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齋藤晃君 ただいまの
地方自治法の一部
改正に関する
請願について趣旨を御説明いたします。
この
請願の目的は、先日本
会議において議決せられました
地方自治法のうち、
市町村の境界変更に関する
自治法の一部
改正につきまして、その
改正の場合には、戦時中におけるその町村のもとの住民のみの投票によ
つて決する。こういうような内容でございましたが、この投票にあたりまして、その
関係町村内の大字部落民の意思表示によ
つてその帰趨を決すると追加せられたいというのであります。その
理由とするところは、この
請願人が福島縣岩城郡小名浜の町長でありまして、小名浜町におきましては
昭和十六年八月十五日に隣接村である玉川村を多数の同意により合併いたしましたが、その当時同村は経済的に行詰りを生じ、村会は常に論争が絶えないために、本町との合併をなしたものであります。
從つて町村
当局は、合併当崎の條件であつた行政部面における
出張所の設置を初め、学校
建築、土木事業の施行等いずれも実行に移して現在に至
つておるのであります。殊に合併した玉川村は十大字に分れ、内岡、小名雨、富岡、大原の一部は小名浜町に近接する
関係上、合併前は本町に兒童を委託教育をしておつたのでありますが、これをもし再び分村するようになりましたならば、低学年の兒童もまた二里余の通学をしなければならないことになるのであります。このたび提出せられました
地方自治法の一部を
改正する
法律案によりまして、從前の区域の通り分割ができることとなり、これは理論的には民意を尊正する趣旨から出ておりますけれ
ども、しかし実態をも
つてこれを
考えましたならば、その
関係大字部落民の意思に副わざる分村をあえてなさしむる結果となりまして、法の精神に反るすものと思われるのであります。以上の
理由によりまして、從前の町村の区域内においても、地域的にあるいは経済的に部落によ
つて事情を異にしておるのでありまして、
從つて関係住民の投票をなさしむる場合においては、部落民の意思を尊重し、從前の区域をも
つて町村をおくこととすることなく、部落民の意思表示によ
つてその区域を定むることといたしたいのであります。これが趣旨でありまして、実はこの町村の分合につきましては、全國各地にこの問題があると思うのでありますが、これはこのたびのいわゆる戦時中における町村の合併のみでなく、おそらくは今後における町村の行政部面におきまして、たとえば私の小名浜町におきまして築港を
実施しようという場合に、その築港のすぐそばの部落が、ほかの町村に編入されておるために、重要な築港の
実施ができない。しかるにその隣りの町村におきましては、全町村の同意がなければ部落だけの合併ができないというようなことで、重大な築港の施工ができないというような事実もあるのであります。このようにいろいろ部落によ
つて事情を異にしておるにかかわらず、その部落の意思表示ができないというために、あるいは部落の意思を無規して全部の町村がそこに合併されるというようなことがままあるのでありまして、これは町村の運用上におきましても非常に重大な問題が将來起きるのではないかと思うのであります。このたびの敗走によりまして、從前の町村の分合ができる。これが
從來の住民の投票によ
つて決することができるということになりました場合に、從前の町村の住民の全部が分離を希勢いたしましても、隣接の部落はあくまで利害
関係から
考えましても、あるいは兒童の通学の区域から
考えましても、その分離には反対であるという強硬なる意思をその部落がも
つているというのが、その内容でございまして、この問題は何とぞ将來
自治法の
改正にあたりましても、この趣旨をも
つて改正を願いたいと思うのでありまして、
政府の御意見をお聽きしたいと思うのであります。