○
委員長(
樋貝詮三君) 御
趣旨のように
法律と
政令との
限界などにつきましても、
憲法で
法規をきめるときは、
國民に義務を負担させるようなことは当然
法律でやらなければいかぬようにな
つておりますが、現在の
憲法では前の
憲法と
違つて、
独立命令というものを御
承知のように認めておりませんから、それで
あとの
執行命令ばかり
政令に讓
つておるのですけれども、しかし実際において問題になるのは單純な
執行命令じやなくて、
法律によ
つて政令に
委任したものだと思いますが、どの
範囲で
委任が適法かという問題は、
往年の
法律六三問題と同じような問題が起るのじやないか。たとえば二十二年の
法律七十二号の第一條の問題、やはりこれは
ちようど往年の六三問題と同じように、非常に廣い
範囲で
委任したのです。これは
ちようど全権委任法なんかと同じように、全部を
委任しておる。それは
憲法の
趣旨に牴触しないかどうかという問題は、
相当に
考えなければならぬ問題じやないか。今までの例としては、台湾、朝鮮に起つたあの
法律を要する
事項を律令あるいは
政令で
規定してもよろしいということにした。あの例にこれが似ておる。殊に最初に問題に
なつた六三
法律案によくこの
法律七十二号が似ておりますから、おのずから
委任の限度というものを
考えなければいかぬ。そうしなければ実際において
政府が自由にやることになるから、この問題は檢討しなければならぬ問題だと思
つております。もし七十二号が去年の十二月三十一日附のものを、またさらに一年延ばすということによ
つて日附をかえるということになれば、この際にもう一遍そこでも檢討しなければなるまいかと
考えております。お説のようなものは抽象的には今の
法律と
政令と
限界があるわけで、実際においては
委任の問題にな
つてくると、どこの点まで認めてよろしいか。私見を述べれば、
委任立法の場合においては大綱のわくだけは
法律できめて、小わくのところはこれを
政令に讓
つても違法ではない、違憲ではないと解釈してよいと思います。全部のわくをはずしてしま
つて、これを命令に
委任するということは違憲ではないかと
考えております。しからばどのくらいの程度のわくでいけばよいのかということになると、その認定はむつかしい。その
趣旨はそんなふうでよろしいのではないかと思います。私見はそうですが、いずれこちらの具体問題については
委員の方の御
意見に從
つてきめなければいかぬと思います。