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政府委員(
上山顯君) 十六條、十七條の點でございますが、
只今大臣のお答えで大體盡きておるかと存じますが、第二にもございましたように、
職業選擇の自由ということは
憲法にも謳
つてある點でございまするし、非常にこれを強く
考えているわけでございます。從
つて求職者の方からどんな求職の申込をしましても受理しなければならないという
原則がございますと共に、
求職者にはあらゆる
求人者の求人の申込を知らせる
機會だけを與えて置きたいという
意味から申しまして、求人の方はいかなる求人の申込もこれを受理しなければならないという
原則を一應打立てたわけでございます。むしろ
職業選擇の自由からいたしまして、求人の申込の方は一應申込を受けるだけは受けて行こう、こういう
趣旨でございます。但しそれに但書が附いて例外が認められておるわけでございまして、求職の方は凡てその申込の内容が法令に
違反するときは受理しないが、そうでない限りは餘り面白くないものでも一應受付だけはして行こう、こういう
趣旨でございまして、それに對して求人の場合は著しく
不適當であると認める場合は受理しないことができるというふうに嚴格にいたしたような次第でございます。而していかなるものを著しく
不適當と認めるかどうかは、これは結局社會通念に從いまして常識的に
考えるより外ないかと思うのでございますが、尚もう
一つできるといたしましたのは、今申したように
原則が受理しなければならないという
原則でございまして、それに對する例外の言葉でございますので、これはまあ
字句の感じの問題でございますが、できるという表現をとりましたような次第であります。
それから第二十條でございますが、これはお説の
通り議論があり得る大事な問題だと思
つております。
公共職業安定所としましては爭議行爲におきまして
事業主、
勞働者、いずれの立場にも偏らないという必要のために爭議行爲には不介入の
方針をとりたいという
趣旨でございます。而して現に爭議行爲が發生しておりますことが明らかな
業務には勿論
求職者を紹介しない、更に發生しておりませんでも、紹介をいたしましたために、或いはその他の周圍の情勢からいたしまして近く爭議行爲が發生するという虞れがありますようなことが明らかな部面までも
求職者を紹介してはならない、こういう
趣旨でございます。併しながらその
事業所内におきまして全然爭議が發生していない部門がありといたしますれば、そこには紹介をしてよいじやないかという
考えでございます。誤解を招きませんようにもう一度その點を申上げますと、必ずしも
工場の全職工が爭議をしておる必要はないのでありまして、千人の
工場におきまして五百人の人が爭議に參加しておりましても、その
業務といたしましては、全體として爭議が發生しておると認められます場合には、第一項によりましてそれは
求職者を紹介してはならないのであります。製鐵部門だけははつきり爭議が發生しておるが、機械部門には今のところそういう問題が全然ない、そういう場合におきましてその機械部門においては
求職者は斡旋してよろしい、或いは
事務職員と普通の肉體的の部門に從事します者との間にこういう區別があるかと思います。兎に角
一つの部門には發生しておるが、他の部門にははつきり一人も問題が起
つていないという場合には、そこには斡旋してもよい、併しとにかく後で問題が起
つても困るわけでありますから、
公共職業安定所がとにかくそこに
事業場全體の何處かには爭議が發生しておるということを
求職者に斷
つて置け、而もそれを文書によ
つて通告して置けという
趣旨でございます。尚爭議が發生しておるかどうかという點につきましては、
安定所が勞政
事務所と緊密な
連絡をとりまして、彼處には爭議が發生しておる、又發生する虞れがあるというようなことも十分明らかにするわけでございまするし、殊に第二項によりまして若しも爭議が發生していない部門だと思
つて、
求職者を斡旋しようといたしますような場合には、後で問題の起りますようなことがありませんように、特に勞政
事務所と
連絡をと
つて、此處は大丈夫だという念を押した上で斡旋をすることにいたしております。そういうことを通牒なり訓令なりで、本法がこのまま御決定を願えますれば、特に注意をいたしたい
考えでございます。
それから第十五條の點でございますが、此處に、
配置轉換に關しまして
事業生の方から資料を求められた場合には、
職業安定局長は必要な資料を提供しなければならんというような
意味のことが書いてあるわけであります。勿論
勞働組合から御相談に來られましようが、或いは今後何か
産業を始めたいという人から相談に來られましようが、私
たちの能力のあります限りにおいては御相談に應じますことは申すまでもないことでありまして、特にこの
規定がありませんでも、當然そういうことはいたすわけでございます。ただ
配置轉換とか、
勞働者の報酬とか、選考というようなことにつきましては最も相談を受けることが多いだろうというので、特に
規定したわけでございまして、
配置轉換といたしましては、一應は
勞働組合に相談することとは思いますが、これは經營者が一應先ず
考えるべきことだという
意味で最も起りそうな事態を明らかにしたに過ぎないのであります。