○河井
委員 私は社会党を代表いたしまして本案の成立に賛成いたすのでありますが、この際二、三の要望を強く主張しておきたいと思うのであります。元來
復金は、荒廃した日本の産業を再建するために、普通銀行でやることのできない莫大な資本を投資して、新しい設備なり、あるいは復旧設備費に主たる目的が置かれてあつたのでありますが、今日の
復金の状態は、單にそういう
復金本來の目的を逸脱して、赤字金融もやる、あるいはまた
一般産業について金融もする。毎期々々にだんだん金額が多くな
つて、今度は千三百五十億にもなる。そして仕事の
範囲はきわめて厖大になり、日本の産業全般にわた
つて金融するということにな
つております。
從つてその仕事は非常に複雜にな
つており、あまりにも多く仕事をやりすぎるがために、この前塚田
委員からもしばしば言われましたように、
復金の貸付についても嚴重に、特にその取立については嚴重にやらなければならぬということはわれわれも同感でありまして、常にそういうことを主張しておるのであります。これは
復金のやるべき本來の仕事以外にや
つておるからであります。今日すでに戰爭が済みまして、來月でまる三年になります。日本の経済もようやく復元すべき時期が到來しているのではないかと考えます。
從つて普通銀行において投資することのできない超重点産業は
復金においてやることにして、他の一般の産業については普通銀行に扱わすことにしなければならぬ時期に達しているのじやないかと考えます。そうするならば普通銀行は自分の責任において
貸出も嚴重にし、取立も一層嚴重になるということになるのでありまして、しかも今日
復金の金というものは、大部分はいわゆる
復金公債によ
つて日本銀行が賄
つておる。それも結局同じことになる。普通銀行に対して日本銀行が信用を供與していくならば、國家の立場からいつたならば同じことになる。むしろこの
復金の大きな仕事を普通銀行にわかつことによ
つて、金の貸付なり取立てなりがきわめて緻密に集約的に行われる。そうして國の金をむだに使うことが少くなるということができるのでありまして、まさにその時期に立
つておるのではないかと考えます。私は今度の改正については最早期日も切迫しておりますし、これが通らなければ
石炭も肥料も止るということでは困るのでありまして、これは通さなければなりませんが、この次からはそういう点まで考えられて、ここで一大変換をして、
復金の今までのやり方をもつと根本に立ち返
つて、大体の仕事は普通銀行にやらせる。そうしてその金は
復金が信用を提供する。結局これは同じことになる。日銀が
復金債券を引受けておるのですから、そういうことにする方が私はよいのではないかと考えるので、その点について十分な御考慮を願いたいと考えます。
それから現在のままの機構でいくならば、先ほど塚田
委員が言われましたように、中小工業に対してもつと強力な支持をして、わくももつと拡大して、十分に融資をしてもらわなければならぬと考えます。殊に農業生産に対して
復金ははなはだ関心が少いと考える。言うまでもなく農林中央金庫は
農業会の金を預つたり出したりする、いわば上銀行みたいなことをや
つておりまして、中金そのものは農業生産に対して直接投資するような非常な抱負はも
つておらない。また勧業銀行は今日農業生産に対して金を出すだけの資力もなし、機能をまつたく失
つているのでありますから、どうしても農業生産に対しては、
復金によりまして力強く支持してもらわなければならないと考えます。これはひとり國協党の立場からばかりでなく、社会党におきましても強くこのことは要望しておきたいのであります。一般中小工業者に対しましても、またこの農業生産に対しましても、十分なる
資金の融資を極力なされまして、農業生産を保育助成されることに、十分注意せられんことを強く要望いたしまして、私はこの案に賛成をいたします。