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久下政府委員 晴嵐莊事件につきまして、松谷
委員から前回詳細なる御報告をいただきましたのであります。私
どもといたしましては、この問題につきまして
國会の厚生
委員会に、たいへん御迷惑をおかけしましたことを恐縮いたしたのであります。御報告の
内容につきましては、私
ども政府におきまして
調査いたしました事実と、大体同樣な結論でございます。これに対する措置といたしましても、実は私
どもとしましては正式に厚生
委員会に御報告があり、その御
意見によ
つて具体的な措置の決定をいたしたいと存じまして、正式には今日まで役ら指示をいたしておらないのでありますけれ
ども、先日松谷
委員が現地にお出でに
なつた御感想として、これが解決の案をお示しいただいたのであります。私
どもといたしましても、大体そういう線に副いまして、問題の解決をはかるのが至当であると
考えまして、正式な筋道ではございませんけれ
ども、すでにしばしば晴嵐莊の院長、庶務課長などがまいりました際に、事情を聽取いたしますとともに、そういう趣旨のもとに、問題の解決
方法を内示いたしておつた次第であります。ただ私
どもといたしまして、この席上で申し上げたいと思いますことは、松谷
委員の御指摘のように、莊側の
処置につきまして、やや不適当と認められる点がないとは申しませんけれ
ども、全般的に非常に間違つたことをや
つている、あるいは不正な行為があるということは、全然認められないと思うのであります。ただ自分のところにはい
つておりました患者に対する
考え方に、若干不適当と認められる節があるということは御指摘の
通りでございます。同時にそういうような意味合いにおきまして、本問題の解決につきましては、大体松谷
委員の御指摘のような筋で事柄を運びたいと思
つておるのであります。その意味におきまして、たとえば強制退莊命令を一應取下げをするというようなことを、すでに莊側にも納得させておるのであります。それから患者との間に
協議会をも
つて、療養生活に関する希望を十分聽取し、これを莊の
運営の上に反映さしていきたいということにつきましても、すでに他の療養所においても例のあることでありますし、この
機会に
厚生省としてはつきりしたものを示しまして、具体的にさような組織で発足するようにいたしたいと
考えております。ただ療養所等における患者の立場という点から
考えますときには、あくまでも
一般の職員
組合、労働
組合などとは違いまして、療養を受ける人、殊に結核療養所の患者におきましては、多くの者が医者の指図に
從つて安靜を守り、あるいはややよくなりましても指図に
從つて作業に從事いたさなければならないのでありますから、さような立場にある患者といたしましては、療養所
運営につきまして、もちろんいろいろな希望もあろうと思います。希望を述べることは結構であり、療養所側といたしましても、そういう希望に対しては、極力その希望をかなえるように努力をいたすべきものとは
考えますけれ
ども、あくまでも患者の立場というものは、そういう療養所側の
運営につきましては希望を述べ得るのみであ
つて、
法律的に申せば療養所側の
運営方針を左右するというような立場はないものと
考えている次第であります。一方莊側におきましては、
法律的に申せば、さような解釈になるにいたしましても、十分患者の
氣持を察し、その希望をできるだけかなえてやるように、積極的な努力をいたすべきものと
考えるのであります。さような
根本的な
考え方に基きまして、十分患者との話合いの
機会をもちますことを指示をいたしたいと
考えている次第であります。警察に対する告発につきましても、あまりつれない仕打ちだとかいうことを、莊側も
厚生省にまいりまして申しておりますし、もちろん正式の決定をま
つて取下げをする。また正式取下げはいたしておりませんけれ
ども、これも取下げをするようにして、何ら進行もいたしておりません。私
どもの方の正式の指示をま
つて取下げることは、すでに内定をいたしておるような次第でございます。さようなことに基きまして、今回の事件につきましては、はなはだ遺憾なことでありましたが、十分
將來を期しまして、ただいまのような措置によ
つて円滿な解決を期待しているものであります。同時に松谷
委員の御
意見の中にもございました
通り、現在実は國立療養所の入所
規定には、健康に
なつた者を退所させることができるという
規定を欠いておりますので、これにつきましても厚生
委員からいろいろ御
意見を伺
つておりましたので、近く正式に入所
規定を
改正いたしまして、健康になりました者が、いつまでも療養所にお
つて、いろいろな問題を起しております
実情を見まするので、これらの人々には退所をしていただいて、あと数百人の入所を待
つております人々に、療養の
機会を與えるようにいたしたいと思
つているわけであります。さような措置をとることにいたしまして、今回の問題は円滿に解決し得るものと
考えておりますし、すでに現在におきましてさような
方針を内示いたしました結果、最近の晴嵐莊内部の
状態は、きわめて平靜に帰して何ら問題がなくな
つておるように聽いておるのであります。これをはきつりとやりますれば、さらに
將來に向
つて新しい
一つの平和的の発足をいたすものと期待しておる次第であります。