○栗栖國務大臣 私の所管でないかもしれないが、この軍公問題、外資導入問題につきましては、全力をあげていたしておる
関係もございまして、そういう
意味において國務大臣としてお答えもし、また安本長官としてその所管のお答えをしたいと思います。いずれお尋ねになると思いますので、一言申し上げますが、この軍公の利拂の処理が、國際的にどういう影響を與えたかということは、これは観念論ではいかないのでありまして、向うとしてもこまかに経済的、政治的に分析をして
考えたものでありますから、どういう影響を與えたか、あるいは與えないとい
つても、どういう
状態であるかということをお答えいたしたいと思
つております。外資の導入でありますが、これもややもすると抽象論、観念論が行われるのであります。これは具体的に言うならば、経済的に、政治的に、具体的に話を進めていくことが一番大事であります。また今はそういうような時期にもはい
つておると思います。そういうようにお話を申し上げるということを、あらかじめお断りしておきたいと思います。御了承願います。
外資といいますが、外資にもいろいろ
意味があるのでありまして、ただいま問題に
なつております外資はどういうものか、やがて日本の経済が安定を見、そうして復興のために長期
計画の線、その他に沿うて入れられる外資はどういうものかということを、まず明らかにしないといかぬと思うのであります。当面の問題に
なつておりますのは、外資の中の
政府間の外資であります。これはガリオア・ファンドによるものとか、それからエロア・ファンド、そういうような
政府間のものと、それから民間ではありますけれ
ども、
政府のサポートの非常に強かつたいわゆる回轉基金による貿易資金六千万ドルのもの、こういうような性質がおのおのあるのであります。これを究明しないと、一律に画一的な議論をするということは、非常な危險があると思うのであります。こういうものに対する受入
態勢ということは、この中には多分に救済的あるいは援護的の性質をも
つておりますが、民間の外資導入のごとく、企業的というのが一番よろしいでしようが、そういう性質と非常に離れた点があるのであります。それからこれは國際の政情に非常に支配されておるのでありまして、それがためにまた受入
態勢もいろいろ違うということは申すまでもないのであります。しかしお尋ねはおそらく民間外資がおもでないかと思うのであります。民間外資になりますと、本格的な外資導入、いわゆるインヴェストメントとして本格的にはい
つてくる。こういうことはこれは日本の経済が安定の見透しがはつきりするといいますか、それがまず第一であるのであります。そういたしますと、われわれとしては中間的な安定、長期
計画にこれを結びつけるには相当の準備期間を経た後でないといかぬと思います。今ただちにそれが現われるかと言いますと、本格的なものはインヴェストメント、投資の形によ
つて外資はすぐはなかなかむずかしい。しかしその準備
態勢は今いたしておかなければならぬのであります。これは私はやはり企業に対して、はいるのが非常に多いと思うのであります。それには企業投資、企業参加というものに大体目標をおいておると思うのであります。そうしますればどうしても企業の再建、整備ということが非常に急がれるわけであります。集中排除の問題、賠償その他の指定の問題について、相当見透しをつけるということが第一であると思います。それから日本の
インフレーションその他が進行
状態にありましては、どうにもならぬのであります。不安定でありますから、この問題も大体見透しがつくということが大事であろうと思います。
次には
労働不安であります。労資の協力ということが十分完全に
なつて、そうしてわれわれは
労働組合の健全なる発達ということえも
つてい
つて、その見透しを得るということも非常に大事であります。
それからいま
一つは為替の問題であります。どうしても為替問題があるのであります。本格的な為替その他がはつきりいたしませんと、ぐあいが惡い点があるのであります。そのほかに財産その他税の問題な
ども——法人税の問題もあるのであります。一昨日もここでいろいろ申し上げたのであります。日本人の法人税に対する
考えと違う。向うはいろいろ海外投資を計算いたしております。それが税によ
つて、その利益がほとんど上げられなくなるというような目にあつた例もたくさんあるのでございます。その辺は鋭く向うは
考えておる次第であります。そういうふうな一連の受入
態勢をすることが、もちろん必要であります。これには私は、片山内閣の危機突破対策でありますが、それを引受けて、そうして長期の経済復興
計画を立て、その復興
計画の線に沿うて外資導入を予定し、資材の輸入、その他も輸入し、國内の再建整備、経済力の回復、整備というものを予定していかなければならぬ。これが非常に大事だと思います。なおそれがためには今
インフレーションが相当進んでおります現在、長期
計画に入るには中間安定策というものをして、橋かけをしないと橋を渡れぬと思うのであります。その橋かけの中間安定策、こういうようなものを策定いたしまして、や
つていくことが必要だと思うのであります。これにつきましては長期
計画、それらのものについて私は
日本國の再建のため、
國民の再建のためでありますから、一党一派に片寄るということは当を得ないと思います。各党の方から代表者を出していただいて今策定を急いでおるような次第であります。そういうような一連の政策を立てて、そうして本格的な外資導入というものが、初めて準備期を過ぎて実行期にはいる、こう思う次第であります。しかし現在の問題は一種の外資導入ではありますが、この特殊的な現在の
事情に副うような商談が民間では進められつつあるのであります。たとえてみますと、欧州第一次大戰のフイニシング・クレジット、仕上製品制度、原料を日本に持ち込んで日本の工場で仕上げをして製品としても
つていく、加工賃が日本に落ちるわけであります。これも一種のクレジットであります。外資導入の
一つであります。あるいは原料を日本に入れて製品をつくらして、一部をまた外國にも
つていく。こういうようなもの、あるいは企業参加の予約をして、そうして原料をも
つてくる、あるいは原料を二年か三年一定のものを買うという約束をして向うから資材その他をも
つてくる。こういうような特殊的なクレジットの話が着々進みつつある次第であります。これについては準備
態勢その他の應急的、一時的のものでありますけれ
ども、われわれとしまして外資導入に関する
委員会をも
つて、この
関係者殊に大藏省、商工省、貿易廳、こういうものとの間に密接なる連繁をと
つて、日本の経済復興に資するようにも
つている次第であります。