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花村委員 ただいまの
安本長官の御
説明に対してはわれわれは承服しかねるであります。
官廳ができないのに、できるのであろうというような予想をして
予算を盛る。これはただ一例にすぎぬのでありますが、じからば、いくつもの
官廳をつくるという
計画をして、そうして
國家予算の上に計上する。未だできるかできぬかわからぬようなものを、
法案を出しておいて、そうして
予算に盛るというようなことがもしできるということに相なりまするならば、これは大きな
弊害を釀すものであると申し上げてよかろうと思うのであります。そんなことは私は
財政法の上からできぬものであると申してよかろうと思うのでありますが、この点は
安本長官が違法にあらずと申されるので、要するに
見解の
相違でありまするから、この
程度にいたしておきます。
そこで、七億十万円の
経済査察廳についての
予算を組んであるということでありまするが、この
法案によ
つて見ますれば、
中央経済査察廳それから
管区経済査察廳、あるいは
地方経済査察廳、さらに
経済査察署を置くことができるということで、この
出先官憲が
日本全國にできるということに相なるのでありまするけれども、これは今の
國家機構の情勢から見まして、決して感心したものじやない。申すまでもなく今日
行政整理の問題が大きく取上げられておりまするけれども、現
政府においても一割五分の
行政整理をやるということを声明しておられる。一割五分ではまことに手ぬるいものであ
つて、まあお役
目的にやるように思うのでありまするけれども、とにもかくにも
行政整理をやらなければいかぬということで、一割五分かはやるということを声明しておる。けれどもわが國の
國家機構のうちで、
出先機関というものがいかに多いかということを考えてみまする場合に、驚かざるを得ないのであります。昨年の
調査でありまするが、総数で三万六十三ある。しかしこれは
現業機関等もありまするから、こういう必要欠くべからざる
現業機関は除外いたしましても、一万六千三百六十四ある。この中で
地方自治法の
改正によ
つて、この
設置が
國会の
承認を要すると認めらるる部類に属するものだけでも、一万四千三百二十九ある。こういう
中央官廳の
出先機関の濫立というものが、
地方自治行政の遂行にいかに大きな
支障を起こしておるかということは、私が今日申し上げるまでもない。
公選知事もその
弊害そ述べており、また
政府でつく
つておりまする
行政調査部においてこれをを認め、さらにまた今日私どもの
書箱へ参りますれば、山なす
書状が來ておるのでありまするが、その
書状はいずれもこの
出先機関の
整理を希望しておる。おそらく今日は輿論の向うところ、すべてこの
出先機関の
整理に向
つておるとまで申し上げても決して間違いはなかろうと思う。わが國の窮乏せる
財政を救う
意味において、
行政整理をせんければならぬ。殊にその
行政整理は、無益でありしかも
自治行政の運行に
支障を
來さしむるところの出先官憲の
整理に向
つて、鋭きメスを揮うということでなければならぬ。それが第一の
條件であると申してもよろしいのでありまするのにもかかわりませず、こういう場合に、さらにまたこういう
出先官憲をつくる。しかも
本案は名前は
経済査察廳ということにな
つておりまするが、これは
経済警察廳の別名であると私は申し上げてよかろうと思う。
日本全國に
警察が細胞的に設けられてあ
つて、そうしてこの
犯罪の檢挙等に至りましては、この
警察を通してや
つておりますることは、申し
上ぐるまでもございません。この整
つておりまするところの
警察がありまするのにもかかわりませず、
警察と同じような
仕事をやるところの、こういう
出先機関をまたしても設ける。それに七億十万円の金を使うというようなことが、はたしてわが
國家財政の
見地から見て妥当であるかどうか。また
行政整理の面から見て正当であるかどうか。それを一つ伺
つておきたいのであります。