○栗栖國務大臣 お答えいたします。先ほど來申しましたように、殊に
民間の外資導入はこの受入態勢の
整備と経済の安定、為替の安定、その他の安定を必要とするのである。これが本格的の外資導入で、投資はそういう後でなければ來ないと思う。今準備期だということを申し上げたのでありますが、しかし一種の変態的な外資あるいは資材、原材料、設備等の擁護を目的とする一種の外資導入、クレジットの設定が行われることが見込まれる。こういうことを申したのであります。なおそのほかに
政府と
政府との間の外資導入であります。これが最も多く働いておる。こういうことを申したのであります。そこでいささか
お尋ねの点と
ちよつとはずれるかもしれませんけれども、もう一言申し上げておきたいと思いますことは、きわめて重要なことなのであります。今のはそういう変態的な外資導入及び
政府間の外資導入、ガリオア・ファンドとかエロア・ファンドとかいうことが
民間にありますけれども、
政府間の支援の強い回轉基金の外資導入であるとか、こういう種類のものが大巾に要請され、また企図されておるのであります。しかしこの前提はやはり
日本の経済の安定ということが必要である。安定にはすなわち第一には、今回の
予算が均衡を得た
予算、健全金融がまず第一にできなければ、好意ある連合國の援助を求められないということを
考えなければならぬと思います。本日もその筋へまいりましてそういう点を非常に力説されたのでありまして、この
予算の健全金融、産業の安定、その他について非常な力説を
受けたのでありますが、そういう点が最も大事だと思うのであります。
それから今の
お話にはいりますが、この法人税の今回の軽減は、いろいろな意味をも
つておることは申すまでもありません。これは法人税あるいは地方営業税を加算いたしますと、担当利益の大部分、あるいは利益の全部がすべて税として取上げられるとまで言われることがあるのでありまして、これを軽減するということは、一は外資の導入もありますが、一つには
日本の健全なる資本の蓄積を誘致します上においても、これはきわめて大事なことだと思います。終戰以來この補償打切等によ
つて日本の資本は壞滅しておるのであります。私はあえて資本家と申しません。資本であります。事業をするには資本が必ず必要であります。これは
國家資本によるのか
民間資本によるのか、いずれかによらなければなりません。これは
川合委員と多少違うところもありますけれども、
民間の資本を主として企業をするということに立
つておるのであります。そういう
関係からして、
民間資本の蓄積を誘致することが、事業の健全なる発達をするという上にきわめて重要であります。
設備あるいはその他のものを
整備すると同時に、資本がからに
なつておるものに新たに資本を入れるということがきわめて重要であります。そういう意味におきまして、今の法人税の税率等を
考えますと、資本の蓄積する。つまり資本を守るという上においては欠けるところがありますので、これを現在の
日本の急迫した財政とにらみ合わせて、許される範囲において軽減する。こういうことにいたしたのでありまして、これが一つのねらいどころであります。勤労者に対してその生活の安定のために勤労者の所得税を軽減する。またそれの不都合を是正すると同じ意味において、資本の蓄積は
日本の経済復興に必要でありますから、その面において法人税を軽減するというようなことをいたしたのであります。資本家と資本というものとは区別しておりますが、いわゆる在來の財閥その他を主とするような資本を擁護するという意味は含まれておらぬのであります。今後の資本は
修正資本主義というか、私は証券民主化とともに、廣く
國民の間に新たに資本が蓄積されて、
國民は自由に資本を投じて企業に参加する権利が與えられる。そうしてそれによ
つて新しい
國民を中心とする資本層が形成される。これが私はほんとうの新しい資本主義の行き方だろうと思います。そういう意味において資本が蓄積されることを目的としておるのであります。一面におきましては、ごく特殊的なクレジットの設定もありますが、それにしましてもしばしば聽く問題は、法人税の高いという点であります。そういうものもかね合せて法人税の軽減、こういうことに相
なつておるような次第であります。