○大上
委員 今次
提案せられました
所得税法の一部を
改正する等の
法律案並びに
取引高税法案に対し、ただいま
社会革新党から
修正案として出されました点は、その趣旨においては
賛成するものでございますが、國家全体の財政面から見ましてこれに
反対するものでございます。なお第一
議員倶樂部所属の
堀江君の
修正案のうち、
取引高税の全面的
反対に対しては
賛成するのでございます。
從つて私は過日來連日
審議に参加し、なお
政府の意図とするところの各般の政策を推定し、國家経済並びに
國民経済の両面に立脚して研究の結果、大体本法案については特に
所得税法の一部を
改正する等の
法律案については、不満足ながら先の
理由に基きまして
政府原案に
賛成するものでございます。それで
所得税は、法案に
規定されてある
通り、総
收入より総支出金を
控除した残額が
所得であると思います。これが今次の更生決定に見られたように、
政府の見込んだ
所得と
國民の
所得と相当開きがある。これをいかに調節するかということが、本法案において如実に現われております。さればたとえば企業の種類にはいろいろあるが、
税法上の
所得は、
農業であろうと商業であろうと、はたまた
勤労所得であろうと、皆帰するところは
一つの
所得であろうと思います。にもかかわらず
所得発生の過程が異なる。すなわち
農業所得者と商業
所得者と、その
所得を発生せしめる過程がおのおの違うであろうと思います。その最終の
所得計算が非常に不公平であるという点を特に指摘しておきます。
控除はどういうことかと申しますと、
農業所得者と
勤労所得者の場合にこれははつきり出ております。その第一点は、すなわち
農業所得者は、單に
基礎控除一万五千円だけであるが、
勤労所得者の方は一万五千円の上に、なお
勤労控除が特別に三万五千円を認められておる。こういうふうに、
所得を生むところの過程とその結論において、なぜこういうふうな面を
政府はもう少し研究せられないかという点は、これは了解しがたい点であります。さらに当
委員会及び
政府当局においてこれを再檢討せられることを私は望むのであります。
次は間接税のうち特に從量税でありますが、これは最前ありました
通り、マツチ、
砂糖等、
國民生活と切り離すことのできないものに対して、なお
税率を
引上げてきておる。これは、今日のわが國
國民の私経済はいまさら私が申し上げるまでもないが、ただちに
國民生活を圧迫するとともに、
大衆課税の幣に陷りやすい。
取引高税においても同じような結果で、しかも脱税を誘発せしめる、こういうような点において特に考えてもらいたい。ために私は本法案につきましては、無
條件をも
つて政府案に
賛成はできがたいのでありますが、諸般の事情からいたしまして、私が最前指摘した諸点は、特に当局において一層の研究を続けるということを確約してもらうとともに、一應了承します。よ
つて大体不満ではありますが、
本案に
賛成します。
次に本法案につきまして
與党三派から
修正案が出ておりますが、この
修正案につきましては私同調しかねる、すなわち
反対の意を表するものであります。その
理由といたしましては、本
修正案は二十五万円の
所得者を一應
高額所得者と見ておられるのであります。すなわち
高額所得者とみなすところの限界をどの辺に求めておられるか、これが非常に了解しがたいのであります。この二十五万円の
所得者を
高額所得者と見るということは、
日本の経済を無視したように思われるのであります。それは現在の通貨價値より判断してもらえばおのずからわかると思います。まず取引の発生とともに、大体
所得が確定される、こういうふうな行為の連続の決算によ
つて最終の
所得が合計せられる。しかして
税法の適用は第一回のいわゆる
所得の発生という面と、実際
納税をするというところに、相当の時間的なずれがあります。当時の通貨が安定しているとか、あるいは
物價が今日のようにさほど上
つていないという比較的安定通貨と申しますか、さような経済機構においては、一應安定しておると見られますが、今日のごとく、非常に
物價の高騰率がきついという面から行きまして、
所得というものの面において、あるいは貨幣の價値という面において、この二十五万円はあまりにも昔に比較したならば小企業者に類似するところのものである、かように私は思います。すなわち今日
與党三派がきめておられますところの二十五万円という一線は、昔の最も小さいところの企業者であるように考え、またそのように計算が出ておるように思います。いかに小企業者であ
つても、企業者である以上は、いわゆる
資本というものをも
つてかか
つております。その
資本の減價をどういうふうに見積られ、あるいはどういうふうにこれを償却してやろうかという点において非常な大きな欠陷があると思います。中小工業はわが國の経済機構の中樞と申しますか、中核体であるということは、私が申すまでもなく皆さん十分御存じのはずでありますが、この種の企業
段階と申しますか、
一つのクラスを混乱に陷れる結果になりはしないか、すなわちそれから起るところの結果は、いわゆる企業の再分配ということを一應考えていかなければいけない、それくらい経済建設ということが無視せられておると私はかように思います。よ
つていわゆる財政面よりの、
歳入の点から見ても、この点においては、ほかから何とか自然増收あるいは
経費の節減において、こういうような
税率の変更をしなくともいけるのではないか、こういうふうに思い、研究の結果、あらゆる面を檢討して本
修正案は合理的でないと思います。よ
つて反対するものであります。次に
取引高税は、これは最前も申しました
通り、全面的に
反対の意を表するものであります。その
理由とするところは、まつたく
國民所得を無視して、もつぱら
國家財政面に立脚しての立法のように考えられます。すなわち
日本経済の復興あるいは外資導入態勢の確立をも
つて任とするところの今日の
政府が、
國民の私経済を破壊しても
國家財政を守らんとするきわめて矛盾した一面を暴露しておるように私は考えます。すなわち本法案の実施にあた
つて、当然少しでも常識をも
つて判定するならば、
物價の騰貴あるいは
インフレの助長、消費者
負担の加重、苦しまぎれの脱税の誘発あるいはやみ取引の助長等、産業再建のためになる現象は
一つも算えられていない。なお私たちが一應考えてみなければならぬのは、各種の陳情、すなわち
國民の声をいかに皆さんが受取
つておるかということであります。各
委員がこの陳情の
趣旨弁明をいかに受け取られたかは、その主観的判断に一任するといたしましても、わが党は本法は惡法なるゆえをも
つて阻止せしめてくれ、こういうふうに受け取りました。しかしこれはこのまま無
條件に受け取
つたのではなくて、愼重
審議した結果、私たちはこれを
國民の声として受け取
つて惡法なりと断定するのであります。
從つてこの法案の
反対につきましては、
國家財政面において齟齬を來すのではないかというような点がございますが、この点につきましても、種々研究の結果、自然増收から十分見られる。あるいは主税局の現在扱
つているところの直間税の本法案以外の方に全力を注いだならば、十分な、いわゆる予定の財政と申しますか、
歳入が確保せられるという確信をも
つております。こういうような面からと、なお
一つ最前申しました
物價の騰貴、
インフレーシヨンという面において実際から見ていきますと、大きな企業といいますか、一貫性をも
つて作業しているところの会社の経営といいますか、あるいは個人の企業形態は、
取引高税がかか
つてまいりませんが、中小企業者であるところの者は、仕入れに何階段かの手数を要するわけであります。この手数において、結局無資力の中小企業者は高い物を仕入れなければならぬ。
從つて一般にあらゆる面で
購買力が低下する。これを抑えるだけの力がないということになれば、先ほどの
討論の
通り経済界を混乱に陷れると思います。
なお最後につけ加えて申し上げたいのは、私たちは
國家財政の
負担ということは十二分に了承はしておりますが、
一つの企業を続行する場合には、御存じの
通り所得税がかか
つてくる。あるいは取扱い種目によ
つては
物品税がかか
つてくる、また
取引高税がかか
つてくる。その他地方税も負
つていかなければならぬ。こういうふうな総合的なあらゆる税
負担をいたしますと、われわれの生計費と申しますか、あるいは
所得面からその何パーセントが税に変
つていくか、そういう点は当
委員会におきましては皆十分御存じのはずですから、それ以上掘り下げはいたしませんが、こういうふうな面からいたしまして、私はこの法案に民主自由党を代表いたしまして、
反対の意を表するものであります。