○
久下政府委員 処方せんの発行に関しますことについての総合的な
お尋ねでございます。まず
お尋ねの順序に
從つて、お答えを申し上げたいと思います。御
引例になりました
藥事法の第二十五條の
規定は、
処方せんは
無料で発給せらるべきものであるということを必ずしも前提として、
規定したものでないと理解をいたしておるのでございます。むしろそれよりも
処方せんに基いて調剤をした結果について、後々いろいろな問題の起りますときの証拠書類として保存をしていただくようにいたしておるつもりであります。それから
医師法第二十三條の
規定を御
引例にな
つてのお超でありましたが、この
規定からは必ずしも
医師が当然に
処方せんを発行しなければならないというような
趣旨は出てこないと理解をいたしておるのであります。むしろこの
規定は
医療が十分に行われ、
患者の疾病の治療が一日も速やかになりますように、藥剤の用途あるいは食事のとり方、その
内容、起居、その他の仕方につきまして、できるだけこまかに注意を與えるようにということを
規定いたしておるのであります。
医藥分業をいたしますことが
國民の
利便であるかどうかということでございますが、私どもといたしましても、たびたび申し上げておりまするような諸
條件が整いましたならば、
將來の理想としては、
医藥分業が
國民の
利便であると
考えておるものでございます。しかしながら今日の段階におきましては、
医藥の強制分業を実行し、あるいは
処方せんの強制発行をしなければならないという事態にな
つておらないと
考えておりますし、さらに
処方せんの強制発行ということは、非常特別な場合でございますけれども、診療上必要によりましてはかえ
つて強制発行しない方がいいという面も
考えられますので、
医師法、
歯科医師法等においては但書を設けて、特に診療上
支障のある場合はこの限りでないということを
考えておる次第であります。いずれにいたしましても、私どもといたしましては
患者が希望をいたしました場合には、大体そうした特別の例外を除きましては、
処方せんの発行をすることがむしろ
患者の
利便であると
考えまして、できるだけ
処方せんの発行の機会を多くするようにということで、今回のこの
関係の
規定の
改正の
趣旨もまたそこに出ておることでもありますので、今後とも
関係の方面を督励をいたし、適当な指導をいたしまして、
処方せんが
從來と異
つて、出ることを期待をいたしておる次第であります。
診録録に記載をするがゆえに
処方せん料をとる必要がないのではないかという
お話でありましたけれども、この問題は、私どもとしては、これを理詰めにものを
考えました場合には、
医師が
患者の診察をいたしましたその結果、投藥をするとか、あるいは特定の処置をするとか、あるいは手術をするとか、あるいは何らの処置も、投藥も必要がない、こういうような注意をするだけで済むような場合もあろうと思います。そういう各種の場合を
考えますと、おのずからだんだんと治療ということをわけて
考える必要があると
考えるのであります。そういう
意味合におきまして、理詰めにこれを申しました場合には、
診察料と、それから
処方せんの発行という一つの治療の手段として
考えたものとの間には区別があ
つてしかるべきものと
考えるのであります。しかしながらこの点は先ほども他の委員の方の御
質問にお答え申し上げましたように、單純に理屈のみで、
理論のみで問題の解決ができると
考えてもおりません。
医療の
実体がいかにな
つておりますか、さような面について詳細な必要な調査もまとまりつつありますので、それらを
参考といたしまして、十分
医療法に基く
医療報酬
審議会などで
檢討をいたしまして、具体的な方策を決定いたしたいと思
つておる次第であります。
現在
処方せん料が高いという御批判でございますが、これなどにつきましても、ただいま申しまして
審議会におきまして
十分檢討をいたしたいと思
つております。ただ一應公的な資料として御千考に申し上げられますのは、社会保險の診療報酬におきまして、
処方せん料というのは、特に掲げないが、五点の点数が認められております。五点の点数と申しますと、ただいまの單價で申しますれば三十円になります。これが社会保險の診療報酬として一つの定めがなされておるのであります。これらにつきましても、私どもとしては社会保險の診療報酬全般の問題とにらみ合わせまして、ただいま申し上げました資料に基き、
医療報酬
審議会において一括して全般の問題として十分精細な
檢討をした上で具体的な処置をきめたいと思
つておるのであります。