○高瀬
委員 これから
質問をいたします。そこでこの
内容を見ますと、非常に不徹底な感があるわけです。たとえば第
一條には「
連合國官憲との
連絡に関する
事務及びこれに関連する各
廳事務の
総合調整に関する
事務を掌らしめる。」とあります。これを
内閣に置くかあるいは
外務省に置くかということは、設置当時相当に論議された結果、
外務省が適当なりとして置かれたのであろうと
考えます。われわれが見るところによりますと、
終連を
外務省において何ら支障がない。もちろん
各省におけるいろいろな
事務の專門的なものその他については、
各省でや
つた方がいいという
意見は、設立の当初から行われたことでありまして、その点については
各省からも十分
連絡官が來ておるようでありますし、
外務省からも逆に
各省にも行
つておるというようなことで、
終戰連絡事務局は非常に
連絡調整については有能であると私は
考えております。
從つて現在こういう時期に移さなければならぬという
理由がわからない。しかもこの
法案を見ますと、第
二條のごときは「
外務大臣又は
賠償長官は、前項に規定する
事務につき
連絡調整地方事務局の長を指揮監査する。」
内閣に
総合調整に関する
事務を全然移すと言
つておりながら、第
二條には
外務大臣はこの
連絡調整地方事務局の長を指揮するというようなことも書いてあります。それからまた
外務省官制の第十條の方にいきますと、「
日本占領ニ関スル
記録ノ
蒐集編纂並ニ
研究ニ関スル
事務ヲ掌ラシムル為
外務省ニ特別資料部ヲ置ク」云々とあります。この二点を見ましても、
内閣に移管しても、
外務大臣はこういうことについては指揮監査する、非常に趣旨が不徹底のように
考えるわけであります。しかもなぜこういうことを今急にやる必要があるのか。私の非常に疑問とするところであります。特にこれは
外務大臣を前において申し上げるのははなはだ変でありますが、おそらく今年中には
講和会議なんかなかろうと
考えます。そうすれば一体
外務省は何のためにあるか。結局
外務省全体が
終連事務、
向うとの
総合調整事務をやるために、
外務省そのものが存在する意義があるので、それ以外に
講和会議も今年中にないとすれば、何もやることがない。結局
外務省として現在存在する
理由の大きな意義をも
つている
終戰連絡事務局を
内閣に移してしまえば、
外務省というものははなはだ変なものになる。むしろ私はこの際奬來の
外交の復活に備えるために、
終戰連絡事務局の
機能を十分に
外務省で活用して、
政府もこれを活用して、その間に有能な
外交官を養成することが、他日の平和
会議に備える緊急のことである、かように私は
考えるわけであります。
從つてこの
事務局を
内閣に移すということは話が逆だと
考えるのであります。
またもしこれを移すといたしますと、ただいま申し上げたような
理由で、
終戰連絡事務局の
連絡調整
事務が
外務省の
仕事のほとんど全部にな
つているような現在においては、これを突きつめてまいりますと、
外務省は全然要らないということになる。そんな
外務省ならこの際潔くやめてしま
つた方がいい、廃止すべきだ。極端に言うとそういうことになる。しかも
外務省ではときどきいろいろな問題を起しておる。たとえば奥村君のごときも、私は非常に親しいので残念に思いますが、どういう
理由かでやめてしま
つた。あるいは、またこの間萩原君はああいうことを言
つて、ぐずぐず言われる。また最近では「ワールド・リポート」にある講和條約に関する問題なんかで、ごたごた言われておる。始終問題を起しておる。こんなに
外務省というものを問題にしないから、初めから
外務省をやめてしま
つた方がいいではないかと
考えるのであります。
それから特に最近の追放問題。もちろん
連絡調整事務局が
内閣に移りましても、別に追放問題をここで
取扱うわけではありませんでしようが、
向うと
連絡調整を総合的にやることになりますと、いきおい
外國関係に非常に練達堪能の士の集ま
つている
事務局が結局それに利用される。最近の場合——特に曾禰官房次長を前にして言うわけではありません、曾禰君が別にその渦中にはい
つたとかそういうようなことではありませんが、
内閣直屬にな
つておれば、結局そういうことになる。私は平野問題そのものをここで取上げて論議しようとは思いませんが、こういう
連絡調整の
事務を
内閣に移すということは、そういうパージ問題その他について、直接この役所が干渉しないにしても、とにかく非常に政爭の渦中に入れられる危險性がある。そういう点で私はこの
事務局設置
法案に対しては非常に反対の
意見をも
つておるわけであります。單にこれはこうや
つた方がいいのだという表面だけの理屈で、私はこれはどうしても賛成できない。確かにこういうことをすることによ
つて政爭の具に——そのときの
内閣の都合のいいように利用される危險性がある。だから將來少くともこれがもし
日本が
占領治下にある状態においてどうしてもやむを得ないとするならば、こういうような
連絡調整事務局の長官のごとき人選についてはよほど愼重にする必要があるので、結局現
内閣の地位を占めている人のごときは、相当にこれは愼重に
考える必要がある。私はこういうふうなことを
考えますので、この
法案については非常に反対の
意見をも
つているわけです。簡單でありますけれ
ども、私の
考えていることはそういう
理由でありまして、この
法案はあまり突然で私もよくわかりませんけれ
ども、ただいまのような
意見を申し述べまして反対の
意見を表する次第であります。