○
正木政府委員 本
請願の
趣旨については、ただいま
有田委員より詳細承
つたのであります。この
機会におきまして、
商工当局としての本
請願に対する所信を明らかにしておきたいと思います。
御
承知のごとく、
石炭、石油を除くところの
鉱山業は、現在全國で約十万人の
從業員を擁しておりまして、年間約百億円の差額をもちますところの重要なる
基礎産業でございます。
鉱産物の
種類によ
つては
事情が異なりまするが、概括的に申せば、
國家経済の必要上、本二十三年度におきましては、二十二年度に比しまして、四割増の
生産をあげるという
方針を立てております。数年以後は二十二年度の二倍以上の
生産を続けなければならぬという見透しを立てております。かような
生産を達成する
ためには、改変をいたさなければならぬ
事項は二、三に止ま
つておりませんが、最も重大なことは
地下で働いておりますところの
労働力の保全ということでございます。これが
ため昨年十月十四日
地下労働環境の改善をはかり、なお免れがたい
環境の不利に対しては、それに相應する
地方労働者の優遇をはかる旨
閣議決定をいたした次第でありまするが、この
趣旨に基く
具体的処置は、ただいまのところ、遺憾ながら諸般の
事情に妨げられて、未だいくらも進行していないというのが
実情でございます。
商工省としましては、
地方労働者の
社会最待遇を急速に大幅に引上げなければ、
鉱山業は急激に衰微いたしまして、
國民経済上はかり知れない損失を招來することと信じまして、各方面の
啓蒙に努めている次第でありまするが、ただいま
請願の御
説明においても明らかなことく、
事硅肺問題に至りましては、
社会経済の問題であるばかりでなく、まさに
人道問題でございます。
硅肺問題の
歴史は御存じのように、非常に
歴史が長くもあり、またきわめて悲惨な幾多の事実が、十分に
研究もされないばかりでなく、まつたく発表もされず、むしろ隠蔽されておりまして、恐らしいものには目をつぶるという
態度で扱われてきたのであります。
從つて今日まで、何ら見るべき
対策なく、同じことが繰返されておる次第であります。かくのごとく、
眞実を逃避する
態度は、今後においては考えられないことではないとかと、かように考えます。
商工省としましては、もちろん
眞劍なる
努力を傾注する覚悟でございますが、今回
國会におきまして、この問題が取上げられましたことは、
当局といたしましては、まことに感謝にたえないところでございます。願わくばこの機運を逸せず、
硅肺問題の
本格的解決に立向われんことを、衷心から希望いたす次第でございます。