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1948-06-10 第2回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十日(木曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 安東 義良君    理事 亘  四郎君 理事 加藤シヅエ君    理事 高瀬  傳君       菊池 義郎君    栗山長次郎君       佐々木盛雄君    仲内 憲治君       中山 マサ君    若松 虎雄君       竹内 克巳君    馬場 秀夫君       園田  直君    村瀬 宣親君       山下 春江君    多賀 安郎君  出席國務大臣         労 働 大 臣 加藤 勘十君         國 務 大 臣 栗栖 赳夫君  委員外出席者         專門調査員   佐藤 敏人君         專門調査員   村瀬 忠夫君     ━━━━━━━━━━━━━ 六月二日  中國東北地区残留同胞救援物資送付の請願(  川合彰武君紹介)(第一一四八号) の審査を本委員会に付託された。 六月三日  ソ連地区残留胞引揚促進に関する陳情書  (第四四一号)  未復員者引揚促進に関する陳情書  (第四五  九号)  在外同胞引揚促進に関する陳情書外三十件  (第四六四号)  同  (第五二三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  國際労働会議参加に関する件  外資導入に関する件  小委員会設置に関する件     ―――――――――――――
  2. 安東義良

    安東委員長 ただいまより会議を開きます。
  3. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 國際労働会議に再加入の問題に関し労働大臣に御質問いたしたいと思います。國際労働会議に再加入することは日本労働問題を國際的関連において解決することにもなりますし、またソシヤル・ダンピングとかチープ・レーバーというような非難日本は從來受けてきたのでありますが、こういう点についても世界の理解を得ることができると思います。  また外交的見地から見ても、現在法律的にいえば交戰状態にある日本が、平和條約成立前において、國際会議参加し得るということになれば、この問題は國際関係から見てもきわめて重要であります。I・L・Oに再加入するということについて、新聞報道によれば、西尾國務相から閣議申出があり、閣議はこれを了承したということであります。また國際労働会議事務局から日本に対して何らかの意思表示があつたのかどうか、それらの経緯並びに政府がI・L・O再加入についてとつた今日までの措置について説明を承りたいと思います。
  4. 加藤シヅエ

    加藤國務大臣 ただいまの佐々木さんの御質問はごもつともと思います。現在まで政府が取上げておりまする動機と経過について申し上げます。この問題は非公式に、個人的書信形式にて、元の國際労働会議関係者に來たのでありまして、西尾氏の話によりますと、日本國際労働会議参加意思があれば、その可能性があるかもしれないというのであります。日本といたしましても、講和会議前に國際会議参加することができますれば、この問題は重要性をもつて見なければならないのであります。先般米國國務省國際労働局関係——名前を忘れましたが——ある官吏が日本に來られました際、司令部キレン労働課長西尾氏及び私とこの問題について懇談をいたしましたとき、イタリアオーストリアはともに講和会議前に國際労働会議復帰しているので、日本もこれと同樣に参加し得れば幸いであると、その斡旋方を懇請したのであります。それに対しましてキレン課長は、國際労働会議政府資本家及び労働者代表から構成されてあるので、この点についてこれらの方面に諮る必要があるというので、まず使用者代表團体として、経営者團体連合会日本商工会議所に話したのであります。労働組合は、組合員五万人以上の組織のものに話したのであります。これに対し使用者側國際労働会議加入について賛成意思を表示してまいりました。労働組合側では産別態度保留している以外、総同盟としては最後態度を決定しているわけではありませんが、総同盟参加している組合賛成をしているのであります。その結果労働組合成員の六五%のものが再加盟に賛成しているのであります。  そこでこれだけのことを確かめましたので、閣議にもち出しまして閣議でいろいろ協議をいたしました結果、それではともかく使用者側團体代表として経團連日本商工会議所と、この二つ経済團体、それから労働組合の方におきましては、五万人以上の組織成員もつ組合にそれぞれ諮問を発したわけであります。その結果使用者側二つ團体賛成意思を表示されてまいりましたが、労働組合の方は、産別側が大体反対意向もつ態度保留の通告がありまして、また総同盟としては最後態度決定を見ませんでしたけれども、総同盟傘下の各單位組合はいずれも賛成回答をされまして、総同盟中立とを合せて諮問を発しました労働組合組織成員の六五%が賛成回答を寄せられたのであります。ここで政府としましては、労働組合の全部の回答を待つておればなお一層よかつたかもしれませんが、時間が非常に差し迫つておりまする関係で、六五%の賛成回答を得たし、使用者團体においては二つ團体からの賛成回答がありましたので、そこで正式に司令部の方に斡旋方を申し出たわけであります。正式の申出としては、シーボルト使節外交部に申し出でまして、さらにそのコツピーを労働課にもつてまいりまして、斡旋を委嘱しました。これは総理廳関係において行われたのであります。一方そういうふうに総理廳関係において正式に斡旋方を申し出でると同時に、労働省としましては、労働課にその斡旋方を依頼したわけであります。その結果まだ正式の回答を得ませんうちに、國会において先般國際労働会議復帰への決議がなされましたので、衆議院決議をさらに尊重しまして、私からキレン労働課長に会いまして衆議院決議趣旨、さらにその後の経過等説明した結果、キレン課長も非常に乘氣になりまして、いろいろと手続上の問題についてアメリカ労働省の次官、シーボルト使節外交部の方に折衝してくれたわけでありますが、その結果、総括して申しますと、イタリア講和会議前に復帰ができたということは、イタリア戰爭末期において連合國側に加担しておるという事実、それからオーストリア講和会議前に参加できたということは、オーストリアという國の特殊な性格によるものであつて日本の場合とは大分性質が違うから、この二つの國が講和会議前に復帰ができたからといつて日本が同樣に復帰できるということはむずかしいのではないか、しかしながら、どういう形式においてでも日本がこの会議参加することができるということは、自分たちも非常に望ましいことであるから、さらにあらゆる方法によつて援助を惜しまない、こういうことから、再三アメリカ労働省シーボルト使節外交部労働課との間に折衝を重ねてこられました結果、日本が独自の代表を出すことになると、極東委員会承認を得なければならぬということになつて、これはおそらく不可能に近いだろうと思う。そこで極東委員会承認を得なくても参加のできる方法としては、司令部から代表を送るということに対して、日本から代表随員專門委員的な意味における随員というような形で、結局オブザーヴアーという形式出席ができるようになるならば、それは必ずしも極東委員会承認を得なくてもいいことである。ついては國際労働会議の方からそういう意味招請状司令部の方に來ることが必要である。直接日本にはまだ招請状は出し得ないであろうが、司令部にそういうものが來ることが必要であるから、そういうものが國際労働会議から司令部の方に來れば、司令部としてはただちに日本側代表する随員で出発できるように、一切の準備等については斡旋をする、こういうことになつておるわけであります。それからごく最近の情報によりますと、会議はこの十七日から開かれるのでありますが、十七日開会に先立つて昨九日から準備のための議事日程をきめるとか、その他もろもろの会議について準備会議が開かれることになつております。この準備委員会議において日本代表オブザーヴアーとして招請するかどうかということがきめられるのではないか。こういうことでありまして、会議は十七日から始まるのですが、三週間もしくは四週間開かれますので、かりに五日や一週間遅れても、行けるようになるならば、行けるように取計らいたいと思つておる、こういうことでありました。これが現在までの経過のすべてであります。  こういう経過に鑑みまして、私どもはこの國際労働会議日本がたとえオブザーヴアー形式においてでも参加するということは、先ほど佐々木さんが御指摘になりましたように、戰爭前の日本の國の状態があるいはソシアルダンピングあるいはチープ・レーバーと称し、國際労働会議を通じて國際的な非難の的になつたおりましたが、今日は世界に決して劣らない労働基準法も制定されておりますし、この労働基準法のもとにおいて労働者の基本的な権利もあるいは條件も保持されておるわけでありますから、この労働基準法下における労働者生活において生産された物資は、國際市場に出しても決してかつてチープ・レーバーというような汚名を受けることなくしてすむであろう。こういうように、実際ありのままの戰後日本生産、さらに生産にまつわる労働者生活状態世界の國々の人々に明らかに事実を知つてもらうということは、來るべき講和会議の場合においても、私の日本の信用を大きく評價してもらうことになるのじやないか、こういう考えをもつておりますので、たとい正式に代表として出席できなくとも、オブサーヴアーの形でもよいから出席できるように希望しておるわけであります。これは先般の衆議院決議が実現しますように、労働課に向つてその援助方を懇請しておる次第であります。
  5. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 大体事情はよく了承いたしました。その御説明関連いたしまして、大体資本家側においては全面的な賛成を表明しておるが、産別態度保留しており、やや反対のような空氣が強いというような話であります。大体労働團体の六五%までが賛成だというわけであります。あとの三五%というものが態度保留ないしは反対ということになつておるわけであります。その反対する理由が一体どういうところにあるかI・L・Oにはソ連参加してないことは言うまでもないことでありまして、先般も総司令部労政担当者新聞発表などによりましても、産別というものが多分に共産主義者によつて支配されておるという意味のことが発表されておつたのであります。そういうふうな観点をも私たちは併せ考えまして、この産別態度保留ないし反対ということをいろいろと想像するわけでありますが、労政を担当しておられます労働大臣として、この反対が無意味反対であるとはお考えないわけでありますから、どういう理由によつて反対をしておるかというその間の眞相をこれまた率直に伺いたいと思います。
  6. 加藤シヅエ

    加藤國務大臣 ただいまお尋ね産別系反対的態度態度決定保留という回答は、その主要なる條件としまして回答文に記載されたところによりますと、第一が國際労働会議に十分な檢討を與える時間を與えていない。これが一つ、それから政府國際労働会議への参加は熱心に主張するが、世界労働組合連合への参加は一向積極的に熱意をもつておらぬ、これはけしからぬ。大体こういうような趣旨が書いてありまして、そういう点から自分たちは大体反対意向が強い。こういう回答でありました。
  7. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 なおこれに関連した問題でありますが、今の産別回答文の中にもあると言われますが、政府世界労連に対してこれに参加熱意をもたないというふうなことを指摘しているようであります。現在日本労働組合世界労連に対する組合参加についてどういうふうな態度を表明しているか、並びに政府はこれに対してどういうふうな見解をもつているかということについて伺いたいと思います。
  8. 加藤シヅエ

    加藤國務大臣 御承知のように、昨年世界労連代表者が來朝されまして、労働團体においては盛大な歓迎の意を表したわけであります。その後この世界労働組合連合会合出席したい意思をもつておりましたが、当時の情勢においては、まだ日本から海外にそういう意味において渡航する自由をもつておりませんために、遂に日本側からの代表の派遣ということはそのまま立消えになつておりました。その後世界労連への参加の積極的な動きは、労働組合運動の上に別に具体的に現われてはおりません。しかしながら今申しましたように、産別回答の中に——世界労連参加せしめる熱意政府がもつておらぬということの中に明らかに見てとられますことは、産別系組合の少くとも指導者の間においては、世界労連への参加を熱望されているではないかと思われるわけであります。これはしかしながらあくまでも組合が自主的に決定すべき事柄でありまして、國際労働会議の方は政府代表参加する機関でありますから、これへの参加、非参加ということは、政府もいずれなりとも熱心に檢討し、その正しいと信ずる道を積極的にとるべきでありますが、世界労連の方は純粋の労働組合だけの國際連盟体でありますから、從つてこれは労働組合が自主的に決定すべきことでありまして、これに対して政府としては別にこれを慫慂するという意思もなければ、またこれを妨害する意思もありません。労働組合自主的意思によつて決定されることと思つております。
  9. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 もとより組合自主的意思によつて決定することはその通りでありますが、労政を担当しておられますので、緒般事情がよくおわかりのことと思いますが、産別世界労連参加したいということの意思を表明していることは、今の回答によつても明らかでありますが、他の総同盟その他の組合世界労連に対してどういう態度をとつているか、もう少し明確に御答え願いたいと思います。
  10. 加藤シヅエ

    加藤國務大臣 ただいま申しましたように、昨年世界労連代表者が來まして、これの歓迎会労働組合全体で行いまして、その歓迎会行つた團体労働組合連絡協議会というものを結成しているわであります。この労働組合連絡協議会の中には國鉄も総同盟参加しているわけでありますが、最近はこの労働組合連絡協議会の方は、それ自体としては活発な動きを示しておりません。きわめて消極的で、ただ今度のメーデーもあるいはその連絡協議会でやるという意見もありましたけれども、結局連絡協議会の名義で扱われないで、メーデー準備会が別に結成されて、そこでメーデーを主催したというようになつておりますから、現在のところ総同盟國鉄、その他中立組合参加しておる組合もありますが、この連絡協議会が活発な動きを示しておらぬことはおのずから——一々組合意向を聽いたわけではございませんから、はつきり断定的に申し上げるわけにはまいりませんが、総同盟國鉄もとにかく國際労働会議参加への賛成意思回答しております建前から見て、國際労働会議への参加に、これらの組合賛成である。ただ反面連絡協議会の活動が非常に不活発であるという点から見て、世界労連への熱意も、これによつてはかられるのではないかと思つております。
  11. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 I・L・Oつまり國際労働会議世界労連との微妙な関係は、とりもなおさず現在の二つ世界の対立というようなことからもいろいろ考えられまして、日本労働運動の將來にも、ある種の示唆をわれわれは得るとともに、現在の國際情勢から見まして、われわれは非常にこれを重大視しておるものであります。これに対する質問はその程度に止めまして、先ほどもお話がありましたように、サンフランシスコにおける國際労働会議総会が十七日から開かれますので、きわめて切迫したこの一週間ぐらいの間の問題でありますので、正式な代表はもとより今のところ不可能のようでありますが、GHQ專門委員のオブザーヴア、随員として參加するにいたしましても、その人選などにつきまして、もうそろそろあらかじめ準備をしなければならぬ時ではなかろうかと考えます。一方GHQに対して懇請すると同時に、許可がきたときに、初めてあわてふためくというようなことでもどうかと思います。從來の正式な代表政府側が二名、労資各一名というようなことになつてつたように思いますが、そういう人選などにつきましては、現在すでにお考えであるかどうか。時間が非常に切迫しておりますので、政府のこれに対する用意のほども承りたいと思います。
  12. 加藤シヅエ

    加藤國務大臣 ごもつともな御質問でありますが、何と申しましても正式の招請状司令部の方にまだ参つておりませんので、正面から準備行為をすることもいかがかと思います。またはたして何名行けるかということも、まだきわめて不明確でありまして、私どもオブザーヴアーという形で專門委員的な性質もつたものとして、適当な人員を派遣することができれば結構であると思つておりますが、まだそれらの点については、いずれも司令部側意向を受けなければ、日本だけで決定することはできぬ状態でありますので、こちらからもしそういう意味における代表者を出してもらうことになれば、今ここに申しました二つ團体に一任して出していただくようにする。また労働組合方面におきましては、主要な團体——これはいずれも正式の代表ではありませんから、正式にどうこうということは困難でありますけれども、主要なる労働團体の中から出してもらうことができれば結構だと思つております。政府側人選につきましては、まだ別に準備してはおりません。しかしながら命令があればいつでも、だれでも行かなければならぬことになるだろうと思つております。
  13. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 もう一度承つておきますが、オブザーヴアーないし随員として出席するわけでありますから、正式に堂々見解を発表する機会がないかもわかりませんが、日本復帰という意思表示を、このサンフランシスコ総会においてされるような機会が與えられるようにお考えか、あるいはまたそういうことを懇請するおつもりがあるかどうかということを承りたいと思います。
  14. 加藤シヅエ

    加藤國務大臣 その点もごもつともでありまして、私どもも最初から正式の代表として参加ができぬでも、司令部代表專門委員的な性質オブザーヴアーとして出席ができるという場合における発言の範囲であるとか、あるいは方法であるとかいうことについての疑義が当然起りましたので、これらの点についても、とにかくわれわれが日本労働者生活の実情を世界に訴え得る機会をぜひ與えてもらうような意味においてのオブザーヴアーとしての出席承認するようにはからつてもらいたい、こういうように依頼してあるわけであります。從つてそれは当然他の國の代表者から、戰後日本労働者生活状態はどういう状態であるかということを聽かれるであろう、そのときに直接日本オブザーヴアー人々から説明されることが一番妥当であると思う、そういうようにはからうようにしたい、こういうことでありました。從つてこの会合にもしどういう形式においてでも出席ができますれば、一日も早くわれわれが國際的な自由をとりもどして、正式に独立國としての代表を、國際連盟中心とするあらゆる國際機関に參加し得られるように、意思表示をすることになるだろうと思いますが、まだこれらの点について、別に政府として方針を決定しているわけではございません。
  15. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 正式な代表ではなく、オブザーヴアーということになるのではありますが、いずれにしても終戰以來初めて國際会議日本出席することでもありますし、先ほど申しますように、日本ソシヤル・ダンピングというような不安が諸外國にもあることでありますので、これに出席し得るということは、そういう不安と誤解を一掃する意味におきましても非常に役立つのみならず、嚴格な意味から申しまして現在まだ抗戰状態にある日本からオブザーヴアーであろうと、一つ代表が出かけていくということにつきましては、日本國際関係から申して非常に重大な点でありますので、私たち日本のその会議への出席参加がぜひとも実現するように、心から熱望して私の質問を打切りたいと思います。
  16. 安東義良

    安東委員長 栗栖安本長官が参られますまで、ちよつとお待ち願います。     —————————————
  17. 竹内克巳

    竹内委員 ごく簡單にちよつと提案したいのですが、ここには安本長官もおいでになるので、関連もあると思います。昨日から本会議で植原君の外資導入について質問があり、その前にすでに外資導入に関する小委員会を開いたらどうかということを、われわれは委員長まで申し上げておいたのでありますが、外資導入というものが日本においては少し上すべつておるように感じます。それで本委員会において外資導入の問題の小委員会を開いて、少し実のある研究をしたらどうか。それには國際法関係もありましようし、労働法に関する関係もありましよう。委員会を開いて御研究をしていただきたい。殊に最近は栗栖さんも御存じのように、ダンロツプ・モーメントというような問題もありますので、もう少し外資導入がしやすいような方法を、ここで研究する必要があると思います。本委員会においてそういう小委員会をお設けになることを、提案いたしたいと思います。委員長においてよろしくお諮りを願います。
  18. 安東義良

    安東委員長 ただいまの竹内委員の御提議に対して、御異議ございませんか。
  19. 安東義良

    安東委員長 皆樣御賛成のようでありますから、この小委員会をつくることにいたしたいと思います。つきましては委員の選任をいかがいたしますか。
  20. 安東義良

    安東委員長 それでは次の委員会におきまして、委員を選任いたすことにいたします。なお御希望の方は私の方へ申出を願いたいと思います。
  21. 栗山長次郎

    栗山委員 大体小委員の員数を考えて、各派から割当てて出られるように進めなければできないでしよう。そのように諮つて下さい。
  22. 安東義良

    安東委員長 ただいまの栗山委員発言に御異議ありませんか。
  23. 安東義良

    安東委員長 しからばさよう取計らいます。     —————————————
  24. 安東義良

    安東委員長 ただいま栗栖安本長官が御出席くださいましたが、外資導入関連いたしまして、なお質疑が残つておると思いますが、御質問の方はございませんか。
  25. 高瀬傳

    高瀬委員 それより前に栗栖安本長官外資導入に関する、特に個人投資に関する御所見を一應伺つてみたいと思います。
  26. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 この前堀越副長官が参りますときに、私上るはずでございましたが、よんどころない所用で司令部の方へ行つておりまして、実は上ることができなかつたのであります。そうして速記のその他を見まして、なお副長官がただいま安本に設けております為替外資導入に関する委員会中心としての事情を御説明、お答え申しておるのでありますが、そういう結果、自然実際的に、殊にただいまお尋ねのような個人関係外資導入が、民間外資導入のことにつきまして、実際的に問題となり得る点その他について一應申し添えまして、補足をいたしておくことがいいのではないか、こういうように考えて上つたような次第でございます。  そこで本格的な外資導入ということと、こういうインフレーシヨン下におきまして日本経済を救うために、そうしてこの危機を突破するために資するための一種の外資導入ということは、民間外資導入のうちにおいても、これを区別して考えないといかぬと思うのであります。本格的な多資導入ということになりますと、インベストメント、本格的な投資でありまして、それは副長官も申しましたように、経済の安定、労働の安定、あるいは為替の安定、その他の諸條件を具備しなければならぬことは、申すまでもないのであります。これはひとり日本に対してのみならず、ヨーロツパあるいは世界各國に対しましても、こういう変動の時期におきましては本格的な投資外資導入というようなことは、なかなか行われないような現状にあるのであります。為替の問題にいたしましても、為替安定資金の設定とかいうようなことが、昨年の春ごろまではヨーロツパにおいてもいろいろ言われておつたのでありますが、現在においてはそういう問題よりも、世界が政治的に、社会的に、経済的に非常に大きな変化をいたしつつあるのでありまして、その結果もう叫ばれなくなつておるのであります。そういう関係から見ましても本格的な投資ということは、相当経済の安定、日本経済復興の状況が大体固まつてから後でないといかぬと思うのであります。民間のものにつきましてはそう思われるのであります。しかしわれわれが今考えておりますのは、そういう本格的な外資導入が國際信義を守るという原則の上に礎かれ、そうしてはいることはもちろんわれわれは非常に希望するところでありまして、今回政府において設けました経済復興計画の委員会におきましては、もちろんそういうものも懇請を予定し、援助を予定しておるわけであります。しかしさしあたりの現在の危機において、これを切拔けるための民間外資導入等を考えますと、單にそういうものでなしに、非常な必要があるのであります。たとえば工場その他につきましては現存いたしておりましても、現材料がはいつてこないために活動ができないというようなものはあるのであります。それからさらに機械その他のものも少しく取換えるならば、非常な生産の増強ができるというようなものもあるのであります。そこでそういうようなこちらの急場に應ずるために、さらに海外、殊に米國の事業家等でこの混乱を前提として、一種特別な信用の供與といいますか、外資導入をするということがもちろん考えられる。日本民間と向うの民間との間にいろいろ話が進められておるのであります。そういう点ではわれわれは相当の期待をかけ、また政府といたしましてもその筋と十分連絡をし斡旋その他をいたしておるのであります。これは單に研究の時代であるとか、あるいは基礎的の方法を考慮する時代であるというのではなしに、もう実際問題にはいつておる次第でございます。そこでその形はいろいろあるのでありますが、これは一つはいわゆる委託加工の形式ではいる場合が想定されるのであります。これはあるいは仕上信用制度と申しまして、皆さんも御案内のことと思いますが、欧州第一次大戰のあとにおいてはその制度が相当称えられ、日本におきましても正金銀行、日本銀行、興業銀行、市中銀行等においてこれを考えておつたのであります。これは今日われわれが言う委託加工と大体近いものであると思うのであります。これはどういう形ではいるかと申しますと、これは原料を日本の工場との間に特約をいたしまして、そうして原料を日本に持つてくるのであります。その原料を日本に持つてまいりまして、それを加工するのでありまして、できた商品中で一部は日本の消費に向け、相当大きな部分は再び海外へと持ち帰るわけであります。その間に加工賃、あるいは國内の留保分というようなものが日本経済復興に潤うことに相なるわけであります。昨年の八月十五日の貿易再開にあたりまして、いわゆる回轉資金、リボルビング・フアンドが設定されまして、そうして原料その他綿花の輸入のための資金設定が行われたのであります、今回六千万ドルの資金設定ができたのであります。これはやや違いますが、この仕上信用制度、あるいは委託加工制度というものに似たものであるわけであります。ただ原料を持つてきたものを、そのまま製品を持つて帰る場合には、純粹の委託加工になるのであります。原料を入れ、また製品は海外へ輸出しますが、その輸出先が違う場合には、仕上信用制度というものになると思うのであります。こういうような制度は現下の状況において、たとえば一年なら一年というのを見越しまして、契約をいたし、加工をするということが考えられるのでありまして、そういう場合には一種の原料を持つてきて、それを形づくるわけでありますから、仕上信用すなわち外資の信用の設定、外資の導入がそこに一種の形において、しかも短い動く間を捕えて適宜に処理する形においてできるわけであります。それからさらにそのほかにはこういうものもあるのであります。その原料品その他を國内に賣りました場合に、一部の円貨ができるわけであります。その円貨のできることによつて、その事業会社に対する株式会社の取得その他についての予約をしよう、こういうなことも問題になつておるのであります。それからもう一つの形は、たとえば衣料のごときものとか、その他につきましては海外に輸出します。その予約の輸出契約をするのであります。その反面の問題として代金を日本に渡すということが考えられるのであります。しかしこれを外貨で渡すということはなかなかむずかしいのであります。そこで他の必要物資を輸入の形で渡すというようなことも用談が行われておるのであります。そういうような形があるわけであります。またあるものにつきましては食糧とかあるいはアルコールの原料等を入れる、日本からさらに建築資材その他のものを出すというようなことも予約しまして、いわゆるバーターによつてやるということも考えられるのであります。こういうようなものが現在話が進んでおりますところのもので、これについてはもちろん政府において、殊に安本委員会においても十分考究する必要もあり、その筋とも十分の連絡をとつていかなければ最後のことになりませんけれども、しかしそういうようなプロビシヨナルな外資導入が現に話に上り、実際の交渉にまでいつておるということは、ここで申し上げたいと思うのであります。  それからその次に企業再建整備、経済力の集中排除、そういうようなものの作用が大体一巡いたしますと、日本の有力なる事業会社に投資をいたしたい。しかし投資をいたすにつきましては、なお相当の為替問題その他に時間もかかるのであります。期間の時期を限つて投資をする。その代り投資をする場合には増資その他も会社は考える、こういう予約のような約束をいたしまして、そうして原料その他を日本に入れていくというような形も現われておるのであります。それからさらに戰前におきましても、ただいま高瀬委員もお話になりましたが、神戸方面のゴム会社であるとか、あるいは東京その他の方面の電氣器具の工場であるとか、そういうような所へ彈前から日本に相当投資をいたしておつたのであります。あるいは彈爭中敵産管理の形式で管理されておつて、それをポツダム宣言に基く勅令によつて返還するという場合の問題として、さらに從來の投資を確保し、將來さらに投資を続けていく、こういうような相談がさらに進んでおるのでありまして、こういうようなものも一体どの程度話が進み、これが政府としてその筋と連絡のもとにやるかということについては、なおいろいろ考究すべき問題がありますけれども、そういうような実際問題が起つておるのであります。政府はその間に処して、國家的にこの日本経濟再建に資するものについて十分考慮を拂い、その実現を期しますとともに、それ以上はやはり國際信義というか、國際信用を十分維持することを約し、そうして対外投資についてはその元本のみならず、果実と利益についても相当確保をいたしまして、心配をなからしめて、そうしてこの投資その他を促進するというようなことも考えておるのであります。  なおただいま安本には委員会がございますが、これは國内の行政機構として設けたものでありますから、廣く專門家の知識、あるいは民間團体の知識等をも頂載する意味において政府の機構とは別に諮問委員会のようなもの、あるいは懇談会のようなものを設けて、さらにこれを促進していこうと思うのであります。ただいま承りますと、本委員会にも小委員会ができることと思います。これは單に研究という意味ではもちろんなしに、そういう実際方面の、あるいは諮問委員会安本にありますところの外資の委員会、そういうものと密接に御連絡を願つて、この危機切抜けのための外資導入等を十分促進していただきますならば、この上ないことと思う次第であります。これにつきましては法律問題であるとか、経済問題であるとか、あるいは会社の信用、あるいは企業再建整備を促進する必要とか、その他の問題が相当あるのでございますが、これはまたお尋ねがあれば別に申し上げたいと思つております。  それで民間外資導入が非常な悲観的な意味にとられるという意味じやなしに、こういう現在の動きつつある再建の途上、発足のときにあるものについても、われわれはその事情の許す範囲において外資導入を期待し、さらに本格的に経済が立直れば、本格的な投資形式外資導入を期待する、こういうようにいたしたいと思いのであります。  最後外資導入は單に連合軍の好意、殊に米國の援助を期待するというだけでなしに、受入態勢として十分の整備をしていく、速やかなる企業再建整備を完了する、経営の合理化する、労資の協調を回復する、こういうようなことをいたすことが先決であるということも併せて申し上げたいと思います。
  27. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいま安本長官の御説明は、この前の堀越君の説明と大分違つておりまして、われわれは個人外國投資日本にはいつてこないと、ああいうふうな國家としての投資だけでは日本の再建はなかなかできないという角度からこの前伺つたのでありますが、大分悲観的の話で失望いたしました。ところがただいま栗栖長官の非常に積極的な御意見を伺つて意を強うするものでありますが、最後におつしやつた受入態勢の問題について、私はこの前日タイムスに掲載されたジヨンストン氏のアメリカで発表された意見をちよつと読みました。その中にプライベート・インベストメントというものは、大体平和会議になろうがなるまいが、日本の受入態勢さえしつかりすればやる、それがただいま言われたようなどの程度の投資であるかわかりませんが、プライベート・インベストメントと書いておりまして、その中に四つばかり項目が載つておつた。それをここにちよつとあげてまみすが、この点については特に私は伺いたい。四つの項目のうち、第一は差別課説または沒收より外國投資の保護、第二は適当なる配当及び利潤の海外流出の許可、第三は適当なる利潤の取得及び支拂いを許す税制の設定、第四に外國人がその投資に應じて企業を支配すること、こういう四つの大ざつぱな條件をあげておるのであります。こうなると結局個人の企業投資日本にくるかどうかということは、平和会議とはまつたく関係なく、日本政府の急速なる受入態勢の整備ということにかかつておるのでありまして、こういう点について、具体的に急速にこれらの條件に匹敵するような経済的立法を日本で整えて、一刻も早く外資を導入すべきだと思うのでありますが、これについて具体的に政府研究し、またその意図をもつて準備を進めておられるかどうか、この点をこの機会に伺つておきたいと思います。
  28. 安東義良

    安東委員長 速記をやめてください。
  29. 栗山長次郎

    栗山委員 高瀬委員個人投資に関する安本長官の見透しという御質問に対して長官から先ほどお答えがあつたのですが、お話を承つていると、すでに実際に始つているというようなことまで答えられているのでありますが、私どもの観測によりますと、政府政府との間に取結ばれるべきクレジツトの設定のごときものも、必ず一般の予想、政府の予想に反して時日を要している。昨年の八月十五日に民間貿易が再開されたということではありますが、リボルビング・フアンドのごときはごく最近になつて六千万ドルというものが、最後の取極めを得たということでありまして、國と國との間のクレジツト貸與問題であれば、國策というよりはもつと廣い観点に立いて、よしんば損をしても入れるという決断がつき、その運びがつくのでありますけれども個人もつ資本、これはたれしもよく知つております通り、きわめて臆病なものであつて、危險なところへは一切顔出しをせぬというのが個人資本の動向を扼するかぎになつていると思うのでありますけれども、そういう点から私どもは、高瀬委員質問された個人資本の導入ということはまだなかなかである、われわれとしてはそれが早くなるように努めなければならぬけれども、現状においてはまだまだであると思つておりましたところ、三つ、四つの場合をあげられて最後に実際の交渉にはいつていると言われ、また始つているとも言われているのであります。委託加工の場合にはヨーロツパの例を申されておりましたが、日本の例があればそれを聽きたい。それから輸出予約契約の場合、これには全然実例にはお触れにならなかつたから、こういう実際の例がすでにあるのであればそれも拜聽したい。バーターの問題、これについても実際の例を承りませんと、すでに実際の段階にはいつているとおつしやられましても、私どもは一概に安心をするわけにはいかぬのであります。お話から受けました印象の一つを申しますと、個人外資の導入には委託加工であるとか輸出予約契約であるとか、バーターであるとか、投資形式であるかという樣式があるとかいうことは、私ども本を読んでわかつておりますが、それが実際に展開されつつあるということでありますならば、さらに私どもが意を強うし、またその方向に向つて國民が一層の協力をして、障害があればこれを排除し得るような段階としての、実際の例をお示し願いたいと思います。
  30. 栗栖赳夫

    栗栖國務大臣 ただいま実際の例というお話でありますが、これは今個人間の取引のことの関係にもなりますし、なおかつ日本政府としてもその筋との交渉種々続いておるのでありまして、私はなるべく速やかなる機会において、ある程度の発表がきるように、関係筋その他とも打合せをいたしたいと思いますが、それまでお待ちを願いたいと思うのであります。  それから私もいささか外資導入はいたしたのでありますが、六年も続けてできなかつたものもあります。大体あの大正十三年から昭和四年にかけての電力債は早くて半年、遅くて二年くらいかかつておるのであります。それは本格的な投資といたしまして、今ごをの暫定的な一種のクレジツトの供與という場合におきましては、そうもかかりませんけれども、それでもすでに八箇月を経過しておるものもございます。御要求の点は私もまことにもつともだと思いますので、いずれ何かの打合せ及び懇請をしまして、相当話し得る程度までもつていきます。そうして與う限りこれをお示しを申したい。こう思う次第でございます。
  31. 安東義良

    安東委員長 別に御質問もありませんようですし、本会議も開かれますから、これをもつて散会いたします。     午後三時四十七分散会