○田中(松)
委員長代理 次いで第二十條、第二十六條、第二十九條、これは
徳田委員の御質問で当局の御意思のあるところはよくわかりましたが、私はその個々の問題よりも、そういう制度がここに取上げられてきたというその根本の問題について、少しく当局の御
意見を伺
つてみたいと思います。
厚生大臣並びに
政府委員の御答弁によりますると、この点については医藥制度調査会が十分
審議をして出した結論であるからというお言葉でございました。ところがその医藥制度調査会というところで考えている考え方というものが、將來
医師法をもこの線に沿うて改正するような心構えをも
つているならば、これは私了解ができるのです。もちろんそこで愼重
審議されたことは疑いませんけれども、やがてここへ出されるであろう
医師法に中にもそういう点を考えて、この
藥事法に対する答申をされたのであつたならば、私ども納得もできますけれども、もし
医師法と本
法案との間に差別扱いをするようなことがあるとするならば、私どもとしては医藥制度調査会そのものを批判しなければならぬようなことになります。
政府当局は医藥制度調査会を信頼されるでしようし、先ほど伺
つてみましても、十分いろいろな面を考慮の上で任命されると聞いておりますから、十分信頼のできるような事が任命されるでありましようけれども、第三者の立場からこれを見ますと、その構成分子について納得のいかぬような点があると思うのです。たとえば中立的な立場に立
つておる学識経驗者は別といたしましても、
医師関係の代表者が十八名あ
つて、藥剤
関係の委員が八名である。これは素人がそういうぐあいに考えるのであ
つて、嚴格に言うたらそうではないとお思いになるかもしれませんが、肩書などを見まして、素人はそういうぐあいに考えておりますので、これは疑いたくないことではございますけれども、やはり昔から皮より身がかあいいということも言いますように、どんな公平な立場を守
つておりましても、
医師は
医師の身びいきにな
つてくるし、
藥剤師はまた
藥剤師の身びいきになることをやりがちにな
つてくるということはやむを得ないことでございましようが、この点については、私ども先般
審議いたしましたあん摩、はり、きゆう、マツサージの
法案のときにも、やはり一種の疑惑をも
つたのでございますが、当時からこの構成分子について相当批判の声が起
つてお
つたのでございます。私誤解をしてもらわないように念を入れておきますのは、何もそこの
関係しておられる
医師関係の方々の人格を疑うわけではありません。たとえば同僚の榊原委員があん摩、はり、きゆうの
法案を
審議するにあた
つてとられた態度とか、あるいは本
法案を
審議するにあた
つてとられた態度には、私どもはまつたく敬服しておるのでありまして、こうした人が
医師関係の中にたくさんあることは疑いませんけれども、結果から見まして、どうもそういう疑いが起り得るようなことがあるということを申し添えておきたい。でありまするから、將來この構成分子をかえられるようなときには、先ほど
厚生大臣もはつきり
言つておられましたが、適当な機会にそういう点をも考慮された上でひ
とつ御考慮を願いたい。
最後にこの
法案の
審議にあた
つて、今すぐということはもちろんいろいろな事情でむつかしいとお察ししておりますから、今すぐにどうして欲しいというようなことを申し上げるんじやございませんが、將來——將來と申しましても近い將來もあり遠い將來もありますが、そういうことにこだわらないで、いわゆる將來藥味師の身分、職責というものを定義するような
藥剤師法案をつくるということについて、どういうぐあいに考えておられるか。これもあまりむつかしいことを考えられずに、絶対反対の立場であるか、そういうものがあつた方がいいということであるか、軽い
氣持でひ
とつ当局の御
意見を伺
つておきたい。現に
医師法、
歯科医師法があります。また近く保健婦、看護婦、助産婦
法案等も出ると聽いておりますが、同じような
國民医療に
関係のある身分で、この
藥剤師法だけを独立の身分法とせずに、
藥事法という中に含めるという行き方については、どうも納得のいかぬものがあります。こんなことを申し上げることは
藥剤師関係者に対してどうかと思いますけれども、たとえ同じような身分法を、たとえば
医師法と並べて
藥剤師法というものをつくつたとしても、
医師の資格のある者と
藥剤師の資格のある者との、どちらが甲であり、どちらが乙である。どちらが上であり、下であるというぐあいに差等をつけてみることは、みずから世間の人情というか、習慣というか、そういうことがきめることでございまして、こうした形式的なわくというものについては、私どもはできる限り一本の形でまとめていくことが望ましい。こういうことはただ單に
藥剤師だけの問題でなくして、ひいてはやがて
日本の民主化の一つの要素でありと考えるのでございますが、この最後のことは私の
意見が主とな
つておりますので、私の
意見に対する当局の御
意見を伺わなくてもよろしゆうございますが、ただ將來
藥剤師の身分法というものを絶対につく
つてはいかんか、そういうものはやはりあつた方がいいかという、その点だけ軽い
氣持でお聽かせ願いたいと思います。