、御協力を私
どもの方からお願い申し上げるようなかつこうに相な
つております。