○小島
政府委員 兒童福祉実施のために必要な國庫
予算、特に施設費に対する
予算の確保については、國家財政の点も考慮しつつ必要欠くことのできない最低額の
予算を要求したのでありまして、当初要求額総字約十六億円の要求額は、この趣旨によつて編成されたのでありまして、本計上額の確保については最大の努力を傾注したが、
政府提出
予算として提案されたのはこの総額の二割一分強、約三億四千三百万円余にすぎなか
つたのである。なかんずく保育所、母子寮等兒童福祉施設建設費のために当初要求
予算として約四億円を計上し、新築、改築、増築を含めて、約千三百ヶ所の築造を計画いたしまして本法の徹底的運営を企図したのでありますが、
政府提出
予算においては、施設箇所数約百九十ケ所、
予算九千五百六十八万五千円が計上されたのみであります。これでは、所期の目的達成はもちろん、せつかくの
兒童福祉法の実施が困難となり、將來本事業に及ぼす惡影響は優慮すべきなのでありますが、一面公共事業処理要綱による公共事業認定順位において社会福祉等の事業が最下位であり、
現状における國家財政の事情とにらみ合せて要求の充足は容易でないものがあることは予想されるのですが、しかしこのままでは
兒童福祉事業の伸展はとうてい望むことができないことは明白でありますので目下立案の最低基準令の
制定による経営費の対加要求と相まつてこれら不要経費について再度本
年度の追加要求しして予備金の支出方を要請中であります。
兒童福祉事業に対する寄附金に対する課税については、從來の所得税法によれば、兒童福祉施設に寄附する者に対しては、相当額の贈與額が徴収されておりましたが、所得税法を
改正する等の法律によりますと、個人以外のものが寄附する場合に対しては、贈與税はかからず、寄附を受領した施設等が所得税を納付し、その税額は贈與税に比すと低額に
なつてなります。
兒童福祉事業に対する民間施設事業資金募集のために行う各種演藝等の入場税の免除については、入場税法では、各種演藝等の主催者もしくは経営者が、その入場料の総額を慈善事業のためにあてる場合はこの入場税は免除されることに
なつていましたが、同法第五條「地法税法を
改正する法律」は入場税法を廃止して入場税を地法税とするとともに、入場税法第五條に該当するような規定を設けていません。しかし「地方税法を
改正する法律」第十四條第一項の「公益上その他の事由に因り課税を当適当とするときは、課税しないことができる。」という規定中に、現行法の精神を生かし得るのでありまして、この種事業の発展を期する上から各都道府縣知事が免除の措置をとるように指導しています。
兒童福祉施設に対する農地法の適用緩和については農耕地の農地法からの適用除外に ついては、自作農創設特別措置法第四條によつて現実の問題として、各農地
委員会の決定によるものでありまして、現に各兒童福祉施設においても各所管の農地
委員会に事情を具申して、それぞれ農地法よりの適用除外がされつつあり、これは各地法で
解決できる問題であります。なお、
厚生省としても随時農林省に対して連絡することにしています。
兒童福祉の行政の
兒童福祉法による統一については、少年法を
改正する法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する
保護処分を行うとともに、少年及び少年の福祉を害する成人の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とするもので、犯罪少年及び十四才以上の虞犯少年を取扱うことに
なつており、それ以外の兒童については、兒童相談所を通して措置されることに
なつているので
現状においては、
兒童福祉法による兒童福祉行政の統一は困難であります。しかしながら將來において、その統一に努力するつもりであります。
兒疾福祉
委員会の委員及び兒童委員の人選につきましては、中央は勿論各地方兒童福祉
委員会の委員の人選については、各界各層を通じて眞に適当な人を選任すべく指導しており、大部分期待に副うような人選がなされつつあります。
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