○
栗山良夫君 五十
五條につきまして
ちよつと
大臣のお
考えを伺いたいと思います。五十
五條によりますると、「この
法律を施行するために必要な經費を支出しなければならない。」当然のことでありまするが、大きな原則がここで定められておるわけでありまして、
從來ややもいたしますると、いろいろな
出先機關に各
方面からの
寄附金を半ば強制的に募集せられまして、そうしてそのために
嚴正中立であり、權威を以て處理しなければならない
行政を、ややもすると
不明朗化に導きました例は多々あるのでありまして、そういうことを完全に防止するという見地から、かようにいたされましたことは、よく意味は分るのでありまして、問題は、これをいかにして強力にこの
條文にがつちりとマツチし得るように、その
根本精神に則りまして、實踐するかどうかということにあるかと思うのであります。ところが實は一昨日でありましたか、私の
選擧區から上京しました者から實に意外なことを聞いたのであります。それは
愛知縣の
豊橋方面の
出來事なのでありますが、
勞働基準監督署の設置のために、
出先の官吏の方が各
方面へ
寄附を相當強く要請せられた向きがあるのであります。そうしてその一應の形が整いましたところで、
寄附先の
方々を招待せられまして、
一つの
會合を持たれたそうであります。その席上でたまたま
寄附主の外に
勞働組合出身の者が入
つておりましたのを、その係の
方々は御承知なくて、純
寄附主、いわゆる
勞働組合員でない
人々だけの
會合というこういうような工合にお
考えになりまして、その席上でこういうようなことを
係官が
發言されたそうであります。それは
寄附に對する
謝辯を述べまして、そうして
監督署の今後を
方針として、若し
勞働組合側から特別な苦情が出ない限りにおいては、あなた方のおやりになることは十分に意を酌んで處理するであろうというようなことを述べられたということであります。
出先の、私の知
つておりまする
勞働組合の
人々が、非常にこの問題を聞きまして、その
會合で直接
係官にも見解の餘りにも非常織であることを責めたそうでございますが、更に現在も上京してそのことをくれぐれも私に申傳えて
參つたのであります。若しもここに行われたようなことが今後各
方面において行われるというようなことがありましたならば、この問題は唯單にそこの、今例に擧げましたところの
基準監督署の問題でなくて、少くとも
嚴正中立を標榜し、しかも過日
山田委員から今後の
勞働行政は曾ての
慈善事業であ
つてはならないということが指摘せられましたけれども、併しその
仕事の積極的な開拓の面においてそういうことを指摘せられたのであります、
運營の
内容におきましては、
慈善事業よりも、もつと掘下げた親切な
態度で臨まなければならんとこういうように
考えるのでありますが、スタートするか、しないかの途端においてこのようなことが行われておるということを聞きますと、誠に遺憾に堪えないと思うのであります。私は更に昨日私に傳えられました
勞働組合の役員に對しまして、事細かに
實情を調べて
報告するように
依頼をいたして置きました。他
日機會がありましたならばお耳に入れたいと思
つておるのでありまするが、過
日米窪大臣は、一切の
寄附行爲は中止するように指令したということを仰しや
つておりましたが、それが途中でこういう
具合にぼやけておるということは、結局
法律によ
つて決定したところの
政府機關は、
地方の
出先の
係官としては、どうしても職責上完成しなければならないところの
義務があると思います。そうしてそのために若し
國庫が十分な
費用を支出しないならば、勢いこういうような羽目に
陷らざるを得ないと思うのであります。從いまして
只今申上げました
實例も
一つの參考とされまして、今後果して
勞働省は、この五十
五條の定めの
通りに十分なる
費用を出すところの
責任を感じ、且つそれに對して積極的な努力をされるかどうか。若しそれができなか
つたときにどういうような
態度をお取りになるか、その點をお伺いしたいと思うのであります。