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1948-04-06 第2回国会 衆議院 商業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月六日(火曜日)     午後二時五十一分開議  出席委員    委員長 喜多楢治郎君    理事 石神 啓吾君 理事 笹口  晃君    理事 片岡伊三郎君 理事 福永 一臣君       佐竹 新市君    林  大作君       松原喜之次君    師岡 榮一君       山口 靜江君    井村 徳二君       岡野 繁藏君    櫻内 義雄君       松井 豊吉君    鈴木 仙八君       多田  勇君    谷口 武雄君       黒岩 重治君  出席國務大臣         商 工 大 臣 水谷長三郎君 四月一日委員唐木田藤五郎君及び小枝一雄君辞任 につき、その補欠として谷口武雄君及び黒岩重治 君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業廳設置法案内閣提出)(第一四号)     —————————————
  2. 喜多楢治郎

    喜多委員長 ただいまより会議を開きます。  中小企業廳設置法案質疑を継続いたします。多田君。
  3. 多田勇

    多田委員 今までの委員会における質疑とダブる点があるかもしれませんが、一應商工大臣見解をはつきり確かめておきたいと思います。  第一は、商工大臣が、鉱工業委員会伊藤委員長質問に対して、商工大臣のできる範囲行政的措置によつて中小企業廳に対する資材資金運営を、中小企業廳活動に即應して、強力にやる方途を講ずるということを言われたのでありますけれども、この点につきまして、この前の委員会商工大臣が申されました点を、行政的措置として強力に推進していただくように、いま一應はつきりした御言明をいただきたい。  第二の点は、商工業者に対する中小企業廳干渉的な行動は、絶対に行わないということをはつきり確約していただきたいと思います。法案によりますと、中小業者に対する干渉はやらないという建前をとつておるのでありますけれども、実際の運営面にまいりますと、あるいは中小業者に書類を提出しろとか、あるいは資材を提供しろとかいうように、いろいろ干渉的な行動が行われないとも限らないと思われますので、この点について、業者にこういつた負担をかけるような干渉を、中小企業廳がとらないことをはつきり確約願いたいと思います。  第三の点は、中小企業廳法案の大体の骨子は、工業が主体であつて商業部面については、第二次的に考えられているという感じを受けるのであります。これはもちろん生産が重点でありますから、どうしても工業部面に主力が注がれることはやむを得ないのでありますけれども、しかしながら生産されたものを完全に配給する方途に対して、商業者の果す役割は非常に大きなものがありますので、商業者に対する方途を強力に急速に講じていただきたい。この三つの点について、商工大臣見解をいま一應お聽きしたいのであります。
  4. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの三点の御質問にお答えいたします。  第一点は、中小企業振興に対して、一番重大なる関係をもつておりまする資材の点に関しましては、ただいま御指摘通りさき伊藤鉱工業委員長に詳しく私が述べた通りでございます。法案の上におきましては、御指摘のように、この点ははつきりしておりませんが、御趣旨はきわめてごもつともでございますので、積極的に行政措置として万遺憾なきように運用いたしまして、御趣旨に副うようにやりたいと考えておる次第であります。  それから第二の点でございますが、これはこれまで法案のときに御説明申し上げましたように、法案建前がそういうような干渉をしない。たとえば監査の点に関しても、当事者からの申請を待つてやるというので、むしろそれはあまりに消極的ではないか、もつとばりばり進んで官廳からやるべきではないかという御質問もあつたほどに、法の建前干渉しない建前をとつていることは多田さんの御承知通りであろうと思います。從いまして、運用の面におきましても、その建前に即して十分やつていきたいと考えておりますので、いやしくも中小企業廳ができた曉におきましては、出びその役所中小企業者の手かせ、足かせになるようなことは断じていたさないということを、法の建前の上におきましても、また運用の面にあきましても十分やつていきたいと思つております。  それから第三の商業の問題でございますが、これもこれまでの質問者にお答えいたしましたように、商業に関し前は一課を設けて、そういう現在中小商業の一番大きな問題になつている難問題を解決するようにやりたいということは、申し述べた通りでありますが、その他中小商業に対しては、その特殊性に鑑みて、なお考慮したいということを申したことは御案内通りであります。目下われわれの手もとにおきまして中小商業対策要綱案を作成しておりまして、さきに閣議の決定をみました中小企業対策に基きまして、商業特殊性を考慮いたしまして、中小商業対策を今策定中でございます。いずれこの案が確定いたしますれば、また皆樣方の御審議をお願いしなければならぬかと思つておりますので、その点は十分われわれといたしましても、中小工業中小商業との間に何らの差別待遇がないように、商工省といたしましても、中小工業振興するとともに、また中小商業対策におきましても万遺憾なきようにしたいと思います。さしずめこの法案におきましては、商業部門に対しては一課を設けてやることになつておりますが、中小商業対策要綱決定いたしました場合におきましては、機構的にも、さらにまた運用の面におきましても、格段の努力をいたしまして、ただいま御質問者の御趣旨に副うように努力いたしたいと考えている次第であります。
  5. 林大作

    ○林(大)委員 第三條の第七項に「他の行政廳」という文字がございますが、單に他の行政廳というだけでは非常に意味があいまいであつて、御案内通り中央行政廳もありまするし、行政廳の中には、地方行政廳もあります。また行政官廳というような意味もあるように思いますし、將來はまた海外にもこうした行政廳の一部があるというようなこともあり得るわけでございまして、この点はこの際明らかにいたしておきたいと希望する次第であります。それで私ども考えでは、たとえば地方行政廳の中には明らかに地方自治團体などを含んでいるように了解をいたすのであります。御承知のごとく内務省の解体によつて各都市が警察権を得て、十分地方自治の実をあげようとしている場合に、商工行政においてもそれらの地方自治團体がこうした行政廳一つとして中小企業廳の仕事に協力することはあたり前であろうと思います。この点について商工大臣のはつきりした御答弁を得ておきたいと思います。
  6. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいま御質問の第三條第三項にうたわれております他の行政廳ということは、これはもつと正確に申し上げますと、中央及び地方行政廳を指すのでございまして、さらにまた地方行政廳という場合でありましたならば、これは廣く地く地方自治團体全体を指すのであります。具体的に申し上げますならば、單に府縣廳のみならず、市町村もこれに含まれるというように御解釈願つてしかるべき問題である、このように考えております。
  7. 師岡榮一

    師岡委員 この法律目的の点で、第一條において「中小企業を育成し、及び発展させ、且つ、その経営を向上させるに足る諸條件を確立することを目的とする。」というふうになつておりまして、「育成し、及び発展させ、」というふうにありますのは、既存企業のみを対象とするような感じを強く受けるのであります。世界の経済情勢が変つてまいりますと、新しい企業体というものはまた続々できるということが一應想像されるのであります。さらにそれについて第三條の第四号で「中小企業における新規で有益な製品又は製法等を奬励する」ということになつておりまして、これは非常に結構な方針であると思います。これによつて企業家を非常に刺激して、またさらに新たなる企業を振い興すというようなよい結果をつくり出すと思います。從つて当然新しい企業というものがどんどん生れてくるということが一應想定されるのであります。從つてどもはいわゆる育成し、発展せしめるということのほかに、もつと企業自体の培養という問題を考える必要があるのではないかと考えますが、大臣はどういうお考えをおもちになつておりますか。
  8. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの御指摘の点でございますが、それは師岡さん御自身が御指摘になりましたように、第三條第一項の第四号に「中小企業における新規で有益な製品又は製法等を奬励する」という言葉にありますように、この第一條の「中小企業を育成し、及び発展させ、」ということは、既存中小企業のみに限つているものではないのでございまして、新しい中小企業を培養するということも包含されていることは、この法文の文字解釈からいたしましても十分御了承願えると思うのであります。從つて趣旨に添いまして古い有益なる企業を育成発展さすとともに、また新しい有益なる企業を培養さすということは第一條目的に含んでいるというふうに御了解願いたいと思います。
  9. 師岡榮一

    師岡委員 了解いたしました。
  10. 喜多楢治郎

    喜多委員長 本法案質疑は大体盡されたと思います。この程度で本法案に対する質疑は打ち切りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 喜多楢治郎

    喜多委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。     —————————————
  12. 喜多楢治郎

    喜多委員長 ただいまより中小企業廳設置法案議題といたしまして討論を行います。民主自由党多田委員
  13. 多田勇

    多田委員 私は民主自由党を代表いたしまして本法案を一部修正いたして賛成いたしたいと思うのであります。本委員会におきまして愼重に審議され、そうして一番大きな問題になりましたのは中小企業廳が單に指導部面だけであつて中小企業者が最も希望するところの資金資材の面については中小企業廳としては管理することができないということは、中小企業者を指導する面において非常に障害になり、中小企業廳を新しく外局として設置することは、はたして中小企業者のためになるかどうかという点であつたのであります。しかしながら資材資金の面につきましては、商工行政建前、あるいはいろいろな事情から、中小企業廳がこれを取扱うことはできないという事情にありますので、この点についてはやむを得ないと思うのでありますけれども、一面考えますると、中小企業廳を新しく外局として設置するということは、今まで商工省振興課において商工省自体行つておつた今日までの行政からして、屋上屋を重ねるような感じがいたしまするし、さらに企業整備との関連もありまして、中小企業廳を新たに設置するということ自体について根本的に檢討しなければならないという考えを、今日までもつてきたわけであります。しかしながら今日まで中小企業一般企業から置き去りにされまして、政府自体としても顧みられなかつたという非常に悲惨な状況から一歩踏出しまして、新しく中小企業者利益を擁護し、そしてその利益を代弁するための一つ機関として、中小企業廳を設置されるというその氣運についてはわれわれは反対するものではないのであります。しかして先ほど申し上げましたように、資金資材の面を中小企業廳が強力に扱うことができないといたしますれば、中小企業廳を中心として資金資材の面の調整をはかるような行政的の措置を、先ほど商工大臣が言われましたように、商工大臣の権限の範囲内においてとつていただきたいという点を希望したわけでありますけれども、そういつた考え方からいたしましても、中小企業廳にはつきりした法的根拠をもたせることが必要であると考えるのでありますけれども、明確にそれを規定することができませんので、許される範囲内において中小企業廳が他の行政廳に対して強力に協力を求める、協力を強力に求めるという点について修正をいたしたいと思うのであります。その修正の要点を申し上げますると、第三條の第三項に「中小企業廳は、中小企業に関係ある事項については、他の行政廳協力を求めることができる。」ということになつておりますけれども、「他の行政廳」という点についてはいろいろ疑義がございまするし、先ほど質疑を行われましたように、行政廳範囲を明確にしておくべきことが必要であろうと思われますので、「他の行政廳」ということを、「中央及び地方行政廳」と改めまして、さらに「協力を求めることができる」という点を、「協力を求め総合的に処理することができる。」というように修正いたしたいと思うのであります。この修正條件といたしまして中小企業廳設置法案賛成するものであります。
  14. 喜多楢治郎

  15. 松原喜之次

    松原(喜)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま提出されました修正案賛成いたし、その修正箇所以外は原案賛成いたすものでございます。全國の中小企業者中小企業廳の誕生を熱烈に待望しておりまする理由は、ひとり中小企業廳が強力にかつ能率的に指導行政を推進せられるであろうという点に留まるものではなく、全業者が最も苦しみつつある資材資金電力等確保について十分に有効適切なる方途を講じてくれるものと期待し、かつ信じているからにほかなりません。しかるにこの最も重要なる点に対して本法案は明確なる規定を欠いているのみならず、当初提案の説明を伺つておりますると、行政上の措置としてもこれらの点についてはきわめて不明確なそしりを免かれなかつたのであります。これがゆえにわれわれは各派会議の上、原案に対して修正を加えることに相なつたわけでございまするが、この修正は各般の情勢上、最小限度に止めたものでありまして、政府におかれては先般來の各委員質疑中に現われた意見等によりまして、本委員会趣旨のあるところを十分に了承せられ、かつまた先程商工大臣の御答弁にありました通りに、その意思を尊重せられ、これらの資材資金電力等確保について有効適切なる特段行政措置を講ぜられるものであると了解いたして賛成いたすものであります。で特にこの際、先般伊藤鉱工業委員長質問に対する水谷商工大臣答弁、並びに先刻多田委員質問に対する御答弁等によつて明らかにせられた次の諸点をもう一度確認いたしまして、政府においては責任をもつてその実現を期して下さるようこの際附け加えておきたいと存ずるのであります。  すなわち第一点は、資材割当諮問委員会の問題については、中小企業者の眞の代表者、及び中小企案廳側を加えて、資材割当に関し中小企業利益を反映せしめてもらうこと。  第二点は、中小企業に対する資材資金電力等割当に関し中小企業廳は、安本、省内各部局その他に対して有力なる発言をなし得るごとく行政措置を講じてもらうこと。第三点は、中小企業設備の改善に要する資材中小企業廳に独自のわくをとつておいてもらうこと。第四点は、地方商工局資材保留分を拡大して、これを中小企業廳に割り当てしめること、第五点は、中小企業廳対象となるべき中小企業の限界を各業種について具体的に定めるために、中小企業者を含めた官民合同諮問委員会を設置せられること、第六点は中小企業專門金融機関を速やかに設けて、これに國家資金、あるいは復金資金の融通をさせ、もつて中小企業最大隘路の一であるところの金融の画期的な解決を実現すること。以上の六点をこの際、再確認いたしまして、この修正案並びに原案賛成いたすのであります。  最後にいま一つ附け加えておきたいことは、今日日本経済再建のために外國技術機械等を輸入せられる情勢にありまするが、その際において中小企業が要求いたしますところの技術資材等をも相当に輸入せられるように、中小企業廳においては特段の御留意をお願いいたしたいという点であります。  修上修正案及び修正案を除いた原案賛成する次第であります。
  16. 喜多楢治郎

  17. 岡野繁藏

    岡野委員 民主党といたしましては、ただいま多田松原委員からすでに委曲を盡されておりまするので、中小企業廳設置法案の一部を次のように修正することによつて原案賛成するものであります。第三條第三項「中小企業廳中小企業に関係ある事項については、中央及び地方行政廳協力を求め、総合的に処理することができる」このことによりまして原案賛成いたします。
  18. 喜多楢治郎

  19. 谷口武雄

    谷口委員 私は國民協同党を代表いたしまして、ただいま議題となりました中小企業廳設置法案に対しまして、第三條第三項の修正案、及びこの修正案を除いた原案に対し賛成をいたしたいと思います。敗戰後わが国企業形態は財閥の解体独占禁止法、あるいは経済力集中排除法等措置によりまして、その企業形態中小商工業に移りまして、わが國の産業経済の中枢をなしておるものが、この中小企業であります。それにもかかわらず終戰直後今日に至るまで政府は何らこの中小企業に対する措置をとらずに放任されておつたのでございます。そのために中小企業者惡性インフレ、あるいは労働攻勢等によりまして、非常に悩まされながら日本再建努力してきたのでございます。しかるに最近に当りまして、非常に中小企業者にとりましては、あらゆる方面に行き詰りまして、自滅寸前にあると言つても過言でない状態であります。この時にあたりまして、政府中小企業廳を設置されることになりましたことは、中小企業者にとりまして一つの明るい目標が與えられてと思うものでございます。また中小企業者がひとしくこれに大きな期待をもつておるものと思うのでございます。でありますからこの際商工大臣に特にお願いしたいことは、中小企業廳名実ともに備わつたりつぱな官廳とされまして、中小企業を育成発展くださるよう特に万全の措置をとつていただきたいと思うものでございます。特に最近資金資材の面について商工大臣の許される範囲内において最大限援助を與えられますよう特にお願いしたいのでございます。中小企業の衰微した原因は資金資材にあると思うのであります。從つて中小企業廳ができましても、この点にでき得る範囲内において最大限努力をしてくださらない限り、中小企業の発展はおぼつかないと思うのであります。從つてこの点にぜひとも強力に御援助をお願いしたいと思うのであります。そうするならばこの自滅寸前にあるこの中小企業というものが、息を吹き返して活発なる活発なる活動を起されて、どんどんと物は生産され、國内の需要を充たすことができ、また國際貿易を盛んにして、惡性インフレを克服して、日本再建が速やかにできることと信じます。かような観点から特に商工大臣のでき得る限りの範囲内において、強力に資金資材というものを何とかひとつ御心配していただきたいと思うのであります。この点を特にお願いいたしまして、本案に賛成する次第でございます。
  20. 喜多楢治郎

    喜多委員長 これをもつて討論を終結いたしました。  これより採決をいたします。ただいまの修正案につきまして御賛成の方は御起立を願います。     〔総員起立
  21. 喜多楢治郎

    喜多委員長 起立総員。よつて修正案は可決されました。  次に本法律案修正部分を除いた部分原案通り可決することに御賛成の諸君の御起立を願います。   (総員起立
  22. 喜多楢治郎

    喜多委員長 起立総員。よつて修正部分を除いた部分原案通り可決されました。  この際お諮りいたしたいことがあります。衆議院規則第八十六條による報告書の作成については、委員長に御一任していただきたいと思いまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 喜多楢治郎

    喜多委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。これをもつて中小企業廳設置法案決定をいたしました。  本日はこれをもつた散会いたします。     午後三時二十二分散会