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栗山良夫君 昨日の
委員會におきまして、
職業安定法案に對する
附帶決議が
取消に相成りました。その
取消の理由といたしましては、
附帶決議の
重要性はこれを十分確認せられたのでありますが、更に強力なる
措置を講すべきものであるとせられたことと了承いたしておるのであります。
從つて今後本
會議の
決議とするか、或いは
法律を修正するか、とにかく
附帶決議以上の效果のある
方法を將來考慮しようということであつたわけでございます。私はこの意味で
取消を了とし、これに贊成をいたしました一人であります。申すまでもなく
附帶決議は、
法案の審議の過程におきまして明らかにせられましたところの重要なる問題が集約せられ、
決議と相成
つてものであります。
附帶決議の有無に拘わらず、
政府におかれましては十分にその意向を尊重し
行政の面に反映せらるべきものであると存じます。
さて
附帶決議の
取消竝びに今後の問題の
措置に關しましては以上申述べました
通りでございますが、私は念のために
討論の場合に各
委員から開陳せられました
意見の中で
附帶決議の中に盛られておりました
重要事項について、漏れておりますところの二、三の點について
意見を申述べたい、こう考えるのであります。
その第一點は
職業安定所の施設の
改善、
職員の
待遇向上等を圖るための
豫算の
獲得の問題であります。
安定法案の第五十
五條によりますれば、必要なる費用は
國庫が支辨しなければならない、こういうことに相成
つております。然るに
勞働基準法或いは
職業安定法によ
つて設立いたされまするところの地方の
行政機構をみますると、極めて
豫算が輕少でありまして、
設備の問題にいたしましても或いは
職員の
待遇の問題にいたしましても、或いは
運營いたしますところの筆墨のようなものに至りますまで、非常に事缺いておりまして、
行政の
運營に多大な支障を現在生じておるのであります。私はこのためにすでに一部においてはこの
基準法或いは
安定法によ
つて、設置せられるところの
政府機關が少くとも嚴正中立的な
國民に奉仕するところの
機關でなければならないのに、一部の
國民からの寄附を仰ぎまして、或いはこれによ
つて性格を歪められるというような事態がすでに例として二、三擧げられておるのであります。誠に遺憾であると思いますから、これを責めるのでなくて、十分なる
豫算を
法律に定める
通りに
國家が支辨いたしまして、そうして名
實ともに
國民に奉仕するところの
機關を造り上げるように御協力願いたい、こういうことでございます。
それから第二點といたしましては、
職業安定所におきまして
窓口の
婦人求職者のための專門の
窓口を設けまして、そうして特にその
窓口には
婦人の
職員を配置いたしまして、その
年歳紹介の經驗等を十分に勘案いたしまして、
婦人の持つところの特別な
求職に對しまして、
墾切丁寧に十分にその目的を達するように
措置せられるべきものであるとこう考えるのであります。
第三點といたしましては、この
職業安定法案の二十條に
勞働爭議に關する不介入の
條文があるのでありますが、この
條文の
適用に當りまして
勞働爭議、
同盟罷業、又は
作業所閉鎖、そういうた
粉爭が起きておりまする所、或いは起きる虞れのあるような所に對しては
職業の
紹介をしないという趣旨のものでございますが、この爭議が起きておるとか、或いは起きる虞れがあるとか、そういつた問題は
安定所も常に
注意を拂われまして情報を蒐集せられるのでありましようけれども、やはりこれは自發的にその
事實を
事業主が
安定所に通報する、そういう途を講ずるのが當然であろうと思いますので、この
運用に當りましては
同盟罷業又は
作業所閉鎖か行われた場合には、
事業主は
職業安定所に對してその
事實を通報するように
政府において
實際上の
措置を講じて頂きたい、こういうことなのであります。
次に第四點でありますが、
職業指導所の
補給金その他の問題は二十七條に掲げられております。併しこの
職業補導所の
職員の選び方或いは
設備の
萬端、更に
補導所で使用するところの資材の
獲得、工具の完備、その他擧げますればきりのない程に、
一つの工場を建設する程までにいろいろな面において頭を使わなければならないのであります。この
職業補導所の
運營の當否はやはり
職業安定に最も大きな
關係を有するものでありまするが故に、
政府におきましては特に十分に
注意を拂われたいのであります。分けても今後
國民の
完全雇傭の立場からいたしますならば、産業の
合理化と結び付きまして、
勞働者の
職場轉換というようなことも恐らく考えられなければならないと思います。そういうときに
職業補導所の持つところの使命は極めて重大でありますので、その内容の
充實につきましては特に關心を拂われたいということなんであります。
最後に無料の
勞働者供給事業を行いまする者が今後組合の
書記局の
職員になるというような形をとりまして、
表面供給業者としての姿を消しましても、實質的に
税法行爲によりまして
事實上
中間搾取を行うというようなことがありましては、この第四十
五條の法の精神にも悖ることでありますので、
職業安定法案とは直接の關連は持たないのでありますが、
關係法案或いはその
運用において十分の
法意を拂われまして、巖重にかくのごとき
方法がなくなり、その根絶を期せられますように巖重な取締を要望いたしたいのであります。以上の各點につきまして
補足意見を申述べて
討論の追加といたしたいと思うのであります。