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芦田國務大臣 ただいま
お尋ねになりました点を順次お答えいたしますが、
講和会議の見透しが何人にもつけかねるという事情は、すでに
馬場君も御
承知の
通りでありますが、それ以前にわが國としては
自立條件を
連合國に通告をして、
講和会議を待たずしてある程度の了解をつけておくべきである、またそういう点についてどの点まで
政府は実行し來
つたかと、こういう点が御
質問の
一つであ
つたと思います。申すまでもなく、今日わだ國はいずれの國とも外交関係をもたないのでありまして、正式に
講和條件等について話合いを進めることは、とうてい期待し得ないことは言うまでもないのであります。それ以外の方法はむろん
考える余地はありますが、それをどの程度にどういう問題を取扱うかというような点については、しばらく何事をも論議しないことが、大局の上において
日本のために有利であると
考えますから、この点は言及することを差控えておきたいと思います。
次に
外資の
導入について、数字的にどの程度まで確定しておるかという御
質問であります。御
承知の
通り一九四八年度の
アメリカ予算は、目下
アメリカ議会において討議されております。その中に現われておる数字は、議員の中から絶えず修正案が出るという
アメリカ議会の状態において、的確に六月末にどれだけの金額が
米國國会において承認せられるかは、はつきりと見透しをつけることが困難であります。現にわが國において最近
ストライキが起
つたというだけの事実をも
つて、一昨日の
アメリカ國会においては、一億八千万ドルの
日本復興金庫資金の討議を一應延期したのであります。この事実のみを
考えてみても、
外資導入に対する
日本國民の心構えがいかにあるべきかということはおわかりと思います。私が
施政演説において、きわめて抽象的に述べたのでありますが、具体的に
考えてみれば、われわれの日常の二十四時間の言動、ほんとうに
日本國民が民主國家として
日本再建のために全力をあげておるという
情勢が向うに映れば、われわれは相当に多大の
援助を期待することができると思います。しかしながら
日本から行く労働不安の電報
一つでも、一億、二億ドルの
援助資金は一晩に吹き飛んでしまう、それが今日の
実情であります。そういう点から
考えてみても、今後はたしてどれだけの
援助が與えられるかということは、一にわれわれの二十四時間の言動によ
つて変化が起るのでありますから、これを的確につかむことは非常に困難であります。しかしわれわれがもし
連合國の信頼を博するに足る
行動を示すならば、今日
アメリカの
政府予算に載
つておる各種の
援助、及びクレジツトのみでも六億ないし七億の金額が出ておるが、そのほかになお民間の貿易回轉基金であるとか、あるいは綿花のクレジツト貸與であるとか、その他民間工業に対するクレジツトの獲得を待望することができる、しかしそれは一にかか
つて今後のわれわれの
行動いかんによ
つて決せられる、かように私は
考えておるのであります。
政府がどういうふうに
講和会議の
あり方について
國民を指導しておるかという御
質問でありますが、いわゆる指導者的
政治の行われた時代と違
つて、今日は
政府が先頭に立
つて國民を指導するなどという
考え方をもつべきではない。われわれは
國民の忠僕にすぎない。人民の公僕たる人間が
政府に働いておる。それはいやしくも
國民を指導するとい
つたような
考え方で行くべきではなくて、
國民諸君みずからの力によ
つて起ち上
つてもらうその
國民の起ち上る力を、できるだけすくすく伸びていくことのできるように、
政府の役人が影にな
つて働く、というふうに私は
考えておるのであります。
日本國民の文化は、今日それだけの責任を果すに十分な程度に達しているのだと、かように
考えておる次第であります。なお御
質問の中で漏れたものがあるかもしれませんが、ありましたら御指摘をいただいてすぐにお答えいたします。