○
愛知政府委員 まず中小事業金融についてお答えいたします。中小事業金融につきましては、御
承知のごとく私どもといたしましては、当初中小企業廳の発足とともに特殊の金融機構を実は考えたわけでございますが、いろいろの
関係から考えまして特殊の中小金融金庫というようなものの設置は好ましくないという
結論に
なつたわけであります。この点につきましてはすでに
関係方面の発表等もございましたので、御了承願えるかと思うのでありますが、しかし
政府といたましてはこの問題は何も特殊の機構の問題ではない、実体的に現下の諸般の
情勢から考えまして、中小事業金融のためにはなお一段の努力をする必要があるというように考えておるのでありまして、その後逐次立案に努めておるわけであります。ただいまのところ大体商工省、安定本部等との間に
話合いのまとま
つております。ところをごひろういたしまするならば、まず第一に
復興金融金庫の中小事業金融の大体のいわゆるわくというものは、四半期約十億あるわけでございます。この十億につきまして、まずそのうちの
相当部分はできるでけ直接この中小事業の分野に明るい既存の金融金庫を動員することが必要であると考えまして、今後
復金の代理貸制度を大いに活用することに考えておるわけでございます。その具体的の
内容は、たとえば拂込資本金が百万円以下、あるいはまた常時從業員の数が百人以下という程度の工業、あるいはこれと相匹敵するような商業部門に対します
融資であ
つて、大体一件の貸付金額が三百万円、あるいは二百万円というような程度以下のものにつきましては、この中小金融として與えられておりますわくの十億の大体半分程度は、徹底的に商工中金なり勧銀なり興銀等の
從來既存の中小金融として
相当の経驗と長年の知識をも
つておりますところの創意、くふうを活用し、自主的の活動をさせるように代理貸制度を活用してまいりたいと考えております。それから他の半分の四億ないし五億の
資金につきましては、これを
資金的に大きく活用いたしますために、大体一般の大小の金融機関を動員いたしまして、
復金がその三分の一程度の部分保証をするという制度を考えておるわけであります。たとえば三分の一だけ
復金が保証をするということであれば、かりに四億五千万円の保証に充当する根がございますれば、
ちよつとそれで十四、五億の金が実際に動くわけでありますので、三〇%といたしますと
ちようど十五億の金が動くことになる。その三〇%の保証をつけることによ
つて地方銀行その他の中小事業金融の活動の分野を廣くする。そうして一面地方銀行は手もとの
相当困難のものもございますから、十五億ときめますならば、その範囲内において日本銀行から一般の金融の操作と相
関連いたしまして、その手もとの補充ということを、みてやるということを日本銀行としては
措置をするということによ
つて、
復金のわくは十億であ
つても実際動きます中小金融の現実の姿は二十億程度になるということで、とりあえず中小事業の金融ということの拡大強化をはかろうと考えておるのであります。これが第一でございます。
その他御
承知でございましようが、最近におきましては、直接日本銀行からも商工中央金庫、勧銀、興銀等に対しまして数千万円ないし一億あまりの特別に中小事業金融の
資金の手当として
融資しておるのでありますが、随時そういうような、直接日本銀行との
関連も発展的に考えたいと思
つておるわけでございます。大体とりあえず特別の金融機関ができないというやむを得ざる事情に対処いたしまして、こういうようなことをとりあえずの
措置として進めたいと考えておるのでありますが、これらの点はまだ商工省とその他
官廳側のまと
まつた意向でございまして、未だこれに從事してもらう金融機関その他への
話合いはまだ十分についておりません。しかし何とかしてせめてこれくらいの程度のことはやらなければならぬと考えておるわけであります。それからその次には、実はこの
國会にぜひ提案したいと考えてお
つたのでありますが、中小金融の受入態勢をどうしても強化する必要がございますので、信用保証制度の確立伸長をはかることを考えておるのでございます。できれば立法化いたしまして具体的な
措置を考えたいと思うのでありますが、現に東京、大阪、その他の中小商業の盛んな都市におきましては、府縣廳の
責任におきまして信用保証制度等は
相当活発に動き出しております。さらにこれに対しまして國家的の援助も考えておるわけでございます。
第三に、
内容的に
從來中小事業金融というものは、ともするとこれが事業的に見ると丙種産業でありまして、一概に業種が丙であるというために、簡單に金融の対象になり得なか
つたのであります。いろいろ御非難もいただいておるのでありますが、これにつきましては、ただいまやはり商工省と緊密に連絡をとりまして、指定
物資の
割当制度のあるものにつきましてはもちろんのことでありますが、その他配給機構が確立したお
つて、流通部署が確立される範囲内のものである限りにおきましては、手形制度その他を徹底的に活用いたしまして、業種が丙でありましても
物資の流通を円滑にし、國民生活を多少でもゆたかにするという面に貢献するものであるならば、くふうのつく限りの援助をいたしたい。たとえば手形制度等によるものにつきましても、業種は丙でありましても、
取扱いは甲に準ずるということを行政的に行
つてまいりたいと考えております。すでに一部指定配給制度等のありますものにつきましては、農業手形と同じようにいろいろの配給手形を考案いたしまして実行しておるのであります。ただこれらの制度は、インフレ下におきましてここ数年の間、
まつたく
現金取引とやみ取引というものがほとんど百%まで商業部面をおお
つておりましたこの現実に照らしまして、ただちに配給制度その他について手形の活用というようなことは、なかなかこれを利用する方でもむつかしい手続がいろいろございますために、現在のところでは十分にまだこの制度が活用されておりません。また極端に申せば、まじめなそういう制度に協力して
從つていこうとする業者の方がより多くの手続をしなければならなくて、やみの取引をする方が金融がゆたかであるという事情もありまして、まだ十分にい
つておりませんが、この点につきましては各業種
團体その他の御協力を得まして、金融を受ける方の側からも非常な支援をいただきまして、逐次効果をあげるようにいたしたいと考えておるわけであります。
それから第二は農業金融の問題でございます。この点につきましても、実は御
承知のごとく去る六月二十九日に閣議
決定をいたしまして、農林漁業復興
資金の特別融通
法案というものを考案いたしました。またそれに附随いたしまして、農林漁業復興
資金特別会計法案というものを立案いたしたのでありますが、その両案とも手続上の
関係から不幸にしてこの
國会には審議をいただくことができなく
なつたわけでございます。しかしながらこれらの金融の必要であるということにつきましては、内外の認識がきわめて明瞭にな
つてきてまい
つておりますので、
事務当局といたしましてもいろいろの方法を考案いたしまして、たとえばあの認証制度その他の場合を見ますならば、公共事業費の一部繰上支給というようなことも考え得るでありましようし、また現在の制度におきましても、預金部は事業の対象が地方公共
團体であります場合は、起債の計画の中に入れますならば、地方公共
團体に対して
融資をいたすこともできますので、それらの方法を法規の許します限り活用いたしまして、一應つなぎをつけておきまして、そして最近の
機会に立法の
措置をすることにいたしたいと考えておるわけでありますが、なおこの点につきましては、別に
安本長官あるいは大藏、農林両大臣等から
説明をいただいた方が適当だと考えられます。