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1948-06-22 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第41号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年六月二十二日(火曜日) 午前十時三十五分
開議
出席委員
委員長
坂東幸太郎
君
理事
小暮藤三郎
君
理事
松野 頼三君
理事
門司 亮君
理事
坂口 主税君 大内 一郎君
大澤嘉平治
君 坂田
道太
君 中島 守利君 松浦 榮君
久保田鶴松
君
松谷天光光
君
高橋
長治君
高橋
禎一君
高橋清治郎
君 小枝 一雄君
加藤吉太夫君
川橋豊治郎
君
出席國務大臣
國 務 大 臣
野溝
勝君
委員外
の
出席者
專門調査員
有松 昇君 ――
―――――――――――
六月十八日
地方財政法案
(
内閣提出
)(第一五八号) 同月二十一日
地方配付税法案
(
内閣提出
)(第一六二号)
地方税法
を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)(第一 六三号) 同月十九日
町村財政確保
に関する請願(
明禮輝三郎
君紹 介)(第一五二二号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 六月十九日
國家地方警察
の
拡充強化
に関する
陳情書
(第七四三 号)
映画
、
雑誌等
の
取締強化
に関する
陳情書
(第七五四 号)
出版物
、
演劇等
の
取締強化
に関する
陳情書
(第七六六号)
地方財政法案
並びに
地方税法案
の修正に関する
陳情書
(第 七八六号)
地方自治法
の一部
改正
に関する
陳情書
(第八〇七号)
市町村職員共済施設
に対し
國庫補助増額
の
陳情
書(第八一七号)
映画
・
雑誌等
の
取締強化
に関する
陳情書外
十六 件 (第八二七号)
地方競馬
を縣営に移管の
陳情書
(第八三三号)
都市財政
の
確立
に関する
陳情書
(第八七一号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の会議に付した事件
地方財政法案
(
内閣提出
)(第一五八号)
地方税法
を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)(第一 六三号)
地方配付税法案
(
内閣提出
)(第一六二号) ――
―――――――――――
小暮藤三郎
1
○
小暮委員長代理
委員長
がまだ見えませんので、
暫時委員長
の席を汚します。これより治安及び
地方制度委員会
を開会いたします。 本日の
議題
は
地方財政法案
、
地方税法
を
改正
する
法律案
、
地方配付税法案
でありますが、以上の三案を一括して
議題
に供します。まず
提案理由
の
説明
を求めます。 ――
―――――――――――
野溝勝
2
○
野溝國務大臣
ただいま
議題
となりました
地方財政法案
につきまして、その
提案
の
理由
及び
内容
の大略を御
説明
申し上げることにいたします。さきに
地方自治法
の
制定施行
によりまして、
地方公共團体
の
自治権
は、劃期的な伸張をみたのでありますが、その
基盤
をなすべき
財政自治権
は、未だその
確立
をみるに至らず、しかも他面激変する
経済変動
の影響を受けまして、
地方財政
は非常な
危局
に直面するに至り、この危機を打開して、眞に
地方自治
の
確立
に即應する
自治的地方財政制度
を
確立
するということが、緊急の課題となりました結果、
政府
は本年初頭これが
企画立案
の機関として、
総理廳
の外局として
地方財政委員会
を設置し、
自主的地方税財政制度確立
の
方途
につきまして、鋭意検討せしめてまい
つたの
でありますが、ようやく結論に到達するに至り、これら
改革案
の一環として、ここに
地方財政法案
を
提案
いたすの
運びとなつた
次第でございます。 申すまでもなく
地方財政
は、
國家財政
とともに
國民経済
にきわめて重要な連関をも
つて
おるのでありまして、その
健全性
を
確保
しなければならないことはもちろんであります。しかるに現実の
地方財政
は、
地方公共團体
が行う
事務
の
性質
上、
國家財政
から諸種の
負担金
の
支出
を受け、また國の
事務
の遂行について各種の
経費負担
を命ぜられておるのでありまして、この
國費
、
地方費
の
負担区分
に関する
規律
がきわめて明確を欠いている結果、とかく國の
負担
を轉嫁され、たび重なる
地方税制度改革
の
効果
を常に減殺するに至り、その
健全性
の
堅持
を困難ならしめてきたのであります。
從つて自主的地方税財政制度
の
確立
を期するためには、その
独立財源
の
拡充強化
をはかるとともに、それみずからの
健全財政堅持
の
方途
を講じつつ、
國家財政
と
地方財政相互
の
関係
に対し
合理的規律
を與え、
地方財政運営
の
合理化
をはかる必要があるのであります。こうした目的を達成するため、いわば
健全地方財政運営法
とも申すべき本
法案
を作成し、
地方財政
の
運営
、
國家財政
と
地方財政
との
関係等
に関する
基本規定
を設け、も
つて
自主的健全地方財政
の
確立
をはからんとしたのであります。 本
法案
はこれを大別いたしますならば、その
内容
は大体四点から成立
つて
おります。 まず第一点は
地方財政運営
の
基本
に関する問題であります。その一は、
地方財政
の
実質的收支
の
均衡
をはかるため、
赤字財政
の根源である
地方債
の発行については、
相当
の
規正
を加えんとしていることであります。しかしながらもとより
公営企業
の
財源
については、その本質上当然
地方債
によ
つて
差支えないものと考えております。その二は、
公営企業
の
経営
について
独立採算制
を採用し、その
経営
の
合理化
をはからんとしていることであります。その三は、
地方財政
についても
減債基金制度
を採用し、・その
運営
全体を通じて
健全財政堅持
の
精神
を具現しようとすることであります。 第二点は、
地方財政
と
国家財政
との
関係
に関する問題でありまして、その一は、
事務
の
性質
によ
つて國費
、
地方費
の
負担関係
を明瞭にせんとしていることであります。
從來
の
地方財政
がとかく
國費
、
地方費
の
負担区分
の撹乱によ
つて
混乱せしめられてきた
状況
に鑑みまして、いやしくも
共同負担
の
形式
をとるものについては、その
負担割合
・
経費
の
範囲等
を
法律
または政令に明記することによ
つて
、
從來
のような、
國家財政
の恣意による
地方財政
の
負担加重
を緩和し、
國家事務
の
増加
による
地方財政
への圧迫を除去せんとしているのであります。 その二は、いわゆる
補助職員制度
の
合理化
であります。
地方團体
が行
つて
おります機能に省みまするときは、
職員
が行う
事務
の種類に應じ、
國庫
がある程度の
経費
を
負担
することもまた必要なことであります。しかし、
從來
のごとく
國庫財政
の一方的な
都合
によ
つて補助額
の増減せられることは、
地方財政
を常に不安定にし、
かたがた補助
を通ずる無用の干渉は、
地方公共團体
の首長の
権限
に要らざる掣肘を加えるものであ
つたの
であります。よ
つて
今回從来の
補助職員制度
を廃し、
國庫負担職員
の
制度
を設け、その定員、
負担経費
の
範囲
及び
負担割合
を法定することによ
つて
、この
方面
における
地方財政
の困難を取除くことにいたしたのであります。その三は、
國庫負担金
、
国庫補助金等
の
支出
を
合理化
せんとすることでありまして、これらの
負担金
、
補助金等
の
金額算定
の基礎及びその
支出
時期等について
基本
的な
規定
を設け、
國庫
の
支出金
が、実情を無視した低い單償で定められたり、著しく遅れて
支出
されたりする
現状
を防止しようと考えております。 第三点は、
地方公共團体相互
の間において生じつつあるような
財政
上の
障害
は、
地方公共團体
の
相互
の間、特に
複合地方公共團体
である
都道
府縣
と、その
区域丙
の
市町村
との間においてもまた存在しておりますので、その間の問題につきましても國と
地方公共團体相互
の間における
財政調整
の
方法
に準じ、
経費
の
負担関係
その他について合理的な
規正
を加えることとしたのであります。 第四点は
地方公共團体
の
財政運営
に関する
規律
、
國庫財政
と
地方財政
との
関係
に関する
規律
に違反した場合の
措置
に関する問題であります。國も
地方公共團体
もその
健全財政
を
堅持
し、その
濫費
を戒め、
経費
の
経済的効果
に着目して、その
財政
を
運営
していくべきは当然のことではありますが、
現状
においては、必ずしもすべてが、こうした線に沿
つて
動いているとは言えないのでありまして、そのことはやがて、國や他の
地方公共團体
に多大の迷惑を及ぼすことにな
つて
いるのであります。從いまして、
自治権
の濫用または侵害を戒め、その
財政
の
健全性
を
確保
するためには、
規律違反
に対する
措置
を
規定
する必要があるわけであります。その一は、國または
地方公共團体
が
法令
の
規定
に違反して國の
補助金
、
負担金
または
地方公共團体
の
負担金等
を
濫費
したときは、國はその
負担金
、
補助金等
の
返還
を命じ、
地方公共團体
はこれが
返還
を請求し得ることとしようとすることであります。その二は、
地方公共團体
が
法令
の
規定
に違背して多大の
濫費
を
行つた
場合等においては、それだけ
財源調整
の意味で交付される
配付税
の額は不要であると考えられますので、その額を減額し得ることとしようとすることであります。 以上
地方財政法
の
提案
の
理由
及びその
内容
の
大要
につきまして御
説明
申し上げたのでありますが、なおこの際、この
法律案
の
提出
が遅延いたしました
事情
について、一言御
説明
申し上げておきたいと存じます。
地方財政委員会法
は、
地方財政制度改革
に関する
法律案
を、同
法公布
の日から三箇月以内に
國会
に
提出
することを命じてあるのでありまして、
政府
はこの
義務
を果すため鋭意努力を続けてまい
つたの
でありますが、事が
國家財政地方財政
を通ずる重要問題である上に、
関係方面
との折衝に意外の日時を費さざるを得ない
事情
に立ち至り・不本意ながら逐に今日まで延引するに
至つたの
でありまして、何とぞその間の
事情
について各位の御了承をお願いいたしたいのであります。 何とぞ
愼重御審議
の上速やかに御賛同あらんことを希望してやまない次第であります。 〔
小暮委員長代理退席
、
委員長着席
〕
坂東幸太郎
3
○
坂東委員長
次は
地方税法
を
改正
する
法律案
並びに
地方配付税法案
につきまして
政府
の
説明
を求めます。 ――
―――――――――――
野溝勝
4
○
野溝國務大臣
ただいま
提案
いたしました
地方税法
を
改正
する
法律案
及び
地方配付税法案
について
提案
の
理由
及びその
大要
を御
説明
申し上げます。 新憲法は、
地方團体
の
自治権
を
個人
の
基本権
と同様に保障することを闡明し、これに基いて
地方自治法
が制定実施されたのであります。しかしながら、
地方自治発達
の裏づけとなるべき
財政
の面におきましては、その與えられた
財源
の量は、未だ微力であり、その與えられた
財源
を入手する
方途
には未だ十分には
自主性
を
確立
しておりません。昨
昭和
二十二年度を顧みますとき、
地方財政
を最も悩ました大きな問題は、第一には六・三制の新
教育制度
の実施に要する
経費
と、瀕発した
災害復旧対策
に要する
経費
とでありました。いずれも当初予想しなかつた多頭の
経費
を要するものでありました上に、
國庫財政
の
都合
で、
相当
多額
の
負担
が
地方
に轉嫁されましたので、
地方團体
はその
運営
に非常な困難をなめたのであります。この問題は今後も
國地方
を通ずる大きな
財政
問題として遺憾のないように
措置
されねばならないところであります。 第二は
インフレ
の
進行
に伴う
人件費
、
物件費等
の
増加
に対應する
所要
の
財源
を欠除した点でありました。これがため
地方團体
は極度の
財政
難に陥り、そのなすべき
事業
もなし得ず、いたずらに萎縮して
しまつたの
でありまして、敗戰による苦難の中から起ち
上つて
、
平和日本
の再建に努力すべき
地方
の創意も
自主性
も、これを十分に期待ないしは発揮することができなか
つたの
であります。しこうして
地方團体
はこれらの問題のため百二十億円の公債を発行し、五十五億円の
政府貸付金
を得て、ようやく年度を送るだけのことができたのでありますが、その実態はなお非常な
金融難
に苦しみつつも、
多額
の一時借入金を
背負つて
、
まつたく
の一時しのぎをや
つて
いるという
状態
であります。このような
地方財政
現在の
危局
を打破するため、
政府
といたしましては、
地方財政委員会
において、第一に、
地方自治権確立
の
方針
に則り、
地方財政自主化
の徹底をはかること、第二に、現在の
経済情勢
に即應する
地方税財政制度
を
確立
することの二つを目標といたしまして、
地方税財政制度全般
にわたる
改革案
を立案いたしたものであります。しかしながら
國庫財政
との
関係
もありまして、今ただちに
地方税財政制度改革案
を全面的に実施することはできませんので、一應さしあたりの
地方財政
の窮乏に対処するものとして、
地方税法
及び
地方分與税法
を全文
改正
することにいたしました。これが本
法案
を
提出
することにいたした
理由
であります。 最初に
地方税法
を
改正
する
法律案
の
大要
を御
説明
申し上げます。 本
法案提出
の
理由
が右に述べました点にありますので、從いまして本
法案
は、さしあた
つて
の
地方財政
に必要な
財源
が得られるようにするため・
地方税制
の
改正
を主とし、なお
地方財政自主化
を一歩進めるために、
監督廳
の
許可
の
全廃
に関する
事項
及び徴収の確保を期するため、
罰則等
の
強化
に関する
事項
をその
内容
といたしております。
所要
の
財源
を得る途は三つあります。第一は新しい
税目
を創設することであり、第二は
現行税目
に
賦課率
の
引上げ等
の
変更
を加えることであり・第三は
國秘
を
地方
に
委讓
することであります。
由來地方税
はいわゆる直接
税主義
をと
つて
おり、
從つてインフレ
の
進行
に伴
つて
増收
し得る
税種
にきわめて乏しいのでありまして、この三つの場合を通じ、この欠陥を補正しようと努めたのであります。 第一の
新税目
として創設いたしましたのは、次に申し上げるようなものであります。 一、
事業税
、
現行営業税
は、
営利法人
の営む
営業
及び
個人
の営む
物品販賣業
以下二十数種の
営業
に対して課しておるのでありますが、この際
農業
、
畜産業
、
水産業等
の
原始産業
及び
農業組合
の
特別法人
に対しても、その
所得
を
標準
として課税しまして、
地方團体
の
財源
の一といたしました。以上新たに
事業税
を創設することにいたしたのであります。しこうして
営業税
はこれを廃止して、
営業税
の
対象
となる
営業
も
事業税
の
対象
とした点が
特徴
であります。しかしながらその
賦課率
は
営業税
の
対象
であつた
営業
と、新たに
事業税
によ
つて課税
の
対象
と
なつ
たものとの差等をつけるのを
相当
と考えまして、前者は本
税附加税
を合わせて百分の十五であるのに対し、後者は百分の十といたしたのであります。この
営業税
の
範囲拡張
による
増收額
は、次に申し上げる主
要事食糧
の分を除いて約三十九億八千万円であります。なお
農業
に対する
事業税
については、当分の間その
事業
から生ずる
所得
のうち、
主要食糧
に関する部分は、これをその
課税標準
に算入しないことにしました。
主要食糧
の増産は、
現下
の
インフレ
を克服し、
経済
を再建する
基盤
をなすものでありまして、この際その
増産意欲
を阻害するような
措置
はこれを避くべきであること、また現在
自作農創設特別措置法
による
農地改革
が今なお
進行途上
にありますので、この際これの成功に
障害
となるような
措置
はとるべきでないこと等の
事情
を考慮した結果であります。 二、
特別業務税
、
農業
初め
原始産業
に課税することにしますと、それとの
均衡
上
医師
、
弁護士等
のいわゆる
自由業
に対しても、その
所得
に対して新たに課税することが適当であると考えまして、これらのものに対する
特別業務税
を
新設
したのであります。
賦課率
は
弁護士
、
公証人
、
司法書士等
に対するものは、
原始産業
に対する
事業税
と同樣、本
税附加税
を合わして百分の十としましたが、
医師
、
歯科医師
、
助産婦等
に対するものについては、これらの
業務
について
法律
上
應招義務
が
規定
されている等の
業務
の
特殊性
に鑑み、百分の八といたしました。この
特別義務税
の
新設
による
收入
は、約九億と見られております。 三、
鉱産税
、
鉱産税
は
昭和
十四年当時まで
國税
として存したのでありますが、
鉱産地帶
の
財政状況等
にも鑑み、この際
地方税
として復活することにいたしました。
鉱物
の掘採または
砂鉱
の
採取
の
事業
に対し、
鉱物
または
砂鉱
の
價格
を
標準
として課するものとし、
賦課率
は本
税附加税
を合わせて、
價格
の百分の一といたしました。しこうして
鉱物
の掘採または
砂鉱
の
採取
の
事業
に対しては、
事業税
は課せられないことにしたのであります。この点が
特徴
であります。
鉱産税
の
新設
による
増收
は八億九千万円であります。 四、
電氣ガス税
、
電氣ガス税
は戰時中から
昭和
二十一年まで
國税
として存してお
つたの
でありまして、その廃止後は多くの
府縣
において
法定外独立税
として徴収してまいつたものであります。この税を法定いたしまして、廣く
一般消費者
に課することとすることは
相当
無理な
大衆課税
であるとの論もあるようでありますが、
地方財政
の
窮乏打開
の一策としてやむを得ないものと考えております。
賦課率
は本
税附加税
を合わして百分の十といたしておりますが、要
保護者等
に対しまして、
地方團体
において適宜減免の
措置
をとることは望ましいことと考えております。なお
重要産業
が直接
生産
のため使用する
電氣
に対しては、その製品の
價格構成
中に五%以上の
電氣料金
を
占むるものにつきましては非課税
とするように
措置
いたしますから、その
生産
を阻害することはないと考えております。
電氣ガス税新設
による
收入
は約二十六億円に達する
見込み
であります。 五、
木材引取税
、
使用人税
、
余裕住宅税
、以上申し上げましたほか、素材の引取者に課する
木材引取税
、
家事使用人
を使用する者に課する
使用人視
を
新設
し、なお当分の間、
余裕住宅
の
使用者
または
空住宅
の
所有者
に
余裕住宅税
を課し得ることにいたし、あらゆる
方面
において
財源
を求めるとともに、
住宅難緩和
の一助ともすることといたしたのであります。 次に
財源
を得る第二の
方法
として、
現行税目
について次のようにその
賦課率
を引き上げる等、
所要
の
変更
を加えたのであります。
地租
の
標準賦課率
は、現在
宅地
については本
税附加税
を合わせて百分の二十四、
宅地
以外の土地については百分の七十二でありますのを、一樣に百分の二百、
家屋税
の
標準賦課率
は、
現行
百分の四十二でありますのを、百分の二百五十に引き上げて、
相当
の
増收
をはかることにしたのであります。地代及び家賃が現在
他物價
に比し、者しく
低位
にすえおかれておりますので、これを改定するとともに、この程度の
増税
を行うことは、またやむを得ないと考えたのであります。因みに、
地租
、
家屋税
の
課率
の
引上げ
による
増收
は約五十億になる
見込み
でおります。
住民税
は、
現行地方税
中におきまして唯一の
人税
でありまして、その本來の特色は、これによ
つて多額
の収入を得ようとするのではなく、廣く
住民
が
負担
を分担し、これを通じて
地方自治
に対する
住民
の関心を深くし、積極的に
地方自治
に参與しようとする氣風を釀成していこうとする点にあるのでありますが、一面ある程度の彈力性をもち得る
性質
を具備しておりますので、昨年來しばしばその
平均賦課額
の
制限額
を引き上げて、相次ぐ
人件費物件費
の高騰に対應する
財源
の一部に充ててまい
つたの
でありますが、今回さらに一歩を進めて
納税義務者
一人
当り平均賦課額制限
の
制度
を廃止して、新たに
標準賦課額
の
制度
を設けることとし、
標準賦課額
を道
府縣
民税と
市町村税
とを合わせて千円とすることにいたしました。
現行制限額
四百円に対して二倍半の
増税
でありまして、これによる
増收
は約九十四億と見込まれるのでありますが、すでに本税としては徴収し得る限度ではないかと考えております。しかして
納税者
の便宜を考慮して適宜納期を二期をわけることといたしたのであります。
鉱区税
の
賦課率
は、他の税に比し
低位
にありますので、五倍に引き上げることにいたし、また
不動産流通
の
担税力
に着目し、
かたがたインフレ
の抑制をはかるため、
不動産取得税
の
制限賦課率
を、本
税附加税
を合わせて
價格
の百分の二十に引き上げて法定することにいたしました。 自轉車、荷車及び金庫の
取得
に対しましても、自轉車税、
荷車税
及び
金庫税
を課し得るごととし、また
遊興税
を
遊興飲食税
に改め、喫茶店における
飲食
、
仕出屋等
から供給を受ける
飲食
に対しても課し得ることにしました。なお、
府縣税
の
藝妓税
を廃止し、
藝者
、
ダンサー等
に
市町村税
として
接客人税
を課することにいたしました。 以上申し上げましたように、今回の
改正
においては、
地方財政
として残されている
税源
について多数の新しい
税目
を起し、また、
現行税目
に
変更
を加えてこれを捕捉することにしたのでありますが、これらの
措置
のみをも
つて
は、急増した
地方團体
の
財政需要
を充足いたしますには、なお
多額
の欠除を生ずるのでありましてここに第三の
方法
といたしまして、
國税
の
地方委讓
が考えられるのであります。
現下
の
経済事情
におきましては、
國庫財政
もまた
相当
窮屈な
状態
にあるのでありますが、
警察
、消防、
教育等
各
方面
におきまして
相当
大幅な
事務
が國から
地方
に委譲になりました
現状
におきましては・
税源
もまたこれに対腐して
地方
に
委讓
することが適当の
措置
であると考えるのであります。かくて今回の
改正
におきまして、
國税入場税
と
狩猟免許税
の
地方委讓
を受けることにいたしました。
入場税
は、元
來地方税
として発達したものでありますが、
昭和
十五年
以來國税
として徴收し、その一部を
配付税
として
地方團体
に交付する
形式
をと
つて
現在に及んでいるのでありまして、このような沿革からいたしましても、また
地方團体
の施設との関連から見ましても、殊に今般設置せられました
自治体警察
に要する
経費
に見合う
財源
としては適当な税と考えられますので、これを道
府縣税
とし、
市町村
においてその
附加税
を課するごとといたしたのであります。
賦課率
は、
國税
当時と同じく、料金の百分の百五十とし、この税の
性質
からしまして全國一律といたすように
規定
いたしました。なお道
府縣
分と
市町村分
との
割合
は、この税の
委讓
の趣旨の
一つ
が
自治体警察
の
財源
に充てるという点にあるのに鑑みまして、道
府縣
分一、
市町村分
二の
割合
といたしたのであります。因みに
入場税
の
委讓
による
地方税
の
増收
は、約百九億となる
見込み
であります。
狩猟免許税
は、
狩猟法
に基いて
國税
として徴收いたしておるのであります。また
地方團体
におきましては、現在この
狩猟免許税
の半額以内の
狩猟者税
を賦課いたしておるのでありますが、いわばこれは
附加税
と同樣のものなのであります。一方
狩猟免許
に関する
事務
は、現在
都道
府縣
において実施しているのでありまして、この際
地方財源充足
の
一つ
の
措置
といたしまして、これを道
府縣
に讓り受けて
狩猟者税
と併合し、
市町村
において
附加税
を課することといたしたのであります。 次に
監督廳
の
許可
の
権限
の
全廃
について申し上げます。
現行法
におきましては、
標準率超過課税
、
法定外独立税
の
新設
、
変更
、あるいは
営業税
における
外形標準
の
採用等
の場合におきましては、
内閣総理大臣
及び
大藏大臣
または
都道
府縣
知事の
許可
を要することとな
つて
おりますが、
地方團体
における
財政自主権
を
確立
する方向から見ましてうこの際
許可制度
を
全廃
することを適当と考えたのであります。その結果、たとえば
住民税
、
地租
、
家屋税
及び
事業税
については、單に
標準賦課総額
または
標準賦課率
を法定するに止め、また
法定外独立税
は
地方團体
において、自由に課し得ることとしたのであります。しかしながら、一面
地方團体
が
財政運営
の
方針
を誤り、その
財政
の
健全性
を失い、國または
住民
に迷惑をかけるようになりますと、かえ
つて
自治
の
基盤
を破壊することになりますので、
財政自主権
を尊重しつつ、しかもかかる弊害に陥らぬようにいたしますため、
地方税審議会
による
審査
の
制度
を設けたのであります。 すなわち
地方團体
が
標準率超過課税
、
法定外独立税
の
新設
、
変更
、
外形標準
による
事業税
の
賦課等
をしようとするときは、これに関する條例の議決後、ただちに
内閣総理大臣
に報告せしめることとし、
内閣総理大臣
は
國民
の
租税負担
、國の
経済施策等
に照らし適当でないものがあると認めるときは、
地方税審議会
の
審査
を請求し得ることとし、
地方税審議会
の
審査
の結果当該條例の
取消し
または
変更
を可とすると決定したときは、
内閣総理大臣
は、これに基いて
取消し
または
変更
の処分をしなければならないこととしたのであります。しかして、この
制度
は
從來
の中央集権的な
許可
の
制度
とはその
精神
を異にするものでありまして第一に
審査
に付せられる
事項
はできるだけ少くするようにして、
地方團体
の自主的な活躍を萎縮せしめないようにし、第二に、
審議会
の
委員
は、
財政主管官廳及び自治團体
の
関係者
でない
学識経驗者
のうちからこれを選任することとして、その
審査
の公正を保持し、第三に、
審議会
は
内閣総理大臣
の所轄には属するのでありますが、
内閣総理大臣
は
審議会
の
審査
に拘束せられることとしまして、官権の專断を廃して、民主的な
運営
を所期することといたしたのであります。 最後に
罰則等
の
強化
について申し上げます。
地方税
の賦課徴收に関しては、
從來
過料を課し得るのみであ
つて
、刑罰による制裁はなか
つたの
でありますが、昨年及び今回の
改正
によりまして、新税の創設、
國税
の
委讓
によりまして、その
税種
におきましてもうその税額からいたしましても、
地方税
の
内容
な
國税
に匹敵するものとな
つたの
でありまして、これが徴收を確保するため、國と同樣の体刑または罰金を課し得ることといたしたのであります。なお徴税確保の見地から、延滯金の限度も税金額百円につき一円二十銭に引き上げることに
改正
いたしましたことを付け加えておきます。以上が
地方税法案
の
大要
の
説明
であります。 次に
地方配付税法案
の
大要
を御
説明
申し上げます。
現行
地方分與税法
を廃止して、新たに
地方
配付税
法を制定する手続をと
つたの
でありますが、
地方財政自主化
の見地から考えて、分與という言葉は適当でありませんので、これに代えて配付という言葉を用いることとしたほか、
現行法
の
内容
に若干の
改正
を加えただけで、その根本
精神
には別段の
変更
を加えたわけではありません。
改正
の要点を御
説明
申し上げますと、第一は
配付税
制全体に関連する問題でありますが、その一は
入場税
を
地方
独立税とし、
地方
配付税
の
財源
から除外したことであります。その二は
配付税
の繰入
割合
を増率したことであります。
地方税
所要
額は年間一千百七十二億円でありますが、
國税
の
委讓
を受けたり
地方
独立税を創設したり、
現行地方税
の
増税
を
行つた
りいたしましても、なお四百十五億円の不足を生じますので、これを
所得
税及び法
人税
から
地方
配付税
配付金特別会計の方へ繰入れる
割合
の増率に求めることといたしました。
昭和
二十三年度におきましては、八月から
入場税
の
委讓
を受けます等の
関係
で、若干計数に異動がありますので、経過的
規定
を設けております。その三は、
配付税
の道
府縣
分と
市町村分
との
割合
を
変更
し、
市町村分
を増率したことであります。
地方税
所要
額中独立税または
附加税
の
收入
を充ててなお不足する額は、
配付税
をも
つて
充てることといたしますと、その
配付税
の
所要
額は道
府縣
分二百九億円、
市町村分
二百六億円となりますので、その
配付税
の道
府縣
分と
市町村分
との
割合
は、それぞれ百分の五十ずつとなります。
現行
は道
府縣
百分の六十七、
市町村分
百分の三十三でありますので、
市町村分
は
相当
今回増率したこととなります。もつとも本年度は年度中途から
制度
の
改正
が行われますので、若干計数に変化がありまして、この
割合
は道
府縣
分百分の五十三、
市町村分
百分の四十七とな
つて
おります。その四は、戰災による税の減收額を
標準
とする戰災地
地方團体
に対する分與税の特別分與の
制度
を廃止したことであります。戰災後の
地方團体
についていつまでも一律に戰災前の
状況
を基礎として、その税の減收額を補填していくという考え方は穏当でありませんので、この
制度
を廃止したわけであります。しかし別に戰災地
地方團体
に対する
財政
援助の
方法
として、戰災復興費負債額に一定率を乗じた額を、当該團体の課税力の算定にあた
つて
用いる税額から控除することといたしました。
改正
の第二は、道
府縣
配付税
に関する問題であります。
財政需要
に正比例して配付する配付額の算定
方法
につきまして、その一は、人口に設けるウエイトに
改正
を加えたことであります。すなわち
從來
大都市部の人口については、人口の三倍、都市部の人口については実人口の二倍、町村部の人口については実人口を一倍したものを基数に用いて、按分していたのでありますが、
入場税
の
委讓
等によりまして、都市
方面
の
財源
は
相当
増加
してまいりましたので、大都市部の人口については実人口の二倍、都市部の人口については実人口の一倍半にしたものによることといたしました。またその際北海道の人口については三割増、東北
地方
及び北陸
地方
の分については二割増したものについて、それぞれ割増人口を計算することといたしました。これは寒冷地帶の
財政需要
は、薪炭費等がかさみますのと、
事業税
についても
主要食糧
に関する部分を除外した
関係
で、單作地帶においては、
事業税
の創設により
増收
を期待することができないという
事情
を考慮したのであります。 その二は新たに
義務
教育にかかる学級数を
標準
とずる配付額の
制度
を設けたことであります。
教育制度
の改革に伴い、
義務
教育
職員
費が著しく
増加
することになりますので、その
財政需要
を配付基準にとり入れることといたしたのであります。
改正
の第三は、
市町村
配付税
に関する問題であります。その一は、町村
配付税
を、
自治体警察
を設置する町村に対する甲町村
配付税
と、
自治体警察
を設置しない町村に対する乙町村
配付税
とにわけたことであります。
警察
制度
の
改正
により、
市町村
に
自治体警察
を設置せられることとなりましたのに伴い、町村のうちこれを設置するものと設置しないものとの間に著しい
財政需要
の相違を生ずることとなりましたので、これに即應した
配付税
の配付をするためにそれぞれの
配付税
を設けろことといたしたのであります。その二は課税力に逆比例して配付する配付額の算定
方法
につき、
改正
を加えることであります。すなわち、
從來
團体間の課税力を測定するものとして、実人口一人当りの税額を用いて比較していたのでありますが、
市町村
に
自治体警察
が設置せられたことにより・実人口によることが不適当となりましたので、実人口に、三百に
警察
吏員の数を乗じた額を割増ししたものの一人当りの税額により比較することにいたしました。その三は、
財政需要
に比例して配付する配付額の算定
方法
に
改正
を加えたことであります。すなわわち大都市、都市、甲町村及び乙町村の各ブロック間の人口比例による分割にあたりまして、道
府縣
の
配付税
におけると同樣の趣旨をもちまして、
從來
大都市、都市及び町村につきそれぞれ実人口の三倍、二倍、一倍したものを按分の基数に用いておりましたのを、それぞれ実人口を二倍、一・五倍、一倍したものと、三百に
警察
吏員の数を乗じた額を合算したものを用いることにし、なおその際、北海道の人口については三割増、東北及び北陸
地方
の人口については二割増したものに基いて割増人口を計算するごとに改めたのであります。次に各ブロック内團体間の人口比例による配付額の算定にあた
つて
、その按分の基準に用います割増人口は、
從來
は実人口に一定数を加算したものによ
つたの
でありますが、これを
改正
して、実人口に一定数を加えたものに、さらに三百に
警察
吏員の数を乗じた額を加算したものによることとするとともに、寒冷地帶の人口につきましては、單なる実人口を用いないで、北海道について三割、東北及び北陸
地方
については二割をそれぞれ割増ししたものを用いるごとといたしました。なお道
府縣
配付税
の場合と同樣の趣旨によりまして、新たに
義務
教育にかかる生徒児童数と、
義務
教育にかかる学級数とを
標準
とする配付額を設けることといたしたのであります。 以上をもちまして、
地方税法
を
改正
する
法律案
及び
地方配付税法案
の
提案
の
理由
並びにその
内容
の
大要
を御
説明
申し上げた事次第であります。 なお一言申し上げておきますが、本
法案
は特に重要
法案
であるとともに、
自治
体の裏づけとなるべき骨格法でございますので、この際
委員
諸君の檢討を得るためにも詳細に
説明
した方がよいだろうという意味からくどいようでありまするが、詳細に
説明
申し上げた次第であります。
坂東幸太郎
5
○
坂東委員長
この際紹介しますが、当
委員会
の
委員
中垣國男君が辞任されました、その補欠といたしまして
高橋清治郎
君を御紹介いたします。なお昨日の議案取扱い
方針
に基きまして申し上げます。議事
進行
の
都合
上、ただいま
提案理由
の
説明
がありました三
法案
に対する質疑は後回しにいたしまして、次に
市町村
立学校
職員
給與
負担
法案
を
議題
に供します。本
法案
については前前回の
委員会
において
提案理由
の
説明
を聽取したので、本日は質疑に入るのでありますが、その前に松野君から質疑があります。
松野頼三
6
○松野
委員
この際
地方財政
委員長
にお伺いしておきたいことは、
地方財政
委員
の
府縣
代表及び市長代表、町村代表の各
委員
が辞任したということを聞き及んでおりますが、現在いかなる
方法
で
委員会
の運用をや
つて
おられますか。
野溝勝
7
○
野溝國務大臣
ただいま松野
委員
から御指摘になりました
地方財政委員会
の
委員
三名が辞任をいたしたことは事実でございます。一名は市長代表であります京都の神戸さん、一名は知事代表であります安井東京都知事、一名は町村長代表の生田和平さん、この三人であります。しかしこの三人のうち市長代表の神戸氏の後任はすでに推薦にな
つて
おりますので、現在は二各でございます。しかしこの二名の方々も町村長会長の生田君は先般折衝したところ留任するやに見受けられます。知事の方は二、三日中に会議を開きまして、その後任あるいは留任の回答を得ることにな
つて
おります。まだ
運営
においては目下のところ支障を來しておりません。
松野頼三
8
○松野
委員
はなはだ厖大な
地方税法
の
改正
案が出ましたが、これは当然
地方財政委員会
において計画立案に参加されたことと思うのでありますが、聞き及びますところによりますると、三人の辞任がいまだにはつきりしない、
委員会
は三人以上によ
つて
初めてその
委員会
の
運営
ができると信じますが、はたしてこれは
委員会
において十分審議されて各会務の
運営
においても支障なくこの
法案
が
提出
されたかどうか。
野溝勝
9
○
野溝國務大臣
ちよつと質問の趣旨に、お答えがあるいは満足かどうかわかりませんけれども、
財政
委員会
は昨年
財政
委員会
法というのがございました。その
委員
法は御承知のごとく五人によ
つて
運営
されておるわけであります。ここは
企画立案
する機関でございまして、決議機関ではないのであります。しかし決議機関でなくても、御承知のごとく
自治
法が生れまして、その
自治
法に対する裏づけの
財政
企画をする重要な
委員会
でございます。たとえば決議の
権限
がなくても、その
企画立案
に対しましては
相当
権威のあるものと見なければならぬと思
つて
おります。またさように見るのが至当であると考えております。よ
つて
財政
委員会
におきましては種々檢討の結果立案をいたしまして、その案を
政府
へ提示いたしたのでございますが、その
財政
委員会
から要望いたしました全部が容れられなかつたことはまことに遺憾とするのでございますが、一應は容れられたという点においては立証できるのであります。しかし一應は容れられたとて、必ずしも
自治
体の裏づけとなる自主的
地方財政
が
確立
したということにはなら事ないのであります。その点はわれわれも
財政
委員会
の方々の御不満の点は十分了承できるのでございますが、何と言いましても
現下
の法制のもとにおきましては、遺憾ながらこれ以上にはできないのでございまして、もしこれ以上にやるということになりますならば、
財政
、税制の根本的改革をやり、あるいは來るべき來年の一月に
地方財政委員会法
が変ることになりますから、その際に
権限
を具体的に
規定
してこの
改正
の
法案
を
提出
したいと考えております。
松野頼三
10
○松野
委員
確かに議決機関ではございませんが、しかし
地方財政委員会
というものは、発足当時の趣旨から申しても、
相当
大幅な
企画立案
に参加し、またそれを議決するときは、
委員会
の補佐によ
つて
初めて
内閣総理大臣
が議決すべしという一文があるということは、法文の
精神
から言いましても、当然議決機関にあらざるも、
相当
以上の
権限
を持つべきものだという
委員会
の趣旨であるにもかかわらず、ただいまの御
説明
ですと、はなはだ残念ですけれども、
委員会
の趣旨をくみ入れておらぬ。
政府
提案
の原案は
委員会
を無視した、
財政
法あるいは
地方税法
の趣旨であるとしか解釈されないのあります。殊に三人の
委員
自身が天下に公表されたごとく、ほとんど
地方自治
の意見と相容れないために、かくも三人もの
委員
が辞任されて、
委員会
の
運営
さえもできないという窮地に陥つた点は、
政府
においても十分反省すべき点があると存ずるのであります。殊に
財政
委員長
であられ、國務大臣であられる
野溝
氏は、この
提案
の
理由
においては、民主的あるいは自主的ということを多々うたわれておりますけれども、
提案
の劈頭においてかくのごとき暴圧的な、一方的な
政府
の
財政
法案
が
提出
されるということは、私たち
委員
としても、また
地方
民としても遺憾なことであろうと思います。
野溝勝
11
○
野溝國務大臣
お話のあるまでもなく、私も
財政
委員長
でありますし、同時に國務大臣であります。しかし國務大臣として私は就任をし、総理大臣の命によ
つて
委員長
を承つたわけであります。なお先ほど御
説明
申し上げました通り、この
財政
事
委員会
というものは、
総理廳
の外局でありますから、総理大臣の命を受けて私は就任したのでございまして、自然ウエートの点では國務大臣というのが主軸にならなければならぬと思います。 なお先ほどの松野君からのお話でありますと、何もなしておらぬというのでありますが、不肖私は
財政
委員会
の意見が何も通らないで便々として席を汚しておるものではありません。微力ながらも
財政
委員会
のうち、
入場税
の
委讓
であるとか、あるいは狩猟税の
委讓
であるとか、あるいはその他起債に対し責任をも
つて
政府
が斡旋をするというようなことについては、一歩前進であると考えております。
松野頼三
12
○松野
委員
野溝國務大臣
の御努力は懇談会あるいはその他の一切の活動において十分私は了承しておりますが、しかし少くとも
財政
委員長
にあなたがおられるときに、三人も
委員
が辞任したというこの大きなことは、
財政
委員長
として
相当
強い責任と、強い反省を求むべき大きな資料であり、これ以上大きな事件はないと思う。もちろん國務大臣として総理大臣の御命によ
つて
職を遂行されるにおいては敬意を表しますが、しかし
財政
委員会
の五人のうち、三人の
地方
國体のすべての者が辞任するような大きな
理由
があるもの事を、便々として、國務大臣の職にあるがためにこれに耳をおおうという点においては、私は
財政
委員長
としてはなはだ――もう一歩の努力が足らないとともに、
政府
自身においても大いに反省を求むべきことだろうと、劈頭において私はこの
説明
とともに深く感じましたので、私の意見としてもう一度申し上げて、今後の
財政
委員会
の
運営
には、民主的にという言葉が多々あるにもかかわらず実際
財政
委員会
の
運営
には民主的なところがない、この点を深く認識して
地方財政
今後の審議に私の意見を反映されたいと思います。
松浦榮
13
○松浦(榮)
委員
ただいまの國務大臣のお話によりますと、
地方財政委員会
はまだ全部補充してない、補充してないにもかかわらず、それをむりに押してこの
地方財政法案
を事出されたことは、きわめて重要問題を
割合
に簡單にお考えにな
つて
おるように思われます。從
つて
ただいま松野氏からもお話のように、きわめて民主的でないところの
法案
であると言わなければならぬと思います。つきましてはこの
法案
をもう一度撤回して、
地方財政
委員
をはつきりときめられて、そのきめられた
地方財政
委員
のもとに審議を十分に遂げられて、納得のいつた
法案
をお出しになる意思はないかどうか、その点をお聽きしたいと思います。
野溝勝
14
○
野溝國務大臣
松浦
委員
にお答えいたします。
財政
委員会
は現在辞任されておるから、それが新たに就任してから本案を出すことがいいだろうということでありますが、
政府
と議会が
法律案
を
提案
する
権限
があるのでありまして、
財政
委員会
はその資格はありませんから、これは別個にお考え願いたいと思います。
中島守利
15
○中島(守)
委員
地方財政委員会
の
政府
に答申した案でなければならないと思います。それがあつたら私どもに配付してもらいたいと思います。
野溝勝
16
○
野溝國務大臣
ごもつともでございまして、それを一緒に出すことにな
つて
お
つたの
で、私、先ほどから
事務
当局に警告を発してお
つたの
であります。すぐ出します。
坂東幸太郎
17
○
坂東委員長
それでは
市町村
立学校
職員
給與
負担
法案
につきまして質疑を続行いたします。
野溝勝
18
○
野溝國務大臣
今
委員長
のお話では、今日は
政府
の
説明
だけでよろしいということでありますが、先ほど中島
委員
からお話がありましたが、書類がすぐまいると思いますから、後刻にらみ合わせて御檢討願いたいと思います。
門司亮
19
○門司
委員
今國務大臣の意見では、
政府
の
説明
だけというようなお話でございますが、私どもは
法案
を審議するにあたりまして、
政府
の
説明
だけを聽いて、そのまま原案を審議するわけに はまいらぬのであります。その原案を審議するにあたりまして、
政府
の所信をなお質す必要があると思いますので、この際國務大臣の
説明
に対する質疑を許していただきたいと思います。
坂東幸太郎
20
○
坂東委員長
それでは……。
門司亮
21
○門司
委員
私は総括的にまだ
法案
を見ておりませんので、案の
内容
については御質問を申し上げませんが、ただこの際当局にお伺いしておきたいと思いますことは、
地方財政委員会
の成案と
政府
の今回
提出
されました案との間には
相当
大きな開きがあると思うのであります。さらにもう
一つ
は
地方財政委員会
の案と、
地方財政
との間にも非常に大きな開きがあると思うのであります。從
つて
結論といたしましては、
地方財政
を掌
つて
おります。
都道
府縣
並びに
市町村
の
財政
を
確立
いたしますのと、
政府
案との間には非常に大きな開きがあることを私どもは見ないわけにはまいらぬのであります。單なる一例でありますが、横浜市の
関係
を見ましても、
政府
原案によりまする場合にどれくらいの不足を生するかというと、大体分與税を倍と見まして四億七千八百万円の差額を生ずる。それが
地方財政委員会
の案をそのまま取入れてまいりましても、なお三億七千八百万円の差額を生ずるのであります。從
つて
この大きな開きに対して所管大臣といたしましてどういうふうにお考えにな
つて
おるか。私どもはこれを
改正
し、さらに私どもの氣持の通りにやろうといたしますならば、國の
財政
に非常に大きな
関係
をも
つて
くる。従
つて
今國が
地方
に分與しないと言われております、たとえば酒、タバコの消費税のごときにつきましても、
財政
委員会
としては一應
地方
にある部分を
委讓
するおうに私ども聞き及んでおりましたか、今回の予算画ではそういうものが出ていない。そうな
つて
まいりますと
地方財政
はますます、苦しくなる一方にな
つて
まいりますが、この國の予算に対して
地方財政
の面からなお考慮を求めて修正し得る余地があるかどうかということであります。これはこの
法案
を審議するにあたりまして、きわめて重要なことであります。もし國の
財政
に対してこの修正ができないということにな
つて
まいりますならば、ここで
法案
の
内容
についていくら議論してまいりましても、それは單なる條文の整理くらいに止ま
つて
、実質には何らの
効果
がないと思います。そのほか独立税であるとか、あるいは多少のものを見つけ出して、それを法定税化するという面も多少あると思いますが、それらの面によ
つて
一切が賄えるとはわれわれ考えない。從
つて
そういう点について、この際大臣のはつきりした御答弁を得ておきたいと思うのであります。それによ
つて
われわれ案の
内容
について審議を進めたいと思うのであります。 それから大臣の
説明
の中で非常に遺憾に考えておりますことは、
地方
の
財政
がどの程度に大きくな
つて
おるかということを、十分認識されていないのではないかということであります。この
説明
書の中に、住々にして出てまいります
地方
財源
の最も大きな
負担
とな
つて
おりますものは、
警察
の移讓によることでありますが、
警察
の移讓による
経費
のほかにもう
一つ
、各大都市におきましては消防の設備、
施設
というものに対してきわめて大きな
財源
を要するのであります。この点がちつとも大臣の
説明
の中に考えられてない。ただ單に
警察
費のみが考えられておる。
市町村
財政
の今日の
現状
は、
從來
の
警察
制度
でありますならば、消防は
警察
に含まれておつたから一應
警察
の中にそれが勘案されたのでありますが、現在これが独立しておる以上は、
市町村
においては消防費を別途の項目として考えられておる。そういうものが忘れられていないかというような考えをわれわれはもつのであります。もしこういう点に、あなたの方の
委員会
から
政府
に上申されましたこととの間において開きがあるということにな
つて
まいりますと、これもなかなか容易ならぬことでありまして、大体
地方
における
警察
費と消防費の
割合
は、
警察
費の五割ぐらいは大体消防費に使われるのであります。これは消防
施設
を持
つて
おりません都市は別でありますが、消防
施設
をも
つて
おる大都市におきましては、大体
警察
費の半額が消防費事に使われる
状態
にな
つて
おりますので、こういう点が考えられておるかどうかという点、從
つて
要約して申し上げますと、第一点はこの
法案
を審議する上において、
政府
の予算案の中にこれを織入れて、なお本予算の修正ができ得るかどうかという見透しであります。次は先ほ事ど申し上げた消防その他の点において、
地方
の
自治
体の
経費
がほんとうにおわかりにな
つて
おるかどうか。これははなはだ侮辱するような質問でありますが、念のためにお伺いしておきまして、本案の審議に移りたいと考えております。
野溝勝
22
○
野溝國務大臣
お答えいたします。大体先ほど税法、
財政
法並びに
配付税
法の中で一貫した
地方財政
の
事情
を総括的に織込んで述べたと思いますけれども、あらためてまた御意見を交えた御質問のようでありますから、一應申し上事げておきます。大体
地方
の府懸予算といたしましては、二十二年度は九百七十億くらいでございました。本年は二千億を突破する予算を計上したのでございます。國の予算から見ると約一般予算の半分でありますが、かような増額にどうして
なつ
たかと言いますと、何と言いましても
教育制度
の
改正
と
自治体警察
、それに今門司
委員
が御指摘になりましたように消防等も含んでおります。それに災害復旧あるいは公共
事業
等々非常に
地方
の
負担
が多くな
つたの
でございます。かくて加えて二千九百円ベース、続いて三千七百円ベースというのとにらみ合わせていかなければならぬ
関係
から、いきおい
人件費
の増嵩というようなことから厖大な予算にな
つたの
でございます。そこで特に
地方
といたしましては、門司
委員
も御承知の通り
財源
補填の問題でございますが、これについては
地方
は
まつたく
彈力がないのでありまして、
從來
から國に依存しておるような形をと
つて
お
つたの
でございます。
地方
におきましては特に府懸といい、
市町村
も同様でございますが、大体國からの分與あるいは補助と言いますか、それを見越してみな予算を組んでおるような次第でございます。ところが一体國から援助を受けるこの考え方自身が私はよくないと思
つて
おるのであります。
一つ
の過渡期でありますからいたし方ないのでございますが、大体
自治
体を
確立
するということは、自主自存、いわゆるその
自治
体が自給自足ができるという
経済
体制を整えなければ、ほんとうの
自治
体の
確立
はできないのであります。この点ではわれわれはもちろんさような
精神
に基いて、特に今回の予算を編成する場合におきましても、分與してもらうという考え方よりは、この彈力のない
地方
の
財政
を
確保
するには、
地方
民に直結せるところの
税源
を
委讓
してもらうという建前で、
財政
委員会
におきましては、
入場税
と酒、タバコの消費税としての新税を創設するということで、この二つを二大
税源
眼目として要望してまい
つたの
でございます。
入場税
におきましては、七十余億、酒、タバコの二割としまして大体二百四、五十億を予想して、三百有余億の有力
財源
を
地方
に
委讓
することによ
つて
、自主自存の
経済
体制を整えていきたい、かように念願をし、かつ要望をしたのでございますが、遺憾ながら
入場税
だけ
委讓
されまして、酒、タバコの方は
委讓
をされなか
つたの
でございます。特に
入場税
におきましては七十余億の
委讓
でございますが、
國税
であつた当時にこの
入場税
の一部は分與税として
地方
に配付されておつた
関係
から、今度
委讓
をされるということになりますと
從來
の分與額も、今度の
法案
からみると、少くなるわけでございますので、ここでまた
財源
の番狂わせもできたという
事情
でございます。かような
状態
でございまして、
地方
といたしましてはこの
財源
補填に、先ほど申した通り新たに税率を
改正
するとか、あるいは新独立税を設定するとか、あるいは
從來
の中央官廳の
許可
事項
にな
つて
いる点を撤廃いたしまして、独立新税の自由課税を承認させることにしたというようなことによ
つて
、間に合わせると申しましようか、補足し、また一面におきましては起債に対するところの
政府
の責任斡旋というようなことで、どうかこうかそのバランスを合わせていくようにしたのであります。そこで特に門司
委員
におかれましては、横浜市を中心にしてこの分與税の矛盾と、
財政
上における消防費等の計上に対する疑義ないし論難の御意見がありましたが、横浜市に対する問題については、全國各市にわたる調査資料を私まだ檢討しておりません。
事務
当局には皆集
つて
おりますので、詳しい点をお事聽きしたいというならば、いずれまた
事務
当局の方から調べて御回答することにいたしたいと思います。 消防の問題につきましては、これは当然
警察
の中にくるめて
説明
を申したのでありますが、
財源
対策概略案の中には四十億ばかりを区分して計上してあるのであります。決して軽くみたというわけではないのでありますから、さよう御了承を願
つて
おきたいと思います。
門司亮
23
○門司
委員
非常にくどいようですが、もう一点はつきりお聽きしておきたいことは、この
法案
を審議するにあたりまして、今の
委員長
の
説明
では大体やむを得なかつたというようなお話でありますが、われわれの立場から突込んだ話でありますが、独立税あるいは法定税として、今國でと
つて
おります税金の中から、この
法案
の方に移すというような修正をして、
地方財政
を完全に賄
つて
いくことができるような
方法
を講ずることにしなければならないと思いますが、
政府
にそれだけの用意があるかないかを伺います。
野溝勝
24
○
野溝國務大臣
地方財政
を担当している私としては非常に感謝をする次第でございますが、これは私の方から公の席上で、國にこれだけ
財源
がある、この
財源
をも
つて
こいということは申されませんが、本
委員会
におきまして十分檢討を願いまして、特に
地方財政
の逼迫している
事情
を御了解を願
つて
、中央
地方
の
財政調整
に対する御意見の結論が得られるならば、こちらとしては仕合せと存するのでございます。ただ一点この点だけは門司
委員
に御回答しておきたいと思います。
まつたく
地方
におきまして
財政
の基礎となるべきものは
営業
秘だけでございます。
営業税
だけか何とい
つて
も
基本
課税でありますし、これが主軸でございます。その
営業税
だけではとうていや
つて
いけませんので、いろいろ独立新税がありますけれども、特に
営業税
をもこの
範囲
を拡張して
事業税
、この
事業税
に対してもいろいろ御意見がありますがとにかくかようにいたしまして
財源
を見つけてや
つて
いかなければならぬというわけで、
営業税
の
範囲
を拡張して
事業税
にしたのでございます。そこで何と言いましても彈力性のある税といたしましては、
営業税
の
範囲
を越えた
事業税
と今度の
入場税
、これだけくらいのものであります。そこで酒、タバコなどというものは、これは
地方
に直接
関係
もあるものでございますし、特に
地方
においても非常に徴收しやすい税でありますし、同時に非常に彈力があるものでありますから、殊に英國におきましても酒の税は非常に増率した。これはある意味で奢侈的なものでありますし、彈力のあるもので、
地方
におきましてはよい
財源
だから、これを讓
つて
もらいたい、こういうわけで要望したのですが、これがだめであります。特に私の方で考えておるのは、
所得
税附加税
を大幅に
地方
に
委讓
してもらうか、酒、タバコの消費税としてこれを
地方
に
委讓
してもらうか、全部を
委讓
せよというのではありませんが、これがもし
委讓
できますならば、中央
地方
事の
財政調整
もよく割切れることができますし、
地方
の
財政
育成にもなりますし、特に六・三制の
施設
の問題、あるいは
自治体警察
に対する國家
警察
との紛議のような問題なども、あるいは公安
委員
に対する給與、
施設
の問題も円滑にいくだろう、かように考えておるのでございますが、この点がわれわれの方で考えている事だけでありまして、いまだ結論を得ないでおる次第でございます。かような点は本
委員会
において十分御檢討願
つて
おきたいと思います。
門司亮
25
○門司
委員
大体
財政
委員長
に対する質問は終りたいと思いますが、次の
委員会
に、できますならば大藏当局を呼んでいただきたいということを要望いたします。
松浦榮
26
○松浦(榮)
委員
大臣のお出でになるときお伺いしておかぬと、お出でにならぬときもありますから、この際お聽きしたいと思います。各論的なものは逐次その都度述べたいと思いますが、重大な問題だけひ
とつ
お伺いしたいと思います。
一つ
はこの
地方財政
に対するところの大臣の信念をお伺いしたいのでありますが、私はこの
地方財政
というものはもつと自主的にあらしめなければならぬと思います。か
つて
は
地方財政
は非常に彈力性があり、苦しいときもあつたけれども、またおもしろみもあつたような
財政
でありましたが、その後逐次非常に貧弱町村に対する救済を叫ばれまして、それによ
つて
貧弱町村を救済するために、ある程度の調整
制度
というものが考えられたのでありますが、その
制度
が戰争に便乗しまして、戰争のために濫用されまして、遂に今ありますところの分與税
制度
に変
つて
しまいまして、町村長は知事の認可を得なければならない、また
財政
はすべで割当制、國で全部集めてそれを割当するにすぎない。おもしろみのある、彈力のある独立税というものは、ほんとうのわずか小遣程度に認められたというのが戰時中の
地方財政
であ
つたの
であります。今日新憲法が
個人
的にも非常な自由を認められ、大いに自由闊達なる活動を認められているときにあたりまして、
地方團体
も十分にその活動ができるように
自主性
を與えなければならぬ、そういう意味におきまして、私はもつと分與税
制度
というものを考え直して、今日出されたこれ以上の
財政
改革というものが行われなければならないと思うのであります。今日過渡期におきましてはこの程度を十分に考慮に入れなければならぬと思いますが、その根本信念といたしまして、どこまでも
自主性
というものを考慮に入れておかなければならぬと思うのであります。しかるにただいま出されました
地方財政法
の一條、二條をよく見ますと、まだきわめて國に対する依存性が強い、しかも國の一種の訓示的な字句がそこに感ぜられるような條文があります。また分與税を
配付税
としたが、この言葉もまたこちらから集めて配付してやるんだというようなにおいがあるのであります。これはやはり調整金という意味にした方がいいと私は思いますが、どこまでも
財政
の
自主性
を認めて、國は貧弱町村に対してある程度の調整をしてやる、苦しいところに手助けしてやる。
個人
で言えば社会
事業
的な、ほんとうの幼小老若のような、貧弱なものに対してこれをある程度救済の手を伸ばしてやるというような程度にしてやらなければ、將來
自治
体というものは発達して行かぬと思います。その点に対して大臣はどういううお考えを持
つて
おられますか、そのお考えと、この
地方財政法
に現われた第二條の條文は多少訓示的であるという意味におきまして、もう少しこれをお考えになる意思はないかどうか。
配付税
という言葉も私はなお足らないと思いますが、どういうお考えでありますか。それから第二にお聽きしたいことは、
地方財政
につきまして、起債借入等について独立の
金庫
をおつくりになる考えをお持ちにな
つて
おるように新聞等に拜見しましたが、この点は今度上程されておりませんが、どういうお考えでありますか。それから災害復旧
事業
に対しましても
一つ
の特別の
金庫
を持たせるというようなことも拜見しましたが、その点についても
政府
はどういうようなお考えであり、またいつごろそういうことについて
提案
されるかということをお伺いしたいと思います。
野溝勝
27
○
野溝國務大臣
松浦
委員
にお答えいたします。
地方財政
は
自治
体の裏づけとして非常に
自主性
をも
つて
いかなければならぬ、にかかわらず本
法案
を見ると、まだ中央集権的なにおいが強い。特に
財政
法の第二條などはそうではないかというような御質疑がありました。特に第二條を指されてお話にな
つて
おるのでございますが、これは中央官廳がやるのではないのでございまして、
國会
がこれは
規定
するのでございますから、さような点よく朗読をされればわかるのではないかと思います。「
地方公共團体
は、その
財政
の健全な
運営
に努め、いやしくも國の政策に反し、又は國の
財政
若しくは他の
地方公共團体
の
財政
に累を及ぼすような施策を行
つて
はならない。」「國は、
地方財政
の自主的な且つ健全な
運営
を助長するに努め、いやしくもその
自主性
をそこない、又は
地方公共團体
に
負担
を轉嫁するような施策を行
つて
はならない。」この点はよく読んでくださるというと、
相当
自主性
を
堅持
する点がはつきりすると思いますが、さよう御了承願いたいと思います。 なお私非常に考えさせられたのは、松浦
委員
の、
配付税
というのは
從來
の分與税と同じような名称であり、かつ、そういう感じを強くさせる。この説はいたく私も考えさせられてお
つたの
であります。私も
配付税
という名称をつけるときに、これはどうかということで、
相当
委員会
においてかつ
事務
当局とも論議をしてみました。御指摘になりましたような調整金とか、調整法という意見も出たのでございます。ところがこれを角度をかえて申しますと、國が調整をしていくというのもこれはまた封建的であり、支配的ではないか、では配付というのもまた、分與とどう違うかというような意見も出まして、結局調整でもよければ配付でもいい、一應
自主性
を早く
確立
することだ。一体分與とか配付とかいうことがよろしくない。早く
地方
の彈力ある
財源
を
確保
することが一番いいのである。とりあえず現段階においてはいたしかたあるまいというような程度できま
つたの
でございますから、さよう御了承願いたいと思います。 第三点の
地方
の
財政運営
にあた
つて
起債ができないような場合もある、そういう場合は金融機関を設定していかなければならぬと思う。それについてどう考えておるか、特に中央團体
金庫
法あるいは災害金融機関というものが構想されておつたように聞いておるが、それはどういうふうにな
つて
おるか、かつどう考えておるかというような御質疑であります。これにつきましては、もちろん
地方財政委員会
におきましても御指摘になりました通り決定にな
つたの
であります。しかし
地方財政委員会
といたしましては、かような
金庫
法案
をつくることが目的ではないのでございます。実を申しますと、今日まで六・三制の予算が計上された、そうすると國が半分、
地方
が半分ずつというわけであります。かような
國家事務
は國で全額
負担
すべきが妥当であると思いますが、一應そういうことにな
つて
おりますので、その五割なら五割というものによ
つて
地方
はその計画実施にはいるわけですが、その五割という國家からくる分與金なり、公共
事業
費なりが、決定したその翌日にでも來るならば、その当時に計画した工事費なり建築費なりがその通りでいいのでありますけれども、年度末に來れば結構でありますけれども、翌年度にわた
つて
來たり來なかつたり崩れたりということになりますので、実際
地方
では大きな迷惑を來しておるわけです。かような点でどうもその点に非常な不安がある。であるからこの際
地方團体
としても、そういう場合に國からの資金の融通がつかぬという場合もあるから、一時融通のつく金融機関を設定しておくことがいいのではないかということを考えたのでございます。なお御承知のごとく、中央におきましては金がないというと大藏証券を
政府
の証明において発行することもできます。臨時議会を開いて補正予算をすることもできます。しかし
現下
の
自治
体の予算といたしましては、
府縣
会にいたしましても
市町村
会にいたしましても、そういう余裕がないのでありますから、そういう点において
運営
上に支障を來してはいかぬという点から、かような機関を設けようというわけで
財政
委員会
では要望をしたのでございますが、その具体的な
法案
を出す前に一應
財政
委員会
で出した予算案に対して檢討を加えた結果、最後にその起債に対しましては前年度のような轍を繰返さないように、
政府
が責任をも
つて
斡旋をするという建前をとることに一應な
つたの
で、ただいま御指摘になりました
法案
につきましては今日まで出しておりません。しかし
財政
委員会
といたしましては、今後機会があつたならば、ただいま御指摘になりましたような
法案
を
提出
いたしたい。かように考えております。
坂東幸太郎
28
○
坂東委員長
これで休憩しまして、午後一時から開きます。なお
理事
諸君はお集まりくださいまして、この
法律案
の取扱いにつきまして御相談を願いたいと思います。 午後零時十一分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は開会に至らなかった〕