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1948-04-13 第2回国会 衆議院 司法委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月十三日(火曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 松永 義雄君    理事 石川金次郎君       佐瀬 昌三君    花村 四郎君       松木  宏君    明禮輝三郎君       井伊 誠一君    池谷 信一君       榊原 千代君    山中日露史君       中村 俊夫君    中村 又一君       八並 達雄君    吉田  安君       北浦圭太郎君  出席政府委員         訟 務 長 官 奧野 健一君  委員外出席者         專門調査員   村  教三君         專門調査員   小木 貞一君     ――――――――――――― 四月九日  戸籍手数料の額を定める法律案内閣提出)(  第三八号) の審査を本委員会に付託された。 四月八日  鹿兒島市高等裁判所支部設置に関する陳情書  (第一四六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  軽犯罪法案内閣提出)(第一三号)  民事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提  出)(第三三号)     ―――――――――――――
  2. 松永義雄

    松永委員長 会議を開きます。  民事訴訟法の一部を改正する法律案について審査を進めます。議案の審査を進めるため、この際さらに敷衍して政府より説明を願います。
  3. 奧野健一

    奧野政府委員 大体民事訴訟法改正につきましては、この前に提案理由の御説明をいたしました際に、大体触れたのでありますが、なお詳しく改正要点についてお話申し上げたいと存じます。御承知のように、憲法及び裁判所法制定によりまして、從來民事訴訟法のうちで、どうしても一應改正しなければならない点を民事訴訟法に関する應急措置法で、一應つなぎをつけておるのでありますが、この應急措置法が、本年の七月十五日に効力を失いますので、大体應急措置法に盛つてあります点を、この從來民事訴訟法典の中に織りこむというのが改正の第一の主眼であります。なおそのほかに、だんだんと審査を進めてまいつた途中におきまして、関係法面等からいろいろな示唆、意見が出ましたので、そういうものも中に織りこんで規定いたしておるわけであります。あらかじめ御了解を願つておかなければならないと存じますことは、御承知のように、憲法によりまして、訴訟手続に関しては、最高裁判所ルールをつくる権限を與えられましたので、ルール規定すべき事項と、法律をもつて規定すべき事項との関係ということが、非常に問題になるのでありまして、ある極端な学説では、訴訟手続に関すること、特に民事訴訟に関する手続については、すべて最高裁判所ルールによつて規定すべきもので、法律規定することは、憲法違反であるという説もあるわけであります。あるいはまた國民権利義務に直接重大な関係のあるものは、やはり唯一立法機関である國会制定する法律できめる。その以下においてこまかいと申しますか、実際のプラクチスに関するような事柄は、ルール規定すべきものであるというように、そのルール法律との関係というものについては、非常に問題があるのでありまして、この点はだんだんと実際の訴訟が慣習的に進んでいくに從つて最高裁判所等の考えもだんだん固まつてき、あるいは学説、そういつたものも、だんだん進んでまいるので、その上であらため法律で定むべき事項と、ルールできめるべき事項というようなことについて、最高裁判所なり、國会なり、あるいは行政廳たる法務廳等におきまして、よく研究の上できめていきたいというふうに考えているのでありまして、今回は從來民事訴訟法について所要の改正を加えて、ルールとの関係については、ほとんど考慮を拂つてないという関係になつておりますので、御了承願いたいと思います。  そこでまず第一に憲法及び裁判所法制定に伴いまして必要な條文整備をいたしました。たとえば軍人、軍属というような規定をはずしたり、あるいはまた民法の改正伴つて、戸主、家族ということがなくなつたり、あるいは妻というのを配偶者にかえるといつたような、條文整備を機械的にいたしたことが、第一点であります。  次に御承知のように、裁判所法におきましては、最下級裁判所簡易裁判所として、その上に地方裁判所がある。ところが地方裁判所從來は三人で会議制になつてつたのを、裁判所法では一人制も認め、会議制も認めるのいう制度になつております。そこでさらにまた簡易裁判所事件上告高等裁判所が行う。地方裁判所から出た上告最高裁判所が行う。殊にまた最高裁判所は、違憲審査についての最終審であるというふうな関係から、必要な改正を行わなければならないということになつたわけであります。そこで簡易裁判所につきましては、從來区裁判所のやり方よりは、さらに簡易迅速に審理裁判のできるように、特別規定を設けたのであります。これは三百五十二條以下がその條文に当つております。從來区裁判所よりも、なお簡易なる手続で、迅速に行い得るようにいたしたのであります。  それから地方裁判所は、先ほど申しましたように、單独制と会議制二つの種類のものを認めることになりましたので、たとえば從來地方裁判所はすべて準備手続がやれることになつておりまして、準備手続には、受命判事がこれに当るということになつておりますが、一人制の場合について考えてみますと、一人でやるのに準備手続ということは無意味でありますので、準備手続をやるのは三人の会議制の場合だけに限り、一人制でやる場合には、準備手続はやらないということになつております。これが二百四十九條の改正であります。  それから上訴関係につきましては、これは大体應急措置法にも規定いたしておりますが、簡易裁判所事件は、控訴地方裁判所、そして上告高等裁判所になつております。しかしながら、上告のうちでも、それが憲法違反の問題を含んでおる場合におきましては、この高等裁判所上告判決に対して、さらに違憲審査ために、最高裁判所特別上告ができるということにいたしておつて憲法におきまして最高裁判所違憲審査最終審であるという趣旨を表わしたのが三百九十三條から四百九條ノ三というふうな規定で、いわゆる上告制度に関する裁判所法改正に附随した規定であります。この点は大体應急措置法をそのまま組入れたわけであります。  それから次に証人鑑定人等証拠調べについて、当事者に直接訊問を認めた、いわゆるクロス・エクザミネーシヨン制度を取入れる、これが二百九十四條であります。この点は應急措置法にはなかつたのでありますが、要するに今までのように裁判所の方がみずから進んで証人訊問するというのではなくて、原告で申請した証人は、まず原告の方で訊問をいたしまして、さらに被告の方でこれに対して反対訊問を行う。しかし被告からも申請せるものは、被告の方で先に訊問して、しかる後に原告側クロス・エクザミネーシヨンをやる。そのあとで裁判所の方で、必要と思う訊問をするというような形式にいたして、從來のようにまず裁判所訊問をするという制度をやめたわけであります。これが二百九十四條であります。  われわれとして初めに改正の必要なものとして規定をいたしておりましたのは、大体以上のような諸点であつたのでありますが、それが関係方面とのいろいろ審査の結果、さらにいろいろな意見が出まして、そのうちでいろいろ話合いの結果整備されて、以下数点にわたつて新しく改正ために取入れた点があるわけでありまして、この点はむしろ初めにこちらの方で予想していなかつた点であります。  その第一は、先ほど言いましたように、当事者の方で証人等訊問して、裁判所はむしろ行司というふうな立場で、むしろ当事者が相撲をとつて行司が判断するというような建前になつておりまして、行司の方から進んで職権取調べるというふうな建前でないことになりました関係から、裁判所の方で職権証拠調べをするという制度をやめることになつたのでありまして、二百六十一條削除というのがそれであります。從來当事者の出した証拠で、裁判所の心証を得られない場合には、裁判所職権でもつて証拠調べができるということになつておりましたのを削除して、すべて証拠当事者の方から提出して、当事者責任において立証を盡す、それが足りないからといつて裁判所の方でみずから進んで証拠調べをするということは、あたかも当事者の一方の方に援助を與えるかのごとき感を懷かれて適当でないということで、それが不十分である点は、その不十分な立証をした当事者負担責任においてやればいいのであつて裁判所の方でそこまで干渉がましいことはすべきではなかろうということで、職権取調べ規定の二十六十一條を削除いたしました。ただ民事訴訟であるとか、行政訴訟の特例におきましては、これはやや趣きを異にしまして、公益に関係するところが相当多いのでありますから、民事訴訟行政訴訟におきましては、職権証拠調べをなし得る途を開いておりますが、しかし一般の民事訴訟法につきましては、二百六十一條を削除いたしたわけであります。  それからややそれと似通つたことで、直接審理主義を徹低せしめたことであります。從來裁判所判事が更送いたしました際は、すでに調べた証人等をもう一遍呼ぶということではなく、当事者の方で今までの訴訟の経過を報告すれば、いわゆる更新というふうな手続で、もう一遍取調べをやらないで進めていつて、いわゆる書面審理ということになりましよう。調書等によつて判断していくことになつておりましたが、これもやはり直接審理主義を徹低いたしますと、みずから調べないで判決をすることは適当ではないということで、本來から言えば、全部判事みずから取調べたものでなれければ裁判資料にできないということを徹低しますと、判事が送るたびに、もい一遍全部やり直すということが理想であると思うのであります。しかしそれではいろいろな裁判官の人事の更送等における現状から見まして適当でないということで、いろいろ話合の結果、やや折衷的なことでありますが、百八十七條というのがそれでありまして、單独の裁判官の更送のあつた場合、從前訊問をした証人について、当事者の方からもう一遍さらに訊問してもらいたいという要求があれば、裁判所は必ず訊問をしなければならない。もちろん当事者の方から申出がなれれば、しなくて、從來通りに更新手続でいいのでありますが、当事者の方から要求があれば必ず訊問する。また会議体においては過半数の判事が更送した場合に、やはり從前訊問した証人をもう一遍訊問してもらいたいと言えば調べなれればならないということにして、直接取調べ主義を徹低したのであります。ほんとうを言えば、先ほど申したように、すべて再訊問することが理想でありましようけれど、当事者の方から訊問してもらいたいという要求があれば、訊問しなければならないという程度に折衷的な規定を設けたわけであります。  同じようなことが証拠保全の場合、すなわち三百五十一條ノ二というのを説けて、証拠保全であらかじめ訊問をしておつた場合に、証人本案のときに死んでおれば、もはやふたたび訊問はできない。その証拠保全の取調が効力をもつことになりますが、もう一度本案でも喚べるとしいうことになればその場合に口頭弁論でもう一遍調べてもらいたいということを申出た場合に、必ず裁判所はもう一度調べなければならない。これはやはり口頭弁論で直接に訊問する主義を重んずるということで、こういう規定を設けたわけであります。  なお公示送達によつて呼出を受けたような場合、公示送達は往々にして本人の知らない場合が多いので、こういう者に対しての保護ということを考えたわけであります。たとえば公示送達を受けた者が來ないからといつて、すぐ百四十條を適用して、欠席のままで自白したものとみなして裁判をすることは、やや穏当を欠くということで、こういう場合には、百四十條によつて、來ないからといつて、ただちに自白したものとみなすというふうな規定を適用しないということにして、その場合は出てきた方で、すべて一應証明をしなければならないということにいたしたわけであります。  それからまたこれはやや小さな問題でありますが、訴訟記録閲覧等につきまして、從來利害関係の疏明がなければ、当事者以外は閲覧ができないことになつてつたのを、百五十一條という規定を設けて、これを大体何人も閲覧ができることにいたしまして、いやしくも訴訟手続公開であるということ、及び訴訟がどういうふうになつておるかということは、國民審査の対象にもなるというようなことから、公開主議を徹低すると、公開主議記録である調書も、やはり何人も見ることができるようにすべきではないかということで、訴訟記録閲覧にも、公開性を拡張したのが、百五十一條であります。  次に裁判所権威を保持するために、証人等裁判所呼出があつても出てこないという場合に、現在のようなわずかな科料制裁があるだけでは、むしろ裁判所権威が保持されないということで、二百七十七條ノ二という規定を設けまして、証人が正当な事由なくして出頭しないときは拘留または科料に処すという、拘留刑罰を科し得ることにいたしたのであります。これは英米等におきましては、裁判所呼出に應じないというのは、法廷侮辱として拘束、罰金、あるいはその両方を併科することもできることになつておるそうでありまして、こういう点を考慮いたしまして、やはり拘束できるし、拘留科料に処し得るという途を開いたわけであります。  次に訴訟遅延目的ためにのみ控訴するといつたような場合に、いわゆる上訴濫用を避けて、併せて無益な事件の輻湊を避けて、上級裁判所負担の軽減をはかるために、そういう場合には相当思い切つた制裁を加えるべきであるということからいたしまして、三百八十四條ノ二という規定を設けたのであります。すなわち控訴人訴訟の完結を遅延せしめる目的のみをもつて控訴を提起したるものと認むるときには控訴を棄却する場合に、それと同時に控訴状に貼用しておる印紙金額の十倍以下の金銭納付を命ずることを得という規定を設けたのであります。この金銭納付は、國庫に納入を命ずるわけでありますが、控訴棄却と同時に控訴印紙金額の十倍以下の金銭納付一つの罰則的な意味で命ずることにいたしまして、悪意の上訴濫用を防止する。これに類するような事柄アメリカ等にも大分あるようでありまして、あるいは訴訟費用の三倍の負担を命じてはどうかというようないろいろな議論もあり、あるいはそれがために要した弁護士費用訴訟費用負担の一部にして、相手方に負担せしめるというようないろいろないき方があるようでありますが、訴訟費用の三倍というふうなことになると、訴訟費用確定決定を待つて初めてきまつたりなんかして、なかなか手続上めんどうでありますので、控訴状に貼るべき印紙の十倍以下ということになつたわけであります。  さらに從來決定にあたりましては、決定に対しての抗告があつた場合は裁判所は再度の考案ということを認めまして、それを更正することができることになつております。ところが判決におきましては、判決は愼重なる口頭弁論を経てやりますので、單なる字句の計算違い等更正決定、あるいは脱漏があつた補充判決は認めておりますが、根本的に変更することを認めていないのであります。しかしながら判決といえども、やはり神ならぬ判事のやることでありますから、思い違いとか、あるいは法律上の誤解等によつてしまつたというようなことがあるのでありまして、そういう場合に、むしろみずから変更し得る途を認めることが、やはり裁判所の威信を高めるゆえんであるということで、再度の考案を認め、判決につきましても、その誤りを訂正する途を開いたのであります。これが百九十三條ノ二というのであります。判決が法令に違反したことを発見したときは、裁判所はその言渡し後一週間内に限り変更判決をなすことができるという途を開いたわけであります。これは同時に、上告裁判所においてもそういうことが考えられるので、同じような規定を四百九條ノ四というので認めてあります。これはただやや建前を違えまして、上告裁判所判決に対して、異議を申し立てることができることにして、それが十日の期間内に異議を申し立てる。異議理由があるときに、初めて上告裁判所が、みずからやつて判決変更判決をすることができることにいたしたのが、四百九條の四以降の規定であります。  最後に、差押禁止範囲は、現在では一年に三百円以上の給料をとる人について、その超過の半分まで差押ができることになつておりますが、これは現在の貨幣價値等を考えて、不適当でありますので、六百十八條の二項及び六百十八條の二という規定によりまして、これを改めました。しかしながら、一年の年收のどこまでを生活最低限度として保護して、それ以上の差押を許すかという金額を確定することは、こういう通貨の安定を欠く状態では、なかなかむずかしいので、割合で一年間に受くべき総額の四分の三を超過する部分に限つてこれを差押えることができる。しかしながら、まだうんと金があるというような人については、さらにその超過分二分の一に達するまでが差押えることができるという途を開くと同時に、一方たとえ四分の三を超過する分の差押えでも、これがために窮迫に陷つて生活ができないという場合は、逆にこれを緩和する途を六百十八條の二で開いたわけであります。これらは要するに現在の通貨事情等に鑑みて、差押範囲を適当に改めてものであります。大体以上が今度の民事訴訟法改正要点であります。
  4. 中村俊夫

    中村(俊)委員 ただいまからお尋ねいたします点は、むしろこれは政府見解として本廳総裁によつて伺うことの方が妥当ではないかと思つておるのでありますけれども、今政府委員の御説明の冒頭に触れられましたので、奥野政府委員の個人の見解でも結構ですから、ひとつお答え願いたいと思います。それは憲法七十七條解釈なのであります。実は私もこの七十七條につきましては、非常に疑問をもちましたし、こういうようないわゆるルール・メーキングパワーというものが最高裁判所に與えられたのは、画期的な憲法條章であります。從いまして、私も二、三資料を集めてみたのでありますけれども、未だにその結論を得ていないのでありますが、憲法第七十七條には「最高裁判所は、訴訟に関する手続弁護士裁判所内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。」こう記載されておるのであります。ただいまの奥野政府委員の御説明によると、この憲法規則という文字は、ちようど法律政令規則從來軽重のある場合と同じような御解釈の上に立つていられるのではないかとうかがわれるのでございます。この点も私は未だ結論を得ていないのでございまするけれども、いやしくも憲法にかくのごとき画期的な條章が入れられてある以上、この規則という言葉を、しかく軽い意味規則解釈することが妥当であるかどうかという点に、多大の疑問をもつているのでございます。最近出ております二、三の著書の学者見解が、ほとんど全部違つております。ある学者は、やはり奥野政府委員と同じく、この規則というものを軽い意味解釈をしている人もありますし、またこれを法律と同樣にみなすべきものだとの解釈をしておる人もありますし、さらにまたこの問題については、最高裁判所の最後の審判によつて決するのだという見解も表示されているのでございます。從いまして、この第七十七條訴訟に関する手続というものが、どこまで最高裁判所権限として含まれるものであるか。さらにまた現在弁護士法案が小委員会によつて審議されつつありますが、この弁護士に関する規則というものも、はたして最高裁判所弁護士法と同一の性質の規則を出しているのではないか。そうすると今司法小委員会で審議されている弁護士法というものがこれと抵触する。その結果あるいはいずれが妥当であるかという点が最高裁判所の審判を受けるべきものであるか。あるいは憲法第七十七條解釈を、ある一部の学者の解するがごとくに、規則法律なりと解して妥当なりという見解に從えば、この弁護士法は、議会においてわれわれの手によつて審議を進めていけないのではないかという根本的な疑問が私にあるのであります。從いまして、今ここに出されておりまする民事訴訟法の一部の改正に関する点、さらにまた近く出さるべき刑事訴訟法改正に関する点につきましても、きわめて重大なる問題があると思いまするので、奥野政府委員は、この憲法第七十七條を、いかように解釈されておられるかの見解を承りたいのであります。
  5. 奧野健一

    奧野政府委員 お言葉もありましたので、私一廳個人としての見解を申し上げて御参考に供したいと思います。  御承知のように、この憲法では國会最高唯一立法機関であるという建前をとつておりますが、ただそのもとにおいて、法律のほかに政令あるいは規則というものを認めておるのでありまして、しかして規則制定というものを認めておりますが、ただいま御指摘の七十七條最高裁判所規則制定権と同時に、憲法五十八條第二項は「両議院は、各々その他の手続及び内部規律に関する規則を定め、」となつておりまして、規則制定権を認めているのは、この二つだろうと考えます。それでこれはやはり一つ立法ではあろうと考えますが、そういう憲法全体を考えてみますと、やはり國会の定める法律というものが、唯一最高のものであつて、そのもとにおいて、やはりこういう規則をおのおのの裁判所訴訟手続、あるいは國会の議事の規則というプラクテイスに関する事柄について、おのおの規則制定権を認めておるというふうに考えます。ただ訴訟手続につきましても、人権に非常に関係のある三十一條等によりますと、刑罰を科したり何かする手続は、同じ訴訟手続でも法律できめるべきであるというような点を見ますと、訴訟手続裁判所内部手続であるけれども、しかしこれが人権に直接関係のあるものは、やはりむしろ法律で定めることが適当であるのではなかろうか。でありますから、その議論を進めていきますと、從來のように、民事訴訟をすべて法律できめるということも、これは可能であると考えます。しかしながら、他方司法独立自律性と言うか、裁判所内部そういつた手続について、特に憲法七十七條ルールをつくる権限を認めておるのでありますから、いくら法律が優位でありからといつて、すべての点まで法律でつくりまして、規則でつくるべき余地をなからしめるということは、やはり憲法の七十七條精神に合致しないものであろうと思うのであります。そこで非常に基本的なもの、あるいは基本人権に影響の弱いものは、むしろ法律でやるべきで、それ以下の実際の手続に関する事柄は、規則でやることが最も時宜に適しており、また憲法精神に合するのではなかろうかというふうに考えておりますが、これは先ほど申しましたように、訴訟手続については、ただちに憲法から委任されておる規則のみによつてつくるべきで、法律でつくることは違憲であるという説もありますし、またルール法律は同等の力をもつもので、後法は前法を覆えすというような議論で、法律できめたものでも、後でルールできめれば、ルールの方が優先するという議論もありますが、それはおのおのいたちごつこになつて果てることがないので、それもどうかと考えております。といつて法律で全部をつくつて規則でつくる余地なからしめるということも、やはり憲法精神に適しないと思いますので、先ほど申しましたような重要大綱の点は法律で定め、実際の手続については、むしろ規則に讓る。規則の方は、法律のように憲法自身に議決の方等がきまつているものと比べると、その定め方等については、何ら規定はないのでありますから、そういう意味からいきましても、やはり規則の方が自由に変更し得る、固定性が少い。実際の便宜に適するために設けている規定だと考えますので、そういう意味で一面においては法律の方が優位であるが、他面規則の方で実際の便宜と運用に適するようなルールをつくるということが、憲法精神からいつて望ましいというふうに考えておるわけでありまして、結局先ほど申しましたように、立法機関、それから裁判所等において、その間十分実際の経驗に照らして、どの部分を法律にし、どの部分を規則に讓るということを話し合つて定めるということが望ましいのではないかというように考えております。
  6. 松永義雄

    松永委員長 それでは午後一時まで休憩いたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後一時四十一分開議
  7. 松永義雄

    松永委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  軽犯罪法を議題として、その審査を進めます。本案について各党の共党提案になる修正案と、佐瀬委員、鍛冶委員提案の修正案が提出されております。各修正案について提案者の説明を願います。石川金次郎君。
  8. 石川金次郎

    ○石川委員 軽犯罪法の一部を次の通りに修正いたしますように、修正案を提出いたします。  本修正案は、社会党、民主党、民主自由党、國民協同党の四党よりなる修正案でありまして、第三條の次に次の通り加えます。「第四條この法律の通用にあたつては、國民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本來の目的を逸脱して他の目的ためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。」附則中「公布の日から起算して三十日を経過した日」を「昭和二十三年五月二日」と改める。以上は修正案であります。  この修正案を提出いたしました理由は、軽犯罪法の前身であります警察犯処罰令が、從來應々にいたしまして、その本來の目的を越えまして、犯罪捜査のために利用せられ、國民の権利を不当に侵害するかのごとき状態であつたのであります。殊に正当な労働運動、正当な農民運動を拘束し、抑圧しておりましたということは、顯著な事実であります。もしかくのごときことがございますと、軽犯罪法の目的を逸脱して、いたずらに権利を官憲によつて濫用されるという結果に相なりますので、第四條において明確にこの法律の適用にあたりましては、國民の権利を侵害しないように、また本來の目的を逸脱いたしまして、他の目的ため濫用せられないようにという規定を示そうとしたものであります。  以上がこの修正案の理由でございまして、御賛成を得たいと思います。
  9. 松永義雄

  10. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 私は原案の第一條第十六号について、同僚の鍛冶良作君とともに、次の修正案を提出したいのであります。「虚構または誇大に人の犯罪事実を流布して、人心をまどわしめ、または人に迷惑をかけた者」それから、なお同條第二十九号についても、同樣、次のごとく修正する案を提出いたしたいのであります。他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の中で、そのたれかが予備行為をした場合における共謀者というのであります。簡單にこの一点に対する修正案の理由を申し述べて、各位の御賛同を得たいと思つておるのであります。  第一点の第一條第十六号については、現在の世相に鑑み、とかく政治的意図をもつて人を陷れんがために、虚構または誘大にわたるその人の犯罪事実を流布して、人心を惑乱せしめ、あるいは特定の個人に迷惑をかけることがきわめて多いのであります。原案によりましては、ある程度さようなことも処罰し、または予防し得ることも期待できるのでありますけれども、かくのごとき修正案によらずんば、その目的は十分に貫徹できないと考える次第であります。しかも特にこのような修正案を提案する理由は、かつて戰時中に刑法の一部改正として、人心惑乱罪というものが規定され、相当その社会的機能を発揮したこともあつたのでありますけれども、これはあまりにも戰時色が濃厚であつたために、その後廃止されたやに記憶しておるのであります。從つてさような観点とはやや異なるものがあるのではあり立すけれども、日本の平和的文化國家を建設する上においても、やはり同樣な制裁規定は、この軽犯罪法の程度において、新たな観点をも加えて成立せしめておくということが、最も立法の歴史的な経過から見ても、妥当ではないかと考えるがゆえに、あえてこの修正案を提案するゆえんであります。  第二点の第一條第二十九号に関する修正案は、これは別に原案と内容的にまたその適用の目標において異なるものがあるのではないのでありますが、いかにも原案の文章が難澁でありまして、われわれ専門家の立場から見るならば、納得できる共犯理論を盛りこんであるものではあると理解し得るのでありますけれども、法は單に專門家、國家為政家の法にあらずして、國民の日常知りかつ行い得る法でなければ、今後の成文法として機能を全うし得ないと考えるがゆえに、國民大衆を読んだただちにわかり得るような内容的にこれを改訂していくということが、立法技術上必要であると考え、その点から原案を本修正案のごとく訂正することが、最も至当であると考えるがゆえに、この提案をいたす次第であります。各位の御賛同あらんことを切に望む次第であります。
  11. 松永義雄

    松永委員長 本案は討論に付します。石川委員
  12. 石川金次郎

    ○石川委員 社会党を代表いたしまして申し上げます。民主自由党の鍛冶委員によつて提案せられました修正案に反対いたします。社会党、民主党、民主自由党並びに國民協同党の四党によつて提出されました共同修正案に賛成いたします。共同提案による修正案を除きました部分の原案に対しましては賛成いたしまい。以上申し上げます。
  13. 松永義雄

    松永委員長 中村又一君
  14. 中村又一

    中村(又)委員 ただいま佐瀬委員より趣旨弁明に相なりました修正案に対しましては、私は民主党を代表して反対する者であります。さらに石川委員より御説明の各派共同提案にかかりまする修正案を認めまして、原案賛成であります。
  15. 松永義雄

    松永委員長 松木宏君
  16. 松木宏

    ○松木委員 私は佐瀬君の修正案並びに共同提案に対して、その趣旨に賛成を表するものであります。
  17. 松永義雄

    松永委員長 これより採決します。まず佐瀬委員、鍛冶委員の提案になる修正案について採決いたします。提案のごとく修正するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  18. 松永義雄

    松永委員長 起立少数。よつてこの修正案は、少数をもつて否決されました。  次に各党共同提案による修正案について採決いたします。この修正案のごとく修正するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  19. 松永義雄

    松永委員長 起立総員。よつて全会一致をもつて各党共同提案の修正案のごとく修正するに決しました。  次にただいま修正に決しました部分以外については、原案のごとく決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  20. 松永義雄

    松永委員長 起立多数。よつて修正に決した分を除いては、多数をもつて原案のごとく決しました。よつて本案は多数をもつて各党共同提案のごとく修正議決いたしました。     —————————————
  21. 松永義雄

    松永委員長 次に民事訴訟法の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。佐瀬委員
  22. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 民事訴訟法の一部を改正する法律案については、政府委員の御説明によつて、私も理解することを得たのでありますが、なお若干の疑問を有しますがゆえに、以下数点にわたつて質疑をいたしたいと思うのであります。  全体的にこの案を見まして考えられることは、いわゆる民事訴訟法における職権主義当事者主義、あるいは処分主義との関係でありますが、民事訴訟法上の基本原則としての職権主義を否定して、当事者主義すなわち処分主義決定することは、新憲法及び新裁判法上、思想的に一致した行き方であるかとも考えられるのでありますが、しかし一面裁判は、正しく当事者権利義務を質して、最も普遍的に妥当な裁判をすることでなければ、われわれ國民生活秩序の保全ができないのであります。從つて全面的に職権主義の後退をはかるということは、かつて民事訴訟法改正経過にみましても、いささか当を失するのではないかというふうにも考えられるのでありますが、この点に対する政府委員の御所見を承つておきたいと思います。     〔速記中止〕
  23. 松永義雄

    松永委員長 速記を始めてください。
  24. 奧野健一

    奧野政府委員 ただいまの御意見ごもつともであります。要するに民事訴訟というものは、結局私権の爭いに関する解決でありますので、原則的な建前といたしましては、当事者主義、あるいは処分主義という建前が正当であろうかと思うのであります。ただ私権の関係でありますが、同時にどういう裁判になるかということは、社会一般の秩序あるいは公益にも関係するところがありますので、眞実発見というふうな建前からいたしまして、どの程度の職権主義を加味するかということが、大きな問題であろうと思います。そこで古い民事訴訟法におきましては、全然職権主義を加味してなかつたのでありますが、御承知のように、先般の民事訴訟法改正においては、二百十六條で職権主義というものを、当事者立証ではどうしても心証が得られない場合には、職権主義を発動して、裁判所みずから職権証拠調べをすることができることにしておつたのであります。しかしながら、さらによく考えてみると、要するにやはり私権関係において当事者の処分主義を認めて、いわゆる和解あるいは認諾、自白というものを認めておるにもかかわらず、その場合に裁判所みずから進んで証拠調べをすることは、むしろどうしても当事者の一方のために援助するという結果になり、あるいは裁判所みずから進んで調べていくことになると、その間ある予断を抱くかのごとき誤解を招く場合もありますので、やはり民事訴訟の本來の使命、あるいは本來の性格に返りまして、今回は立証責任を盡さない者はその者が不利益を負担すべきものであつて裁判所の方から進んで当事者の一方のため証拠調べをするような結果にならないようにいたしたわけで、二百六十一條を削つたのでありますが、もちろん人事訴訟でありますとか、行政事件の特例におきましては、やはりこれは同時に公益的な色彩も濃厚でありますので、こういうものについては、職権主義を依然として認めておるのであります。ただここに一言附け加えたいと思いますことは、從來のごとく当事者訊間という制度はやはり残つておりまして、この制度職権当事者を呼んで聽くことができるという制度を残しております。ただ証人とか、鑑定人といつたものの純粹の証拠の申出という点について、裁判所職権主義化ということを今回やめたのであります。いろいろその点は議論余地もあることと思いますが、昔に返つて、純粹の当事者主義を採用したわけであります。
  25. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 証人訊問について、いろいろクロス・エクザミネーシヨンの採用は、改正案となつて現われておるわけでありまするが、その趣旨は、私どもは納得し得るものがあるのであります。ただそれによつた場合に、憂うべき点は、訴訟手続が自然長引いてしまうというような結果を惹起しないかという点であります。この点はいかがでありましようか。
  26. 奧野健一

    奧野政府委員 この点も新しい試みでありまして、將來どういうふうにこれが利用されていくかということは、やや予想がつかないのでありますが、これをうまく利用していつて、英米法的な訴訟手続の実効をあげることができるか、あるいはこれをまずく行いますと、今お説のように、いろいろかえつて長引く憂いもないではないと考えます。そこで二百九十四條の新案におきましては、その点も考慮いたしまして、たとえば当事者訊問が重復訊問に当る場合とか、あるいは爭点に関係のないことを訊問する場合、その他特に必要ありと認める場合、たとえば誘導訊問に陷るといつたようなときには、いつでも裁判長の方でこれを制限していくことができるという途も開いてありますので、裁判長あるいは当事者弁護士等の協力を十分得で、うまく法廷を指導していくならば、御心配のようなことは起らないで済むことと考えております。
  27. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 いわゆる訴訟指揮権というものが認められるのか、またその範囲はどうかという点について、所見を承つておきたてと思います。
  28. 奧野健一

    奧野政府委員 これは当事者主義といいますか、あるいはクロス・エクザミネーシヨン主義を採用することにいたしても、やはり裁判長の訴訟の指揮権は失わないつもりでありまして、たとえば百二十六條等はそのまま残つておるわれで、今後とも裁判長の訴訟の指揮権は、依然存続するという考えであります。
  29. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 上訴訟濫用を阻止するため規定を設けようという御趣旨も、一應もつともと考えるのであります。しかしその制限の者方が運用のいかんによつては、かえつて個人の権益の伸張を妨害するということになり、從つて民事訴訟法上の、しかも改正法によつてより濃厚になつてきたところの当事者主義、処分主義という原則に違反するという結果になりはしないかということも、一應懸念される点でありますが、この点はいかがでありましようか。
  30. 奧野健一

    奧野政府委員 その点もごもつともな点でありますが、この改正法のねらいは、三百八十四條ノ二で、いわゆる訴訟の解決を遅延せしめる目的のみをもつて控訴を提起したものと認むるときというので、訴訟遅延目的のみをもつて控訴することは、非常にまれな場合で、ほんとうに控訴によつて自分の権利を伸張しようという意思をもつてやる場合には、これに該当しないので、明らかに訴訟を遅延せしむる目的のみをもつて控訴したと認められる場合に限つて、三百八十四條ノ二の規定が発動するわけで、おそらく正当な控訴については、全然この適用がないのみでなく、今度は三百六十條の改正を行いまして、控訴をなさないという合意等につきましても、從來のように判決がある前に控訴をしないということを、あらかじめ合意することもできたのでありますが、今度は控訴権が発生してから、初めて控訴をしないという旨の合意を許されることになりまして、こういう点につきましても、やはり控訴し得る権利ということを、十分に、かえつて從來よりも厚く保護しておりまして、そういう意味においての権利の伸張の途というものを、ごうも制限してないということを御了承願いたいと思います。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
  31. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 上訴濫用防止という趣旨を貫徹せんとするならば、同時に訴訟提起の段階において、いわゆる濫訴の幣を阻止するという措置も講じていく方が適当でないかと思うのでありますが、この点はいかがでありますか。
  32. 奧野健一

    奧野政府委員 実はその点も問題になりまして、控訴濫用、同時に初めからの訴えの提起についての濫訴についても、十分議論をいたして、関係方面でも、その点についての示唆もあつたのでありますが、この点は非常にむずかしい問題で、殊に憲法において裁判所に訴える、訴権を保護している関係から、第一審からこれが濫訴であるといつて制限することについては、よほど愼重を期さなければならないので、これは上訴の場合と比べて、特に愼重を要する点でありますので、そういう点にも十分考慮した結果、一審の訴えの提起については、三百八十四條ノ二のような設定を、結局置かないことにいたしたわけであります。
  33. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 差押えについて債務者の生活状態を顧慮した制度を徹底するという趣旨で、改正案が練られた点があるように拜承したのでありますが、この点は新憲法において、國民の健康にして最低文化生活を営む権利、いわゆる生活権の保障という点から見れば、まさに当然でありますが、同時にまた最近の傾向である権利義務の観念が混乱して、誤つた民主主義のもとに、義務の観念が非常に稀薄になりつつあるという点、從つてわれわれの法的秩序は、ややもすると混乱に陷るというような実情を考えてみますると、この差押え問題も、よほど愼重に立法する必要があると思うのでありますが、その辺の原案に対する考慮は、どういうふうになつてつたかということを承つておきたいと思います。
  34. 奧野健一

    奧野政府委員 その点も非常に考慮をめぐらしまして、現在の年收三百円以上の分についての差押えを許らということになりますと、差押えをする範囲が多くなりすぎまして、生活に非常な窮迫を及ぼすおそれがありますので、本案におきましては、総額四分の三を超過する部分に限つて差押えができるということにして、いわゆる最低生活の保障ということを企図したわけであります。しかしながら、ただいまお話のように、そういうことでは、一向生活の状態に何らの不利益を及ぼさないだけの資産をもつているようなものについては、やはり権利の伸張という保護を、十分債権者のために與えてやる必要があると考えまして、そういう差押えによつて生活上の窮迫の状態に陷るおそれのない場合には、さらに四分の三を超過する、その二分の一に達するものは差押えることができるという最低生活の保障、一方債権者の権利の保護ということを、両々相考慮して、両方の利益の調和をはかるというのが、六百十八條の二項の改正の趣旨であります。
  35. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 民事訴訟法そのものの問題ではありませんが、同時に考えなければならない問題としてお尋ねしておきたいのでありますが、調停制度については、いかようにお考えになつておられるかという点であります。
  36. 奧野健一

    奧野政府委員 調停制度は、相当効果をあげているのでありまして、從來いろいろな調停がありまして、戰時借家調停、人事調停、金銭調停というように、いろいろありまして、区々にわかれておりますので、これを統一するというふうな氣運もあつたのでありましたが、先年家事審判所の制定によつて、少くとも家事関係の家庭の紛爭については、家事審判所の專管に属するようになりましたので、現在調停全般について統一するということが、やや困難の状態になつておりますが、やはり訴訟民事訴訟と相まつて、調停によつて具体的な妥当な紛議の解決をはかつていくということは、今後としても非常に実益のあることであろうと考えますので、民事訴訟法と同時に調停についても、さらにくふうを凝らして、両々相まつて民事の紛爭の解決に当りたいというふうに考えております。
  37. 佐瀬昌三

    ○佐瀬委員 なお協事訴訟法についても、若干お尋ねしたい問題があるのでありますが、本会議も始まつておりますので、私は本日この程度で打切つておきたいと思います。
  38. 石川金次郎

    ○石川委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十一分散会