○奥むめお君 御
質問というわけでないのでございますけれ
ども、山川さんに御相談を兼ねてお伺いしたい。それは私今
予算の面をいろいろ勉強しておるわけでございますけれ
ども、素人の私が初めて
予算の
数字を見まして一番驚きますことは、人件費と物件費に國の
予算が分けられております中で、今問題にな
つておるのは人件費の千八百円
ベースの問題ばかりでございまして、物件費の問題が殆ど取上げられていない。局長さんもいろいろ実際に婦人少年局の
予算の面に毎日突き当たられておるわけでありますけれ
ども、大変に物件費の方に無駄が多いと私は指摘せざるを得ない感想を持つのであります。人件費を上げたら物價が高くなり、
予算が崩れるというようなことを頻りに言
つて、人件費を抑えることばかりに一生懸命にな
つておりますけれ
ども、私共はむしろインフレというものは人件費だけで起るのでなく、役所がいろいろの物を買
つたり、放漫な仕事のやり方をすることによ
つて同じ意味のインフレを助長するのは分り切
つておるのでありますが、その面は誰も
考えていないことに私は不満を持
つておる。殊に現実に非常に困
つておる
家庭生活あるいは働く婦人が働こうにも働けないようにな
つておる。例えば一人一人が自分で自分の身の廻りを処置しなければ誰も社会的施設で助けて呉れない、
國家は働くために、これを助ける保護の手を延べていない、施設も持とうともしない、そういう
予算はちつともない。こういうことが子供のことを
考えても、
家庭のことを
考えても、いろいろの意味で
予算の立て方が非常に事務的に大ざつぱにな
つておると思うのでございます。ですからこれは
婦人少年局長だけでできる問題でない、関連した問題でありますけれ
ども、例えば増産を進めて行く、或いは皆が働くいろいろの態勢、
生活の態勢を整えて行くということになれば、丁度華命ロシアが初めに一生懸命託兒所をどんどん殖やした、又共同食堂を拵えたりミシンの普及を図
つたといわれますが、今は戰災で燒けた託兒所の復旧さえできない、現にある託兒所の経営も立たない、このようにやりつ放しにな
つてお
つて、そうして女も働けというようなことにな
つても、実際抽象的な解放をさせた、殊に
生活は解放の
生活の線に副
つていない、農村なんか非常に生産的に働かなければならないんですけれ
ども、働かせるような設備や
予算はちつともとれないのでございます。これは農村など協同組合というものを段々や
つて行けばいいと言われますけれ
ども、そういう
地方の團体の力で、あの
程度のことが直ぐできるはずもないことであります。こういうことを
考えますと、例えば私の見たことのほんの一例ですけれ
ども、婦人少年局という新らしい局はいろいろな物をすべて買わなければならない、物品なんかも随分要るでしようし、すべてが新規の開業ですから、費用も要ると思います。今まで長年仕事をしておる役所は、
相当の物品購入費というものを持
つておる。それから交際費、通信費といろいろ持
つておる。私はらはらと見ておると、
一つの部門なんか、通信費が一人一人の役人が、上の人も下の人も全部の人が一日に七十枚ずつ葉書を書かないと、その通信費が使えない。そういう通信費にな
つている。それは役所が通信販賣でもするのなら七十枚でも足りんかも知れないけれ
ども、とにかくどの
数字をいくらか削
つたとか、いくらか辻褄を合わしたというような
予算であ
つて、これを削るということはもう私は
相当実際にできると思う。それでむしろそれを削
つて人件費に廻すということができるというふうに自分は思
つて見ておりますのです。とにかくどうしても女を働かせるため、又子供を保護するため、働いている女を保護するための
予算というものがないからと、厚生大臣に私もたびたびその問題で、個人的にも又普通の会でも聞いてきたのですけれ
ども、
予算がないからというようなことがいつでも逃げ口上にな
つておるのですけれ
ども、全体のことが、
予算の立て方をそういう新し全体の建前の上に組直すというふうな、私は
一つの動きを作る必要があるということを
考えておるのでございますけれ
ども、これは御相談というわけにも行かないけれ
ども、
婦人少年局長あたりが先ずその会計の、本当に明朗に、どの
程度に、どういうふうに助けるかということを
一つや
つて見て頂いて、そうして全体の方に見て頂いて、そうして私が申上げたような
生活体制を整える基礎工作を各連絡
方面と進めて下さるように骨折
つて貰いたい。こう思うのでございます。