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参議院法制部長(
川上和吉君) 更宜私から御
説明をさせていただきたいと思いますが、問題になりまする点は、ただいま
新谷委員から
お話のありましたように、先般來現在の
法制部及び
事務局の
調査部の
機構、要するに
議院の
立法機能を補助いたしまするための
機構を、整備いたしていきたいということについての問題であります。そこで今
お話のありましたように、今や
つております
法制部の
仕事、それから
調査部の
仕事というものを頭において
考える方が、
説明が便利だろうと思います。またそこに今の
新谷委員の御質問もあつたのじやないかと思いますが、この案は一應
法制部の
拡充の方面につきましては、こういう
議院法制局法案というような形において、この
法規委員会として
勧告されることになるのじやないか、もし問題が具体的に取上げられるとすれば、そういう形になるのじやないか。一方主として
調査部でや
つております
仕事については、これは法令的な
改正まで手を加えることになりませんで、しかしこれも場合によりましては、たとえば
國会図書館の
機構をもつとはつきりした
調査機能をもつ
機構でやるというような、法規の形に取扱うこともできるのではございませんか。おそらく法制の
機能の方が具体的な法規の形にな
つて現われるのじやないかというような
意味におきまして、関連をいたしますが、お
手もとに差上げました
勧告案草案の裏の方でございますが、後の方に「然るに、現在
立法事務を担当する
法制部は、
事務局の一部局に過ぎず、且つその陣容も極めて貧弱である。尚これに関連して
事務局調査部の
機構についても、
國会図書館の充実に照應して
拡充の要があると認める。」ということをこの
理由書に加えて表現をして、そうして形は
法制局の問題を出されることが、
法規委員会としては適当じやないかということで、この
原案をつく
つてみたのであります。しかしながらこれは
一つの形でありまして、ここで御
審議を願いまする際には、そうした点も根本的に御論議願い、また今
お話のありましたような点も、実質的にどうするかということは、十分御議論を
願つてしかるべき問題かと思うのであります。ただここに出ました形は、たまたま
法規委員会として取上げるにはかような形でどうか、でこの
理由書の中にさような
趣旨をうた
つておくということにいたしたらどうかという
趣旨に、この
原案がな
つておりますので、さようなこともお含みの上で御
審議をお願いしたいと思います。
さような前提のもとに便宜この
議院法制局法案要綱について一應ごく概略御
説明を申し上げますが、
法規委員会として
勧告されます場合には、こういう
法案要綱ではぐあいが惡いのでありまして、正式に
法律案になりましたものになりませんと、
國会に対する
勧告案にならないのであります。でわれわれ事務の方で研究をしまして、
法律案にしてここで御
審議を願うべきであつたかもしれませんが、問題がいろいろまだ熟しない問題もございまするし、われわれの檢討だけでここに
原案として出しますることは、差控えた方がいいだろうというような
意味合いにおきまして、一應
要綱としまして、ここで御論議を
願つて、その
結論によ
つて必要によりましてわれわれの方でまとめるというようなことにいたしたらどうかということで、形を
要綱ということで本日御
参考に差上げたわけであります。
第一以下読みながら御
説明を申し上げます。第一は
議院法制局は、各院の
法案審議の
独立性に鑑み、各
議院に置くものとする。
右に対しては、
國会図書館の如く
國会にこれを置くものとする
意見がある。
現在の
法制部が、
國会法の中に特に規定がございまして、
國会法の百三十一條に特に「
議員の法制に関する
立案に資するため、各
議院に
法制部を置く。」という規定がございます。この
國会法の
趣旨から見ますと、單に
議院事務局の一
部分でありますか、あるいは
事務局の中の一般の部と同じような部でありまするか、あるいはそれと別個に第百三十一條に特に「各
議院に
法制部を置く」というようなことに書いてありますので、今のように
事務局の一部と同じような形をと
つておりますことが、はたしてこの
國会法の
趣旨に副うかどうかというような点も問題があるのであります。さような点にも鑑みまして、また
拡充強化いたしまする際には、
議院法制局——あるいはこの
法制局という名称が適当かどうかも御
審議を願いたいのでありまするが、
事務局と別個のそうした
独立した
機構ができるということに案がな
つておるのであります。その場合に
國会図書館のように、
國会一本の
法制局とするという点も
考えられるのでありますが、それに対しまして、ここにありますように、各
議院にそれぞれ
法制局を置とくいう案と、
両方の案が
考えられるのであります。この議論につきましてはおのおの一長一短があろうと思います。技術的に法制を
審議をいたすという点、あるいは共通の
資料を整備するという点から申しますと、
國会に
一つということがあるいは適当でないかという
意見も立ち得ると思います。それよりももつと重要な点は、
議院そのものが二院制であります
関係上それぞれの
議院の
意見なり立場というものはおのずからあるわけでありまして、さようなことになりますと、実際上
両院の特殊性から鑑みまして、また二院
制度の特色を発揮するという点から申しますと、その最も重要なる
立法機能の補助
機関でありますこの
法制局というものは、
両院制度であればこれは別個であ
つてしかるべきである、別個でなければほんとうの
機能が発揮できないのじやないかという点が、相当強く
考えられるのであります。そこでこの
要綱では一應われわれの研究といたしましては、各
議院別個に置くことが適当だということで、一應こういう案にきめたのでありますが、この点からまず問題があろうと思うのであります。以下同樣な
意味におきまして、一應の
考え方と、これに対するまた別の
考え方というものを交えて、ここに
要綱にしてあるのでございますが、さようなことでお読み願いたいと存ずるのであります。
それで第二は、
議院法制局は、
事務局より全然これを
独立せしめ、
法制局の長は、事務総長と対等の地位において
議長の監督の下に置くこと。
右に対しては、身分上は
事務局の管轄下に置くが、職務上は全然
独立せしめるという
意見がある。
この点も、ただいま申しましたように、現在の
事務局との
関係をどうするかということがすこぶる大きな問題になるのであります。この点につきましても、ここにありますような形、あるいはまだほかの形も
考えられるかと思いまするが、一應ここに書きまするような形におきまして、いずれが適当かということについて、十分に御論議を願いたいと存ずるのであります。
第三は、
各
議院法制局の職務は、
法律問題に対して
意見を具申する等の
方法により、
議院における
審議に或る
程度関與せしめること。
右に対しては、
法制局の職務は、單に
議員の
立法に対するサービス
機関とすべしとの
意見がある。若しこの論をとるときは、
法制局の職務は
國会図書館の
立法資料部的在存となり
國会図書館に吸收せしめらるべきものとなる。
この用語等もはなはだ適当ではないのでありまして、
議院における
審議にある
程度関與するというような字句は、はなはだ適当ではございませんが、單に
議院のほんとうの
参考機関、
まつたく陰の存在としての
参考機関というようなことで適当であるか、あるいはむろん
議院の
審議の
参考に資するためではありまするが、
委員会等の席におきましては、この
法制局の長、あるいはその代理者等が発言するようなことによりまして、
参考に資する。もとより
参考に資するのでありまして、この
審議に関與するというのは適当ではないと思いますが、さような
意味において
まつたく陰の
参考機関というよりも、一歩進めるかどうかというような問題があり得るわけであります。この点も、
法制局の性格をどうするかということに関連しまして、御論議を願いたいと存ずるのであります。
それから第四は、
各
議院の
法制局に局又は部を置き、その下に課を置くことができることとする。
右については法務廳の
機構と合せ考慮さるべきである。
これがまた
一つの問題でありまして、今回
政府において最高法務廳
法案を提出されまして、
政府の
法律顧問的な
機構が、非常に
拡充強化充実せられることにな
つておるのであります。これと関連をいたしまして、唯一の
立法機関たる
國会がどういう構成であるべきかということは、從來の形と違つた
意味において
考えていく必要があろうかと思うのであります。さような
意味においてこの
法制局にも局をつくる。局の下に局というのは、あるいは名称が適当でない点もあるかと思いますが、この名称等も、併せて最高法務廳の
機構とも関連をして、
政府と
國会の
立法参考の
機構をにらみ合しせて整備していくという
意味合いにおきまして、この関連をお
考え願いたいと存ずるのであります。これが第四の問題であります。
それから第五は、
各
議院の
法制局に法制総長、法制次長、
法制局参事、
法制局副参事、
法制局主事を置き、法制次長以下の職員は法制総長が
議長の同意を得てこれを任命することとし、なおその定員は院議を以てこれを定めること。この職員の任命をいかにするかという問題であります。
それから第六は、
各
議院の
法制局に参與を置くこと。参與は
学識経驗を有するものの中から法制総長が
議長の同意を得てこれを依嘱すること。これを專任の職員のほかに
法制局の性質に鑑みまして、適当数の参與のごとき
制度を設けたらどうかという案であります。
それから第七、
議院法制局の設置に当
つては、
國会法を
改正すべきである。
右に対しては
法制部の下に局を置く等に
方法も
考えられるから
國会法改正の必要がないとの
意見もある。
前申しましたような御議論がきま
つてまいりまするならば、
事務局の
関係をどうするかという点に関連をいたしまして、またほかの問題も含めまして、
國会法から改めてかかる必要があるのじやないか。しかし
國会法の解釈のいかんによりましては、必ずしも
國会法を
改正せぬでも、その間の
関係を明確に解釈を定めて、
改正しないというやり方もあり得るのであります。この点についてもいろいろな問題があるのでありまして、それらの点もおきめを願わなければならぬと思うのであります。
それから第八、
國会職員法はこれを
改正すること。この際
法制局の次長は
事務局の長次と、局長又は部長の地位は
事務局の部長の地位と同等とすること。
國会職員法は当然
改正をしなければならぬ点だと思います。これは技術的に比較的簡單であろうと思いますが、第一から第七までの点につきましては、いろいろの
考え方ができるのであります。ごくこの
要綱の氣持だけを御
説明いたしまして、さらにお尋ねによりまして、われわれの研究いたしました経過等も申し上げたいと思いまするが、むしろあまり詳細に申し上げまするよりも、
委員の皆さんによ
つて御論議を願いまする方が適当と存じまするので、この
程度の簡單な
説明に止めまして、御質問によりましてさらにお答えをすることにいたしたいと思います。