○冨吉國務
大臣 ただいま議題となりました
逓信省設置法案並びに
逓信省設置法施行に伴う
法律の整理に関する
法律案の提案
理由について御説明申し上げます。
今回逓信省におきましては、この
逓信省設置法を制定いたしまして、中央
地方を通じ、部内全般にわたりまする機構の改革を企図いたしておるのでございますが、その趣旨といたまするところにつきまして、以下御説明申し上げます。
逓信省の所管
事務は、第一には、郵便、電信、電話、郵便貯金、簡易生命保險等の事業、いわゆる通信事業の経営でありまして、事業に從事する従業員の総数は四十一万余に達し、この点に関しまする限りにおきましては、他の一般行政監督
官廳とよほど面目を異にしているのであります。また第二には、電波管理業務及び航空保安業務を担当いたしておるのでありまして、これらの業務については、監督行政の分野に属するものと称して差支えないかと存じます。しかして、ただいま申し上げました第一の諸事業は、一口に通信事業と称しておりますが、郵便、電信、電話、貯金、保險のそれぞれが異なる牲質の事業でありまして、これらの諸事業がそれぞれ各事業の特異性に基いて企業的に、能率的に
運営され、また同時に逓信省という
一つのわくの中で、かつ通信事業
特別会計のわくの中で、一体性をも
つて、合理的に
運営され、そして國民に最小の経費をも
つて最大のサービスを提供いたすことを、その使命といたしますことは、申すまでもありません。このたびの機構改革は、この要請に感じ得るように、逓信省の中央
地方を通じての機構を、事業別に縦割りとすることをその根本とし、各事業についての能率的
運営を確保し、かつその
責任体制を明確にとり得るようにいたしたのであります。このような態勢を確立いたしまするために、所管の事業を、郵便、貯金、保險と電信、電話の二大系統にわかちまして、この区分を中央から
地方管理
機関及び現業
機関の末端に至るまで、可能な限りにおいて徹底させております。すなわち本省におきましては、郵便、貯金、保險の各事業を統括する郵政総局と、電信電話事業を
運営する、電気通信総局との二総局を置き、なおこのほかに各事業に共通的な会計、
資材、営繕、労務等の
事務を所管する
事務総局を置くことにいたしております。この
事務総局の仕事は各事業の
運営について、各事業部局の要求に基いて、今申し上げましたような
事務についてサービスを提供することを建前とし、また同時に全事業の一体性、協調性を確保せんとするものであります。
次に
地方管理
機関として、部内には
從來、逓信局が設置せられておりまして、各事業の現業
事務を一括して管理していたのでありますが、この逓信局も、前述の趣旨によりまして、解体を断行いたじ、中央におきまする事業の系統による区分を受けつぎまして、新たに郵政管理局及び電気通信管理局にわかち、さらに別に
地方郵政監察部、
地方経理部、
地方資材部を設置することといたしました。
次に電氣通信
関係におきましては、現場の
運営を刻々に把握しまして、これに適切なる指令を與える管理面の働きが、事業の性質からとまして特に要求せられますので、電氣通信管理部並びに電氣通信管理所を置くことにいたしております。現場
機関につきましては、前にもちよつと申し述べましたが、中央からの二本建の流れに從
つて、これを郵便、貯金、保險を取扱う郵便局と、電信、電話を取扱う電氣通信取扱局とにわかちます。但し、局員が数人にて、各事業を取扱つ
つておるという程度の小規模の郵便局までも、形式的な分割はいたさず、郵便局に電信電話業務を委託するような形といたしたのであります。最後に、電波管理行政についてでありますが、この
事務は純然たる監督行政でありまして、逓信事業の経営とは無
関係の
事務でありますので、この際、機構的にも截然と分離することといたしまして、新たに外局として、電波廳を設置いたし、
地方には
地方電波管理局を設置することといたしたのであります。大体これをもちまして、この
法案に盛り込んでありまする逓信省機構改革の概要を申し上げた次第であります。
なおこのたびの機構改正は、一見機構の拡充のごとく見えるのでありますが、これはあくまでも各事業の能率化、合理化をはかる趣旨に基いているのでありまして、それぞれの事業の特質並びに規模に基いて、それぞれに適当なる
運営機構を立案いたしたに過ぎないのであり、機構の改正による総体の人員増加は考慮されておらぬことを附言いたします。以上申し述べました逓信省の機構改正は、これをでき得る限り速やかに実施いたしまして、前に述べましたように、各事業がそれぞれ能率的、合理的に
運営され、一日も早く運輸事業復興の実をあげることが、國民に対する
政府の
責任でもあり、義務でもあると信じておりますので、本
法案を特に本
國会に提出した次第であります。
次に
逓信省設置法案と同時に御
審議を願いまする
逓信省設置法の施行に伴う
法律の整理に関する
法律案におきましては、
逓信省設置法の施行に伴いまして、現行の郵便法及び郵便貯金法の
規定中、
設置法の
規定と重複いたしまする部分を削除するなどの改正を要する
法律がございますので、本
法案を提出した次第であります。
以上提案
理由の説明をおわりまするが、何とぞただいま申し述べました趣旨を御了承の上、十分御
審議くださいまして、速やかにご
賛成くださるよう切望する次第でございます。