○
尾崎(末)
委員 大臣のお氣持は十分にお察しができるのでありますが、今まで申し述べたことによりまして、
法案第
一條の
四つの中のこの料金が公正妥当でないものだということは大体結論づけられるように思うのであります。
意見は最後に申し上げます。かようになすべきことが十分に届かず、從
つて國民が納得がいく
方向に向
つていない際に、かような大きな
値上げをするということは、繰返して申しますが、いわゆる公正妥当でないと
考えるのであります。いかによい案でありましても、その時期を間違えますれば、よい事柄がかえ
つて逆作用を生ずることは申すまでもないことであります。どんないい綿入れであ
つても、これを更に着たならば、はなはだ効果を発揮しない。氷水のどんなうまいものでも、冬に飲まされてはたまらない。いわゆる時期の問題であります。特にまた
鉄道その他全
官公廳の大爭議があ
つて、
國民はこれらに対して非常な感情上のおもしろからざるものを含んでいる。こういうときにおいて、今申しますような大幅の
値上げをするということは、重ねて申しますが、公正妥当に当るか当らぬか。こういうことについての
意見は最後に申し述べることにいたしまして、第二の
原價を償うものであるかないかということについては、先ほど
同僚松本委員からもお話がありましたので省略をいたしますが、
一つ附け加えますならば、百億を超える
一般会計からの受入れをなさるというのでありますから、
原價を償うということにあてはまらないということは、先ほど申された
松本委員の言葉
通りでありまして、百億に余るところの繰入れをするということによ
つて、これにあてはまらないということを申しまして、次に移
つてみたいと思います。
産業の
発達にはたしてこれが資するか資しないか。昔と今との
考え方、あるいは時代ということを
考えてみて、ある
程度かえなければいけないということは認めるのでありますが、從來の
國鉄は、あらゆる時代において
産業の
発達に寄與するという点に重点を置いて運営してこられたように思うのであります。例をここに引いてみますならば、明治三十二年からずつと同率であ
つた運賃が、明治三十五年に一
割引上げられ、また明治四十年には一
割引下げられておる。爾來大正七年まで当時一マイル一銭六厘五毛というその
運賃が堅持されてまい
つた。しかるにこの間における大正三年から七年までの間におきましては、第一次欧洲大戰があ
つて、
物價は著しく騰貴いたしております。三年に一〇〇%であ
つたものが、六年には三三六%というよう高い
値上りがあ
つたにもかかわらず、一マイル一銭六厘五毛というものが堅持せられてきたというその根拠は、先申しますような
産業の発展に寄與するということと、いま
一つは、最初申し述べました
國民の行動の上に簡素便益化をはかるという建前から、こういうやり方が堅持されてまい
つたのであると私は見ておるのであります。その後昭和九年並びに十七年、十九年と
値上げが行われた際におきましても、今回のごとき大幅な
値上げはなか
つた。こういう点は先申しましたような
國鉄のもつ使命と性格、それから今の
産業の
発達に寄與するという
考え方から運営をしてこられたやり方であると私は
考えておるのでありますが、特に
貨物の点において、今回の
値上げにあたりまして、
旅客運賃の
値上げは非常に
國民の感情にも
影響するし、また実際の上にも
影響するが、
貨物の
値上げは大幅にこれを引上げても大して
影響がないかのような
議論が盛んに行われておるようであります。特に
國鉄の
関係者の方によ
つてさようなことが言われておるようでありますが、これはまた過去にさかのぼ
つて考えてみますと、
旅客の
運賃は引上げても
貨物の
運賃は引上げないということによ
つて、いわゆる低
物價政策に照應する運営をや
つてきたという過去の経驗や、
國策として
貨物の
運賃をなるべく低位に置くという観点からや
つてこられたそれらの事柄と
考え合わせてみまして、
貨物の
運賃の引上げをやることは、これは
相当大幅にや
つても別支えないんだという
議論は、私
どもはわが
國鉄の上においてはあてはまらない
議論だと
考えるのであります。もとより
産業の
発達に資するということは
輸送の上から
考えますならば、第一に、できるだけ迅速に需要に應ずる、
輸送をできるだけ多くやるということと、その預か
つた荷物等をできるだけ確実に
輸送する。しかもこれに変質損耗等がないようにやる。第三にできるだけ低廉な
輸送料金で取扱う。第四に
経済産業のための活動に必要な
旅客、あるいは
一般旅客を能率的に、しかも親切に
輸送すること、この
四つ以外にいわゆる
産業の
発達に資するというものは多くないように思うのであります。こういう点から
考えてみまして、一体先おつしやるような
國鉄の
現状に
考えてみて、今日の
値上げというものが、ある
程度なさなければいけないという切実な事情はわかるのでありますが、この
産業の
発達に資するという点から、今申しましたような事柄と
考え合わせてみて、一体そうなら、この第三の
産業の
発達に資するという点について、どういうやり方でこれをなそうと言われるのであるか。その
考えていらつしやる大きな事柄について伺いたいと思うのであります。