○高橋
説明員 一昨日いただきました
競犬法案につきまして、法務廳で檢討しましたことについて
意見を申し上げたいと思います。本文につきましてはいろいろ
意見もございますが、主として法務廳として
関係しましたことは罰則の点でありますので、罰則の点について申し上げたいと思います。順序として本文のたとえば六條の二項でございます。第二項をこのまま読みますと、「
競犬施行者の役員又は競犬の開催執務
委員、調教師その他競犬の
事務に従事する者に対してに、
勝犬投票券を発賣することかできない。」さらに第四項にいきまして、「買い入れ又は譲り受けてはならない。」こうありますので、これを平面的に読みますと、ある府縣においての競犬旋行者はどの府縣へ
行つても
勝犬投票券を買い受けることができない。こういうふうに読まれますが、やはりこの
規定の
趣旨は、どこまでもAの府縣で行われた場合にその府縣の
関係者は、という意味だと存じますので、この点を明確にしていただきたいと
考えます。
それから第九條の第一項でありますが、「
都道府縣の
委任による
競犬施行者は、
勝犬投票券を発賣したときには、命令の定めるところにより、その賣
得金額につき
都道府縣の知事の定める金額を
納付金として
都道府縣に納付しなければならない。」これだけでありますが、やはしこれも何日以内に納付しなければならないというようにしなければ、結局空文に終るものではないかと
考えるのであります。この点も、期日を明確にする必要があるのではないかと
考えます。
次は第十
一條の罰則の点でありますか、罰則の第一号に「
競犬施行者の許可を受けないて勝犬投票権を発賣し又はこれに類似の行為をなした者」とあります。これを読んでみますと、
競犬施行者の許可を受ければ
勝犬投票券の発賣をしてもいいということが予想されますが、
競犬法本来の
趣旨から申しまして、
勝犬投票券の発賣を
競犬施行者以外の者に賣らせるというようなことは許されないことを
考えますので、この
規定をやはり改める必要があると思うのであります。それから第二号の「この法律による
競走犬の
競走に関し職業として、多数の者に対して財物を以て賭け事をした者」とありますが、職業としてということも非常にあいまいなことであります。もちろんこういうことは職業として許されるものではありませんので、法務廳としましてはこれを一應「
競犬施行者以外の者であ
つて、競犬の
競走に関して
勝犬投票券又は
勝犬投票券類似のものを発賣した者」、こういうふうにするのが妥当であると
考えます。なお第二号はやみ行為を処罰するものと思いますので、「競犬の
競走に関し、勝犬投票をさせて利を図
つた者」、かようにしたらいかがかと
考えます。
次に第十
二條でありますが、第十
二條は先ほど申し上げました第十
一條を受けまして、第一号には「前條第一号の場合において
勝犬投票券文は
勝犬投票券類似のものを買入れた者」、すなわち第十
一條一号の相手方に
なつたもの、それから同條二号の報合において「競犬の競争に関し、勝犬投票をさせて利を図
つた者」これに対して原案では五千円以下の罰金にな
つておりますが、
競馬法との罰則とも睨み合せまして、これはやはり二万円くらいにしたらいかがかと
考えます。それから第三号は第六條二項に掲げるものに対して勝犬の投票券を発賣した者、これは十
二條そのままの
規定でございます。十
二條には第六條第二項、及び第三項に掲げるものとありますが、策三項はただ本文の第六條三項によりますと、「前項の
競犬施行者の役員の
範囲は、命令でこれを定める。」とな
つておりますので、これによ
つて改めてこの資格が生ずるわけではありませんので、三項は必要ないかと
考えられます。それから第四号に「第六條第四項の
規定に違反して
勝犬投票券を買い入れ又は譲り受けた者」これはもちろん、こういうふうな
競犬施行者の役員とか競犬を開催する
委員であることを知
つて発賣したり、あるいは譲受けた、こういう場合であるわけであります。
それから第十三條、第十四條は贈收賄の
規定であります。これは原案では第十三條第一項の場合は三年以下の懲役、不正行為をなした者は五年以下の懲役、こうな
つておりますが、
現行刑法では三年以下の懲役、不正の行為をなした者は五年以下の懲役とな
つておりますし、経済
関係罰則の整備に関する法律によりますと、要求や約束をした場合には三年以下、不正の行為をなした場合は七年以下とな
つております。やはりかような業務に從事する者に対して、紅白をも
つて不正な
方面に導くということは非常にありがちなことでありますし、また競犬の今後の発展のため、またその声價を維持するためには、やはり罰則を重くしてその保障をはかるべきと
考えます。それで刑を重くいたしまして、要求や約束をした場合には三年以下の懲役、不正の行為をなした場合には七年以下の懲役に処す。こういうふうにしたらいかがかと
考えます。
第十四條の「賄賂を支拂い提供又は約束した者」これは原文では懲役二年、二千円以下の罰金にな
つておりますが、
現行刑法——先ほど申し上げました経済
関係罰則の整備に関する法律では、いずれも三年以下の懲役、または五千円以下の罰金とな
つておりますので、これに歩調を合せて、やはり三年以下の懲役または五千円以下の罰金。かように
規定したらいかがかと思います。
以上申し上げましたのが法務廳のこの
法案に対する
意見でございます。