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鈴木(俊)
政府委員 最初の
監査委員の数の問題でございますが、二百四十三條の二の
改正に関連をしての御
意見でございます。これは
お話のように、今までよりは
監査委員の
仕事ははるかに忙しいものにな
つてくるだろうと存じます。現在
監査委員の運営の状況は、まだ新設の
機関でありますので、相当うまく動いておる所もあるようでありますが、実は名誉職といつたふうな感じにな
つておる所が相当あるように思われます。そこで今度の
改正によりまして、初めてほんとうにこれが相当がんば
つていかないと
仕事がさばき切れないというようなことになると存ぜられますが、その実際の結果を見ましたところで、数の問題等につきましても、いま一度御
檢討願いたいと
考えるのであります。全体に
地方自治法の
規定が相当新しいことを盛り込んでおりまするから、やはりここ一、二年というもの、二、三年というものは、動きのぐあいをよく見
定めまして、その結果に基きまして、やはりまた当
委員会の御
檢討を願い、
実情に即するように改むるべきものは改めなければならないというように
考えられるのであります。
それから第二に
お尋ねの
監査委員の
兼職の問題でありますが、これは
監査委員の中には、
議会の中から出ております
委員と、それから專門職と申しますか、專門家の
監査委員と二
通りあるわけでありますが、それらがそれぞれ同数という建前にな
つておるわけであります。そこで
議会の
議員とを兼ねております
監査委員の方は、給與としては報酬をもらうことにな
つております。それから專門家の
監査委員の方は俸給、給料をもらうということにな
つております。やはり專門家の
監査委員の方が、実質的には相当事務的な面も担当して専務職的に働く、
議会の
議員を兼ねておる方は、やはり
議会にも出席しなければなりませんし、どうしても
監査委員としての
仕事はやや、片手間と申すと何でありますが、專務職よりは少くとも時間を割くことが少い地位にあるのであります。そういう現在
議員を兼ねておる
監査委員の方は、やはりそういう
性格におきまして、
議会の
議員であるという重みをもちまして、
監査に当る。少くともそういう
監査委員が
監査委員の中におるということによ
つて、
監査に権威をもたしめる必要があるので、このように
議員を
監査委員にいたしたのでありまして、この
兼職を取離ししてまいますと、
監査委員に一向
監査のにらみがきかなくなると思うのであります。現在の
監査委員制度の目的の一半を失うことになると存じますので、この
兼職はやはり認めておかなければならない。その代りやはりある程度手を抜いたようなかつこうにな
つてもやむを得ない。一方專門家の
監査委員の方は、これはやはり有給職員でありまするから、
從つてこれは
兼職はしてはいけない。こういうことになるわけであります。
それから第
二條の
規定の点でありまするが、この
規定は御指摘のように、多少字句等も不十分な憾みがなきにしもあらずというふうに感ぜられますが、まずこの第三号の企業という言葉、ここにいろいろに書いてありまするが、これをこのまま読みますと、非常に廣くなり過ぎはしないかという御心配でありまして、これはごもつともな
お尋ねであります。この第十号の方では、收益事業という言葉を使
つており、三号では企業という言葉を使
つております。この間隔といたしましては、企業というものは、公企業、古い言葉では
営造物とい
つているものを大体予想いたしておりまして、その上の例示にもございますように、大体市民が
一般的に使用するところの水道、下水道、
電氣、ガス、電車、自動車、船舶というような、いわゆる、公共的な
営造物的な性質をもつた企業という感じで言葉を絡めておるのであります。
從つてここで申しておりまするものは、從來から公営事業として
市町村が経営した方がよろしいじやないかということで、常識論として、世論として言われておるようなものを大体例示しておりまして、その他の企業と申しましても、やはりそういう種類の企業という
意味で書いておるのであります。もちろん法令に特別の
定めがありますならば、これらの事業でも
市町村の経営を
制限し、あるいは禁止せられることになるのでありますが、その点は但書のところに「法令に特別の定があるときは、この限りでない。」とい
つて限定いたしておるのであります。
それから十号の方は三号の企業に対しまして收益事業という言葉を用いております。この收益事業というのは相当廣く
一般経済企業というのとあまり違わない言葉であると思います。從來
市町村等が営利事業を営めるかどうかということは、
一つの問題の点でありまして、古くは営利事業は一切営んではならぬというのが定説のようでありますが、最近だんだんと
考え方が変
つてまいりまして、今の電車の経営にいたしましてもある程度の收益性を加味するということはもとより差支えない。それから結局收益事業をや
つてもそれによ
つて得たところの
経費を公共の福祉のために使うならばいいではないかというような徹底的な議論すら出てきておる状況であります。たとえば今、富くじを
地方團体がや
つております。これは收益事業といえば最も典型的な收益事業と存じますが、それらも容認せられておる次第でありまして、十号に
規定をいたしておりますのは、それらよりむしろ公共性が強いと
考えられる森林、牧野、土地、市場、漁場共同作業場の経営といつたものを例示しておるのであります。しかしながら收益事業は何でもやれる。織物の名産地であるところの市が、
一般の織物会社と肩を並べで織物製造業を始める。あるいは名産をも
つております市が
一般の商人と肩を並べて物産販賣を全國にわた
つてやる、あるいは市が收益事業を税金で集めた資本でやる、こういうことになりましては、まさに行き過ぎである、そういうことは私経済を圧迫して適当ではないと存じますが、三号なり殊に十号に掲げましたものは、もつと公共性の強いものであり、さらに收益事業の頭には特に「公共の福祉を増進するために適当と認められる」、こういう
制限を附してございまして、收益事業でも今申しましたような種顧の経済企業は、これは公共の福祉を増進するために適当と認められる收益事業の中にははいらない、やはりここに書いてありますような種類の事業を收益事業としてやれる、土地の賣買ということもそういう
意味で行われるという
考え方でおるのであります。私経済を圧迫しようというような
考え方ではありませんで、やはり現在多くの
市町村において、あるいは何らかの
市町村において手をつけておりますような事業を例示的に
規定をいたしたのであります。
それから十一の「その他の土地改良事業を施行すること」という点でありますが、十一号には大体土地改良に属しまする各種の事業を例示いたしておりますが、なおそのほかにこれは耕地整
理事業にはいるかもしれませんが、たとえば用排水のいろいろ土管を敷設いたしましたり、あるいはそだ等による用排水の事業をやるというようなこと、その他その例は
ちよつと申し上げかねますが、そういう種類の土地改良事業というものは、やはり
地方團体、
市町村が経営するのに最も適切なものではないだろうかというように
考えられるので、このような言葉を使つたのであります。もつとも現在耕地整理組合でありますとか、その他農地開発の
関係の組合等があると存じまするが、そういう法令に特別の
定めがありますものは、その
限度においてはこの中から除かれてくるということになるわけであります。