○平田
政府委員 御承知のように、本年度の予算におきまして租税
收入を千三百五十億程度に見込んで、それによ
つて予算ができております。この見込みは大体御協賛を経ました
法律を適性に
施行するならば、大体それだけの
收入があるはずだという見解から見積つたものでございますが、その
收入に対しまして——これもあるいは御存じかもしれませんが、昨年の暮までに、
現実に租税
收入としてはいりました額が、わずかに四百七十億でありまして、十二月までにはいりましたものが四百七十億でありますから、一月以降年度末までに、八百八十億という歳入があがらなければ、予算通りはい
つてこない、こういう事態に実は追いこまれてまいつた次第でございます。その
原因を
調べてみますといろいろ
理由はありまするが、一番大きな点は、何と申しましても、ただいま御指摘の
所得税の、
申告納税の分の歳入
状況が非常によくない。勤労
所得税と源泉
課税の方は、一部減退等がございましたが、全体としては非常に成績が良好でありまして、見込みをすでに突破しておりまするが、一番惡いのは何と申しましても
申告納税の
所得税で、大体千三百五十億円の予算の中で、
申告納税の分の
所得税を、たしか約四百九十億近く見込んでいたと思いますが、それに対して十二月までに
申告税を納めてもらつた金額というものは、わずかに六十億、見込みの一割四、五分しか
申告によ
つて納ま
つていない。こういう事態に追いこまれてまいつた次第でございます。この
原因は
政府の側において宣傳が非常に不足しておること、それから新しい
制度でございますので、お互いに慣れないでうまくいかなかつたというようなこと、その後インフレその他の
情勢によ
つて、なかなか
納税者も納めにくい事情もあつたとか、いろいろな
情勢があつたと思いますが、とにかくそういう事態に追いこまれまして、そのまま推移すれば、おそらく本年度といたしまして、千三百五十億円に対して、相当な欠陥を生ずるおそれがありはしないかということを、私
ども非常に心配した次第でございます。しかしこれは財政の
信用にもかかわる大きな問題でございまするし、インフレをますます促進せしめまして、経済の復興に重大な影響があるということも
考えられましたので、何とかしてこの不足を年度内に徴収することについて万全を期したい。また期せざるを得ないという事態に追いまこまれた次第でございます。そこでいろいろな方策を講じておりますことについては、すでに御承知の通りでございますが、私
どもといたしましては現在の
徴税機構の許す限りにおきまして、全能率をあげまして仕事に精励する。一方宣傳その他につきましても万全を期しまして、あらゆる方策を講じて何とか歳入を確保したい、こういう趣旨でまいつた次第でございます。その際において今御指摘の
割当ということを、よく御指摘を受けるのでありますが、これは私
どもとしては、普通の米なり、その他の物資の
割当といつたような種類のやり方は全然いたしておりませんということを申し上げておきたいと思います。ただ、今の税法を適正に、円滑に
施行するならば、大体これくらいの歳入は確保し得るのではないかという意味における見込額というものを、各
税務署ごとに
財務局等で
調べと指令しまして、一つの努力目標といたして、数字を示しておることは事実でございます。ただこれは、あくまでも私
どもの見解から申しますと努力目標でありまして、税法を適正に
施行するならば、これだけは歳入があがるはずだという意味のものにしかすぎません。その結果において適正に
施行した結果目標に達しなくてもこれはやむを得ない。反対に適正に
施行して目標をオーバーする場合も当然
考えられると思いますが、一つの目安を示しまして努力してもらうということにいたした次第でございます。よくその辺が徹底しないために、御指摘のような言動を漏らしておるような一部の者がおるということを聞まきしたので、早速そういう点につきましては、たびたび
考え方を是正させるような行き方をと
つておるのでございます。なお不徹底な点につきましては、今後も
十分徹底させるように努力してまいりたいと思
つております。あくまでも私
どもといたしましては税法に
從つて徴税するというのが大原則でありまして、これを忘れては民主國家としての意味がなくなるという点につきましては、特に注意をいたしておるような次第もありますので、なお今後におきましても、そういう点については一層徹底をはかるつもりでおりますので、御了承願いたいと思います。
それから次に本年度の
更正決定でございますが、理想から申しますと、実は將來は、
申告でもう少し納まるような
状態になるようにも
つていかなければならぬ。私
どもといたしましても少くとも
申告税は、予定の六、七割くらいは納まるところまでも
つていかなければならないのではないかと思いますが、遺憾ながら本年度といたしましては、先ほど申し上げましたように、見込みの一割四、五分しか
申告で納まらない、こういう
状態にまきこまれましたその際といたしまして、それでは漫然として放
つておくかという問題でございますが、それもやはりどうも不適当ではないか、この際といたしましては、税務官廳も非常に手不足でございますし、御承知の通り慣れた税務官吏が不足でございまして弱体でございますが、しかしながら大きな歳入欠陥に対しまして、そのまま放
つておくわけにまいらない。できる限り短期間ではあるが、ベストを盡して、できるだけ調査をし、速やかに
更正決定をや
つて、
申告の不足をカバーするような方針で指導してまいつた次第でございます。その際においては私
どもは、できるだけ各人について当
つて調べてそれに基いて
更正決定の案をつくるようにというふうに、くれぐれも注意に注意を重ねておるのでございますが、御承知のように多数の
納税者についた
調べでいくことはできなかつたということも、私
どもよく承知いたしております。でございますが、何と申しましても今申しましたような
申告の
状況でございますので、私
どもはやむを得ず、できる限りの調査をいたしまして、
更正決定をいたしまして、それによりまして年度内の歳入を、できるだけ確保するというような措置をとらざるを得ぬような
実情に相
なつたた次第でございます。
從つて今御指摘の通り、多数のものについて一時に
決定いたしたのでございますので、中にはどうも的をはずれたものも相当あろうと思います。そういうものについては、
異議の申立等についても、できるだけ懇切に應対をいたしまして、はつきりした誤謬については即刻直するよに、ただ間違いが、相当調査をしなければはつきりしないといつたようなものについては、先ほど御指摘もありましたように、
審査の請求をいたします。しかしそれで
納税せ全部延ばすということになりますと、みな
審査の請求をいたすということになりますので、
法律にもございますように、原則といたしましては、
審査の請求があ
つても
納期は延ばさないという
考えでございますが、しかしながら明瞭なる誤謬についてはなるべく早く直して、そりに
從つて納税をはかるようにという趣旨で、目下盛んに指導いたしておるようなわけでございます。本年度といたしましては、私
どもは実はもう少し早いうちに、何期かにわけて
納税していただくならば、御協賛を得ました今の税法も、そうめちやくちやに無理なものだとも
考えていない。ただ年度末になりまして、一挙に一遍に納めていただかなければならぬという
実情になりました点については、どうも私
ども納税者の立場についても、金策その他について苦心しておられるものが多いのではないかということもわか
つておるのでありますが、さればとい
つてそう一般的に延ばすということになりますと、本年度の歳入に大きな穴が生じますので、何とかひとつやりくりしていただきまして、本年度内に納めていただくように、目下万全の策をと
つておるような次第であります。大体さき申しましたように、勤労
所得税等は、実は予算を超えておるような次第でございますが、
申告納税の
所得税の方が遅れまして、その結果年度末に一遍に納めていただかなければならぬというような
実情にな
つておるのでありまして、その間私
どもいろいろ無理があるということもよく存じておるのでございますが、一方とにかく予算の計画がそういう計画でできておりまするし、それからこれを漫然と延ばしますると、インフレその他にも重大な影響もありますし、國の財政の
信用等にも相当影響がありますし、対外的にも相当おもしろくない事態を生ずるおそれがございますので、本年度といたしましては何とかひとつこれを納めていただくように希望いたしたい。ただ先ほど御指摘になりましたように、あるいはまた
提案理由でも御
説明いたしましたように、何と申しましてもやはり少し
所得税の
負担が重すぎるのじややないかということを、私
どももつくづく感じております。非常に
所得が一般的に名
目的には殖えておりますが、実質的には生産の減退に伴いまして、ほんとうを申しますと非常に減
つておる。それに対しまして
所得税の相当な額を
負担していただくということは、
國民各位になみなみならぬところがあろうと
考える次第でございますので、來年度の計画といたしましては、
所得税等につきましては、でき得る限りの軽減をはかるような方向へも
つていきたい。ただこれにつきましては、まだ予算の総額も
決定いたしておりませんし、それから
物價賃金等の水準も、大体どの程度のところにいくか、確たる見透しもまだつきかねておりますので、案を得て御
審議を煩わす段階にまで至
つておりませんが、諸般の事情を
考えまして、できるだけ
所得税については軽減をはかりたい、かように
考えておる次第でございます。その際にはさらに
委員会におきましても、篤と御
審議を煩わしまして、適正な
納税ができるようにお願いいたしたいと存じておりますので、本
法律案につきましては、そういう趣旨からいたしまして、もう一月延ばすということにいたしたような次第でございます。