○塚田委員 私は民主自由党を代表いたしまして本法案に賛成の意味の
討論をいたしたいと存じます。
一体今度の法案が
根拠を
もつところの
臨時物資需給調整法、この
法律が総動員法が失効いたします直前に経済混乱を防止するという意味において、それに代るものとして
國会に提出せられましたときに、私も委員として審議に当
つたのでありますが、その当時私たちはこの
臨時物資需給調整法が、また過去の
國家総動員法と同じような形に使われて、非常に
國民の権利というものをだんだんと侵害していくというようなことになることをたいへんにおそれたのであります。そういう意味の発言を実に繰返したのでありましたが、当時
政府の御
答弁で、絶対にそういうことのないようにするということの確言を得て賛成をいたしたように私どもは記憶しておるのであります。それにもかかわらず、だんだんと最近の傾向を見てまいりますと、やはり私たちが当時非常に心配しておつた傾向がだんだんと現われて、今度のこの法案の場合等に、殊にその傾向が顯著であるように私は非常に感じておるわけであります。しかし一方
考えてみますれば、今日日本がおかれておりまするこの特殊な状態、殊に独力ではいかんともいたしがたい事実、外國の力を借りなければ経済再建が困難であるという状態を
考えまするときに、他の力を借りる場合には、
自分の力を出しきるということが当然これは前提でなくちやならぬのでありますから、そういう
意見においてこういうような必要もまたこれは存在するということは、これは認めるにやぶさかでないのであります。ただそういうことの口実のもとに、一方憲法もはつきりと保障しておりますところの個人の
財産権というものが不当に侵害されるということは、これは極力愼まなくちやならぬのではないか、こういうように感じておるわけであります。
從つてこの辺の非常に矛盾する二つの
考え方の調和点というものは、やはりこれは運用によ
つてうまくや
つていただく以外には、何ともいたし方ないというように結局ならざるを得ない。そこで
政府当局も運用には十分氣をつけるということを、この法案の場合においても繰返し述べておられますので、一應それを了といたしまして、私どもはこの法案に賛成するのであります。しかしこれが、また一旦
法律が出てしまうと、今度は
法律は文字だけが残
つておるのでありますから、御
答弁に
なつた
政府当局も変られるということになると、またぞろ濫用になるというおそれがあるということを、過去の実例に照らして非常に心配するわけでありまして、どうかそれらの点において絶対に過ちのないように、切に注意を願うということをお願いして、この法案に賛成をいたしたい、こういうように
考えておる。なお
質疑に際しまして当委員からしていろいろ
お尋ねいたした点は、恐らく
國民の偽わらざる声であろうというように
考えられるのでありますから、
委員長が本
会議におきまして本法案の審議内容を御報告になりまする際に、ぜひそういう
意見が
委員会においてあ
つたのである。そういう
意見をも汲みつつ、なお今日の日本の状態が、こういうような法案を通さざるを得ない特殊な事情にあ
つたのだということを、御報告の中に明らかにひとつお加え置き願いたい、こういうように感ずるのであります。さらに繰返えすようでありまするが、
先ほど松田委員から
質疑に際して発言のありました点は、実は最後の党代表委員の審査の結論を出します際、相談をいたしたときに強く主張せられたことで、どうもまた
政府が今度手に入れられるもの、もしくは
政府の命令によ
つて讓渡を命ぜられるようになるものをめぐ
つて、いろいろのいまわしいうわさがもうすでに出ておる。そういう場合にまた政治的のものや、ボス的のものが暗躍するようにな
つたのではたいへんでありますから、それらの点も十分に今後の運用の上において併せて御考慮願いたい、こういうように
考えるのであります。