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加賀山政府委員 原さんの御質問に対しましては、結局交通公社の存立の意義にまでさかのぼらないといけないのではないかと
考えられるのでありまして、單に切符の代賣面だけを取上げて論議することは
——間違いではもちろんございませんが、公社存在の必要性ということから
考えていただきたいと私は思うのであります。と申しますことは、戰前における公社の業績は別といたしまして、戰爭中はいわゆる外客誘致というようなことは完全に閉塞いたしましたので、その面の活動は止ま
つてまいりましたが、戰後各國の外客誘致の熱は非常に高まりまして、ヨーロッパ諸國におきましても、いわゆる貿易外收入を得るために、ぜひともこうい
つた観光事業を盛んにするように、旅行斡旋業者を守り立てるという方向に進んでまい
つておるわけであります。わが國におきましても、御承知のように
——目下もちろん準備
時代でございますが、單に準備時会と申しますよりは、もうすでに航空あるいは船によ
つて、
両方とも観光客を、あるいはバイヤーを乘せてはい
つてきておるわけであります。これらに対する接遇は、何と申しましても、現在のわが國といたしましては、交通公社、もとのジャパン・ツーリスト・ビューローにやらせる以外には実はないのでありまして、目下
從事員の接遇
関係の教養等に当らせておりますし、またいろいろの印刷物、宣傳、あるいはみやげ品の指導、そうい
つた仕事によ
つて実は実際面において働かせておるわけであります。こうい
つた仕事に対しましては、もちろん本來でございますれば、
一般会計がこれを負担いたしまして、
國策に基いて行わしめるということが私は当然しかるべきことではないかと
考えるのでありますが、從來わが國の
建前といたしましては、
鉄道省
時代より、國際観光局を外局にもちまして、ここにおいていわゆる観光政策を立て、そうしてその実施機関として交通公社、当時のジャパン・ツーリスト・ビューローを使い、これらの職員を外地にも派しておりまして、宣傳、誘致に努め、また國内に参りました観光客の斡旋案内に当らせてお
つたという実情であります。これらにはかなりの経費を入件費、物件費ともに必要とするのでありまして、現在のところは公社には、特別にこうい
つた多額を経費を出す途が実のところないというわけでございまして、究極するところ、公社のそうい
つたものの経費には、代賣收入によ
つてあげ得た利益の一部を充てる。さらに現在まで会員組織でありますので、会費收入によ
つて賄うという形をと
つておるわけであります。この代賣そのものに関しましては、省の約十分の一
程度の切符を扱
つておるわけでありますが、普通乘車券のおもなものは、遠距離行、あるいはその経路が複雜である乘車券等でありまして、これを、カウンターにおきまして、案内斡旋を伴いながら、発賣するということを
建前としております。かたがた定期券を発賣いたさせておりますが、これはいわゆる登録制をとり、また一括発賣の制度等を採用いたしておりますので、会社、工場等の便宜、あるいは学校の便宜をはかりまして、その勤務箇所、あるいは学校へ出張いたしまして、一括発賣の手続をする。役所ではまずそこまでの
サービスはできないという
サービスも、併せて公社に行わせているというのが実情でございます。もつともこの点に関しては、戰爭中いわゆる
サービスという観念が非常に脱けてきておりますので、公社におきましてもその例にもれず、役所ほどではないと思いますけれ
ども、不親切な点、あるいは
サービスの行き届かない点が現われてまい
つておることも、一方において事実でございますが、もともとはそうい
つた斡旋を伴う切符を賣らせておる次第であります。それに大体公社といたしましては、二千人余の人員をも
つて当
つておりますが、今突然としてこの切符を省が発賣いたしますれば、私はやはりそれに相應した人員は省においても確保する必要があるというふうに見ております。ただ見ておるだけでなく、これは確実に要員が必要にな
つてまいるわけでございます、出札方面の人員は必ずしも現在過剩ではないのであります。問題はこの手数料が高いか、安いかということであると私は思うのでございます。そうい
つた意味から案内、斡旋を必要とするものに対しては公社に扱わせる。省ではただ窓口において
旅客の求めに應じて、その切符を発賣するとい
つた本質上の差異のあることをお
考え願いたいと存ずるのであります。從いまして案内、斡旋を伴うものにつきましては、多少そういうものの歩を見てやらなければならない。
その次に先ほど申しました外客の宣傳、誘致、斡旋、そうい
つた事務をやらせますには、これは特にそのための経費を外人からいただくということもございませんので、どうしても見てやらなければならぬわけでございます。さらに問題は、公社にこれを独占的にやらしていることの可否の問題になると思いますが、この問題に関しましては、省といたしましては、独占をさせるというつもりは必ずしもないのでございまして、さらに適当な経驗なり、組織なり、資力をも
つてこれに当るというものが出てまいりますれば、もちろんそういうものにも同じような條件でも
つて当らせる、あるいはこれに競爭的に当らせるということが妙を得ておるのではないかと
考えております。