○荒木
政府委員 ただいま
議題となりました國定公務員共済組合
法案に関する
提案理由を御
説明申上げます。
まず初めに申し上げねばなりませんのは、
現行の
政府職員共済組合令は、昭和二十三年
法律第七十二号によりまして暫定的に
法律たる効力を認められておりますが、近くその期限が満了いたしますので、新たに共済組合の組織とかその活動とかを律します統一的な
法律を制定する必要が生じまして、ここに
從來の根拠法規を統一して國家公務員共済組合法を制定することといたした次第であります。
まず國家公務員共済組合法の
内容についてでありますが、大別いたしますと大体四点ぐらいになるかと考えられます。その第一点は、組合の人格及び
運営に関する点であります。すなわちこの
法律におきましては共済組合を法人といたしまして権利、義務の帰属を明確ならしめ、各省各廳の長がその組合を代表し、その事業を執行することにいたしました。これらの各省各廳の長は、この
法律に基いて
運営の準則とも申すべき
運営規則によりまして、共済組合の
運営を行うことにな
つております。
第二点は、組合の
運営機構において、その民主的
運営をはかるために
運営審
議会の
制度を設けまして、組合員をしてその
運営に参加させる方法を講じまとすとともに、また給付の決定とか掛金の徴收とかにつきまして
異議がある組合員の苦情を処理するために、大藏省及び各現業廳に共済組合審査会を設けました点でございます。
運営審
議会はその
委員を組合員の
代表者から選びまして、
運営規則の制定改廃とか、重大な財産上の処分とか、その他重要事項を審議し、種々各省各廳の長の諮問に應じまた建議できるのであります。また共済組合審査会は組合員を代表する
委員、
政府を代表する
委員、公益を代表する
委員各同数からなる審査
委員により構成せられまして、苦情の公正な処理をはかることにな
つております。
第三点は組合の行います給付についてでありますが、その
從來のものと比較し、
改正された点の大略を申し上げますと、第一に健康保險給付に相当する給付につきましては、健康保險法
改正案と実質的権衡をはかるため給付を増額いたしました。第二に退職給付、癈疾給付、遺族給付につきましては、現在までは終戰前の俸給
程度のものを基準俸給といたしておりますのを、退職当時現に受ける俸給に改めました。
第三に弔慰金、家族弔慰金の給付でありますが、これは現在鉄道共済組合のみに行われているのでありますが、これを他の組合にも一律に行わしめることにいたしますとともに、災害見舞金を以前より若干増額いたしました。
第四は休業給付を設けまして、法定のやむをえない欠勤の場合に、俸給に代る手当を支給することにいたしました。組合の給付につきましては、現在はその種類や額が組合により異な
つておるのでありますが、この
法律によりまして、公務員は組合から統一した給付を受けられることにな
つたのであります。
次に申し上げますのは國庫負担金でありますが、これは民間の社会保險と権衡をとりまして、短期給付については五割、長期給付については五割五分をそれぞれ國庫が負担するとともに、組合の事務に要する費用は國庫が全額負担することにな
つておりまして、これに要します財源はすでに本年度予算に計上せられ、御審議を願
つております。
以上申し述べました点のほか、特に附け加えて申し上げなければなりませんのは、
地方職員の
取扱いでございます。すなわちこの
法律におきまして共済組合の組合員となりますのは「國に使用せられ、國庫から報酬を受けます常時勤務の
職員」でありますが、
地方職員でも
從來共済組合に加入しておりました系統の
職員は、
地方公共團体におきまして、これに代る施設ができますまでは、この
法律によります共済組合の組合員となることにいたしました。
また
恩給法との
関係でありますが、この
法律に
規定いたします給付は、國に使用せられ國庫から報酬を受ける全
職員に対し行うことを原則といたしますが、現在
恩給法の適用を受ける公務員及び準公務員並びに非現業の雇傭人につきましては、当分の間、退職給付、癈疾給付及び遺族給付等の長期給付はこれを行わないことといたしておりますが、このうち
恩給法の適用を受けます公務員及び準公務員につきましては、
恩給法改正の際
考慮することとな
つておりまして、さらに非現業雇傭人につきましては本年度中に成案を得て
実施に移したいと考えております。何とぞ御審議の上速やかに御
賛成あらんことを御願い申し上げます。