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1948-01-26 第2回国会 衆議院 外務委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年一月二十六日(月曜日) 午前十時四十三分
開議
出席委員
委員長
安東義良
君
理事
加藤シヅエ
君
理事
原 健三郎君
理事
栗山長次郎
君
理事
亘 四郎君
理事
堀江
實藏
君
高瀬
傳君 竹内 克巳君
戸叶
里子君 馬場 秀夫君 和田 敏明君 菊池 義郎君
佐々木盛雄
君 竹尾 弌君 仲内 憲治君 若松 虎雄君
唐木田藤五郎
君 多賀 安郎君
出席政府委員
外務事務官
與謝野
秀君
委員外
の
出席者
專門調査員
佐藤 敏人君
專門調査員
村瀬
忠夫君
—————————————
昭和
二十二年十二月十一日
委員竹田儀一
君辞任に つき、その補欠として同日
村瀬宣親
君が
議長
の指 名で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
國際経済
に関する
綜合的調査
に関する
國政調査
承認要求
の件
講和條
約に関連する諸
問題
の
調査
に関する
國政
調査承認要求
の件 最近の
國際情勢
について
当局
より
説明聽取
—————————————
安東義良
1
○
安東委員長
これより
会議
を開きます。 本
委員会
は第一回
國会
におきまして
國際経済
に関する
総合的調査
、並びに
講和会議
に関連する諸
問題
の
國政調査
を要求いたしまして、八月二十七日および九月二十日それぞれ
議長
の
承認
を得たのでありましたが、
右調査
はその趣旨に鑑み同
会期
中に限られるものではなく、第二回
國会
においても継続すべきものと思われまするので、右二件の
調査要求書
を
議長
に提出し、その
承認
を求めたいと存じます。
要求書
を朗読いたします。
國政調査承認要求書
一、
調査
する
事項國際経済
に関する
総合的調査
二、
調査
の
目的國際経済
の現状および動向を
調査
し
國民外交
の樹立に資す 三、
調査
の
方法関係方面
より
意見聽取及び資料要求
四、
調査
の
期間
本
会期
中 五、その他 右によ
つて國政
に関する
調査
をいたしたいから
衆議院規則
第九十四條により
承認
を求める。
昭和
二十三年一月二十六日
外務委員長
安東義良
衆議院議長松岡駒吉
殿
—————————————
國政調査承認要求書
一、
調査
する
事項講和会議
に関連する諸
問題
二、
調査
の
目的講和條
約に関する
準備研究
三、
調査
の
方法官民
各
方面
より
意見聽取及び資料要求
四、
調査
の
期間
本
会期
中 五、その他 右によ
つて國政
に関する
調査
をいたしたいから
衆議院規則
第九十四條により
承認
を求める。
昭和
二十三年一月二十六日
外務委員長
安東義良
衆議院議長松岡駒吉
殿 以上の
要求書
を提出することに御
異議
はございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安東義良
2
○
安東委員長
異議
なしと認めます。さよう決定いたしました。
—————————————
安東義良
3
○
安東委員長
次にお諮りしたいのでありまするが、
在米
の
同胞
が
日本
人に対していろいろな
物資
を
援助
してくれておるのであります。すでにララの
救援物資
につきましては、
議会
において
決議
をいたしましたが、本
委員会
といたしましては、この
在米同胞
の
救援
に対する感謝の
決議
をやつたらいいかがかと存じますが、これについて御
意見
を承りたいと存じます。御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安東義良
4
○
安東委員長
それでは案文につきましては私の御一任願えますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安東義良
5
○
安東委員長
それではさよう取計らいます。
高瀬傳
6
○
高瀬委員
実は私はちよつと
意見
があるのでありますが、ただいま付議された案件については
異議
はありませんが、最近
新聞
で傳えられております
終戰連絡事務局
の
内閣移管
について、この
委員会
としては一向関知しないのでありますが、それは一体いかなる
方法
でやるのか、つまり
外務委員長
としての御
見解
を一
應承つて
、われわれもそれについて適当の
機会
に
意見
を開陳したいと思います。
安東義良
7
○
安東委員長
お答えいたします。本
問題
につきましては、
連絡調整事務局臨時設置法案
、
賠償廳臨時設置法案
が
政府
より
議会
に提出せられました。そこでこの
法案
を
決算委員長
と
話合い
の上、本
委員会
において
審議
するように取計らいたいと思
つて
おります。
從つて
この
問題
を
審議
いたしまするときに、ただいま
高瀬委員
の言われる点は十分明らかになると存じます。 それではこれより最近の
國際情勢
に関して、
與謝野政府委員
の御
説明
を聽取いたしたいと存じます。
與謝野秀
8
○
與謝野政府委員
最近の
國際情勢
につきまして、御參考までに御
説明
申し上げます。 まず
最初
に、いわば
國際情勢
の外観と申しますようなことを
簡單
に述べまして、個々の
問題
についての御
説明
にはいりたいと存じます。
連合國側
と
ドイツ
、オースタリーとの
講和條
約の
問題
につきまして、昨年三月十日から開かれました
モスコー会談
が
決裂
しましたあとを受けまして、昨年の末、十一月末から十二月十五日まで
ロンドン
で米、英、ソ、佛四國の間の
外相会議
が開かれたのでありまするが、この
会議
におきましては、若干の
手続
問題
その他のこまかい
問題
について
意見
の
一致
を見ただけで、
賠償
問題
、その他
ドイツ
の経済
問題
、
將來
の
政治機構
の
問題等
の根本
問題
について
意見
の
一致
が見られず、この
会議
が
決裂
になりましたことは御
承知
の
通り
であります。その後
欧州
の
復興
のために
計画
されましたいわゆる
米國
の
マーシヤル案
と申しますものが着々具体化されまして、昨年
夏以來アメリカ
の
議会
に提出され、今年の一月に
議会
が再開されました後に、目下その
審議
が続けられているのであります。 一方この
マーシヤル計画
というものに
最初
から
反対
の
態度
を示しておりました
ソヴイエト
及び
東ヨーロツパ
の
衞星國
の
政府
は、
マーシヤル案
をも
つて
これを
アメリカ
の
ヨーロツパ支配
にほかならないと
主張
して、これに対抗するために種々経済的、政治的の條約を結んで、これに対應する態勢を整えつつあるのであります。また御
承知
の
通り
昨年十月公表されましたいわゆるコミンフオルムの形成、またこの成立に際しまして、
ソヴイエト
のジユダノフ氏は、
マーシヤル計画
をあらゆる
努力
を続けて爆破すると述べて、
態度
を
はつ
きりさせておりますが、昨年十一月
以來ドイツ
、イタリーでは大規模な
ストライキ
が勃発いたしまして、これは
共産党
の
一つ
の
マーシヤル計画
に対する
攻勢
であるとも見られたのでありますが、この
ストライキ
は結局
共産党側
の失敗に
終つたの
であります。またこの
外相会議
の
決裂
後、
アメリカ
、
イギリス当局
は、
ドイツ
の
米英占領地
の
経済統合
ということを一層強化するために、いろいろ
協議
してお
つたの
でありますが、
ソヴイエト政府
は、この
米英
の
占領地
の
統合
は
ポツダム宣言
の
違反
であるということを指摘するとともに、
ソヴイエト占領地域
の方の
共産党
の指導に服さない
政党
を彈圧する等の
方法
をと
つて
、みずからの
占領地域
の粛正を強化しており、また御
承知
の
通り
、去る二十二日
イギリス
の
下院
におきまして、
西ヨーロパツ
諸國の
連合結成
を唱えられました
ベヴイン外相
の
演説
というものがございまして、これと
アメリカ議会
で
目下マーシヤル案
の
審議
に伴
つて
行われておるいろいろの
演説等
を見ますときには、
米英側
が
ソヴイエト
の政策に対しまして断乎たる決意をも
つて
臨もうとしておることがうかがわれるのでありまして、
米ソ
の
対立
ということがだんだんと
はつ
きり浮び上
つて
きておるというような感じをもつのであります。 また対
日講和條
約の
問題
につきましては、昨年七月十一日に
米國
が初めて
講和会議
の開催の
提案
を
関係國
になしまして、爾
來関係國
間にしばしば
意見
の交換が行われたのでありますが、
アメリカ
、
ソヴイエト
、中
國等
の諸國の
見解
が
お互い
に
対立
を示したまま、今日までその
対立
の
打開
ないし緩和ということに関する
情報
は何も得られない
状況
なのであります。ただ今年にはいりましてから、去る一月六日に
アメリカ
の
陸軍長官
がサンフラシスコにおきまして、
日本
が自立するに至るようにこれを再建すべしと述べまして
以來
、あるいは六千万ドルの綿花の
借款
に関する
外電
、また去る二十二日、
極東委員会
におきまして
マツコイ將軍
が
日本
の
経済自立
に関する報告をなした等の、いろいろ朗らかな
情報
がはい
つて
きておる
状況
でございますが、対
日講和予備会議
に関する米、英、ソ、中の四
大國
の
意見
の歩み寄りということに関する見透しは、今日のところ困難ではないかと見られておるのであります。 これから
國際関係
のおもなる
問題
につきまして、詳細に御
説明
申し上げたいと思います。まず
最初
に対
日講和会議
の
問題
がどうな
つて
おるかということを御
説明
申し上げます。御
承知
のように、対
日平和予備会議
の
招請
につきましては、昨年の七月に
アメリカ
が、
大國
の
拒否権
というものを認めないで、
極東委員会
を
構成
している十一箇國の三分の二の
多数決
による、これによ
つて予備会議
を開催したいという
見解
を示したのでありますが、米、英、ソ、中四
大國
の
会議
だけで、しかも
拒否権
を保有して
会議
を開催しようという
ソヴイエト
の
見解
と
米國側
の
見解
とは
対立
してお
つたの
でありますが、昨年の八月の末から九月の二日に至るまで、キャンベラで開催されました
英國
の
連邦会議
におきまして、
英連邦
の対
日講和会議
に関する
方針
が
米國
の
提案
を支持しこれと同調するという確信をも
つたの
で、あるいは
米國
は、九月の中旬から開かれました
國際連合総会
の間に、場合によ
つて
は
ソヴイエト連邦
を除外しても
平和予備会議
を
招請
するのではないかという観測をもつ者も一部にはあ
つたの
であります。しかるに昨年の九月九日に、中國の
張群行政院長
は、
ソヴイエト連邦
の
参加
のない対
日講和会議
は中國も
参加
できないということを声明いたしまして、爾
來ソヴイエト
を除外した
單独講和反対
、
拒否権
の
保持主張
ということを唱えておりまするので、
米國
の対
日平和予備会議招請
の
努力
も頓挫した形でありまして、
アメリカ
と
ソヴイエト
の
見解
の
対立
を
打開
するという以外に、
アメリカ
と
中華民國
の
対立
の
打開
もまた重要な
問題
として起
つて
まい
つたの
であります。
アメリカ
と中國との
交渉
につきましては、昨年
王外交部長
が
國際連合
の
総会
に
出席
のため
アメリカ
に渡りました
機会
に、何らか
交渉
が行われたかということも傳えられたのでありますが、中
國政府
は、昨年の十一月十七日に、
アメリカ
、
イギリス
、
ソヴイエト
三
國政府
に
一つ
の
提案
を
行つたの
であります。この要点は、できるだけ早い時期に対
日平和條
約の草案を作成して、
最終平和会議
に関する
事項
を決定するために、
極東委員会
の全
構成國
から成る
予備会議
を
招請
する。ただ
右会議
の決定は四
大國
の
賛成投票
を含む
会議構成國
の
多数決
によ
つて
行われる、こういう中
國側
の
提案
があ
つたの
でおりまして、
会議
の
構成國
を
極東委員会
の
参加國
とするという点では
アメリカ案
を支持してをるのでありますが、四
大國
の
賛成投票
を含む
多数決
ということは、四
大國
の
拒否権
を認めておる。この点においてまた
ソヴイエト側
のかねての
主張
に同調した
折衷案
なのであります。この中
國側
の
提案
に対しまして、
米國政府
は何ら正式の
回答
を行
つて
おらないのでありますが、
ソヴイエト連邦
は昨年十一月二十七日に、一九四八年の一月、つまり本年の一月、中國において対
日平和條
約の
準備事項
を討議するために、
四箇國
の
特別外相会議
を招集するということを
提案
したのであります。しかしながら、中
國政府
はこの
ソヴイエト側
の
提案
は、
從來
の
ソヴイエト
の
態度
と何ら変化はないものであると認めまして、昨年の十二月の五日に重ねて対
日予備会議
の
構成
及び
表決
の
手続
につきましては、
極東委員会
の例になろうという、
從來
の中
國政府
の
立場
を重ねて
ソヴイエト連邦
に申入れたのであります。
イギリス政府
は中國及び
ソヴイエト
の昨年の十一月の
提案
に対しまして、十二月の十四日に
イギリス
としては、
極東
におけるすべての
利害関係國
の平等な
参加
を
主張
するということを通告いたしまして、
拒否権
というものを含むいかなる
手続
も
早期和平
の
締結
を遅らせるものである、
日本
の敗北に寄與したという理由だけでなく、
日本
の侵略によ
つて損害
を受けた度合い及び
太平洋地域
の
將來
の
平和的発展
に関する重大な関心をもつ國々が平等に対
日処理会議
に
代表
を出す資格をもつものであると考えると
主張
しまして、
予備会議
を四
大國
だけに限ろうとする
ソヴイエト
の案に
反対
を通告したのであります。昨年十二月の中ごろに、
ロンドン
の
外相会議
が
決裂
したのでありますが、昨年十二月三十日に至りまして、
ソ連政府
は中
國政府
の十二月五日の第二次覚書に対しまして、急に
回答
を寄せまして、
四箇國
の
外相会議
が対日の
講和條
約を
準備
すべきである。ただ対
日戰
に協力した他の諸
外國
の利益ないし公権というものを
考慮
することは、
講和会議
の
準備
の過程において
考慮
されればよい。つまり言葉をかえますならば
予備会議
におきまして、四
大國
以外の
参加協議
を認めるけれども、
表決権
は四
大國
に限るという
提案
をなしたのであります。この
提案
に対しまして、中國の
政府
は、公式にはまだ
意見
を述べておらないのでありまするが、
イギリス外務省
のスポークスマンは、
イギリス
は
從來
の
態度
を変えないということを語
つて
おるのであります。またU・
P電報
によりますると、
マーシヤル長官
も、四
大國
に
拒否権
を認める
ソ連
の方式は受諾できないと
語つた
ということが傳えられているのであります。このような段階にございまして、対
日講和会議
が急速に実現するかどうかは、昨年言われておりましたように、
アメリカ政府
が
ソヴイエト
を除外しても
予備会議
を招集するかどうか、そういう
問題
だけではなく、
米ソ
の間に介在して中
國政府
が、今後いかなる
態度
をとるかということにもかか
つて
くるとみられるのであります。
米國
の
通信員
の
電報
によりますと、中國のこの
態度
の背景をなすものについては、やはり
米國
からの中
國経済的援助
を確保するための
考慮
であるとか、また対
日講和会議
において、抗戰八年の犧犧を受けた中國の特殊の
立場
を強く
会議
に反映さすための
考慮
であるとか、また中
ソ関係
の
特殊性
というようなものをいろいろ
考慮
した
複雜
なものがあると報じておるのでありますが、本年にはいりましてから、中國のある
新聞
の論説におきましては、中國はどうしても
拒否権
をもたなければ
安全感
をもなてい。しかしながら中國が今日までいかなる
会議
においても
拒否権
を使用したことはないではないか、こういうことを論じておる者もあるのであります。また戰時中にできました中國と
ソヴイエト
との條約においては、
お互い
に
日本
との
單独講和
を禁じておるのでありますが、中國の
新聞
の傳うるところでは、現在の
日本政府
というものは、当時の
日本政府
とはまた異なつたものであるから、
單独講和
を禁じておる中
ソ條
約の適用ということは、この場合はあてはまらないということを論じておる者もおるわけであります。大体現在のところこういうような
状況
にありまして、その後何らこの
講和予備会議
の
手続
問題
に関して四
大國
間の
交渉
というものは進展を示しておらないのであります。 次に、
簡單
に最近の中國の
情勢
について述べたいと存じます。今日
國共
の戰爭というものは、
滿洲
を中心にいたしまして
華北
、華中に廣が
つて
おります。
國民政府軍
は大体
都市
と
交通線
の防禦に追われまして、
中共軍
が自由に
攻撃作戰
を
実施
してくるのに対しまして、もつ
ぱら受動的立場
に轉じておるという観を呈しているのであります。また満洲は絶対に放棄しないと
國民政府側
はしばしば声明しているのでありまするが、
外國
の
軍事通信員等
ははなはだこれを危惧している
模樣
でありまして、
奉天
における
英米人
に引揚が命ぜられたとか、
奉天
の運命も今明日に迫
つて
いるというような
外電
は、しばしば傳えられておるのであります。両軍の
現有勢力
につきましてはいろいろな
数字
がありまして、
共産軍
が大体百五十万の兵力をも
つて
いるのに対して、
國民政府軍
は三百五十万といい、あるいは四百万、五百万という
数字
もあげられているのでありまするが、何分にも
國民政府軍
の方は
廣汎
な
交通線
と
都市
の
防衞
のために追われているわけでありまして、また装備の点においても、昨年ほど両軍の差異はない、
中央軍
の各所における
攻勢
に対処するのには、相当の苦労があるように傳えられているのであります。現在のところ満洲の九三%、
華北
の七〇%が
中共
の
支配下
にあるといわれているのであります。また
國民政府側
の
拠点
としておりまする各
都市
は、非常に深刻な
インフレーシヨン
に悩まされておる、しかるに
共産軍
の
拠点
は比較的
インフレーシヨン
の
影響
を受けることの少い農村であるということも、両軍の
勢力
を判定する上に
影響
があるということを傳えるものもあります。 このような中國の
情勢
でありまするから、
米國
においてはこの
情勢
に多大の注意を拂
つて
いる
模樣
でございまして、昨年の
臨時議会
では千八百万ドルの対
華借款
で供與されたほかに、去る二十二日
マーシヤル國務長官
は、
目下政府
は中
國援助
の
具体案
を作成中であると述べているのであります。なお中國の
経済安定借款
の
交渉
のために、
目下貝租怡氏
が渡米中でありまして、今後
米國
がいかなる中國の
援助
に出るかということは、目下注目されておるところでございます。 次に、
ヨーロツパ
の
情勢
について申し上げますが、昨年十二月
ロンドン
の
外相会議
が
決裂
いたしましたことは先ほど申し述べた
通り
でありまするが、この
会議
におきましては、こまかい点において多少
意見
の
一致
を見たものもあ
つたの
であります。たとえば共通の
輸入計画
を作成することであるとか、
ドイツ
の鋼鉄の生産の水準を引上げることであるとか、あるいは
ドイツ
産の石炭を他の
欧州
諸國に公平に分配するように勧告することであるとか、あるいは
賠償工場撤去
の
方法
の
問題
であるとか、こういう
問題
について多少四
國外相
間に、
意見
の
一致
を見た点もあるのでありまするが、主たる
問題
は、特に
ソヴイエト言邦
が今後
ドイツ
から二十箇年開に百億ドるの
賠償
を要求するという案につきまして、とうてい
米英佛
三國の受諾するところとならないで、
決裂
に
至つたの
であります。また
オーストリア
との
講和條
約につきましても、結局
妥結
に至らなか
つたの
でありまするが、
ロンドン外相会議
の散会後に、
モロトフ外相
は多少妥協してもいいという案を出しました。その後
外相代理
の間で
オーストリア條
約の
審議
が多少続行されたのでありまするが、今日まで結局
妥結
を見ないで終
つて
いるのであります。この
外相会議
が
決裂
いしました後に、
英米佛
三國の
代表部
の間では、今後の
占領地域
をどうや
つて
経営していくかということについて、いろいろ
話合い
が行われた
模樣
でありまするが、今年の一月六日から三日間フランクフルトに
米英占領地区
の各州の
長官
、また
経済委員会
の
委員
というものが招致されまして、
英國
の
占領地区
と
米國
の
占領地区
、両
地区
にわたりまして、
立法部
、
行政部
、
最高裁判所等
を有する新しい
機構
を設立するという
計画
を立てまして、
アメリカ
、
イギリス側
はこれをも
つて
ドイツ経済
の
復興
を促進するための
経済措置
として、これの実行、
実施
を進めているのでありまするが、これは
ソヴイエト占領地区
と
英米占領地区
との
対立
を、むしろ
はつ
きりさせるものでありまして、
ドイツ
を東西へ分割してしまうものだということで、
ドイツ
の一部社会民主党その他の
政党
の中から、
反対
の声もあが
つて
いるとのことであります。ところが
フランス
はこの
英米
の
占領地区
の
統合
問題
に関しまして、事前に
協議
を受けておらなかつたというために、
アメリカ
、
イギリス
に対しまして抗議することになりまして、また近く
ベルリン
におきまして、
米英
に
フランス
を加えた
三國会議
が、開催されるだろうということにな
つて
いるのであります。一方
ソヴイエト政府
は
米英側
の
占領地
を
統合
する案に努しまして、これは
ポツダム宣言
の
違反
であるということを唱えて、これに
反対
しているのであります。なお最近
ベルリン
・ウイーンその他
ソ連軍
と
米國軍
との接触している
地客
におきまして、いろいろこまかい
事件
が起きまして、
アメリカ占領軍
としては
ソヴイエト
がいかなるいやがらせをしても、われわれはこの
占領地区
、
ベルリン
を離れることはないというような声明を、いたしたりしたこともあるのであります。なお
米英
の
占領地区
におきまして、最近
食糧事情
が非常に惡化しまして、これは農民が
食糧
をやみに流すことが、主たる原因と傳えられているのでありまするが、
食糧事情
の惡化のために
國民
の
食糧
の
配給量
というものが減らされる。これに対する不満から本年の一月六日
以來
、ハンブルグその他の
都市
におきまして、
ストライキ
が起
つて
まい
つたの
であります。
米英軍
の
当局
は、この
ストライキ
は
共産党
が後押ししておる。
米英
に対する
反抗運動
であるというふうに、みなしてお
つたよう
でありまして、この
ストライキ
もまた
米英
と
ソヴイエト
との微妙な
関係
を、反映しておるように見られていたのでありますが、最近の
新聞電報
によりますと、大体この
ストライキ
も一時收ま
つたよう
に見られます。 次に
マーシヤル・プラン
というものに対應する
東ヨーロツパ
諸國の大勢について、
簡單
に申し上げます。昨年の十二月、
アメリカ
の
臨時議会
におきまして、
トルーマン大統領
は
ヨーロツパ援助計画
に対する
教書
を送
つたの
でありますが、この
教書
の中に対
欧援助
の
最初
の
計画
といたしまして、
最初
の十五箇月分に六十八億ドルという金の
支出
を要請したのであります。
目下アメリカ
の
議会
はこのいわゆる
マーシヤル・プラン
の
実施
、対
欧援助計画案
について
審議
を開始し、
外交委員会
において
官民
各
方面
の
意見
を聽取しておるのでありますが、この
最初
の十五箇月間に
支出
を予定されております六十八億ドルのおもな割当は、
イギリス
に対して十七億六千万ドル、
フランス
に対して十四億三千四百万ドル、西
ドイツ
に対して九億ドル余り、イタリヤに対して八億ドル、ギリシヤに対して一億八千万ドルという金が、大体予定されておるのであります。かくのごとく
マーシヤル・プラン
が一方において具体的に進められております反面、
ソヴイエト
の
勢力圈内
にあります
東ヨーロツパ
の諸國におきましては、ブルガリアであるとか、ルーマニア、ハンガリアまた
ユーゴスラビア等
を加えましたあるいは
連邦
の
結成
である、ないしは
軍事同盟
の
締結説
である、いろいろなことが昨年來傳えられてお
つたの
でありますが、これらの諸國の間に昨年の
夏以來
、あるいは
相互援助條
約、あるいは
経済協定
その他多角的ないろいろな
同盟関係
が結ばれておりまして、
東ヨーロツパ
におきましては着々
ソヴイエト
の
圈内諸國
は、
一つ
に固ま
つて
まい
つて
いるという
情勢
であります。これに対しまして去る二十二日
ベヴイン外相
が
イギリス
の
下院
で、四
大國
の
一つ
が
弱小國
に対して、自己の政治的、経済的の権利を押付けようとする限りは、四
大國
の
協議
ということはもう同意できない。
イギリス
としては
ソヴイエト
が
ヨーロツパ大陸
を支配するという強い意思に対坑するために、
西ヨーロツパ
の
連合結成
の
措置
を講じておる。すでに
イギリス
はこの
目的
のために、ベルギー、
オランダ
、
ルクセンブルグ
諸國との間に
交渉
を進めておるし、また
フランス
との
同盟関係
をさらに強化して、
イタリア
その他の諸國をもこの中に加えようと考えておるということを声明したのでありまして、これに対しましては
米國
におきましても非常な
観迎
を受け、またべルギー、
オランダ
、
ルクセンブルグ
三國はもちろんこれを歓迎しておる
模樣
でありまして、
フランス
、
イタリア
においても大体みな
英國政府
が
議会
で発表しましたこの
方針
に、贊意を表しておるのであります。ただ
西ヨーロツパ
のその他の諸國、スエーデンであるとかスイスであるとか、
從來中立
を守
つて
いた國におきましては、まだこれに対して沈默を守
つて
おるのでありますが、
東ヨーロツパ
諸國が
ソヴイエト
の
勢力圏内
におきまして、
一つ
の
同盟
を形成しようとしておるのに対しまして、これに対坑する
西ヨーロツパ
のまた
一つ
のブロツクというものが形成されかか
つて
いるという
状況
にあるのであります。なお昨年十一月
以來フランス
の罷業は熾烈をきわめまして、これは
共産党
がもつぱら指導したということに対しまして、
米國
としても、いわゆる
マーシヤル・プラン
というものが成果をあげますためには、この
問題
が非常に重要な
問題
でありますがために注視していたのでありまして、昨年の十二月には
ロンドン
に滯在しておりました
アメリカ
の特使のダレス氏を
フランス
に派遣して、各
方面
の意向を打診させたということもあ
つたの
でありまするが、目下のところ
フランス
政府
の彈圧政策が成功いたしまして、
共産党
の
ストライキ
は大体失敗に終つた
模樣
であります。
イタリア
におきましてもまた十一月の初めに
フランス
における騒擾と大体時期を同じくして騒動があ
つたの
であります。十二月の中ごろには遂に内閣の改造を行うことにもな
つたの
でありまするが、
イタリア
における左翼の
攻勢
というものは、
アメリカ
の重大関心をもつところであ
つて
、場合によ
つて
共産党
の
支配下
に入つた場合には、
アメリカ
は
イタリア
の経済
援助
を停止するという考えも発表したのでありまするが、大体において今日のところ
イタリア
における
共産党
の
ストライキ
戰術というものも失敗に終
つたよう
に見られております。 次に、
簡單
に昨年開催されました
國際連合
総合について申し上げますと、第二回の
國際連合
の
総会
は、昨年の九月十六日に開会されまして、十二月二十九日閉会とな
つたの
であります。ところがこの
会議
の一般討論におきまして、
アメリカ
と
ソヴイエト
代表
の
演説
というものは、すぐ
対立
を示したのでありまして、その後連合にかけられました
問題
につきましては、バレスタイン
問題
で
ソヴイエト
の
反対
がなかつただけで、あらゆる
問題
において
米ソ
の
対立
ということが示されたのであります。今回の
國際連合
の
総会
の決定しましたおもなるものとしては、次の
総会
までに継続的に暫定の常設安全保障
委員会
つまり
総会
の小さな形、小
総会
を設置すること、バルカンの紛爭監視
委員会
を設置すること、朝鮮に
國際連合
の監視
委員会
を派遣してその監視のもとに、本年の三月三十一日までに総選挙を
実施
させ、早急に朝鮮の独立実現をはかる。また八月一日までにパレスタインにおける
イギリス
の委任統治を終了させまして、十月一日を期してユダヤ、アラブの二つの独立國にわけ、エルサレムは
國際連合
の信託統治地域にすること、この四つの
問題
がきま
つたの
でありまするが、小
総会
を設置すること、バルカン及び朝鮮に
委員会
を置くこと、これはいずれも
ソヴイエト側
が烈しい
反対
をなしたのでありまして、この
反対
を押し切
つて
可決したものでありまして、
ソヴイエト側
はこれに絶対に協力しないということを宣言しているのであります。バルカン紛爭監視
委員会
ができましたが、ギリシヤにおきましては
共産党
のマルコスという將軍に統率されました
共産軍
が叛乱を起しておりまして、新しい共産
政府
を設立したということを声明して紡爭が起
つて
おるのでありますが、この
共産軍
政府
は
國際連合
の紛爭監視
委員会
に対する協力はしないということを言
つて
おりますし、またユーゴスラビヤその他の國においても同樣なのでありまして、この
國際連合
のバルカン紛爭監視
委員会
の活動は困難が予想されるのであります。また
國際連合
の朝鮮
委員会
の方は去る一月十一日から京城で会合を開いておりまして、南北両
占領地域
の選挙の運営その他について討議しているのでありまするが、
委員会
が北緯三十度以北の北鮮に入ることも
ソヴイエト
はこれを拒否しておるのでありまして、
委員会
の活動ということはその成果が疑問視されている
状況
でございます。結局
國際連合
の加盟國、特に五
大國
の間に本質的な異見がある間は、
國際連合
は十分な機能を発揮し得ないということを
國際連合
の事務総長が申しているのであります。
ソヴイエト連邦
はこの
國際連合
の
総会
で宣傳禁止という
提案
を出したのでありますが、これは否決されまして、これをいわば骨拔きにした平和を脅威する一切の宣傳を禁止する、また友好
関係
促進のため、適切な
措置
をとるという妥協案が代
つて
採択されたのでありました。 その他
極東
の
問題
につきまして、いろいろこまかい御報告すべき点もあるのでありますが、
簡單
に申し上げます。 第一に最近廣東で起りました
イギリス
公館の燒討
事件
というものがございました。これは昨年の末
以來
、香港政廳が香港の対岸の九龍にあります城内の一部に在住しておりました中
國民
の難民約二千名に対しまして、保健、保安の理由から立退きを命じたのであります。ところが中
國政府
はその土地は中
國側
の行政権のもとにあるということで、イギリキ大使に抗議をしていたのでありますが、
イギリス
は
從來
自分の方ゐ行政権を行使していたということを根拠といたしまして、強制立退きを本年一月十二日に
実施
してしま
つたの
であります。この香港政廳の
措置
に対しまして、南京、上海、廣東、漢口の学生が大規模の反英デモを
行つたの
でありますが、一月の十六日に約一万五千名の群集が廣東の沙面の
英國
総領事館をはじめ
イギリス
銀行等を燒討ちした
事件
が発生したのであります。これは一九二七年のいわゆる南京
事件
に匹敵するような反英民衆運動に発展するのではないかという危險性を示していた
模樣
でありますが、中
國政府
も遺憾の意を表しまして、
イギリス
人の生命財産の保護ということを嚴命いたしまして、鎭圧に努めて、大体今日
收まつ
た
模樣
であります。これに対しまして廣東省の主席であります宋子文氏は、これは
中共
の分子に煽動された暴徒がデモを利用して暴行を
行つたの
だという声明を出したのでありますが、
米國
の
通信員
その他の
電報
によりますと、反英運動ではあつたけれども、反米的のところは
一つ
もなかつた。
從つて
中共
の策動であるかどうかは非常に疑わしく、むしろ
國民
運動、國権回復運動という色彩をもつたものではないかという見方が、かなり多いのであります。 次に、昨年の十二月十日ビルマ独立法が公布されましてから、独立の
準備
を進めておりましたビルマ
政府
は、一月四日に完全な独立協和國として発足したことは御
承知
の
通り
であります。 また長い間紛爭を続けておりました蘭領インドにおきまして、
オランダ
とインドネシヤとの
交渉
が行われていたのでありますが、
國際連合
の安全保障
理事
会が昨年派遣いたしました三國調停
委員会
の斡旋のもとに、いろいろ
交渉
が行われ、結局去る十七日
オランダ
側とインドネシヤ側との間に停戰協定ができました。別に細目等は申し上げませんが、これも御
承知
の
通り
であります。 その他イラン等におきましても、昨年米
ソヴイエト側
との紛爭に基いて政変等もあ
つたの
でありまするが、その他のこまかい
問題
については今日は省略いたしたいと思います。 大体これだけであります。
安東義良
9
○
安東委員長
御質問はありませんか。
馬場秀夫
10
○馬場
委員
朝鮮南北の國境紛爭
事件
について、この間何か出ておりましたが、あれをおわかりな
つて
いたらもう少し……。
與謝野秀
11
○
與謝野政府委員
この紛爭については、私今日資料をも
つて
きておりません。ちようど
ベルリン
で米軍の將校が
ソヴイエト側
の歩哨につかまつたとか、そういつた
事件
がかなり頻発したのでありますが、それに似たような
事件
が朝鮮においても何か起
つたよう
であります。
菊池義郎
12
○菊池(義)
委員
インド・ネシヤと
オランダ
の戰は大体どんな條件で停戰になりましたか。
與謝野秀
13
○
與謝野政府委員
大体昨年八月末に蘭印総督のハンモーク氏が発表した
オランダ
側とインドネシヤ側の
占領地
帶に、ハンモーク・ラインというのがありまして、これは私地図によ
つて
はつ
きりまだ調べておらないのでありますが、これによ
つて
占領地域
をきめまして、その中間に三國の調停
委員会
の管轄する非武裝地帶というものをまず設ける、双方の軍隊をともかくその非武裝地帶及び相手側の
占領地
帶内から自
國側
の
占領地
帶としてきめられた地帶に撤收する、ジヤバ、スマトラ、マヅラ、現在
オランダ
側が占領しておる地域では一九四九年一月一日までに人民投票を行
つて
その帰趨を決定する、そういうことが骨子のようであります。
安東義良
14
○
安東委員長
他に御質問がなければ、これをも
つて
散会いたします。 午前十一時三十五分散会