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1948-07-01 第2回国会 衆議院 司法委員会 第47号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年七月一日(木曜日) 午前十時五十二分
開議
出席委員
委員長
井伊
誠一君
理事
鍛冶 良作君
理事
石川金次郎
君
理事
八並 達雄君
岡井藤志郎
君 佐瀬 昌三君 花村 四郎君 松木 宏君 山口 好一君 池谷 信一君 石井
繁丸
君 猪俣 浩三君 榊原 千代君 打出 信行君 中村 俊夫君 吉田 安君
出席政府委員
法務行政長官
佐藤
藤佐
君
法務廳事務官
國宗
榮君
法務廳事務官
岡咲
恕一君
法務廳事務官
齋藤
三郎君
委員外
の
出席者
厚生委員長
山崎
岩男
君 議 員 有田
二郎
君 議 員
庄司
一郎
君 議 員 後藤
悦治
君 議 員 林 百郎君
專門調査員
村 教三君
專門調査員
小木 貞一君
—————————————
六月三十日 商法の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)(第 二〇四号)
有限会社法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出)(第二〇五号) の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
少年法
を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)(第一五 六号)
請願
一 亀山町に
津地方裁判所支部
、
津地方檢察廳
支部
及び
津司法事務局出張所設置
の
請願
(
田中久雄
君
紹介
)(第四六号) 二 恩赦に関する
請願
(
庄司一郎
君
紹介
)(第 一八五号) 三 岩井町に
簡易裁判所
及び
檢察廳設置
の
請願
(
庄司彦男君紹介
)(第六一五号) 四
軽犯罪法制定
に関する
請願
(林百郎君紹 介)(第六七五号) 五
鹿兒島市
に
簡易裁判所設置
の
請願
(
多賀安
郎君外一名
紹介
)(第七一二号) 六
戸籍関係事務費國庫負担
の
請願外
一件(小
川半次
君
紹介
)(第七四七号) 七
戸籍事務公吏
を官吏に登用の
請願
(
今村忠
助君
紹介
)(第八二三号) 八
鹿兒島市
に
高等裁判所支部設置
の
請願
(上
林山榮吉
君
紹介
)(第八七五号) 九 宮崎市に
高等裁判所支部設置
の
請願
(川野
芳滿
君
紹介
)(第九六九号) 一〇
軽犯罪法制定
に関する
請願
(
星島二郎
君外
二名紹介
)(第九七五号) 一一 釧路市に
高等裁判所支部
及び
高等檢察廳支
部設置
の
請願
(
伊藤郷
一君外一名
紹介
)( 第九八〇号) 一二 伊丹市に
拘置所支所設置
の
請願外
一件(後
藤悦治
君外一名
紹介
)(第一二三八号) 一三 姦通に対する男女両罰の
刑法制定
に関する
請願
(
坂東幸太郎
君
紹介
)(第一二五二 号)
—————————————
井伊誠一
1
○
井伊
委員長
会議
を開きます。
少年法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
として、
審査
を進めます。
山崎岩男
君。
山崎岩男
2
○
山崎厚生委員長
お許しをいただきまして、
少年法
を
改正
する
法律案
に関しまして、
厚生委員会
といたしまして、いろいろ疑義の点がございますので、先般來協議を
逐げ
てお
つた
のでありますが、この機会に
厚生委員会
における論議の中心になりました点を、御披露申し上げまして、
司法委員会
における
審議
の
参考
に供することができれば、まことに幸福と存ずる次第であります。 原案におきましては、
犯罪
を犯した
少年
は、
家庭裁判所
において取扱いまして、その他の
不良少年
は、
兒童福祉法
によ
つて措置
をいたし、また強権の発動をしようとするような場合においては、
犯罪
を犯さない
不良少年
についても、知事または
兒童相談所長
から、
家庭裁判所
に
送致
することにな
つて
おりまして、この
原則
が
少年法
を貫いておる
氣持
であるかと思います。もし
修正案
のように改めますならば、
犯罪
を犯していない不良の
少年
についても、
家庭裁判所
が直接
権限
を有することになる次第でありまして、
犯罪
を犯していない
不良少年
は、
兒童福祉法
の愛の手によ
つて保護
を受けるという大
原則
が破られることになるのであります。
兒童相談所長
との打合せというのも、実際上においては円滑な運用がなかなか
めんどう
に相なりまして、
兒童相談所
と
家庭裁判所
とが二元的に
兒童
の指導に当るという結果になるのでありまして、
從つて保護
の徹底が
めんどう
になるのではないか。これが
厚生委員会
におきますところの
意見
の大要でございます。
少年保護
という重大問題でございますので、
少年
の
氣持
をなるべく壞さない、そしてこれを善導していき、
改化遷善
の誠を盡していかなければならないということは、
少年保護
の
建前
でなければならぬかと
考え
るのであります。しかるに
犯罪
を犯さない
少年
までも
犯罪
を犯すおそれがある、あるいは不良の
徒輩
であるという
名目
のもとに、これを
家庭裁判所
に
送致
するということになりますと、
少年
の前途に暗たんたる氣分を與えまして、いやしくも
自分
は
裁判所
の
審判
に付されたと、古來からの
裁判所
という観念にとらわれました結果、
少年
の
氣分轉換
ということにも、まことに
めんどう
な問題が起りはしないか。
兒童
を指導するということは、あくまでも
兒童
の
氣持
に立ち至りまして、愛の手と
惠みの手
によ
つて
のみ指導することができるのではないか。その意味におきましても、
兒童福祉法
という
法律
ができ上り、また
兒童善導
のためにも、
兒童指導
のいろいろな
機関
が設けられまして、事に当
つて
いる次第であります。しかもその事に当
つて
いる次第は、
終戰後
まだ年限も浅い次第でありまして、いろいろ効果が上
つて
おりません。從いまして
檢察廳当局
におきましても、あるいはまた
裁判所方面
におきましても、この
兒童
の問題を等閑に付することができないので、いろいろな
意見
が出てくるのがあたりまえであります。從いまして、またただいまのように、
少年法
を
改正
するとい
つた
ような氣運が讓成されてくることも、あたりまえかと思います。だがこの問題は、まだ長い間の將來をみていかなければならぬ問題であります。
日本國民
の
永遠
につながるところの問題でと、私は思うのであります。從いまして、
終戰後
のこの
混沌
たる
世相
でありますので、ひとりこれは
少年
のみの罪に帰することはできません。この
混沌
たる今日の
世相
というものは、
ほんとう
に
思慮分別
のある男をすらも、過ちに陷れているではありませんか。この点から
考え
てみましても、私
ども
は何としても、
少年
は
ひとり愛
と涙によ
つて
のみ指導することができると思うのであります。それを
裁判所側
において、ただいまの
改正案
のごとき
処置
をとりまして、不良の
徒輩
であるとか、あるいはまた居住が一定していないとか、あるいは両親の
監護
を離れているとかいう
名目
のために、それを
家庭裁判所
に移すというようなことがありますれば、私はかえ
つて
少年
の自奮自励の
氣持
をなくすることになりまして、その結果というものは、まことに容易ならざるものが発生するのではないかと思うのでございます。どうかこの点に御
勘案
をたれられまして、
永遠
の
日本國民
としてつながりありまする
少年
の改過
遷善
に関する大立法でありますれば、何分にもここ一、二年間の歴史的な状態によ
つて
のみ、私は
少年
の問題を取計らうということに、大きな失敗のおそれがあるのではないかというふうに感ぜざるを得ない次第であります。どうぞ賢明なる皆樣方におかれましては、この点御
勘案
をたれられまして、私
ども厚生委員会
における
意見
を、どうぞひとつ御
勘案
の上、しかるべく御
処置
を賜わりますれば、こまとに光栄に存ずる次第であります。以上申し上げます。
齋藤三郎
3
○
齋藤
(三)
政府委員
ただいま
議題
に相な
つて
おります
少年法
を
改正
する
法律案
につきまして、
逐條的
に若干御説明申し上げ、御
審議
の御
参考
に供したいと思います。まず
活版ずり
でお手もとに差上げております
法律案
の
内容
が、第三條の第二項が落ちております以外、多数誤植、誤字がございますから、ただいま
正誤表
を差上げておりますので、御訂正を願いたいと思います。それでは
逐條的
に御説明申し上げます。 第一は新しく
改正
される
少年
の目的について
規定
いたしておるのであります。非行のある
少年
と申しますのは、第三條にあげております
犯罪
を犯した
少年
、
犯罪
を犯すおそれのある
少年
、
両者
を含んでいるのであります。それからこの
法律
によりまして、
家庭裁判所
というものができるのでございますが、この
家庭裁判所
の
組織
なり
権限
につきましては、
裁判所法
の
改正
によ
つて
、これを行いたい。そうしてこの
少年法
は、その
手続
を
規定
するという
考え
でございます。これは
裁判所法
が憲法によりますすべての
裁判所
の
組織
なり
権限
を
規定
する
法律
でありますので、その
方面
に
讓つた
わけでございます。すべての
法律
におきまして、
手続
は
民事訴訟法
なり、
刑事訴訟法
でうたいまして、
裁判所
の
組織権限
は、
裁判所法
で
規定
する、こういう
建前
にな
つて
おりまして、その
建前
を踏襲している次第であります。 第二條は、
対象
となります
少年
及び成人の
言葉
の定義でございます。
現行法
では、
少年
を十八歳
未満
ということにいたしておりますが、
終戰後
の
犯罪
の
状況
を見ますると、十八歳、十九歳、二十歳、こういうところが非常に
犯罪
が多いのであります。この
犯罪
に対しまして、單なる
刑罰
のみをも
つて
は、とうてい不十分でありますので、この
少年法
によりまして、
刑罰
と相並んで、
保護
の力によ
つて
、若い人の
犯罪
をなくするようにしたい。こういう
考え
で、
改正案
におきましては、
少年
の
年齡
を二十歳まで上げた次第であります。それから
保護者
という
言葉
を使
つて
おりますが、この
保護者
は、
法律
上
監護教育
の義務ある者、すなわち民法に
規定
しておりまするような
親権者
、後見人、あるいは
兒童福祉法
により
兒童福祉施設
の長が
親権
を行う、こういう場合には、
法律
上
監護教育
の義務ある者に該当すると
考え
ておる次第であります。それから「
少年
を現に
監護
する者」というのは、雇主とか、こういう実際問題から現に
監護
している者、こういうものを指しておるのであります。 第二章は、
少年
の
保護事件
につきまして
手続
を
規定
しておるのであります。 第三條は
審判
に付すべき
対象
を
規定
いたしております。第一号が罪を犯した
少年
及び十四歳に満たないで
刑罰法令
に触れる行為をした
少年
、第二号が
虞犯少年
を申しておりまして、
現行法
では
單純
に、
犯罪
を犯すおそれのある
少年
、こういうふうに書いてありますのを、具体的にイ、ロ、ハ、ニというふうにあげまして、將來罪を犯すおそれのある
少年
、こういうふうにいたしました。結局
現行法
と同じように、
犯罪
を犯した
少年
と
虞犯少年
の
両者
を
対象
にいたしたのであります。そして第二項に、十八歳
未満
の
虞犯少年
は、
都道
府
縣知事
または
兒童相談所長
の
送致
を受けたときに限り、これを
審判
することができる、こういうふうに書いておるのであります。十八歳
未満
というふうにいたしましたのは、
兒童福祉法
が十八歳
未満
の者を
対象
にいたしておりますので、十八歳以上の
犯罪
を犯すおそれのある
少年
は、
兒童福祉法
と
関係
がございませんので、これは無
條件
に
家庭裁判所
が
審判
をなし得るような
建前
をと
つた
のであります。この
虞犯少年
の扱いについては、いろいろ問題が
考え
られると存ずるのであります。第一に、
家庭裁判所
というものは、必來の
裁判所
とは、その
処理
の心構えでも、また
形式
におきましても、別個のものであるというふうに
考え
ておるのであります。それは後ほどの
條文
にも、そういう点が幾多出てまいりますが、要するに
少年
のために
保護
をする
裁判所
でありまして、万事明るく、不愉快な冷たい暗い感じをもたないような
裁判所
にいたしたい。從いまして、
審判
の方法も非公開であり、普通の
裁判所
にあるような法廷において
審理
をするということは、いたさないのであります。そうして
少年
につきましては、絶対に
刑罰権
は行使しない
裁判所
であります。
少年
の
不良化
の原因をつく
つた
ような
おとな
につきましては、ある程度の
刑罰権
を行使するのでありますが、
少年
については、絶対に
刑罰
は科さない、こういう
裁判所
のでございます。要するに、
少年
の
不良化
を防止するのには、
犯罪
を犯すに至
つた
その
段階
まで到達した
少年
を調べまして、そうしてそれの
保護処分
を加えるだけでは不十分でありまして、その一歩前のところで、なるべく早く治療の手を加えたい。こういうのが
虞犯敗年
を入れておる
理由
であります。そうして、
虞犯少年
と申しましても、後ほどあとの方に出てまいります
保護処分
の
内容
から見まして、一般の
單純
な不良というようなものを
考え
ておるのではございませんので、ま
つた
く
犯罪
に紙一重で、少護法との
関係
上、
犯罪
とは言いきれない、こういう場合に、
家庭裁判所
が
審判
をして、そうして十分科学的な
調査
もし、
形式
を離れまして、
ほんとう
にその
対象少年
に適切な
保護処分
を加える。必ずしもこれを全部收容して矯正するというのでありませんので、場合によ
つて
はむしろその方が多いと思いますが、適当な親兄弟にかわるような
保護委員
というものが
相談相手
にな
つて
、そうして
本人
の善導をするというような
処分
を
考え
ておる次第であります。
現行法
では、十四歳
未満
の者は、
都道
府
縣知事
の
送致
した場合に
限つて
、現在ありまする
少年審判所
が
審判
をするということにな
つて
おりますが、今度の案では、十八歳
未満
の者を全部
兒童相談所長
の
送致
を受けたときに
限つて審判
に付する、こうな
つて
おります。これにつきましては、実際の
審判
をこれまでや
つて
來られた
少年審判所長
の方々も、たいへんこれでは不自由であるというようなことを申しておられます。また
弁護士会方面
でも、
名古屋弁護士会
では、わざわざ三十二條は削除してほしいということで、決議をなさ
つて
おられますので、十分この点は御
審議
をいただきたいと思
つて
おります。 第四條は
家庭裁判所
の
判事補
の職権について
規定
しております。「第二十條の
決定
以外の
裁判
は、
判事補
が一人でこれをすることができる。」こういうふうに
規定
しておるのでありまして、第二十條の
決定
というのは、
家庭裁判所
の
裁判官
が
審理
をした結果、
犯罪
の
罪質
とかそういう点で、どうしてもやはり
刑罰
を求めた方がよろしいという、きわめてまれなる場合には、
檢察廳
にその
事件
を移送するわけであります。それが二十條でありまして、その移送の
決定
以外の
裁判
は、
判事補
が一人でこれをすることができるということで、
裁判所法
の
例外
の
規定
であります。
裁判所法
の二十
七條
では、
判事補
は
法律
上特別の定めがある場合を除いて、一人で
裁判
をすることができないという
規定
がありますので、それに対する
例外規定
を、ここに
規定
いたしたわけであります。 第
五條
は
保護事件
の管轄でありまして、格別の御説明を申し上げることもないかと存じます。第六條、第
七條
は、
事件
がいかにして
家庭裁判所
にかか
つて
くるかという人口の問題であります。第六條は、
一般人
の
通告
の
制度
であります。「
家庭裁判所
の
審判
に付すべき
少年
を発見した者は、これを
家庭裁判所
に
通告
しなければならない。」これは
一般人
の場合であります。第
七條
は
少年保護司
の
報告
であります。これは
裁判所
におりまする
調査
をしたりいたします
役人
でありますが、その
役人
が
対象
の
少年
を発見した場合には、
調査
の上
裁判官
に
報告
しろ、こういう
規定
であります。
現行法
では、
少年審判所自体
が、
事件
を発見して、そうして
自分
がそれをすぐ
裁判
するという
建前
にな
つて
おりましたが、今度は從來の
行政機関
でない
裁判所
にいたしました
関係
上、
裁判所
が
自分
で問題にして
自分
で
審理
するということは、いささか
裁判所
としての
考え方
として考慮すべき点があるというふうに
考え
まして、
裁判官
以外の者が一遍それを下調べをして、そうして
裁判官
に申し出る。そうして
裁判官
がそれを
冷靜
に判断して、
事件
とすべきかすべからざるかということを調べた上、
裁判所
の
事件
になる、こういう
考え方
でございます。
從つて
、第一項において、
少年保護司
が
報告
する前に、
少年
及び
保護者
について、
十分諸般
の
事情
を
調査
することができる。こういうふうに
規定
いたしたのであります。第八條は、
家庭裁判所
が、ただいま申しましたように、
一般人
の
通告
なり、
少年保護司
の
報告
によ
つて審判
に付すべき
事件
であるというふうに
考え
た
事件
について、
調査
をする
段階
にはいるわけであります。それから、関連いたしまして、
一般人
の
通告
、
少年保護司
の
報告
以外に、さらに
檢事局
及び
兒童相談所
からくるものがあるわけであります。これは
刑事事件
につきましては、
刑事事件
の特別の
処理
になりますので、第四章以下に
規定
してございます。それから第九條は
調査
の方式でありまして、できるだけ科学を應用いたしまして、
本人
の情状なり、性格なりを十分
調査
する、こういうことを
規定
いたしたのであります。現在におきましても、
少年審判所
の数箇所においては、相当な
権威者
をお願いしまして、かような
監別
をいたしておるのであります。そうして今後はこの
監別
はどこでやるかという問題でございますが、これは
少年院法
に今度
規定
いたしたのでありますが、
事件
が
家庭裁判所
にまいります。そうしてこれが窃盗であるとか、強盗であるとかいう
事件
も今度はまいるわけでありまして、どうしてもやむを得ず身体を拘置して、
一定期間審判
、
決定
するまでの間、身柄を留めておく必要がありますので、これについては、
少年観護所
、いわば
おとな
につきましては
拘束所
というものにあたるのでありますが、そういうものを設ける
考え
であります。アメリカにあります
デイテンシヨン・ホーム
、こういうものを設けまして、そこに最高四週間だけ拘束することができる、そうしてその
少年観護所
に
少年監別所
というものを設けまして、その
監別所
で、かような科学的な
監別
をいたすことにいたしておるのでございます。
少年
及び
保護者
は、
家庭裁判所
の
許可
を受けて、
附添人
を選任することができる。但し、
弁護士
は
許可
を要しない。
保護者自体
も
附添人
になることができる。こういう
規定
であります。この
附添人
は、後ほど出てまいりますが、
家庭裁判所
の
決定
について、今度の
改正
では新しく
抗告
の
制度
を設けました。その
抗告権
を、この
附添人
に認めておるのであります。 それから第十一條は、
家庭裁判所
は、
事件
の
調査
上必要と認めるときは、
少年
なりあるいはその
保護者
を
裁判所
に呼出すことが必要でありますので、さような場合に
呼出状
を発することができる。
刑事訴訟法
におきましては、
召喚状
というものが大体これに対應するものであります。第二項は正当の
理由
がなく呼出しに應じない場合には
同行状
を出す。これは令状という
考え
でありまして、これによりまして場合によ
つて
は、
強制力
を用いて
本人
を
裁判所
に連れてくることができる、こういう
考え
であります。 第十二條は緊急の場合の
同行状
であります。 第十三條は、その
同行状
の
執行
の問題でありまして、この
執行
は
少年保護司
が
執行
するのが
建前
でありますが、
警察官
、
警察吏員
、
観察官——
これは今度の議会に
提案
を予定して案までできておるのでありますが、
事情
によ
つて
、まだ
提案
ができておりません。
保護委員会
の
制度
に関する
法律
において
観察官
というものがありますので、その
観察官
及び
保護委員——
現在の
制度
では
少年保護司
というのが全國に四千人くらいございますが、それがややこれに該当するものであります。 第十四條は
家庭裁判所
は
審理
の
調査
の際の証人を喚んだり、鑑定を頼んだり、通訳、飜訳をする必要がございますので、その必要を認めるものでございます。第二項は現在御
審議
中の
刑事訴訟法
の中で
保護事件
の
性質
に反しない限りは、これを準用することができるという
考え
であります。括弧の中は、現在まだ番号がきま
つて
おりませんので、それがはつきりした場合に入れたいと存じております。 第十
五條
は、檢証、押收、捜索、こういう
保護
に関する
刑事訴訟法
中必要な
部分
を準用できる、こういう
規定
であります。後ほど申し上げますが、今度の
制度
では、
檢事局
、
警察
から、
事件
は全部
家庭裁判所
にまいることにいたしております。
現行法
では、
少年
の
犯罪事件
につきましては、
警察
から
檢事局
にまいりまして、
檢事局
が
罪質
その他から起訴すべきものは起訴し、起訴しない
処分
をしたものを
少年審判所
に
送致
するような
制度
にな
つて
おりましたが、今回は
少年
のための特別の
裁判所
をつくるのでありますから、そこで全部その選別もやるという
建前
にいたし、相当悪質の
犯罪
を犯したものもくることになりますので、
刑事訴訟法
中の必要な
部分
を準用することにいたしたのであります。第十六條は
関係官應
なり
民間團体
の協力を求める
規定
でございます。 第十
七條
は、
家庭裁判所
に
警察
、
檢事局
、
兒童相談所
から
事件
が送局され、あるいは第六條、第
七條
にありますような
一般人
の
通告
なり、
保護司
の
認知報告
による
事件
がまい
つた
際に、場合によ
つて
は
事件
の
性質
によりまして、
観護所
に入れたり、あるいは
観護所
に入れない場合には、人的なひもをつける
少年保護司
の
観護
によりまして、この
審判
を行う
期間
さような
措置
をとる、こういう
規定
であります。そうして第二項以下は
複雜
な書き方をいたしておりますが、
警察
、
檢事局
から同行されたというような
少年
につきまして、
少年観護所
、
デイテンシヨン・ホーム
に入れなければならぬという場合には、二十四時間以内に
少年観護所
に
送致
するという
手続
をするのであります。それから
檢察官
または
司法警察官
から、拘留または逮捕された
少年
の
送致
を受けたときも同樣である。すなわち
檢察官
が
搜査段階
において、
刑事訴訟法
によ
つて勾留状
を
裁判所
から出してもら
つて
、
勾留
中に來た場合は、やはり二十四時間以内に、その
勾留処分
は無効になりまして、二十四時間以内に
少年観護所
に
送致
するという
決定
をいたして
デイテンシヨン・ホーム
に入れておく、こういう
規定
であります。第三項は、その
デイテンシヨン・ホーム
の
收容期間
で、これは二週間を超えることはできない。特に継続の必要のある場合には、一回だけ
決定
をも
つて
これを更新することができる。但書は先ほど申し上げましたように、一遍
家庭裁判所
の
事件
になりまして、そうして
事案
の
性質
からどうしても普通の
刑罰
を科す方が相当であろう、こういう
考え
から
家庭裁判所
から
檢察官
に移送いたします。ところが
檢察官
が調べて見たけれ
ども
、その後の
状況
なり、あるいは
証拠関係
から嫌疑が十分でない。あるいは起訴が不相應である。しかしこの
処置
をや
つた
方がよろしいというように
状況
が変
つた
場合に、
檢察官
から再び
家庭裁判所
に逆もどりする場合があるのであります。その場合に初めの
家庭裁判所
で
デイテンシヨン・ホーム
に入れたり、あるいは
檢事
が
勾留状
を求めて
勾留
してお
つた
というような場合には、
デイテンシヨン・ホーム
には一回しか入れられない、更新はできない、こういう
規定
であります。第四項は、第四十三條というのは、
檢察官
が
少年
の
被疑事件
を搜査する際に、
刑事訴訟法
で申しますと、
勾留
を求めるのでありますが、
少年
については、なるべく
勾留
はやらぬ方がよろしい、そうしてやむを得なければ、
少年保護司
の
観護
に附する
措置
が第一項であります。
檢事
が
搜査段階
において、
家庭裁判所
に
デイテンシヨン・ホーム
に入れてくれというような
手続
をいたしまして、そうして
家庭裁判所
が
デイテンシヨン・ホーム
に入れるという
決定
をいたし、そうして入れて
事件
を調べてその
事件
が
家庭裁判所
に
送致
されたときには、その
デイテンシヨン・ホーム
に入れるという
措置
は、第二項の方で出した
措置
と見る、こういう
規定
であります。そうしてこの二週間の
期間
は、
家庭裁判所
に
檢察官
から
事件
が來た場合に、それから二週間というふうに起算するという
規定
でございます。それから第六項は
観護
の
措置
は
決定
をも
つて
取消したり変更することができる。但し第一項第二号の
措置
については、全部を通じて四週間を超えることはできない、こういう
規定
であります。 第十八條は
家定裁判所
が
少年
の
調査
をいたした結果、二十四條に
規定
しておりますような
保護処分
に付するよりは、
事案
が軽微であるとか、
諸般
の
状況
が、
少年
のために有利である。やわらかい
処置
で十分であるというふうに認めたときは、
兒童福祉法
の
規定
でやることがよろしいのであるから、その
事件
を
兒童相談所長
、あるいは
都道
府
縣知事
に
送致
しなければならない。
事件
が來たら全部
家庭裁判所
がやるというのでなくて、
調査
した結果やわらかい
処分
の方がよろしいという場合は、
兒童相談所
の方にお願いする。こういう
規定
であります。但し
兒童相談所
あるいては
都道
府
縣知事
から
送致
を受けた
事件
については、さような逆もどりはできない。こういうふうにいたしておるのであります。 それから十九條は、
家庭裁判所
が
調査
した結果、
審判
に付することができない。たとえば年齢が二十歳以上である、あるいは
審判
に付するのが相当でない。要件は具えているが、
保護処分
をするまでもない。こういう場合は、
審判
不開始の
決定
をしなければならない。この
規定
であります。 第二十條は、
警察
、
檢事局
から全部
事件
が参るのでありますが、
事件
が死刑、懲役または禁錮にあたる
事件
であ
つて
、
調査
の結果、その
罪質
なり
犯罪
の情状に照らして、刑事
処分
が相当であるという場合には、これを管轄地方
裁判所
に対應する
檢察廳
の
檢察官
に
送致
しなければならない。但しその送
つて
やろうと思うときに、十六歳に達しない場合には、
檢察官
には
送致
はできない。從いまして、十六歳
未満
の
少年
については、全部
保護処分
をいたし、
刑罰
は科さないという結果に相なるわけであります。 それから二十一條は、
家庭裁判所
が
調査
の結果、
審判
を開始するのが相当であると認めたときは、
審判
開始という
決定
をいたすのであります。 そうして二十二條で、その
審判
の方式は「懇切を旨として、なごやかに、これを行わなければならい。」「
審判
は、これを公開しない。」
現行法
による
少年審判所
におきましても、全部非公開であり、そうして
形式
張
つた
法廷などというものは、全然もちませんで、まるいテーブルに
関係
者を全部來てもらいまして、和やかにいろいろの
事情
を聽いて、そうして最も
本人
に適切な
保護処分
をする、從いましてこの
家庭裁判所
は、從來外部からともすると見られがちであ
つた
冷やかな暗いという感じを全然もたない、万事が明るい、そして子供に決して不愉快な印象を與えない、新しい日本の
裁判
制度
に、一つの画期的なものになるのではないかと思いますが、
裁判所
というと、とかく暗い感じを受けたのですが、今度の
家庭裁判所
は、家事
審判
所と
少年保護
裁判所
を統合しまして、そうして
形式
張らない、具体的に常に妥当な
決定
をし、氣分も非常になごやかな明るい
裁判所
をつく
つて
いきたい。こういう
考え
で、その一つの項目として二十二條が
規定
とされているわけであります。 それから二十三條は、一旦
家庭裁判所
は、
保護処分
が必要であろうかというような
考え
で、
審判
開始の
決定
をいたし、そうしていろいろ調べて
審判
をした結果、やはりこれは
兒童福祉法
の方でや
つて
もら
つた
方がよろしいのだという場合には、その方にお願いする。それから一旦そう思
つて審判
をしたが、結局
保護処分
を付する必要がない、こういう場合には、
保護処分
を付しないという
決定
をする。たとえようは惡いのでありますが、無罪というふうに、若干にそれに当る
言葉
でありますが、さように
決定
するわけであります。 それから二十四條は、
保護処分
の
内容
であります。さような
審判
の結果、いろいろなことを考慮して、やはり
保護処分
をしなければならないという場合は、幾種類かの
保護処分
をなすべきであります。第一号としまして、「十四歳に満たない
少年
については、これを
兒童相談所
に
送致
すること。」この
規定
につきましては、
十分諸般
のことを御考慮の上、御
審議
を願いたいのでありますが、十四歳に満たない者は、せつかく
兒童相談所
から参りましても、どんなに惡い傾向がありましても、強い
保護
の手は加えられないということであります。現在全國の矯正院に、
都道
府
縣知事
が、十分やわらかい愛の
保護
をや
つて
みたが、どうしても効果がない、これはやはり強い父親の愛の
保護
を加える方がよろしいという
考え
で、
少年審判所
に
送致
され、そうして矯正院にはい
つて
おるという子供が、年々に殖えてまい
つて
おります。統計によりますると、昭和十五年当時は十四歳
未満
で矯正院にはい
つて
いる子供は六十七人でありましたが、昭和十八年には百五十四人、昭和二十一年には六百五十八人、昭和二十二年には千二十五人、こういうことにな
つて
おります。新聞などでも傳えられておりますように、すりの親分が未成年者を使うことが非常に得策であるいうような
考え
から、俗称チヤリンコと称する若い子供のすりを使
つて
おる。そうしてその子供たちは、普通の
兒童相談所
の收容所に入れても、すぐに出てい
つて
しまう。どうしても矯正院に入れなければならぬという種類の子供が、現在でも千人以上ある。この点は
少年院法
が、当初これと符節を合わせまして、十四歳以上というふうにな
つて
お
つた
のでありますが、最後に
関係
方面
といろいろデイスカツスをした結果、「おおむね」という文字を入れていただくことができましたので、
関係
方面
の意向も、現在では必ずしもかようなことにはな
つて
いないのではないかと推測いたします。それから十四歳以上の
少年
につきましては、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)という四種類の
処置
をとることにいたしております。(イ)は地方
少年
保護委員会
、この
保護委員会
は
犯罪
者予防更生法として
提案
いたすべく
諸般
の準備を進めたのでありますが、未だ最終的にその
手続
ができないのでありますが、その
犯罪
者予防更生法において、全國を八箇所にわかちまして、各地方に地方
少年
保護委員会
というものをつくりまして、これには
関係
官廳全部、及び民間の御熱心な方にもはい
つて
いただきまして、そうしてこの
保護委員会
が強力な
保護
をいたすことにな
つて
おります。この
委員会
のもとに、
保護委員
という
少年保護
に熱心な方をお願いしまして、その
保護委員
が実際の
少年
を何人かずつ分担していただきまして、
少年
の
相談相手
になり、遊び相手になり、そうして
少年
を善導しよう、こういう
考え
でございます。その
委員会
にこの
観護
、観察をお願いするという
規定
であります。それから(ロ)、(ハ)は
兒童福祉法
関係
の福祉施設にお願いをする。それから(ニ)が
少年
院に
送致
する。こういう四つの種類を
考え
て、そうして第二項におきまして、観察に付した場合及び
少年
院に
送致
した場合には、地方
少年
保護委員会
をして、家庭に行
つて
、
本人
に面会に行
つて
やるとか、いろいろ指導をして家底の環境の調整をはかるということをいたすのであります。 それから第二十
五條
は
少年保護司
の観察であります。
少年保護司
は
保護委員会
とは
関係
ありませんで、この
裁判所
の職員であります。
事件
が
家庭裁判所
にまいりました際に、
家庭裁判所
は、その
処分
を
決定
するまで、必要がある場合には、
少年保護司
の観察に付する。
少年保護司
は、
本人
の所に行
つた
り、呼んだりして、いろいろ
本人
の
相談相手
に
なつ
たりして、
本人
の性格なりを十分観察して善導する。それからさような観察のことも
考え
られますし、また最終の
決定
をなす前に、試みに
本人
に一定の善行を保証するような遵守事項をきめて、その事項を約束させる。あるいは
條件
をつけて親もとに引渡す。あるいは適当な施設や團体や個人に善導、輔導を委託する。そうしてしばらくその成行きを見定めまして、
保護処分
の必要ありやなしや、いかなる
保護処分
をなすべきかという思料を加えるのであります。 それから第二十六條は、家庭裁所がいろいろな
決定
をいたします。十
七條
の
兒童
観察所に入れるとか、
少年保護司
の観察に付する。
兒童
観護所
に入れるというのは、第一項第二号であります。第十八條は
兒童相談所
の方に送る。それから二十條は
檢察官
に逆もどりさせる。それから二十四條が最後の
家庭裁判所
の
決定
でありますが、さような諸種の
決定
をしたときは、
少年保護司
、
警察吏員
、
観察官
、
保護委員——
観察官
、
保護委員
というのは、
犯罪
者予防更生法で
考え
ております
制度
であります。それから
兒童
福祉司または
兒童
委員をして、その
決定
を
執行
させることができる。それからさような
執行
をするために必要なる場合には、
少年
に対して
呼出状
を出すことができる。それに應じない者には、
同行状
を出すことができる。こういう
規定
であります。 第二十
七條
は
保護処分
の継続中に、
本人
に対して有罪の判決が確定したという場合には、
家庭裁判所
が、
事情
によ
つて
は、前にや
つた
保護処分
を取消すことができる。それから
保護処分
継続中に、たとえば矯正院に入れておいたところが逃亡した、そしてどこかでまた間違いを起して、別な
家庭裁判所
で、別個に
保護処分
の
決定
がなされたという場合には、
両者
が競合いたしますので、その調整をしまして、新たに後に
保護処分
をした
家庭裁判所
が、前の
保護処分
をした
裁判所
の
意見
を聽いて、どちらかの
保護処分
の必要ないものを取消すという、こういう
規定
であります。それから二十八條は
報告
意見
の提出であります。二十九條は委託費用。二十
五條
第二項第三号と申しますのは、
裁判所
が最終の
決定
をする前に、試みに家に帰したり、
本人
に約束させたり、あるいは適当な團体なり、施設なりに補導を委託したという場合に、それによ
つて
生じた費用を支給することができる。こういう
規定
であります。三十條は証人、鑑定人等に支給する旅費等については、刑訴の費用に関する
規定
を準用する。第二号の
参考
人と申しますのは、
審判
になる前に、たとえば
保護司
がみずから
事件
を探知して、
調査
をするという場合には、証人ということにはなりませんで、ちようど
檢事
が調べる、それに該当するわけでございます。
参考
人に宣誓をさせることができる。この
参考
人に費用を拂うことができるという
規定
であります。それから第三十一條は費用徴收であります。 第三節は今回の
改正
で新たに設けた
制度
であります。從來の
少年法
による
少年審判所
におきましては、
審判
所のなした
決定
に対して、それを爭う途がなか
つた
のであります。新しい憲法の精神に即應いたしまして、
抗告
の
制度
を認めました。そうして
少年
、その法廷代理人、
附添人
から二週間以内に
抗告
する。この場合には、
家庭裁判所
は、
裁判所
のランクからいいますと、地方
裁判所
でありますから、管轄の高等
裁判所
に
抗告
するということであります。「但し、
附添人
は、選任者である
保護者
の明示した意思に反して、
抗告
することはできない。」というふうにいたしました。
本人
の意思に反してできるかという問題でありますが、
本人
は
少年
でありまして、十分
思慮分別
のないことが
考え
られますので、
少年
の意思に反してできるということに
なつ
たわけであります。 第三十三條は
抗告
審の
裁判
に関する
規定
でありまして、第二項におきまして、
抗告
が
理由
あるときには、高等
裁判所
は、下級審である
家庭裁判所
の前
決定
を取消し、
事件
を元の
裁判
に差しもどし、あるいは他の
裁判所
に移送することを認めておるのでありますが、高等裁利所自体が
保護処分
をやるということは、認めなか
つた
のであります。それから第三十四條は
執行
の停止でありまして、
抗告
は
執行
を停止する効力を認めないことにいたし、
例外
として場合によ
つて
停止することができるというようにいたしたのであります。第三十
五條
は再
抗告
の
制度
であります。これは最高
裁判所
に対して、申し立てることにな
つて
おるわけであります。それから第三十六條は、この
法律
で定めたもののほか、
審判
の
諸般
のこまかい
手続
は、高等
裁判所
のルールにこれを委任したのであります。 それから第三章はこれも新たに今度の
改正
で加えたものでありますが、
おとな
が
少年
の
不良化
の原因をなしたという場合には、
家庭裁判所
が
少年
の
事件
を扱
つて
おりまして、それを知る機会が非常に多い。また
少年
不良化
の原因をつく
つた
という
事件
は、
少年
のための
裁判所
がやるのが適当であろうという
考え
から、
おとな
についても
家庭裁判所
が、
処分
ができるということにいたしたのであります。この
手続
は普通の
刑事事件
でありますから、
刑事訴訟法
をそのまま適用されるという
考え
であります。そうしてその
事件
はアメリカの
法律
などでは、非常に廣く
少年
の
不良化
の原因を與えたものは、全部
処分
できるというように、非常に漠然とした廣い
規定
でありますが、この法案におきましては、具体的に揚げたわけでありまして、未成年者喫煙禁止法、未成年者飲酒禁止法、労働基準法、
兒童福祉法
、こういう子供を惡くするような
おとな
の行為に限
つた
のであります。労働基準法の最低年齢であるとか、——五十六條でありますが、その他危險な業務につくことはできぬ。深夜業はいかぬというような、子供の
保護
のための幾多の
規定
がありますので、その違反を処罰することにいたしたのであります。
兒童福祉法
三十四條と申しますのは、子供に乞食をさせたり、不具の子供を見せ物にするとか、あるいは若い女を酒席に侍らせるということを禁止しております。さような違反のあ
つた
場合には、
家庭裁判所
が
裁判
をするということにいたしたのであります。それから二項は他の
犯罪
と牽連
関係
あるいは一行為数罪のあ
つた
場合には、前一項に掲げた各
條文
を適用する。結局労働基準法で危險な業務につかせてはいかぬというのにかかわらず、つかせた結果、傷害
事件
が起
つた
、けがをしたという場合に、過失傷害という問題が起りますので、さような場合の
規定
であります。 それから三十八條は、
家庭裁判所
が、
少年
の
保護事件
を
調査
審判
中にかような事犯を発見した場合には、やはり刑事訴訟の
手続
によりまして、
檢察官
の公訴提起を必要といたしますので、さような場合には
檢察官
または
司法警察官
に通知した、こういう
規定
であります。 それから三十九條は、
家庭裁判所
は以上申し上げましたように、大人の
事件
を
裁判
するのでありますが、
家庭裁判所
は、一人の判事が
審判
をいたします
関係
上、禁錮以上の刑を科するのを相当と認めたという場合には、通常の地方
裁判所
に移送する。こういう
規定
であります。 それから第四章以下は從來からありました
少年法
の通則で、
少年
の
刑事事件
の
処理
上、
刑事訴訟法
の特例を認めております。それについての
規定
でありまして、
原則
として從來の
法律
を変更いたしておりませんが、
部分
的に若干変更はいたしておりますので、その変更の点だけを申し上げたいと存じます。 第四十
七條
は、相当大きな点でありますが、
檢察官
は、
現行法
では
檢察官
の認定においと起訴すべきは起訴し、不起訴にしたものを
少年審判所
に
送致
してお
つた
のでありますが。今回は全部
少年
の
被疑事件
について搜査を遂げた結果、
犯罪
の嫌疑があるという場合には、全部
家庭裁判所
に移送しなければならない。こういうことにいたしたのであります。 第四十
五條
第五号は、一度
家庭裁判所
に送りまして、
家庭裁判所
が
刑罰
を科する普通の
手続
の方がよろしいというふうに認めまして、
檢察官
に送
つた
場合でありますが、これは四十
五條
の説明のときに申し上げたいと思います。 それから
犯罪
の嫌疑がないという場合でも、
家庭裁判所
の
対象
中には、
犯罪
の確証はないが虞犯の場合を取扱
つて
管轄いたしておりますので、
犯罪
の嫌疑はない、しかし
犯罪
のおそれは多分にあるという場合には、これも同樣に
家庭裁判所
に送らなければならない。こういう
規定
であります。 それから四十
五條
は、
家庭裁判所
が
事件
の
罪質
なり、
本人
の情状によりまして法
処分
を不適当とし、
檢察官
に
送致
した場合の
規定
であります。その他は大体
現行法
と同樣であります。ただ第三節のところをちよつとごらんいただきたいと思いますが、第三節の中に若干の変更がございます。第五十一條で「罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をも
つて
処断すべきときは無期刑を科し、無期刑をも
つて
処断すべきときは、十年以上十五年以下において、懲役又は禁錮を科する。」とあります。
現行法
では十六歳ということに相な
つて
おりますが、それを十八歳まで上げたのであります。それから尊属殺の場合には、緩和しないことにしてお
つた
のでありますが、これも今度は尊属殺の場合にもやはり死刑は科さないというふうにいたしたのであります。 大体以上が今度の
改正
の要点でありまして、たいへん不十分でありましたが、一應これで説明を終りたいと思います。
井伊誠一
4
○
井伊
委員長
どなたか御質疑はありませんか。
山崎岩男
5
○
山崎厚生委員長
ただいま
議題
とな
つて
おります
少年法
を
改正
する
法律案
とは、直接に
関係
ございませんが、
少年
裁判
に関しまするところの重要なる
意見
としまして、
兒童
福祉
委員会
において
決定
しました私
ども
の特に注目しなければならぬ
意見
がございますので、これを御披露申し上げまして御
参考
に供したいと思いまするが、お許しいただけましようか。
井伊誠一
6
○
井伊
委員長
どうぞ。
山崎岩男
7
○
山崎厚生委員長
これは法務廳が
少年法
に代るべきものとして、
少年
裁判所法
の立法を
考え
ておられる。それに対しまする
意見
でありまするが、ただいま
議題
にな
つて
おりまする議案にも
関係
がありますので、御
参考
に申し上げます。 目下法務廳において
少年法
に代るべきものとして、
少年
裁判所法
の立案をされ、それに対して愼重に
調査
、
審議
をしておられるようでありますが、本
委員会
といたしましても、これに関する
意見
を表明いたしたいと思う次第であります。 新憲法下の第一回國会におきまして、
兒童
の
保護
を総合的に
規定
する
兒童福祉法
が通過、制定され、本年の二月一日にその一部が、四月一日にその全部が施行せられることに
なつ
たのであります。中央
兒童
福祉
委員会
は、
兒童福祉法
の
規定
によ
つて
設けられたものでありまして、要
保護
兒童
の問題はもちろん、いやしくもこと
兒童
の問題に関する限り、すべてこれをとり上げ、拔本的に
調査
審議
いたし、必要とあらば、
関係
各大臣に、その結果について
意見
を具申することを、その本務とするものであると確信いたす次第であります。 新しくできるであろう
少年
裁判所法
においては、
犯罪
少年
はもちろん、素行不良の
少年
も、等閑に付せられている
少年
も、すべてこれを
少年
裁判所
において
審判
し、
保護処分
するようになるようでありますが、罪を犯した
少年
を
少年
裁判所
において
審判
し、
保護処分
することは、
裁判所
の
性質
からい
つて
当然のことと思われますが、その他の素行
不良少年
及び等閑に付せられている
少年
は、これを放置しておけば罪を犯すおそれが多いかもしれませんが、彼らは必ずしも現実に罪を犯したという者でないのでありまして、彼らを刑事政策的色彩の強い
少年
裁判所
において
審判
し、
保護処分
することは、
少年
自身のためにも、当を得たものであると言えないでありましよう。
兒童福祉法
は、彼らの
保護
に関してそれぞれの
規定
を設け、
兒童相談所
、
兒童
福祉司、
兒童
委員、
兒童福祉施設
及び里親等の
保護
機関
として適切にして十分な
措置
をとらせるようにしているのでありまして、
少年
裁判所
が、素行不良の
少年
及び等閑に付せられている
少年
を取扱うことは、
兒童福祉法
と重複することとなり、
兒童
保護
の事務をきわめて
複雜
難解なものにして、
兒童
保護
の事務の効率を低下させることきわめてはなはだしいと言わざるを得ません。かくては、二重に予算を計上し、これを非効率的に使用する結果に陷ることになり、國家財政の困難な折柄まことに不適当なことと思われます。さらにまた日
本人
一般の感情として、
裁判所
の
裁判
を受ける者は、よほどのものであるという
氣持
をも
つて
おります。
從つて
洋々たる將來をも
つて
おります
少年
でありまして、罪を犯しもしないのに、
裁判所
の
審判
を受け
保護処分
を受けるということになりますれば、そのことによ
つて
、その
少年
が世間から白眼視され、かえ
つて
彼らの自立を困難にすることになりはしますまいか。これらの
少年
の
保護
は、その本來の目的並びに性格からいたしまして、刑事政策的色彩をできるだけ拂拭して、純粋に社会事業的立場に立
つた
保護
と指導によ
つて
一貫されるべきものと思います。
從つて
、
少年
裁判所
においては、
犯罪
少年
のみを取扱い、罪を犯さない他の
少年
は
兒童
に光明をもたらした
兒童福祉法
によ
つて
明るく
保護
指導されることが、最も適当なるものと確信する次第であります。 また法務廳において、從來の司法
保護
事業法を
改正
され、
少年
の
犯罪
予防並びに更生について
調査
審議
並びに
決定
をする中央及び地方青
少年
保護委員会
を設置されるようでありますが、これと本
委員会
との
関係
において、無用の重複を來さないように配慮されるべきであると思います。 中央
兒童
福祉
委員会
は、右のような見解を表明いたすものでありまして、
関係
各
方面
におかせられては、これが十分の研究をされんことを切望する次第であります。 昭和二十三年五月十五日 中央
兒童
福祉
委員会
委員長
中川 望 かような
委員会
の
意見
が具申されておるような次第でありまするが、何とぞこの具申書につきましても、御明鑑を垂れられまして、ただいま
議題
とな
つて
おりまする
少年法
改正
に関する一助になさいまするならば、まことに光栄に存ずる次第でございます。
中村俊夫
8
○中村(俊)委員 詳細な点は後日伺いたいと思いますが、ただいま配付になりました
少年保護
制度
概念図、この図の中に
犯罪
少年
、
虞犯少年
、
不良少年
の三つに区別がされておるのであります。
犯罪
少年
の意味はよくわかりますが、
虞犯少年
と
不良少年
との限界をどこにつけるかということは、非常にむつかしい問題だと思うのでありまして、
厚生委員会
からのいろいろな御
意見
も、この限界がはつきりすれば、問題は解決すると思います。この限界がはつきりしていないために、こういうセクシヨナリズム的な
意見
が、法務廳と厚生省との間にあるのではないかと思うのであります。なお
兒童福祉法
の第四十一條に「その他環境上養護を要する
兒童
」という
言葉
がありますが、これなどは実に意味が不明でありまして、これは今われわれの手もとに來ておる概念図の
不良少年
に当るのではないか。
從つて
法務廳の
考え
としては、
兒童福祉法
の四十一條の「その他環境上養護を要する
兒童
」というものは、大体
不良少年
の範囲内に属するものである。そうして
虞犯少年
というのは、ただいま御説明のあ
つた
ように、第三條二号の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に該当するものだと
考え
られるのですが、しかし常識的にものを
考え
ると、この(イ)(ロ)(ハ)(ニ)は、一應われわれは
不良少年
だと普通言
つて
おるのであ
つて
、これを一種の
法律
用語のごとく
虞犯少年
だという点に、厚生省
関係
との問題があるのではないかと思うのですが、この御提出になりました
虞犯少年
と
不良少年
との限界を、どこにつけるかという点について、御説明を承りたいと思うのであります。
佐藤藤佐
9
○佐藤(藤)
政府委員
お説のように
不良少年
と
虞犯少年
を概念上はつきり区別するということは、なかなか困難でありまして、むしろ逆に説明する方がおわかりになりやすいだろうと思うのでありますが、
少年
院、現在の矯正院においては、
強制力
を用いたいわゆる矯正教育を施して、
少年
を
保護
善導しようとしておるのであります。ところが
兒童相談所
その他
兒童福祉施設
におきましては、
強制力
を用いないで、愛護教育しよういう方法をと
つて
おられるのであります。両方とも
少年
を愛護し、その健全な育成をはかろうという、その目的は同一でありまするけれ
ども
、
少年
を愛護し、健全な育成をはかる、その手段として教育の方法なり、その他日常の生活態度、あるいは職業訓練等において、きびしく教育するか、あるいはなまやさしく、やわらかに教育するかという、その手段方法が異な
つて
おるのであります。できますれば、すべての
少年
に対して、いかに
不良少年
であ
つて
も、あるいは
虞犯少年
であ
つて
も、
犯罪
少年
であ
つて
も、これを愛撫し、そうして健全な育成をはかることができますならば、われわれの理想とするところであります。しかしながら、御承知のように、現在の
世相
を見ましても、單になまやさしい愛撫一点張りで教育するのでは、その
少年
を改過
遷善
せしめることもできないし、また健全なる將來の
日本國民
として育成することも期しがたいような、程度の強い
不良少年
がかなりあるのであります。その程度の高い
不良少年
、つまりそのままにしておけば、必ず
犯罪
を犯すに至るであろうという、いわゆる
犯罪
性がその中に潜んでおる
少年
、行動としては
犯罪
として現われなくとも、いろいろ医学的、あるいは心理学的、あるいは
犯罪
学的観念から、科学的にそれを鑑別すると、これは
犯罪
を犯すおそれがある。いわゆる
犯罪
性のある
少年
として認定することができる
少年
が多数あるのであります。そういう
犯罪
を犯すおそれのある、いわゆる
犯罪
性をも
つて
おる
少年
を
保護
するには、ただなまやさしい教育だけではない。これに矯正教育を施して、健全な
少年
にしようというのが、
少年法
及び
少年院法
の目的とするところであります。そうして
不良少年
の中で、これをやさしい
兒童福祉施設
で
保護
する方が適当であるか、あるいは
少年
矯正施設に收容して、
保護
する方が適当であるかということを鑑別するのが、
家庭裁判所
なのであります。先ほど
厚生委員会
の
委員長
の述べられた中に、
少年
裁判所
とございましたけれ
ども
、私たちのこのたび立案して御
審議
を願
つて
おる
家庭裁判所
というのは、その
少年
裁判所
とは性格が全然違うのであります。
家庭裁判所
においては、
少年
に犯罰を科するというようなことは絶対いたさない。
保護
一点張り、ただ
保護
するについて矯正施設に入れて
保護
する方が適当であるか、あるいは矯正力を何ら用いない、いわゆる厚生施設といいますか、
兒童福祉施設
に入れて
保護
する方が適当であるかということを
決定
するのが
家庭裁判所
なのでありまして、いずれも
少年
の愛護及び健全な育成をはかるという目的は同一でありますけれ
ども
、その
保護
に、矯正施設に入れて
保護
する方が適切であるかどうかということを
裁判
するのが
家庭裁判所
であります。その矯正施設に入れて
保護
するのに適当な
犯罪
性のある者がここでいう
虞犯少年
なのであります。観念上の
不良少年
の中から、
虞犯少年
と
不良少年
、厚生施設に入れる
不良少年
と
少年
院に入れる
虞犯少年
と、観念上どこではつきり区別するかということになりますと、なかなか文字で現わすことはむずかしいのでありまするが、お示しの第三條の第二号に例示的に掲げたのがそれでありまして、すなわちその
少年
の性格及び
少年
の生立ちの環境等に照らして、その
少年
が將來罪を犯すおそれがあるか、すなわち
犯罪
性があるか、
犯罪
的傾向のある
少年
であるかどうかということを科学的に鑑別して、その鑑別にか
なつ
た者を矯正施設に入れるということになるのであります。從來その
虞犯少年
ということで、
少年審判所
で取扱
つて
まい
つた
のでありますけれ
ども
、さらに
虞犯少年
というだけでは、仰せのように不明確でありますために、第三條第二号で例示いたしたのであります。実際問題になりますと、
虞犯少年
なりや否や、あるいは
虞犯少年
とは認められない、まだ程度の軽い
不良少年
であるかということは、結局程度の問題になるのでありまして、それの区別のしかたは、結局
保護
する手段が矯正施設に入れて
保護
するのに適当な強い
不良少年
であるか、あるいは矯正施設に入れないで、いわゆる
兒童福祉施設
に入れて
保護
する方が適当である程度の軽い
不良少年
であるかという程度の差別にすぎないと
考え
ております。
井伊誠一
10
○
井伊
委員長
これにて休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後二時
開議
〔以下筆記〕
井伊誠一
11
○
井伊
委員長
休憩前に引続き
会議
を開きます。 これより本
委員会
に付託された
請願
の
審査
に入るに先だちまして、
審査
の方針についてお諮りいたしたいと存じます。
請願
の
審査
は、最も
審議
に愼重を期すべきものでありまして、いやしくも採択した以上は、必ずこれが実現の方途を講ずることといたし、これがためには、
内容
いかんにより、必要あるときは、
委員会
において
法律案
を起草することもありまするし、また予算的
措置
を要するものについては、必要により予算
委員会
と連合
審査
会を開く場合も当然起り得ることと
考え
ます。かくあらゆる角度から檢討を必要といたしまするので、これより御
審査
を願う御所見につきましての
委員会
における
決定
は、しばらく留保いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
井伊誠一
12
○
井伊
委員長
それではそのように
決定
いたします。
—————————————
井伊誠一
13
○
井伊
委員長
日程第二、恩赦に関する
請願
、
請願
文書表第一八五号を
議題
といたします。
紹介
議員の御
紹介
を願います。
庄司一郎
君。
庄司一郎
14
○
庄司一郎
君 本
請願
の趣旨を申しのべる前に、まずこの
請願
を提出した人の久柄を簡單に説明申し上げます。
請願
者は加納榮藏君と言い、その人と為りは、宮城刑務所の嘱託として、また活版印刷工場の委託業として、多年刑務所に出入勤務のほか、大河原区
裁判所
管内の司法
保護
会常任幹事として、釈放者を指導誘掖されつつある人、昨年末は、藁工品の利益二万円を
保護
事業に寄附した廉により、鈴木司法大臣より表彰されたほどの人格者であります。 ただいま
議題
となりました恩赦に関する
請願
の
内容
は、恩赦法によ
つて
恩赦の恩典を受け得ぬものがある。すなわち兇悪
犯罪
者、尊属殺、強窃盜、放火等の
罪質
の受刑者は、大赦恩赦が何回あ
つて
も、一度もそれに浴さなか
つた
のであります。社会的に見て兇悪な人であるが、この中にも過去に前科なき人もいる。常習犯的なものもいるが、中には突発的なでき心をも
つて
犯罪
者と
なつ
たのも、不幸な群の中にはおるのであります。そこで
請願
の要点は、全部のものではなくとも、たとえ罪名
罪質
が悪くても、その動機、その後の悔悛の状態等によ
つて
、他の一般的な人と差別することなく、適当に恩赦の恩典に浴せしめるのが、本
請願
の趣旨であります。
請願
者加納君はおそらく
自分
の体驗から、また永い間一緒にいた人々の切なる願いを妥当なりとして、この
請願
に出たものと
考え
ます。そこで私も
請願
者と同樣な心から恩赦を拡大し、旧來の一部のみに與えるものではなくして、受刑者の一人々々を
調査
して、國家が恩赦を施行される場合は、かような太い線が引かれていた人の中からも、恩赦に入れていただきたい。私は縁あ
つて
恩赦法制定の時
委員長
を勤めたものであり、二十七、八年司法
保護
の実務に力を注ぎ、前科抹消については、
委員会
あるいは本
会議
において、十七回も論述したものであります。私もそれらの体驗より
請願
者とま
つた
く同樣に
考え
るものであります。 以上るる申し上げましたが、要するに、
罪質
はいかにあれ、國家が恩赦を施行するときは、廣く一切の受刑者に及ぼすようというのであるが、これに対して政府はいかにお
考え
になりますか。以上が本
請願
の要旨でございますが、何とぞ御採択になりますようお願い申し上げます。
國宗榮
15
○
國宗
政府委員
從來の恩赦においては、特殊の
罪質
罪名のものに対しては、恩赦の恩典が及ばなか
つた
ことは、事実であります。しかし
例外
のないこともなか
つた
。十一月一日の恩赦法の施行規則によ
つて
、刑の言渡があ
つて
、一定
期間
経過したものは、
本人
から恩赦を願い出ることができることにな
つて
いるので、廣く恩赦に浴することができ、
請願
の趣旨に副い得るようにな
つて
おります。
—————————————
〔以下速記〕 〔
委員長
退席、石川
委員長
代理著席〕
石川金次郎
16
○石川
委員長
代理 次に日程第一二、伊丹市に
拘置所支所設置
の
請願外
一件、文書表一二三八号を
議題
といたします。
紹介
議員の御
紹介
を願います。後
藤悦治
君。
後藤悦治
17
○後
藤悦治
君 本
請願
の趣旨を私から申し述べまして、政府の御所信を併せて伺いたいと思うのであります。 本
請願
の趣旨は、御承知のように、尼崎市は今日二十数万の人口を有しておりまして、全國の都市の順位においても、十番ないし十一番と称せられている状態なのであります。しかるに尼崎市には
裁判所
がないのであります。
檢事局
の拘置所もないのでありまして、もつぱら旧い慣習によりまして、昔郡役所があ
つた
時代からの傳統をもちもして、伊丹市に
裁判所
並びに
檢事局
があるのであります。しかるに尼崎市は、大阪府と兵庫縣の境界に位置いたしております立地
條件
と、都市の性格が工場労働都市であります
関係
から、非常に
犯罪
が多いのであります。この離れております伊丹市に送局をいたします
犯罪
の大
部分
は、尼崎市において発生もしくは檢挙したものが占めておるのであります。しかるに実情は拘置支所がございませんために、送局
処分
に付すべき者を、從來は伊丹市にありました伊丹
警察
署に、臨時に身柄を預けるという委託拘置をや
つて
お
つた
のであります。ところが伊丹
警察
署の施設は、はなはだ狹少でございまして、一般留置人を入れます以外に、ほとんど收容力がないのであります。從いまして、尼崎
警察
署におきましては、送局に決しました身柄を、毎日尼崎署員がバスもしくは電車連絡をも
つて
、交通費を支弁して、犯人を一々
檢事局
にまで連行し、また同市に連れ帰らねばならぬのであります。これに要します費用と、なお
警察官
の定員の
関係
がございまして、六大都市と隣り合せにな
つて
おりながら、
警察官
の配置が少い、そういうことで
警察官
の警備力が非常に手薄な中から、それらの
措置
のために、さらに
警察官
を割かねばならぬ。これが年百年中毎日相当数繰返されておる実情であります。しかも從來の國庫が支弁をいたしました
警察
制度
と変りまして、御承知のように自治体
警察
ということにな
つて
おります
関係
からいたしまして、その警備力を割かれる点、及び費用等におきましても、地元では非常にたえがたい負担に今日では相な
つて
おる次第でありまして、この実情に鑑みられまして、速やかに伊丹市に拘置支所を設けられまして、少くとも
警察
が檢挙をいたした者は、遠く離れた隣接都市に連行を朝夕にするということなくして、
檢事局
に附随した拘置所に拘置されることによ
つて
、地元所轄
警察
署のこの余分の負担は軽減されるのであります。これを速やかに実現されたいというのが、本
請願
の願意でありまして、この点に関しまして、政府当局の所信を伺い得まするならば、たいへん仕合せだと存ずるのであります。
石川金次郎
18
○石川
委員長
代理 この際政府の御
意見
があれば承りたいと思います。
佐藤藤佐
19
○佐藤(藤)
政府委員
本
請願
の御趣旨は、当局といたしまして、十分了承できるところであります。しかしながら、最近
犯罪
が激増し、また
警察
機構が改革せられましたので、伊丹市ばかりでなく、全國に同樣な
事情
が発生いたしておりまして、当局といたしましては、この点に十分な関心を拂いまして、國家財政の許す範囲において、改善いたしたいと思
つて
対策を考究いたしておるのであります。今ただちに伊丹市に拘置所の支所を設けるということは、敷地、資材、予算その他の面において、いろいろ制約を受けておりますので、実現することは困難であろうと思うのでありますが、現在
警察
の留置所を代用監獄として使用いたしておりますから、その代用監獄の面を改善いたしまして、いろいろな不便な点を除去いたしたい、かように
考え
ております。
後藤悦治
20
○後
藤悦治
君 当局に重ねてこの機会に
請願
の趣旨を敷衍しておきたいと思うのであります。御承知のように、尼崎
警察
が存じまする地点と、伊丹市の
裁判所
、
檢事局
のあります地帶とは、隣接都市なのでありますが、それらの施設から施設へは、約三里の距離があるのであります。この三里の距離が、実は電車等の交通
機関
がございません。それがために隣接の伊丹の
檢事局
へ尼崎
警察
から連行したします場合には、尼崎市からわざわざ阪神電車を利用して大阪市に出る。大阪市から阪急電車を利用して伊丹市に出る。
從つて
大阪市、神戸市へ連行するより、より以上に時間的に不便さを感じておるのであります。これらは日常のことでありますから、
警察
当局が、経費以外に迷惑をすることは当然なのでございまして、これらの交通
機関
等の
関係
をもお
考え
合わせになりますと、少くとも代用拘置所の施設を速やかに当局としてとらえんことを、特にこの特殊の
事情
に鑑みて——全國的の問題であろうとは存じますけれ
ども
、かような不便さは、全國にまれな例ではなかろうかと
考え
ておるのでありまして、しかも檢挙人数の多い点等、さような実情にあるものの中で、全國的でも特殊なものであろうと
考え
るのであります。これらは最優先をして、何らかの
措置
を特別にお
考え
あらんことを希望してやまないのであります。
石川金次郎
21
○石川
委員長
代理 これに対して、政府側から何らか御答弁ございましようか。
佐藤藤佐
22
○佐藤(藤)
政府委員
御趣旨は十分拜承いたしました。全國的にこの代用監獄並びに拘置所の支所の問題を目下研究いたしておるのでありますが、伊丹市においては、特別の
事情
もおありのように承りましたので、優先的に対策を
考え
たいと思
つて
おります。
石川金次郎
23
○石川
委員長
代理 本案について御質疑ございませんか。他に御質疑はございませんか。——それでは、本案についての
審査
は一應終りましたが、なお盡さない点は適当な機会に取上げたいと思います。
—————————————
石川金次郎
24
○石川
委員長
代理 次に日程第四、
軽犯罪法制定
に関する
請願
、文書表第六七五号を
議題
といたします。
紹介
議員の御
紹介
を願います。林百郎君。
林百郎
25
○林百郎君 これは全日本産業別労働組合
会議
から、四月七日に提出されました
請願
でありますが、非常に遲れまして、本日
委員会
の
審査
にはい
つた
ために、大分
事情
が変
つて
きたのであります。しかしこの
請願
の本旨をよく読んでみますと、結局ただいまの
段階
においては、軽
犯罪
法を撤廃してもらいたいという
請願
になると思うのであります。その
理由
につきましては、さきに本
委員会
において、極悪犯の発生を未然に防いで、終戰以來混乱した社会風教、道徳に一線を引くという趣旨をも
つて
、実は軽
犯罪
法が制定されたのであります。しかし右の趣旨言明は、か
つて
の治安
警察
法、暴力犯取締令等の法令
制度
の設定の際にも言われたことであ
つて
、しかもこの
対象
と
なつ
たものは、軍國法義、フアシズムに反対する労働者、農民、市民の民主的な勢力に対して行われたのであります。その彈圧の絶好の手段として適用されてきたものであることを、労働者としては、一日も忘れることができないのであります。たとえば軽
犯罪
法の中の一つの例を示しますと、公務員の制止を聽かずして、大きな声を出した者とか、あるいは工場または農場等に
理由
なくしてはい
つた
者とかいうようなものが、取締りの
対象
とな
つて
おるのでありますが、これが労働組合の團体交渉権の行使であるとか、あるいは農民組合の土地取上げ反対運動等の際に、非常な反動的な作用を及ばしてくることは明白なのであります。
從つて
、ここに産業別労働組合
会議
は、日本の民主的再建の大道を行く全労働者の要望として、次のごとく政府に申し出ているのであります。第一は、軽
犯罪
法は、労働運動、農民運動その他一切の民主的運動に対しては絶対適用しないようにしてもらうこと。二としては、右の趣旨をよく
警察官
、司法
機関
に徹底して、現在各地に起
つて
おるような不法檢束、留置に対しては、ただちに釈放の
手続
をと
つて
もらうこと。三として、右の完全な保障を與えると同時に、將來速やかに適当な機会に、この軽
犯罪
法を撤廃してもらいたい。この三つの要項を労働者の名において、本
委員会
を通じ、政府に
請願
する次第であります。
石川金次郎
26
○石川
委員長
代理 この際、政府の御
意見
があれば承りたいと存じます。
國宗榮
27
○
國宗
政府委員
軽
犯罪
法は、御承知の通りに、すでに四月三十日第二回國会で
法律
として成立いたしまして、五月二日施行されたわけでありますが、その制定の趣旨は、あくまでも國民の日常道徳規範の遵守を確保する点にありまして、決して合法的な農民運動、あるいは労働運動等の彈圧を目的とするものでないことは、この
法律
の
審議
の過程におきまして、政府側からしばしばこれを明らかにした通りであります。しかも國会におかれましては、その濫用のおそれあることを心配なさいまして、御承知のように、この
法律
の第四條といたしまして、いやしくも濫用することのないよう、運用上の注意
規定
を挿入修正されたのであります。なお政府といたしましても、この趣旨を十分に考慮いたしまして、
法律
事項とともに、各
檢察廳
に対して通牒を出しまして、そうしてかような合法運動抑圧に、その
法律
を利用することがあ
つて
はならない。またその捜査のための身柄の拘束は、最小必要限度に止めるように注意しておるのでありますから、御心配になるような点は、私
ども
はないと信じております。なおこの
法律
につきまして、これを撤廃したらどうかというお話でございますが、これはただいまも申し上げましたように、國民の文化的な、日常道徳規範の遵守を確保する、こういう單なる趣旨に出ておるのでありまして、今日の社会の事態におきましては、私
ども
は撤廃の必要なしと
考え
ております。
石川金次郎
28
○石川
委員長
代理 本案について御質疑ございませんか。他に御質疑ございませんか。——それでは、これにて本案についての
審査
は一應終りましたが、なお盡さない点は、適当な機会に取上げたいと思います。
—————————————
石川金次郎
29
○石川
委員長
代理 次に日程第一〇、
軽犯罪法制定
に関する
請願
、文書表第九七五号を
議題
といたします。
紹介
議員の御
紹介
を願います。中村俊夫君。
中村俊夫
30
○中村(俊)委員 本
請願
は、東京都建設局内にあります日本都市美協会会長澁澤秀雄君よりの提出にかかるものでありまして、大体その趣旨は、わが國の都市は敗戰により極度に荒廃に帰し、市民のすさんだ
氣持
を一層暗くしておる。かかるありさまであるから、少しでも市民の心を和らげ、息拔きのできる明るい場所とながめを都市内につくることを要望されるのである。都心地にある橋梁は、都市美の点より見ると、顔にたとえるならば眼のごときものであるから、これにみだりに貼紙等をして汚し、または橋上の路面で物賣り等をして、これをみだりに使用し、交通を防げ、あるいは橋台地の緑地その他の公共緑地に仮設物、廣告物等を設置することは、
自分
の顔に泥を塗るようなものであり、またわれわれ市民の公有財産を汚辱するものである。しかるに最近の
状況
ははなはだしく目にあまるものがあり、このまま放任するときは、ますます醜悪なる結果となることは明らかであるので、 一、都市の橋梁、鉄道橋脚(ガード)並びに公共建造物に
許可
なくして貼札貼紙をすることを禁ずる。 二、都市の橋梁の路面上において物賣り、宣傳その他のため路面を使用してはならぬ。道路交通取締法(橋梁も含む) 三、都市の公共緑地橋台地の緑地内に
許可
なくして仮設物並びに廣告看板等を設置してはならぬ。 こういうような
規定
を入れてもらいたいという希望でありますが、すでに軽
犯罪
法は通
つて
おりますので、でき得べくんば、最も近き將來において
改正
の機のあるときには、ぜひこの趣旨を諒とされて、希望のごとき
規定
を挿入されんことをお願いする次第であります。
石川金次郎
31
○石川
委員長
代理 この際政府の御
意見
があれば承りたいと存じます。
國宗榮
32
○
國宗
政府委員
請願
の御趣旨につきましては、ま
つた
く同感でありまして、まことに傾聽すべき御
意見
だと存ずる次第であります。ただ遺憾なことには、御承知の通りに軽
犯罪
法案は、すでに四月三十日
法律
として成立し、五月一日から施行中でありますので、御希望の点はさしあたり不可能ということになりました。もつとも御趣旨の中の第一の貼札、貼紙の点につきましては、軽
犯罪
法の第一條の第三十三号に「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし」云々という
規定
がございますが、この條項に該当すると思いますので、この点につきましては、御趣旨は達していると存ずるのであります。ただそのほかの二点については、軽
犯罪
法には一應該当いたしませんが、第一國会で制定されました道路交通取締法の第二十六條によりますと、道路に露店あるいは屋台店を出したり、また道路に碑表、廣告板、飾塔等を設置する場合には
警察
署長の
許可
を要することにな
つて
おります。またこの道路の中には、当然橋梁も含むと
考え
られますから、この点につきましては、御趣旨は大体これによ
つて
達成される場合もあり得ると
考え
ております。なおこれによりましても、不十分な点は、今後の軽
犯罪
法の実施によりまして、
改正
の際に考慮いたしたいと
考え
ます。
石川金次郎
33
○石川
委員長
代理 本件について御質疑はございませんか。それでは本件についての
審査
は一應終りましたが、なお盡さない点は、適当な機会に取上げたいと思います。
—————————————
石川金次郎
34
○石川
委員長
代理 次に日程第三、岩井町に
簡易裁判所設置
の
請願
、文書表第六一五号を
議題
といたします。
專門調査員
より説明を願います。
村教三
35
○村
專門調査員
岩井町に
簡易裁判所
及び
檢察廳設置
についての
請願
、新憲法の実施に伴い、
簡易裁判所
及び
檢察廳
が新に設置され、明朗にしてしかも民主的な
裁判
が
執行
されますことは、まことによろこびにたえない次第であります。さてわが岩井町は、鳥取縣岩美郡東部國道第十八号線中に位置し、往時より温泉街としてあまねく世に知られ、
警察
署、登記所、郵便局等、國家
行政機関
の分廳もあり、市井の態勢を保持し、本町財政の大半を負担しておる
状況
であります。仄聞いたしますと、目下貴廳におかせられては、当岩美郡東部に標題の
機関
を新設せられます趣き、隣接浦富町外数箇町村より本件について熱心なる運動を開始しているようでありますが、本町は前記の通り各種公共施設の恩惠により、その生命を維持しているような次第でありますので、新設されんとしている
機関
と最も密接な
関係
を有せらるる岩井
警察
署所在地たる当町へ設置方要望いたします。ここに謹んで
請願
申し上げる次第であります。
石川金次郎
36
○石川
委員長
代理 この際政府に御
意見
があれば承りたいと存じます。
岡咲恕一
37
○
岡咲
政府委員
ただいまお述べになりました御
請願
の御趣旨は、よく了承いたしました。
簡易裁判所
及び区
檢察廳
の設置につきましては、最初一
警察
署に対し一つの
簡易裁判所
と一つの区
檢察廳
とを設ける方針でありましたが、予算の
関係
上大体二つの
警察
署に対し一つの
簡易裁判所
と一つの区
檢察廳
とが設けられたのでありまして、現在全國に五百五十九箇所の
簡易裁判所
と区
檢察廳
が設立せられておりますが、四月一日現在におきまして、建物等の
関係
から、未開廳のものがなお六十数箇所ありまして、政府といたしましても、これらの開廳法に全力を盡しておるのでありまするが、仰せのように
簡易裁判所
及び区
檢察廳
の新設方につきましても、熱心に陳情または
請願
の次第もありますので、最高
裁判所
ともよく協議いたしまして、財政その他の
事情
の許す限り、なるべく御希望に副うように努力いたしたいと存じますから、さよう御了承をいただきたいと存じます。
石川金次郎
38
○石川
委員長
代理 本件について御質疑ございませんか。それではこれにて本件の
審査
は一應終りましたが、なお盡さない点は適当の機会に取上げたいと思います。
—————————————
石川金次郎
39
○石川
委員長
代理 次に日程第七、
戸籍事務公吏
を官吏に登用の
請願
、文書表第八二三号を
議題
といたします。
專門調査員
の説明を願います。
村教三
40
○村
專門調査員
戸籍事務公吏
を官吏に登用する
請願
、戸籍事務は國の行政事務なるにかかわらず、地方自治
機関
の代表たる市区町村長をも
つて
これを管掌せしめておりますが、実際上市区町村長は名義のみにて、そのほとんど全部は、市区役所または町村役場の吏員をしてこれを取扱わしめております。しかしその責任者たる市区町村長においては、これが事務を理解しておる者皆無と申すもあえて過言ではなく、この事務は國政の最も重要なる基礎をなすものでありますから、
都道
府縣または市区町村の行政の大
部分
は、戸籍なくしてはほとんどこれを行うことができないものであります。
從つて
市区町村の他の一般行政事務に比して、最も重要なる地位を占めておることは、何人もこれを認めねばならぬはずと思いますが、往々にして軽んぜられ、事務の澁滯を來す等のおそれあるは、はなはだ遺憾な次第であります。これに反して、同じ國の行政事務である登記事務は、國の官吏をして司法行政の監督下におかれ、その事務の万全を期しておるものであります。しかるに戸籍事務は、同じ司法行政の監督であるといえ
ども
も、市区町村の経費をも
つて
市区町村長の管掌に属するがゆえに、戸籍事務担当者は、このほかに数量の事務を兼務せざるを得ない
状況
にあり、殊に近時戸籍事務は、一層激増
複雜
を極むるのみにて、これが取扱いの当否遅速は、ただちに國家の政務並びに私人の権義に至大の
関係
を有するのみならず、國策遂行上にも、甚大なる影響を及ぼすものと思考いたす次第であります。よ
つて
戸籍事務も司法行政の監督下にある登記事務と何ら区別することなく、速やかに國家の官吏に登用し、しかして各市区町村にこれを駐在さるるならば、戸籍事務の適正迅速なる
処置
をなし得ることは、信じて疑わざるところであります。 希くは右願意何とぞ御洞察の上、名義のみの市区町村長の管掌を改め、実際上の戸籍事務担当者たる市区町村吏員を國家の官吏に登用し、しかして市区町村に駐在せしめ、も
つて
新憲法下における戸籍事務の万全をはかられんことを
請願
いたします。
石川金次郎
41
○石川
委員長
代理 政府の御
意見
があれば承りたいと存じます。
佐藤藤佐
42
○佐藤(藤)
政府委員
戸籍事務が國家の重要な行政事務であるひとは、ただいま仰せの通りでありまするが、この戸籍事務担当の市町村吏員を、今ただちに國の官吏に登用いたしますことについては、その経費の莫大なる点に鑑みて、とうてい実現が困難であろうと存ずるのであります。また機構の上から
考え
ましても、さらに研究の余地があると存ずるのであります。しかしながら、この重要な國家行政事務を市町村に委任いたしておりまする
関係
上、國においてもできるだけその経費を負担する必要がありまするので、本年度においても、地方税のうちから数億円を戸籍事務担当者に要する経費として、市町村に補助するという
提案
もあるやに伺
つて
おりますので、さような
提案
が実現いたしますれば、戸籍事務担当の市町村吏員も、安心してその職務に專念することができるのではないかと
考え
られます。
石川金次郎
43
○石川
委員長
代理 本件について御質疑ございませんか。——それではこれにて本件についての
審査
を一應終りましたが、なお盡きない点は、適当な機会に取上げたいと思います。
—————————————
石川金次郎
44
○石川
委員長
代理
紹介
議員が見えておられませんので、残余の日程はこれを延期し、本日はこれにて
請願
の
審査
を終ります。
—————————————
石川金次郎
45
○石川
委員長
代理 次に
少年法
を
改正
する
法律案
を
議題
とし、
審議
することにします。中村委員。
中村俊夫
46
○中村(俊)委員
少年法
第十一條二項「
家庭裁判所
は、正当の
理由
がなく前項の呼出に應じない者に対して、
同行状
を発することができる。」こういう
規定
がありまして、これを第十三條によ
つて
「
同行状
は、
少年保護司
が、これを
執行
する。」なお第二項に「
家庭裁判所
は、
警察官
、
警察吏員
、
観察官
又は
保護委員
をして、
同行状
を
執行
させることができる。」こう書かれておるのですが、この場合にこの
同行状
は、いわゆる
刑事訴訟法
上の勾引状に相当すべきものだと思われるのですが、
警察官
、
警察吏員
等が、
同行状
を
執行
することはわかりますが、それ以外の
観察官
または
保護委員
あるいは
少年保護司
に、
同行状
を
執行
せしむるということは、特にこの
規定
によ
つて
與えられるのであるか、ほかにそういう
権限
が與えられておるものが
執行
し得ることにな
つて
おるか、お伺いいたします。
石川金次郎
47
○石川
委員長
代理 これより筆記にいたします。
—————————————
〔以下筆記〕
佐藤藤佐
48
○佐藤(藤)
政府委員
お尋ねの
少年法
第十三條において
同行状
の
執行
をする職名を列挙しているのであるが、その
権限
はこの
規定
によ
つて
生ずるのであるます。
中村俊夫
49
○中村(俊)委員 第十一條第二項の
同行状
については、第二十六條の
同行状
と違い、
少年
が除外されているものと思うがいかん。
佐藤藤佐
50
○佐藤(藤)
政府委員
第二十六條に
規定
する
同行状
の
執行
については、
兒童
福祉司及び
兒童
委員が、特に掲げられているが、第十一條の
同行状
は、
少年
を同行することと違い、
保護者
の
調査
等が主なるものゆえ、
兒童
福祉司及び
兒童
委員を除外し、第十三條の
少年保護司
、
警察官
、
警察吏員
、
観察官
または
保護委員
に限
つた
のであります。
中村俊夫
51
○中村(俊)委員 「
少年
又は
保護者
」とあ
つて
、
少年
も加わ
つて
いるが、
少年
をあまり問題にしないという趣旨であるか。
佐藤藤佐
52
○佐藤(藤)
政府委員
第十一條の
同行状
は、第二十六條の
決定
の
執行
と違い、
裁判
する前に、
少年
または
保護者
を取調べる捜査の
段階
に必要な
同行状
であるから、わざわざ
兒童
福祉司または
兒童
委員を煩わす必要はないと思
つた
のであります。
中村俊夫
53
○中村(俊)委員 私は
少年
の刑事
裁判
については知
つて
いるが、家庭
裁判
については、あまり知らないから、家庭
裁判
の実情を知りたいと思う。一日で終りますか。犯人を調べたり、証人を喚問したり、相当の日数を要するのではないか。そのときの
本人
の拘束状態いかん。というのは、
少年
を未決においておくような
規定
が見えるから……。
佐藤藤佐
54
○佐藤(藤)
政府委員
從來
少年審判所
において、
少年
、受取り、その日に
審判
できる例は少い。今後
少年審判所
が
家庭裁判所
に変り、專門家を置き、
調査
鑑別する方法をとるので、少くとも二、三日継続して
調査
しなければ
審判
はできない。欧米でも三日は要します。
中村俊夫
55
○中村(俊)委員 拘禁の状態について。
監護
所を利用して拘禁しておくのか。
佐藤藤佐
56
○佐藤(藤)
政府委員
保護処分
決定
までは、
保護
所
デイテンシヨン・ホーム
に
監護
しておく。相当自由が拘束される。逃走のおそれのないように施設をつくる。
中村俊夫
57
○中村(俊)委員 第二十四條「
家庭裁判所
は、前條の場合を除いて、
審判
を開始した
事件
につき、
決定
をも
つて
、次に掲げる
保護処分
をしなければならない。」これに対して、第三十二條には「
保護処分
の
決定
に対しては、
決定
に」云々とあるが、
決定
には詳しい
内容
がなければならない。この
決定
の
内容
をお伺いしたい。
佐藤藤佐
58
○佐藤(藤)
政府委員
第二十四條により
家庭裁判所
が
保護処分
の
決定
をなす
形式
と要件は、最高
裁判所
のルールにより定められると思うが、立案者としては、普通の判決に準じて、事実
関係
、
理由
等を明らかにせねばならぬ。
中村俊夫
59
○中村(俊)委員 最高
裁判所
の規則で定めるというが、それに関連して、第三十六條「この
法律
で定めるものの外、
保護事件
に関して必要な事項は、最高
裁判所
がこれを定める。」とあるが、
保護
事項は憲法第七十
七條
のどの事項に根拠をおくものであるか。
佐藤藤佐
60
○佐藤(藤)
政府委員
憲法第七十
七條
「最高
裁判所
は、訴訟に関する
手続
、
弁護士
、
裁判所
の内部規律及び司法事務
処理
に関する事項について、規則を定める
権限
を有する。」によるのでありますが、
刑事訴訟法
によるものもあるが、別に断り書きしてない場合が、規則制定権に入る。規則制定権に入る事項中には、一部は訴訟に関する
手続
、一部は
裁判所
の内部規則また一部は司法事務
処理
に関する事項である。
中村俊夫
61
○中村(俊)委員 第二十
五條
の意味について伺いたい。二十
五條
の
措置
のみによ
つて
目的を達すればそれでいいのであるか。
佐藤藤佐
62
○佐藤(藤)
政府委員
第二十
五條
は、
保護処分
を
決定
するため必要な
処分
、いわゆる仮
処分
ゆえ、それをもら
つて
相当な
期間
観察し、
決定
に熟したとき、第二十四條により本
決定
がなされる。
中村俊夫
63
○中村(俊)委員 次に第二十三條第二項にある「
審判
の結果、」と第二十
五條
の
措置
との
関係
はどうであるか。
佐藤藤佐
64
○佐藤(藤)
政府委員
仮
処分
の結果
審判
の必要ないとき、
審判
を開かないで、ただちに第二十三條第二項の
処分
をせねばならぬ。ただ立案者は、
審判
を開かないうちに、
保護処分
の要なしと認めるとき、第二十
五條
の
決定
をした方が簡略で適当と思う。
中村俊夫
65
○中村(俊)委員 第三十二條について質問する。これら
保護処分
の
決定
の
内容
は、最高
裁判所
のルールできめられ、大体政府の説明では、判決と同じものというが、
決定
書を渡されたときからでなければ、知る機会が少いと思うがいかん。
佐藤藤佐
66
○佐藤(藤)
政府委員
普通
裁判所
における
決定
は、
決定
書が当事者に送達されてから
抗告
期間
が計算されるものであるから、最高
裁判所
においても、この間の
事情
をくんで、ルールで定められることと思う。
中村俊夫
67
○中村(俊)委員 第四十四條第三号は、令状の効力のことでしようね。
佐藤藤佐
68
○佐藤(藤)
政府委員
仰せの通りです。 午後三時三十分散会