運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1948-06-04 第2回国会 衆議院 司法委員会 第24号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年六月四日(金曜日) 午前十一時二十一分
開議
出席委員
委員長
井伊 誠一君 理事
石川金次郎
君 大村 清一君 佐藤
通吉
君 花村 四郎君 松木 宏君
明禮輝三郎
君 池谷 信一君 石井
繁丸
君
猪俣
浩三
君
中村
俊夫君
中村
又一君 大島 多藏君
北浦圭太郎
君
出席政府委員
法務政務次官
松永 義雄君 檢 務 長 官
木内
曽益
君
法務廳事務官
野木 新一君
法務廳事務官
宮下 明義君
委員外
の
出席者
專門調査員
村 教三君
專門調査員
小木 貞一君 ――
―――――――――――
六月三日
戸籍事務
の運営に関する
陳情書
(第四六八号)
宮崎縣
に
高等裁判所支部設置
の
陳情書
(第四八六号) 軽
犯罪
法に関する
陳情書
(第四八七号)
嘱託少年保護司
に対して
補導費助成
に関する陳
情書
(第 四九〇号)
金澤少年審判所廳舎建設並びに少年院設置
の陳
情書
(第四 九三号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
事件
刑事訴訟法
を改正する
法律案
(
内閣提出
)(第 六九号) ――
―――――――――――
石川金次郎
1
○
石川委員長代理
会議
を開きます。
刑事訴訟法
を改正する
法律案
を議題とし質疑にはいります。発言は
原則
として
通告順
にこれを許します。
猪俣浩三
君。
猪俣浩三
2
○
猪俣委員
当局
は新しい
憲法
に合わせるべく、非常にお努力なさ
つて案
をつくられた。それに対しましては敬意を表します。ただ
本法
を
実施
するにつきましては、いろいろな
現実
の問題が横たわ
つて
おると思います。從いましてさようなことに関しまして、およそ十点ばかり御
質問
申し上げたいと思うのでありますが、第一点から
質問
申し上げるとともに御
答弁
いただきまして、次に移るようにしてもらいたいと思うのであります。私は
委員長
から総括的な
質問
をするように
お話
がありましたので、大体その方向で進みますが、中にはこまかいことについても一、二御
質問
申し上げたいと思います。なおなるべく
自分
の
意見
は発表せずに、御
答弁
だけいただきたいと思いまするけれ
ども
、いきおいやはり
意見
に及ぶこともあるかも存じませんが、御了解願いたいと思います。
本法
を
來年
の一月からただちに
実施
することにつきまして、
現実
の
裁判所
の有樣と照らし合わせまして、これがはたして可能なりや
否や
ということにつきまして、
理念
はさておきまして、実際の問題といたしましてここに疑問があるのであります。そこでそれに関連いたしまして、一、二
数字
的に御説明していただきたいと思いまするが、もし御用意なければ次回の
委員会
でも差支えないと思うのであります。それは第一
審裁判所
の
律事
の現在数がどのくらいにな
つて
おるか、それから
事件
の
件数
がどのくらい係爭されておるか。
從つて
一人の
判事
の受け持つ
件数
がどのくらいにな
つて
おるか。これは現有の
状況
であります。それから
來年
の一月からこれを
実施
するにつきまして、われわれの見るところによれば、一
審判事
というものは相当
増員
されなければならぬと
考え
るのであります。
一体
どのくらいの
増員
を必要と
当局
は見ておるのであるか。あるいはまた
廳舎
の
増設
も必要じやないかと思うのであるが、どの
程度
の
増設
を見込まれておるのであるか。この不足する
判事
の
補充
はどういうふうにしておやりになる予定であるか。
來年
と申しましても間もないことであります。つまり現在の統計的の
数字
、及び
本法実施
における際の
当局
の予想せる
数字
、さようなものをお聽かせ願いたいと思うのであります。
高等裁判所
の
判事
を移動するにいたしましても、これもなかなか十分じやないと思いまするし、また
司法修習生
を採用して
補充
するといたしましてもこれも二年間修習しなければならぬのみならず、
裁判所法
第二十
七條
によりましては、修習して出た者は一人前の
判事
にはまだなり得ない。かような
状況
に際しまして
本法
を
実施
しようとする際に、そこにいささかの
疑義
が起るのでありまして、
理念
としてははなはだ結構であ
つて
も、実際としては
裁判所
の
判事
ないし
廳舎
の不足を生じて、事実問題としては
裁判
が非常に混乱するようなことが起りはせぬか。さような憂慮があるのでありまして、まずこの点について御
答弁
いただきたいと思います。
木内曽益
3
○
木内政府委員
お答えいたします。御
質問
の御
心配
の点はまことにご
もつ
ともと
考え
るのであります。ただいま
お話
の
判事
の現在の数とか、あるいは
事件数
、それから一人当りの
受持件数
というような点の正確な
数字
につきましては、今手もとに持ち合わせておりませんから、これは早急に調査いたしまして、
書面
で御報告申し上げることにいたします。なお一番の
裁判
が今回の
改正案
によ
つて
非常に丁重になる結果、もちろん
相当数
の一
審関係
の
判事
を増さなければならないとか、あるいは
法廷等
も
増設
しなければならないということは、私
ども
の方でも
考え
ておるのであります。それで何人くらい
増員
を要するかというような点につきましても、これは今のところ十分なる統計をつく
つて
おりません。予想をつく
つて
おりませんから、これもいずれ
書面
で御報告申し上げることにいたします。ただこの
刑訴
の
改正案
が
実施
されるということになりまして、
從來
の
裁判手続
より非常に変りましたために、これを動かしていくということについて、いろいろの御懸念のあるのもご
もつ
ともでありまするが、まず第一に私
ども
の方といたしましては、とにかく一月一日までには半年の
期間
があるわれでありまするし、その間にできるだけの施設その他の
方法
を構じまして、何としてでもこれを動かしていきたいという
考え
をも
つて
おるわけであります。殊に新
憲法
の三十一條以下の
規定
は、すなわち結局
刑事訴訟
に
関係
する
規定
でありまして、とにかく
憲法附属
の
法典
といたしまして、
刑事訴訟法
が最も重大なる
法典
の
一つ
であると
考え
ておるのであります。
從つて
新
憲法
の
趣旨
を
実施
するのは、どうしてもこれに即應した
刑事訴訟法
を
実施
しなければ、その
憲法
の
考え
ている
基本的人権
の保障が全うし得ないと
考え
ておるのであります。その
意味
において、一日も早くこの
法案
を
実施
すべきだと
考え
るのでありまするけれ
ども
、しかし御
心配
のように、ただちに
実施
するということは困難であるために、ここに一月一日ということにいたしたのであります。その点におきまして、一審の
調べ
が非常に丁寧になる結果、あるいは
設備
とか、ある
審理
につきましては、あるいは相当延びるということになり
法廷等
の
設備
についても、あるいはこれで足りないのではないかということは、私
ども
も
考え
ているところであります。しかしながらすでに
実施
されておりまする
應急措置法
の例をも
つて
申しまするならば、
應急措置法
が
実施
されまするときに、私もその
一線
を
扱つて
お
つた
ものでありまして、
一線
の
立場
から見ましても、かような
方法
でや
つて
いくということは、とうてい治安の責任をもてぬのではないか。
從つて
かような
手続
でやることも、
相当先
へ延ばす必要があるのではないか。あるいは
檢事
の手も足りぬということが問題にな
つたの
でありまするが、いよいよ
実施
されてみますると、なるほど急に
手続
が変りましたので、ちよつと一箇月かそこらの間は、いろいろ混乱と申しまするか、手違い、さような点が起きた場合もあ
つたの
であります。しかしとにかく足りない人員で一生懸命や
つて
いきましたところ、その後さしたる故障もなく、むしろより以上の効果をあげているような次第であります。それからまた
公判
の
関係
におきましても、大体
應急措置法
の線を丁寧に條文化したのがこの
改正案
でありまして、
從つて
この
應急置法
の線で、実際今日や
つて
おりまする
公判等
を見ましても、とにかく事なく無事にや
つて
い
つて
おる次第であります。また一部におきましては、厖大な
判事
の数を必要とするというようなことを言
つて
おる者もあるやに聞き及ぶのでありますけれ
ども
、ただ人手ばかりを
考え
ておりまするならば、
お話
の運りほかの
職員
とは違いまして、
判事
とかあるいは
檢事
のようなものは、早急に
補充
のできない
関係
にあるので、そうすると
一体
何年後に
なつ
たならば、その人を充実さしてこの刑法を動かしていくかということに相なると思うのであります。そうして一方
憲法
の要求している
基本的人権擁護
の建前から見まするならば、一日も早く
改正案
のような
手続
でや
つて
いかなければならないのであります。その点を考慮いたしまして、また
應急措置法
の場合の
実績
を考慮いたしまするならば、とにかく
現状
においても何とかこれを動かしていけるというふうに私
ども
は
考え
ておるのであります。その点を多少具体的に申し上げてみますると、一審の
手続
は非常に丁重になりまするか、要するに
公判
の開廷の数が殖えるということになるのであります。ところが
從來
の
訴訟
きますると、
捜査記録
を全部つけて
裁判所
へ送
つた
わけでありまして、
判事
の
労力
というものは
公判
におけるよりもより以上に、むしろ
自宅等
におきまして
記録
を精査するということに、非常な
労力
と日数とを要してお
つたの
であります。この点が今度の
訴訟法
になりまするとその必要がなくなるわけです。御承知の運り今度の
訴訟
は、
判事
に
関件
に対する予断を懐かしてはいけないというので、
起訴状
だけをまず
裁判所
に送りこむということになるわけであります。
公判廷
それに関連する
証人調べ等
の場合におきましては、その前には
檢事
の方から調ぶべき
証人
、こういうのと、こういうのがあるということを申し上げまして、それに基いて
証人調べ
をいたし、要するに
法廷
において初めて
判事
が
事件
の内容を
知つて
、
審理
を進めていくという形でありますから、かりに
公判
がよけい開廷するから
といつて
も、
判事
は現在のまま、
公判
が延びただけよけい
手数
がかかるというものではないと思うのであります。 それからまた
公判廷
の
審理
の
状況
でありまするが、まず一例が
自白
している
事件
であるといたしまするならば、その
調べ
の
手数等
におきましては、やはり現在と同じ
手数
でいくのじやないかと思うのであります。現在におきましても、ただ
自白
一本だけで
裁判
をしておるという場合はないのでありまして、なお他の
証拠調べ
もするということにな
つて
おるのでありますから、この
改正案
では
法廷
における
自白
一本では
証拠
とならないということにな
つて
お
つて
、いかにも
從來
よりはめんどうな
手続
が必要のように見えますけれ
ども
、実際の
手続
の
運用
を
考え
てみますと、現在の
公判
でや
つて
いる
自白事件
の場合と大差ないと、かように
考え
るのであります。それから否認をいたしておる
事件
てありまするならば、現在におきましてもやはりいろいろに
証人
を
調べ
る等のことをいたしておるのでありまして、この点もそのために特によけい時間がかかるということをも予想できないのであります。それからもう
一つ
は、
現行刑訴
はいわゆる
まつ向
から
交互尋問制
はと
つて
おりませんけれ
ども
、しかしながら実質においては
交互尋問制
をと
つて
おると同じ形で行
つて
おるのであります。
從來
の場合はいかがかと申しますると、
從來
の場合におきましても
証人
の
調べ
におきまして、
弁護人
なり
檢察官
なりが、いわゆる
補充尋問
の形において納得のいくまで
尋問
をしておるわけであります。さような点から
考え
ますると、この
刑訴
の
公判手続
が
現行刑訴
とはおそろしく変
つた
ように見えますけれ
ども
、
憲法
に抵触しないように、
應急措置法
で現在の
公判手続
が円満に、無事に進行しておるのでありますし、しかも
公判手続
もまたこの
應急措置法
の線を、さらに
憲法
の精神に副うように條文化し、これを整理してあるわけでありまするから、実際問題といたしましてはそのように多数の人が不足する、また現在のままでこれを動かしてい
つて
全然
裁判
が動かなくなるというようなことはないと、私
ども
はかよう
に
考え
ておるわけでございます。ただ問題は今度は
強制弁護
の範囲が非常に廣くなりましたので、
從來
は
弁護人
がなくてもただちに
裁判
ができたのを、今度
弁護人
を必ずつけなければ
公判
の
審理
ができないというようなことにな
つて
おりますので、その点では多少
審理
が長びくということが
考え
られるのでありまするけれ
ども
、また一面
弁護人
の方におきましても、
公判
における弁論とか、その他に少しく工夫をされて要領よくやれば、またその
運用
の
いかん
によ
つて
は、さしたる変化もなくや
つて
いけるのではないか。
從つて
一月一日から
実施
することはでき得るというふうに私は
考え
ておるわけでございます。
猪俣浩三
4
○
猪俣委員
私
ども
が
疑義
をもちますのも、本年の五月三日の朝日新聞の報ずるところによりますと、これは
最高裁判所
から出た
記事
だろうと思いまするが、いわゆる
應急措置法
が
実施
にな
つて
から、犯人の
拘留
の
期間
が非常に延びておるということが統計的にわかるのであります。たとえば二箇月以上六箇月以内の
拘留者
は、
昭和
十二年にはパーセンテージは四・八%であ
つた
ものを、
昭和
二十二年の九月には一三・六%にな
つて
おるのであります。
應急措置法
が四月にできて以來、
拘留期間
は非常に延びております。また一月以上二箇月以内の
拘留者
が
昭和
十二年には一二・三%であ
つた
ものを、
昭和
二十二年九月には二四・一%というふうにな
つて
おる。これはなぜかというと、結局
審理
がはかどらぬためではないかと思う。今
木内
さんは
実績
に徴して
心配
がないような御説でありましたけれ
ども
、この
應急措置法
が
適用
に
なつ
ただけでも
実績
で
はかよう
にな
つて
おる。なお
應急措置法
を徹底いたしました
刑事訴訟法
が
実施
されたならばどうなるかという、一應の危惧の念があるのでありまして、今御
質問
申したのでありますが、まだ
実施
に
なつ
たときの
判事
の
増員いかん
というようなことは、お
考え
にな
つて
おらぬという御
答弁
でありましたが、これは至急ひ
とつ
構想
を練りなさらぬと、今の小学校や中学校における六・三制みたいな始末になると、これはなかなか容易ならぬことだと思うのであります。私はいつも
理念
としてはまことに結構だと思うのだが、どうも六・三制の
現状
では、はなはだ理想と
現実
があまりに違いすぎて悲哀を感ぜざるを得ない。ああいうことが
裁判
に起りますと、ゆゆしき問題だというふうに
考え
られるのでありまして、至急
構想
を練
つて
いただかないといかぬのじやないかというふうに思われるのであります。これは
自分
の
意見
になりますからこの
程度
にいたしておきます。 次に私は
檢察官
と
司法警察職員
との
関係
について御
質問
したいと思うのでありますが、これは
関係者
が來ていないし、
法務総裁
も見えておられないのでどういうことになりますか、何なら午後にまわしまして、第二点といたしまして
弁護人
の
制度
のことについて、少し御
質問
をしたいと思うのであります。 申すまでもなく本
刑事訴訟法
が
当事者訴訟主義
をおとりにな
つて
、相当これを徹底させておることについては、私
ども賛意
を表しておるものであります。ただしこの
当事者訴訟主義
の徹底ということは、必ず前提があるのでありまして、これはいわゆる
弁護人
の
活動
、この
弁護人
がフルに
活動
いたしませんと机上の空論に終
つて
しま
つて
、
当事者訴訟主義
ということは
有名無実
になるのであります。そこで
当事者訴訟主義
を貫徹せんとするには、
弁護人
の
制度
としての
弁護士
、及びその
弁護士
の
法廷
における
権利
、地位、こういうものを強化することが何よりも大切であると思うのであります。その点から
本法
案を見ますと、相当
権利
の
拡張
もされておりまするが、なお私
ども
がそこに
一つ
の
疑義
をもちますのは、第一といたしまして現在の
弁護士
の
制度
でも
つて
、はたして
檢察官
と対等な
活動
がなし得るかどうか。
檢察官
は強大なる
搜査権
をもち、
証拠蒐集能力
をも
つて
おります。
檢察事務官
あるいはその他の
司法警察官
、これと対等の
立場
に
弁護士
がやはり
防禦
の
方法
を講ずるという際には、現在の状態でははなはだ困難をきたすのじやないか。文章として見ますとまことに
りつぱにでき
上
つて
おりますが、
現実
の問題として
攻撃防禦
の
現実
の姿を
考え
ますと、これがはたして言うがごとく、
当事者訴訟主義
の貫徹として現われるか否かということに対しては、多少の疑問があるのであります。そこで
制度
といたしましては
弁護士補助員
とかを認め、これにやはり
弁護士
とともに
証人
、あるいは
搜査
、あるいは
檢証
の際に立会わせるとか、要するに
檢察官
が
檢察事務官
なり、
司法警察職員
を
補助者
として使うことができるように、
弁護士
に
補助員
を合法的に認めるような
制度
を、
弁護
だ
士法並び
に
訴訟法
に設ける必要がなろうか。そして
制度
としての
弁護士い
をもう少し力を強固にする。しからざればはなはだ結構な案ができておりましても、十分に
弁護士
がその力量を発揮することができず、やはり
檢察官
の方が
弁護士
を上まわ
つて
活動
してしまう。
当事者主義
はそこで破れるというふうに
考え
られるのであります。かようなことにつきましては
当局
はどうお
考え
にな
つて
おりまするか、お聽きいたしたいと思います。 その次には今度は
弁護士
の
権利
の問題であります。これも相当
拡張
されておるのでありますが、なおこの
草案
を見まして二、三疑問に思うところがあるのでありまして、要は
弁護士
の
権利
の
拡張
、すなわち
当事者訴訟主義
を実行せんことといたした
権利
の
拡張
として最も問題になるのは、
被疑事件
についての
弁護士
の
立場
であります。この
被疑事件
についても
十分弁護士
の
活動
を認めないならば、
檢事
と対等な
意味
において
攻撃防禦
ができない。この
弁護士
の
権利
といたしましては
押收
、
搜索
、
檢証
、
証人尋問等
における
立会権
、第一は
立会権
でありましようが、この
立会権
は
被疑事件
について十分認めていかぬと、そこに十分なる
防禦
の態勢がとれないと思うのであります。ところが本
草案
を見ますると、どうも
被疑事件
におきまして
檢事
が盛んに
活動
している際に、
弁護士
の
立会権
を認めておらない。たとえば二百十
八條
に「
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員
は、
犯罪
の
搜査
をするについて必要があるときは、
裁判官
の発する令状により、
差押
、
搜索又
は
檢証
をすることができる。この場合において
身体
の檢査は、
身体檢査令状
によらなければならない。」とあります。ところがこれにつきましては、二百二十
二條
に
被疑者自身
を立ち会わせることができるというような
規定
があります。第六項目に当ると思いますが、「
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員
は、第二百十
八條
の
規定
により
差押
、
搜索又
は
檢証
をするについて必要があるときは、
被疑者
をこれに立ち会わせることができる。」とあ
つて
、
被疑者
についてでありますから「必要があるとき」という
條件
、それから「立ち会わせることができるという一方的のものにな
つて
おるのでありますが、とにかく
被疑者
も立ち会わせることがあり得るのであります。これに対して
弁護士
の立会いということがない。百十三條が準用されておらぬのであります。二百二十
二條
に百十三條だけは抜かしてあるところを見ますると、
弁護人
の
立会権
を認めないという
趣旨
であろうと思います。これはどうも
当事者訴訟主義
の
原則
から見ておもしろくない。
草案
の百十三條を見ますると、「
檢察官
、
被告人
又は
弁護人
は、
差押状
又は
搜索
状の執行に立ち会うことができる。」とあ
つて
、これは
権利
として認められておる。百十三條には
弁護人
の
立会権
を認めておりながら、いわゆる
被疑事件
の二百十
八條
では認めないということは、どうもまだ
搜査
の
密行主義
という、
從來
からの観念が拂拭し切れないでいるのではないか。もちろん
搜査
の段階におきましては、さような必要があるかと存じますけれ
ども
、いやしくも
当事者訴訟主義
をおとりに
なつ
た以上は竿頭さらに一歩を進めまして、百十三條において
被告人
の場合には
立会権
を認めているのでありますから、二百十
八條
の
被疑者
の場合にもこれを認めて、首尾一貫することが適当ではないかと
考え
られるのであります。 それからなお二百二十
八條
の場合におきましての
立会権
もはなはだ薄弱な
規定
にな
つて
おりまして、「前
二條
の
請求
を受けた
裁判官
は、
証人
の
尋問
に関し、
裁判所
又は
裁判長
と同一の権限を有する。
裁判官
は、
搜査
に
支障
を生ずる虞がないと認めるときは、
被告人
、
被疑者
又は
弁護人
を前項の
尋問
に立ち会わせることができる。」とあ
つて
、とにかく
証人
の
尋問
に対しましても「
支障
を生ずる虞がない」というような
條件
を附し、しかもこれは
弁護人
の
権利
として認めておらない。
裁判所
の一方的の
考え
で立ち会わせることができるという
規定
にな
つて
おるということは、これも
弁護人
の
権利
の上から見ましても薄弱過ぎる感があります。それでありますからこういう点につきまして、いま少しく
弁護人
の
立場
を強化して、
防禦権
を行使する上におきましては、
被疑者
の時代においてすでに
押收
、
搜査
、
檢証
、
証人尋問
、あらゆる場合に
檢事
と対等の
立会権
を認めるということが、いわゆる
弁護士
の
権利
を認めるとともに、
訴訟法
の
当事者主義
を貫徹するゆえんじやないか、こういうふうに
考え
られるのであります。これに対する御
意見
、何がゆえにかように
立会権
を認めないか、あるいは認めるとしても
権利
として認めず、立ち会わせることができるというような
規定
に止めておくのであるか、その
立法趣旨
を承りたいと思うのであります。 それから、これは私の不
勉強
のせいであるかもしれませんから懇切丁寧に御説明していただきたいのでありますが、第十四章の
証拠保全
の場合であります。百七十九條に
証拠保全
上「
裁判官
に
押收
、
搜索
、
檢証
、
証人
の
尋問
又は鑑定の処分を
請求
することができる。」とあるのでありますが、これに対して立会いすることができるという、いわゆる
弁護人
の
立会権
が表面上
規定
されておりません。一般の百五十
七條
の「
弁護人
は、
証人
の
尋問
に立ち会うことができる。」という
規定
が、この
証拠保全
の場合にも
適用
になるかどうか。この百七十九條の
証拠保全
が行われる際にも、
弁護人
は百五十
七條
の
規定
によ
つて
、その
証人尋問
に立ち会うことができるのであるかどうか、その点の御説明を願いたいのであります。 なお
草案
の八十
二條
でありますが、「
勾留
されている
被告人
は、
裁判所
に
勾留
の
理由
の
開示
を
請求
することができる。」こういう
規定
があるのでありますが、これも
弁護人
がついておる際にはいいが、
弁護人
がまだつかない場合において「
勾留
の
理由
の
開示
を
請求
することができる。」というだけで止めておきますと、はたしてこういう
勾留
の
理由
の
開示
の
請求
が、
被告人自身
としてやり得るや
否や
。これも前の、
弁護人
を選任することができることを告げるというような
規定
と同じように、
勾留
の
理由
の
開示
を
請求
することができるのだということを、
勾留者
から
被告人
にあらかじめ念を押しておくような
規定
が欲しいと思うのであります。なぜかと申しますと、
新聞記事
によりますと、この
勾留
の
開示
の
請求
をするということは、ほとんどないという
記事
が出ておりまて、そうしてその
記事
によりますと、やはり
被告人
がこの
趣旨
をよく知らぬのだろうというように出ておるのでありますが、さようなことはあり得ることだと
考え
られるのでありまして、これは
裁判長
なり
裁判官
なり、あるいは
勾留者
がその
旨被告人
に告げるというふうに改正する方が適当だと思うのであります。それに対しての御
意見
を伺えたら承りたいと思います。それからいま
一つ
の
弁護人
の
権利
としてあります
調書
の
閲覧権
でありますが、これは一般的に
閲覧
の
権利
があるのでありますが、この百九十
八條
の場合、「
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員
は、「
犯罪
の
捜査
をするについて必要があるときは、
被疑者
の出頭を求め、これを取り
調べ
ることができる。」という
規定
があります。そして第三項に「
被疑者
の供述は、これを
調書
に録取することができる。」とあり、第四項では
被疑者
に
閲覧
させるというふうにな
つて
おりますが、この
調書
を
弁護人
が
閲覧
することができるのであるかどうか。これも私は
勉強
が足りないせいか、その点
規定
からはつきり出ていないのでありますが、
被疑者
だけに
閲覧
させるので、
弁護人
に
閲覧
させないのであるかどうか。この点についてもお
聽きし
たいと思います。 私の今の
質問
は
当事者
のための
弁護人
の
権利義務
に関連して、
立会権
及び
閲覧権
についての
質問
であります。長い間喋
つて
しまいしたので、
質問
の要旨がおわかりにならぬといけませんから、もう一度要約して申し上げます。 第一点は縮めて申し上げれば、二百十
八條
の場合、
立会権
が
規定
されておらぬ。 それから二百二十
八條
の場合においても
立会権
として認めておらぬが、その
趣旨
はいかにあるかということ。 それから二は
証拠保全
の場合の
立会権
はどうな
つて
いるのであるか。百五十
七條
がそのまま
適用
になるのであるか。 三は
勾留
開始については
請求
を認めるのみならず、
請求
することができることを
被告人
に告げるような
規定
にしたらどうか。 その次は
弁護人
の
閲覧権
として百九十
八條
の
被疑者
の
調書
に対して
弁護人
もこれを
閲覧
する機会があるのか、この点であります。
石川金次郎
5
○
石川委員長代理
弁護士
の
補助員
を置いた方がよいという御
意見
もありましたが、その点も政府に
答弁
を求めるでしよう。
猪俣浩三
6
○
猪俣委員
お願いします。
木内曽益
7
○
木内政府委員
弁護人
制度
の改革の御
質問
の前に、ちよつと
勾留
期間
が
應急措置法
にな
つて
から非常に延びたということを
お話
になりましたが、その点についてまず簡單に御説明申し上げたいと思います。今度の改正法になると八十九條でございますが、一審の場合は一から五まで掲げた事項以外の場合は、
請求
があれば必ず保釈を許さなければならないということにな
つて
おり、いわゆる
権利
保釈の
制度
が認められているわけでありまして、そのために
從來
よりは拘束されている場合が非常に少くなる、かように私
ども
は
考え
ているわけでございます。 それから
事件
の
関係
でいろいろパーセンテージをあげて
お話
になりましたが、これはもう昨年の暮から、
事件
がいろいろ統制経済違反とか、その他一齊檢挙等のために、
事件数
が倍以上に殖えておるというようなことも原因しておると思います。
弁護人
の
制度
に対するお答えは野木政府委員から御説明いたします。
野木新一
8
○野木政府委員
弁護士
の方の
関係
の問題についてお答え申し上げます。まず第一点に、
弁護士
に
補助員
の
制度
を設ける要なきや、しかして
弁護士
の力を強化してはどうかという点でございます。結論的に申し上げますれば、この案におきましてはこの点は
考え
ておりません。將來の問題として
補助員
の
制度
を設けたらどうかという点につきましては、なおいろいろ研究してみたい問題として
弁護士
が
補助員
を使い得るといことは、これはできると思います。それからいま一点、
弁護人
が
憲法
との
関係
で一定の場合に資格ある
弁護人
を云々という
規定
がございまして、そういう場合には法理上の
制度
として、
弁護人
の代りにその
補助員
を置きかえるということはむずかしかろうと存じます。 次に
弁護人
の
権利義務
の
関係
でございますけれ
ども
、この案におきましては現行
刑事訴訟法
よりも
被告人
の
当事者
的地位を高め、
從つて
弁護人
の
被告人
を保護する
活動
も一層期待されておるわけでありますけれ
ども
、それは主として
憲法
との
関係
を見ましても、
公判
の起訴後の段階におきまして非常に強ま
つたの
でありまして、起訴前の段階におけましては、必ずしもそれが十分徹底したるというところまではい
つて
おりません。それは
一つ
は日本の
檢察官
の
制度
がアメリカ等と違いまして、純然たる攻撃機関までに徹するところまでい
つて
おりませんので、
檢察官
はもちろん攻撃者の面を
もつ
ところに、なお多分に公益の代表者という
考え
もあるのでありまして、この
考え
はこの
草案
及び檢察廳
法案
を通じて残
つて
おりますので、その点が
一つ
と、それからこの案におきましては、現行
刑事訴訟法
と違いまして
証拠
力の点におきまして今と非常に違
つた
考え
方をしておる。たとえば
檢察官
がと
つた
聽取書とか、そういうものにつきましてはあとで
公判
の
証拠
のところでそういうことになるかと思いますが、著しく制限されてきまして、たとえば
檢証
、
押收
というようなものにつきましても、すぐそれだけで
証拠
としてとれないのでありまして、それをつく
つた
人を
公判廷
に呼び出して、
弁護人
側なり
被告人
側から反対
尋問
をしまして、十分と
つた
ときの
状況
とか何かを確かめまして、初めてそれを
証拠
にとれる。そういうような
関係
にな
つて
いる点も御留意願いたいと思います。今の点が結局
被疑事件
の
立会権
の問題に関連しますけれ
ども
、その
檢証
とか
押收
、
捜査
のような場合は、そういうような観点から、この案では
弁護人
の
権利
としての
立会権
は認めておりません。 次に二百二十
八條
、二百二十
二條
のところの
立会権
は、
権利
として認められておりません。 次に
証拠保全
のところの
関係
でありますが、これは
立会権
が認められております。 次に八十
二條
の
勾留
の
理由
の
開示
の
請求
ができるということは、
勾留
する際に
勾留
する官憲から、
被告人
ないし
被疑者
に、そういう権限があるということを告げさせたらどうかという点で、これもそういうことにした方が一層親切なことになるとは思いますけれ
ども
、必ずしも法文上そこまで明記する必要もないのではないかと思います。別に
運用
に際しまして十分
考え
られることではないかというところでありまして、法文には明記するところまでいきませんでした。 次に百九十
八條
の
調書
の
閲覧権
でございますけれ
ども
、百九十
八條
に書いてありまするところは、現在でも実行されているところを
訴訟法
上はつきりさせたのでありまして、要するに
被疑者
などを取
調べ
た上、
被疑者
が任意に供述したときは、それを
調書
に書く。書いたときには読み聽かせて、また字が読める場合には
被疑者
に見させて、
自分
の言
つた
通り書いてあるかということを確かめさせるという
趣旨
であります。この
調書
を
弁護人
が捜索中
閲覧
できるかできないかという点は、ちよつと別の問題になりまして、起訴前には、
弁護人
としては、
閲覧
する
権利
はないという建前にな
つて
おります。起訴後におきまして、もし
檢察官
側がこういうような
調書
を
証拠
として出したいというような場合には、あらかじめ
弁護人
にそれを
閲覧
させたりなんかしなければ、
法廷
に出せないということにな
つて
おります。
從つて
弁護人
があらかじめ知らない書類のようなものは、
法廷
に出ることはないという建前にな
つて
おりますので、そこで十分
弁護人
が内容を知らない書類が出るようなことはなくなる建前にな
つて
おります。それは二百九十九條でありまして、「
檢察官
、
被告人
又は
弁護人
が
証人
、鑑定人、通訳人又は翻訳人の
尋問
を
請求
するについては、あらかじめ、相手方に対し、その氏名及び住居を知る機会を與えなければならない。
証拠
書類又は
証拠
物の取調を
請求
するについては、あらかじめ、相手方にこれを
閲覧
覽する機会を與えなければならない。但し、相手方に異議のないときは、この限りでない。」こういうことになりまして、実際の
運用
といたしましては、
檢察官
側が、大体
捜査記録
ができ、起訴すると、もう
法廷
に
証拠
として出したい書類を備えておき、自由に
弁護人
に見てもらうという
運用
にな
つて
いくと思います。
猪俣浩三
9
○
猪俣委員
今の
答弁
について、
弁護士補助員
の
制度
について
憲法
問題をおつしや
つた
が、私は
憲法
問題と
関係
がないと思う。だから
弁護士補助員
という名前なのであります。実際の
弁護士
の仕事をただ強化するほんとうの
補助員
なのであります。それをこの
訴訟法
の中、及び
弁護士
法の中に入れたらどうかという案なのでありますが、それは
考え
ておらぬという御
意見
でありますので、そのまま受取
つて
おきます。 それから
被疑者
の
被疑事件
についての
弁護人
の
立会権
、閲覽権は全面的に否認されておるような御
答弁
であ
つて
、その
理由
がはつきりいたしません。
檢察官
の性格なんかも御説明に
なつ
たようですが、もうちよつと詳しく承れませんか。何がゆえに
防禦
の
立場
にある
弁護人
に対して、
立会権
及び閲覽権を全面的に否認するかという根拠、たとえばこれは
捜査
のじやまになるとか、あるいは活発な
活動
が
檢察官
にできないとか、あるいは何かその他の故障があるとか、あるいは先ほどおつしや
つて
、私はつきりわからぬけれでも、司法警察員との
関係
というようなことがあるのか、もう少しはつきり御
答弁
願いたいと思います。何がゆえに
被疑事件
に対して、
弁護人
の
防禦権
を認めるべく
当事者主義
を貫徹できなか
つた
か、その
理由
を明らかにいたしませんと、
訴訟法
全体に、いわゆる昔の官僚主義が非常に残
つて
おるという色彩を濃くするのでありまして、そこはわれわれの納得いくように
理由
の説明を、はつきりおつしや
つて
いただきたい。
野木新一
10
○野木政府委員 先ほどの御説明が少し徹底しないところがありまして非常に恐縮に存じます。まず第一の
考え
といたしましては、本案におきましては
当事者主義
的色彩を非常に強化してまいりましたけれ
ども
、それは日本の現在の段階では、大体
公判
以後において非常に強化し、
公判
以前におきましてはそこまで徹底できなか
つた
。その
理由
といたしましては、
一つ
は先ほど申し上げましたように、起訴、不起訴という
檢察官
の性格が、欧米のように純粹なる攻撃者という性格のみでなくて、日本の檢察廳法及びこの
訴訟法
の
考え
方におきましては、攻撃者であると同時に、
被疑者
側の利益をもなお
考え
てやる。そういう氣持が多分に残
つて
おりまして、これが英米の
訴訟法
の
檢察官
の性格と、この檢察廳法と本案に
考え
ておる性質と違う点であります。それが一点。 それから次の点といたしましては、
捜査
の段階におきましては、やはり
捜査
の
活動
を場合によ
つて
は迅速にやる必要があるが、
弁護人
に一々
立会権
を認めておきましては、迅速性に合わない場合が非常に多いのじやないかという点も
考え
られます。 次にかりに
立会権
を認めなくても、そうしてつくられたいわゆる
調書
につきましては、先ほ
ども
申し上げましたように
公判
の
証拠
能力という点におきまして、嚴重な制限を設けております。
調書
がそのままで
証拠
にとられるということでなくて、たとえば
檢証
調書
の例を申し上げますれば、
檢証
調書
をつく
つた
警察官なりが
公判廷
に喚び出されて、
弁護人
側からそのつく
つた
状況
とか、その他についての完膚なきまでの反対
尋問
にさらされる、そういう立て方にな
つて
おりますので、今までとま
つた
く違いまして、あまりあとで問題になるような
調書
はつくれない。そういう立て方にしておる点も
一つ
の
理由
であります。結局この案の
考え
方といたしましては、
捜査
の段階におきまして、今申し上げましたように、
弁護人
にま
つた
く
捜査
官と対等の力を認める。それからいま一点は、今言
つた
ように
弁護人
側としては、要するに
被告人
というものは
自分
のや
つた
ことは全部
知つて
おる。この案におきましては、
被告人
は自己に有利な
証拠
を身近にも
つて
おる。
檢察官
は何もわからない。暗中模索しておる。これからいろいろと
調べ
ていく。
被告人
は
自分
がや
つた
ことであるから全部
自分
が
知つて
おる。
弁護人
を頼めばその
弁護人
に、この
証人
が一番よく
知つて
おる、これはこういうことだということを全部教えるという点におきまして、
被疑者
に
弁護人
がついたということは、
公判
の場所でいろいろ主張するという点において非常に、今までと違
つて
、
被告人
の保護があつく
なつ
たことと思います。そういう事情ともにらみ合わせまして、
捜査
の段階におきまして
弁護人
に同じような
立会権
を認めて、立会のときにいろいろ反対
尋問
とか、何かの機会を與えるということになりますと、かえ
つて
力の権衡が失われて、公共の福祉、
被告人
の保護という調和が失われてくる
心配
があるのじやないか。そういうような点を
考え
まして、この案におきましては、
捜査
の段階におきましては
弁護人
の
権利
として当然
証人尋問
、
檢証
、
押收
、
捜査
等に立会うというところまでは認めておりません。
もつ
とも
檢察官
側が相当と認める場合には、
弁護人
側に見てもらうということは忌避しているわけではありません。
石川金次郎
11
○
石川委員長代理
午後一時二十分まで休憩いたします。正一時二十分に再開いたします。 午後零時二十五分休憩 ————◇————— 午後一時五十二分
開議
石川金次郎
12
○
石川委員長代理
休憩前に引続き
会議
を開きます。
猪俣浩三
君。
猪俣浩三
13
○
猪俣委員
第三点といたしまして
証拠
の点につきましてお尋ねしたいと思います。三百十九條、「強制、拷問又は脅迫による自由、不当に長く抑留又は拘禁された後の
自白
その他任意にされたものでない疑のある
自白
は、これを
証拠
とすることができない。」こういうふうに相な
つて
おりますが、この「任意にされたものでない疑のある
自白
」という中には、要するに誘導
尋問
あるいは詐言
尋問
、そういうものも含まれておるのでありましようか。どうか。それをお伺いしたいと思います。
木内曽益
14
○
木内政府委員
お答えいたします。お尋ねのこの詐言による
尋問
はもちろん任意による
尋問
というわけにはまいらないと
考え
ております。それから誘導
尋問
も——これはなかなかむずかしい問題でありますが、任意の供述と認められない
程度
の誘導
尋問
はむろん任意の供述と言われない、かように
考え
ております。
猪俣浩三
15
○
猪俣委員
これは実際の問題でありましようからそれではこれはこの
程度
にして、そうすると今までいろいろ問題になりました誘導
尋問
というようなことについても、結局はそれが任意にされたものと認められるかどうか、それによ
つて
決定するというわけですか。
木内曽益
16
○
木内政府委員
さようであります。
猪俣浩三
17
○
猪俣委員
その次には同じ三百十九條ですが、「
公判廷
における
自白
であると否とを問わず、その
自白
が自己に不利益な唯一の
証拠
である場合には、有罪とされない。」というのでありますが、この不利益な唯一の
証拠
という
意味
でありますが、これはなかなか実際の
裁判
のときにはたいへんな問題になると思うのであります。甲乙が共犯
関係
にあ
つた
際に、甲は
自白
をしたが、乙はこれを否認をしたという場合に、これがどういうふうに
適用
になるのであるか、お伺いしたい。
木内曽益
18
○
木内政府委員
一例を申しますと一番いいのは選挙違反のような場合で、金をや
つた
、もら
つた
というだけの
関係
でありまして、もら
つた
という方は
自白
をいたしておるが、や
つた
という方は否認をしておるというような場合におきまして、そうしてほかになんら
証拠
がなければ、さような場合においても、結局
自白
のみというふうに
考え
て相手方に対する
証拠
とはならぬ、かように
考え
ておる次第であります。
猪俣浩三
19
○
猪俣委員
そうすると甲乙の場合において、やはり自由だけだという場合には、不利益の唯一の
証拠
という條項にあてはまるわけです。
木内曽益
20
○
木内政府委員
双方が
自白
いたしておる場合はいいのですが、一人が
自白
してお
つて
他の一人が否認した場合は、ほかに資料がなければこの條項にあてはまります。
猪俣浩三
21
○
猪俣委員
両方
自白
しておる場合には、それが唯一の
証拠
の中にははいらぬわけですね。
木内曽益
22
○
木内政府委員
さようです。
猪俣浩三
23
○
猪俣委員
両方
自白
しておる場合には、有罪と決定するわけですね。
木内曽益
24
○
木内政府委員
さようです。
猪俣浩三
25
○
猪俣委員
一方が否認して一方が
自白
しておるときには、両方とも有罪だということになるのですね。
木内曽益
26
○
木内政府委員
さようです。
猪俣浩三
27
○
猪俣委員
それから唯一の
証拠
の範囲でありますが、要するに科刑上の一罪とか、取扱上の一罪とかいう、刑法に取
扱つて
おります実質は数罪なんだけれ
ども
、取扱上一罪にな
つて
おるという場合、その分割された実質上の一罪については
証拠
があるが、他の取扱上全体として見ると
自白
のみの場合において、唯一の
証拠
というのがどの範囲まで及ぶのであるか。その点はどうなんですか。
木内曽益
28
○
木内政府委員
今のは連続犯のような場合をおつしやるのですか。
猪俣浩三
29
○
猪俣委員
そうです。
木内曽益
30
○
木内政府委員
連続犯の
規定
は刑法から削除されましたから、おのずとこの問題は解決すると思います。
猪俣浩三
31
○
猪俣委員
それから三百二十一條の
証拠
の制限の問題でありますが、
証拠
の制限がいわゆる直接主義及び口頭主義をと
つて
おるということに相なりますと、この三百二十一條の
裁判官
の面前というような
意味
か、あるいは
公判
準備、あるいは
公判
期日という
意味
か、前審の場合、第一審の場合あるいは更新された
公判
期日の場合、あるいは
裁判官
の構成が変更に
なつ
たような場合、この場合は要するに
裁判官
の面前あるいは
公判
期日ということに含まるのかどうか。
裁判官
の面前あるいは
公判
の期日というものが、最初から
裁判官
の
公判
期日、あるいは更新後の新たなる
公判
期日という
意味
なのかどうか。その点を御説明願いたい。
野木新一
32
○野木政府委員 第三十五十一條第一号についてまず例を引いて御説明申しまげますと、この「
公判
準備もしくは
公判
期日において」というのは要するに公訴提起後の
公判
準備、
公判
期日、
從つて
大体一号の場合には現に
公判
を開いておる
裁判所
及びその
裁判所
の
公判
期日、及びその
公判
準備の場合を大体予想しております。 第二項にいきまして、「
被告人
以外の者の公非準備若しくは
公判
期日における供述を録取した
書面
又は
裁判所
若しくは
裁判官
の
檢証
の結果を記載した
書面
は、前項の
規定
にかかわらず、これを
証拠
とすることができる。」ここの
公判
準備及び
公判
期日というのは、大体前審後審の全部を含む。そういうような仕組にな
つて
おります。
石川金次郎
33
○
石川委員長代理
それでは本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十九分散会