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永井政府委員 終戰后の特殊な情勢において、総
司令部の管理下に
貿易廳が輸出入貿易を專管して今日に
至つており、その間手続が
相当煩雜と
なつたのはまことにやむを得ないものがあるが、漸次これが簡素化に努め、今日では当初に比べ
相当節略化されていることはすでに周知の通りである。なお、今後も手続を「層簡素化すべく、目下その具体案を作成中で、近いうちに
実施に移す予定である。為替問題についてもなるべく早い機会に正常な為替が一本レートをも
つて再開されるのが望ましいが、現在のようにインフレが進行しつつあり、かつ物價体系が國際物價体系と游離している
状態では、これを順次整理し國際水準へ漸進的に歩み寄せするほかなく、目下
輸出品の個々の比率についてその
具体策を
研究中である。(いわゆるPRSが近い將來に
一般商品に付て
実施の運びに至る見込である)。
なお、その暫定的な
措置として、先般來一定の輸出商品に対しいわゆるインセンテイヴ・システムを
適用し、それぞれの商品について円と弗の最低價格と一定の
取扱方法を定め、より高い弗價をも
つて輸出商談をまとめた者に対し、それに比例した金額で円價を拂うという制度をとりつつあり、かつこの
範囲を漸次拡張している。これが輸出を奬励すると共に、
日本の
輸出品の價格を是正し、將來の常正
為替レート設定の為の準備的な効課を発すことと期待している。
民間外資の導入については
為替レートの未
設定と輸出入機構の復雜なことが、その
実現を阻害している面もあるが、根本的にはその基礎的諸
條件、例えばインフレ惡性化の阻止、財政の均衡と健全な金融、
企業の整理と
合理化、行政整理税制改革、労働問題等を総合的に解決することが必要であ
つて、これが
実施のために
政府に於て努力しているが、
民間各位におかれても
日本経済再建のために、右の
施策へ協力されることを期待したい。
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