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1948-03-25 第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十五日(木曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 矢尾喜三郎君    理事 門司  亮君 理事 高岡 忠弘君    理事 中島 茂喜君 理事 川橋豊治郎君    理事 松野 頼三君 理事 酒井 俊雄君       松澤 兼人君    松谷天光光君       大澤嘉平治君    佐藤 通吉君       千賀 康治君    小暮藤三郎君       渡邊 良夫君    外崎千代吉君       加藤吉太夫君  委員外出席者         國家消防廳長官 新井 茂司君         総理廳事務官  佐久間 彊君         法務廳事務官  高橋 勝好君         專門調査員   有松  昇君     ————————————— 本日の会議に付した事件  新消防制度実施状況に関する件  競犬法案に関する件     —————————————
  2. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長代理 委員長の欠席のために私代りまして、ただいまより治安及び地方制度委員会を開催いたします。  本日の議案は、新消防制度実施状況に関し当局より実情を聽取する件、競犬法案に関する件であります。  まず最初に新消防制度実施状況に関し、國家消防廳長官新井茂司君の説明を聽取することにいたします。
  3. 新井茂司

    新井説明員 私、消防制度改正に伴いまして、国家消防廳長官に任命されました新井であります。きわめて至らぬ者でありますが、皆様の格別なる御指導と御援助をお願い申し上げます。ただいままでの消防組織法実施状況を御説明申し上げたいと思います。  御承知のように消防組織法は三月七日から実施されたのでありますが、その以前におきまして、二月の十日から経験期間といたしまして、これが漸時交代をいたしてまいりました。すなわち官設消防等につきましては、警視廳、道府縣において取扱つて來ましたのを、各市にこれを移管いたしまして、実際の運営自治体において行う。また中央におきましては、内事局の中に國家消防廳準備事務局設置いたしまして、そこにおきましてこれが開設準備行つてまいつてつたのであります。特に警察から消防は全然分離してやるということに重点をおきまして、中央地方ともこれを行つております。從いまして地方聽におきましては、從來警察部において消防事務所管しておつたのでありますが、総務部にこれを移管いたしまして、縣によりましては消防課を新設し、これを新設しないととろにおきましても、大体地方課消防係を設けまして、そして消防事務を取扱う、さような方法をとつてまいつたのであります。そして三月七日から正式にこの制度の切替を行つたのでありますが、さような経驗期間を設けました関係からいたしまして、この移管はきわめてスムースに行うことができました。ただ今後に残されております大きな問題といたしましては、経費をまつた市町村の予算をもつて賄うということでありますが、まだ地方財政か確立しておりませんので、從來官設消防経費というものは今後当分の間都道府縣、並びに國庫において從來通り負担方法を講ずる、さようなことに相なつております。  次に国家消防廳開設状況を申し上げます。國家消防廳は法律において規定されております通りに、管理局消防研究所より組織されておるのでありますが、その人的構成は、管理局におきましては、局長のほか二級事務官六名、三級事務官十二名、二級の教官二名、三級の教官三名、合計二十四名の官吏と、これに加うるに十八名の嘱託雇傭員定員であります。また消防研究所におきましては、所長のほか二級事務官及び三級事務官おのおの三名づつ、二級の技官十一名、三級の技官十二名、合計三十名の官吏のほか、五十七名の嘱託雇傭員定員となつておるのであります。これらの要員を、從來消防課に勤務いたしておりましたもののほか、國家消防任務に鑑みまして、できるだけ有能なる人材を採用するという方針のもとに、ただいま整備中でございます。大体三月中はこの人員を整えることと、さらに今後の仕事準備行つていくという目途のもとにただいま仕事をやつておるわけでありまして、本格的な仕事は四月以降になることになつております。それで管理局総務課教養課の二課に分ちまして、主としてこれは行政方面を担当するわけでありますが、従来の消防においてあまり力を入れなかつたもの、新しい仕事、たとえば消防に関する内外の制度施設等に関する資料の出版であるとか、あるいは消防指導員講習を行うとか、そういう方面を担当するわけであります。さらに消防査察制度の確立、これは從來日本になかつたものでありますが、さようなことも行う準備を進めております。消防研究所方面は、ただいま三鷹町にあります旧中央研究所の建物の一部をこれを充てることにいたしました。その施設改築修理中でありまして、そこにおきましては、將來技術課において消防技術的方面研究をする、また査察課を置きまして地方消防制度を改善することを指導して歩く、さようなことを主として取扱う予定に相なつております。  次に消防組織法実施に伴いまして、從來からあります消防団令改正を行うことと相なりました。実に消防団令改正は、消防組織法実施とともに行わなければならぬはずのものであつたのでありますが、関係方面との折衝のために、昨日二十四日附をもつて消防団に関する政令の公布をみることとなつたのであります。もちろんその実施は三月七日消防組織法実施の日までさかのぼつておりまするが、昨日公布されることに相なりました改正消防団令の要点を申し上げますると、消防団目的及び任務は、從來通りでありまするが、消防団に対する指揮、監督権限は、從來警察にあつたのを、今回警察からこれを分離いたしまして、市町村長または消防長消防署長に移すことと相なつております。  次に消防団設置及びその組織内容は、從來消防団令におきまして、相当具体的に定められておつたのでありまして、特に市町村は必ず消防団設置しなければならぬということになつておりましたが、今回の改正によりまして、消防団設置並びにその組織内容というものは、市町村が十分にその消防責任を果し得る限りにおきましては、自己の判断によつて、これを適当に決定し得ることと相なつたのであります。お手もとにございますこの消防団令二條において、消防団設置任意を認めまして、他の消防組織消防施設等を考慮して、まつた消防団を置く必要はないと認める場合に、必ずしも消防団を置かなくてもよいことになつたのであります。もちろんこれは他の消防組織か完備しておる場合だけのことであるのは申し上げるまでもない次第でありまして、市町村か漫然と消防団を廃止するというようなことは、政令趣旨ではございません。ですからこの消防団設置しないとか設置するとかいうことの判断は、愼重を期する必要かるわけでありまして、この置置を誤らないようにいたしいと考えております。また消防団組織内容につきましては、從來消防委員会設置とか、役職員の名称、職務権限、これを相当詳しく規定いたしておりましたが、いれらは今回その規定を廃止いたしまして、原則として市町村実情に則した條例を定むることによりまして、適当にかつ自主的に運営できるように相なつたのであります。すなわち全國画一的な統制を廃しまして、実際的な自主的な活動を期待することとなつたのであります。  さらに改正の第三点といたしましては、従来消防団令の中に監督規定をおいてありました、これを今回廃止いたしまして、市町村責任ある措置に任せることに相なつたのであります。すなわち從來條例に対して府縣知事の認可を必要とする場合がありましたし、また知事は消防団事務の監査をする権限をもつてつたのでありますが、これらのことはこのたび廃止することといたしたのであります。  大体要約して申し上げますると、このたびの消防団令改正は以上の通りであります。そして消防責任市町村に負荷させまするとともに、消防団設置運営というものについても、原則として市町村に自発的な、自由な方法でやることを認めることと相なつたわけであります。簡単でありまするが、ただいままでの概況を御説明いたします。
  4. 小暮藤三郎

    小暮委員 ただいまのお話を聽きまして、從來消防団設置することになつておりまして、また現に消防団設置されていない方面かあるというようなこども聞いておるのですか、実際そういう方面かあるかどうか。そういう方面があるためにこういう随意行為にしたのであるかどうか。第二條消防團設置することができるというのだから、設置しなくてもよいわけです。ですからこれは随意行為になるので、この改正根本方針は、そこにあるのではないかどうか。もしそこにあるとするならば、それで將來消防団がなくも一向差支えないという点からこの消防団令か発令された、こういう解釈になりますか、この点につきまして十分に御調査もできておつて、結局責任をもつてこういう団令を出された、こう解釈しておるのでありますか、その点において疑義があるのではないかと思う。殊に消防団員の待遇、消防団令による消防団経費負担というような点は、各全國の市町村從來自由消防でやつておりましたために、そういう人がない、費用の途がない、從つて費用の途がないために、この世相からみて昔のような自由的にやる消防は結局成り立たないで、また今度この団令が出たために、ますますそういう傾向が激しくなつてくる、しまいにはほとんど消防団というものはなくなるかもしれない、その町にはたして町村におけるところの消防が完全にいくかどうか、その点につきましていかなるお見透しをもつておるか。この団令を発令された精神からみますると、そういう点を顧慮されていないように思いますので、その点かいささか懸念にたえないのですが、これについての御所見を承りたい。  次に消防研究所とか査察課というようなものを新たに設けられまして、全國に亘つて調査されるというよう説明を聽いたのでありますが、警察の方では、この間の本部長官説明によりますと、警察大学校をおいて、そして專門学校以上の単位を卒業した者を集めて、優秀なる警察官をつくるということでありますが、消防についてはそういうことをお考えになつているかどうか。お考えになつていないということになると、これはある意味から言うと、殊にこれから消防団令政令として発布されたこの精神からみましても、地方消防は逐次減退していくのではないか、そういう点を補うために消防技術をますます研究して、万遺漏のないようにしなければならぬという点も十分に考慮されて、その結果かくのごとき団令政令として発布された、こう解釈するよりほかに解釈の途がない、かように考えている。その点についていかなる御所見があるか承りたい。  以上二点につきまして答弁を承りまして、さらにその御答弁の如何によつて質問申し上げたいと存します。
  5. 新井茂司

    新井説明員 お答えいたします。現在全國の消防団設置状況は大体整備されておるのでありますが、ただ一部、特に六大都市のある一部についてはまだできておらぬというところが残つております。それで今回この第二條において消防団設置を強制しないで、いわば任意判断に任せたということは、先ほど御説明した通りでありますが、その趣旨とするところは、消防に関する義務というものは市町村個有義務になつております。それは消防組織法に明定されておるのでありますが、さように市町村個有義務として、消防に関する義務を明らかにいたしました以上は、そのやわ方というものは必ずしも画一的にする必要はないのではないか。消防団設置にしても、たとえば非常に消防署の充実している都市と、消防に関する機関がほかにない田舎のようなところにおいては、消防団必要性というものも相当変つて來ているのではないか、それを一律にやるというのも不適当に考えます。要は市町村が十分に消防の責務を果せるような組織設備をもつておればよいのであるが、消防団にのみそれを一様にするといつても不適当であるというように考えて、かような規定に相なつたのであります。これを誤解されると、御心配になられるようなことも漫然としておりますと、その心配も大いに起つてくるわけでありますので、この第二條改正が行われたことについては、十分に地方方面にも徹底さしておく措置をただいま講じておるのであります。消防団のほかに消防組織がないところで消防団を廃止するという誤解がないように、また消防署設置しておるところにおきましても、脆弱な消防署しかもつておらないところで消防団を廃止するというようなことは、これまた市町村消防に関する義務を十分にはたす所以でないということをよく徹底をいたしまして、消防団設置しない場合というものは、消防署が非常にしつかりしており、人員も充実し、器材も十分にもつておる、そういう場合に限定してしかるべきものであるということをよく徹底しておきまして、御心配になられることの起きないように今後指導してまいりたいと考えております。  それから消防職員に対する教養の問題でありますが、これも國家消防廳消防講習所を設けることといたしております。これは警察大学の場合に比較いたしますると、遺憾ながら現在その程度が低いということを申し上げるほかございません。今後この充実はぜひともやらなければならぬわけのものでございますが、ただちに警察大学をつくつていくという情勢にも現在まいりかねておりますので、これは今後大学まで充実していくという方針のもとにやつていきたいと考えております。市町村または縣の消防指導幹部というものを、差当り百名づつ二箇月間にわたりまして、いろいろの技術やその他のことを講習していきたい、そうしてこれは二箇月では私ども必ずしも十分でないという見透しももつておりまするので、この経験を生かしまして、將來期間を延ばし、またその内容も十分に消防專門家にふさわしいものたらしめるようにやつていきたい、さように考えておるわけであります。
  6. 小暮藤三郎

    小暮委員 御説明によりましてだんだんわかつてまいりましたが、私ども從前のように画一的に消防を全國的に置きたい、そういうような考えは毛頭もつておりません。消防組織法審議にあたりましても、おのおのその土地における適当な施設をもつことが最もよいものだ、殊に消防のことにおいてその必要を認めておるわけであります。さりながら日本木造家屋の多い、また最近の火災頻々と起るゆえん等考えてみまするときに、どうも消防に対する精神がだんだんと衰えてくるのでないかというように考えられまするので、御質問申し上げたわけであります。おそらく今各地方治安の問題、その他火災頻々として起る実情等をみまするときに、この消防団令政令として出まして、各地方にどういう影響を及ぼすか、おそらく今一番困つておる問題は地方自治体経費の問題であります。その問題で苦しんでおりますときに、消防の必要を認めながらもこういう政令か出ますると、とかく消防重点をおいて、地方自治体運営していく人がそういう観念にとらわれて、だんだん衰微して、ますます日本火災國になるのじやないかということを、非常に私は心配しているのです。おそらく消防のごとき自衛的にいくべきものは、その土地に託しておくということが一番よいことだと思うのですけれども、しかし現在の日本における状況は、決して実情はそんなものじやない。殊に地方財政自治体財政町村財政が非常に今欠乏している。在來でも義勇消防でやつておりましたのを、世相義勇消防でいくというような時代はもう今とは隔つている。そういうときに、こういう政令が出ますれば、その及ぼすところが大きいのではないか。こういう点につきましては、どうぞひとつ一段とこれから御研究を願つて善処されるように希望してやまない次第であります。  それから教養の問題ですが、現在におけるたいへん適切なる方法であると申し上げたいのでありますが、將來は、ただいまの御説明にもございしましたように、大学に昇格して人材を集める、これは一日も早くしたいというような御希望のもとに説明眞意があると解じているのでありますが、おそらく日本消防ほど喫緊な消防世界にないのじやないか。殊に木造家屋が多くて、氣候風が四季を通してはげしい。そのときにあたりまして、おそらく世界のいずれの國もが研究していない科学的の研究を、日本消防において研究しなければならぬ。それで、今まで消防警察についておつたというような観念に、ややもすればとらわれる。そういうときに際会して、消防精神を高揚させる。この消防機関を充実して、將來消防の力によつて火災なからしめるというくらいの理想をもつていくのには、よほど人材を集めなければならない。そういうためには、ただいまもお話がございましたように、私はこの前の消防組織法のときも、警察大学に並べて消防大学を置く必要があると力説したのでありますが、今日その後における火災状況を見て、ますますその必要を感じているものでありますから、御就任早々でもありますし、これからだんだんと御研究をなさいまして、私ども心配をなからしむるように御盡瘁を願われると信じまして、この辺で質問を打切ります。
  7. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長代理 ほかに質問がありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  8. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長代理 次は競犬法案に関しまして、競馬法並びに競犬伝に関する小委員長松野頼三君の中間報告をお願いいたします。
  9. 松野頼三

    松野委員 競馬法並びに競犬法に関する小委員会委員長中間報告をいたします。  競犬法立案に関しては、去る二月十九日の本委員会において、小暮藤三郎君以下十名の者が小委員に選定せられ、次いで二月二十四日の第一回小委員会において、不肖私が小委員長に互選せられました。爾來小委員会を開くこと六回、その間種々論議研究を重ねる一方、地方財政委員会事務局、農林省、法務廳等からも係官の出席を求めてその意見を徴し、これを参考といたしつつ、三月二十三日第六回の小委員会において本法案の草案審議を終了し、草案としての一應の成案を得たのであります。つきましては、これより本法案の草案内容及びその審議経過について、概略の御説明を申し上げたいと存じます。  まず本草案内容から申し上げたいと存じます。最初本法制定を必要とするに至つた理由から申し上げます。第一に、目下地方自治体は、警察消防、教育、戰災復旧、その他地方自治行政改善拡充に緊急莫大な支出を必要とするにかかわらず、財源枯渇し、財政計画立案遂行上著しい障害をもたらし、その結果地方自治運営危機に瀕する状況にあります。かかる現状に鑑み、財政危機打開の施策として、競犬法制定し、これによつて競犬事業を経営し、その収益を公益中心主義に立脚せる費用に充当せんとするものであります。第二に、競犬事業施行により、急激に増嵩しつつある通貨流通量を極力回收し、もつてインフレーシヨンの抑制防遏を講ぜんとするものであります。第三に、平和國家として再出発せる日本にとり、國際観光施設拡充発達をはかることは重要な國策の一つであります。しかるに現在の状況は、自然條件以外他の観光施設の見るべきものが少く、講和條約締結後に予想せられる多数外國人の來遊を思うとき、実に寒心にたえないものがあります。そこで本法制定により、目下欧米各國に流行しつつある競犬事業発達助成をはからんとするものであります。第四、現下日本に進駐している連合軍將兵は、終戰以來日本再建のため多大の苦労をなしつつあるのに、この苦労に報いるべき慰安施設が少いのであります。そこで進駐軍將兵の趣味に合致すべき競犬事業を合法的に施行させようとするものであります。第五に、積極的理由とでも申すべきものでありますが、すなわち現行関係法規による競犬事業施行可能範囲は、観覽料を徴して競走犬の競技を見ること、あるいは犬賽くじを発賣することの小範囲に限定せられるのでありまして、競犬事業の生命である興味大衆化は全然期待できません。競犬事業收益企業として成立し得る基礎は、興味大衆化すなわち犬の競走勝犬投票券との相関的結合にあります。しかるに勝犬投票券の発賣は賭博行為の一種と認められるため、現行法範囲においては実行不可能であります。そこでその合法性を確立するために本法制定を必要とするに至つたのであります。  次に本草案内容を簡単に申し上げます。本草案は本文十五條及び附則からなつております。そのうちおもな要項を申し上げますと次のようなものがあります。まず第一には競犬施行者範囲であります。これは草案一條において、これを都道縣及び特定の市またはこれら両者の委任した者に限定したのであります。これは、本法制定地方自治体財源充足目的とすることと、他面本事業か内蔵している賭博性による公序良俗の破壊を防止するためには、民間の任意企業に放任することは不適当であるからであります。  第二に競犬事業所管をいずれに定めるべきやという問題があります。本草案二條及び第三條は、これを内閣総理大臣と定めました。これは、競犬事業目的地方自治体財源確保にあり、そのため内閣総理大臣隷属下にある地方財政委員会所管に属せしめることを妥当と認めたからであります。  第三に競犬場の数であります。これは草案第三條第二項において、各都道縣ごとに二箇所以内といたしました。これは濫設による設備の不完全、競爭による経営難を避けるため、賭博性を内藏せる競犬事業抑制を期待したからであります。  第四に勝犬投票券の発賣並びに拂戻の点であります。これは本草案五條ないし第九條に規定したのでありまして、すなわち競犬施行者に対し、嚴重な監督のもとに、勝犬投票券の発賣と勝犬的中者拂戻金を交付する権限を與えました。これはこの制度の採用によつて競犬事業維持発達に役立たせようとしたためであります。  第五の賣得金額分配指定権の問題であります。勝犬投票券の賣得金額的中者拂戻金都道縣及び特定の市の納付金施行者取得金の三者に配分する場合の分配指定権は、草案第九條の範囲において、これを都道府縣知事及び特定市の市長に帰属せしめることにいたしました。これは地方自治体財源充足目的を達するために必要であるからであります。  第五に免税事項であります。本草案第十條に、都道府縣または特定市の委任した競犬施行者に対しては、所得税法人税本法に基いてなす登記の登録税及び地方税を賦課しないことにいたしました。これは本事業は國家的ないし地方公共的事業としての公益性を保護し、さらにその発達育成をはかる必要があるからであります。  第六に、罰則事項であります。これは草案第十一條ないし第十四條に規定したのでありますが、これは一般刑罰法規以外に、本法固有公共的特性を保護するために、特別刑罰事項規定する必要があるからであります。  第七に、都道縣及び特定の市に極力包括的権限を與えたのであります。都道縣及び特定の市は、本法並びに本法に基く主務大臣監督を受けることはもちろんでありますが、主務大臣行政監督中央集権的画一主義に陥らざるよう、極力都道縣及び特定の市に包括的権限の委譲をはかり、もつて実施弾力性確保地方特殊事情の適合に便宜ならしめる必要があるからであります。、  以上が大体草案における要綱でありますが、その審議にあたりまして、いろいろの意見が出たのであります。たとえば競犬施行者範囲につきまして、都道府縣または特定の市の委任した者を入れることは独占禁止法規定に反する。個人に対して委任をなすときに諸種の弊害を生ずるから、もし委任をなすなら、これを地方公共團体に限定すべしとの意見、またこれとは反対に、都道府縣や特定の市が競犬事業を直営することは事実上不可能であるから、委任はこれを地方公共團体に限ることなく、もつと廣範囲にすべきであるとの意見も出ました。次に主務大臣に関しては、畜産局を所管しておりま農林大臣の主管といたすべきであるとの意見も出ました。また勝犬投票券の賣上金の使途は、あたかも馬券賣上金のそれと類似するごとく、これを明らかにすべきであるという意見も出ました。そこでこれらの意見はこれをよく勘案して、本小委員会におきましては、一應別紙の草案を得たのであります。しこうして小委員会としては、この競犬法案の提出者は、これを本委員長とすることに意見の一致を見、また本草案について常任委員会において特に異議がなければ、この草案小委員会の一應の起草案の成案とする旨の決議をいたしております。右をもつて委員長の報告を終ります。
  10. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長代理 ただいま競馬法並びに競犬伝に関する小委員会松野委員長から中間報告がありまして、小委員会としては、競犬法案委員長提出とすることに意見の一致を見たということですか、この提案の形式について御異議はありませんですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長代理 御異議ないと認めまして、それでは競犬法案は、委員長提出の法案として起草を進めることにいたします。  次にお手もとに配付の小委員会提示の競犬法案内容について、御意見がありましたならば、お述べ願いたいと思います。  それではこの法案に対しまして法務廳の方から意見があるそうでありますから、法務廳事務官の高橋勝好氏の意見を一應聽くことにいたします。
  12. 高橋勝好

    ○高橋説明員 一昨日いただきました競犬法案につきまして、法務廳で檢討しましたことについて意見を申し上げたいと思います。本文につきましてはいろいろ意見もございますが、主として法務廳として関係しましたことは罰則の点でありますので、罰則の点について申し上げたいと思います。順序として本文のたとえば六條の二項でございます。第二項をこのまま読みますと、「競犬施行者の役員又は競犬の開催執務委員、調教師その他競犬の事務に従事する者に対してに、勝犬投票券を発賣することかできない。」さらに第四項にいきまして、「買い入れ又は譲り受けてはならない。」こうありますので、これを平面的に読みますと、ある府縣においての競犬旋行者はどの府縣へ行つて勝犬投票券を買い受けることができない。こういうふうに読まれますが、やはりこの規定趣旨は、どこまでもAの府縣で行われた場合にその府縣の関係者は、という意味だと存じますので、この点を明確にしていただきたいと考えます。  それから第九條の第一項でありますが、「都道府縣の委任による競犬施行者は、勝犬投票券を発賣したときには、命令の定めるところにより、その賣得金額につき都道府縣の知事の定める金額を納付金として都道府縣に納付しなければならない。」これだけでありますが、やはしこれも何日以内に納付しなければならないというようにしなければ、結局空文に終るものではないかと考えるのであります。この点も、期日を明確にする必要があるのではないかと考えます。  次は第十一條の罰則の点でありますか、罰則の第一号に「競犬施行者の許可を受けないて勝犬投票権を発賣し又はこれに類似の行為をなした者」とあります。これを読んでみますと、競犬施行者の許可を受ければ勝犬投票券の発賣をしてもいいということが予想されますが、競犬法本来の趣旨から申しまして、勝犬投票券の発賣を競犬施行者以外の者に賣らせるというようなことは許されないことを考えますので、この規定をやはり改める必要があると思うのであります。それから第二号の「この法律による競走犬競走に関し職業として、多数の者に対して財物を以て賭け事をした者」とありますが、職業としてということも非常にあいまいなことであります。もちろんこういうことは職業として許されるものではありませんので、法務廳としましてはこれを一應「競犬施行者以外の者であつて、競犬の競走に関して勝犬投票券又は勝犬投票券類似のものを発賣した者」、こういうふうにするのが妥当であると考えます。なお第二号はやみ行為を処罰するものと思いますので、「競犬の競走に関し、勝犬投票をさせて利を図つた者」、かようにしたらいかがかと考えます。  次に第十二條でありますが、第十二條は先ほど申し上げました第十一條を受けまして、第一号には「前條第一号の場合において勝犬投票券文は勝犬投票券類似のものを買入れた者」、すなわち第十一條一号の相手方になつたもの、それから同條二号の報合において「競犬の競争に関し、勝犬投票をさせて利を図つた者」これに対して原案では五千円以下の罰金になつておりますが、競馬法との罰則とも睨み合せまして、これはやはり二万円くらいにしたらいかがかと考えます。それから第三号は第六條二項に掲げるものに対して勝犬の投票券を発賣した者、これは十二條そのままの規定でございます。十二條には第六條第二項、及び第三項に掲げるものとありますが、策三項はただ本文の第六條三項によりますと、「前項の競犬施行者の役員の範囲は、命令でこれを定める。」となつておりますので、これによつて改めてこの資格が生ずるわけではありませんので、三項は必要ないかと考えられます。それから第四号に「第六條第四項の規定に違反して勝犬投票券を買い入れ又は譲り受けた者」これはもちろん、こういうふうな競犬施行者の役員とか競犬を開催する委員であることを知つて発賣したり、あるいは譲受けた、こういう場合であるわけであります。  それから第十三條、第十四條は贈收賄の規定であります。これは原案では第十三條第一項の場合は三年以下の懲役、不正行為をなした者は五年以下の懲役、こうなつておりますが、現行刑法では三年以下の懲役、不正の行為をなした者は五年以下の懲役となつておりますし、経済関係罰則の整備に関する法律によりますと、要求や約束をした場合には三年以下、不正の行為をなした場合は七年以下となつております。やはりかような業務に從事する者に対して、紅白をもつて不正な方面に導くということは非常にありがちなことでありますし、また競犬の今後の発展のため、またその声價を維持するためには、やはり罰則を重くしてその保障をはかるべきと考えます。それで刑を重くいたしまして、要求や約束をした場合には三年以下の懲役、不正の行為をなした場合には七年以下の懲役に処す。こういうふうにしたらいかがかと考えます。  第十四條の「賄賂を支拂い提供又は約束した者」これは原文では懲役二年、二千円以下の罰金になつておりますが、現行刑法——先ほど申し上げました経済関係罰則の整備に関する法律では、いずれも三年以下の懲役、または五千円以下の罰金となつておりますので、これに歩調を合せて、やはり三年以下の懲役または五千円以下の罰金。かように規定したらいかがかと思います。  以上申し上げましたのが法務廳のこの法案に対する意見でございます。
  13. 矢尾喜三郎

    矢尾委員長代理 ほかに御意見ありませんか——それではさらに小委員会として審議を進め、成案を得まして、当委員会にお諮りすることにいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十二分散会