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加賀山政府委員 貨物運賃に関しましては、今までしばしばお尋ねを受けておる次第でありまして、物價中に占める
運賃の地位、比率が問題になるようであります。私
どもの
見解といたしましては、
國有鉄道の
貨物運賃といたしましては、非常に物價中の比率で低いということを、これは数字をも
つてお示ししておるわけであります。しかしながらその中には、原資材、あるいは荷づくり資材、あるいは消費者の手にはいるまでのいろいろの
運賃が複合的にはい
つたきてでき上るので、そのものの中に
運賃だけを拔き出して、こんなに低いとい
つても始まらぬではないか、そういう見方は非常に杜撰であるというような
意見を伺うのでありますが、なるほど物のでき上りますまでには、いろいろその原資材、あるいはその原資材の
運賃が、それぞれかか
つておることは事実であります。それと同樣に、その原資材の労銀でありますとか、その原資材の
價格がはい
つておるわけでありまして、その原資材そのものに占めておる
運賃の割合は同じように低いわけであります。従
つていかにそれをさかのぼ
つて考えましても、結局は消費者に渡ります物に含まれておる
貨物の
運賃が、
運賃の比率ということに相な
つておると私
どもは解釈いたしておるわけであります。その比率はお手もとに差上げました資料にありますように、決して高い比率ではないというように
考える。第二の
運賃体系をいじるべきで、フラット・インクリーズしておるのは能がないじやないかというお叱りを受けたのでありますが、最近の
運賃の改訂はいつでも水準を上げるということに終始いたしておりまして、その中に等級でございますとか、あるいは遠距離の逓減率をどうするか、そういう点には触れておりませんのであります。ただいま使用しておりますところの等級なり、あるいはその他の
運賃計算の基礎は、大体において戰時中につくりましたものでございまして、
從來の複雜なものを、かなり簡素化した形において使用いたしております。從いまして現在の
貨物の
負担力等をにらみ合わせました場合に、非常に合理的とい
つておるかどうかということになりますると、私はその後の
價格の変動、あるいは物資の生産事情の変革等によりまして、かなりそこにひずみができておるというように解釈いたしておるのでございまして、これはある機会に、必ずもす少し精密な合理的な
運賃体系にきめていくべきであということを
考えておりますが、それを現下の
経済事情のもとに、今卒然として行うことがいいか惡いかという問題でございますので、しばらく
現行の体系をそのまま利用しておるという現状でございます。時期を見て必ずこれは修正をいたすべきものと
考えておるのでございまして、ただいまそれについての研究は進めておる次第でございます。
最後に海陸調整の問題について、船腰が足りな四のであるから、
國有鉄道の
運賃を上げても、海運には轉移しないではないかというお
問いでございます。時期並びに場所、あるいは
貨物によりましては、そういうことは確かに言えるのでありますが、全般的に見まして、かなり船腰の余裕が出ていることは事実であります。從いまして陸の
運賃を海の
運賃よりも引上げまして、うまい調整をとります場合には、海運への轉移がはかり得るものばかなりあると思うのであります。たとえば
石炭にいたしましても、木材にいたしましても、そうい
つたものはなおまだ海陸への轉移の途もあると思いますし、鑛石類等につきましても、船腰の事情からいたしまして、まだ海運へも
つていく余地は確かにあるように
考えます。ただ港湾の能力でございますかと、あるいはそこにおけるチャージが相当かかるとい
つたような問題がやりは関連して出てまいりますので、單に陸上
運賃と木船の
運賃と、両方の調整だけではもちろんいけないのでありますが、そうい
つた点を考慮すれば、現在におきましても、海陸輸送の調整がもう少しできるものがあるというふうに、私
どもといたしましては
考えております。